【解説・採点基準付き】2008年九州大学理系数学の解答・解説
2008年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2008年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$\dfrac{e^x}{e^x+1}$ のグラフと逆関数、逆関数の値の差の極限」。
問題


問題文をテキストで読む
$f(x)=\dfrac{e^x}{e^x+1}$ とおく。ただし、 $e$ は自然対数の底とする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $y=f(x)$ の増減、凹凸、漸近線を調べ、グラフをかけ。
(2) $f(x)$ の逆関数 $f^{-1}(x)$ を求めよ。
(3) $\displaystyle\lim_{n\to\infty}n\left\{f^{-1}\left(\dfrac{1}{n+2}\right)-f^{-1}\left(\dfrac{1}{n+1}\right)\right\}$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「グラフをかけ」の問題なので、微分する前に定義域・対称性・漸近線の3つを調べ、凹凸まで調べる。このグラフは点 $\left(0,\dfrac12\right)$ に関して対称になる。漸近線の極限は、まずそもそも不定形かどうかを判断する。答えのグラフは下の図。


- 定義域がすべての実数であることと、 $f(x)+f(-x)=1$ からグラフが点 $\left(0,\dfrac12\right)$ に関して対称であることを確かめる(グラフを書くときと検算に使う)。
- $f'(x)=\dfrac{e^x}{(e^x+1)^2}>0$ を求め、常に増加することを示す。
- $f”(x)=\dfrac{e^x(1-e^x)}{(e^x+1)^3}$ を求め、正の因子 $\dfrac{e^x}{(e^x+1)^3}$ を外して $y=1-e^x$ のグラフから符号を読み、凹凸と変曲点 $\left(0,\dfrac12\right)$ を求める。
- $x\to-\infty$ の極限は不定形でない( $\dfrac{0}{0+1}$ の形)のでそのまま $0$、 $x\to\infty$ の極限は $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので分子・分母を $e^x$ で割って $1$ と求め、漸近線 $y=0$、 $y=1$ を求める。
- 増減表を書き、グラフを書く。
【(2)の方針】
逆関数は「 $x$ と $y$ を入れかえた関数」で、グラフは直線 $y=x$ に関して対称になる。 $f(x)$ の値域が、そのまま逆関数の定義域になる(下の図で、 $f(x)$ の漸近線 $y=1$ が逆関数の漸近線 $x=1$ に移る)。


- (1) の増減と両端の極限から、 $f(x)$ の値域が $0<y<1$ であることを確かめる。
- $y=\dfrac{e^x}{e^x+1}$ の分母を払って $e^x=\dfrac{y}{1-y}$ と表す。
- 対数をとって $x=\log\dfrac{y}{1-y}$ とし、 $x$ と $y$ を入れかえ、定義域 $0<x<1$ とともに答える。
【(3)の方針】
まずそもそも不定形かどうかを判断する。 $\log$ の中に「 $1$ +小さい数」が現れたら $e$ がからむ極限と判断し、 $(1+0)^\infty=e$ の形に持っていく。
- $\dfrac1{n+2}$、 $\dfrac1{n+1}\to0$ と、 $f^{-1}(x)\to-\infty$ ( $x\to+0$ )から、中括弧の中が $-\infty-(-\infty)$ の不定形であることを確かめる。
- (2) の式に代入して $f^{-1}\left(\dfrac1{n+2}\right)=-\log(n+1)$、 $f^{-1}\left(\dfrac1{n+1}\right)=-\log n$ と具体的に表す。
- 与式の $\log$ を1つにまとめて $-n\log\left(1+\dfrac1n\right)$ とし、 $\infty\times0$ の不定形であることを確かめる。
- $\log$ の中が「 $1$ +小さい数 $\dfrac1n$ 」なので、帰着先を $\left(1+\dfrac1n\right)^n$ と決め、指数に $n$ を入れて $-\log\left(1+\dfrac1n\right)^n$ とし、 $\left(1+\dfrac1n\right)^n\to e$ から極限を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
定義域はすべての実数である。また
$$f(-x)=\frac{e^{-x}}{e^{-x}+1}=\frac{1}{1+e^x}=1-f(x)$$
より $f(x)+f(-x)=1$ なので、グラフは点 $\left(0,\dfrac12\right)$ に関して対称である。
$$f'(x)=\frac{e^x(e^x+1)-e^x\cdot e^x}{(e^x+1)^2}=\frac{e^x}{(e^x+1)^2}>0$$
よって、 $f(x)$ はつねに増加する。
$$f”(x)=\frac{e^x(e^x+1)^2-e^x\cdot2(e^x+1)e^x}{(e^x+1)^4}=\frac{e^x\{(e^x+1)-2e^x\}}{(e^x+1)^3}=\frac{e^x(1-e^x)}{(e^x+1)^3}$$
$\dfrac{e^x}{(e^x+1)^3}>0$ なので、 $f”(x)$ の符号は $1-e^x$ の符号と一致する。 $y=1-e^x$ は減少し $x=0$ で $0$ になるので、 $x<0$ で正、 $x>0$ で負である(下の図)。
よって、 $x<0$ で下に凸、 $x>0$ で上に凸であり、変曲点は $\left(0,\ f(0)\right)=\left(0,\dfrac12\right)$ である。
両端の極限を調べる。
・$x\to-\infty$ のとき $e^x\to0$ なので不定形ではなく、 $f(x)\to\dfrac{0}{0+1}=0$
・$x\to\infty$ のとき $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、分子・分母を $e^x$ で割る。
$$f(x)=\frac{1}{1+e^{-x}}\longrightarrow\frac{1}{1+0}=1\quad(x\to\infty)$$
また、 $f(x)$ はすべての実数で連続なので、 $x$ 軸に垂直な漸近線はない。よって、漸近線は直線 $y=0$ と直線 $y=1$ である。
以上より、増減表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $+$ | $+$ |
| $f”(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | $\dfrac12$ | $\nearrow$ |
答 つねに増加し、 $x<0$ で下に凸、 $x>0$ で上に凸。変曲点は $\left(0,\dfrac12\right)$、漸近線は直線 $y=0$、 $y=1$。グラフは下の図
別解(分子の次数を下げてから微分する) $f(x)=\dfrac{(e^x+1)-1}{e^x+1}=1-\dfrac{1}{e^x+1}$ と直すと、 $e^x+1$ が増加することから $f(x)$ が増加すること、 $x\to\infty$ で $1$、 $x\to-\infty$ で $1-1=0$ に近づくことが、不定形を作らずに分かる。 $f'(x)=\dfrac{e^x}{(e^x+1)^2}$ も合成関数の微分で求まる。
(2) 配点 10点
(1) より、 $f(x)$ はつねに増加し、 $x\to-\infty$ で $0$、 $x\to\infty$ で $1$ に近づく連続な関数なので、値域は $0<y<1$ である。
$y=\dfrac{e^x}{e^x+1}$( $0<y<1$)の分母を払うと
$$y(e^x+1)=e^x\iff(1-y)e^x=y$$
$1-y>0$ なので $e^x=\dfrac{y}{1-y}$。両辺の対数をとって
$$x=\log\frac{y}{1-y}$$
$x$ と $y$ を入れかえて
答 $f^{-1}(x)=\log\dfrac{x}{1-x}$( $0<x<1$)
$y=f^{-1}(x)$ のグラフは、 $y=f(x)$ のグラフと直線 $y=x$ に関して対称である(下の図)。
(3) 配点 20点
$n\to\infty$ のとき $\dfrac1{n+2}\to+0$、 $\dfrac1{n+1}\to+0$ で、 $f^{-1}(x)\to-\infty$( $x\to+0$)なので、中括弧の中は $-\infty-(-\infty)$ の不定形である。そこで (2) の式で具体的に表す。
$m\geqq2$ のとき、 $0<\dfrac1m<1$ であり、分子・分母に $m$ をかけて
$$f^{-1}\left(\frac1m\right)=\log\dfrac{\ \dfrac1m\ }{1-\dfrac1m}=\log\frac{1}{m-1}=-\log(m-1)$$
$m=n+2,\ n+1$ として
$$f^{-1}\left(\frac1{n+2}\right)=-\log(n+1),\qquad f^{-1}\left(\frac1{n+1}\right)=-\log n$$
よって
$$n\left\{f^{-1}\left(\frac1{n+2}\right)-f^{-1}\left(\frac1{n+1}\right)\right\}=n\{-\log(n+1)+\log n\}=-n\log\frac{n+1}{n}=-n\log\left(1+\frac1n\right)$$
$n\to\infty$ で $n\to\infty$、 $\log\left(1+\dfrac1n\right)\to0$ なので、 $\infty\times0$ の不定形である。 $e$ の定義の形 $\left(1+\dfrac1n\right)^n$ を作ると
$$-n\log\left(1+\frac1n\right)=-\log\left(1+\frac1n\right)^n\longrightarrow-\log e=-1\quad(n\to\infty)$$
答 $-1$
別解1(逆関数の形を直してから代入する) $f^{-1}(x)=\log\dfrac{x}{1-x}=-\log\dfrac{1-x}{x}=-\log\left(\dfrac1x-1\right)$ と直しておくと、 $f^{-1}\left(\dfrac1m\right)=-\log(m-1)$ が分数の中に分数を作らずに求まる。 $\dfrac1x$ の形を代入する問題では、この形にしてから代入すると計算が軽い。あとは本解と同じ。
別解2(導関数の定義) $h=\dfrac1n$ とおくと、 $n\to\infty$ のとき $h\to+0$ で
$$n\log\left(1+\frac1n\right)=\frac{\log(1+h)-\log1}{h}\longrightarrow(\log x)’\Big|_{x=1}=1$$
なので、極限は $-1$。
出題意図
(1) 下準備・導関数の符号・増減表という手順で、増減・凹凸・漸近線まで含めたグラフを正しく書けるか
(2) 逆関数を求め、もとの関数の値域をそのまま逆関数の定義域として答えられるか
(3) (2) の式に代入して $\log$ を1つにまとめ、 $e$ の定義の形 $\left(1+\dfrac1n\right)^n$ に帰着できるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
(1) は丁寧に微分するだけ、(2) は $x$ について解くだけ、(3) も式変形の意味を考える必要はなく、ただの計算問題。
全体として難しい所はない。
注意点は計算ミスで、微分・積分は計算を1か所誤った瞬間に終わる。
差がつく所・失点しやすい所
- 特になし。差がつくとすれば計算ミスだけ。このレベルで差をつけられるようでは九大合格はかなり危ない。
2008年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は確率・期待値の問題です。
テーマは「カードを引き直すルールでの得点の確率と期待値」。
問題


