【解説・採点基準付き】2012年九州大学文系数学の解答・解説

2012年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2012年九州大学文系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「座標空間の3点A、B、Cでできる三角形ABCについて、∠Bが鈍角であることの証明、Aから直線BCに下ろした垂線の足H、三角形OAHの面積」。

問題

2012年九州大学文系数学 第1問 問題
2012年九州大学文系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

原点をOとする座標空間に、3点 $\mathrm{A}(1,0,0)$、 $\mathrm{B}(0,0,2)$、 $\mathrm{C}(-2,1,3)$ がある。このとき、以下の問いに答えよ。

(1) $\triangle\mathrm{ABC}$ において、 $\angle\mathrm{B}$ は $\dfrac{\pi}{2}$ より大きいことを示せ。

(2) 点Aから直線BCに下ろした垂線と直線BCとの交点をHとする。点Hの座標を求めよ。

(3) $\triangle\mathrm{OAH}$ の面積を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

∠Bは2本のベクトル $\overrightarrow{\mathrm{BA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ のなす角。 $\cos\angle\mathrm{B}$ の符号は内積 $\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ の符号と同じなので、内積が負であることを示せばよい。

  1. 終点−始点で $\overrightarrow{\mathrm{BA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ を成分で表す。
  2. 内積 $\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ を計算し、負になることを確かめる。
  3. $\cos\angle\mathrm{B}=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}}{|\overrightarrow{\mathrm{BA}}||\overrightarrow{\mathrm{BC}}|}<0$ と $0<\angle\mathrm{B}<\pi$ から、 $\angle\mathrm{B}>\dfrac{\pi}{2}$ と結論する。

【(2)の方針】

着眼点

直線上の点は1文字で置き、垂直は内積0に言いかえる。(1) より∠Bは鈍角なので、Hは線分BCの外(Bの先)にあると見当がつく。

2012年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. 直線BC上の点Hを $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+t\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ とおき、Hの座標を $t$ で表す。
  2. $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\overrightarrow{\mathrm{OH}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ を成分で表す。
  3. $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\perp\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ より $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=0$ として $t$ を求め、Hの座標を求める。

【(3)の方針】

着眼点

成分がそろっているので、大きさと内積を求めて三角形の面積の公式に代入するだけ。OAが $x$ 軸上なので、底辺と高さでも確かめられる。

  1. $|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2$、 $|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2$、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ を成分で計算する。
  2. 三角形の面積の公式 $\dfrac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OH}})^2}$ に代入する。

解答

2012年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 15点

終点−始点より

$$\overrightarrow{\mathrm{BA}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(1,\ 0,\ -2),\qquad\overrightarrow{\mathrm{BC}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(-2,\ 1,\ 1)$$

( $\overrightarrow{\mathrm{BA}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ は平行でないので、3点A、B、Cは三角形をつくる)

内積を計算すると

$$\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=1\cdot(-2)+0\cdot1+(-2)\cdot1=-4$$

$|\overrightarrow{\mathrm{BA}}|=\sqrt5$、 $|\overrightarrow{\mathrm{BC}}|=\sqrt6$ なので

$$\cos\angle\mathrm{B}=\frac{\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}}{|\overrightarrow{\mathrm{BA}}||\overrightarrow{\mathrm{BC}}|}=\frac{-4}{\sqrt5\cdot\sqrt6}<0$$

$0<\angle\mathrm{B}<\pi$ で $\cos\angle\mathrm{B}<0$ なので、 $\angle\mathrm{B}>\dfrac{\pi}{2}$ である。(証明終)

三角形ABCをその平面に取り出すと上の図のようになる。∠Bは鈍角で、(2) のHは線分BCの外側(Bの先)にある。

別解(3辺の長さの2乗を比べる)  $\mathrm{AB}^2=1+0+4=5$、 $\mathrm{BC}^2=4+1+1=6$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-3,1,3)$ より $\mathrm{CA}^2=9+1+9=19$。余弦定理より

$$\cos\angle\mathrm{B}=\frac{\mathrm{AB}^2+\mathrm{BC}^2-\mathrm{CA}^2}{2\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BC}}=\frac{5+6-19}{2\sqrt{30}}<0$$

なので、 $\angle\mathrm{B}>\dfrac{\pi}{2}$ である( $\mathrm{AB}^2+\mathrm{BC}^2<\mathrm{CA}^2$ を示したことと同じ)。

(2) 配点 20点

Hは直線BC上の点なので、直線上の点はBまで進んでから $\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ の実数倍を足して

$$\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+t\overrightarrow{\mathrm{BC}}=(0,\ 0,\ 2)+t(-2,\ 1,\ 1)=(-2t,\ t,\ 2+t)\quad(t\text{ は実数})$$

とおける。

$$\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\overrightarrow{\mathrm{OH}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(-2t-1,\ t,\ 2+t)$$

AHは直線BCに垂直なので $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\perp\overrightarrow{\mathrm{BC}}$、すなわち $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=0$ である。

$$\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=-2(-2t-1)+t+(2+t)=6t+4=0\qquad\therefore\ t=-\frac23$$

よって

$$\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\left(\frac43,\ -\frac23,\ \frac43\right)$$

答 $\mathrm{H}\left(\dfrac43,\ -\dfrac23,\ \dfrac43\right)$

$t=-\dfrac23<0$ なので、HはBから見てCと反対側にある(上の図)。(1) で∠Bが鈍角と分かっていることと合う。 $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\left(\dfrac13,\ -\dfrac23,\ \dfrac43\right)$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{AH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=-\dfrac23-\dfrac23+\dfrac43=0$ となり、確かに垂直である。

別解(正射影で $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ を求める) 内積は、一方のベクトルの大きさと、もう一方のベクトルをその向きに正射影した長さ(符号つき)の積で表せる。よって、BからHへのベクトルは

$$\overrightarrow{\mathrm{BH}}=\frac{\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}}{|\overrightarrow{\mathrm{BC}}|^2}\overrightarrow{\mathrm{BC}}=\frac{-4}{6}\overrightarrow{\mathrm{BC}}=-\frac23\overrightarrow{\mathrm{BC}}$$

