【解説・採点基準付き】2013年九州大学理系数学の解答・解説
2013年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2013年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・積分・極限の問題です。
テーマは「$\sqrt x$ と $\dfrac{a^3}{x}$ の交点での接線、曲線と接線で囲む面積、2本の接線のなす角の極限」。
問題


問題文をテキストで読む
$a>1$ とし、2つの曲線
$$y=\sqrt x\quad(x\geqq0),\qquad y=\frac{a^3}{x}\quad(x>0)$$
を順に $C_1$、 $C_2$ とする。また、 $C_1$ と $C_2$ の交点Pにおける $C_1$ の接線を $l_1$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) 曲線 $C_1$ と $y$ 軸および直線 $l_1$ で囲まれた部分の面積を $a$ を用いて表せ。
(2) 点Pにおける $C_2$ の接線と直線 $l_1$ のなす角を $\theta(a)$ とする $\left(0<\theta(a)<\dfrac{\pi}{2}\right)$。このとき、 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}a\sin\theta(a)$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
曲線・その接線・縦の直線(ここでは $y$ 軸)で囲まれた面積は、「グラフをかく(上下)→ 数式におとす」の典型問題。交点Pは $\sqrt x=\dfrac{a^3}{x}$ を解けばすぐに求まる。 $C_1$ は上に凸なので、接線 $l_1$ はいつも $C_1$ の上にある。囲まれた部分は $0\leqq x\leqq a^2$ で「上が $l_1$、下が $C_1$」になるので(下の図)、図をそのまま $\displaystyle\int\{(\text{上})-(\text{下})\}dx$ の式に移せばよい。


- $\sqrt x=\dfrac{a^3}{x}$ を解いて $\mathrm{P}(a^2,\ a)$ を求める。
- $C_1$ の点Pにおける接線の傾き $\dfrac{1}{2a}$ を求め、 $l_1$ の方程式を求める。
- $C_1$ が上に凸であることから、 $0\leqq x\leqq a^2$ で $l_1$ が $C_1$ の上にあることを確かめ、グラフを書く。
- 面積を $\displaystyle\int_0^{a^2}\left\{\left(\dfrac{x}{2a}+\dfrac a2\right)-\sqrt x\right\}dx$ と表して計算する。
【(2)の方針】
座標平面で角度が出てきたら、解法は $\tan\theta$・ベクトルの内積・複素数平面の3つ。2直線のなす角は「 $\tan\theta=$ 傾き」が使える $\tan\theta$ で処理する。交点Pに $x$ 軸と平行な補助線を引き、それぞれの直線までを$x$ 軸から正の方向に測った角 $\alpha$、 $\beta$ とおけば、傾きが $\tan\alpha$、 $\tan\beta$ になる。あとは $\theta=\alpha-\beta$ に $\tan$ の加法定理を使えばよい(下の図)。 $l_1$ は右上がり、点Pにおける $C_2$ の接線は右下がりなので、 $\alpha$、 $\beta$ の範囲を確かめれば、 $\theta=\alpha-\beta$ がそのまま鋭角のなす角になる。唯一の注意は、 $\theta$ が $0^\circ$ から $90^\circ$ の角なので、2直線がつくる2つの角のどちらが条件を満たすかを確かめること。とりあえず一方と仮定して計算し、条件に合わなければもう一方を考えてもよい。
中原先生のコメント 座標平面で直線の角度を考えるときは、いつも $x$ 軸から正の向きに測る。
極限では、まず「不定形かどうかチェック」。 $a\to\infty$ のとき2本の接線はどちらも水平に近づくので $\theta\to0$ となり、 $a\sin\theta$ は「 $\infty\times0$」の不定形。 $\sin\theta$ を $a$ の式で表すと $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形になるので、分母・分子を最高次数で割る。


- 点Pにおける $C_2$ の接線 $l_2$ の傾き $-\dfrac1a$ を求める。
- 交点Pに $x$ 軸と平行な補助線を引き、そこから正の方向に $l_1$、 $l_2$ まで測った角を $\alpha$、 $\beta$ とおく( $\tan\alpha=\dfrac{1}{2a}$、 $\tan\beta=-\dfrac1a$ )。
- $\alpha$、 $\beta$ の範囲から、求める鋭角が $\theta=\alpha-\beta$ であることを確かめる。
- $\tan$ の加法定理で $\tan\theta=\dfrac{3a}{2a^2-1}$ を求める。
- $1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta}$ から $\cos\theta$ を求め、 $\sin\theta=\tan\theta\cos\theta$ を $a$ で表す。
- $a\sin\theta$ は $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、分母・分子を最高次数の $a^2$ で割り、極限を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 25点
$\sqrt x=\dfrac{a^3}{x}$ より $x\sqrt x=a^3$、すなわち $x^{\frac32}=a^3$ なので $x=a^2$。よって $\mathrm{P}(a^2,\ a)$。
$y=\sqrt x$ より $y’=\dfrac{1}{2\sqrt x}$ なので、点Pにおける $C_1$ の接線の傾きは $\dfrac{1}{2a}$。よって
$$l_1:\ y=\frac{1}{2a}(x-a^2)+a=\frac{x}{2a}+\frac a2$$
$y”=-\dfrac{1}{4x\sqrt x}<0$( $x>0$)より $C_1$ は上に凸なので、 $0\leqq x\leqq a^2$ で $l_1$ は $C_1$ の上にある(下の図)。実際、
$$\left(\frac{x}{2a}+\frac a2\right)-\sqrt x=\frac{(\sqrt x-a)^2}{2a}\geqq0$$
である。
求める面積を $S$ とすると、図をそのまま式にして
$$S=\int_0^{a^2}\left\{\left(\frac{x}{2a}+\frac a2\right)-\sqrt x\right\}dx$$
