【解説・採点基準付き】2009年九州大学文系数学の解答・解説

2009年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2009年九州大学文系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は図形と計量・三角関数・平面ベクトルの問題です。
テーマは「$\angle\mathrm{A}$ が直角の二等辺三角形ABCの中の角について、 $\cos\angle\mathrm{QMR}$ と、 $\angle\mathrm{QMR}$ の2倍と $\angle\mathrm{QMB}$ の大小」。

問題

2009年九州大学文系数学 第1問 問題
2009年九州大学文系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

$\angle\mathrm{A}$ が直角の二等辺三角形ABCを考える。辺BCの中点をMとし、線分AMを $1:3$ に内分する点をPとする。また、点Pを通り辺BCに平行な直線と、辺AB、ACとの交点をそれぞれQ、Rとする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) $\cos\angle\mathrm{QMR}$ を求めよ。

(2) $\angle\mathrm{QMR}$ の2倍と $\angle\mathrm{QMB}$ の大小を判定せよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

直角二等辺三角形は、斜辺の中点Mを原点にとると、3つの頂点がすべて座標軸にのる。三角比は三角形の大きさによらないので、座標が整数になるように大きさを決めてよい。

2009年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. 直角二等辺三角形では $\mathrm{MA}=\mathrm{MB}=\mathrm{MC}$、 $\mathrm{AM}\perp\mathrm{BC}$ なので、Mを原点、直線BCを $x$ 軸、直線MAを $y$ 軸にとり、 $\mathrm{AM}=4$ として $\mathrm{A}(0,\ 4)$、 $\mathrm{B}(-4,\ 0)$、 $\mathrm{C}(4,\ 0)$ とおく。
  2. $\mathrm{AP}:\mathrm{PM}=1:3$ から $\mathrm{P}(0,\ 3)$ 。Pを通りBCに平行な直線 $y=3$ と、直線AB: $y=x+4$ 、直線AC: $y=-x+4$ の交点から $\mathrm{Q}(-1,\ 3)$、 $\mathrm{R}(1,\ 3)$ を求める。
  3. $\overrightarrow{\mathrm{MQ}}=(-1,\ 3)$、 $\overrightarrow{\mathrm{MR}}=(1,\ 3)$ の内積 $8$ と大きさ $\sqrt{10}$ を求める。
  4. 内積の定義から $\cos\angle\mathrm{QMR}=\dfrac45$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

角の大小は、同じ単調な範囲での三角関数の値の大小に言いかえる。 $xy$ 平面上の角は $\tan$ が求めやすい。

2009年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $\angle\mathrm{QMR}=\theta$ 、 $\angle\mathrm{QMB}=\varphi$ とおく。Qから辺BCに垂線QHを下ろすと $\mathrm{MH}=1$ 、 $\mathrm{QH}=3$ で、 $\varphi$ は鋭角で $\tan\varphi=3$ 。
  2. (1) の $\cos\theta=4/5$ から、直角三角形の辺の比 $3:4:5$ で $\tan\theta=3/4$ 。2倍角の公式で $\tan2\theta=24/7$ を求める。
  3. $\theta$ は鋭角なので $0^\circ<2\theta<180^\circ$ 。さらに $\tan2\theta>0$ から $0^\circ<2\theta<90^\circ$ と確かめる。
  4. $0^\circ$ から $90^\circ$ の間では $\tan$ は増加するので、 $\tan2\theta=24/7>3=\tan\varphi$ から $2\theta>\varphi$ と判定する。

解答

2009年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
2009年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

三角比は三角形の大きさによらないので、 $\mathrm{AM}=4$ としてよい。直角三角形ABCの斜辺BCの中点Mは外接円の中心なので $\mathrm{MA}=\mathrm{MB}=\mathrm{MC}=4$ で、二等辺三角形なので $\mathrm{AM}\perp\mathrm{BC}$ 。そこで、Mを原点、直線BCを $x$ 軸、直線MAを $y$ 軸にとると

$$\mathrm{A}(0,\ 4),\qquad\mathrm{B}(-4,\ 0),\qquad\mathrm{C}(4,\ 0)$$

$\mathrm{AP}:\mathrm{PM}=1:3$ より $\mathrm{P}(0,\ 3)$ 。Pを通りBCに平行な直線は $y=3$ 。直線ABは $y=x+4$ 、直線ACは $y=-x+4$ なので、 $y=3$ を代入して

