【解説・採点基準付き】2011年九州大学文系数学の解答・解説
2011年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2011年九州大学文系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は積分法・図形と方程式(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「放物線 $y=x^2$ 上の点Pから直線 $y=x$ への垂線PH、直角二等辺三角形PRHの面積と、放物線・直線・線分PHで囲まれた図形の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
放物線 $y=x^2$ 上の点 $\mathrm{P}(t,\ t^2)$ から直線 $y=x$ へ垂線を引き、交点をHとする。ただし、 $t>1$ とする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) Hの座標を $t$ を用いて表せ。
(2) Pを通り $y$ 軸に平行な直線と直線 $y=x$ との交点をRとするとき、三角形PRHの面積を $t$ を用いて表せ。
(3) $x\geqq1$ の範囲において、放物線 $y=x^2$ と直線 $y=x$ および線分PHとで囲まれた図形の面積を $S_1$ とするとき、 $S_1$ を $t$ を用いて表せ。
(4) 放物線 $y=x^2$ と直線 $y=x$ で囲まれた図形の面積を $S_2$ とする。 $S_1=S_2$ であるとき、 $t$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
Hは直線 $y=x$ 上の点なので、 $\mathrm{H}(s,\ s)$ と1文字で置ける。
- $\mathrm{H}(s,\ s)$ とおく。
- 直線 $y=x$ の傾きは1なので、PHの傾きは $-1$。PHの傾き $\dfrac{s-t^2}{s-t}=-1$ を立てて $s$ を $t$ で表し、Hの座標を答える。
【(2)の方針】
三角形PRHは斜辺PRの直角二等辺三角形だと見抜けば、面積は斜辺PR( $y$ 座標の差)だけで求まる。


- $\mathrm{R}(t,\ t)$ とし、 $t>1$ から $t^2>t$ なので、PはRの真上にあり $\mathrm{PR}=t^2-t$ であることを確かめる。
- $\angle\mathrm{PRH}=45^\circ$、 $\angle\mathrm{PHR}=90^\circ$ から、三角形PRHが斜辺PRの直角二等辺三角形であることを示す。
- 等しい2辺の長さ $\dfrac{\mathrm{PR}}{\sqrt2}$ から、面積 $\dfrac{\mathrm{PR}^2}{4}$ を求める。
【(3)の方針】
面積の問題は「グラフを書く(上下)→ 数式に落とす」。Hは直線 $x=t$ より右にあるので、 $S_1$ の図形は縦に切った「放物線と直線の間の部分」に、三角形PRHを足したものになる。


- $x>1$ で放物線が直線 $y=x$ の上にあることと、Hが直線 $x=t$ より右にあることを確かめ、 $S_1=\displaystyle\int_1^t(x^2-x)\,dx+\triangle\mathrm{PRH}$ と立式する。
- 被積分関数を $(x-1)^2+(x-1)$ と書き直し、 $(x-1)$ の塊のまま積分する。
- (2) の三角形の面積を足し、 $(t-1)^2$ でくくって整理する。
【(4)の方針】
$S_2$ は $\dfrac16$ 公式ですぐに求まる。 $S_1=S_2$ の4次方程式は、定数項が消えるので $t^2$ でくくれる。
- 上 $-$ 下を $-(x-0)(x-1)$ と因数分解し、 $\dfrac16$ 公式で $S_2=\dfrac16$ を求める。
- $S_1=S_2$ に (3) の結果を入れて展開し、 $t^2(3t^2-2t-3)=0$ にする。
- $t>1$ から $t^2\neq0$ なので $3t^2-2t-3=0$ を解き、 $t>1$ をみたす解を答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
Hは直線 $y=x$ 上の点なので、 $\mathrm{H}(s,\ s)$ とおける。PHは直線 $y=x$(傾き1)と垂直なので、PHの傾きは $-1$ である(PHは $y$ 軸に平行ではないので $s\neq t$ )。よって
$$\frac{s-t^2}{s-t}=-1$$
分母をはらうと $s-t^2=-(s-t)$ より $2s=t^2+t$、 $s=\dfrac{t^2+t}{2}$。
答 $\mathrm{H}\left(\dfrac{t^2+t}{2},\ \dfrac{t^2+t}{2}\right)$
別解(ベクトルの内積) $\overrightarrow{\mathrm{PH}}=(s-t,\ s-t^2)$ が直線 $y=x$ の向き $(1,\ 1)$ と垂直なので、内積が0で $(s-t)+(s-t^2)=0$。これから同じ $s=\dfrac{t^2+t}{2}$ が求まる。分数も $s\neq t$ の断りも要らないので、ベクトルを使える人はこちらでもよい。
(2) 配点 10点
Rは直線 $x=t$ と直線 $y=x$ の交点なので $\mathrm{R}(t,\ t)$。 $t>1$ より $t^2-t=t(t-1)>0$ なので、PはRの真上にあり
$$\mathrm{PR}=t^2-t$$
PRは $y$ 軸に平行で、直線 $y=x$ は $x$ 軸と $45^\circ$ の角をなすので、 $\angle\mathrm{PRH}=45^\circ$。また $\angle\mathrm{PHR}=90^\circ$ なので、三角形PRHは斜辺PRの直角二等辺三角形である(下の図)。
等しい2辺の長さは $\mathrm{PH}=\mathrm{RH}=\dfrac{\mathrm{PR}}{\sqrt2}$ なので
$$\triangle\mathrm{PRH}=\frac12\left(\frac{\mathrm{PR}}{\sqrt2}\right)^2=\frac{\mathrm{PR}^2}{4}=\frac{(t^2-t)^2}{4}=\frac{t^2(t-1)^2}{4}$$
答 $\dfrac{t^2(t-1)^2}{4}$
別解(HからPRに垂線を引く) PとHの $x$ 座標の差を $d=\left|t-\dfrac{t^2+t}{2}\right|=\dfrac{t^2-t}{2}$ とする。Hから辺PRに垂線を引くと、その長さが $d$ で、PR=$2d$。よって面積は $\dfrac12\cdot2d\cdot d=d^2=\dfrac{(t^2-t)^2}{4}$ で、本解と一致する。斜めのPHやRHの長さは求めなくてよい。
別解(点と直線の距離) PHはPと直線 $x-y=0$ の距離なので、 $\mathrm{PH}=\dfrac{|t-t^2|}{\sqrt{1^2+(-1)^2}}=\dfrac{t^2-t}{\sqrt2}$。三角形PRHは $\mathrm{PH}=\mathrm{RH}$ の直角二等辺三角形なので、面積は $\dfrac12\mathrm{PH}^2=\dfrac{(t^2-t)^2}{4}$ で、本解と一致する。
別解(1点を原点へ平行移動) Rが原点に来るように平行移動すると、Pは $(0,\ t^2-t)$、Hは $\left(\dfrac{t^2-t}{2},\ \dfrac{t^2-t}{2}\right)$ に移る。平行移動しても面積は変わらないので