項ごとに分けて計算する。 $\displaystyle\int_0^{a^2}\left(\frac{x}{2a}+\frac a2\right)dx$ は、 $l_1$ の下で $0\leqq x\leqq a^2$ の部分(上底 $\dfrac a2$、下底 $a$、高さ $a^2$ の台形)の面積なので
$$\int_0^{a^2}\left(\frac{x}{2a}+\frac a2\right)dx=\frac12\left(\frac a2+a\right)a^2=\frac34a^3$$
また
$$\int_0^{a^2}\sqrt x\,dx=\left[\frac23x^{\frac32}\right]_0^{a^2}=\frac23a^3$$
よって
$$S=\frac34a^3-\frac23a^3=\frac{a^3}{12}$$
答 $\dfrac{a^3}{12}$
別解( $y$ で積分) $C_1$ は $x=y^2$( $y\geqq0$)と表せるので、 $y$ で積分すれば根号の積分がなくなる。 $\mathrm{Q}(0,\ a)$、 $\mathrm{R}\left(0,\ \dfrac a2\right)$ とすると、「 $y$ 軸と $x=y^2$ で挟まれた $0\leqq y\leqq a$ の部分」は、 $S$ の部分と三角形RPQに分かれる(下の図)。三角形RPQは底辺 $\mathrm{QR}=\dfrac a2$、高さ $a^2$ なので
$$S=\int_0^a y^2\,dy-\frac12\cdot\frac a2\cdot a^2=\frac{a^3}{3}-\frac{a^3}{4}=\frac{a^3}{12}$$
(2) 配点 25点
$y=\dfrac{a^3}{x}$ より $y’=-\dfrac{a^3}{x^2}$ なので、点Pにおける $C_2$ の接線を $l_2$ とすると、 $l_2$ の傾きは $-\dfrac{a^3}{a^4}=-\dfrac1a$。
点Pを通り $x$ 軸に平行な直線を引き、そこから正の方向に $l_1$、 $l_2$ まで測った角をそれぞれ $\alpha$、 $\beta$ $\left(-\dfrac{\pi}{2}<\alpha,\ \beta<\dfrac{\pi}{2}\right)$ とすると、傾きは $\tan$ の値なので
$$\tan\alpha=\frac{1}{2a},\qquad \tan\beta=-\frac1a$$
$a>1$ より $0<\tan\alpha<1$、 $-1<\tan\beta<0$ なので、 $0<\alpha<\dfrac{\pi}{4}$、 $-\dfrac{\pi}{4}<\beta<0$。よって $0<\alpha-\beta<\dfrac{\pi}{2}$ となり、 $\theta=\alpha-\beta$ である(下の図)。
$$\tan\theta=\tan(\alpha-\beta)=\frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}=\frac{\dfrac{1}{2a}+\dfrac1a}{1-\dfrac{1}{2a^2}}=\frac{3a}{2a^2-1}$$
$$\frac{1}{\cos^2\theta}=1+\tan^2\theta=\frac{(2a^2-1)^2+9a^2}{(2a^2-1)^2}=\frac{4a^4+5a^2+1}{(2a^2-1)^2}=\frac{(4a^2+1)(a^2+1)}{(2a^2-1)^2}$$
$\cos\theta>0$、 $2a^2-1>0$ なので $\cos\theta=\dfrac{2a^2-1}{\sqrt{(4a^2+1)(a^2+1)}}$。よって
$$\sin\theta=\tan\theta\cos\theta=\frac{3a}{\sqrt{(4a^2+1)(a^2+1)}}$$
$a\sin\theta=\dfrac{3a^2}{\sqrt{(4a^2+1)(a^2+1)}}$ は $a\to\infty$ で $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、分母・分子を最高次数の $a^2$ で割る(分母の根号の中は $a^4$ で割る)。
$$a\sin\theta=\frac{3a^2}{\sqrt{(4a^2+1)(a^2+1)}}=\frac{3}{\sqrt{\left(4+\dfrac{1}{a^2}\right)\left(1+\dfrac{1}{a^2}\right)}}\longrightarrow\frac{3}{\sqrt{4\cdot1}}=\frac32\quad(a\to\infty)$$
答 $\dfrac32$
別解(根号の式を作らない) $\tan\theta=\dfrac{3a}{2a^2-1}$ まで同じ。 $\sin\theta=\tan\theta\cos\theta$ なので、 $a\sin\theta$ を $a\tan\theta$ と $\cos\theta$ に分けて極限を考える。
$$a\tan\theta=\frac{3a^2}{2a^2-1}=\frac{3}{2-\dfrac{1}{a^2}}\longrightarrow\frac32\quad(a\to\infty)$$
また、 $\tan\theta=\dfrac{\dfrac3a}{2-\dfrac{1}{a^2}}\to0$ と $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ より $\theta\to0$ なので、 $\cos\theta\to1$。よって
$$a\sin\theta=a\tan\theta\cdot\cos\theta\longrightarrow\frac32\cdot1=\frac32$$
出題意図
(1) 接線の方程式を求め、曲線と接線の上下関係を確かめて面積を正確に計算できるか
(2) 2直線のなす角を傾きの角の差と捉え、 $\tan$ の加法定理に結びつけられるか。さらに、 $\tan\theta$ から $\sin\theta$ に直して $a\to\infty$ の極限を処理できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 15分 |
(1) の積分はあってないようなもの。
(2) は座標平面の角度を $\tan$ で処理し、 $0^\circ$ から $90^\circ$ という縛りがあるので、2直線のなす角のどちらが条件を満たすかを確認する。
標準問題の基本事項さえ押さえていれば、簡単に満点が取れる。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):なす角を見て、傾きの角の差と $\tan$ の加法定理に結びつけるという発想に行き着けるか。結びつけば、あとは極限をとるだけ。
- (2) の絶対値:なす角の公式は $1+m_1m_2>0$ を確かめてから絶対値を外す。抜けると鋭角である根拠が書けない。
- (1) の上下関係:「 $C_1$ が上に凸なので接線が上」を書かずに積分すると、立式の根拠が抜けて減点される。