となり、(1) の内積 $-4$ がそのまま使える。 $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\dfrac23\overrightarrow{\mathrm{BC}}=\left(\dfrac43,\ -\dfrac23,\ \dfrac43\right)$ で、同じ答えになる。

(3) 配点 15点

$\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(1,\ 0,\ 0)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\left(\dfrac43,\ -\dfrac23,\ \dfrac43\right)$ より

$$|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2=1,\qquad|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2=\frac{16}9+\frac49+\frac{16}9=4,\qquad\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\frac43$$

三角形の面積の公式より

$$\triangle\mathrm{OAH}=\frac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OH}})^2}=\frac12\sqrt{1\cdot4-\frac{16}9}=\frac12\sqrt{\frac{20}9}=\frac12\cdot\frac{2\sqrt5}{3}=\frac{\sqrt5}{3}$$

答 $\dfrac{\sqrt5}{3}$

別解(OAを底辺、Hと $x$ 軸の距離を高さにする) OAは $x$ 軸上にあり、長さは1である。 $\mathrm{H}\left(\dfrac43,\ -\dfrac23,\ \dfrac43\right)$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足は $\left(\dfrac43,\ 0,\ 0\right)$ で、Hと $x$ 軸の距離は

$$\sqrt{\left(-\frac23\right)^2+\left(\frac43\right)^2}=\frac{2\sqrt5}{3}$$

これが三角形OAHの高さなので、 $\triangle\mathrm{OAH}=\dfrac12\cdot1\cdot\dfrac{2\sqrt5}{3}=\dfrac{\sqrt5}{3}$ で、同じ値になる。

三角形OAHを、 $x$ 軸とHを含む平面に取り出すと上の図のようになる。垂線の足 $\left(\dfrac43,\ 0,\ 0\right)$ は線分OAの外にあるが、高さはHと $x$ 軸の距離のままでよい。

出題意図

(1) 角が鈍角かどうかを、2本のベクトルの内積の符号で判定できるか(教科書・チャートの例題レベル)。

(2) 「直線に下ろした垂線の足」を、直線上の点を1文字で置き、垂直を内積0に言いかえて求められるか。

(3) 2辺のベクトルの大きさと内積から、三角形の面積の公式で面積を求められるか。(2) で求めたHがそのまま (3) で使われる。

講評

難易度簡単
目標得点50点
目標時間20分

座標空間の問題は、ベクトルが頻出の単元なので、迷わずベクトルで解くと決める。
鈍角は内積が負、垂直は内積が0、面積は三角形の面積の公式と、3つの小問はどれも空間ベクトルの基本で、成分で計算するだけで進む。
(1) が「Hは線分BCの外にある」というヒントにもなっている。
簡単な問題なので、練習量だけで取れる50点を取り切ろう。

差がつく所・失点しやすい所

  • 失点しやすい所:垂線の足Hは線分BCの外(Bの先)にある。線分BC上に置いた図で考えると混乱するので、(1) で分かった鈍角を図に反映させる。差がつくとすれば計算ミスだけなので、検算を習慣にする。

2012年九州大学文系数学
第2問 解答・解説

第2問は微分法(数学Ⅱ)・複素数と方程式・数と式の問題です。
テーマは「3次関数のグラフの傾き $t$ の2本の接線と、2つの接点の点対称性、接点間の距離の最小」。

問題

2012年九州大学文系数学 第2問 問題
2012年九州大学文系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

関数 $f(x)=x^3+3x^2+x-1$ を考える。曲線 $C:y=f(x)$ について、以下の問いに答えよ。

(1) $t\geqq0$ のとき、曲線 $C$ は傾きが $t$ である接線を2本持つことを示せ。

(2) (1)において、傾きが $t$ である2本の接線と曲線 $C$ との接点を、それぞれ $\mathrm{P}(p,f(p))$、 $\mathrm{Q}(q,f(q))$ とする(ただし $p<q$ )。このとき、点Pと点Qは点 $\mathrm{A}(-1,0)$ に関して対称の位置にあることを示せ。

(3) $t\geqq0$ のとき、2点P、Qの間の距離の最小値を求めよ。また、最小値を与えるときのP、Qの $x$ 座標 $p$、 $q$ もそれぞれ求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

傾き $t$ の接線の接点は $f'(x)=t$ の解。 $f'(x)$ はグラフで見て、直線 $y=t$ との交点の数を考える。

2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $f'(x)=3x^2+6x+1$ を求め、傾き $t$ の接線の接点の $x$ 座標は $f'(x)=t$ の実数解であることを確かめる。
  2. $f'(x)=3(x+1)^2-2$ と平方完成し、 $y=f'(x)$ は頂点 $(-1,\ -2)$ の下に凸の放物線であることを確かめる。
  3. $t\geqq0>-2$ なので、直線 $y=t$ と放物線 $y=f'(x)$ は異なる2点で交わる。よって接点は2つある。
  4. 1本の直線が2点で $C$ に接すると、3次方程式が2つの重解をもつことになり矛盾する。よって接点が異なる2本の接線は異なる直線であり、接線は2本ある。

【(2)の方針】

着眼点

3次関数のグラフは点対称なので、「Aに関して対称」を「PQの中点がA」と言いかえる。 $p,\ q$ は2解なので、対称式は解と係数の関係で計算できる。

2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $p,\ q$ は2次方程式 $3x^2+6x+1-t=0$ の2解なので、解と係数の関係から $p+q=-2$、 $pq=\dfrac{1-t}{3}$ を求める。
  2. 示すことを「PQの中点がA」、すなわち $\dfrac{p+q}{2}=-1$ かつ $\dfrac{f(p)+f(q)}{2}=0$ と言いかえる。
  3. $f(p)+f(q)=(p^3+q^3)+3(p^2+q^2)+(p+q)-2$ と書き、 $p^2+q^2$、 $p^3+q^3$ を $p+q$、 $pq$ で表して代入し、 $0$ になることを確かめる。

