【解説・採点基準付き】2022年九州大学文系数学の解答・解説
2022年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2022年九州大学文系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は積分法(数学Ⅱ)・2次関数の問題です。
テーマは「絶対値つき2次関数のグラフ $y=\left|x^2+(3-a)x-3a\right|$ と直線が接する条件と、曲線と接線で囲まれた図形の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
$a$ を $-3<a<13$ をみたす実数とし、次の曲線 $C$ と直線 $l$ が接しているとする。
$$C:y=\left|x^2+(3-a)x-3a\right|,\quad l:y=-x+13$$
以下の問いに答えよ。
(1) $a$ の値を求めよ。
(2) 曲線 $C$ と直線 $l$ で囲まれた2つの図形のうち、点 $(a,0)$ が境界線上にある図形の面積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
絶対値は中身のグラフを書いて折り返す。 $l$ は2点 $(-3,0)$、 $(a,0)$ より上を通るので、外側の部分とは交わるだけで、接するのは折り返した部分しかない。


- 中身は $(x+3)(x-a)$ と因数分解でき、 $-3<a$ なので、 $x\leqq-3,\ a\leqq x$ では $y=(x+3)(x-a)$、 $-3\leqq x\leqq a$ では $y=-(x+3)(x-a)$ と絶対値を外す。
- $x=-3,\ a$ での $l$ の値 $16$、 $13-a$ がどちらも正であることを確かめ、 $l$ が2点 $(-3,0)$、 $(a,0)$ より上を通ることを示す。
- 外側の部分の式と $l$ の式を連立した2次方程式は、左辺の $x=-3,\ a$ での値が負なので、 $x<-3$ と $x>a$ に1つずつ解をもち、重解にならない。よって外側の部分とは接しない。
- 折り返した部分の式と $l$ の式を連立した2次方程式①が重解をもつ条件を判別式で求め、範囲 $-3<a<13$ で絞る。
- ①の重解 $x=\dfrac{a-2}{2}$ が $-3<x<a$ に入ることを確かめる(重解は接点の $x$ 座標になる)。
【(2)の方針】
接している所では $l$ と $C$ の差が $(x-1)^2$ と完全平方になり、塊のまま積分できる。ただし $C$ の式は $x=4$ で変わるので、求める図形は $x=4$ で2つに分けて計算する。


- $a=4$ として、外側の部分と $l$ の交点の $x$ 座標 $\pm5$ を求め、グラフから、求める図形 $S$ が $1\leqq x\leqq5$ の部分(点 $(4,0)$ が境界上にある方)であることを確かめる。
- $x=4$ で $C$ の式が変わるので、 $S$ を $1\leqq x\leqq4$ の部分 $S_1$ と $4\leqq x\leqq5$ の部分 $S_2$ に分け、それぞれ $\displaystyle\int\{(\text{上})-(\text{下})\}\,dx$ の式を書く。
- $S_1$ は、 $l$ が $x=1$ で接するので上 $-$ 下が $(x-1)^2$ になり、塊のまま積分する。
- $S_2$ は、上 $-$ 下が $25-x^2$ になるので、そのまま積分する。
- $S=S_1+S_2$ を答える。左右の2つの図形の合計を $\dfrac16$ 公式で求め、検算する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
$x^2+(3-a)x-3a=(x+3)(x-a)$ で、 $-3<a$ なので
・$x\leqq-3,\ a\leqq x$ のとき $C:y=(x+3)(x-a)$
・$-3\leqq x\leqq a$ のとき $C:y=-(x+3)(x-a)$
$C$ は放物線 $y=(x+3)(x-a)$ の $x$ 軸より下の部分を折り返したグラフになる。
また、 $l$ の $x=-3$ での値は $16>0$、 $x=a$ での値は $13-a>0$( $a<13$ より)なので、 $l$ は2点 $(-3,0)$、 $(a,0)$ より上を通る。
(i) 外側の部分( $x\leqq-3,\ a\leqq x$ )
$(x+3)(x-a)=-x+13$ を整理すると
$$g(x)=x^2+(4-a)x-3a-13=0$$
$g(-3)=9-3(4-a)-3a-13=-16<0$、 $g(a)=a^2+(4-a)a-3a-13=a-13<0$ である。 $y=g(x)$ は下に凸の放物線なので、 $g(x)=0$ は $x<-3$ と $x>a$ に1つずつ解をもち、どちらも重解ではない。よって、 $l$ は外側の部分とは交わるだけで接しない。
(ii) 折り返した部分( $-3\leqq x\leqq a$ )
$-(x+3)(x-a)=-x+13$ を整理すると
$$x^2+(2-a)x+13-3a=0\quad\cdots①$$
$l$ が $C$ に接するのは、①が $-3<x<a$ に重解をもつときである。①の判別式を $D$ とすると
$$D=(2-a)^2-4(13-3a)=a^2+8a-48=(a+12)(a-4)=0$$
$-3<a<13$ より $a=4$ である( $a=-12$ は範囲に入らない)。
このとき①の重解は $x=-\dfrac{2-a}{2}=1$ で、 $-3<1<4$ なので折り返した部分の上にある。よって、 $l$ は $C$ に点 $(1,\ 12)$ で接する。
答 $a=4$
(2) 配点 30点
$a=4$ のとき $C:y=|(x+3)(x-4)|$ である。
(1) の (i) で $a=4$ とすると $g(x)=x^2-25=0$ より $x=\pm5$( $-5\leqq-3$、 $5\geqq4$ なので範囲に入る)。(ii) より、 $l$ は $C$ に点 $(1,\ 12)$ で接する。