2013年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「四角錐で、平面OMNに垂直な直線PQと直線BC上の点Qの位置」。
問題


問題文をテキストで読む
一辺の長さが1の正方形OABCを底面とし、点Pを頂点とする四角錐POABCがある。ただし、点Pは内積に関する条件 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac14$、および $\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac12$ をみたす。辺APを $2:1$ に内分する点をMとし、辺CPの中点をNとする。さらに、点Pと直線BC上の点Qを通る直線PQは、平面OMNに垂直であるとする。このとき、長さの比 $\mathrm{BQ}:\mathrm{QC}$、および線分OPの長さを求めよ。
解答の方針
座標が与えられていない立体なので、基準のベクトルを $\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$、 $\vec p=\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ と決め、すべての点をこの3本で表す。底面は1辺1の正方形なので $|\vec a|=|\vec c|=1$、 $\vec a\cdot\vec c=0$、問題文から $\vec a\cdot\vec p=\dfrac14$、 $\vec c\cdot\vec p=\dfrac12$。分からない内積は $|\vec p|^2$ だけで、これは求める $\mathrm{OP}^2$ そのものなので文字でおく。
中原先生のコメント 誘導のないベクトルの問題は、計算に入る前に、必要な内積を全部求めておく。
条件「PQが平面OMNに垂直」は「90°だったら内積が0」で処理する。平面上の2本のベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ のどちらとも内積が0なので、式は2本。Qは点と点を繋いで $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{BQ}}$ とし、 $\overrightarrow{\mathrm{BQ}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ と平行なので実数倍で1文字 $s$。未知数2つ( $|\vec p|^2$ と $s$ )に式2本なので、連立方程式を解けば決まる見通しが立つ。
もう1つ、Qは「辺BC上」ではなく「直線BC上」の点。Qが辺の外に出ることもあるので、 $s$ の範囲は最初から制限しない。


- $\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$、 $\vec p=\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ とおき、必要な内積 $|\vec a|^2=|\vec c|^2=1$、 $\vec a\cdot\vec c=0$、 $\vec a\cdot\vec p=\dfrac14$、 $\vec c\cdot\vec p=\dfrac12$ を先に全部書く。 $|\vec p|^2=k$ とおく。
- 内分点の公式で $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ を表す。係数は最初にくくり出し、内積は $\vec a+2\vec p$、 $\vec c+\vec p$ で計算する。
- $\overrightarrow{\mathrm{BQ}}=s\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ ( $s$ の範囲は制限しない)とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+s\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ から $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ を $\vec a$、 $\vec c$、 $\vec p$ で表す。
- $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OM}}=0$、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{ON}}=0$ の2式を立てる。 $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ との式から $k$ を $s$ で表し、もう一方に代入して $s=-\dfrac14$、続いて $k=\dfrac{21}{16}$ を求める。
- $s<0$ から QがBの外側にあることを確かめてから $\mathrm{BQ}$、 $\mathrm{QC}$ を求め、最後に $\mathrm{OP}=\sqrt k$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
$\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$、 $\vec p=\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ とおく。四角形OABCは1辺の長さが1の正方形なので、必要な内積は
$$|\vec a|^2=|\vec c|^2=1,\qquad\vec a\cdot\vec c=0,\qquad\vec a\cdot\vec p=\frac14,\qquad\vec c\cdot\vec p=\frac12$$
また、 $|\vec p|^2=k$ とおく( $\mathrm{OP}=\sqrt k$ )。
[8/50点]
Mは辺APを $2:1$ に内分する点、Nは辺CPの中点なので
$$\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\frac{\vec a+2\vec p}{3},\qquad\overrightarrow{\mathrm{ON}}=\frac{\vec c+\vec p}{2}$$
[16/50点]
Qは直線BC上の点なので、実数 $s$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{BQ}}=s\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ と表せる( $0\leqq s\leqq1$ とは限らない)。 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec a+\vec c$、 $\overrightarrow{\mathrm{BC}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}=-\vec a$ より