問題文をテキストで読む
1から10までの番号が1つずつ書かれた10枚のカードがある。 $k$ を2から9までの整数の1つとする。よくきった10枚のカードから1枚を抜き取り、そのカードの番号が $k$ より大きいなら、抜き取ったカードの番号を得点とする。抜き取ったカードの番号が $k$ 以下なら、そのカードを戻さずに、残りの9枚の中から1枚を抜き取り、2回目に抜き取ったカードの番号を得点とする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 得点が1である確率と10である確率をそれぞれ求めよ。
(2) 2以上9以下の整数 $n$ に対して、得点が $n$ である確率を求めよ。
(3) 得点の期待値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
どうなれば得点が $n$ になるかを、具体的な $k$ で実験して言葉にする。$k$ 以下の番号は2回目でしか得点にならず、 $k$ より大きい番号は1回目でも2回目でも得点になる。10枚を1列に並べ、左の2枚を1回目・2回目とみて数える。


- $k=3$ などで実験し、「 $k$ 以下の番号は2回目でしか得点にならない(1回目に引いた $k$ 以下のカードは戻さない)、 $k$ より大きい番号は1回目でも2回目でも得点になる」ことを確かめる。
- よくきった10枚を1列に並べ、左から1枚目・2枚目を1回目・2回目に引くカードとみる。1回目で得点が決まるときは2枚目を使わないだけなので、全体は $10\times9=90$ 通りで、どれも同様に確からしい。
- 得点1:1は $k$ 以下なので1回目では得点にならない。1枚目が1以外の $k$ 以下のカード、2枚目が1の並びを数え、90で割る。
- 得点10:10は $k$ より大きいので、1枚目が10の並び(2枚目は残り9枚のどれでもよい)と、1枚目が $k$ 以下のカードで2枚目が10の並びを足し、90で割る。
【(2)の方針】
(1) の数え方は、1や10という番号そのものではなく、「 $k$ 以下か」「 $k$ より大きいか」だけで決まっていた。2以上9以下の $n$ も、$k$ との大小で2つに分ければ (1) と同じ数え方になる。
- $2\leqq n\leqq k$ のとき、(1) の得点1と同じく、1枚目が $n$ 以外の $k$ 以下のカード、2枚目が $n$ の並びを数える。
- $k<n\leqq9$ のとき、(1) の得点10と同じく、1枚目が $n$ の並びと、1枚目が $k$ 以下のカードで2枚目が $n$ の並びを足す( $k=9$ のときは $k<n\leqq9$ をみたす $n$ はない)。
- それぞれ90で割って答える。
【(3)の方針】
(1)(2) で得点1〜10の確率はすべて求まっていて、しかも $n\leqq k$ か $n>k$ かの2種類だけ。期待値は、同じ確率の得点をまとめて、番号の和に確率をかければよい。