$-5\leqq x\leqq5$ では
・$x\leqq-3,\ 4\leqq x$ : $(-x+13)-(x+3)(x-4)=25-x^2\geqq0$
・$-3\leqq x\leqq4$ : $(-x+13)-\{-(x+3)(x-4)\}=x^2-2x+1=(x-1)^2\geqq0$
なので、 $l$ が $C$ の上にある。 $C$ と $l$ で囲まれた2つの図形は $-5\leqq x\leqq1$ の部分と $1\leqq x\leqq5$ の部分で、点 $(4,\ 0)$ が境界線上にあるのは $1\leqq x\leqq5$ の部分である。この面積を $S$ とする。
$C$ の式は $x=4$ で変わるので、 $S$ を $1\leqq x\leqq4$ の部分 $S_1$ と $4\leqq x\leqq5$ の部分 $S_2$ に分ける。
$$S_1=\int_1^4\bigl[(-x+13)-\{-(x+3)(x-4)\}\bigr]\,dx,\qquad S_2=\int_4^5\{(-x+13)-(x+3)(x-4)\}\,dx$$
$l$ は折り返した部分に $x=1$ で接するので、 $S_1$ の上 $-$ 下は2次の係数が $1$ の完全平方 $(x-1)^2$ になる。
$$S_1=\int_1^4(x-1)^2\,dx=\left[\dfrac{(x-1)^3}{3}\right]_1^4=\dfrac{27}{3}=9$$
$$S_2=\int_4^5(25-x^2)\,dx=\left[25x-\dfrac{x^3}{3}\right]_4^5=25-\dfrac{125-64}{3}=25-\dfrac{61}{3}=\dfrac{14}{3}$$
よって
$$S=S_1+S_2=9+\dfrac{14}{3}=\dfrac{41}{3}$$
答 $\dfrac{41}{3}$
検算( $\dfrac16$ 公式で左右の合計を求める) 左右の2つの図形の合計は、「 $l$ と放物線 $y=(x+3)(x-4)$ で囲まれる部分( $-5\leqq x\leqq5$ )」から「2つの放物線 $y=\pm(x+3)(x-4)$ で囲まれる部分( $-3\leqq x\leqq4$ )」を引いたものなので
$$\int_{-5}^{5}(-1)(x+5)(x-5)\,dx-\int_{-3}^{4}(-2)(x+3)(x-4)\,dx=\dfrac16\cdot10^3-2\cdot\dfrac16\cdot7^3=\dfrac{500}{3}-\dfrac{343}{3}=\dfrac{157}{3}$$
一方、左の図形の面積は $\displaystyle\int_{-5}^{-3}(25-x^2)\,dx+\int_{-3}^{1}(x-1)^2\,dx=\dfrac{52}{3}+\dfrac{64}{3}=\dfrac{116}{3}$ で、 $\dfrac{116}{3}+\dfrac{41}{3}=\dfrac{157}{3}$ となり一致する。
出題意図
(1) 絶対値のついた2次関数のグラフを折り返して書き、直線が接するのは折り返した部分だけだと捉えて、判別式で $a$ を求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)
(2) グラフから求める図形を特定し、 $C$ の式が変わる所で区間を分けて、面積を正確に求めることができるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 |
定数 $a$ が入っているぶん少し難しく感じるが、直線が接しているだけで、(1) は図がイメージできれば分かりやすい。
やや簡単寄りの標準の問題。
絶対値は中身のグラフを書いて折り返し、接する条件は判別式、面積は $C$ の式が変わる所で区間を分ける。
注意点は、 $l$ が接するのは折り返した部分だと確かめることと、 $x=4$ で区間を分けることだけ。
差がつく所・失点しやすい所
- 失点しやすい所:(1) で、 $l$ が接するのは折り返した部分だけだと確かめずに判別式を立てる所。 $a=-12$ を範囲で除くことも忘れやすい。
- 失点しやすい所:(2) で、グラフを書かずに $x=4$ で区間を分けないまま、 $1\leqq x\leqq5$ を1つの式で積分してしまう所。
2022年九州大学文系数学
第2問 解答・解説
第2問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「平面 $\alpha$ に垂直な大きさ1のベクトル、Pから $\alpha$ に下ろした垂線の足Qと線分PQの長さ、 $\alpha$ に関するPの対称点 $\mathrm{P’}$」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間内の4点 $\mathrm{O}(0,0,0)$、 $\mathrm{A}(1,1,0)$、 $\mathrm{B}(2,1,2)$、 $\mathrm{P}(4,0,-1)$ を考える。3点O、A、Bを通る平面を $\alpha$ とし、 $\vec{a}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec{b}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ とおく。以下の問いに答えよ。
(1) ベクトル $\vec a,\vec b$ の両方に垂直であり、 $x$ 成分が正であるような、大きさが1のベクトル $\vec n$ を求めよ。
(2) 点Pから平面 $\alpha$ に垂線を下ろし、その交点をQとおく。線分PQの長さを求めよ。
(3) 平面 $\alpha$ に関して点Pと対称な点 $\mathrm{P}’$ の座標を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\vec a,\vec b$ の両方に垂直 ⟺ 両方との内積が0。大きさはいったん気にせず、垂直なベクトルを1本求めてから大きさを1にする。逆向きもあるので、最後に「 $x$ 成分が正」で1つに決まる。