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+s\overrightarrow{\mathrm{BC}}=(1-s)\vec a+\vec c,\qquad\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(1-s)\vec a+\vec c-\vec p$$
[22/50点]
Pは底面を含む平面上にないので、 $\vec a$、 $\vec c$、 $\vec p$ は同じ平面上にない。よって、 $\vec c$ を含まない $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ と $\vec c$ を含む $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ は平面OMN上の平行でない2本のベクトルであり、PQが平面OMNに垂直であることは、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OM}}=0$ かつ $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{ON}}=0$ と同じである。係数の $\dfrac13$、 $\dfrac12$ は除いて計算する。
$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec a=(1-s)-\dfrac14$、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec c=1-\dfrac12=\dfrac12$、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec p=\dfrac{1-s}{4}+\dfrac12-k$ なので
$$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot(\vec a+2\vec p)=(1-s)-\frac14+2\left(\frac{1-s}{4}+\frac12-k\right)=\frac32(1-s)+\frac34-2k=0$$
$$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot(\vec c+\vec p)=\frac12+\left(\frac{1-s}{4}+\frac12-k\right)=1+\frac{1-s}{4}-k=0$$
[32/50点]
2つ目の式( $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ との内積)より
$$k=1+\frac{1-s}{4}$$
1つ目の式( $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ との内積)の両辺を4倍した $6(1-s)+3-8k=0$ に代入すると
$$6(1-s)+3-8-2(1-s)=0\iff4(1-s)=5\iff s=-\frac14$$
よって $k=1+\dfrac{5}{16}=\dfrac{21}{16}$。
( $\vec a$、 $\vec c$ は垂直な長さ1のベクトルなので、Pから底面に下ろした垂線の足をHとすると $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=(\vec a\cdot\vec p)\vec a+(\vec c\cdot\vec p)\vec c=\dfrac14\vec a+\dfrac12\vec c$。高さの2乗は $k-|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2=\dfrac{21}{16}-\dfrac{5}{16}=1>0$ となり、このような四角錐は確かに存在する。)
[42/50点]
$s=-\dfrac14<0$ なので、 $\overrightarrow{\mathrm{BQ}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ と逆向きで、QはBに関してCと反対側(Bの外側)にある(下の図)。
$$\mathrm{BQ}=|s|\,\mathrm{BC}=\frac14,\qquad\mathrm{QC}=\mathrm{QB}+\mathrm{BC}=\frac14+1=\frac54$$
より $\mathrm{BQ}:\mathrm{QC}=\dfrac14:\dfrac54=1:5$。また
$$\mathrm{OP}=\sqrt k=\sqrt{\frac{21}{16}}=\frac{\sqrt{21}}{4}$$
答 $\mathrm{BQ}:\mathrm{QC}=1:5$、 $\mathrm{OP}=\dfrac{\sqrt{21}}{4}$
[50/50点]
別解(座標を置く) Oを原点とし、 $\mathrm{A}(1,0,0)$、 $\mathrm{B}(1,1,0)$、 $\mathrm{C}(0,1,0)$ とおく。内積の条件はそのまま「Pの $x$ 座標が $\dfrac14$、 $y$ 座標が $\dfrac12$」となるので、 $\mathrm{P}\left(\dfrac14,\ \dfrac12,\ r\right)$ ( $r>0$ )とおける。Qは $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+t\overrightarrow{\mathrm{BC}}=(1-t,\ 1,\ 0)$ とおける。係数をくくった $6\overrightarrow{\mathrm{OM}}=(3,\ 2,\ 4r)$、 $8\overrightarrow{\mathrm{ON}}=(1,\ 6,\ 4r)$、 $4\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(3-4t,\ 2,\ -4r)$ で内積を計算すると
$$3(3-4t)+4-16r^2=0,\qquad(3-4t)+12-16r^2=0$$
辺々引いて $2+8t=0$ より $t=-\dfrac14$、戻して $16r^2=16$、 $r>0$ より $r=1$。 $\mathrm{P}\left(\dfrac14,\ \dfrac12,\ 1\right)$、 $\mathrm{Q}\left(\dfrac54,\ 1,\ 0\right)$ となり(下の図)、同じ結果になる。
別解(平面OMNに垂直なベクトルを先に求める) 座標を置いたあと、 $(3,\ 2,\ 4r)$、 $(1,\ 6,\ 4r)$ の両方に垂直なベクトル $\vec n=(x,y,z)$ を求めてもよい。 $3x+2y+4rz=0$、 $x+6y+4rz=0$ を辺々引いて $x=2y$、戻して $z=-\dfrac{2y}{r}$。 $y=r$ として $\vec n=(2r,\ r,\ -2)$。 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=\left(\dfrac34-t,\ \dfrac12,\ -r\right)=m\vec n$ と表せるので、 $\dfrac12=rm$、 $-r=-2m$ から $r^2=1$、 $r=1$、 $m=\dfrac12$。 $\dfrac34-t=1$ から $t=-\dfrac14$ となり、同じ結果になる。