- 得点 $n$ の確率は $n\leqq k$ で $\dfrac{k-1}{90}$、 $n>k$ で $\dfrac{k+9}{90}$ なので、期待値を $\dfrac{k-1}{90}\displaystyle\sum_{n=1}^{k}n+\dfrac{k+9}{90}\sum_{n=k+1}^{10}n$ と表す。
- $\displaystyle\sum_{n=1}^{k}n=\dfrac{k(k+1)}{2}$ と、 $\displaystyle\sum_{n=k+1}^{10}n=\dfrac{(10-k)(k+11)}{2}$ ( $k+1$ から10までの $10-k$ 個の和)を代入する。
- 分子を整理し、約分して答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
よくきった10枚のカードを1列に並べ、左から1枚目を1回目、2枚目を2回目に抜き取るカードとみる(1回目で得点が決まるときは、2枚目を使わないだけである)。左の2枚の並びは $10\times9=90$ 通りで、どれも同様に確からしい。
1は $k$ 以下なので、1回目に1を引くと2回目に進み、2回目に1は出ない。よって得点が1になるのは、1枚目が1以外の $k$ 以下のカード( $k-1$ 通り)、2枚目が1のときで、 $k-1$ 通り。確率は
$$\frac{k-1}{90}$$
10は $k$ より大きいので、得点が10になるのは次の2つの場合である。
・1枚目が10のとき 2枚目は残り9枚のどれでもよいので9通り
・1枚目が $k$ 以下のカード( $k$ 通り)で、2枚目が10のとき $k$ 通り
よって確率は
$$\frac{9+k}{90}=\frac{k+9}{90}$$
答 得点1:$\dfrac{k-1}{90}$、得点10:$\dfrac{k+9}{90}$
別解(順に確率をかける) 得点1は、1回目に1以外の $k$ 以下のカード、2回目に残り9枚から1を引くので $\dfrac{k-1}{10}\cdot\dfrac19=\dfrac{k-1}{90}$ 。得点10は、1回目に10を引くか、1回目に $k$ 以下のカードを引いて2回目に10を引くので $\dfrac{1}{10}+\dfrac{k}{10}\cdot\dfrac19=\dfrac{k+9}{90}$ 。
(2) 配点 15点
・$2\leqq n\leqq k$ のとき $n$ は $k$ 以下なので、1回目に $n$ を引くと2回目に進み、2回目に $n$ は出ない。得点が $n$ になるのは、1枚目が $n$ 以外の $k$ 以下のカード、2枚目が $n$ のときで $k-1$ 通り。確率は $\dfrac{k-1}{90}$
・$k<n\leqq9$ のとき $n$ は $k$ より大きいので、1枚目が $n$ のとき(9通り)と、1枚目が $k$ 以下のカードで2枚目が $n$ のとき( $k$ 通り)。確率は $\dfrac{k+9}{90}$ ( $k=9$ のときは、この場合の $n$ はない)
答 $2\leqq n\leqq k$ のとき $\dfrac{k-1}{90}$、 $k<n\leqq9$ のとき $\dfrac{k+9}{90}$
(3) 配点 20点
(1)(2) より、得点 $n$ ( $1\leqq n\leqq10$ )の確率は、 $n\leqq k$ のとき $\dfrac{k-1}{90}$、 $n>k$ のとき $\dfrac{k+9}{90}$ である。
確率の和は $\dfrac{k(k-1)+(10-k)(k+9)}{90}=\dfrac{90}{90}=1$ で、数え漏れはない。
得点の期待値を $E$ とすると
$$E=\frac{k-1}{90}\sum_{n=1}^{k}n+\frac{k+9}{90}\sum_{n=k+1}^{10}n$$
$\displaystyle\sum_{n=1}^{k}n=\dfrac{k(k+1)}{2}$、 $\displaystyle\sum_{n=k+1}^{10}n=\dfrac{(10-k)\{(k+1)+10\}}{2}=\dfrac{(10-k)(k+11)}{2}$ なので
$$E=\frac{(k-1)k(k+1)+(k+9)(10-k)(k+11)}{180}$$
ここで
$$(k-1)k(k+1)=k^3-k,\qquad(k+9)(10-k)(k+11)=-k^3-10k^2+101k+990$$
なので、分子は $-10k^2+100k+990=10(-k^2+10k+99)$ 。よって
$$E=\frac{-k^2+10k+99}{18}$$
答 $\dfrac{-k^2+10k+99}{18}$
別解(共通部分と上乗せに分ける) $\dfrac{k+9}{90}=\dfrac{k-1}{90}+\dfrac19$ なので、どの得点にも共通の確率 $\dfrac{k-1}{90}$ と、 $k$ より大きい得点だけへの上乗せ $\dfrac19$ に分けられる((3) の図の濃い部分が上乗せ)。よって
$$E=\frac{k-1}{90}\sum_{n=1}^{10}n+\frac19\sum_{n=k+1}^{10}n=\frac{k-1}{90}\cdot55+\frac19\cdot\frac{(10-k)(k+11)}{2}=\frac{11(k-1)+(10-k)(k+11)}{18}=\frac{-k^2+10k+99}{18}$$
3次の項が出てこないので、展開が1回で済む。本解の検算にも使える。
補足(検算) $k=9$ のとき、1回目で得点が決まるのは10だけで、得点10の確率は $\dfrac{18}{90}$、得点1〜9の確率はどれも $\dfrac{8}{90}$ 。期待値は $\dfrac{8}{90}\cdot45+\dfrac{18}{90}\cdot10=6$ で、答えの式に $k=9$ を代入した $\dfrac{-81+90+99}{18}=6$ と一致する。
出題意図
- 「1回目で得点が決まる」「2回目に進む」という状況を言葉で整理し、得点が $n$ になる場合を漏れなく数えることができるか。
- 確率が2種類にまとまることを捉え、期待値を値×確率の和として正確に計算できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
まず定数 $k$ が何を意味しているかを判断したい。
(1) はシンプルで、得点が1になるのは「1回目に1以外の $k$ 以下のカード、2回目に1」のとき、得点が10になるのは「いきなり10を引く」か「 $k$ 以下のカードを引いてから10を引く」とき。
ここで、1回目に出ればよいのか2回目に出ればよいのかで場合分けが必要だと分かる。
(2) は得点 $n$ が $k$ より大きいか小さいかで場合分けし、さらに1回目に出るか2回目に出るかで場合分けする。
この年の合否を分けた1問で、 $k$ や $n$ のような抽象的な定数が入ってきたときに、ちゃんと処理できるかどうかが大きい。
(2) までできれば、(3) は場合分けに沿ってゴリゴリ計算するだけ。
医学科は、標準以下の問題では50点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 2008年の合否を分けた1問。差がつくのは (2):得点 $n$ が $k$ より大きいか小さいかで場合分けし、さらに1回目に出るか2回目に出るかで場合分けできるか。 $k$、 $n$ のような抽象的な定数が入っても処理できるかが大きい。
- (3) の展開:3次式どうしの展開で失点しやすい。確率の和が1になること、 $k=9$ で期待値が6になることで検算できる。
2008年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は平面ベクトル・図形の性質の問題です。
テーマは「面積比で表す位置ベクトルと傍心」。
問題


問題文をテキストで読む
$\triangle\mathrm{OAB}$ において、辺AB上に点Qをとり、直線OQ上に点Pをとる。ただし、点Pは点Qに関して点Oと反対側にあるとする。3つの三角形 $\triangle\mathrm{OAP}$、 $\triangle\mathrm{OBP}$、 $\triangle\mathrm{ABP}$ の面積をそれぞれ $a,b,c$ とする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ および $a,b$ を用いて表せ。
(2) $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ および $a,b,c$ を用いて表せ。
(3) 3辺OA、OB、ABの長さはそれぞれ3、5、6であるとする。点Pを中心とし、3直線OA、OB、ABに接する円が存在するとき、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ を用いて表せ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\triangle\mathrm{OAP}$ と $\triangle\mathrm{OBP}$ は底辺OPが共通なので、面積比 $a:b$ はそのまま $\mathrm{AQ}:\mathrm{QB}$ になる。面積の比は長さの比に読みかえられる。