- 垂直なベクトルを $(p,q,r)$ とおき、 $\vec a$、 $\vec b$ との内積を0として $q$、 $r$ を $p$ で表す。
- 共通の係数をくくり、大きさが自由な垂直なベクトル $\vec{n’}=(2,-2,-1)$ をとる。
- $|\vec{n’}|=3$ で割って大きさを1にし、 $x$ 成分が正の方を選んで $\vec n$ を求める。
【(2)の方針】
Pから $\alpha$ に下ろした垂線は $\alpha$ に垂直なので、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ は (1) の垂直なベクトルの実数倍と置ける。Qが $\alpha$ 上にあることは、「 $\alpha$ 上の点OからQへのベクトルが垂直なベクトルと垂直」、つまり内積0と翻訳する。


- $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{n’}$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+k\vec{n’}$ でQの座標を $k$ で表す。
- Oも $\alpha$ 上の点なので $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\cdot\vec{n’}=0$。これから $k$ を求め、Qの座標を求める。
- $\mathrm{PQ}=|k||\vec{n’}|$ を計算する。
【(3)の方針】
Pと $\mathrm{P’}$ が $\alpha$ に関して対称なので、線分 $\mathrm{PP’}$ は $\alpha$ に垂直で、その中点は $\alpha$ 上にある。つまり (2) の垂線の足Qが線分 $\mathrm{PP’}$ の中点で、 $\mathrm{P’}$ はPからQへ進んだ向きに、同じ長さだけさらに進んだ点になる。


- Qが線分 $\mathrm{PP’}$ の中点であることから、 $\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+2\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ と表す。
- (2) の $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{n’}$ を代入して $\mathrm{P’}$ の座標を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\vec a=(1,1,0)$、 $\vec b=(2,1,2)$。 $\vec a$、 $\vec b$ の両方に垂直なベクトルを $(p,q,r)$ とおくと
$$p+q=0,\qquad 2p+q+2r=0$$
1つめの式から $q=-p$、これを2つめの式に代入して $r=-\dfrac p2$。よって、垂直なベクトルは $\left(p,\ -p,\ -\dfrac p2\right)=\dfrac p2(2,-2,-1)$ と表せる。大きさは何でもよいので、垂直なベクトルとして $\vec{n’}=(2,-2,-1)$ をとる。
$|\vec{n’}|=\sqrt{4+4+1}=3$ なので、大きさが1で $\vec a$、 $\vec b$ の両方に垂直なベクトルは $\pm\dfrac13(2,-2,-1)$(逆向きもあるので $\pm$ がつく)。 $x$ 成分が正なので
答 $\vec n=\left(\dfrac23,\ -\dfrac23,\ -\dfrac13\right)$
(2) 配点 20点
$\vec{n’}=(2,-2,-1)$ は平面 $\alpha$ 上の平行でない2つのベクトル $\vec a$、 $\vec b$ に垂直なので、 $\alpha$ に垂直である。PQは $\alpha$ に垂直なので、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{n’}$( $k$ は実数)とおける。PまでたどってからQへ進むと
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+k\vec{n’}=(4+2k,\ -2k,\ -1-k)$$
QとOはどちらも $\alpha$ 上の点なので $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\perp\vec{n’}$、すなわち $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\cdot\vec{n’}=0$。
$$2(4+2k)-2(-2k)-(-1-k)=0\iff9k+9=0\iff k=-1$$
よって $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=(2,\ 2,\ 0)$、 $\mathrm{Q}(2,\ 2,\ 0)$。
(確かめ: $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=2\vec a$ なので、Qは確かに $\alpha$ 上にある)
$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=-\vec{n’}$ なので
$$\mathrm{PQ}=|-1|\,|\vec{n’}|=3$$
答 $\mathrm{PQ}=3$