【(3)の方針】

着眼点

PQの最小は、√ の中身 $\mathrm{PQ}^2$ の最小と同じ。 $p,\ q$ は $t$ で決まるので、 $\mathrm{PQ}^2$ を $t$ だけの関数に落として微分する。最小値の候補は、極小の所と区間の端 $t=0$ の両方。

2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $\mathrm{PQ}^2=(q-p)^2+\{f(q)-f(p)\}^2=(q-p)^2\left\{1+\left(\dfrac{f(q)-f(p)}{q-p}\right)^2\right\}$ と書く。
  2. $(q-p)^2=(p+q)^2-4pq=\dfrac{4(t+2)}{3}$ を求める。
  3. 直線PQの傾き $\dfrac{f(q)-f(p)}{q-p}=(p^2+pq+q^2)+3(p+q)+1$ を $p+q$、 $pq$ で表し、 $\dfrac{t-4}{3}$ を求める。
  4. $\mathrm{PQ}^2=\dfrac{4}{27}(t+2)(t^2-8t+25)$ とまとめ、 $g(t)=(t+2)(t^2-8t+25)=t^3-6t^2+9t+50$ とおく。
  5. $g'(t)=3(t-1)(t-3)$ から $t\geqq0$ での増減を調べ、端の値 $g(0)$ と極小値 $g(3)$ を比べる。
  6. どちらも $50$ なので、最小値は $t=0,\ 3$ の2か所でとる。 $\mathrm{PQ}$ の最小値と、それぞれの $t$ での $p,\ q$ を $3x^2+6x+1-t=0$ を解いて求める。

解答

2012年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第2問 解答・解説(続き)
2012年九州大学文系数学 第2問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

$f'(x)=3x^2+6x+1$ である。曲線 $C$ 上の点 $(x,\ f(x))$ における接線の傾きは $f'(x)$ なので、傾きが $t$ である接線の接点の $x$ 座標は、方程式

$$3x^2+6x+1=t\quad\cdots①$$

の実数解である。

$f'(x)=3(x+1)^2-2$ なので、 $y=f'(x)$ は頂点 $(-1,\ -2)$ の下に凸の放物線である。 $t\geqq0>-2$ より、直線 $y=t$ は放物線 $y=f'(x)$ と異なる2点で交わるので、①は異なる2つの実数解をもつ(判別式 $\dfrac{D}{4}=9-3(1-t)=3(t+2)>0$ としてもよい)。よって、傾きが $t$ である接線の接点は2つある。

さらに、接点が異なる2本の接線は異なる直線である。実際、1本の直線 $y=tx+b$ が $C$ と2点 $x=\alpha,\ \beta$( $\alpha\neq\beta$ )で接するとすると、 $f(x)-(tx+b)=0$ は $x=\alpha$ と $x=\beta$ をともに重解にもち、左辺は $(x-\alpha)^2(x-\beta)^2$ で割り切れる。しかし左辺は3次式なので、これは起こらない。

よって、 $t\geqq0$ のとき、曲線 $C$ は傾きが $t$ である接線を2本持つ。(証明終)

(2) 配点 15点

$p,\ q$ は①、すなわち $3x^2+6x+1-t=0$ の2つの解なので、解と係数の関係より

$$p+q=-2,\qquad pq=\dfrac{1-t}{3}$$

点Pと点Qが点Aに関して対称であることは、線分PQの中点がAであること、すなわち

$$\dfrac{p+q}{2}=-1\quad\text{かつ}\quad\dfrac{f(p)+f(q)}{2}=0$$

と同じである。1つ目は $p+q=-2$ から成り立つ。

$f(p)+f(q)$ は $p,\ q$ の対称式なので、基本対称式 $p+q$、 $pq$ で表す。

$$p^2+q^2=(p+q)^2-2pq=4-2pq,\qquad p^3+q^3=(p+q)^3-3pq(p+q)=-8+6pq$$

よって

$$f(p)+f(q)=(p^3+q^3)+3(p^2+q^2)+(p+q)-2=(-8+6pq)+3(4-2pq)-2-2=0$$

したがって線分PQの中点は $(-1,\ 0)$、すなわち点Aであり、点Pと点Qは点Aに関して対称の位置にある。(証明終)

別解( $x+1$ の塊で書き直す)  $f(x)=(x+1)^3-2(x+1)$ と書ける(展開すると $x^3+3x^2+x-1$ )。 $f'(x)=3(x+1)^2-2=t$ より $(x+1)^2=\dfrac{t+2}{3}$ で、 $k=\sqrt{\dfrac{t+2}{3}}\ (>0)$ とおくと $p=-1-k$、 $q=-1+k$。このとき

$$f(p)=(-k)^3-2(-k)=-(k^3-2k),\qquad f(q)=k^3-2k$$

なので $f(p)+f(q)=0$、かつ $p+q=-2$ で、本解と同じく中点はAになる。 $u=x+1$ とおけば $y=u^3-2u$ は奇関数であり、グラフが点Aに関して点対称であることが分かる。

(3) 配点 25点

$$\mathrm{PQ}^2=(q-p)^2+\{f(q)-f(p)\}^2=(q-p)^2\left\{1+\left(\dfrac{f(q)-f(p)}{q-p}\right)^2\right\}$$

(2) の $p+q=-2$、 $pq=\dfrac{1-t}{3}$ を使う。まず

$$(q-p)^2=(p+q)^2-4pq=4-\dfrac{4(1-t)}{3}=\dfrac{4(t+2)}{3}$$

次に、直線PQの傾きは

$$\dfrac{f(q)-f(p)}{q-p}=\dfrac{(q^3-p^3)+3(q^2-p^2)+(q-p)}{q-p}=(p^2+pq+q^2)+3(p+q)+1$$

で、 $p^2+pq+q^2=(p+q)^2-pq=4-pq$ なので

$$\dfrac{f(q)-f(p)}{q-p}=4-pq-6+1=-1-\dfrac{1-t}{3}=\dfrac{t-4}{3}$$

よって

$$\mathrm{PQ}^2=\dfrac{4(t+2)}{3}\left\{1+\dfrac{(t-4)^2}{9}\right\}=\dfrac{4}{27}(t+2)(t^2-8t+25)$$