- $\angle\mathrm{BQP}=\theta$ とし、底辺OPが共通で、高さが(対頂角より) $\mathrm{AQ}\sin\theta$、 $\mathrm{QB}\sin\theta$ であることから、 $\mathrm{AQ}:\mathrm{QB}=a:b$ を示す。
- 内分の公式(内分の比と係数は逆になる)で $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を求める。
【(2)の方針】
Pの位置は2段階で特定する(交点Q、次にOPがOQの何倍か)。何倍かは底辺ABが共通の2つの三角形の面積比で決まり、与えられていない $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積は四角形OAPBの面積を2通りで表して求める。


- 四角形OAPBの面積を、対角線OPで分けて $a+b$、対角線ABで分けて $\triangle\mathrm{OAB}+c$ と2通りに表し、 $\triangle\mathrm{OAB}=a+b-c$ を求める。
- $\triangle\mathrm{OAB}$ と $\triangle\mathrm{PAB}$ の底辺ABが共通であることから $\mathrm{OQ}:\mathrm{QP}=(a+b-c):c$、すなわち $\mathrm{OQ}:\mathrm{OP}=(a+b-c):(a+b)$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{a+b}{a+b-c}\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ に (1) の結果を代入して答える。
【(3)の方針】
円が3直線に接するので、中心Pから3直線までの距離はすべて半径 $r$(Pは $\triangle\mathrm{OAB}$ の傍心)。3つの三角形 $\triangle\mathrm{OAP}$、 $\triangle\mathrm{OBP}$、 $\triangle\mathrm{ABP}$ は高さがすべて $r$ なので、$a:b:c$ は底辺の比になり、(2) に代入するだけで答えが求まる。


- Pは点Qに関してOと反対側にあるので、円は辺ABと、辺OA、OBの延長に接する( $\triangle\mathrm{OAB}$ のOの向かいの傍接円で、Pはその中心)ことを確かめる。
- 円の半径を $r$ とし、3つの三角形の底辺をそれぞれOA、OB、ABとみると高さがすべて $r$ であることから、 $a=\dfrac32r$、 $b=\dfrac52r$、 $c=3r$ と表す。
- $a+b-c=r$ ((2) の分母 $a+b-c=\triangle\mathrm{OAB}$ は、傍接円の半径を求めるときの「面積を2通りで表す」式そのもの)に注意して (2) の結果に代入し、答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\angle\mathrm{BQP}=\theta$ とする。 $\triangle\mathrm{OAP}$ と $\triangle\mathrm{OBP}$ は底辺OPが共通で、Bから直線OPまでの距離は $\mathrm{QB}\sin\theta$、Aから直線OPまでの距離は、対頂角より $\mathrm{AQ}\sin\theta$ である。
$$a=\frac12\cdot\mathrm{OP}\cdot\mathrm{AQ}\sin\theta,\qquad b=\frac12\cdot\mathrm{OP}\cdot\mathrm{QB}\sin\theta$$
よって $\mathrm{AQ}:\mathrm{QB}=a:b$。
Qは辺ABを $a:b$ に内分するので
答 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac{b\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}+a\,\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{a+b}$
(2) 配点 15点
四角形OAPBの面積を2通りで表す。対角線OPで分けると $a+b$、対角線ABで分けると $\triangle\mathrm{OAB}+c$ なので
$$\triangle\mathrm{OAB}=a+b-c$$
$\triangle\mathrm{OAB}$ と $\triangle\mathrm{PAB}$ は底辺ABが共通で、O、Pから直線ABまでの距離は((1) の $\theta$ を使って) $\mathrm{OQ}\sin\theta$、 $\mathrm{QP}\sin\theta$ なので
$$\mathrm{OQ}:\mathrm{QP}=\triangle\mathrm{OAB}:\triangle\mathrm{PAB}=(a+b-c):c$$
PはQに関してOと反対側にあるので、 $\mathrm{OQ}:\mathrm{OP}=(a+b-c):(a+b)$。
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\frac{a+b}{a+b-c}\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\frac{a+b}{a+b-c}\cdot\frac{b\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}+a\,\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{a+b}$$
答 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{b\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}+a\,\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{a+b-c}$
(3) 配点 20点
Pを中心とし3直線OA、OB、ABに接する円の半径を $r$ とする。PはQに関してOと反対側にあるので、この円は辺ABと、辺OA、OBの延長に接する円( $\triangle\mathrm{OAB}$ のOの向かいの傍接円)であり、Pはその中心(傍心)である。
Pから3直線OA、OB、ABまでの距離はすべて $r$ なので、3つの三角形の底辺をそれぞれOA、OB、ABとみると、高さはすべて $r$ である。よって
$$a=\frac12\cdot3\cdot r=\frac32r,\qquad b=\frac12\cdot5\cdot r=\frac52r,\qquad c=\frac12\cdot6\cdot r=3r$$
このとき $a+b-c=r$ なので、(2) の結果より
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\frac{\dfrac52r\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\dfrac32r\,\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{r}$$
答 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac52\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\dfrac32\overrightarrow{\mathrm{OB}}$
補足 $a+b-c=\triangle\mathrm{OAB}$ なので $r=\triangle\mathrm{OAB}$ である。余弦定理より $\cos\angle\mathrm{AOB}=\dfrac{3^2+5^2-6^2}{2\cdot3\cdot5}=-\dfrac{1}{15}$、 $\sin\angle\mathrm{AOB}=\dfrac{4\sqrt{14}}{15}$ なので、 $\triangle\mathrm{OAB}=\dfrac12\cdot3\cdot5\cdot\dfrac{4\sqrt{14}}{15}=2\sqrt{14}$。傍接円の半径は $r=2\sqrt{14}$ と求まる(問われてはいない)。
別解(傍心を角の二等分線で捉える) Pは直線OA、OBから等距離なので $\angle\mathrm{AOB}$ の二等分線上にあり、直線OA、ABから等距離で、辺ABに関してOと反対側にあるので、頂点Aにおける外角の二等分線上にある。角の二等分線が出てきたら、ベクトルの計算だけで押し切らず、図形の定理を使う。
OQは $\angle\mathrm{AOB}$ の二等分線なので、角の二等分線の定理より $\mathrm{AQ}:\mathrm{QB}=\mathrm{OA}:\mathrm{OB}=3:5$。よって
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\frac{5\overrightarrow{\mathrm{OA}}+3\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{8},\qquad \mathrm{AQ}=6\cdot\frac38=\frac94$$
$\triangle\mathrm{OAQ}$ で、APは頂点Aにおける外角の二等分線なので、PはOQを $\mathrm{AO}:\mathrm{AQ}=3:\dfrac94=4:3$ に外分する。よって $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=4\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac52\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\dfrac32\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ で、同じ答えになる。
出題意図
(1)(2) 面積比を線分比に読みかえるという図形の基本が理解できているか
(3) 「3直線に接する円の中心」を3直線までの距離が等しい点と捉え、(2) の面積の式に帰着できるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
(1)(2) は、まず面積比を長さの比に落とし込む。
知りたいのは $\mathrm{OQ}:\mathrm{QP}$、つまり $\mathrm{OQ}:\mathrm{OP}$ で、いつものベクトルの問題と同じ。
ただ、長さではなく面積比で与えられているので、それを長さの比に直してからベクトルに戻す必要がある。
(3) は、どういう状況か(Pが $\triangle\mathrm{OAB}$ の傍心)を想像できるかどうか。
状況さえつかめば、(2) の式に代入するだけで答えが求まる。
全学部で50点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (3):まずどういう状況か(Pが傍心)を想像できるか。「3直線に接する円の中心」を「3直線までの距離がすべて半径 $r$」=3つの三角形の高さが同じ、と読みかえる発想に行き着けるか。傍心の公式を知らなくても (2) に代入するだけで解ける。
- (2):四角形OAPBの面積を2通りで表して $\triangle\mathrm{OAB}=a+b-c$ とする発想に行き着けるか。
- (1):内分の公式で係数を逆にし、 $\dfrac{a\overrightarrow{\mathrm{OA}}+b\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{a+b}$ と書くミスで失点しやすい。
2008年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は微分法・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「共通の接線をもつ2曲線、共有点がただ1つであることの証明、2曲線と $x$ 軸で囲まれた部分の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
$a>0$ に対して、 $f(x)=a+\log x\ (x>0)$、 $g(x)=\sqrt{x-1}\ (x\geqq1)$ とおく。2曲線 $y=f(x)$、 $y=g(x)$ が、ある点Pを共有し、その点で共通の接線 $l$ を持つとする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $a$ の値、点Pの座標、および接線 $l$ の方程式を求めよ。
(2) 2曲線は点P以外の共有点を持たないことを示せ。
(3) 2曲線と $x$ 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
共通接線は「接点が同じタイプ」と「接点が違うタイプ」の2つ。この問題は「点Pを共有し、その点で共通の接線」とあるので接点が同じタイプで、$y$ 座標が等しい・傾きが等しいの2式で決まる。