別解(点と平面の距離の公式) $\alpha$ は原点を通り $\vec{n’}=(2,-2,-1)$ に垂直なので、方程式は $2x-2y-z=0$。 $\mathrm{P}(4,0,-1)$ との距離は $\dfrac{|2\cdot4-2\cdot0-(-1)|}{\sqrt{2^2+(-2)^2+(-1)^2}}=\dfrac93=3$ で、同じ値になる。ただし (3) で使うQの位置( $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=-\vec{n’}$ )はこの解き方では求まらないので、(3) では本解の $k$ が必要になる。
(3) 配点 15点
Pと $\mathrm{P’}$ は $\alpha$ に関して対称なので、線分 $\mathrm{PP’}$ は $\alpha$ に垂直で、その中点は $\alpha$ 上にある。Pを通り $\alpha$ に垂直な直線と $\alpha$ の交点はQだけなので、Qは線分 $\mathrm{PP’}$ の中点である。
図のように、Pから見て $\mathrm{P’}$ はQのさらに先にあり、 $\mathrm{PP’}=2\mathrm{PQ}$。よって
$$\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+2\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(4,0,-1)+2(-2,2,1)=(0,\ 4,\ 1)$$
答 $\mathrm{P’}(0,\ 4,\ 1)$
(確かめ:線分 $\mathrm{PP’}$ の中点は $\left(\dfrac{4+0}{2},\ \dfrac{0+4}{2},\ \dfrac{-1+1}{2}\right)=(2,\ 2,\ 0)$ で、Qと一致する)
別解(中点が $\alpha$ 上にあることを使う) $\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+t\vec n$ とおき、線分 $\mathrm{PP’}$ の中点Mについて $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+\dfrac t2\vec n$、 $\overrightarrow{\mathrm{OM}}\cdot\vec n=0$ から $t=-6$ を求め、 $\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=(4,0,-1)-6\left(\dfrac23,-\dfrac23,-\dfrac13\right)=(0,4,1)$。
出題意図
(1) 「2つのベクトルの両方に垂直」を内積0の2式に翻訳し、平面に垂直なベクトルを求められるか
(2)(3) 平面に垂直なベクトルから垂線の足を求め、その足が線分 $\mathrm{PP’}$ の中点だと捉えることができるか(空間ベクトルの典型問題の流れ)
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 |
平面に垂直な大きさ1のベクトルを求め、垂線の足、対称点と進む、オーソドックスなベクトルの処理の典型問題。
やや簡単寄りの標準。
平面ベクトルはある程度できても、空間になったとたんに得点率が落ちる受験生は多いが、ベクトルで必要なのはひらめきではなく練習量だけ。
この問題も20分で50点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (2):垂線PQを平面に垂直なベクトルの実数倍で置き、Qが $\alpha$ 上にあることを内積0に翻訳するという発想に行き着けるか。ここが決まれば、あとは代入と計算だけ。
- (1) の向き:大きさ1のベクトルは逆向きもあるので、 $x$ 成分が正の方だけを答える。両方を答えると減点される。
2022年九州大学文系数学
第3問 解答・解説
第3問は複素数と方程式・整数の問題です。
テーマは「4次方程式 $x^4+6x^3-kx^2+2kx-64=0$ が虚数解をもつとき、因数 $x-2$ ・負の実数解の存在を示し、実数解・虚数解の実部と虚部がすべて整数になる $k$ を求める」。
問題


問題文をテキストで読む
$k$ を実数とし、整式 $f(x)$ を、 $f(x)=x^4+6x^3-kx^2+2kx-64$ で定める。方程式 $f(x)=0$ が虚数解をもつとき、以下の問いに答えよ。
(1) $f(x)$ は $x-2$ で割り切れることを示せ。
(2) 方程式 $f(x)=0$ は負の実数解をもつことを示せ。
(3) 方程式 $f(x)=0$ のすべての実数解が整数であり、すべての虚数解の実部と虚部がともに整数であるとする。このような $k$ をすべて求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「 $x-2$ で割り切れる」=「 $x=2$ が解」と言いかえる。 $k$ を含む2つの項は $x=2$ でちょうど打ち消し合う。
- $f(2)$ を計算し、 $k$ によらず $f(2)=0$ となることを確かめる。
- 因数定理より、 $f(x)$ は $x-2$ で割り切れると結論する。
- (2)(3) のために、割り算(組立除法)で商 $g(x)=x^3+8x^2+(16-k)x+32$ を求めておく。
【(2)の方針】
虚数解は (1) の商の3次方程式の解。共役な複素数とセットで解になるので、残りの1つは実数解と言い切れる。その符号は3つの解の積(解と係数の関係)で決まる。
- (1) より $f(x)=(x-2)g(x)$ 。 $f(x)=0$ の虚数解 $\beta$ は $g(x)=0$ の解である。
- $g(x)$ の係数は実数なので、 $\overline{\beta}$ も $g(x)=0$ の解。 $\beta\neq\overline{\beta}$ なので、残りの1つの解を $\alpha$ とおくと、 $\alpha$ は実数解である。
- 解と係数の関係(3つの解の積)より $\alpha\beta\overline{\beta}=-32$ 。
- $\beta\overline{\beta}=|\beta|^2>0$ なので $\alpha<0$ 。 $\alpha$ は $f(x)=0$ の負の実数解であると結論する。