出題意図
- 長い問題文の条件を整理し、基準のベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ ですべての点を表せるか。
- 「直線が平面に垂直」を「平面上の平行でない2本のベクトルとの内積がどちらも0」に言いかえる、という空間ベクトルの基本が理解できているか。
- 「直線BC上」を読み落とさず、Qが辺BCの外にある場合まで正しく扱えるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 | 30分 |
誘導がないのでゼロから組み立てる必要があるが、やることはシンプル。
問題文が $\mathrm{O}$ を始点とする内積で条件を与えているので、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ の3本で表し、 $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{ON}}$ を表して $\overrightarrow{\mathrm{BQ}}$ をおき、いつも通り内積0で処理するだけ。
ベクトルは誘導がなくても解けるようにならないといけない。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは入り口:長い問題文から未知数と条件式を数え、必要な内積を先に全部求めておくという発想に行き着けるか。並べてしまえば、残りは内積の計算だけ。
- Qの位置の取り違え: $s=-\dfrac14$ なのでQはBの外側。辺BC上と思い込むと $\mathrm{BQ}:\mathrm{QC}$ を誤る。
- 内分点の向き:「辺APを $2:1$ に内分」で係数を逆にすると、以降の式がすべてずれる。
2013年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は確率・期待値の問題です。
テーマは「6枚の硬貨を端から反転する操作の確率と期待値」。
問題


問題文をテキストで読む
横一列に並んだ6枚の硬貨に対して、以下の操作Lと操作Rを考える。
L:さいころを投げて、出た目と同じ枚数だけ左端から順に硬貨の表と裏を反転する。
R:さいころを投げて、出た目と同じ枚数だけ右端から順に硬貨の表と裏を反転する。
たとえば、表表裏表裏表と並んだ状態で操作Lを行うときに、3の目が出た場合は、裏裏表表裏表となる。
以下、「最初の状態」とは硬貨が6枚とも表であることとする。
(1) 最初の状態から操作Lを2回続けて行うとき、表が1枚となる確率を求めよ。
(2) 最初の状態からL、Rの順に操作を行うとき、表の枚数の期待値を求めよ。
(3) 最初の状態からL、R、Lの順に操作を行うとき、すべての硬貨が表となる確率を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
さいころを2回投げるサイコロ型の確率なので、全体の場合の数は $6^2$ 通りで、 $(1,2)$ と $(2,1)$ は別に数える。分子もこの数え方にそろえる。硬貨の表裏は、反転された回数が偶数なら表、奇数なら裏。2回のLの目を $a,b$ とすると、左から $\min(a,b)$ 枚は2回反転されて表に戻り、その右の $|a-b|$ 枚だけが1回反転されて裏になる。


- 2回のLの目を $a,b$ とし、左から $\min(a,b)$ 枚は2回、続く $|a-b|$ 枚は1回反転され、残りは反転されないことを確かめる。
- 裏の枚数は $|a-b|$ なので、表が1枚 $\iff|a-b|=5$。
- 全体 $6^2=36$ 通りのうち、 $|a-b|=5$ となる $(a,b)=(1,6),(6,1)$ の2通りを数えて確率を求める。
【(2)の方針】
Lの目を $a$、Rの目を $b$ とする。Lは左から $a$ 枚、Rは右から $b$ 枚を反転するので、 $a+b\leqq6$ なら2つの区間は重ならず、表は真ん中の $6-(a+b)$ 枚。 $a+b>6$ なら2つの区間が $a+b-6$ 枚だけ重なり、重なった硬貨が2回反転されて表になる。どちらの場合も表の枚数は $|a+b-6|$ と1つの式で書ける。


さいころ2個の目の組は36通りしかないので、$|a+b-6|$ を6×6の表に書き込めば、表の枚数ごとの場合の数がすぐに数えられる。表の対角線( $a+b=6$)に0が並び、そこから離れるほど1ずつ増える。期待値は「(値)×(確率)の和」なので、表から表の枚数ごとの確率を全部求めて、値×確率を足せばよい。


- Lの目を $a$、Rの目を $b$ とし、 $a+b\leqq6$ と $a+b>6$ に分けて表の枚数を求め、どちらも $|a+b-6|$ になることを示す。
- $|a+b-6|$ を6×6の表に書き込み、表の枚数が $0,1,\cdots,6$ 枚となる確率を全部求める。
- (表の枚数)×(確率)の和で期待値を求める。
【(3)の方針】
最後に6枚とも表 $\iff$ どの硬貨も反転された回数が偶数。2回のLだけを見ると、(1) と同じく奇数回反転されるのは左から $\min(a,c)+1$ 枚目から $\max(a,c)$ 枚目までの区間。ここにRの1回を加えてすべて偶数にするには、Rで反転される区間(右から $b$ 枚)が、この区間とちょうど一致すればよい。


- L、R、Lの目を $a,b,c$ とし、 $m=\min(a,c)$、 $M=\max(a,c)$ とおく。2回のLで奇数回反転されるのは左から $m+1$ 枚目〜 $M$ 枚目、Rで反転されるのは左から $7-b$ 枚目〜6枚目であることを確かめる。
- 6枚とも表 $\iff$ この2つの区間が一致する $\iff$ $M=6$ かつ $m=6-b$。
- 全体は $6^3=216$ 通り。 $m\geqq1$ から $b\leqq5$。 $b=1,\cdots,5$ のそれぞれで、 $a,c$ の組 $\{6,\ 6-b\}$ を決めてから、どちらが $a$ かの順番で2通りを数え、確率を求める。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
2回のLの目を $a,b$ とする。全体の場合の数は $6^2=36$ 通り( $(1,2)$ と $(2,1)$ は別に数える)。
左から $\min(a,b)$ 枚は2回反転されて表に戻り、続く $|a-b|$ 枚は1回だけ反転されて裏になる。残りの硬貨は反転されないので表のまま(下の図は $a=2$、 $b=5$ の場合)。
よって裏は $|a-b|$ 枚で、表が1枚となるのは $|a-b|=5$ のとき。
$|a-b|=5$ となるのは $(a,b)=(1,6),(6,1)$ の2通りなので、求める確率は $\dfrac{2}{36}$
答 $\dfrac{1}{18}$
(2) 配点 20点
Lの目を $a$、Rの目を $b$ とする。Lで反転されるのは左から $a$ 枚、Rで反転されるのは右から $b$ 枚である。