- 接点の $x$ 座標を $s$ ( $s>1$ )とおき、傾きの条件 $f'(s)=g'(s)$ から $s=2$ を求める(傾きの式には $a$ が入らないので、先に接点が決まる)。
- $y$ 座標の条件 $f(2)=g(2)$ から $a=1-\log2$ を求め、点 $\mathrm{P}(2,\ 1)$ を答える。
- 点Pを通り傾き $f'(2)=\dfrac12$ の直線として、接線 $l$ の方程式を求める。
【(2)の方針】
対数と根号のように種類の違う関数が混ざった方程式は、方程式の要領では解けない。解の1つは (1) で分かっているので、差 $h(x)=f(x)-g(x)$ が単調に減少することを示せば、解はそれだけと言える。


- 共有点の $x$ 座標は方程式 $1-\log2+\log x=\sqrt{x-1}$ の解で、(1) から $x=2$ が解の1つであることを確かめる。
- $h(x)=f(x)-g(x)$ ( $x\geqq1$ )とおき、 $x>1$ で $h'(x)$ を通分する。
- 正の因子 $2x\sqrt{x-1}$ を外し、符号を決める分子 $2\sqrt{x-1}-x$ だけを見る。 $-\left(\sqrt{x-1}-1\right)^2\leqq0$ と平方の形にまとめる(等号は $x=2$ だけ。グラフで見れば、直線 $y=x$ が曲線 $y=2\sqrt{x-1}$ に点 $(2,\ 2)$ で接し、いつも上にある)。
- 増減表から $h(x)$ が $x\geqq1$ で単調に減少することを示し、 $h(2)=0$ と合わせて、 $h(x)=0$ の解は $x=2$ だけ、すなわち共有点はPだけと結論する。
【(3)の方針】
まずグラフを書いて上下(左右)の関係を調べ、それをそのまま式に落とす。 $x$ 方向に縦に切ると積分が2本になるが、$y$ 方向に横に切れば、左端が $y=f(x)$、右端が $y=g(x)$ の1本の積分で済むので、 $y$ 方向を選ぶ(下の図は $x$ 方向、 $y$ 方向の順)。




