【解説・採点基準付き】2026年九州大学文系数学の解答・解説
2026年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2026年九州大学文系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・積分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「3次関数の極値と、絶対値つきの曲線 $y=|x^2-1|$ と直線で囲まれる2つの部分の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
以下の問いに答えよ。
(1) 関数 $f(x)=2x^3+3x^2-36x+1$ が極値をとるときの $x$ の値を求めよ。また、そのときの極値を求めよ。
(2) 座標平面上の曲線 $C:y=|x^2-1|$ と、点 $(-1,0)$ を通る傾き1の直線 $l$ を考える。 $C$ と $l$ で囲まれる領域の面積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
極値は $f'(x)=0$ の解で決まるのではなく、 $f'(x)$ の符号が変わる所で決まる。 $f'(x)$ は2次関数なので、グラフを書いて符号の変化を見る。


- $f'(x)$ を求め、 $6(x+3)(x-2)$ と因数分解する。
- $y=f'(x)$ のグラフから符号の変化を読み、増減表を書いて、 $x=-3$ で極大、 $x=2$ で極小とする。
- 極値をとる $x$ が整数なので、次数下げをせず $f(-3)$、 $f(2)$ を直接計算する。
【(2)の方針】
$C$ は $y=x^2-1$ の $x$ 軸より下の部分を折り返したグラフ。グラフを書けば、 $l$ は点 $(0,1)$ でも $C$ と交わり、囲まれる部分が2つに分かれることが分かる。左の部分は $\dfrac16$ 公式、右の部分は $l$ の下の台形から $C$ の下の部分を引くと見る。


- $|x|\geqq1$ と $|x|<1$ に分けて絶対値を外し、 $C$ のグラフ( $y=x^2-1$ を折り返したもの)と $l:y=x+1$ を書く。
- 区間ごとに $C$ と $l$ の式を連立し、交点の $x$ 座標 $-1,\ 0,\ 2$ を求める。各区間で上下を確かめ、囲まれる部分が $-1\leqq x\leqq0$ の $S_1$ と $0\leqq x\leqq2$ の $S_2$ の2つであることを確認する。
- $S_1=\displaystyle\int_{-1}^{0}\{(-x^2+1)-(x+1)\}\,dx$ と書き、被積分関数を $(-1)(x+1)x$ と因数分解して $\dfrac16$ 公式で求める。
- $S_2$ は、台形の面積 $4$ から $\displaystyle\int_0^2|x^2-1|\,dx$ を引いて求める。この積分は原始関数 $F(x)=\dfrac{x^3}{3}-x$ を置き、 $F(0)+F(2)-2F(1)$ で計算する。
- 面積を問われて部分が分かれているので、合計 $S_1+S_2$ を答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
$$f'(x)=6x^2+6x-36=6(x+3)(x-2)$$
$y=f'(x)$ のグラフより、 $f'(x)$ は $x=-3$ の前後で正から負に、 $x=2$ の前後で負から正に符号が変わる。増減表は次のとおり。
| $x$ | $\cdots$ | $-3$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
極値をとる $x$ が整数なので、そのまま代入する。
$$f(-3)=-54+27+108+1=82,\qquad f(2)=16+12-72+1=-43$$
答 $x=-3$ のとき極大値 $82$、 $x=2$ のとき極小値 $-43$
(2) 配点 30点
$l$ は点 $(-1,0)$ を通る傾き1の直線なので $l:y=x+1$。
$x\leqq-1,\ 1\leqq x$ のとき $x^2-1\geqq0$ なので $C:y=x^2-1$、 $-1<x<1$ のとき $C:y=-x^2+1$ である。 $C$ は放物線 $y=x^2-1$ の $x$ 軸より下の部分を折り返したグラフになる。
$x\leqq-1,\ 1\leqq x$ のとき、 $x^2-1=x+1$ より $(x+1)(x-2)=0$ で、 $x=-1,\ 2$(どちらも範囲に入る)。
$-1<x<1$ のとき、 $-x^2+1=x+1$ より $x(x+1)=0$ で、 $x=0$( $x=-1$ は範囲に入らない)。
よって、 $C$ と $l$ の交点の $x$ 座標は $-1,\ 0,\ 2$。
また、各区間での上下は
・$x<-1,\ 2<x$: $(x^2-1)-(x+1)=(x+1)(x-2)>0$ で $C$ が上( $l$ と $C$ は再び交わらないので、囲まれない)
・$-1\leqq x\leqq0$: $(-x^2+1)-(x+1)=-x(x+1)\geqq0$ で $C$ が上
・$0\leqq x\leqq1$: $(x+1)-(-x^2+1)=x(x+1)\geqq0$、 $1\leqq x\leqq2$: $(x+1)-(x^2-1)=-(x+1)(x-2)\geqq0$ で $l$ が上
なので、 $C$ と $l$ で囲まれる部分は、下の図の $-1\leqq x\leqq0$ の部分 $S_1$ と $0\leqq x\leqq2$ の部分 $S_2$ の2つである。