$g(t)=(t+2)(t^2-8t+25)=t^3-6t^2+9t+50$ とおくと

$$g'(t)=3t^2-12t+9=3(t-1)(t-3)$$

$t\geqq0$ での増減は次のようになる。

$t$$0$$\cdots$$1$$\cdots$$3$$\cdots$
$g'(t)$$+$$0$$-$$0$$+$
$g(t)$$50$$\nearrow$$54$$\searrow$$50$$\nearrow$

最小値の候補は、区間の端 $t=0$ と極小の $t=3$ で、 $g(0)=2\cdot25=50$、 $g(3)=5\cdot10=50$ と等しい。よって $g(t)$ は $t=0$ と $t=3$ の2か所で最小値 $50$ をとる。

このとき $\mathrm{PQ}^2=\dfrac{4}{27}\cdot50=\dfrac{200}{27}$ なので、PQの最小値は

$$\sqrt{\dfrac{200}{27}}=\dfrac{10\sqrt2}{3\sqrt3}=\dfrac{10\sqrt6}{9}$$

$p,\ q$ は①の解 $x=\dfrac{-3\pm\sqrt{3(t+2)}}{3}$ で、 $p<q$ である。

$t=0$ のとき $p=\dfrac{-3-\sqrt6}{3}$、 $q=\dfrac{-3+\sqrt6}{3}$。 $t=3$ のとき $p=\dfrac{-3-\sqrt{15}}{3}$、 $q=\dfrac{-3+\sqrt{15}}{3}$。

答 最小値 $\dfrac{10\sqrt6}{9}$。最小値を与えるのは $p=\dfrac{-3-\sqrt6}{3}$、 $q=\dfrac{-3+\sqrt6}{3}$ のときと、 $p=\dfrac{-3-\sqrt{15}}{3}$、 $q=\dfrac{-3+\sqrt{15}}{3}$ のとき

検算  $t=0$ のとき、 $(q-p)^2=\dfrac{8}{3}$、傾きは $-\dfrac43$ なので $\mathrm{PQ}^2=\dfrac83\left(1+\dfrac{16}{9}\right)=\dfrac83\cdot\dfrac{25}{9}=\dfrac{200}{27}$。 $t=3$ のとき、 $(q-p)^2=\dfrac{20}{3}$、傾きは $-\dfrac13$ なので $\mathrm{PQ}^2=\dfrac{20}{3}\cdot\dfrac{10}{9}=\dfrac{200}{27}$。どちらも一致する。なお $t=0$ のときの2本の接線は $x$ 軸に平行で、P、Qは極大点と極小点になる。

別解( $g(t)-50$ を因数分解する)  $g(t)-50=t^3-6t^2+9t=t(t-3)^2$ で、 $t\geqq0$ では $t(t-3)^2\geqq0$。等号は $t=0$ または $t=3$ のときに成り立つので、 $g(t)$ の最小値は $50$ で、本解と同じく $t=0,\ 3$ の2か所で最小になる。

別解((2) を使って PQ=2AQ とする) (2) の別解の $k=\sqrt{\dfrac{t+2}{3}}$ を使うと、Aは線分PQの中点なので

$$\mathrm{PQ}^2=4\mathrm{AQ}^2=4\left\{k^2+(k^3-2k)^2\right\}=4k^2\left\{1+(k^2-2)^2\right\}$$

$k^2=\dfrac{t+2}{3}$、 $k^2-2=\dfrac{t-4}{3}$ を代入すると本解と同じ $\dfrac{4}{27}(t+2)(t^2-8t+25)$ になる。

出題意図

(1) 傾きが $t$ の接線の接点を、 $f'(x)=t$ の実数解として捉えることができるか(教科書・チャートの例題レベル)。

(2) 「点Aに関して対称」を「PQの中点がA」と言いかえ、解と係数の関係と対称式で示すことができるか(3次関数のグラフが点対称であることの確認)。

(3) 距離 PQ を $t$ だけの関数で表し、微分して最小値を求めることができるか。区間の端 $t=0$ も最小値の候補に入れられるか。

講評

難易度標準
目標得点35点
目標時間30分

傾きが $t$ という条件を「 $f'(x)=t$ の解」に言いかえられるかが出発点。
(2) は3次関数のグラフが点対称であることの証明で、解と係数の関係と対称式の演習量で差が出る。
(3) は $\mathrm{PQ}^2$ を $t$ で表したあとは典型で、最小値の候補に区間の端 $t=0$ を入れる点だけが注意点。
標準の問題として、(1)(2) を確実に取って35点を目標にする。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (3):増減を調べたあと、極小の $t=3$ だけでなく区間の端 $t=0$ の値とも比べ、最小値を2か所でとると気づけるか。端を見落とすと、 $p,\ q$ の組を1つ落とす。
  • 失点しやすい所:(1) で接点が2つあることだけを示し、2本の接線が異なる直線であることを確かめない所。

2012年九州大学文系数学
第3問 解答・解説

第3問は整数の問題です。
テーマは「乗車券7枚入り480円のセットAと3枚入り220円のセットBで100人分を買うときの、1次不定方程式 $7x+3y=100$ の解と、乗車券が余ってもよいときの最も安い買い方」。

問題

2012年九州大学文系数学 第3問 問題
2012年九州大学文系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

100人の団体がある区間を列車で移動する。このとき、乗車券が7枚入った480円のセットAと、乗車券が3枚入った220円のセットBを購入して、利用することにした。以下の問いに答えよ。

(1) $x$ が0以上の整数であるとき、次のことを示せ。

$\dfrac13(100-7x)$ は、 $x$ を3で割ったときの余りが1の場合に整数であり、それ以外の場合は整数ではない。

(2) 購入した乗車券は、余らせずすべて利用するものとする。このとき、セットAとセットBの購入の仕方をすべて挙げよ。

(3) 購入した乗車券は余ってもよいものとする。このとき、Aのみ、あるいはBのみを購入する場合も含めて、購入金額が最も低くなるのは、A、Bをそれぞれ何セットずつ購入するときか。またそのときの購入金額はいくらか。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