$$\triangle\mathrm{PRH}=\frac12\left|0\cdot\frac{t^2-t}{2}-(t^2-t)\cdot\frac{t^2-t}{2}\right|=\frac{(t^2-t)^2}{4}$$
(3) 配点 20点
$x^2-x=x(x-1)$ なので、 $x>1$ では $x^2>x$ となり、放物線 $y=x^2$ が直線 $y=x$ の上にある。また (1) より、Hの $x$ 座標は
$$\frac{t^2+t}{2}-t=\frac{t(t-1)}{2}>0$$
なので $t$ より大きく、Hは直線 $x=t$ より右にある。
よって $S_1$ の図形は、 $1\leqq x\leqq t$ で放物線と直線 $y=x$ の間にある部分と、三角形PRHを合わせたものである(下の図)。図をそのまま式にして
$$S_1=\int_1^t(x^2-x)\,dx+\triangle\mathrm{PRH}$$
積分は、 $x^2-x=x(x-1)=\{(x-1)+1\}(x-1)=(x-1)^2+(x-1)$ と書き直し、 $(x-1)$ の塊のまま積分する。
$$\int_1^t(x^2-x)\,dx=\left[\frac{(x-1)^3}{3}+\frac{(x-1)^2}{2}\right]_1^t=\frac{(t-1)^3}{3}+\frac{(t-1)^2}{2}=\frac{(t-1)^2(2t+1)}{6}$$
これに (2) の三角形PRHの面積を足して
$$S_1=\frac{(t-1)^2(2t+1)}{6}+\frac{t^2(t-1)^2}{4}=\frac{(t-1)^2(3t^2+4t+2)}{12}$$
答 $S_1=\dfrac{(t-1)^2(3t^2+4t+2)}{12}$(展開すると $\dfrac{3t^4-2t^3-3t^2+2}{12}$ )
検算: $t=1$ のときPは点 $(1,\ 1)$ に重なって面積は0になるので、答えに $t=1$ を代入して0になることを確かめられる。
別解(区間を分けて積分する) Hの $x$ 座標を $h=\dfrac{t^2+t}{2}$ とする。 $1\leqq x\leqq t$ では上が放物線・下が直線、 $t\leqq x\leqq h$ では上が線分PH(直線 $y=-x+t^2+t$ )・下が直線 $y=x$ なので
$$S_1=\int_1^t(x^2-x)\,dx+\int_t^h\{(-x+t^2+t)-x\}\,dx$$
2つ目の積分は $\displaystyle\int_t^h(2h-2x)\,dx=\Big[-(h-x)^2\Big]_t^h=(h-t)^2=\dfrac{t^2(t-1)^2}{4}$ で、三角形PRHの面積と一致する。
(4) 配点 10点
$0\leqq x\leqq1$ では $x-x^2=x(1-x)\geqq0$ なので、直線 $y=x$ が放物線 $y=x^2$ の上にある(上の図の $S_2$ )。よって
$$S_2=\int_0^1(x-x^2)\,dx=\int_0^1\{-(x-0)(x-1)\}\,dx=\frac16(1-0)^3=\frac16$$
$S_1=S_2$ より
$$\frac{3t^4-2t^3-3t^2+2}{12}=\frac16\iff3t^4-2t^3-3t^2=0\iff t^2(3t^2-2t-3)=0$$
$t>1$ より $t^2\neq0$ なので $3t^2-2t-3=0$。これを解くと $t=\dfrac{1\pm\sqrt{10}}{3}$。 $\sqrt{10}>3$ より $\dfrac{1-\sqrt{10}}{3}<0$、 $\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}>\dfrac{1+3}{3}>1$ なので、 $t>1$ をみたすのは $t=\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}$ である。
答 $t=\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}$
(確かめ: $t=\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}$ をみたす $3t^2=2t+3$ を使うと、 $3t^4-2t^3-3t^2=t^2(3t^2-2t-3)=0$ で、(3) の式は $\dfrac{2}{12}=\dfrac16$ になる)
出題意図
(1)(2) 垂線の足を直線上の点として1文字で置き、三角形PRHが直角二等辺三角形であることを捉えて面積を求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)。
(3) グラフを書いて、斜めの線分PHで区切られた図形を「縦に切った放物線と直線の間の部分+三角形PRH」と捉えることができるか。
(4) (3) の結果と $\dfrac16$ 公式の $S_2=\dfrac16$ から、4次方程式を最後まで解き切れるか。
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 |
簡単な問題で、50点を取りたいところです。
垂線の足、直角二等辺三角形の面積、放物線と直線で囲まれた面積という、チャートの例題の型を組み合わせた問題です。
座標平面で三角形の面積を求めるときは、斜めの長さをいちいち求めず、斜辺や座標の差から求めましょう。
(3) で三角形を足すのか引くのかは、必ず図で確かめます。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (3):グラフを書いてHが直線 $x=t$ より右にあることを確かめ、三角形PRHを「足す」と正しく捉えられるか。図を書かずに三角形を引いてしまうと、(3)(4) とも失点する。
- (4) の解の選び方: $t^2$ でくくったあと、 $t>1$ で解を1つに決める。
2011年九州大学文系数学
第2問 解答・解説
第2問は数列・三角関数の問題です。
テーマは「$\tan$ の2倍角と同じ形の漸化式で、項を書き並べて周期を見つけ、 $a_{10}$ 、 $a_{11}$ と、元に戻る最小の $k$ を求める」。
問題


問題文をテキストで読む
数列 $a_1,a_2,\cdots,a_n,\cdots$ は
$$a_{n+1}=\frac{2a_n}{1-{a_n}^2},\qquad n=1,2,3,\cdots$$
をみたしているとする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) $a_1=\dfrac{1}{\sqrt3}$ とするとき、 $a_{10}$ および $a_{11}$ を求めよ。
(2) $\tan\dfrac{\pi}{12}$ の値を求めよ。
(3) $a_1=\tan\dfrac{\pi}{7}$ とする。 $a_k=a_1$ をみたす2以上の自然数 $k$ で最小のものを求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
等比数列を作る型のどれにも当てはまらない漸化式は、まず具体的に計算して項の並びを見る。 $a_{n+1}$ は $a_n$ だけで決まるので、一度同じ値に戻れば、あとはくり返す。
- 漸化式に $n=1,2,3$ を代入して $a_2,a_3,a_4$ を求める。
- $a_4=a_2$ と、「 $a_{n+1}$ は $a_n$ だけで決まる」ことから、 $n\geqq2$ で $a_{n+2}=a_n$ ( $\sqrt3$ と $-\sqrt3$ のくり返し)を示す。
- 添字が偶数なら $a_2$ と、3以上の奇数なら $a_3$ と同じ値になることから、 $a_{10}$ 、 $a_{11}$ を答える。