$$S_1=\int_{-1}^{0}\{(-x^2+1)-(x+1)\}\,dx=\int_{-1}^{0}(-1)(x+1)x\,dx=\frac16\{0-(-1)\}^3=\frac16$$
$0\leqq x\leqq2$ では $0\leqq|x^2-1|\leqq x+1$ なので、 $S_2$ は「 $l$ と $x$ 軸、 $y$ 軸、直線 $x=2$ で囲まれる台形」の面積から「 $C$ と $x$ 軸、 $y$ 軸、直線 $x=2$ で囲まれる部分」の面積を引いたものである。
台形の面積は $\dfrac{(1+3)\cdot2}{2}=4$。
$F(x)=\dfrac{x^3}{3}-x$ とおくと( $F(0)=0$、 $F(1)=-\dfrac23$、 $F(2)=\dfrac23$)
$$\int_0^2|x^2-1|\,dx=\int_0^1\{-(x^2-1)\}\,dx+\int_1^2(x^2-1)\,dx=\Bigl[-F(x)\Bigr]_0^1+\Bigl[F(x)\Bigr]_1^2=F(0)+F(2)-2F(1)=0+\frac23+\frac43=2$$
よって $S_2=4-2=2$。
求める面積は、2つの部分の合計で
$$S_1+S_2=\frac16+2=\frac{13}{6}$$
答 $\dfrac{13}{6}$
別解( $S_2$ を区間で分けて直接積分する) $x=1$ で $C$ の式が変わるので、区間を分けて
$$S_2=\int_0^1\{(x+1)-(-x^2+1)\}\,dx+\int_1^2\{(x+1)-(x^2-1)\}\,dx=\int_0^1(x^2+x)\,dx+\int_1^2(-x^2+x+2)\,dx=\frac56+\frac76=2$$
本解と一致するので、検算にも使える。
出題意図
(1) 導関数の符号の変化から3次関数の増減を調べ、極値を正確に求めることができるか(教科書・チャートの基本例題レベル)
(2) 絶対値のついた関数のグラフを書き、直線との交点と上下関係を正しく捉えて、囲まれる部分が2つに分かれることに気づけるか
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 |
(1) は誰でも解ける、(2) もグラフを描いて計算するだけで、青チャートの例題より簡単と言ってよい問題。
問題を見た瞬間に解法が思いつくべきで、ここを落とすと合格は厳しい。
注意点は (2) で囲まれる部分が2つに分かれることだけ。
差がつく所・失点しやすい所
- 失点しやすい所:(2) でグラフを書かずに $l$ と $y=x^2-1$ だけを連立し、 $l$ が点 $(0,1)$ でも $C$ と交わって部分が2つに分かれることを見落とす所。
2026年九州大学文系数学
第2問 解答・解説
第2問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「平面ABCに垂直な直線OPと球面の交点P、Pから平面に下ろした垂線の足H、四面体ABCPの体積」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間内の4点 $\mathrm{O}(0,0,0)$、 $\mathrm{A}(1,1,1)$、 $\mathrm{B}(2,2,0)$、 $\mathrm{C}(4,2,2)$ と球面
$$S:(x-1)^2+(y+1)^2+(z+1)^2=1$$
を考える。3点A、B、Cを通る平面を $\alpha$ とする。また、点Pは $S$ 上にあり、以下の2つの条件をみたすとする。
・直線OPは $\alpha$ と直交する。
・点Pの $y$ 座標は $-1$ 以下である。
以下の問いに答えよ。
(1) Pの座標を求めよ。
(2) Pから $\alpha$ に下ろした垂線と $\alpha$ の交点をHとする。このとき
$$\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$
をみたす実数 $s$、 $t$ を求めよ。
(3) 四面体ABCPの体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「直線OPが $\alpha$ と直交する」は、「 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ は平面 $\alpha$ に垂直なベクトルの実数倍」と言いかえられる。垂直なベクトルを1本求めればPは1文字で表せるので、あとは球面 $S$ の式に代入するだけ。


- $\vec n=(a,b,c)$ とおき、 $\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$、 $\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=0$ から、平面 $\alpha$ に垂直なベクトル $\vec n=(1,-2,-1)$ を求める。
- 直線OPは $\alpha$ に垂直なので $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\vec n=(k,-2k,-k)$ とおき、球面 $S$ の式に代入して $k$ の2次方程式を解く。
- 2つの解のうち、 $y$ 座標 $-2k$ が $-1$ 以下になる方を選ぶ。
【(2)の方針】
Pから $\alpha$ に下ろした垂線は、(1) の垂直なベクトル $\vec n$ の実数倍と置ける。Hが $\alpha$ 上にあることは、「 $\alpha$ 上の点AからHへのベクトルが $\vec n$ と垂直」、つまり内積0に翻訳する。
- $\overrightarrow{\mathrm{PH}}=m\vec n$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+m\vec n$ でHの座標を $m$ で表す。