・$a+b\leqq6$ のとき 2つの区間は重ならないので、反転された $a+b$ 枚が裏、残りの $6-(a+b)$ 枚が表
・$a+b>6$ のとき 2つの区間は $a+b-6$ 枚だけ重なる。重なった硬貨は2回反転されて表、ほかの硬貨はどちらか一方だけで反転されて裏。表は $a+b-6$ 枚
どちらの場合も、表の枚数は $|a+b-6|$ である。
$(a,b)$ の36通りについて $|a+b-6|$ を表にすると、次のようになる。
全体の場合の数は $6^2=36$ 通り。表から、表の枚数ごとの確率を全部求めると、次のようになる。
| 表の枚数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 確率 | $\dfrac{5}{36}$ | $\dfrac{10}{36}$ | $\dfrac{8}{36}$ | $\dfrac{6}{36}$ | $\dfrac{4}{36}$ | $\dfrac{2}{36}$ | $\dfrac{1}{36}$ |
(確率の和は $\dfrac{36}{36}=1$ )
よって、求める期待値は(値)×(確率)の和で
$$0\cdot\frac{5}{36}+1\cdot\frac{10}{36}+2\cdot\frac{8}{36}+3\cdot\frac{6}{36}+4\cdot\frac{4}{36}+5\cdot\frac{2}{36}+6\cdot\frac{1}{36}=\frac{76}{36}$$
答 $\dfrac{19}{9}$
別解(表の和で計算する) 6×6の表のどのマスも確率 $\dfrac{1}{36}$ で起こるので、期待値は「表に書いた36個の数の和」 $\times\dfrac{1}{36}$ でもよい。表の数の和は、0が5個、1が10個、…と数えても76なので、 $\dfrac{76}{36}=\dfrac{19}{9}$。
別解(1枚ずつ表になる確率を足す) 表の枚数の期待値は、6枚それぞれが表になる確率の和である。左から $i$ 枚目の硬貨が表になるのは、「LでもRでも反転される」か「どちらでも反転されない」とき。Lで反転される確率は $a\geqq i$ より $\dfrac{7-i}{6}$、Rで反転される確率は $b\geqq7-i$ より $\dfrac{i}{6}$ なので、表になる確率は
$$\frac{7-i}{6}\cdot\frac{i}{6}+\frac{i-1}{6}\cdot\frac{6-i}{6}=\frac{-2i^2+14i-6}{36}$$
$i=1,\cdots,6$ で足すと $\dfrac{-2\cdot91+14\cdot21-6\cdot6}{36}=\dfrac{76}{36}=\dfrac{19}{9}$
(3) 配点 20点
L、R、Lの目を順に $a,b,c$ とし、 $m=\min(a,c)$、 $M=\max(a,c)$ とおく。全体の場合の数は $6^3=216$ 通り。
各硬貨の表裏は反転された回数の偶奇で決まるので、6枚とも表 $\iff$ どの硬貨も反転された回数が偶数。
2回のLについては、(1) と同じく左から $m$ 枚は2回反転され、左から $m+1$ 枚目〜 $M$ 枚目だけが1回反転される( $a=c$ ならこの区間はない)。Rで反転されるのは右から $b$ 枚、すなわち左から $7-b$ 枚目〜6枚目である。
よって、6枚とも表 $\iff$ 「2回のLで奇数回反転される区間」と「Rで反転される区間」が一致する。
$b\geqq1$ なので、Rで反転される区間は空でない。したがって区間が一致する条件は、 $a\neq c$ で $M=6$ かつ $m+1=7-b$、すなわち $M=6$ かつ $m=6-b$。さらに $m\geqq1$ より $b\leqq5$ である。
$b=1,2,3,4,5$ のそれぞれについて、 $a,c$ の組は $\{6,\ 6-b\}$ に決まる。 $6-b\neq6$ なので、どちらが $a$ (1回目のL)かの順番で $(a,c)=(6,6-b),(6-b,6)$ の2通り。合わせて $5\times2=10$ 通りなので、求める確率は $\dfrac{10}{216}$
答 $\dfrac{5}{108}$
別解(L・Rの後の並びで数える) 最後のLは左から $c$ 枚を反転するだけなので、6枚とも表になるには、L・Rの後の並びが「左から $c$ 枚が裏で、残りが表」でなければならない。(2) で調べたL・Rの後の並びのうち、このように左に裏が続き残りが表になる形を探す。
・$a+b\leqq6$ のとき 右端の硬貨が裏なので、6枚とも裏でなければならない。それは表が0枚、すなわち $a+b=6$ のときで、 $c=6$。 $(a,b)=(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1)$ の5通り
・$a+b>6$ のとき 並びは「左から $6-b$ 枚が裏、続く $a+b-6$ 枚が表、右の $6-a$ 枚が裏」。右端に裏があってはいけないので $a=6$。このとき左から $6-b$ 枚が裏で残りが表。 $c\geqq1$ なので $6-b\geqq1$ が必要で $b\leqq5$、 $c=6-b$。5通り
どちらの場合も $c$ は1つに決まるので、合わせて $5+5=10$ 通り。確率は $\dfrac{10}{216}=\dfrac{5}{108}$
出題意図
- 最初は6枚とも表なので、各硬貨の表裏は「何回反転されたか」の偶奇だけで決まると捉えることができるか。
- 反転される硬貨が端からの連続した区間であることから、区間の重なりで状況を整理できるか。
- (2) は、さいころ2個の目の組 36 通りを表に整理して数え上げるという基本が理解できているか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 | 30分 |
それぞれの場面でどういう状況になればよいかを考えるだけの問題。
(1) は $(1,6)$、 $(6,1)$ の順に出ればよく、(2) は6×6のマスを作ってしまえば終わり、(3) もどういう状況なら6枚とも表になるかを考えればよい。
強いて言うなら、それぞれの状況が条件を満たすかを確実に見抜き、確実に数えること。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (3):216通りを書き出さず、表裏は反転の回数の偶奇で決まるから、2回のLで奇数回反転される区間とRの区間が一致すればよいという発想に行き着けるか。書き出すと時間がかかり、数え漏れも起きる。
- (2) の重なり: $a+b>6$ で区間が重なるとき、重なった硬貨は2回反転されて表。裏と数えると枚数がずれる。
- (3) の $b=6$:さいころの目は1以上なので $b\leqq5$。 $b=6$ まで数えると答えがずれる。
2013年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は図形と方程式・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「内接する2円の弧で囲まれた図形の回転体」。
問題