【(2)の方針】
$\dfrac{\pi}{12}$ は $15^\circ$ と見て、有名角の差 $45^\circ-30^\circ$ に分けて加法定理を使う。
- $\dfrac{\pi}{12}$ を $15^\circ$ とみて、2つの有名角の差 $\dfrac{\pi}{4}-\dfrac{\pi}{6}$ ( $45^\circ-30^\circ$ )に直す。
- $\tan$ の加法定理に $\tan\dfrac{\pi}{4}=1$ 、 $\tan\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{1}{\sqrt3}$ の値を入れて計算する。
- 分母を有理化して、 $\tan\dfrac{\pi}{12}$ の値を答える。
【(3)の方針】
漸化式が $\tan$ の2倍角の公式と同じ形だと見抜く。 $a_n=\tan\theta$ とおくと、項が1つ進むごとに角が2倍になる。


- $\tan$ の2倍角の公式をもとに、「 $a_n=\tan\theta$ ( $\tan^2\theta\neq1$ )ならば $a_{n+1}=\tan2\theta$ 」と整理する。
- $a_1=\tan\dfrac{\pi}{7}$ から出発して $a_4$ まで、角を2倍し、 $\pi$ を超えた分は $\pi$ を引いて書き並べる。どの角も $\tan^2\theta=1$ の角( $\dfrac{\pi}{4}$ 、 $\dfrac{3\pi}{4}$ )にならないので漸化式の分母は0にならず、 $a_4=a_1$ が示せる。
- $\tan$ の増減と符号から $a_2\neq a_1$ 、 $a_3\neq a_1$ を示し、最小の $k$ を答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
漸化式に $n=1,2,3$ を順に代入して、初めの数項を求める。
$$a_2=\frac{\dfrac{2}{\sqrt3}}{1-\dfrac13}=\sqrt3,\qquad a_3=\frac{2\sqrt3}{1-3}=-\sqrt3,\qquad a_4=\frac{-2\sqrt3}{1-3}=\sqrt3$$
$a_4=a_2$ となった。次の項は直前の1項だけで決まるから、 $a_5=a_3$ 、 $a_6=a_4=a_2$ 、……と同じ2つの値が交互に続き、 $n\geqq2$ のすべての $n$ で
$$a_{n+2}=a_n$$
となる。したがって $n\geqq2$ では、添字が偶数なら $a_2=\sqrt3$ 、奇数なら $a_3=-\sqrt3$ である。
求めたいのは添字が10(偶数)と11(3以上の奇数)の項なので
答 $a_{10}=\sqrt3$ 、 $a_{11}=-\sqrt3$
( $n\geqq2$ で $a_n=(-1)^n\sqrt3$ と予想し、数学的帰納法で証明する方法もある)
別解( $\tan$ の角で追う) $a_1=\dfrac{1}{\sqrt3}=\tan\dfrac{\pi}{6}$ とみると、漸化式は項が進むたびに角を2倍する式になる。これは (3) と同じ見方である。 $a_2=\tan\dfrac{\pi}{3}$ 、 $a_3=\tan\dfrac{2\pi}{3}$ 、 $a_4=\tan\dfrac{4\pi}{3}=\tan\dfrac{\pi}{3}$ なので、 $n\geqq2$ の項は $\tan\dfrac{\pi}{3}=\sqrt3$ と $\tan\dfrac{2\pi}{3}=-\sqrt3$ のくり返しである。
(2) 配点 10点
$\dfrac{\pi}{12}=\dfrac{\pi}{4}-\dfrac{\pi}{6}$ のように2つの有名角の差で表し、 $\tan$ の加法定理を使うと
$$\tan\frac{\pi}{12}=\frac{\tan\dfrac{\pi}{4}-\tan\dfrac{\pi}{6}}{1+\tan\dfrac{\pi}{4}\tan\dfrac{\pi}{6}}=\frac{1-\dfrac{1}{\sqrt3}}{1+\dfrac{1}{\sqrt3}}=\frac{\sqrt3-1}{\sqrt3+1}=\frac{(\sqrt3-1)^2}{2}=2-\sqrt3$$
答 $2-\sqrt3$
別解1( $\sin15^\circ$ 、 $\cos15^\circ$ の値を覚えているとき) $\tan15^\circ$ を $\sin15^\circ$ と $\cos15^\circ$ の比で表すと
$$\tan\frac{\pi}{12}=\frac{\sin15^\circ}{\cos15^\circ}=\frac{\sqrt6-\sqrt2}{\sqrt6+\sqrt2}=\frac{(\sqrt6-\sqrt2)^2}{4}=2-\sqrt3$$
別解2(2倍角の公式) $x=\tan\dfrac{\pi}{12}$ ( $x>0$ )として、2倍角の公式に $\tan\dfrac{\pi}{6}$ をあてはめると
$$\frac{2x}{1-x^2}=\tan\frac{\pi}{6}=\frac{1}{\sqrt3}$$
これを整理すると $x^2+2\sqrt3x-1=0$ 、 $x>0$ より $x=2-\sqrt3$ 。この計算は「 $a_1=\tan\dfrac{\pi}{12}$ ならば $a_2=\tan\dfrac{\pi}{6}$ 」と言いかえられ、漸化式を $\tan$ の2倍角の式として読む (3) の糸口にもなっている。
(3) 配点 25点
$\tan$ の2倍角の公式
$$\tan2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta}$$
に照らすと、 $a_n=\tan\theta$ ( $\tan^2\theta\neq1$ )のとき $a_{n+1}=\tan2\theta$ である。なお $\tan$ の周期は $\pi$ だから、角が $\pi$ を超えたら $\pi$ を引いてよい。
$a_1=\tan\dfrac{\pi}{7}$ から、角を2倍する操作を3回くり返すと
$$a_1=\tan\frac{\pi}{7},\qquad a_2=\tan\frac{2\pi}{7},\qquad a_3=\tan\frac{4\pi}{7},\qquad a_4=\tan\frac{8\pi}{7}=\tan\left(\frac{8\pi}{7}-\pi\right)=\tan\frac{\pi}{7}$$
となる。途中の角 $\dfrac{\pi}{7}$ 、 $\dfrac{2\pi}{7}$ 、 $\dfrac{4\pi}{7}$ のどれも、 $\tan^2\theta=1$ となる角( $\dfrac{\pi}{4}$ 、 $\dfrac{3\pi}{4}$ )ではない。つまり $1-{a_n}^2\neq0$ ( $n=1,2,3$ )が確かめられ、分母が0になる心配はない。
以上から $a_4=a_1$ が成り立つ。
続いて、これより小さい $k$ ( $k=2,3$ )では $a_k=a_1$ が成り立たないことを調べる。 $0<\dfrac{\pi}{7}<\dfrac{2\pi}{7}<\dfrac{\pi}{2}$ の範囲で $\tan$ は増加するから $0<a_1<a_2$ 。また $\dfrac{\pi}{2}<\dfrac{4\pi}{7}<\pi$ では $\tan$ は負なので $a_3<0<a_1$ 。ゆえに $a_2\neq a_1$ 、 $a_3\neq a_1$ である。
以上より、求める最小の自然数 $k$ は4である。
答 $k=4$