- Aも $\alpha$ 上の点なので $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\vec n=0$。これから $m$ を求め、Hの座標を求める。
- 与えられた式は $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ と同じなので、成分を比べて $s$、 $t$ を求める。
【(3)の方針】
四面体ABCPは、底面を三角形ABC、高さをPから $\alpha$ に下ろした垂線PHとみる。PHは (2) の $m$ と $|\vec n|$ からすぐに求まる。
- $|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2$、 $|\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2$、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を求め、三角形の面積の公式 $\triangle\mathrm{ABC}=\dfrac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}})^2}$ で底面積を求める。
- 高さ $\mathrm{PH}=|m||\vec n|$ を求める。
- $\dfrac13\cdot\triangle\mathrm{ABC}\cdot\mathrm{PH}$ を計算する。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,1,-1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(3,1,1)$。平面 $\alpha$ に垂直なベクトルを $\vec n=(a,b,c)$ とおく。 $\vec n$ は $\alpha$ 上の平行でない2つのベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ に垂直なので
$$\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=a+b-c=0,\qquad\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=3a+b+c=0$$
2式を足して $4a+2b=0$ より $b=-2a$、これを1つめの式に代入して $c=-a$。よって $\vec n=a(1,-2,-1)$。大きさは何でもよいので、 $\vec n=(1,-2,-1)$ をとる( $|\vec n|=\sqrt6$)。
直線OPは $\alpha$ と直交するので、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ は $\vec n$ に平行で
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\vec n=(k,\ -2k,\ -k)\quad(k\text{ は実数})$$
とおける。Pは $S$ 上にあるので
$$(k-1)^2+(-2k+1)^2+(-k+1)^2=1\iff6k^2-8k+2=0\iff(3k-1)(k-1)=0$$
よって $k=\dfrac13,\ 1$。
直線OPは球面 $S$ と2点で交わる(図の $k=\dfrac13$ と $k=1$ の点)。Pの $y$ 座標は $-2k$ なので、条件 $-2k\leqq-1$ より $k\geqq\dfrac12$。よって $k=1$ である( $k=\dfrac13$ の点 $\left(\dfrac13,-\dfrac23,-\dfrac13\right)$ は $y$ 座標が $-\dfrac23>-1$ なので条件をみたさない)。
答 $\mathrm{P}(1,\ -2,\ -1)$
(2) 配点 20点
Pから $\alpha$ に下ろした垂線は $\alpha$ に垂直なので、 $\overrightarrow{\mathrm{PH}}=m\vec n$( $m$ は実数)とおける。PまでたどってからHへ進むと
$$\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+m\vec n=(1+m,\ -2-2m,\ -1-m)$$
HとAはどちらも $\alpha$ 上の点なので $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\perp\vec n$、すなわち $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\vec n=0$。 $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\overrightarrow{\mathrm{OH}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(m,\ -3-2m,\ -2-m)$ より
$$m-2(-3-2m)-(-2-m)=0\iff6m+8=0\iff m=-\frac43$$
よって $\mathrm{H}\left(-\dfrac13,\ \dfrac23,\ \dfrac13\right)$。
$\overrightarrow{\mathrm{OH}}=-\dfrac13\vec n$ なので、Hも直線OP上にあり、Oをはさんで、Pと反対側にある(上の図)。