問題文をテキストで読む
原点Oを中心とし、点 $\mathrm{A}(0,1)$ を通る円を $S$ とする。点 $\mathrm{B}\left(\dfrac12,\ \dfrac{\sqrt3}{2}\right)$ で円 $S$ に内接する円 $T$ が、点Cで $y$ 軸に接しているとき、以下の問いに答えよ。
(1) 円 $T$ の中心Dの座標と半径を求めよ。
(2) 点Dを通り $x$ 軸に平行な直線を $l$ とする。円 $S$ の短い方の弧 $\overset{\frown}{\mathrm{AB}}$、円 $T$ の短い方の弧 $\overset{\frown}{\mathrm{BC}}$、および線分ACで囲まれた図形を $l$ のまわりに1回転してできる立体の体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
2つの円が内接するとき、接点と2つの中心は一直線上に並ぶ。だから $T$ の中心Dは線分OB上にあり、直線OBは $x$ 軸と $60^\circ$ をなす直線 $y=\sqrt3x$。さらに $T$ は $y$ 軸に接するので、Dの $x$ 座標がそのまま半径 $r$。この2つで $\mathrm{D}=(r,\ \sqrt3r)$ と半径1文字で置ける。あとは「 $S$ の半径1=ODの長さ+ $T$ の半径」という内接の条件を使うだけ。


- 内接する2円の中心と接点は一直線上にあるので、Dは線分OB上(直線 $y=\sqrt3x$ 上)にあることを確かめる。
- $T$ の半径を $r$ とおき、 $y$ 軸に接することから $\mathrm{D}=(r,\ \sqrt3r)$ と表す。
- $\mathrm{OD}=2r$ と、内接の条件 $\mathrm{OD}+r=1$ から $r$ を求め、Dの座標と半径を答える。
【(2)の方針】
注意は1つだけ。回転軸は $x$ 軸ではなく $l$ なので、 $l$ を軸に座標を取り直して考える( $l$ からの距離で半径を測る)。まず図を書いて、囲まれた図形を確定させる。Dから見るとBは $60^\circ$ の向き、Cは $180^\circ$ の向きなので、 $T$ の短い方の弧BCは $T$ の上側を回る弧。図形は $0\leqq x\leqq\dfrac12$ で、下が $T$ の上半分、上が $S$ で、すべて $l$ より上にある。体積は、あるところでスパッと切って断面積を求め、積分するだけ。図形は回転軸 $l$ の片側にあり、上の弧と下の弧ではさまれているので、座標 $x$ で切った線分を $l$ のまわりに回した断面は輪(円から円を切り抜いた形)になる。線分を回転させるときは、 $l$ から一番遠い点と一番近い点に注目する。一番遠いのは $S$ の弧上の点、一番近いのは $T$ の弧上の点なので、面積は「外側の円−内側の円」。 $l$ が $T$ の中心を通るので、内側の半径は $T$ の円の式からそのまま求まる。整理すると $\sqrt{1-x^2}$ の積分が残るが、これは三角形と扇形の面積に分けて求められる。




- Dから見たB、Cの向きから、 $T$ の短い方の弧BCが $y=\dfrac{\sqrt3}{3}+\sqrt{\dfrac19-\left(x-\dfrac13\right)^2}$ ( $0\leqq x\leqq\dfrac12$ )であることを確かめ、図形が $l$ より上にあることを確かめる。
- 座標 $x$ で切る。図形の $x$ での縦の線分を、回転軸 $l$ 上の点H、弧BC上の点P、弧AB上の点Qで表し、断面を外側の半径HQ(一番遠い点)、内側の半径HP(一番近い点)の輪とみて、断面積 $\pi(\mathrm{HQ}^2-\mathrm{HP}^2)$ を求める。
- $\pi$ を左辺に寄せて、 $\dfrac{V}{\pi}=\displaystyle\int_0^{\frac12}(\mathrm{HQ}^2-\mathrm{HP}^2)\,dx$ と表す。
- 被積分関数を整理して $\dfrac43-\dfrac23x-\dfrac{2\sqrt3}{3}\sqrt{1-x^2}$ の形にする。
- $\displaystyle\int_0^{\frac12}\sqrt{1-x^2}\,dx$ を、三角形と中心角 $30^\circ$ の扇形の面積の和として求め、最後に $\pi$ を戻して体積を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$S$ は中心O、半径1の円。 $T$ は点Bで $S$ に内接するので、 $T$ の中心Dは線分OB上にある。直線OBは $y=\sqrt3x$ である。
$T$ の半径を $r$ ( $0<r<1$ )とする。 $T$ は $y$ 軸に接するので、Dの $x$ 座標は $r$ で
$$\mathrm{D}=(r,\ \sqrt3r),\qquad\mathrm{OD}=\sqrt{r^2+3r^2}=2r$$
$T$ は $S$ に内接するので $\mathrm{OD}+r=1$。よって $3r=1$、 $r=\dfrac13$。
答 中心 $\mathrm{D}\left(\dfrac13,\ \dfrac{\sqrt3}{3}\right)$、半径 $\dfrac13$
(このとき、 $T$ と $y$ 軸の接点は $\mathrm{C}\left(0,\ \dfrac{\sqrt3}{3}\right)$、 $l$ は直線 $y=\dfrac{\sqrt3}{3}$ である。)
(2) 配点 35点
$\mathrm{D}\left(\dfrac13,\ \dfrac{\sqrt3}{3}\right)$ から見ると、Bは $\overrightarrow{\mathrm{DB}}=\left(\dfrac16,\ \dfrac{\sqrt3}{6}\right)$ より $60^\circ$ の向き、Cは $\overrightarrow{\mathrm{DC}}=\left(-\dfrac13,\ 0\right)$ より $180^\circ$ の向きにある。よって $T$ の短い方の弧BCは、中心角 $120^\circ$ の、Dより上側を回る弧で
$$y=\frac{\sqrt3}{3}+\sqrt{\frac19-\left(x-\frac13\right)^2}\qquad\left(0\leqq x\leqq\frac12\right)$$
$S$ の短い方の弧ABは $y=\sqrt{1-x^2}$ ( $0\leqq x\leqq\dfrac12$ )。 $T$ は $S$ の内部にあるので、囲まれた図形は、 $0\leqq x\leqq\dfrac12$ で弧BCと弧ABではさまれた部分であり、すべて $l:\ y=\dfrac{\sqrt3}{3}$ 以上にある(下の図の色をつけた部分)。
$0\leqq x\leqq\dfrac12$ をみたす $x$ に対し、点 $\mathrm{H}\left(x,\ \dfrac{\sqrt3}{3}\right)$ を $l$ 上に、P、Qをそれぞれ弧BC、弧AB上の $x$ 座標が $x$ の点とすると