別解( $\tan$ の値が等しくなる条件を角度で調べる) まず数学的帰納法で、すべての自然数 $n$ について $a_n=\tan\dfrac{2^{n-1}\pi}{7}$ が成り立つことを示す。 $n=m$ のとき成り立つと仮定する。このとき $\tan^2\dfrac{2^{m-1}\pi}{7}=1$ になるのは、角が $\dfrac{\pi}{4}$ の奇数倍のとき、すなわち $\dfrac{2^{m-1}}{7}=\dfrac{(\text{奇数})}{4}$ 、 $2^{m+1}=7\times(\text{奇数})$ のときだが、左辺は7の倍数ではないので起こらない。したがって分母は0にならず、 $a_{m+1}=\tan\dfrac{2^m\pi}{7}$ が成り立つ。
角度どうしを比べて方程式を解くときは、もう1つ同じ値をとる角があること、何周してもよいこと( $2m\pi$ ( $m$ は整数)を足してよいこと)に気をつける。 $\tan$ では、同じ値をとる角は $\pi$ だけ離れた角だから、2つの $\tan$ の値が等しいことは、角度の差が $\pi$ の整数倍であることと同じである。 $a_k$ と $a_1$ の角度の差は
$$\frac{2^{k-1}\pi}{7}-\frac{\pi}{7}=\frac{2^{k-1}-1}{7}\pi$$
だから、 $a_k=a_1$ となる条件は「 $2^{k-1}-1$ が7の倍数」、すなわち $2^{k-1}\equiv1\pmod7$ である。 $2^1$ 、 $2^2$ 、 $2^3$ を7で割った余りは順に $2$ 、 $4$ 、 $1$ なので、 $k-1=3$ 、つまり最小の $k$ は4である。
出題意図
(1) 等比数列の型に当てはまらない漸化式を、数項を実際に計算して調べられるか。 $a_4=a_2$ になった後は同じ値が続くことを、理由とともに書けるか。
(2) $\dfrac{\pi}{12}$ を2つの有名角の差で表し、加法定理で $\tan$ の値を求められるか。
(3) 漸化式に $\tan$ の2倍角の公式の形が隠れていると気づき、 $a_n=\tan\theta$ とおいて角の並びに直せるか。角を書き並べ、何回で元に戻るかを突き止められるか。
同じ年の理系第3問にも同じ漸化式が出題されている。文系は (1) が具体的な項だけ、(3) が3回で元に戻る角に変えてあり、理系より易しく作り直されている。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
文系としては少し難しいので標準としましたが、見慣れない漸化式に見えても、中身は加法定理と2倍角の基本問題です。
(1) は4項まで計算すれば同じ値のくり返しが見え、(2) は加法定理で求め、(3) は角を書き並べて3回で元に戻ることを示します。
最小であることと、漸化式の分母が0にならないことは、忘れずに書きましょう。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (3):漸化式を $\tan$ の2倍角の式と読みかえ、 $a_n=\tan\theta$ とおいて角を書き並べれば周期が見える、という発想に行き着けるか。(1)(2) で出てくる値が、その気づきのヒントになる。
- 答えの $k=4$ だけで満足しない:これより小さい $k$ では成り立たないこと( $a_2\neq a_1$ 、 $a_3\neq a_1$ )と、漸化式の分母が0にならないことも書き切れるか。どちらかが欠けると減点される。
2011年九州大学文系数学
第3問 解答・解説
第3問は平面ベクトルの問題です。
テーマは「斜辺 $\mathrm{BC}=2$ の直角三角形ABCと $4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec0$ をみたす点Oについて、Aが線分OMの中点であること、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=10$ を示し、 $4\left|\overrightarrow{\mathrm{PA}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PB}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PC}}\right|^2=-4$ をみたす点Pについて $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|$ を求める」。
問題


問題文をテキストで読む
平面上に直角三角形ABCがあり、その斜辺BCの長さを2とする。また、点Oは $4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec{0}$ をみたしているとする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) 辺BCの中点をMとするとき、点Aは線分OMの中点となることを示せ。
(2) $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=10$ となることを示せ。
(3) $4\left|\overrightarrow{\mathrm{PA}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PB}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PC}}\right|^2=-4$ をみたす点をPとするとき、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
始点がすべてOにそろっているので、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ について解けば、中点Mの位置ベクトルが見える。


- 等式を $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ について解き、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\dfrac14\left(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)$ とする。
- 中点Mの位置ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\dfrac12\left(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)$ と比べて、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\dfrac12\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ を示す。
- O、A、Mが一直線上にあり、 $\mathrm{OA}=\dfrac12\mathrm{OM}$ なので、Aは線分OMの中点と結論する。
【(2)の方針】
「斜辺BC」から、直角の頂点はA。始点を点Aに取り直し、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ 、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ で表すと、直角は内積0、斜辺は2乗した式で使える。
- $\vec b=\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ とおき、直角から $\vec b\cdot\vec c=0$ とする。
- 斜辺 $\left|\vec c-\vec b\right|=2$ を2乗して展開し、 $|\vec b|^2+|\vec c|^2=4$ を求める。