- $f(x)=0$、 $g(x)=0$ から $x$ 軸との交点 $x=\dfrac2e$、 $x=1$ を求め、(2) の結果(Pの左では $f(x)>g(x)$ )と合わせてグラフを書き、上下(左右)の関係を調べる(2曲線はPで接する)。
- $x$ 方向に縦に切ると、 $x=1$ で下の端が $x$ 軸から $y=g(x)$ に切りかわって積分が2本になり、 $\displaystyle\int\log x\,dx$ の部分積分も要る。そこで $y$ 方向に横に切ることにする。
- 囲まれた部分は $0\leqq y\leqq1$ で、どの高さでも左端が $y=f(x)$、右端が $y=g(x)$。それぞれを $x$ について解いて、 $x=e^{y-a}$、 $x=y^2+1$ と表す。
- $S=\displaystyle\int_0^1\left\{(y^2+1)-e^{y-a}\right\}dy$ と立式し、 $\displaystyle\int_0^1(y^2+1)\,dy$ と $\displaystyle\int_0^1e^{y-a}\,dy$ を1つずつ計算してから差をとる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$g(x)$ は $x=1$ で微分できない(接線が $y$ 軸に平行になる)ので、接点の $x$ 座標を $s$ ( $s>1$ )とおく。 $f'(x)=\dfrac1x$、 $g'(x)=\dfrac{1}{2\sqrt{x-1}}$ である。点Pで共通の接線をもつので、 $f(s)=g(s)$ ( $y$ 座標が等しい)かつ $f'(s)=g'(s)$ (傾きが等しい)。
傾きの条件より
$$\frac1s=\frac{1}{2\sqrt{s-1}}\iff s=2\sqrt{s-1}$$
両辺は正なので2乗してよく、 $s^2=4(s-1)\iff(s-2)^2=0$。よって $s=2$。
$y$ 座標の条件 $f(2)=g(2)$ より $a+\log2=1$、すなわち $a=1-\log2$ ( $\log2<1$ なので $a>0$ を満たす)。このとき $\mathrm{P}(2,\ 1)$。接線 $l$ は点Pを通り傾き $f'(2)=\dfrac12$ なので、 $y=\dfrac12(x-2)+1$。
答 $a=1-\log2$、 $\mathrm{P}(2,\ 1)$、 $l:\ y=\dfrac12x$
(2) 配点 15点
2曲線の共有点は $x\geqq1$ の範囲にある。 $h(x)=f(x)-g(x)=1-\log2+\log x-\sqrt{x-1}$ ( $x\geqq1$ )とおくと、 $x>1$ で
$$h'(x)=\frac1x-\frac{1}{2\sqrt{x-1}}=\frac{2\sqrt{x-1}-x}{2x\sqrt{x-1}}$$
分母 $2x\sqrt{x-1}>0$ なので、 $h'(x)$ の符号は分子 $2\sqrt{x-1}-x$ で決まる。
$$2\sqrt{x-1}-x=-\left\{(x-1)-2\sqrt{x-1}+1\right\}=-\left(\sqrt{x-1}-1\right)^2\leqq0$$
等号は $\sqrt{x-1}=1$、すなわち $x=2$ のときだけ。
増減表は次のとおり。
| $x$ | $1$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $h'(x)$ | / | $-$ | $0$ | $-$ |
| $h(x)$ | $1-\log2$ | $\searrow$ | $0$ | $\searrow$ |
$h(x)$ は $x\geqq1$ で連続で、 $h'(x)<0$ ( $x=2$ を除く)なので、 $x\geqq1$ で単調に減少する。 $h(2)=0$ より、 $h(x)=0$ となるのは $x=2$ だけ。よって2曲線の共有点はPだけである。(終)
別解(分子を有理化する) $2\sqrt{x-1}-x=\dfrac{4(x-1)-x^2}{2\sqrt{x-1}+x}=-\dfrac{(x-2)^2}{2\sqrt{x-1}+x}\leqq0$ としても、同じく $h'(x)\leqq0$ (等号は $x=2$ だけ)が示せる。
(3) 配点 20点
$f(x)=0$ となるのは $\log x=-a=\log2-1$、すなわち $x=\dfrac2e$ ( $<1$ )。 $g(x)=0$ となるのは $x=1$。(2) より $1\leqq x<2$ で $h(x)>0$、すなわち $f(x)>g(x)$ で、2曲線は $\mathrm{P}(2,\ 1)$ で接する。2曲線はどちらも増加するので、囲まれた部分は $0\leqq y\leqq1$ にあり、どの高さ $y$ でも左端が曲線 $y=f(x)$、右端が曲線 $y=g(x)$ である。
$y=f(x)\iff x=e^{y-a}$、 $y=g(x)\iff x=y^2+1$ ( $y\geqq0$ )なので、求める面積を $S$ とすると
$$S=\int_0^1\left\{(y^2+1)-e^{y-a}\right\}dy$$
項ごとに計算する。
$$\int_0^1(y^2+1)\,dy=\left[\frac{y^3}{3}+y\right]_0^1=\frac43$$
$e^{-a}=e^{\log2-1}=\dfrac2e$ なので
$$\int_0^1e^{y-a}\,dy=e^{-a}\left[e^y\right]_0^1=\frac2e(e-1)=2-\frac2e$$
よって
$$S=\frac43-\left(2-\frac2e\right)=\frac2e-\frac23$$
答 $\dfrac2e-\dfrac23$
別解( $x$ 方向に積分する) $\dfrac2e\leqq x\leqq1$ では下の端が $x$ 軸、 $1\leqq x\leqq2$ では下の端が $y=g(x)$ なので、曲線 $y=f(x)$ の下の部分から、曲線 $y=g(x)$ の下の部分を引く。
$$S=\int_{\frac2e}^{2}f(x)\,dx-\int_1^2g(x)\,dx$$
$\displaystyle\int\log x\,dx=x\log x-x+C$ より
$$\int_{\frac2e}^{2}(a+\log x)\,dx=\Big[ax+x\log x-x\Big]_{\frac2e}^{2}=0-\left(-\frac2e\right)=\frac2e$$
( $x=2$ では $2(1-\log2)+2\log2-2=0$、 $x=\dfrac2e$ では $\dfrac2e\left\{(1-\log2)+(\log2-1)-1\right\}=-\dfrac2e$ )
$$\int_1^2\sqrt{x-1}\,dx=\left[\frac23(x-1)^{\frac32}\right]_1^2=\frac23$$
よって $S=\dfrac2e-\dfrac23$。答えは同じだが、積分が2本になり、対数の部分積分も要る。
出題意図
(1) 「点Pを共有し、その点で共通の接線をもつ」を、接点で $y$ 座標と傾きがともに等しいという2つの式に言いかえられるか
(2) 対数と根号が混ざった方程式 $f(x)=g(x)$ の解がただ1つであることを、差の関数の単調性で示せるか
(3) グラフを書いて囲まれた部分を正しく捉え、積分の向き( $x$ 方向か $y$ 方向か)を選んで面積を求めることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
(1) は「点Pを共有し、その点で共通の接線をもつ」を $f(x)=g(x)$ かつ $f'(x)=g'(x)$ という条件式にするだけで、チャートの例題レベル。
(2) は「P以外の共有点を持たない」をどう示すかで、 $h(x)=f(x)-g(x)$ を設定し、 $h(x)=0$ となるのが1か所だけと言いかえられれば難しくない。
(3) は (2) でどちらが上かも分かっているので、あとは積分するだけ。
$x$ で積分するか $y$ で積分するかを比べ、 $y$ 方向の方が楽だと判断できればよい。
問題の言いかえを意識していれば、短時間で完答できる。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (3):グラフを書いて「 $x$ 方向だと部分積分つきの積分が2本、 $y$ 方向なら1本」と比べ、 $y$ 方向に積分する発想に行き着けるか。 $x$ 方向でも解けるが、計算が増えてミスしやすい。
- (2) の $h'(x)$ の符号:正の因子を外したあとの $2\sqrt{x-1}-x$ を、平方の形 $-\left(\sqrt{x-1}-1\right)^2$ にまとめて負と読む発想に行き着けるか。
2008年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は図形と計量・三角関数の問題です。
テーマは「半径2の円に外接し、互いに交わらない半径3の円を配置できる最大個数」。
問題


問題文をテキストで読む
いくつかの半径3の円を、半径2の円 $Q$ に外接し、かつ、互いに交わらないように配置する。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 半径3の円の1つを $R$ とする。円 $Q$ の中心を端点とし、円 $R$ に接する2本の半直線のなす角を $\theta$ とおく。ただし、 $0<\theta<\pi$ とする。このとき、 $\sin\theta$ を求めよ。
(2) $\dfrac{\pi}{3}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ を示せ。
(3) 配置できる半径3の円の最大個数を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
2つの円が外接しているので、中心どうしを結ぶと長さは半径の和。さらに接線と半径は垂直なので、2つの中心と接点で直角三角形ができ、 $\dfrac{\theta}{2}$ の三角比がすぐに求まる(下の図)。


- $Q$ の中心をO、 $R$ の中心をA、上側の接点をTとし、 $\mathrm{OA}=2+3=5$、 $\mathrm{AT}=3$、 $\angle\mathrm{OTA}=90^\circ$ とする。
- 直角三角形 $\mathrm{OTA}$ (辺の比 $3:4:5$ )で、Oの角は2本の半直線のなす角の半分 $\angle\mathrm{TOA}=\dfrac{\theta}{2}$ なので、 $\sin\dfrac{\theta}{2}=\dfrac35$、 $\cos\dfrac{\theta}{2}=\dfrac45$ を求める。
- 2倍角の公式 $\sin\theta=2\sin\dfrac{\theta}{2}\cos\dfrac{\theta}{2}$ で $\sin\theta$ を求める。
【(2)の方針】
$\theta$ は有名角ではないので、有名角で挟んで比較する。ただし $\sin\theta=\dfrac{24}{25}$ だけでは、 $0<\theta<\pi$ で $\sin$ が単調でないため $\theta$ が $\dfrac{\pi}{2}$ より小さいかが分からない。そこで、$\sin$ が単調に増加する範囲にある $\dfrac{\theta}{2}$ で比べる。
- 示したいのは $\dfrac{\pi}{6}<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{4}$ 。 $\sin\dfrac{\theta}{2}=\dfrac35$ と $\sin\dfrac{\pi}{6}=\dfrac12$、 $\sin\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt2}{2}$ を比べ、 $\dfrac12<\dfrac35<\dfrac{\sqrt2}{2}$ を確かめる。
- $0<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{2}$ で $\sin$ が増加する(値の大小がそのまま角の大小になる)ことから $\dfrac{\pi}{6}<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{4}$ とし、2倍して結論する。
【(3)の方針】
半径3の円の中心はOを中心とする半径5の円の上にあるので、「交わらない」は「中心をOから見た角が $\theta$ 以上」と言いかえられる。すると個数は $n\theta\leqq2\pi$ で決まり、勝負は5個が置けるか。(2) では決まらず、$36^\circ$ の三角比で細かく評価する。