分子を3で割り、「必ず整数になる部分」と「整数かどうか分からない分数の部分」に分ける。全体が整数かどうかは、残った分数の部分が整数かどうかだけで決まる。

  1. $\dfrac13(100-7x)=33-2x+\dfrac{1-x}{3}$ と、整数の部分と分数の部分に分ける。
  2. $33-2x$ は整数なので、全体が整数であることは $\dfrac{1-x}{3}$ が整数、すなわち $1-x$ が3の倍数であることと同じ。
  3. $x=3k+r$ ( $r=0,\ 1,\ 2$ )とおくと $1-x=(1-r)-3k$ で、 $1-r$ は $1,\ 0,\ -1$ のどれか。3の倍数になるのは $r=1$ のときだけ、と結論する(両方向がまとめて示せる)。

【(2)の方針】

着眼点

Aを $x$ セット、Bを $y$ セットと置けば、「余らせず使う」は枚数がちょうど100枚で $7x+3y=100$ 。これを $y$ について解いた形が (1) の式そのもの。

  1. Aを $x$ セット、Bを $y$ セット( $x,\ y$ は0以上の整数)買うとし、枚数の条件を $7x+3y=100$ と表す。
  2. $y=\dfrac13(100-7x)$ が0以上の整数になる $x$ を求める問題と言いかえる。
  3. (1) より、 $y$ が整数になるのは $x$ を3で割った余りが1のとき。
  4. $y\geqq0$ より $7x\leqq100$ で、 $x\leqq14$ 。
  5. $x=1,\ 4,\ 7,\ 10,\ 13$ のそれぞれで $y$ を求め、5通りを挙げる。

【(3)の方針】

着眼点

「余ってもよい」は「枚数が100枚以上」と言いかえる。整数なので $x$ は16通りしかなく、 $x$ ごとに $y$ を最小にすれば全部調べられる。1枚あたりの値段はAの方が安い。

  1. 枚数の条件を $7x+3y\geqq100$ と表し、金額 $480x+220y$ の最小値を求める問題と言いかえる。
  2. $x\geqq15$ のときは $y=0$ で条件をみたし、金額は $480x\geqq7200$ ( $x=15$、 $y=0$ で7200円)。よって $x\geqq16$ は調べなくてよい。
  3. $0\leqq x\leqq15$ の各 $x$ について、金額は $y$ が小さいほど低いので、 $y$ は $3y\geqq100-7x$ をみたす最小の0以上の整数にする。
  4. $x=0,\ 1,\ \cdots,\ 15$ の16通りで $y$ と金額を表にまとめ、最も低い金額を選ぶ。

解答

2012年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
2012年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 15点

$$\dfrac13(100-7x)=\dfrac{99+1-6x-x}{3}=33-2x+\dfrac{1-x}{3}$$

$x$ は整数なので $33-2x$ は整数である。よって、 $\dfrac13(100-7x)$ が整数であることは、 $\dfrac{1-x}{3}$ が整数であること、すなわち $1-x$ が3の倍数であることと同じである。

$x$ を3で割った余りを $r$ とし、 $x=3k+r$ ( $k$ は0以上の整数、 $r=0,\ 1,\ 2$ )とおくと

$$1-x=(1-r)-3k$$

$3k$ は3の倍数なので、 $1-x$ が3の倍数であることは、 $1-r$ が3の倍数であることと同じである。 $1-r$ は $r=0,\ 1,\ 2$ に対して $1,\ 0,\ -1$ なので、3の倍数になるのは $r=1$ のときだけである。

したがって、 $\dfrac13(100-7x)$ は、 $x$ を3で割った余りが1の場合に整数であり、それ以外の場合は整数ではない。

別解(3で割った余りで分類)  $k$ を0以上の整数とする。

$x=3k$ のとき  $\dfrac13(100-21k)=33-7k+\dfrac13$ で、整数でない。

$x=3k+1$ のとき  $\dfrac13(93-21k)=31-7k$ で、整数である。

$x=3k+2$ のとき  $\dfrac13(86-21k)=28-7k+\dfrac23$ で、整数でない。

よって、余りが1の場合に整数であり、それ以外の場合は整数ではない。

(2) 配点 15点

Aを $x$ セット、Bを $y$ セット( $x,\ y$ は0以上の整数)購入するとする。乗車券は全部で $7x+3y$ 枚で、これを余らせずに100人がすべて利用するので

$$7x+3y=100\quad\cdots\cdots①$$

①より

$$y=\dfrac13(100-7x)$$

$y$ が整数になるので、(1) より $x$ を3で割った余りは1である。

また $y\geqq0$ より $7x\leqq100$ 、すなわち $x\leqq\dfrac{100}{7}=14.2\cdots$ なので $x\leqq14$ 。よって

$$x=1,\ 4,\ 7,\ 10,\ 13$$

それぞれ $y=\dfrac13(100-7x)$ を計算すると、 $y=31,\ 24,\ 17,\ 10,\ 3$ 。

答 (Aのセット数、Bのセット数)= $(1,\ 31)$、 $(4,\ 24)$、 $(7,\ 17)$、 $(10,\ 10)$、 $(13,\ 3)$ の5通り

別解(1つの解を見つけて定数項を消す)  $7\cdot1+3\cdot31=100$ なので、①と辺々引いて

$$7(x-1)=3(31-y)$$

7と3は互いに素より、 $x-1$ は3の倍数である。 $x-1=3k$ ( $k$ は整数)とおくと $31-y=7k$ で

$$x=3k+1,\qquad y=31-7k$$

$x\geqq0$ より $k\geqq-\dfrac13$ 、 $y\geqq0$ より $k\leqq\dfrac{31}{7}=4.4\cdots$ なので、 $k=0,\ 1,\ 2,\ 3,\ 4$ 。これから本解と同じ5通りが求まる。