- (1) より $\overrightarrow{\mathrm{AO}}=-\overrightarrow{\mathrm{AM}}=-\dfrac12\left(\vec b+\vec c\right)$ と表す。
- 終点引く始点で $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ を $\vec b$、 $\vec c$ で表す。
- $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2$ を展開し、手順1・2の式を代入する。
【(3)の方針】
条件の係数 $4$、 $-1$、 $-1$ は、点Oを決めた式の係数と同じ。始点をOにそろえて展開すれば、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ の1次の項が消える。
- 始点をOにそろえ、 $\overrightarrow{\mathrm{PA}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\vec p$ など( $\vec p=\overrightarrow{\mathrm{OP}}$)と表す。
- 左辺を展開し、 $|\vec p|^2$ の項・ $\vec p$ との内積の項・定数の項にまとめる。
- 内積の項は $4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec0$ で消え、定数の項に (2) の $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=10$ を代入する。
- 残る $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|$ を (2) の $\vec b$、 $\vec c$ で求め( $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|=1$)、条件の式から $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|$ を求める。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec0$ より
$$\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\frac14\left(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)$$
Mは辺BCの中点なので
$$\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\frac12\left(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)$$
よって $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\dfrac12\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ となり、Aは線分OM上にあって $\mathrm{OA}=\dfrac12\mathrm{OM}$ である。したがって、点Aは線分OMの中点である。(証明終)
Oは、直線MAをAの側に延ばし、 $\mathrm{OA}=\mathrm{AM}$ となる位置にある。
(2) 配点 20点
斜辺がBCなので、 $\angle\mathrm{BAC}=90^\circ$ である。直角の頂点Aを始点にとり、 $\vec b=\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ とおく。 $\angle\mathrm{BAC}=90^\circ$ より
$$\vec b\cdot\vec c=0$$
$\left|\overrightarrow{\mathrm{BC}}\right|=\left|\vec c-\vec b\right|=2$ の両辺を2乗して $|\vec b|^2-2\vec b\cdot\vec c+|\vec c|^2=4$ なので、 $\vec b\cdot\vec c=0$ より
$$|\vec b|^2+|\vec c|^2=4$$
(1) より、Aは線分OMの中点なので
$$\overrightarrow{\mathrm{AO}}=-\overrightarrow{\mathrm{AM}}=-\frac12\left(\vec b+\vec c\right)$$
終点引く始点より
$$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AO}}=\vec b+\frac12\left(\vec b+\vec c\right)=\frac12\left(3\vec b+\vec c\right),\qquad\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\frac12\left(\vec b+3\vec c\right)$$
よって、 $\vec b\cdot\vec c=0$ に注意して2乗を展開すると
$$\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=\frac14\left(9|\vec b|^2+|\vec c|^2\right)+\frac14\left(|\vec b|^2+9|\vec c|^2\right)=\frac{10}{4}\left(|\vec b|^2+|\vec c|^2\right)=\frac{10}{4}\cdot4=10$$
となり、示された。(証明終)
別解1(始点をOのまま計算する) $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\dfrac14\left(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)$ より
$$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\frac14\left(3\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right),\qquad\overrightarrow{\mathrm{AC}}=\frac14\left(3\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right)$$
$X=\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2$、 $k=\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ とおく。 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=0$ より $\left(3\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)\cdot\left(3\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right)=0$、展開して $10k-3X=0$。 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|=2$ を2乗して $X-2k=4$。2式から $k$ を消すと $X-\dfrac35X=4$ より $X=10$。始点をOのままにすると文字が2つ( $X$、 $k$)残るが、連立すれば同じ結果になる。