$$\mathrm{Q}(-1,\ 3),\qquad\mathrm{R}(1,\ 3)$$

$\overrightarrow{\mathrm{MQ}}=(-1,\ 3)$、 $\overrightarrow{\mathrm{MR}}=(1,\ 3)$ より

$$\overrightarrow{\mathrm{MQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{MR}}=(-1)\cdot1+3\cdot3=8,\qquad|\overrightarrow{\mathrm{MQ}}|=|\overrightarrow{\mathrm{MR}}|=\sqrt{1+9}=\sqrt{10}$$

$$\cos\angle\mathrm{QMR}=\frac{\overrightarrow{\mathrm{MQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{MR}}}{|\overrightarrow{\mathrm{MQ}}||\overrightarrow{\mathrm{MR}}|}=\frac{8}{\sqrt{10}\cdot\sqrt{10}}=\frac45$$

答 $\cos\angle\mathrm{QMR}=\dfrac45$

別解(余弦定理) 座標から $\mathrm{QR}=2$ 、三平方の定理より $\mathrm{MQ}=\mathrm{MR}=\sqrt{1^2+3^2}=\sqrt{10}$ 。三角形QMRで余弦定理より

$$\cos\angle\mathrm{QMR}=\frac{10+10-4}{2\cdot\sqrt{10}\cdot\sqrt{10}}=\frac{16}{20}=\frac45$$

(2) 配点 30点

$\angle\mathrm{QMR}=\theta$ 、 $\angle\mathrm{QMB}=\varphi$ とおく。

Qから辺BCに垂線QHを下ろすと $\mathrm{H}(-1,\ 0)$ で、 $\mathrm{MH}=1$ 、 $\mathrm{QH}=3$ 。Hは線分MB上にあるので、直角三角形QHMで $\varphi=\angle\mathrm{QMH}$ は鋭角で

$$\tan\varphi=\frac{\mathrm{QH}}{\mathrm{MH}}=3$$

(1) より $\cos\theta=\dfrac45>0$ なので $\theta$ は鋭角。斜辺5・底辺4の直角三角形を考えると高さは3なので、 $\tan\theta=\dfrac34$ 。2倍角の公式より

$$\tan2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta}=\frac{\dfrac32}{1-\dfrac{9}{16}}=\frac32\cdot\frac{16}{7}=\frac{24}{7}$$

$0^\circ<\theta<90^\circ$ より $0^\circ<2\theta<180^\circ$ で、 $\tan2\theta=\dfrac{24}{7}>0$ なので $0^\circ<2\theta<90^\circ$ 。

$$\tan2\theta-\tan\varphi=\frac{24}{7}-3=\frac37>0$$

$2\theta$ と $\varphi$ はともに $0^\circ$ から $90^\circ$ の間にあり、この範囲で $\tan$ は増加するので、 $2\theta>\varphi$ 。

答 $\angle\mathrm{QMR}$ の2倍の方が大きい( $2\angle\mathrm{QMR}>\angle\mathrm{QMB}$ )

実際の角は $2\angle\mathrm{QMR}\fallingdotseq73.7^\circ$ 、 $\angle\mathrm{QMB}\fallingdotseq71.6^\circ$ で、差は約 $2^\circ$ しかない。図を見ただけでは判定できないので、値で厳密に比べる。

別解1( $\cos$ で比べる) 2倍角の公式より $\cos2\theta=2\cos^2\theta-1=2\cdot\dfrac{16}{25}-1=\dfrac{7}{25}$ 。直角三角形QHMで $\mathrm{MQ}=\sqrt{10}$ なので $\cos\varphi=\dfrac{\mathrm{MH}}{\mathrm{MQ}}=\dfrac{1}{\sqrt{10}}$ 。どちらも正なので2乗して比べると

$$\left(\frac{7}{25}\right)^2=\frac{49}{625}=\frac{490}{6250},\qquad\left(\frac{1}{\sqrt{10}}\right)^2=\frac{1}{10}=\frac{625}{6250}$$