(3) 配点 20点

Aを $x$ セット、Bを $y$ セット( $x,\ y$ は0以上の整数)購入するとする。乗車券は余ってもよいので、枚数の条件は

$$7x+3y\geqq100\quad\cdots\cdots②$$

で、このもとで購入金額 $480x+220y$ が最も低くなる $x,\ y$ を求める。

$x\geqq15$ のときは $7x\geqq105$ なので $y=0$ で②をみたし、金額は $480x\geqq480\cdot15=7200$ 円。よって、 $x\geqq16$ の場合は $x=15$ 、 $y=0$ の7200円より高く、調べなくてよい。

$0\leqq x\leqq15$ のとき、 $x$ を決めると金額は $y$ が小さいほど低い。よって $y$ は、 $3y\geqq100-7x$ をみたす最小の0以上の整数にすればよい。

それぞれの $x$ について、 $y$ の最小値と金額をまとめると次のようになる。

$x$$y$枚数 $7x+3y$金額(円)
0341027480
1311007300
2291017340
3271027380
4241007200
5221017240
6201027280
7171007100
8151017140
9131027180
10101007000
1181017040
1261027080
1331006900
1411016940
1501057200

表より、最も低いのは $x=13$ 、 $y=3$ のときで、金額は $480\cdot13+220\cdot3=6240+660=6900$ 円。

答 Aを13セット、Bを3セット購入するとき、購入金額は6900円

(表の見方)A3セット(21枚・1440円)とB7セット(21枚・1540円)は同じ枚数で、Aの方が100円安い。そのため、 $x$ を3減らすと $y$ の最小値はちょうど7増え、金額は100円上がる(表で $x=13,\ 10,\ 7,\ \cdots$ と3つおきに見ると、6900円、7000円、7100円、…)。したがって、 $x$ を3で割った余りが同じものの中では $x$ が大きいほど安く、実際には $x=13,\ 14,\ 15$ の3つを比べるだけでも答えが求まる。

別解(金額を「枚数」と「Bのセット数」で表し、(2) を使う) 枚数を $N=7x+3y$ とおくと

$$7(480x+220y)=480(7x+3y)+100y=480N+100y$$

$N\geqq101$ のときは、 $y\geqq0$ より $7\times$ (金額) $\geqq480\cdot101=48480$ 。

$N=100$ のときは、(2) の5通りのうち $y$ が最小の $y=3$ ( $x=13$ )で $7\times$ (金額) $=48000+300=48300$ が最小。

$48300<48480$ なので、金額が最も低いのは $N=100$ 、 $x=13$ 、 $y=3$ のときで、 $\dfrac{48300}{7}=6900$ 円。

別解(線形計画法の見方)  $x,\ y$ の不等式 $7x+3y\geqq100$ がからむ最小の問題なので、線形計画法の発想で見る。 $x\geqq0$、 $y\geqq0$、 $7x+3y\geqq100$ の領域で、直線 $480x+220y=k$ を動かすと、実数の範囲では $\left(\dfrac{100}{7},\ 0\right)$ で最小(約6857円)になる。ただし $x,\ y$ は整数なので、この点は使えず、境界 $7x+3y=100$ の近くの整数の点を調べることになる。 $x$ を固定すると $y\geqq\dfrac{100-7x}{3}$ なので、金額は

$$480x+220y\geqq\frac{22000-100x}{3}$$

(2) の5通りのうち最も安い $x=13,\ y=3$ の6900円を候補とする。 $x\leqq12$ では右辺が $\dfrac{20800}{3}\,(=6933.3\cdots)>6900$ 、 $x=14$ では $y\geqq1$ なので $6720+220=6940>6900$ 、 $x\geqq15$ では $480\cdot15=7200>6900$ 。よって最小は6900円で、A13セット・B3セットである。この解き方は、表を16行書かなくてよいぶん、計算も書く量も少ない。

出題意図

(1) 分数が整数になる条件を、3で割った余りの言葉に正しく言いかえられるか。「余りが1なら整数」と「それ以外なら整数でない」の両方向を示せるか。

(2) 文章題を「Aを $x$ セット、Bを $y$ セット」と文字で置き、1次不定方程式 $7x+3y=100$ に言いかえられるか。(1) の結果を使って、0以上の整数解を漏れなく挙げられるか。

(3) 「余ってもよい」を「枚数が100枚以上」という不等式に言いかえ、整数という条件から有限個の場合を調べ尽くせるか。

講評

難易度標準
目標得点40点
目標時間30分

(1) は3で割った余りで分類すればよく、(2) はその結果を使って、「余らせず全部使う」を $7x+3y=100$ と言いかえれば解ける。
(3) は「余ってもよい」を $7x+3y\geqq100$ と言いかえ、整数という条件から16通りを調べ尽くせるかどうかで差がつく。
線形計画法の見方も使えるが、最小を与える点は整数にならないので、結局は整数の点を調べることになる。
文章題を文字で置いて式にする練習と、範囲をしぼって1個ずつ調べ尽くす練習を、整数の例題で繰り返しておこう。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (3):「余ってもよい」を「枚数 $7x+3y\geqq100$ 」と言いかえ、 $x$ ごとに $y$ を最小にして全部調べる、という発想に行き着けるか。整数なので $x$ は16通りしかない。
  • (3) で枚数が101枚以上の場合を見落とす:(2) の5通りだけを比べても6900円になるが、A14セット・B1セット(101枚・6940円)などと比べた根拠がないと減点される。
  • (1) の両方向:「余りが1なら整数」だけでなく、「それ以外なら整数でない」も示す。

2012年九州大学文系数学
第4問 解答・解説

第4問は確率の問題です。
テーマは「2つの箱の間で玉をやりとりする試行の確率」。

問題

2012年九州大学文系数学 第4問 問題
2012年九州大学文系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