【(3)の方針】
条件は解についての条件なので、はじめから解を整数の文字で置き、解と係数の関係を使う。整数という条件があるので、解の積の式から約数と偶奇で候補が数個に絞れる。
- $f(x)=0$ の実数解は2と $\alpha$ 。(2) より $\alpha$ は負の整数。虚数解を $p\pm qi$ ( $p,q$ は整数、 $q>0$ )とおく。
- $g(x)=0$ の3つの解 $\alpha$ 、 $p+qi$ 、 $p-qi$ について、解と係数の関係の3式(和・2つずつの積の和・積)を書く。
- 積の式 $\alpha(p^2+q^2)=-32$ より、 $-\alpha$ は32の正の約数。和の式 $\alpha=-8-2p$ より $\alpha$ は偶数。これで $\alpha=-2,\ -4,\ -8,\ -16,\ -32$ に絞る。
- それぞれ $p$ と $q^2$ を求め、 $q$ が正の整数になるものだけ残す( $\alpha=-4$ 、 $-8$ )。
- 2つずつの積の和の式から $k$ を求め、逆にそのときの解が条件をみたすことを確かめる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$$f(2)=16+48-4k+4k-64=0$$
よって、因数定理より $f(x)$ は $x-2$ で割り切れる。
実際に割ると(組立除法)、
$$f(x)=(x-2)\left\{x^3+8x^2+(16-k)x+32\right\}$$
となる。以下、 $g(x)=x^3+8x^2+(16-k)x+32$ とおく。
(2) 配点 15点
(1) より $f(x)=(x-2)g(x)$ である。 $f(x)=0$ の虚数解の1つを $\beta$ とすると、 $\beta\neq2$ なので $g(\beta)=0$ である。
$g(x)$ の係数はすべて実数なので、 $\beta$ と共役な複素数 $\overline{\beta}$ も $g(x)=0$ の解である。 $\beta$ は虚数なので $\beta\neq\overline{\beta}$ 。よって、3次方程式 $g(x)=0$ の残りの1つの解を $\alpha$ とおける。解と係数の関係より
$$\alpha+\beta+\overline{\beta}=-8$$
で、 $\beta+\overline{\beta}$ は実数なので、 $\alpha$ は実数である。
さらに、解と係数の関係(3つの解の積)より
$$\alpha\beta\overline{\beta}=-32$$
$\beta\overline{\beta}=|\beta|^2>0$ なので
$$\alpha=-\dfrac{32}{|\beta|^2}<0$$
$\alpha$ は $g(x)=0$ の解なので $f(\alpha)=0$ 。したがって、方程式 $f(x)=0$ は負の実数解 $\alpha$ をもつ。
別解(グラフ) $y=g(x)$ は $x^3$ の係数が正の3次関数なので、グラフは $x$ を小さくしていくといくらでも下がる。一方 $g(0)=32>0$ なので、グラフは $x<0$ の範囲で $x$ 軸と交わる。この交点の $x$ 座標が $g(x)=0$ の負の実数解で、 $f(x)=0$ の負の実数解でもある。(この解き方では「虚数解をもつ」という条件を使わない。本解の方が (3) にそのままつながる)
(3) 配点 25点
$f(x)=0$ の解は、 $x=2$ と $g(x)=0$ の3つの解である。(2) より $g(x)=0$ は実数解 $\alpha$ ( $\alpha<0$ )と虚数解 $\beta$ 、 $\overline{\beta}$ をもつ。条件より $\alpha$ は整数で、 $\beta=p+qi$ ( $p,q$ は整数で $q\neq0$ 。 $\beta$ と $\overline{\beta}$ を入れかえて $q>0$ としてよい)とおける。このとき $\overline{\beta}=p-qi$ 。
$g(x)=0$ の解と係数の関係より
$$\alpha+2p=-8\quad\cdots\cdots①$$
$$2p\alpha+p^2+q^2=16-k\quad\cdots\cdots②$$
$$\alpha\left(p^2+q^2\right)=-32\quad\cdots\cdots③$$
$p^2+q^2$ は正の整数なので、③より $-\alpha$ は32の正の約数である。また、①より $\alpha=-8-2p$ は偶数である。よって
$$\alpha=-2,\ -4,\ -8,\ -16,\ -32$$
①より $p=\dfrac{-8-\alpha}{2}$ 、③より $p^2+q^2=-\dfrac{32}{\alpha}$ なので、それぞれ調べると次のようになる。
| $\alpha$ | $-2$ | $-4$ | $-8$ | $-16$ | $-32$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $p$ | $-3$ | $-2$ | $0$ | $4$ | $12$ |
| $p^2+q^2$ | $16$ | $8$ | $4$ | $2$ | $1$ |
| $q^2$ | $7$ | $4$ | $4$ | $-14$ | $-143$ |
$q$ は正の整数なので、 $q^2$ が正の平方数になる $\alpha=-4$ ( $p=-2$ 、 $q=2$ )と $\alpha=-8$ ( $p=0$ 、 $q=2$ )だけが残る。
②より $k=16-\left(2p\alpha+p^2+q^2\right)$ なので
$\alpha=-4$ 、 $p=-2$ 、 $q=2$ のとき $k=16-(16+8)=-8$
$\alpha=-8$ 、 $p=0$ 、 $q=2$ のとき $k=16-(0+4)=12$