別解2(図形として見る) $\angle\mathrm{BAC}=90^\circ$ なので、Aは辺BCを直径とする円の上にあり、その中心はM、半径は1である。よって $\mathrm{MA}=\mathrm{MB}=\mathrm{MC}=1$。(1) よりAは線分OMの中点なので $\mathrm{OA}=\mathrm{AM}=1$、 $\mathrm{OM}=2$。三角形OBCで、OMは辺BCへの中線なので、中線定理より
$$\mathrm{OB}^2+\mathrm{OC}^2=2\left(\mathrm{OM}^2+\mathrm{BM}^2\right)=2(4+1)=10$$
直角三角形の外接円の中心は斜辺の中点、という事実を使うと、計算がほとんど要らない。
(3) 配点 20点
始点をOにそろえ、 $\vec p=\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ とおく。終点引く始点より $\overrightarrow{\mathrm{PA}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\vec p$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\vec p$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\vec p$ なので、左辺を展開すると
$$4\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\vec p\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\vec p\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\vec p\right|^2=2|\vec p|^2-2\left(4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right)\cdot\vec p+4\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2$$
( $|\vec p|^2$ の係数は $4-1-1=2$)
$4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec0$ より $\vec p$ との内積の項は消え、(2) より $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=10$ なので
$$4\left|\overrightarrow{\mathrm{PA}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PB}}\right|^2-\left|\overrightarrow{\mathrm{PC}}\right|^2=2\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^2+4\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|^2-10$$
次に $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|$ を求める。(2) の $\vec b$、 $\vec c$ を使うと、 $\overrightarrow{\mathrm{AO}}=-\dfrac12\left(\vec b+\vec c\right)$、 $\vec b\cdot\vec c=0$、 $|\vec b|^2+|\vec c|^2=4$ より
$$\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|^2=\frac14\left(|\vec b|^2+2\vec b\cdot\vec c+|\vec c|^2\right)=\frac14\cdot4=1$$
(図形として見れば、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|=\mathrm{AM}$ は斜辺BCを直径とする円の半径で1)
よって、条件は $2\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^2+4-10=-4$ となり、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^2=1$。 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|\geqq0$ より
答 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|=1$
条件をみたす点Pは、Oを中心とする半径1の円の上にある。 $\mathrm{OA}=1$ なので、この円は直角の頂点Aを通る( $\mathrm{P}=\mathrm{A}$ のとき左辺は $-\mathrm{AB}^2-\mathrm{AC}^2=-\mathrm{BC}^2=-4$ で、条件をみたす)。BCを直径とする円(中心M、半径1)もAを通り、 $\mathrm{OM}=2$ は2つの半径の和なので、2つの円はAで接している。 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|=1$ は、Pが円周上のどこにあっても変わらない。
(確かめ: $\mathrm{A}(0,\ 0)$、 $\mathrm{B}\left(\dfrac85,\ 0\right)$、 $\mathrm{C}\left(0,\ \dfrac65\right)$ とすると $\mathrm{BC}=2$ で、Oは $\left(-\dfrac45,\ -\dfrac35\right)$。 $\mathrm{OB}^2+\mathrm{OC}^2=\dfrac{144+9}{25}+\dfrac{16+81}{25}=10$、 $\mathrm{OA}=1$。Oから距離1の点 $\mathrm{P}\left(\dfrac15,\ -\dfrac35\right)$ では $4\cdot\dfrac{10}{25}-\dfrac{58}{25}-\dfrac{82}{25}=-4$ となり、条件をみたす)
別解(座標を置く) 直角の頂点Aを原点にとり、辺ABを $x$ 軸、辺ACを $y$ 軸に重ねて、 $\mathrm{A}(0,\ 0)$、 $\mathrm{B}(p,\ 0)$、 $\mathrm{C}(0,\ q)$( $p>0$、 $q>0$)とおく。斜辺の長さが2なので、三平方の定理より $p^2+q^2=4$。
$\mathrm{O}(s,\ t)$ とおくと、 $4\overrightarrow{\mathrm{OA}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(-2s-p,\ -2t-q)=\vec0$ より $\mathrm{O}\left(-\dfrac p2,\ -\dfrac q2\right)$。 $\mathrm{M}\left(\dfrac p2,\ \dfrac q2\right)$ なので、AはOMの中点である((1))。
$$\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=\left(\frac{3p}{2}\right)^2+\left(\frac q2\right)^2+\left(\frac p2\right)^2+\left(\frac{3q}{2}\right)^2=\frac{10}{4}\left(p^2+q^2\right)=10$$