いくつかの玉が入った箱Aと箱Bがあるとき、次の試行Tを考える。

(試行T)箱Aから2個の玉を取り出して箱Bに入れ、その後、箱Bから2個の玉を取り出して箱Aに入れる。

最初に箱Aに黒玉が3個、箱Bに白玉が2個入っているとき、以下の問いに答えよ。

(1) 試行Tを1回行ったときに、箱Aに黒玉が $n$ 個入っている確率 $p_n\ (n=1,2,3)$ を求めて既約分数で表せ。

(2) 試行Tを2回行ったときに、箱Aに黒玉が $n$ 個入っている確率 $q_n\ (n=1,2,3)$ を求めて既約分数で表せ。

(3) 試行Tを3回行ったときに、箱Aの中がすべて黒玉になっている確率を求めて既約分数で表せ。

解答の方針

全体の着眼点

箱Aには3個、箱Bには2個の玉が入った状態で試行が終わり、黒玉は全部で3個。だから状態は箱Aの黒玉の数 $n$ だけで決まる。途中の状態も、箱Aに残る1個の色による2通りしかない。

2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図

【(1)の方針】

着眼点

最初の箱Aは黒玉だけなので、途中の状態は1通りに決まる。そこから先の戻し方を数えればよい。

2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. 箱Aには黒玉3個しかないので、箱Bに移るのは必ず黒玉2個。箱Aには黒玉1個が残り、箱Bは黒玉2個・白玉2個になる(この途中の状態をXとよぶ)。
  2. 箱Bの4個をすべて区別し、2個の戻し方 ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りを、戻す黒玉が0個・1個・2個の場合に分けて数える。
  3. 戻す黒玉が $k$ 個なら、箱Aの黒玉は $1+k$ 個になる。この対応から $p_1$、 $p_2$、 $p_3$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

どの $n$ からも、途中の状態はXかYのどちらかになる。2回目の途中の状態で場合を分け、確率をかけて足せばよい。

2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. $n=1$ と $n=2$ のそれぞれで、箱Aから移す2個の選び方 ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通りを数え、途中の状態がXになる確率と、Y(箱Aに白玉が1個残り、箱Bは黒玉3個・白玉1個)になる確率を求める。 $n=3$ からは必ずXである。
  2. Yのとき、箱Bから戻す2個の組み合わせ6通りを数えて、 $n=1$ になる確率と $n=2$ になる確率を求める。
  3. 1回目のあとの確率 $p_1$、 $p_2$、 $p_3$ に、各 $n$ からXへ進む確率を掛けて合計し、2回目の途中がXになる確率を得る。Yになる確率は、余事象として1から引けばよい。
  4. Xの場合とYの場合に分け、それぞれ次の $n$ へ移る確率を掛けて合計し、 $q_1$、 $q_2$、 $q_3$ を出す。

【(3)の方針】

着眼点

箱Aが黒玉だけになるのは、途中の状態がXで黒玉2個を戻すときに限る。3回目の途中の状態がXである確率が分かればよい。

2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2012年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. 「箱Aがすべて黒玉になる」は、「3回目の途中がXで、さらに箱Bから黒玉2個を戻す(確率 $\dfrac16$ )」ことと同じ。Yだと箱Aに白玉が1個残ってしまうので不適である。
  2. $q_1$、 $q_2$、 $q_3$ に、各 $n$ からXへ進む確率を掛けて合計し、3回目の途中がXになる確率を出す。
  3. それに $\dfrac16$ をかけて、求める確率とする。

解答

2012年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2012年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
解答をテキストで読む

試行が終わったとき、箱Aにはいつも3個、箱Bにはいつも2個の玉がある。黒玉は全部で3個、白玉は2個。箱Bに入るのは2個だけなので、箱Aには黒玉が必ず1個以上残る。そこで、箱Aの黒玉の数を $n$ ( $n=1,2,3$ )とおけば、2つの箱の中身は $n$ だけで決まる。

また、箱Aから2個を取り出して箱Bに入れた直後の状態は、箱Aに残った1個の色によって、次の2通りに分かれる。

・X:箱Aに残るのが黒玉1個(箱Bは黒玉2個・白玉2個)

・Y:箱Aに残るのが白玉1個(箱Bは黒玉3個・白玉1個)

玉はすべて区別し、どの取り出し方も同様に確からしいとして数える。各状態の間の移り方を矢印で表すと、次の図のとおり(矢印に添える確率は (1)(2) で順に求めていく)。

(1) 配点 15点

はじめは箱Aの3個がすべて黒玉なので、箱Bに移るのは必ず黒玉2個で、途中の状態はXである。

Xのとき、箱Bには黒玉2個と白玉2個の計4個があり、そのうち2個を箱Aに戻す。戻し方は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通り。戻した黒玉が $k$ 個なら、箱Aの黒玉は $1+k$ 個になる。

・$k=0$ (白玉2個を戻す):1通り

・$k=1$ (黒玉と白玉を1個ずつ戻す): ${}_2\mathrm{C}_1\cdot{}_2\mathrm{C}_1=4$ 通り

・$k=2$ (黒玉2個を戻す):1通り

したがって、Xから $n=1,2,3$ になる確率は、順に $\dfrac16$、 $\dfrac23$、 $\dfrac16$ である。

答 $p_1=\dfrac16$、 $p_2=\dfrac23$、 $p_3=\dfrac16$

(2) 配点 20点

$n$ から途中の状態へ 箱Aの3個から2個を選んで移す方法は ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通りある。

・$n=1$ (箱Aの中身は黒玉1個・白玉2個):移すのが白玉2個(1通り)なら黒玉が残ってX、黒玉と白玉を1個ずつ(2通り)なら白玉が残ってY。確率はXへ $\dfrac13$、Yへ $\dfrac23$

・$n=2$ (箱Aの中身は黒玉2個・白玉1個):黒玉と白玉を1個ずつ移す(2通り)ならX、黒玉2個を移す(1通り)ならY。確率はXへ $\dfrac23$、Yへ $\dfrac13$

・$n=3$ :移すのは必ず黒玉2個なので、いつもX

Yから次の $n$ へ Yのとき箱Bには黒玉3個と白玉1個があり、2個を戻す ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りのうち、黒玉と白玉を1個ずつ戻すのが ${}_3\mathrm{C}_1\cdot1=3$ 通り、黒玉2個を戻すのが ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り。箱Aには白玉が1個残っているから、次の $n$ は戻した黒玉の数にそのまま等しい。よってYからは、 $n=1$ へも $n=2$ へも $\dfrac12$ ずつ移る。