与えられた式は $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ と同じである。 $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\left(-\dfrac43,\ -\dfrac13,\ -\dfrac23\right)$、 $s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(s+3t,\ s+t,\ -s+t)$ の成分を比べて
$$s+3t=-\frac43,\qquad s+t=-\frac13,\qquad -s+t=-\frac23$$
2つめと3つめの式から $t=-\dfrac12$、 $s=\dfrac16$。これは1つめの式 $\dfrac16-\dfrac32=-\dfrac43$ もみたす。 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ は平行でないので、 $s$、 $t$ はこの1組だけである。
答 $s=\dfrac16$、 $t=-\dfrac12$
別解(問題の形のまま、PHがAB・ACと垂直) $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(1+s+3t,\ 1+s+t,\ 1-s+t)$ より
$$\overrightarrow{\mathrm{PH}}=\overrightarrow{\mathrm{OH}}-\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(s+3t,\ s+t+3,\ -s+t+2)$$
PHは $\alpha$ に垂直なので、 $\alpha$ 上の2つのベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ と垂直である。
$$\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=3s+3t+1=0,\qquad\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=3s+11t+5=0$$
2式を引いて $8t+4=0$ より $t=-\dfrac12$、これから $s=\dfrac16$。この解き方は (1) の $\vec n$ を使わずに解ける。
(3) 配点 15点
$|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2=3$、 $|\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2=11$、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=3+1-1=3$ より
$$\triangle\mathrm{ABC}=\frac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{AC}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}})^2}=\frac12\sqrt{3\cdot11-3^2}=\frac12\sqrt{24}=\sqrt6$$
PHは $\alpha$ に垂直なので、四面体ABCPの底面を三角形ABCとみたときの高さはPHである。(2) より $\overrightarrow{\mathrm{PH}}=-\dfrac43\vec n$ なので
$$\mathrm{PH}=\frac43|\vec n|=\frac{4\sqrt6}{3}$$
図のHからPまでの長さが、四面体ABCPの高さである。
よって、四面体ABCPの体積は
$$\frac13\cdot\triangle\mathrm{ABC}\cdot\mathrm{PH}=\frac13\cdot\sqrt6\cdot\frac{4\sqrt6}{3}=\frac83$$
答 $\dfrac83$
別解(高さを点と平面の距離の公式で求める) 平面 $\alpha$ は、Aを通り $\vec n=(1,-2,-1)$ に垂直なので $(x-1)-2(y-1)-(z-1)=0$、すなわち $x-2y-z+2=0$。 $\mathrm{P}(1,-2,-1)$ との距離は $\dfrac{|1+4+1+2|}{\sqrt{1^2+(-2)^2+(-1)^2}}=\dfrac{8}{\sqrt6}=\dfrac{4\sqrt6}{3}$ で、同じ値になる。
出題意図
(1) 「直線が平面と直交する」を、平面に垂直なベクトルの実数倍と言いかえられるか
(2)(3) 平面に垂直なベクトルから垂線の足を求め、四面体の体積を「底面積×高さ÷3」で求めるという空間ベクトルの基本が理解できているか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 25分 |
標準的なベクトルの問題。
(1) は平面に垂直なベクトルを求めるだけ、(2) は垂線の足を求めるだけで解きやすく、(3) は位置関係が分かれば簡単で、全体としてやや簡単。
点Pが球面上にあるのでやや複雑に見えるが、中身は「四面体の体積を求めるために、平面に下ろした垂線を求める」という、チャートの例題レベル。
九大文系数学は「微積とベクトルは絶対に取る」が鉄則で、この問題も満点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (1):「直線OPが $\alpha$ と直交する」を「 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ は平面 $\alpha$ に垂直なベクトルの実数倍」と言いかえるという発想に行き着けるか。ここが決まれば、あとは代入と計算だけ。