逆に、 $k=-8$ のとき $g(x)=x^3+8x^2+24x+32=(x+4)\left(x^2+4x+8\right)$ で、 $f(x)=0$ の解は $x=2,\ -4,\ -2\pm2i$ 。 $k=12$ のとき $g(x)=x^3+8x^2+4x+32=(x+8)\left(x^2+4\right)$ で、解は $x=2,\ -8,\ \pm2i$ 。どちらも虚数解をもち、条件をみたす。
答 $k=-8,\ 12$
別解(因数分解した形を置く) (2) の結果から、 $g(x)=(x-\alpha)\left(x^2-2px+p^2+q^2\right)$ と置いて展開し、係数を比べても①〜③と同じ3式が得られる。以降は本解と同じ。
出題意図
(1) 「 $x-2$ で割り切れる」を「 $f(2)=0$ 」と言いかえられるか。因数定理という基本が理解できているか。
(2) 「虚数解をもつ」という条件を、共役な複素数とセットで捉えられるか。(1) で残った3次方程式に解と係数の関係を使い、実数解の符号を決めることができるか。
(3) 解を文字で置き、解と係数の関係と整数の条件から候補を絞り込めるか。(2) の「実数解は負」を使って、有限個の場合を調べ尽くせるか。
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 |
(1) は因数定理だけの確認問題で、ここを落とすようでは合格は厳しい。
(2) は「示せ」と言われて方針が立たなかった受験生が多いと思われるが、中身は「虚数解は共役とセット」「3次方程式なら残りの1つは実数解」という教科書レベルの事実を並べるだけ。
(3) も解を文字で置いて解と係数の関係を書けば、あとは整数の条件で候補を絞る作業になる。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):何を示せばよいかへの言いかえ:「負の実数解をもつ」=「 $g(x)=0$ の実数解が負」と言いかえ、虚数解は共役とセットなので残りの1つは実数解→解の積で符号を決める、という発想に行き着けるか。
- (3) で解を文字で置き、整数の条件で候補を絞れるか:解と係数の関係の積の式と偶奇で $\alpha$ を5つに絞れれば、あとは調べるだけ。
- (3) の調べ漏れ: $q^2$ が負や平方数でない場合を1つずつ消していく所で、候補の書き落としが失点につながる。
2022年九州大学文系数学
第4問 解答・解説
第4問は積分法・微分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「定積分の定義から、定積分の性質と、長方形の面積の和で定積分をはさむ不等式を示す(長文・穴埋めと証明)」。
問題


問題文をテキストで読む
定積分について述べた次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
$f(x)$ を整式とする。 $F'(x)=f(x)$ となる関数 $F(x)$ を1つ選び、 $f(x)$ の $a$ から $b$ までの定積分を
$$\int_a^b f(x)\,dx=F(b)-F(a)\quad\cdots\cdots①$$
で定義する。定積分の値は $F(x)$ の選び方によらず定まる。定積分は次の性質(A)、(B)、(C)をもつ。
(A) $\displaystyle\int_a^b\{kf(x)+lg(x)\}\,dx=k\int_a^b f(x)\,dx+l\int_a^b g(x)\,dx$
(B) $a\leqq c\leqq b$ のとき、 $\displaystyle\int_a^c f(x)\,dx+\int_c^b f(x)\,dx=\int_a^b f(x)\,dx$
(C) 区間 $a\leqq x\leqq b$ において $g(x)\geqq h(x)$ ならば、 $\displaystyle\int_a^b g(x)\,dx\geqq\int_a^b h(x)\,dx$
ただし、 $f(x)$、 $g(x)$、 $h(x)$ は整式、 $k,l$ は定数である。
以下、 $f(x)$ が区間 $0\leqq x\leqq1$ 上で増加関数になる場合を考える。 $n$ を自然数とする。定積分の性質[ア]を用い、定数関数に対する定積分の計算を行うと、
$$\frac1n f\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}f(x)\,dx\leqq\frac1n f\left(\frac in\right)\quad(i=1,2,\cdots,n)\quad\cdots\cdots②$$
が成り立つことがわかる。 $S_n=\dfrac1n\displaystyle\sum_{i=1}^n f\left(\dfrac{i-1}{n}\right)$ とおくと、不等式②と定積分の性質[イ]より次の不等式が成り立つ。
$$0\leqq\int_0^1f(x)\,dx-S_n\leqq\frac{f(1)-f(0)}{n}\quad\cdots\cdots③$$
よって、 $n$ を限りなく大きくすると、 $S_n$ は $\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx$ に限りなく近づく。
(1) 関数 $F(x)$、 $G(x)$ が微分可能であるとき、 $\{F(x)+G(x)\}’=F'(x)+G'(x)$ が成り立つことと定積分の定義①を用いて、性質(A)で $k=l=1$ とした場合の等式 $\displaystyle\int_a^b\{f(x)+g(x)\}\,dx=\int_a^b f(x)\,dx+\int_a^b g(x)\,dx$ を示せ。
(2) 定積分の定義①と、関数の増減と導関数の関係を用いて、次を示せ。
$a<b$ のとき、区間 $a\leqq x\leqq b$ において $g(x)>0$ ならば、 $\displaystyle\int_a^b g(x)\,dx>0$
(3) (A)、(B)、(C)のうち、空欄[ア]に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また文章中の下線部の内容を詳しく説明することで、不等式②を示せ。