1回目のあとに箱Aの黒玉が $n$ 個ある確率は $p_n$ なので、2回目の途中がXになる確率は

$$\dfrac16\cdot\dfrac13+\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac16\cdot1=\dfrac{1+8+3}{18}=\dfrac23$$

Yになる確率は、余事象として $1-\dfrac23=\dfrac13$ となる。

2回目の途中の状態がXの場合とYの場合に分けて足すと

$$q_1=\dfrac23\cdot\dfrac16+\dfrac13\cdot\dfrac12=\dfrac19+\dfrac16=\dfrac{5}{18}$$

$$q_2=\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac12=\dfrac49+\dfrac16=\dfrac{11}{18}$$

$$q_3=\dfrac23\cdot\dfrac16=\dfrac19$$

( $q_1+q_2+q_3=1$ になるので、検算もできる。)

答 $q_1=\dfrac{5}{18}$、 $q_2=\dfrac{11}{18}$、 $q_3=\dfrac19$

(3) 配点 15点

箱Aの中が黒玉だけになれるのは、途中がXで、箱Bから黒玉2個を戻す場合(確率 $\dfrac16$ )だけである。Yの場合は箱Aに白玉が1個残るので、これは起こらない。

2回目のあとに箱Aの黒玉が $n$ 個ある確率は $q_n$ なので、3回目の途中がXになる確率は

$$\dfrac{5}{18}\cdot\dfrac13+\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac23+\dfrac19\cdot1=\dfrac{5+22+6}{54}=\dfrac{11}{18}$$

ゆえに、求める確率は

$$\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{108}$$

答 $\dfrac{11}{108}$

別解(XとYの移り変わりだけを追う) いま途中がXだとすると、次の試行でも途中がXになる確率は、(1)(2) で求めた値から

$$\dfrac16\cdot\dfrac13+\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac16\cdot1=\dfrac23$$

いま途中がYの場合は、次の試行で途中がXになる確率が $\dfrac12\cdot\dfrac13+\dfrac12\cdot\dfrac23=\dfrac12$ となる。1回目の途中は必ずXだから、3回目の途中がXになる経路は「X → X → X」「X → Y → X」の2本(下の図)。よって

$$\left(\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac12\right)\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{108}$$

出題意図

(1) 2つの箱の中身を、「箱Aにある黒玉の数」というたった1つの量で表し、最初の状態からの戻し方を数え間違えずに出せるか。

(2) 1回の試行を「AからBへ移す」「BからAへ戻す」の2つの段階に分け、途中の状態で場合を分けて確率を求められるか。

(3) 1回分の移り方の確率を使い回し、かけて足していくだけで求まる、と見抜けるか。

講評

難易度標準
目標得点50点
目標時間25分

理系と共通の問題で、状況を言葉にして整理できるかが勝負になる。
「箱Aの黒玉の数」と「途中の状態X・Y」に絞って推移図を書けば、あとはかけ算と足し算だけで終わる。
気づけなくても、具体的に数え分ければ解けるので、満点の50点を取りたい。
玉のやりとりのように操作をくり返す確率は、状態の図をこまめに書く習慣をつけておこう。

差がつく所・失点しやすい所

  • 操作の状況を言葉にして、「箱Aの黒玉の数」と「途中の状態X・Y」に絞れたか:状況を理解できていないと大幅に減点される。途中の状態が2通りしかないと気づけば推移図が小さくなり、数え漏れも減る。気づかなくても、各 $n$ について箱の中身を書き出して数え分ければ解ける。
  • 2段階のうち、前半の確率をかけ忘れない:箱Aから何を移すかの確率( $\dfrac13$ 、 $\dfrac23$ )を落とし、箱Bから戻す段階の確率だけで計算してしまいがち。
  • 同じ色の玉も区別して数える: ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りを分母にして、黒玉と白玉を1個ずつ戻す場合の数( $2\times2=4$ 通りなど)を数え漏れしない。

2012年九州大学・文系数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問簡単50点
第2問標準35点
第3問標準40点
第4問標準50点
全体標準140点

大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと175点になりますが、全体の目標点は140点です。

第1問の空間ベクトルは簡単で、第2問から第4問はいずれも標準の年です。
第1問で確実に満点を取り、第2問は (1)(2) の証明を落とさず、(3) では区間の端も最小値の候補に入れましょう。
第3問と第4問は、状況を言葉にして式や図に整理できるかで差がつきます。
目標点は140点です。

解く流れ

  • 第1問→第2問→第4問→第3問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
  • 目標時間の合計は105分(第1問20分・第2問30分・第3問30分・第4問25分)。残りの15分は見直しと予備。

2012年九州大学・文系数学に
関するよくある質問

2012年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2012年の九州大学・文系数学は難しかった?

標準の年でした。
第1問は空間ベクトルの基本で簡単、第2問から第4問はすべて標準です。
3次関数の接線と点対称、文章題の整数問題、箱の間で玉をやりとりする確率と、どれも教科書やチャートの例題を発展させた作りで、典型の解法を使い分ければ解き切れます。

2012年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?

目標点は140点です(200点満点)。

2012年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?

第1問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の3つです。

  • 第2問:(2) の点対称を「PQの中点がA」と言いかえ、解と係数の関係と対称式で示せたか。(3) では、増減を調べたあとに極小の $t=3$ だけでなく区間の端 $t=0$ も比べ、最小値を2か所でとると気づけたか。
  • 第3問 (3):「余ってもよい」を「枚数が100枚以上」と言いかえ、 $x$ ごとに $y$ を最小にして16通りを調べ尽くせたか。
  • 第4問:操作の状況を言葉にして、「箱Aの黒玉の数」と「途中の状態X・Y」に絞れたか。状況を理解できていないと大幅に減点される。
2012年の九州大学・文系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:空間ベクトル
  • 第2問:微分法(数学Ⅱ)・複素数と方程式・数と式
  • 第3問:整数
  • 第4問:確率

九州大学文系数学の過去問を年度別に見る

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