2026年九州大学文系数学
第3問 解答・解説
第3問は集合と命題・整数・二項定理の問題です。
テーマは「$\sqrt2$ が無理数であることの証明と、 $\left(\sqrt2+1\right)^n+\left(\sqrt2-1\right)^n$ が整数になるための必要十分条件」。
問題


問題文をテキストで読む
以下の問いに答えよ。
(1) $\sqrt2$ が無理数であることを示せ。
(2) $n$ を自然数とする。 $\left(\sqrt2+1\right)^n+\left(\sqrt2-1\right)^n$ が整数となるための、 $n$ がみたすべき必要十分条件を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「無理数である」=「有理数でない」なので、有理数と仮定して矛盾を導く(背理法)。有理数は既約分数で表せるので、既約分数とおき、素因数2に注目する。
- $\sqrt2$ が有理数であると仮定し、 $\sqrt2=\dfrac qp$ ( $p,q$ は互いに素な自然数)とおく。
- 両辺を2乗して $2p^2=q^2$ とする。
- $q^2$ が2の倍数なので $q$ も2の倍数。 $q^2$ は素因数2を少なくとも2つ含むので、 $p^2$ も2の倍数となり、 $p$ も2の倍数。
- $p,q$ がともに2の倍数となり、互いに素であることに矛盾すると結論する。
【(2)の方針】
必要十分条件を求める=「この条件なら整数」と「整数ならこの条件」の両方向を示すこと。二項定理で展開して足すと、 $\sqrt2$ の偶数乗の項か奇数乗の項の一方だけが残るので、奇数のときは (1) が使える。
- $n=1,2,3,4$ で計算し、偶数のとき整数、奇数のとき $\sqrt2$ の整数倍になると予想する。
- 二項定理で $\left(\sqrt2+1\right)^n$ と $\left(\sqrt2-1\right)^n$ の一般項を書き、足すと $k$ と $n$ の偶奇が一致する項だけが残ることを示す。
- $n$ が偶数のとき、残る項は $\sqrt2$ の偶数乗で整数なので、和は整数(十分性)。
- $n$ が奇数のとき、残る項は $\sqrt2$ の奇数乗で、和は $M\sqrt2$ ( $M$ は正の整数)と表せる。
- $M\sqrt2$ が整数 $N$ と仮定すると $\sqrt2=\dfrac NM$ が有理数となり (1) に矛盾するので、奇数のとき整数でない(必要性を対偶で示す)。
- 両方向から、必要十分条件は「 $n$ が偶数」と結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\sqrt2$ が有理数であると仮定する。 $\sqrt2>0$ なので、互いに素な自然数 $p,q$ を用いて
$$\sqrt2=\dfrac qp$$
とおける。
両辺を2乗して分母を払うと
$$2p^2=q^2\quad\cdots\cdots①$$
①より $q^2$ は2の倍数である。2は素数なので $q$ も2の倍数である( $q$ が奇数なら $q^2$ も奇数になる)。よって $q^2$ は素因数2を少なくとも2つ含み、 $q^2$ は4の倍数である。①より $2p^2$ が4の倍数なので $p^2$ は2の倍数となり、同様に $p$ も2の倍数である。
これは $p,q$ が互いに素であることに矛盾する。よって $\sqrt2$ は無理数である。
(2) 配点 35点
$S_n=\left(\sqrt2+1\right)^n+\left(\sqrt2-1\right)^n$ とおく。二項定理より
$$\left(\sqrt2+1\right)^n=\sum_{k=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_k\left(\sqrt2\right)^k,\qquad \left(\sqrt2-1\right)^n=\sum_{k=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_k\left(\sqrt2\right)^k(-1)^{n-k}$$
なので
$$S_n=\sum_{k=0}^{n}{}_n\mathrm{C}_k\left(\sqrt2\right)^k\left\{1+(-1)^{n-k}\right\}$$
$1+(-1)^{n-k}$ は、 $n-k$ が偶数のとき2、奇数のとき0である。よって $S_n$ には、 $k$ と $n$ の偶奇が一致する項だけが2倍されて残る。
(i) $n$ が偶数のとき $n=2m$ ( $m$ は自然数)とおく。残るのは $k$ が偶数の項で、 $k=2j$ とおくと $\left(\sqrt2\right)^{2j}=2^j$ なので
$$S_n=2\sum_{j=0}^{m}{}_{2m}\mathrm{C}_{2j}\,2^j$$
${}_{2m}\mathrm{C}_{2j}$、 $2^j$ はどれも整数なので、 $S_n$ は整数である。
(ii) $n$ が奇数のとき $n=2m+1$ ( $m$ は0以上の整数)とおく。残るのは $k$ が奇数の項で、 $k=2j+1$ とおくと $\left(\sqrt2\right)^{2j+1}=2^j\sqrt2$ なので
$$S_n=M\sqrt2,\qquad M=2\sum_{j=0}^{m}{}_{2m+1}\mathrm{C}_{2j+1}\,2^j$$
$M$ は整数で、和の各項は正なので $M>0$ である(たとえば $j=m$ の項だけで $M\geqq2^{m+1}$)。
$S_n$ が整数であると仮定し、 $S_n=N$ ( $N$ は整数)とおく。 $M\neq0$ なので