より $\cos2\theta<\cos\varphi$ 。 $2\theta$ 、 $\varphi$ はともに $0^\circ$ から $180^\circ$ の間にあり、この範囲で $\cos$ は減少するので、 $2\theta>\varphi$ 。 $\cos$ は値の大小と角の大小が逆になることに注意する。

別解2( $36^\circ$ と比べる) 図の左右対称から $\angle\mathrm{RMC}=\varphi$ で、 $\varphi+\theta+\varphi=180^\circ$ より $\varphi=90^\circ-\dfrac{\theta}{2}$ 。よって

$$2\theta>\varphi\iff2\theta>90^\circ-\frac{\theta}{2}\iff\theta>36^\circ$$

$\cos36^\circ=\dfrac{1+\sqrt5}{4}$ である( $5\cdot36^\circ=180^\circ$ を利用して求める値)。これと $\cos\theta=\dfrac45$ を比べると

$$\dfrac45<\dfrac{1+\sqrt5}{4}\iff11<5\sqrt5\iff121<125$$

で成り立つ。 $\cos$ は $0^\circ$ から $180^\circ$ の間で減少するので $\theta>36^\circ$ 、すなわち $2\theta>\varphi$ 。

出題意図

  • 図形の条件を、座標を置いて計算で処理できるか。
  • 角の大小を、三角関数の値の大小に言いかえ、2倍角の公式と単調性で正確に判定できるか(2つの角の差は約 $2^\circ$ しかなく、図では判定できない)。

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間20分

(1) は座標軸を設定すれば簡単で、(2) もやや簡単です。
この内容なら50点を取りたいところです。
(1) は内積、(2) は2倍角の公式と $\tan$ の大小比較で、どちらも教科書・チャートの例題レベルです。
2つの角の差は約 $2^\circ$ しかなく図では判定できないので、値で厳密に比べます。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (2):状況を整理して、角の大小を「同じ単調な範囲( $0^\circ$ から $90^\circ$ )での $\tan$ (または $\cos$ )の値の大小」に言いかえる発想に行き着けるか。差は約 $2^\circ$ で、図では判定できない。
  • 失点しやすい所:2つの角が同じ範囲にあることを書かずに結論する所と、 $\cos$ で比べたときに大小の向きを逆にする所( $\cos$ は減少)。

2009年九州大学文系数学
第2問 解答・解説

第2問は平面ベクトル・2次関数の問題です。
テーマは「垂線の足Cと、 $s$ を固定して $t\geqq0$ で動く点Pの距離 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ の最小値」。

問題

2009年九州大学文系数学 第2問 問題
2009年九州大学文系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面に3点 $\mathrm{O}(0,0)$、 $\mathrm{A}(2,6)$、 $\mathrm{B}(3,4)$ をとり、点Oから直線ABに垂線OCを下ろす。また、実数 $s$ と $t$ に対し、点Pを

$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=s\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\,\overrightarrow{\mathrm{OB}}$$

で定める。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 点Cの座標を求め、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ を $s$ と $t$ を用いて表せ。

(2) $s=\dfrac{1}{2}$ とし、 $t$ を $t\geqq0$ の範囲で動かすとき、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ の最小値を求めよ。

(3) $s=1$ とし、 $t$ を $t\geqq0$ の範囲で動かすとき、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ の最小値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

垂線の足Cは直線AB上にあるので、実数 $u$ を使って1つの文字で表せる。その文字は、OCとABが垂直であることを内積=0に直して決める。

2009年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+u\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$ から $u=2$ 、つまり $\mathrm{C}(4,\ 2)$ と求める。
  2. $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を成分で表して $\mathrm{P}(2s+3t,\ 6s+4t)$ とし、 $\overrightarrow{\mathrm{CP}}=(2s+3t-4,\ 6s+4t-2)$ を求める。
  3. $\overrightarrow{\mathrm{CP}}$ の成分を2乗して足し、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=40s^2+60st+25t^2-40s-40t+20$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

$s=\dfrac12$ を代入すると、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ は $t$ だけの2次式になる。最小になるのは軸か定義域の端のどちらかなので、軸が $t\geqq0$ に入るかどうかを確かめる。

  1. (1) の式に $s=\dfrac12$ を入れて $t$ の式に整理する( $t^2$ の係数が正で下に凸)。
  2. 平方完成して、軸 $t=\dfrac15$ と頂点の値 $9$ を求める。
  3. 軸は $t\geqq0$ に入るので、最小値は頂点の値 $9$ 。