$$\mathrm{HQ}=\sqrt{1-x^2}-\frac{\sqrt3}{3},\qquad\mathrm{HP}=\sqrt{\frac19-\left(x-\frac13\right)^2}$$
図形を $l$ のまわりに回転させた立体を、点Hを通り $l$ に垂直な平面(座標が $x$ の所)で切った断面は、線分PQをHのまわりに回転させた図形である。 $l$ から一番遠い点はQ、一番近い点はPなので、断面は外側の半径HQ、内側の半径HPの輪になり、断面積は $\pi\mathrm{HQ}^2-\pi\mathrm{HP}^2$ である。
よって求める体積を $V$ とし、 $\pi$ を左辺に寄せると
$$\frac{V}{\pi}=\int_0^{\frac12}\left(\mathrm{HQ}^2-\mathrm{HP}^2\right)dx=\int_0^{\frac12}\left\{\left(\sqrt{1-x^2}-\frac{\sqrt3}{3}\right)^2-\frac19+\left(x-\frac13\right)^2\right\}dx$$
中かっこの中を整理すると、 $x^2$ が打ち消し合って
$$\left(1-x^2-\frac{2\sqrt3}{3}\sqrt{1-x^2}+\frac13\right)-\frac19+\left(x^2-\frac23x+\frac19\right)=\frac43-\frac23x-\frac{2\sqrt3}{3}\sqrt{1-x^2}$$
$\displaystyle\int_0^{\frac12}\sqrt{1-x^2}\,dx$ は、単位円の周と $x$ 軸・ $y$ 軸・直線 $x=\dfrac12$ で囲まれた部分の面積。 $\mathrm{E}\left(\dfrac12,\ 0\right)$ とすると、この部分は三角形OEBと、中心角 $\angle\mathrm{AOB}=30^\circ$ の扇形OBAに分けられるので
$$\int_0^{\frac12}\sqrt{1-x^2}\,dx=\frac12\cdot\frac12\cdot\frac{\sqrt3}{2}+\frac12\cdot1^2\cdot\frac{\pi}{6}=\frac{\sqrt3}{8}+\frac{\pi}{12}$$
したがって
$$\frac{V}{\pi}=\frac43\cdot\frac12-\frac23\cdot\frac18-\frac{2\sqrt3}{3}\left(\frac{\sqrt3}{8}+\frac{\pi}{12}\right)=\frac23-\frac1{12}-\frac14-\frac{\sqrt3}{18}\pi=\frac13-\frac{\sqrt3}{18}\pi$$
最後に $\pi$ を戻して $V=\pi\left(\dfrac13-\dfrac{\sqrt3}{18}\pi\right)$。
答 $\dfrac{\pi}{3}-\dfrac{\sqrt3}{18}\pi^2$
出題意図
(1) 内接する2円の中心と接点は一直線上にあるという円の基本が理解できているか
(2) 囲まれた図形を正しく捉え、回転軸 $l$ からの距離で外側・内側の半径を決めて、回転体の体積を積分で表すことができるか。円の一部の積分を図形の面積で処理できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
円の配置さえ図でつかめば、(1) は中心Dを $(r,\ \sqrt3r)$ とおいて計算するだけで満点。
(2) の注意点は、回転軸が $x$ 軸ではなく $l$ なので、 $l$ を軸に座標を取り直すことだけ。
HQ と HP の長さを求めれば、あとは断面の輪の面積を積分するだけで、それ以外に難しい所はない。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):図を書き、「短い方の弧BC」が回転軸 $l$ より上にあると確かめるという発想に行き着けるか。式だけで進めると、外側と内側の半径を取り違えて立式を誤る。
- (1) の中心の位置:内接する2円の中心と接点は一直線上にある。これを使わず中心を2文字でおくと、連立方程式になり計算が面倒になる。
- (2) の積分: $\displaystyle\int_0^{\frac12}\sqrt{1-x^2}\,dx$ は三角形と扇形の面積で求める。置換積分にすると時間がかかる。
2013年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 第3問 | やや簡単 | 50点 | 30点 |
| 第4問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第5問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 全体 | やや簡単 | 250点 | 230点 |
第5問は行列の問題です。
行列は現在の高校数学の範囲外なので、この記事では解答・解説を載せていません。
総合の目標点(医学部医学科250点、その他の学部230点)は、第5問も含めた当時の目安です。
全体的に標準的な問題なので、確実に完答したいセットです。
目標は250点ですが、場合の数を全部丁寧に数え上げることができるか、回転体の体積で $x$ 軸ではなく $l$ を軸にずらすときに丁寧に処理できるかが問われました。
積分の根本的なところが理解できていないとここはきついので、どれだけ典型的な問題を反復して演習したかで差がついたセットです。
解く流れ
第1問 → 第2問 → 第3問 → 第4問(第5問の行列は今の受験生は解かなくてよい)。
2013年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2013年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2013年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
やや簡単な年でした。
第1問・第4問は簡単、第2問(誘導がない分)・第3問はやや簡単です。
第5問(行列)は現行課程の範囲外です。 - 2013年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で250点、その他の学部で230点です(250点満点)。
- 2013年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第4問は完答必須です。そのうえで、差がつくのは次の3つです。
- 第2問:誘導がない中で、必要な内積を先に全部求めておき、内積0の条件で処理できたか。
- 第3問(3):216通りを書き出さず、表裏は反転の回数の偶奇で決まることに気づけたか。
- 第4問(2):回転軸が $x$ 軸ではなく $l$ であることに注意し、図で外側と内側の半径を正しくつかめたか。
- 2013年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・積分・極限
- 第2問:空間ベクトル
- 第3問:確率・期待値
- 第4問:図形と方程式・積分(数学Ⅲ)
- 第5問:行列・整数