$$\sqrt2=\dfrac NM$$
となり、右辺は有理数である。これは (1) で示した「 $\sqrt2$ は無理数」に矛盾する。よって $n$ が奇数のとき、 $S_n$ は整数でない。
(i) より「 $n$ が偶数ならば $S_n$ は整数」(十分性)。(ii) より「 $n$ が奇数ならば $S_n$ は整数でない」で、その対偶「 $S_n$ が整数ならば $n$ は偶数」(必要性)も成り立つ。したがって、求める必要十分条件は
答 $n$ が偶数であること
別解(共役な数で表す) $\left(1+\sqrt2\right)^n=a_n+b_n\sqrt2$ ( $a_n,b_n$ は自然数)とおくと、 $\left(1-\sqrt2\right)^n=a_n-b_n\sqrt2$ が成り立つ( $a_1=b_1=1$、 $a_{n+1}=a_n+2b_n$、 $b_{n+1}=a_n+b_n$ から数学的帰納法で示せる)。 $\left(\sqrt2-1\right)^n=(-1)^n\left(1-\sqrt2\right)^n$ なので
$$S_n=a_n+b_n\sqrt2+(-1)^n\left(a_n-b_n\sqrt2\right)$$
$n$ が偶数なら $S_n=2a_n$ で整数。 $n$ が奇数なら $S_n=2b_n\sqrt2$ ( $2b_n$ は正の整数)となり、本解の (ii) と同じく (1) から整数でない。
出題意図
(1) 「無理数であること」の証明を、背理法・既約分数・素因数の流れで正確に書けるか。教科書レベルの証明を、答案として再現できるか。
(2) 「必要十分条件を求めよ」を「両方向を示せ」と捉えられるか。二項定理で項を整理し、最後は (1) の結果に帰着できるか。
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 15点 |
| 目標時間 | 25分 |
(1) の「 $\sqrt2$ が無理数」の証明は、チャートに載っている超典型問題で、2分で書き切って確実に15点を取る。
(2) は $n$ が入り、わざわざ「必要十分条件を求めよ」と書かれているので、見た瞬間に解けないと判断した受験生が多いと思われる。
しかし答えだけなら難しくなく、実験すれば偶数と分かる。
(1) と (2) の難易度の差が大きく、(2) は落としてよい問題。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):何を示せばよいかへの言いかえ:必要十分条件を求める=「偶数なら整数」と「整数なら偶数(対偶:奇数なら整数でない)」の両方向を示すこと、という発想に行き着けるか。ここで方針が立たず、読んで飛ばした受験生が多いと思われる。
- 二項定理で展開して足す: $\sqrt2$ の偶数乗の項か奇数乗の項の一方だけが残ることに気づけるか。
- $M\neq0$ の確認:奇数のとき $M\sqrt2$ の $M$ が0でないことを書かないと、 $\sqrt2=\dfrac NM$ と割れず減点される。
2026年九州大学文系数学
第4問 解答・解説
第4問は確率・漸化式の問題です。
テーマは「硬貨の表で白玉2つ、裏で黒玉1つを並べるときの、連続する3つの玉がすべて黒になる確率の漸化式」。
問題


問題文をテキストで読む
$0<r<1$ とする。表が出る確率が $r$、裏が出る確率が $1-r$ の硬貨を投げ、表が出た場合は白玉を2つ横並びに置き、裏が出た場合は黒玉を1つ置く。この要領で硬貨を繰り返し投げ、左から右に1列になるように白玉と黒玉を順に並べていく。
例えば、3回硬貨を投げ、結果が順に「裏、表、表」であれば、左から順に「黒、白、白、白、白」と5つの玉が並ぶ。
$n$ を自然数とする。 $n+2$ 回硬貨を投げたとき、左から $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目の玉がすべて黒である確率を $p_n$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) $p_1,p_2$ を求めよ。
(2) $n\geqq2$ とする。 $n+2$ 回硬貨を投げたとき、左から $1$、 $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目の玉がすべて黒である確率を $p_{n-1}$ を用いて表せ。
(3) $n\geqq3$ のとき、 $p_n$ を $p_{n-2}$、 $p_{n-1}$ を用いて表せ。
(4) $p_n$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
表が出ると白玉が2つ続けて置かれるので、ある番目の玉が黒になるには、その位置に白玉の組がかからないことが必要。 $p_2$ では、1回目が表だと1番目と2番目が白になり、2番目が黒にならない。問題文の例のように実際に並べて確かめる。


- $p_1$:3回投げて1、2、3番目が黒になるのは、3回とも裏のときだけであることを確かめる。
- $p_2$:4回投げて2、3、4番目が黒になるには、1回目が裏(表だと2番目が白)で、2〜4回目もすべて裏であることを確かめる。
- それぞれ $(1-r)^3$、 $(1-r)^4$ と求める。
【(2)の方針】
1番目の玉が黒 ⟺ 1回目が裏。1回目が裏なら、2番目から数え直せば $p_{n-1}$ の定義そのものの状況になる。


- 1番目が黒になるのは1回目が裏のときだけであることを確かめる(確率 $1-r$)。
- 2番目から番号を数え直し、残りの2回目〜 $(n+2)$ 回目の $n+1$ 回で $n-1$、 $n$、 $n+1$ 番目がすべて黒である確率が $p_{n-1}$ であることを示す。