【(3)の方針】

着眼点

(2) と同じ流れだが、今度は軸が $t\geqq0$ の外にある。頂点の値は定義域の外の値なので、最小値にはならない。

2009年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. (1) の式に $s=1$ を入れて $t$ の式に整理する。
  2. 平方完成して軸 $t=-\dfrac25$ を読み、軸が $t\geqq0$ に入らないことを確かめる。
  3. $t\geqq0$ では増加するので、端 $t=0$ での値 $20$ が最小値。

解答

2009年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2009年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(3-2,\ 4-6)=(1,\ -2)$ 。点Cは直線AB上にあるので、実数 $u$ を使って

$$\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+u\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2+u,\ 6-2u)$$

と表せる。OCとABは垂直なので $\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$ 、すなわち

$$(2+u)\cdot1+(6-2u)\cdot(-2)=5u-10=0\iff u=2$$

したがって $\mathrm{C}(4,\ 2)$ 。Cは線分ABの内部ではなく、Bから先へ延ばした所にある(下の図)。

成分で表すと $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=s(2,\ 6)+t(3,\ 4)=(2s+3t,\ 6s+4t)$ なので

$\overrightarrow{\mathrm{CP}}=(2s+3t-4,\ 6s+4t-2)$

成分の2乗の和をつくると

$$|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=(2s+3t-4)^2+(6s+4t-2)^2=40s^2+60st+25t^2-40s-40t+20$$

答 $\mathrm{C}(4,\ 2)$、 $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=40s^2+60st+25t^2-40s-40t+20$

検算:この式に $s=t=0$ (PがO)を入れると $20$ 、 $s=0,\ t=1$ (PがB)を入れると $5$ となり、それぞれ $|\overrightarrow{\mathrm{CO}}|^2=4^2+2^2=20$ 、 $|\overrightarrow{\mathrm{CB}}|^2=1^2+2^2=5$ に一致する。(2)(3) ではこの式をそのまま使うので、先に確かめておく。

(2) 配点 15点

(1) の式に $s=\dfrac12$ を代入して、 $t$ について整理すると

$$|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=10+30t+25t^2-20-40t+20=25t^2-10t+10$$

平方完成すると

$$|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=25\left(t-\frac15\right)^2+9$$

これは $t$ の2次関数で下に凸、軸は $t=\dfrac15$。軸は $t\geqq0$ に入るので、 $t=\dfrac15$ で最小になり、最小値は9である。

答 9( $t=\dfrac15$ のとき)

図形で確かめる。 $s=\dfrac12$ のとき $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac12\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ なので、Pは線分OAの中点 $\mathrm{Q}(1,\ 3)$ を出発点に、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の向きへ進む半直線( $t\geqq0$ の部分)の上を動く。Cからこの半直線への垂線の足 $\mathrm{H}\left(\dfrac85,\ \dfrac{19}{5}\right)$ は $t=\dfrac15$ に当たり、半直線の上にある。したがって $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|$ が最小になるのはP=Hのときである。

別解(点と直線の距離で求める) Pが動く半直線は、点 $\mathrm{Q}(1,\ 3)$ を通り $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ に平行な直線の一部。この直線は法線ベクトルが $(4,\ -3)$ なので $4x-3y+5=0$ 。垂線の足Hは $\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OQ}}+t_0\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ とおけて、 $\overrightarrow{\mathrm{CH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}=0$ から $t_0=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{QC}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|^2}=\dfrac{3\cdot3+4\cdot(-1)}{25}=\dfrac15$ 。 $t_0\geqq0$ なのでHは半直線の上にあり、最小値はCと直線の距離の2乗になる。

$$\left(\frac{|4\cdot4-3\cdot2+5|}{\sqrt{4^2+(-3)^2}}\right)^2=\left(\frac{15}{5}\right)^2=9$$

Hが半直線の上にあるかを確かめずに距離だけで答えると、(3) のような場合で誤る。

(3) 配点 15点

(1) の式に $s=1$ を代入して、 $t$ について整理すると

$$|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=40+60t+25t^2-40-40t+20=25t^2+20t+20$$