となり、(2) が示される。
$\mathrm{P}(x,\ y)$ とおくと
$$4\left(x^2+y^2\right)-\left\{(x-p)^2+y^2\right\}-\left\{x^2+(y-q)^2\right\}=2\left(x^2+y^2+px+qy\right)-\left(p^2+q^2\right)=2\left(x^2+y^2+px+qy\right)-4$$
これが $-4$ に等しいので $x^2+y^2+px+qy=0$。平方完成して
$$\left(x+\frac p2\right)^2+\left(y+\frac q2\right)^2=\frac{p^2+q^2}{4}=1$$
左辺は $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^2$ なので、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|=1$ となる((3))。
直角があるので、直角をはさむ2辺を座標軸にとると、3点の座標が文字2つで書ける。座標を置いても計算は軽く、(1)〜(3) をまとめて確かめられる。
出題意図
(1) 係数つきのベクトルの等式から、点の位置を読み取れるか(教科書レベル)。
(2) 「斜辺BC」から直角の頂点がAだと読み取り、直角を内積0、斜辺の長さを2乗した式に翻訳して計算できるか。
(3) 始点をOにそろえて2乗を展開し、1次の項が条件の式で消えることを捉えることができるか。点Oが、(3) の係数 $4$、 $-1$、 $-1$ に合わせて置かれた点だと気づけるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 30分 |
ベクトルは典型問題が多く、ひらめきは要らない、練習量がすべての単元です。
(2) は始点を点Aに取り直して、ベクトルAB、ACで表すのが一番早く、Oのまま計算するより楽になります。
(3) は、条件の係数が点Oを決めた式の係数と同じことに気づけば、1次の項が消えて一気に解けます。
標準寄りのやや簡単とした問題で、30分かけてでも満点を取りたいところです。
差がつく所・失点しやすい所
- 2011年の合否を分けた1問:始点を点Aに取り直して $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ 、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ で表し、(3) まで完答できるか。計算を進めるだけの問題だが、ここを完答できるかで差がつく。
- 差がつくとすれば (3):始点をOにそろえて展開すると、1次の項が条件の式で消えるという発想に行き着けるか。Oがこの係数に合わせて置かれた点だと気づけば、あとは代入だけで解ける。
- 失点しやすい所:「斜辺BC」から直角がAにあると読み取らずに、(2) で内積0の式を立てられない所。 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|=1$ を求めないまま (3) を終えてしまう所。
2011年九州大学文系数学
第4問 解答・解説
第4問は確率・期待値の問題です。
テーマは「カードを2回入れかえた後の並びの確率と、左端の数字の期待値」。
問題


問題文をテキストで読む
1から4までの数字が1つずつ書かれた4枚のカードがある。その4枚のカードを横一列に並べ、以下の操作を考える。
操作:1から4までの数字が1つずつ書かれた4個の球が入っている袋から同時に2個の球を取り出す。球に書かれた数字が $i$ と $j$ ならば、 $i$ のカードと $j$ のカードを入れかえる。その後、2個の球は袋に戻す。
初めにカードを左から順に1、2、3、4と並べ、上の操作を2回繰り返した後のカードについて、以下の問いに答えよ。
(1) カードが左から順に1、2、3、4と並ぶ確率を求めよ。
(2) カードが左から順に4、3、2、1と並ぶ確率を求めよ。
(3) 左端のカードの数字が1になる確率を求めよ。
(4) 左端のカードの数字の期待値を求めよ。
解答の方針
確率の問題は、いきなり計算を始めず、カードの並びを実際に書いて数回分の操作を実験し、どういう状況になれば条件を満たすのかを言葉にしてから数える。
【(1)の方針】
並びが 1、2、3、4 に戻るのは、2回目に1回目と同じ組を取り出したときだけである。
- 1回の操作で取り出す組は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りで、2回では $6^2=36$ 通りが同様に確からしいとする。1回目の後は、取り出した組の2枚だけが入れかわっていることを確かめる。
- 戻せるのは同じ組をもう一度取り出すときだけなので、1回目の6通りそれぞれに2回目の1通りが対応する。36通りで割って答える。
【(2)の方針】
4、3、2、1 は4枚とも動いている。1回の操作で動くのは2枚だけなので、1と4の組、2と3の組を1回ずつ取り出すしかない。
- 4枚すべてが動くことから、2回で取り出す2組は共通の数字をもたないと分かる。取り出すのは1と4の組を1回、2と3の組を1回の場合に限られると確かめる。
- 2組を取り出す順番が2通りあることから、36通りで割って答える。
【(3)の方針】
問われているのは左端のカードだけなので、左端の1が1回目に動くか動かないかで場合分けする。
- 1回目に1を含まない組を取り出す場合と、1を含む組を取り出す場合に分け、それぞれ2回目にどの組を取り出せば左端が1になるかを決める。
- 1を含まない組を取り出す場合は $3\times3$ 通り、1を含む組を取り出す場合は $3\times1$ 通りと数え、2つの場合は同時に起こらないので足して36で割る。
- 求めた確率を答える。
【(4)の方針】
左端が2、3、4になる動きは区別がつかないので、対称性より、その確率は等しい。1つずつ計算せず、「確率の和は1」から求められる。


- 2回後に左端が1である確率は (3) の答えを使う。
- 左端が $x$ から $y\ (\neq x)$ に変わる確率は、 $x$ と $y$ の組を取り出す $\dfrac16$ で、 $y$ によらず一定であることを確かめ、対称性より、2回後に左端が2、3、4である確率は等しいとする。
- 1から手順1の確率を引いて3等分し、左端が2、3、4である確率を求める。
- 「値×確率」を足して期待値を求める。
解答


解答をテキストで読む
1回の操作で取り出す2個の組は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りで、どれも同じ確率 $\dfrac16$ で選ばれる。2回の操作では $6^2=36$ 通りとなり、どの取り出し方も等しい確率で起こる。
(1) 配点 10点
1回目の操作を終えた段階で位置が変わっているのは、取り出した組の2枚だけで、ほかの2枚は動いていない。入れかわった2枚を元に戻せるのは、同じ組をもう一度取り出したときに限られる。したがって、並びが 1、2、3、4 に戻るのは、2回目に1回目と同じ組を取り出す場合だけである。
1回目の取り出し方は6通りで、そのどれに対しても2回目の取り出し方は1通りに決まるので
$$\dfrac{6\cdot1}{36}=\dfrac16$$
答 $\dfrac16$
(2) 配点 10点
並びが 4、3、2、1 のとき、4枚とも元の位置にない。1回の操作で動かせるのは2枚なので、2回で4枚を全部動かすには、2回の組が共通の数字をもってはならない。4、3、2、1 は、初めの並びで1と4を、また2と3を交換したものである。したがって、取り出すのは「1と4の組」と「2と3の組」を1回ずつ、という場合に限られる。