- 硬貨を投げる各回は独立なので、積 $(1-r)p_{n-1}$ を求める。
【(3)の方針】
最初の1回で場合分けする。最初の1回は必ず1番目から置かれるので、その後を数え直せば同じ形の確率に戻る。


参考(同じ型の問題) 東京大学に、縦2・横 $n$ の長方形の部屋を「2辺の長さが1と2の長方形」と「1辺の長さが2の正方形」のタイルで敷きつめる並べ方の総数 $A_n$ を求める問題がある( $A_1=1$、 $A_2=3$、 $A_3=5$)。これも左端の置き方で場合分けする。縦の長方形1枚なら残りは横 $n-1$、横の長方形2枚か正方形1枚なら残りは横 $n-2$ で、残りは同じ形の部屋になるので $A_n=A_{n-1}+2A_{n-2}$。第4問の「1回目が裏なら $p_{n-1}$、表なら $p_{n-2}$」と全く同じ形の三項間漸化式になる。


- 1回目が裏の場合の確率は (2) の $(1-r)p_{n-1}$。
- 1回目が表の場合、3番目から数え直し、残りの2回目〜 $(n+2)$ 回目の $n+1$ 回のうち最後の $(n+2)$ 回目が数え直した $n$ 番目までの玉に関係しないことを示して、確率 $rp_{n-2}$ を求める。
- 2つを足して $p_n=(1-r)p_{n-1}+rp_{n-2}$ と表す。
【(4)の方針】
(3) は三項間漸化式。 $x^2=(1-r)x+r$ を解くと $x=1,\ -r$ で、ここから $p_n+rp_{n-1}$ は一定、 $p_n-p_{n-1}$ は公比 $-r$ の等比数列、という2本の式が作れる。
- (3) を $p_n+rp_{n-1}=p_{n-1}+rp_{n-2}$ と変形し、 $p_n+rp_{n-1}=p_2+rp_1=(1-r)^3$( $n\geqq2$)を求める。
- (3) を $p_n-p_{n-1}=-r(p_{n-1}-p_{n-2})$ と変形し、 $p_n-p_{n-1}=(-r)^{n-2}(p_2-p_1)=(-r)^{n-1}(1-r)^3$( $n\geqq2$)を求める。
- 1つ目の式から2つ目の式を引いて $p_{n-1}$ を求め、 $n$ を1つずらして $p_n$ を求める。
- $n=1,2$ を代入して (1) の値と一致することを確かめる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
表が出ると白玉が2つ続けて置かれる。
$p_1$:3回投げて1、2、3番目がすべて黒になるには、1回目が裏(表なら1番目が白)。次の玉は2番目に置かれるので2回目も裏、同様に3回目も裏。逆に3回とも裏なら1、2、3番目は黒。よって $p_1=(1-r)^3$
$p_2$:4回投げて2、3、4番目がすべて黒になる場合を考える。1回目が表だと1、2番目が白になり不適なので、1回目は裏で、1番目が黒。すると2回目の玉は2番目、3回目の玉は3番目、4回目の玉は4番目に置かれるので、2〜4回目もすべて裏。逆に4回とも裏ならよい。
答 $p_1=(1-r)^3$、 $p_2=(1-r)^4$
(2) 配点 10点
1番目の玉は1回目の結果で決まり、1番目が黒 ⟺ 1回目が裏(確率 $1-r$)。
1回目が裏のとき、1番目に黒が置かれ、2回目以降の $n+1$ 回の玉は2番目から順に並ぶ。2番目を改めて1番目と数え直すと、2回目以降の $n+1$ 回は、最初から $n+1$ 回投げるのとまったく同じで、もとの $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目は、数え直した $n-1$、 $n$、 $n+1$ 番目になる。 $n\geqq2$ より $n-1\geqq1$ で、 $(n-1)+2=n+1$ 回投げて $n-1$、 $n$、 $n+1$ 番目がすべて黒である確率は $p_{n-1}$。
各回の結果は独立なので、求める確率は
答 $(1-r)p_{n-1}$
(3) 配点 15点
$n\geqq3$ とし、 $n+2$ 回投げたときの1回目の結果で場合分けする。
1回目が裏のとき 1番目が黒になるので、「1回目が裏かつ $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目がすべて黒」の確率は、(2) の「1、 $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目がすべて黒」の確率に等しく、 $(1-r)p_{n-1}$。
1回目が表のとき 1、2番目が白で、2回目以降の $n+1$ 回の玉は3番目から並ぶ。3番目を1番目と数え直すと、もとの $n$、 $n+1$、 $n+2$ 番目は数え直した $n-2$、 $n-1$、 $n$ 番目( $n\geqq3$ より $n-2\geqq1$)。
残りの2回目〜 $(n+2)$ 回目の $n+1$ 回のうち、2回目〜 $(n+1)$ 回目の $n$ 回で、玉は少なくとも $n$ 個並ぶ。よって数え直した $n$ 番目までの玉の色は最初の $n$ 回だけで決まり、最後の1回の結果には関係しない。したがって、この確率は「 $n$ 回投げて $n-2$、 $n-1$、 $n$ 番目がすべて黒である確率」 $p_{n-2}$ に等しい。1回目が表である確率をかけて $rp_{n-2}$。
2つの場合は重ならないので
答 $p_n=(1-r)p_{n-1}+rp_{n-2}$
(4) 配点 15点
(3) より、 $n\geqq3$ で
$$p_n+rp_{n-1}=p_{n-1}+rp_{n-2}$$
なので、数列 $\{p_n+rp_{n-1}\}$( $n\geqq2$)は一定で
$$p_n+rp_{n-1}=p_2+rp_1=(1-r)^4+r(1-r)^3=(1-r)^3\quad(n\geqq2)\quad\cdots\cdots①$$