平方完成すると

$$|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2=25\left(t+\frac25\right)^2+16$$

これは $t$ の2次関数で下に凸、軸は $t=-\dfrac25$。軸は $t\geqq0$ に入らず、 $t\geqq0$ では $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ は増加する。よって、端 $t=0$ で最小になり、最小値は

$$25\cdot0^2+20\cdot0+20=20$$

答 20( $t=0$ のとき)

$t=0$ のとき $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ でPはAに重なるので、最小値は $|\overrightarrow{\mathrm{CA}}|^2=(2-4)^2+(6-2)^2=20$ で、検算になる。図で見ると、点PはAから $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の向きに伸びる半直線の上を動く。Cからこの半直線を含む直線に下ろした垂線の足 $\mathrm{H}\left(\dfrac45,\ \dfrac{22}{5}\right)$ は $t=-\dfrac25$ の点で、半直線の外(Aより手前)にあるので、半直線の上でCにいちばん近いのは端のAである。頂点の値16は、この半直線の外の点Hまでの距離の2乗であり、答えにはならない。

出題意図

(1) 垂線の足Cを、直線AB上の点を文字1つで表して垂直の条件(内積が0)から決め、成分を間違えずに計算できるか

(2)(3) $s$ に具体的な値を入れると $|\overrightarrow{\mathrm{CP}}|^2$ は $t$ だけの2次式になる。 $t\geqq0$ という制限のもとで、最小になるのが軸なのか端なのかを見分けられるか。(2) は軸が $t\geqq0$ に入り、(3) は入らない。

講評

難易度簡単
目標得点50点
目標時間20分

簡単な問題で、20分で50点を取りたいところです。
理系では $s$ を一般の定数として場合分けまで求めた問題を、文系は $s=\dfrac12$ と $s=1$ の具体的な値にした姉妹問題で、理系よりさらに易しい作りです。
垂線の足を求めて $t$ の2次関数を平方完成するだけですが、(3) は軸が $t\geqq0$ の外にあり、最小値が頂点の値ではなく端の値になる点に注意しましょう。
最小値の候補は軸と端、と決めておけば迷いません。

差がつく所・失点しやすい所

  • 唯一差がつくとすれば (3):軸 $t=-\dfrac25$ が定義域 $t\geqq0$ の外にあるので、最小値は頂点の値16ではなく端 $t=0$ の値20になる所。(2) と同じ流れで頂点の値を答えて失点しやすい。

2009年九州大学文系数学
第3問 解答・解説

第3問は確率・場合の数の問題です。
テーマは「1〜6のカード6枚を一列に並べ、左から $a,b,c,d,e,f$ とするとき、 $a+b=c$ となる確率と $a+b=c+d$ となる確率」。

問題

2009年九州大学文系数学 第3問 問題
2009年九州大学文系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

1から6までの数字が1つずつ書かれている6枚のカードがある。これらをよくきった上で、左から右に一列に並べる。カードに書かれた数字を左から順に $a,b,c,d,e,f$ とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) $a+b=c$ となる確率を求めよ。

(2) $a+b=c+d$ となる確率を求めよ。

解答の方針

全体の着眼点

条件に関係するのは、(1) は左の3枚、(2) は左の4枚だけなので、全体もその枚数の並べ方で数えてよい。

【(1)の方針】

着眼点

$a+b=c$ なら、 $c$ は $a$ よりも $b$ よりも大きい。つまり $c$ は左の3枚の中で最大のカードで、3枚の組が決まれば $c$ の位置のカードも決まる。

  1. 全体を、左の3枚に置くカードを選んで並べる ${}_6\mathrm{C}_3\times3!=120$ 通りとする。
  2. 3枚の組 $\{x,\ y,\ z\}\ (x<y<z)$ で $x+y=z$ となるものを、 $z$ の小さい方から漏れなく書き出す(6組)。
  3. 各組で、 $c=z$ と決まり、 $a,b$ の並べ方が2通りあるので、条件を満たす並べ方は $6\times2=12$ 通り。
  4. $12/120$ を約分して $1/10$ とする。