どちらの組を先に取り出しても同じ並びになるので、取り出す順序は2通りになる。
$$\dfrac{2}{36}=\dfrac{1}{18}$$
答 $\dfrac{1}{18}$
(3) 配点 15点
追いかけるのは左端のカードだけで、1回目の操作で1が動くかどうかで場合を分ける。
(i) 1回目に、1を含まない3通りの組のどれかを取り出したとき
1は左端から動かず、左端は1のままである。2回目も1を含まない組(3通り)を取り出せば、左端はそのまま1である。
(ii) 1回目に、1を含む3通りの組のどれかを取り出したとき
左端は2、3、4のいずれかに入れかわる。これを1に戻せるのは、2回目に、1と、その時点で左端にあるカードとの組(1通り)を選んだ場合だけである。
(i)と(ii)は同時には起こらないから、両方を合わせて
$$\dfrac{3\cdot3}{36}+\dfrac{3\cdot1}{36}=\dfrac{12}{36}=\dfrac13$$
答 $\dfrac13$
(4) 配点 15点
(3) より、2回後に左端のカードの数字が1である確率は $\dfrac13$ である。
左端が $x$ のカードのとき、1回の操作で左端が $y\ (y\neq x)$ のカードに変わるのは、 $x$ と $y$ の組を取り出した場合だけで、その確率は $y$ が何であっても $\dfrac16$ である。つまり2、3、4 は左端への入りやすさに差がないので、対称性により、2回後に左端が2、3、4である確率は互いに等しい。
4つの確率を全部足すと1なので、2回後に左端が2、3、4である確率は、それぞれ
$$\dfrac13\left(1-\dfrac13\right)=\dfrac13\cdot\dfrac23=\dfrac29$$
以上より、期待値は
$$1\cdot\dfrac13+(2+3+4)\cdot\dfrac29=\dfrac13+2=\dfrac73$$
答 $\dfrac73$
(確かめ:確率の和は $\dfrac13+\dfrac29\cdot3=1$ )
別解(左端が2になる取り出し方を直接数える) 対称性を使わずに、2回後に左端が2になる取り出し方を、1回目の組で場合分けして数える。
・1回目に1と2の組(左端が2になる):2回目に2を含まない組(1と3、1と4、3と4)を取り出せば左端は2のまま。3通り
・1回目に1と3の組、または1と4の組(左端が3または4になる):2回目に2とそのとき左端にあるカードの組(2と3、または2と4)を取り出せば左端が2になる。2通り
・1回目に1を含まない組(3通り。左端は1のまま):2回目に1と2の組を取り出せば左端が2になる。3通り
合わせて $3+2+3=8$ 通りなので、左端が2である確率は $\dfrac{8}{36}=\dfrac29$ 。3、4も同じように8通りずつで $\dfrac29$ となり、本解と一致する。左端が1は (3) より12通りで、 $12+8\cdot3=36$ と全体の数とも合う。
出題意図
(1)(2) 操作を実験して、どういう状況になれば条件を満たすのかを、計算の前に言葉にできるか。並び全体を見て、取り出す組とその順序を見つけられるか。
(3) 左端のカードだけを追って、1が動くかどうかで場合分けして整理できるか。
(4) 対称性により、2、3、4が左端になる確率が等しいことを見抜き、(3) の結果と「確率の和は1」から期待値を求めることができるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 30分 |
確率で問われるのは、計算の速さではなく、どういう状況になればよいかを言葉にできるかです。
(1)(2) はカードの並びを書き出して、どの組をどの順に取り出せばよいかを見つけ、(3) は左端の1が動くかどうかで場合分けします。
(4) は、2、3、4が左端になる確率が等しいという対称性に気づけば、(3) の結果だけで期待値まで届きます。
参考書の確率に少し手を加えた程度の問題なので、実験する癖をつけて確実に50点を取りましょう。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは、状況を言葉にして整理できたか:(3) で並び全体でなく左端だけを追い、1が動くかどうかで場合分けする発想に行き着けるか。整理できないと (3)(4) をまとめて落とす。
- (4) の 2、3、4:対称性で確率が等しいと置けるか。「確率の和は1」から1の分を引いて3等分すれば、計算はすぐに終わる。
- (2) の取り出す順番:1と4の組と2と3の組は、どちらを先に取り出してもよい。順番を数え落として $\dfrac{1}{36}$ としやすい。
2011年九州大学・文系数学の
講評とまとめ
4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 30点 |
| 第3問 | やや簡単 | 50点 |
| 第4問 | やや簡単 | 50点 |
| 全体 | やや簡単 | 160点 |
大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと180点になりますが、全体の目標点は160点です。
全体としてやや簡単な年です。
第2問のtanの2倍角の漸化式は文系には少し難しめなので、落としそうなときは、第1問と第3問を完答し、ほかで少し稼いで160点を目指しましょう。
この年で差がつくのは第3問のベクトルで、完答できるかどうかが分かれ目です。
目標点は160点です。
解く流れ
- 第1問→第3問→第2問→第4問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
- 目標時間の合計は105分(第1問20分・第2問25分・第3問30分・第4問30分)。残りの15分は見直しと予備。
2011年九州大学・文系数学に
関するよくある質問
2011年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2011年の九州大学・文系数学は難しかった?
-
やや簡単な年でした。
第1問は簡単、第2問は標準、第3問は標準寄りのやや簡単、第4問はやや簡単です。
放物線と直線の面積、tanの2倍角の漸化式、平面ベクトル、カードの入れかえの確率と、チャートの例題の型を組み合わせた問題がそろっていました。
第2問の漸化式だけは、見慣れないと少し難しく感じる出題です。 - 2011年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は160点です(200点満点)。
- 2011年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?
-
第1問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の3つです。
- 第3問:始点を点Aに取り直してベクトルAB、ACで表し、(3) まで完答できたか。計算を進めるだけの問題ですが、ここを完答できるかどうかが、2011年の合否を分けた一問です。
- 第2問 (3):漸化式がtanの2倍角の公式と同じ形だと見抜き、角を書き並べられたか。最小であることと、漸化式の分母が0にならないことまで書き切れた人が、上位に食い込めます。
- 第4問:カードの並びを実際に書いて実験し、(3) で左端の1が動くかどうかで場合分けできたか。(4) は対称性に気づければ、計算はすぐに終わります。
- 2011年の九州大学・文系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:積分法・図形と方程式(数学Ⅱ)
- 第2問:数列・三角関数
- 第3問:平面ベクトル
- 第4問:確率・期待値