また (3) より、 $n\geqq3$ で
$$p_n-p_{n-1}=-r(p_{n-1}-p_{n-2})$$
なので、数列 $\{p_n-p_{n-1}\}$( $n\geqq2$)は公比 $-r$ の等比数列で、 $p_2-p_1=(1-r)^4-(1-r)^3=-r(1-r)^3$ より
$$p_n-p_{n-1}=(-r)^{n-2}\cdot(-r)(1-r)^3=(-r)^{n-1}(1-r)^3\quad(n\geqq2)\quad\cdots\cdots②$$
①$-$②より、 $n\geqq2$ で
$$(1+r)p_{n-1}=(1-r)^3\left\{1-(-r)^{n-1}\right\}$$
$1+r>0$ なので、番号を1つずらすと、すべての自然数 $n$ で
$$p_n=\frac{(1-r)^3\left\{1-(-r)^n\right\}}{1+r}$$
(確かめ: $n=1$ で $\dfrac{(1-r)^3(1+r)}{1+r}=(1-r)^3$、 $n=2$ で $\dfrac{(1-r)^3(1-r^2)}{1+r}=(1-r)^4$ となり (1) と一致)
答 $p_n=\dfrac{(1-r)^3\left\{1-(-r)^n\right\}}{1+r}$
出題意図
(1)(2) 玉の並び方の状況を正しく捉えることができるか。白玉は必ず2つ続きで置かれるので、何番目にどの玉が来るかは、それより前の硬貨の結果すべてで決まる。この仕組みを具体的に並べて読み取れるか。
(3) 最初の1回で場合分けし、残りを「最初からやり直し」と見て漸化式を立てられるか。難関大学における確率漸化式の典型問題。
(4) $r$ を含む三項間漸化式を、基本どおりに解けるか。
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 |
文系の受験生は確率漸化式の演習をしない傾向があるが、九大の文系でも2022〜2023年ごろから確率漸化式が出るようになった。
「最初の1回で場合分けし、残りを同じ形に戻す」という型を演習していれば解けるので、演習した人にとってはラッキー問題。
(1) は解きやすく確実に取り、できれば (2) まで進んで25点は確保したい。
差がつく所・失点しやすい所
- 2026年の合否を分けた1問。(2) 以降で、最初の1回で場合分けし、残りを数え直して同じ形に戻す、という発想に行き着けるか:(1) は解きやすいが、ここから一気に難しくなる。最後の玉から考えると漸化式は立たない。
- 1回目が表の場合の回数のずれ:残りは $n+1$ 回なのに $p_{n-2}$ は $n$ 回投げる確率。最後の1回が $n$ 番目までの玉に関係しない理由を書かないと減点される。
- 簡単な (1) で落とさない:表の確率は $r$、裏の確率は $1-r$。 $\dfrac12$ と思い込まず、問題文の例のように実際に並べて確かめる。
2026年九州大学・文系数学の
講評とまとめ
4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 |
| 第2問 | やや簡単 | 50点 |
| 第3問 | やや難 | 15点 |
| 第4問 | やや難 | 25点 |
| 全体 | 標準 | 140点 |
簡単な問題と難しい問題の差が大きいセットでした。
第1問・第2問・第3問 (1)・第4問 (1) は簡単で、ここを確実に取れば130〜140点近くになります。
6〜7割は取りやすい一方で、高得点は難しい年です。
大事なのは、簡単な問題で点を落とさないこと。
落とすと数学が足を引っ張ります。
落としてよいのは第3問 (2) と第4問の後半で、合否を分けたのは第4問の確率漸化式でした。
目標点は140点です。
九大文系数学の鉄則は「微積とベクトルは絶対に取る」。
第1問の微積と第2問のベクトルは満点を取りましょう。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問 (1) → 第4問 (1)(ここまでで130〜140点)→ 第3問 (2)・第4問 (2) 以降
- 目標時間の合計は95分(第1問15分・第2問25分・第3問25分・第4問30分)。残りの時間は、簡単な問題の見直しに使う。
2026年九州大学・文系数学に
関するよくある質問
2026年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2026年の九州大学・文系数学は難しかった?
-
標準的な年でしたが、簡単な問題と難しい問題の差が大きいセットでした。
第1問は簡単、第2問はやや簡単、第3問と第4問はやや難です。
ただし、第3問 (1) と第4問 (1) は簡単に取れます。 - 2026年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は140点です(200点満点)。
- 2026年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第2問・第3問 (1)・第4問 (1) は、確実に取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の1つです。
- 第4問 (2):最初の1回で場合分けし、残りを数え直して同じ形に戻す発想に行き着けたか。2026年の合否を分けた一問です。
第3問 (2) と第4問の後半は難しく、落としてよい問題です。
- 2026年の九州大学・文系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・積分法(数学Ⅱ)
- 第2問:空間ベクトル
- 第3問:集合と命題・整数・二項定理
- 第4問:確率・漸化式