【(2)の方針】

着眼点

$a+b=c+d$ は「和が等しい2枚の組が2つ」と言いかえられる。和が等しい異なる2組は、共通のカードを含まない。

2009年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. 全体を、左の4枚に置くカードを選んで並べる ${}_6\mathrm{C}_4\times4!=360$ 通りとする。
  2. $a+b=c+d$ を「和が等しい2枚の組が2つ」と言いかえる(異なる2組は共通のカードを含まない)。
  3. 1〜6から2枚を選ぶ15組を和ごとに書き出し、和の等しい2組の選び方を数える(和が7のときだけ3組から2組を選ぶので、計7通り)。
  4. 選んだ2組ごとに、どちらの組を $a,b$ に置くかで2通り、 $a,b$ の順2通り、 $c,d$ の順2通りで8通り。条件を満たす並べ方は $7\times8=56$ 通り。
  5. $56/360$ を約分して $7/45$ とする。

解答

2009年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2009年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$a+b=c$ となるかどうかは、左の3枚 $a,b,c$ だけで決まる。そこで、全体を「6枚から左の3枚に置くカードを選び( ${}_6\mathrm{C}_3$ 通り)、それを並べる( $3!$ 通り)」と数える。

$${}_6\mathrm{C}_3\times3!=20\times6=120\ \text{(通り)}$$

これらは同様に確からしい(右の3枚 $d,e,f$ の並び方は、どの $(a,b,c)$ に対しても同じ $3!$ 通りずつある)。

$a,b$ は1以上なので、 $a+b=c$ のとき $c>a$ 、 $c>b$ 。つまり $c$ は3枚の中で最大のカードである。そこで、3枚の組を $\{x,\ y,\ z\}\ (x<y<z)$ と表し、 $x+y=z$ となる組を $z$ の小さい方から書き出す。

$z$$x+y=z$ となる組 $\{x,\ y,\ z\}$
$3$$\{1,\ 2,\ 3\}$
$4$$\{1,\ 3,\ 4\}$
$5$$\{1,\ 4,\ 5\}$ 、 $\{2,\ 3,\ 5\}$
$6$$\{1,\ 5,\ 6\}$ 、 $\{2,\ 4,\ 6\}$

全部で6組。

各組で、 $c=z$ と決まり、 $a,b$ は残りの2枚をどちらの順に置くかで2通り。よって、条件を満たす並べ方は

$$6\times2=12\ \text{(通り)}$$

求める確率は

$$\dfrac{12}{120}=\dfrac{1}{10}$$

答 $\dfrac{1}{10}$

(2) 配点 30点

$a+b=c+d$ となるかどうかは、左の4枚だけで決まる。そこで、全体を「6枚から左の4枚に置くカードを選び( ${}_6\mathrm{C}_4$ 通り)、それを並べる( $4!$ 通り)」と数える。

$${}_6\mathrm{C}_4\times4!=15\times24=360\ \text{(通り)}$$

$a+b=c+d$ は、「 $\{a,\ b\}$ と $\{c,\ d\}$ が、和の等しい2枚の組である」ということ。和が等しい異なる2組に共通のカードがあると、残りのカードも等しくなって同じ組になってしまう。よって、和の等しい異なる2組を選べば、4枚は自然に別々のカードになる。

1〜6から2枚を選ぶ15組を、和ごとに書き出す。

和2枚の組組の数
$3$$\{1,\ 2\}$$1$
$4$$\{1,\ 3\}$$1$
$5$$\{1,\ 4\}$ 、 $\{2,\ 3\}$$2$
$6$$\{1,\ 5\}$ 、 $\{2,\ 4\}$$2$
$7$$\{1,\ 6\}$ 、 $\{2,\ 5\}$ 、 $\{3,\ 4\}$$3$
$8$$\{2,\ 6\}$ 、 $\{3,\ 5\}$$2$
$9$$\{3,\ 6\}$ 、 $\{4,\ 5\}$$2$
$10$$\{4,\ 6\}$$1$
$11$$\{5,\ 6\}$$1$