- どの半径3の円も $Q$ に外接するので、その中心はOを中心とする半径5の円の上にあることを確かめる。
- 2つの中心A、BをOから見た角を $\varphi$ とし、 $\mathrm{AB}=10\sin\dfrac{\varphi}{2}$ と「交わらない $\iff\mathrm{AB}\geqq6$」から、「交わらない $\iff\sin\dfrac{\varphi}{2}\geqq\sin\dfrac{\theta}{2}\iff\varphi\geqq\theta$」を示す(1つの円はOから見て角 $\theta$ の範囲を占め、角がちょうど $\theta$ のとき2円は共通の接線の上で接する)。
- 中心をOのまわりの順に並べ、隣り合う中心の間の角の和が $2\pi$ であることから「 $n$ 個置ける $\iff n\theta\leqq2\pi$」を示す。
- (2) の $\dfrac{\pi}{3}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ から、4個は置けて、6個以上は置けないことを示す。5個は $\dfrac{\theta}{2}\leqq\dfrac{\pi}{5}=36^\circ$ かどうかで決まり、(2) の評価は $36^\circ$ をまたぐので、さらに細かく評価する。
- $36^\circ$ は5倍すると $180^\circ$ になる角なので、 $\alpha=\dfrac{\pi}{5}$ とおき、 $5\alpha=\pi$ を $2\alpha=\pi-3\alpha$ と分けて $\sin2\alpha=\sin3\alpha$ とし、 $\cos\dfrac{\pi}{5}=\dfrac{1+\sqrt5}{4}$ を求める。
- 求まるのが $\cos$ なので、比べる相手も $\cos\dfrac{\theta}{2}=\dfrac45$ にして比べ、 $\dfrac{\theta}{2}>\dfrac{\pi}{5}$、すなわち $5\theta>2\pi$ を示し、5個は置けないので最大個数は4個と答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$Q$ の中心をO、 $R$ の中心をAとする。 $R$ は $Q$ に外接するので $\mathrm{OA}=2+3=5$。Oから $R$ に引いた2本の半直線のうち、一方の接点をTとすると、接線と半径は垂直なので $\angle\mathrm{OTA}=90^\circ$、 $\mathrm{AT}=3$ である。2本の半直線は直線OAに関して対称なので $\angle\mathrm{TOA}=\dfrac{\theta}{2}$ で、直角三角形 $\mathrm{OTA}$ において $\mathrm{OT}=\sqrt{5^2-3^2}=4$ より
$$\sin\frac{\theta}{2}=\frac35,\qquad\cos\frac{\theta}{2}=\frac45$$
2倍角の公式より
$$\sin\theta=2\sin\frac{\theta}{2}\cos\frac{\theta}{2}=2\cdot\frac35\cdot\frac45=\frac{24}{25}$$
答 $\sin\theta=\dfrac{24}{25}$
(2) 配点 10点
$\left(\dfrac35\right)^2=\dfrac{9}{25}<\dfrac12=\left(\dfrac{\sqrt2}{2}\right)^2$ なので $\dfrac12<\dfrac35<\dfrac{\sqrt2}{2}$、すなわち
$$\sin\frac{\pi}{6}<\sin\frac{\theta}{2}<\sin\frac{\pi}{4}$$
$0<\theta<\pi$ より $0<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{2}$ で、この範囲で $\sin$ は増加するので $\dfrac{\pi}{6}<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{4}$。2倍して $\dfrac{\pi}{3}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ である。
補足 $\sin\theta=\dfrac{24}{25}$ を直接 $\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\sqrt3}{2}$ や1と比べても、 $0<\theta<\pi$ では $\sin$ が単調でないので、 $\theta>\dfrac{\pi}{2}$ の可能性を別に消す必要がある。 $0<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{2}$ では $\sin$ が単調に増加するので、 $\dfrac{\theta}{2}$ で比べればこの手間がない。
(3) 配点 30点
どの半径3の円も $Q$ に外接するので、その中心とOの距離は5である。よって、中心はすべてOを中心とする半径5の円の上にある。
2つの半径3の円の中心をA、Bとし、 $\angle\mathrm{AOB}=\varphi$( $0<\varphi\leqq\pi$)とする。 $\triangle\mathrm{OAB}$ は $\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=5$ の二等辺三角形なので、 $\mathrm{AB}=2\cdot5\sin\dfrac{\varphi}{2}=10\sin\dfrac{\varphi}{2}$。半径3の2円が交わらない条件は $\mathrm{AB}\geqq6$ で、(1) の $\sin\dfrac{\theta}{2}=\dfrac35$ を使うと
$$10\sin\frac{\varphi}{2}\geqq6\iff\sin\frac{\varphi}{2}\geqq\sin\frac{\theta}{2}\iff\varphi\geqq\theta$$
となる( $0<\dfrac{\varphi}{2}\leqq\dfrac{\pi}{2}$、 $0<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{2}$ で $\sin$ は増加する)。つまり、2つの中心をOから見た角が $\theta$ 以上であることが、交わらない条件である。角がちょうど $\theta$ のとき、2円はOからの共通の接線の上で接する(下の図)。
$n$ 個( $n\geqq2$)の円を配置できたとし、中心をOのまわりに反時計回りの順に $\mathrm{A}_1,\mathrm{A}_2,\cdots,\mathrm{A}_n$ とする。 $\mathrm{A}_k$ から次の中心( $\mathrm{A}_n$ の次は $\mathrm{A}_1$)まで反時計回りに回る角を $\psi_k$ とすると、 $\psi_1+\psi_2+\cdots+\psi_n=2\pi$。 $\psi_k\leqq\pi$ なら $\psi_k$ は2つの中心を見る角なので $\psi_k\geqq\theta$、 $\psi_k>\pi$ なら $\psi_k>\theta$ である。どちらでも $\psi_k\geqq\theta$ なので、足し合わせて $n\theta\leqq2\pi$。
逆に $n\theta\leqq2\pi$ なら、中心を半径5の円の上に間隔 $\dfrac{2\pi}{n}$ で等間隔に置けば、どの2つの中心を見る角も $\dfrac{2\pi}{n}$ 以上なので $\theta$ 以上で、交わらない。よって、 $n$ 個配置できるのは $n\theta\leqq2\pi$ のときであり、そのときに限る。
(2) より $\dfrac{\pi}{3}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ なので、 $4\theta<2\pi$、 $6\theta>2\pi$。よって4個は配置でき、6個以上は配置できない。
5個配置できるかは、 $5\theta\leqq2\pi$、すなわち $\dfrac{\theta}{2}\leqq\dfrac{\pi}{5}$ かどうかで決まる。
$\alpha=\dfrac{\pi}{5}$ とおくと $5\alpha=\pi$ なので $2\alpha=\pi-3\alpha$ で
$$\sin2\alpha=\sin(\pi-3\alpha)=\sin3\alpha$$
2倍角・3倍角の公式より $2\sin\alpha\cos\alpha=3\sin\alpha-4\sin^3\alpha$。 $\sin\alpha\neq0$ なので両辺を $\sin\alpha$ で割って
$$2\cos\alpha=3-4\sin^2\alpha=3-4(1-\cos^2\alpha)$$