(4) (A)、(B)、(C)のうち、空欄[イ]に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また、不等式③を示せ。
解答の方針
話の流れは「定義① → 性質(A)(B)(C) → 不等式② → 不等式③ → $S_n$ が定積分に近づく」。前半の (1)(2) は性質(A)(C) が成り立つ理由を確かめる小問、後半の (3)(4) は②③ を導く小問で、一歩ずつ証明を進める形になっている。空欄[ア][イ]では、その段で働く性質を (A)(B)(C) から選ぶ。
【(1)の方針】
定義①は「微分すると被積分関数になる関数を1つ選び、端の値の差をとる」もの。 $F(x)+G(x)$ が「微分すると $f(x)+g(x)$ になる関数」であることを、和の微分の公式で保証すればよい。
- $f(x)$、 $g(x)$ は整式なので、 $F'(x)=f(x)$、 $G'(x)=g(x)$ となる関数 $F(x)$、 $G(x)$ をとる。
- 和の微分の公式から $\{F(x)+G(x)\}’=f(x)+g(x)$ となり、 $F(x)+G(x)$ が「微分すると $f(x)+g(x)$ になる関数」の1つであることを示す。
- 定義①を $f(x)+g(x)$ と $F(x)+G(x)$ に当てはめ、並べかえて $\displaystyle\int_a^bf(x)\,dx+\int_a^bg(x)\,dx$ の形にする。
【(2)の方針】
定義①で、積分の値は $G(b)-G(a)$( $G'(x)=g(x)$)。この符号は $G(b)$ と $G(a)$ の大小で決まり、それは $G'(x)=g(x)>0$ から「 $G(x)$ は増加する」ことで決まる。


- $G'(x)=g(x)$ となる関数 $G(x)$ をとり、定義①で $\displaystyle\int_a^bg(x)\,dx=G(b)-G(a)$ と書く。
- 区間 $a\leqq x\leqq b$ で $G'(x)=g(x)>0$ なので、 $G(x)$ はこの区間で増加すると述べる(関数の増減と導関数の関係)。
- $a<b$ より $G(a)<G(b)$ となり、積分が正であると結論する。
【(3)の方針】
$f(x)$ は増加関数なので、幅 $\dfrac1n$ の小区間の中では、値は左端の値以上・右端の値以下に収まる。この大小を積分に持ちこむ道具が性質(C)で、両端の値は定数なので、積分は長方形の面積として計算できる。


- 小区間 $\dfrac{i-1}{n}\leqq x\leqq\dfrac in$ で $f\left(\dfrac{i-1}{n}\right)\leqq f(x)\leqq f\left(\dfrac in\right)$ が成り立つことを書き、性質(C)に従って3つの辺を同じ区間で積分する。
- 定数の積分は定義①で計算でき、その値は $\dfrac cn$ になる。これで②が成り立つ。
【(4)の方針】
②を小区間ごとに並べて足し合わせる。小区間のつなぎ目をまとめるのが性質(B)。右側の和は $S_n$ と添字が1つずれているだけなので、違いは $f(1)$ と $f(0)$ の2項に集まる。
- ②を $i=1,\ 2,\ \cdots,\ n$ のすべてで辺ごとに足し、性質(B)で中辺を $\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx$ にまとめる。
- 右側の和を $S_n+\dfrac{f(1)-f(0)}{n}$ と書きかえ、各辺から $S_n$ を引いて③を得る。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
$f(x)$、 $g(x)$ は整式なので、 $F'(x)=f(x)$、 $G'(x)=g(x)$ となる関数 $F(x)$、 $G(x)$ がとれる(たとえば、各項を $x^k\to\dfrac{x^{k+1}}{k+1}$ と置きかえた整式)。
和の微分の公式より
$$\{F(x)+G(x)\}’=F'(x)+G'(x)=f(x)+g(x)$$
なので、 $F(x)+G(x)$ は「微分すると $f(x)+g(x)$ になる関数」の1つである。
$f(x)+g(x)$ も整式なので、定義①で $F(x)+G(x)$ を選ぶと(定積分の値は選び方によらない)
$$\begin{aligned}\int_a^b\{f(x)+g(x)\}\,dx&=\{F(b)+G(b)\}-\{F(a)+G(a)\}\\&=\{F(b)-F(a)\}+\{G(b)-G(a)\}\\&=\int_a^bf(x)\,dx+\int_a^bg(x)\,dx\end{aligned}$$
最後の等号は、定義①を $f(x)$ と $F(x)$、 $g(x)$ と $G(x)$ に当てはめたものである。(証明終)
(2) 配点 13点
$g(x)$ は整式なので、 $G'(x)=g(x)$ となる関数 $G(x)$ がとれる。定義①より
$$\int_a^bg(x)\,dx=G(b)-G(a)$$
区間 $a\leqq x\leqq b$ において $G'(x)=g(x)>0$ である。導関数が常に正である区間では関数は増加するので、 $G(x)$ は区間 $a\leqq x\leqq b$ で増加する。
$a<b$ より $G(a)<G(b)$。よって
$$\int_a^bg(x)\,dx=G(b)-G(a)>0$$
(証明終)
(3) 配点 12点
答 [ア](C)
$f(x)$ は区間 $0\leqq x\leqq1$ で増加するので、どの小区間 $\dfrac{i-1}{n}\leqq x\leqq\dfrac in$ でも、値は左端の値以上、右端の値以下である。
$$f\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq f(x)\leqq f\left(\frac in\right)$$