和の等しい2組を選べるのは、組が2つ以上ある和5、6、7、8、9のときで、選び方は

$$1+1+{}_3\mathrm{C}_2+1+1=7\ \text{(通り)}$$

選んだ2組それぞれについて、どちらの組を $\{a,\ b\}$ にするかで2通り、 $a,b$ の順で2通り、 $c,d$ の順で2通りあるので、並べ方は $2\times2\times2=8$ 通り。よって、条件を満たす並べ方は

$$7\times8=56\ \text{(通り)}$$

求める確率は

$$\dfrac{56}{360}=\dfrac{7}{45}$$

答 $\dfrac{7}{45}$

別解(6枚全部の並べ方で数える) 全体を6枚全部の並べ方 $6!=720$ 通りとしてもよい。このときは分子も同じ数え方にそろえ、条件に関係しない残りのカードの並べ方も掛ける。(1) は $12\times3!=72$ 通りで $\dfrac{72}{720}=\dfrac{1}{10}$ 、(2) は $56\times2!=112$ 通りで $\dfrac{112}{720}=\dfrac{7}{45}$ 。答えは同じ。

検算 6枚の並べ方720通りをすべて調べると、 $a+b=c$ となるのは72通り、 $a+b=c+d$ となるのは112通りで、確率はそれぞれ $\dfrac{1}{10}$ 、 $\dfrac{7}{45}$ 。本解と一致する。また、(2) を「左の4枚がどの4枚か」で見ると、和の等しい2組に分けられる4枚の組は7通り( $\{1,2,3,4\}$ 、 $\{1,2,4,5\}$ 、 $\{1,2,5,6\}$ 、 $\{1,3,4,6\}$ 、 $\{2,3,4,5\}$ 、 $\{2,3,5,6\}$ 、 $\{3,4,5,6\}$ )で、 ${}_6\mathrm{C}_4=15$ 通りの中の7通り。その4枚の並べ方 $4!=24$ 通りのうち条件を満たすのは8通りで $\dfrac{1}{3}$ 。 $\dfrac{7}{15}\times\dfrac{1}{3}=\dfrac{7}{45}$ となり、これも一致する。

出題意図

  • 「条件に関係するのは左の何枚か」「その中で何がどうなればよいか」を言葉にして、数える対象を絞り込めるか。
  • 全体と条件を満たす場合を同じ数え方でそろえ、組を漏れなく書き出してから並べ方を掛ける、という確率の基本の手順を正確に実行できるか。

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間25分

(1) は、組を作って数えるだけの簡単な問題で、(2) もやや簡単です。
数式はほとんど要らず、書き出して数えるだけなので、50点を取りたいところです。
確率で大事なのは、計算に入る前に「何が起きればよいか」を言葉にすることです。
この問題なら「関係するのは左の3枚だけ」「 $c$ は最大」「和の等しい2組」と言葉にした時点で、数える対象がしぼれます。

差がつく所・失点しやすい所

  • 状況を言葉にして整理できたか:「関係するのは左の3枚(4枚)だけ」「(1) の $c$ は3枚の中で最大」「(2) は和の等しい2枚の組が2つ」と言葉にできれば、あとは書き出して数えるだけ。差がつくとすれば数え間違いだけ。
  • 失点しやすい所:(2) で和が7の組が3つある所の見落としと、並べ方の8通り(どちらの組を左に置くか・ $a,b$ の順・ $c,d$ の順)の掛け忘れ。

2009年九州大学文系数学
第4問 解答・解説

第4問は微分法・積分法(数学Ⅱ)・式と証明の問題です。
テーマは「放物線 $y=x^2$ の2本の接線の交点Rと三角形PRQの面積、平行四辺形PRQSの折れ線PSQと放物線で囲まれた図形の面積、接線が直交するときの面積の最小値」。

問題

2009年九州大学文系数学 第4問 問題
2009年九州大学文系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

曲線 $y=x^2$ の点 $\mathrm{P}(a,\ a^2)$ における接線と点 $\mathrm{Q}(b,\ b^2)$ における接線が点Rで交わるとする。ただし、 $a<0<b$ とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 点Rの座標および三角形PRQの面積を求めよ。

(2) 線分PRと線分QRを2辺とする平行四辺形をPRQSとする。折れ線PSQと曲線 $y=x^2$ で囲まれた図形の面積を求めよ。

(3) $\angle\mathrm{PRQ}=90^\circ$ を満たしながらPとQが動くとき、(2) で求めた面積の最小値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