よって $4\cos^2\alpha-2\cos\alpha-1=0$ で、 $\cos\alpha>0$ なので $\cos\dfrac{\pi}{5}=\dfrac{1+\sqrt5}{4}$。
(1) の $\cos\dfrac{\theta}{2}=\dfrac45$ と比べると
$$\cos\frac{\pi}{5}-\cos\frac{\theta}{2}=\frac{1+\sqrt5}{4}-\frac45=\frac{5\sqrt5-11}{20}$$
で、 $(5\sqrt5)^2=125>121=11^2$ より $5\sqrt5>11$ なので $\cos\dfrac{\pi}{5}>\cos\dfrac{\theta}{2}$。 $0<\dfrac{\pi}{5}<\dfrac{\pi}{2}$、 $0<\dfrac{\theta}{2}<\dfrac{\pi}{2}$ で $\cos$ は減少するので $\dfrac{\theta}{2}>\dfrac{\pi}{5}$、すなわち $5\theta>2\pi$ となり、5個は配置できない(下の図。4個を隣どうしが接するように並べても、残りの角 $2\pi-4\theta$ は $\theta$ より小さい)。
以上より、配置できる最大個数は4個。
答 4個
なお、「交わらない」に接する場合を含めても含めなくても、答えは変わらない。4個は間隔 $\dfrac{\pi}{2}>\theta$ で置けば接さずに置け、5個は接することを許しても $5\theta>2\pi$ なので置けない。
差はぎりぎりで、 $\cos\dfrac{\pi}{5}=0.809\cdots$ に対して $\cos\dfrac{\theta}{2}=0.8$。 $\theta$ は約 $73.7^\circ$ で、 $5\theta$ は約 $368.7^\circ$ と $360^\circ$ をわずかに超えるだけである。
別解(最後の比較を $\sin$ で行う) $\cos\dfrac{\pi}{5}=\dfrac{1+\sqrt5}{4}$ より
$$\sin^2\frac{\pi}{5}=1-\frac{6+2\sqrt5}{16}=\frac{5-\sqrt5}{8}$$
これを $\sin^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{9}{25}$ と比べると
$$\frac{5-\sqrt5}{8}<\frac{9}{25}\iff125-25\sqrt5<72\iff53<25\sqrt5\iff2809<3125$$
は正しいので $\sin\dfrac{\pi}{5}<\sin\dfrac{\theta}{2}$ で、 $\dfrac{\theta}{2}>\dfrac{\pi}{5}$。ただし、 $\cos\dfrac{\pi}{5}$ を求めてから $\sin^2$ に直す1段が増え、比べる数も大きくなる。 $\cos$ で比べる方が短い。
別解( $\cos36^\circ$ を二等辺三角形で求める) 頂角 $36^\circ$、底角 $72^\circ$、底辺1、等辺 $x$ の二等辺三角形ABCで、底角Bの二等分線と辺ACの交点をDとする。 $\triangle\mathrm{DBC}$ と $\triangle\mathrm{DAB}$ が二等辺三角形になり( $\mathrm{BC}=\mathrm{BD}=\mathrm{AD}=1$)、 $\triangle\mathrm{ABC}\sim\triangle\mathrm{BCD}$ から $x:1=1:(x-1)$、よって $x=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$。 $\triangle\mathrm{DAB}$( $\mathrm{DA}=\mathrm{DB}=1$、底辺 $\mathrm{AB}=x$、底角 $36^\circ$)で $\cos36^\circ=\dfrac{x}{2}=\dfrac{1+\sqrt5}{4}$。正五角形の対角線の長さを求めるのと同じ考え方( $5\times36^\circ=180^\circ$ と相似)である。
出題意図
(1) 外接する2円と接線から直角三角形を見つけ、半分の角の三角比と2倍角の公式で $\sin\theta$ を求められるか
(2) 有名角でない角を、有名角の三角比で挟んで評価できるか
(3) 「互いに交わらない」という図形の条件を、円 $Q$ の中心から見た角の条件に言いかえられるか。さらに、(2) の評価では決まらない「5個置けるか」を、 $36^\circ$ の三角比を自力で求めて決着できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 30点 | 20点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
(1) はただの図形問題で、外接する2円の中心を結んで直角三角形を作れば終わる。
(2) は有名角で挟んで比較する問題。
$\sin\theta=\dfrac{24}{25}$ のままでは $\theta$ が $\dfrac{\pi}{2}$ より小さいかが分からないので、 $\sin$ が単調に増加する範囲にある $\dfrac{\theta}{2}$ で比べるのがポイント。
ここまでは解いておきたい。
難しいのは (3) で、ここまで角度で議論してきたことを使い、「 $360^\circ$ に角 $\theta$ が何個入るか」と言いかえられるかどうか。
さらに5個入るかの判定には $\cos36^\circ$ が必要になる。
差がつく所・失点しやすい所
- この年でいちばん差がつくのは (3) の5個の判定:(2) の評価では決まらないと気づき、 $\cos36^\circ$ を自力で求めて $\cos\dfrac{\theta}{2}=\dfrac45$ と比べるという発想に行き着けるか。 $36^\circ$ の三角比は典型問題なので、値と導き方まで押さえておく。
- (3) の「交わらない」の言いかえ:「中心をOから見た角が $\theta$ 以上」に直し、「 $n$ 個置ける $\iff n\theta\leqq2\pi$」の理由まで書けるか。理由を書かずに $n\theta\leqq2\pi$ を使うと、論証が足りない答案になる。
2008年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 第3問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 第4問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第5問 | 標準 | 30点 | 20点 |
| 全体 | やや簡単 | 230点 | 200点 |
全体としては標準寄りのやや簡単なセットです。
第1問・第3問・第4問は典型問題で、ここは全学部で完答したいところです。
合否を分けたのは第2問でした。
$k$、 $n$ のような抽象的な定数が入っても、場合分けを丁寧に進めて処理できるかで差がつきます。
第5問 (3) は解きにくく、医学科でも部分点で十分です。
(1)(2) を確実に取ることを優先しましょう。
解く流れ
第1問 → 第3問 → 第4問 → 第2問 → 第5問。
2008年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2008年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2008年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
やや簡単(標準寄り)の年でした。
第1問・第4問は簡単、第3問はやや簡単、第2問・第5問は標準です。
行列の出題はなく、5問とも現行課程の範囲で解けます。 - 2008年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で230点、その他の学部で200点です(250点満点)。
- 2008年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第3問・第4問は完答したい問題です。そのうえで、差がつくとしたら次の3つです。
- 第2問(2):得点 $n$ と $k$ の大小、1回目に出るか2回目に出るかで場合分けできたか(2008年の合否を分けた一問)。
- 第5問(3):「 $360^\circ$ に角 $\theta$ が何個入るか」と言いかえ、 $\cos36^\circ$ を自力で求めて評価できたか。
- 第3問(3):Pが $\triangle\mathrm{OAB}$ の傍心だと、状況をつかめたか。
- 2008年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・極限(数学Ⅲ)
- 第2問:確率・期待値
- 第3問:平面ベクトル・図形の性質
- 第4問:微分法・積分(数学Ⅲ)
- 第5問:図形と計量・三角関数