両側の値は $x$ によらない定数である。性質(C)は「大小関係は積分しても保たれる」という性質なので、この小区間で3つの辺をそれぞれ積分する。定数 $c$ の積分は、$(cx)’=c$ と定義①から
$$\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}c\,dx=c\cdot\frac in-c\cdot\frac{i-1}{n}=\frac cn$$
となるので、②が得られる。
(4) 配点 13点
答 [イ](B)
②を $i=1,\ 2,\ \cdots,\ n$ のすべてについて、辺ごとに加える。中辺は、性質(B)で小区間を左から順につないでいくと1つの積分になる。
$$\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq\sum_{i=1}^n\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}f(x)\,dx=\int_0^1f(x)\,dx\leqq\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac in\right)$$
左端の和は $S_n$ そのものである。右端の和は、$S_n$ の和と比べて $f(0)$ の項が $f(1)$ の項に入れかわっただけなので
$$\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac in\right)=S_n+\frac{f(1)-f(0)}{n}$$
と書ける。全体から $S_n$ を引くと③になる。
出題意図
(1)(2) 教科書で何気なく使っている定積分の性質を、定義①に戻って根拠から示せるか。公式が使えるだけでなく、その公式がなぜ成り立つのかを、式と言葉で説明できるか。
(3)(4) 不等式②③を見て「幅 $\dfrac1n$ の長方形の面積で、定積分を上下からはさんでいる」と捉えることができるか。そのうえで、各段で使う性質を(A)(B)(C)から正しく選べるか。
講評
| 難易度 | 難 |
| 目標得点 | 15点 |
| 目標時間 | 30分 |
長文と見慣れない設定で、読まずに飛ばした受験生が多いと思われる。
しかし (1)(2) は定積分の定義①に戻って、和の微分の公式や、増減と導関数の関係を当てはめるだけで、ここで15点を取りたい。
差がつくのは (3)(4) で、不等式②を見て「幅 $\dfrac1n$ の長方形で面積を上下からはさんでいる」と図で読めるか。
差がつく所・失点しやすい所
- 長文に身構えず、(1)(2) を定義①に当てはめるだけと気づけるか:長文の問題なので、読まずに飛ばした受験生が多いと思われる。中身は教科書レベルの公式の証明で、読めば (1)(2) と[ア][イ]は確実に取れる。
- (3) で②の形を見て「長方形の面積で定積分を上下からはさんでいる」という発想に行き着けるか:定積分を面積として図で考える習慣があるかで大きく差がつく。
- (2) で「面積が正だから」で済ませない:問題は定義①から示すことを求めている。 $G(b)-G(a)$ に直し、増減と導関数の関係で大小を決める。
2022年九州大学・文系数学の
講評とまとめ
4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 標準 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 50点 |
| 第3問 | やや難 | 25点 |
| 第4問 | 難 | 15点 |
| 全体 | やや難 | 130点 |
大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと140点になりますが、全体の目標点は130点です。
この年は、第3問や第4問の後半に食らいつくより、第1問・第2問・第3問 (1)・第4問 (1) を確実に取ることが大切です。
第3問・第4問が難しいので高得点は難しく、130点を目標にします。
九大の文系数学は、頻出の単元が難しい年もあれば、あまり出ない単元が解きやすく出る年もあります。
そのため、苦手な単元を作らないことが最も大事です。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問 → 第4問(第4問は長文なので最後に回し、(1)(2) とア・イで30点を確保する)
- 目標時間の合計は100分(第1問20分・第2問20分・第3問30分・第4問30分)。残りの20分は見直しと予備。
2022年九州大学・文系数学に
関するよくある質問
2022年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2022年の九州大学・文系数学は難しかった?
-
やや難しい年でした。
第1問・第2問は標準、第3問はやや難、第4問は難です。
第3問と第4問が難しく、高得点は難しい年でした。 - 2022年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は130点です(200点満点)。
- 2022年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第2問は確実に取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の3つです。
- 第3問 (2):「虚数解は共役とセット」から、残りの1つは実数解だと言いかえ、解の積で符号を決められたか。
- 第3問 (3):解を文字で置き、解と係数の関係と整数の条件で候補を絞れたか。
- 第4問 (3)(4):不等式②を「長方形の面積で定積分を上下からはさむ」と図で読めたか。(1)(2) は定義①に当てはめるだけなので取りたいところです。
- 2022年の九州大学・文系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:積分法(数学Ⅱ)・2次関数
- 第2問:空間ベクトル
- 第3問:複素数と方程式・整数
- 第4問:積分法・微分法(数学Ⅱ)