接線は必ず接点から作る。放物線の2本の接線の交点の $x$ 座標は、2つの接点の $x$ 座標の真ん中になる。

2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. Pでの接線 $y=2ax-a^2$ 、Qでの接線 $y=2bx-b^2$ を作る。
  2. 2本の接線の式を連立して、Rの座標を求める( $x$ 座標は $a$ と $b$ の真ん中)。
  3. Rが原点に来るように平行移動したときのP、Qの座標( $\overrightarrow{\mathrm{RP}}$ 、 $\overrightarrow{\mathrm{RQ}}$ の成分)を求める。
  4. $\dfrac12|ad-bc|$ に代入し、 $b-a$ でくくって三角形PRQの面積を求める。

【(2)の方針】

着眼点

平行四辺形は対角線PQの中点について点対称なので、三角形PSQは三角形PRQと合同で、面積は (1) の答えが使える。求める図形は、弦PQで2つに分けて考える。

2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. Sは対角線PQの中点についてRと対称な点として、座標を求める。三角形PSQの面積は三角形PRQの面積と同じになる。
  2. 放物線は $a\leqq x\leqq b$ で弦PQの下にあり、Sは弦PQについてRと反対側(上側)にあることを確かめ、求める図形を「三角形PSQ」と「弦PQと放物線で囲まれた部分」の2つに分ける。
  3. 弦PQの式 $y=(a+b)x-ab$ を求め、「弦 $-$ 放物線」 $=-(x-a)(x-b)$ と因数分解して $\dfrac16$ 公式で面積を求める。
  4. 2つの面積を足して、 $\dfrac{5}{12}(b-a)^3$ を求める。

【(3)の方針】

着眼点

$\angle\mathrm{PRQ}=90^\circ$ は、2本の接線が直交すること、つまり傾きの積が $-1$ ということ。(2) の面積は $b-a$ だけで決まるので、 $ab$ の条件で $a$ を消して $b-a$ の最小を考えれば済む。

2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2009年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. 接線の傾き $2a$ 、 $2b$ の積が $-1$ から $ab=-\dfrac14$ を求める。
  2. $b>0$ なので $a=-\dfrac{1}{4b}$ とおき、 $b-a=b+\dfrac{1}{4b}$ と1文字で表す。
  3. 相加平均と相乗平均の関係から $b+\dfrac{1}{4b}\geqq1$ を示す( $b\cdot\dfrac{1}{4b}$ が定数になる)。
  4. 等号が成り立つ $b=\dfrac12$ を求め、最小値をとることを確かめる。
  5. (2) の面積は $b-a$ が小さいほど小さいので、 $b-a=1$ を代入して答えを求める。

解答

2009年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2009年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2009年九州大学文系数学 第4問 解答・解説(続き)
2009年九州大学文系数学 第4問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 15点

$y=x^2$ のとき $y’=2x$ なので、点 $\mathrm{P}(a,\ a^2)$ における接線は $y=2a(x-a)+a^2$ 、すなわち

$$y=2ax-a^2\quad\cdots①$$

同じように、点 $\mathrm{Q}(b,\ b^2)$ における接線は

$$y=2bx-b^2\quad\cdots②$$

①、②を連立すると $2(a-b)x=a^2-b^2$。 $a\neq b$ なので $x=\dfrac{a+b}{2}$ で、①に代入して $y=a(a+b)-a^2=ab$。

答 $\mathrm{R}\left(\dfrac{a+b}{2},\ ab\right)$

Rが原点に来るように全体を平行移動する(面積は変わらない)。 $b-a=d\ (>0)$ とおくと

$$\overrightarrow{\mathrm{RP}}=\left(a-\dfrac{a+b}{2},\ a^2-ab\right)=\left(-\dfrac d2,\ -ad\right),\qquad \overrightarrow{\mathrm{RQ}}=\left(b-\dfrac{a+b}{2},\ b^2-ab\right)=\left(\dfrac d2,\ bd\right)$$

よって、三角形PRQの面積は

$$\dfrac12\left|\left(-\dfrac d2\right)\cdot bd-\dfrac d2\cdot(-ad)\right|=\dfrac12\left|-\dfrac{d^2(b-a)}{2}\right|=\dfrac12\left|-\dfrac{d^3}{2}\right|=\dfrac{d^3}{4}=\dfrac14(b-a)^3$$

答 $\triangle\mathrm{PRQ}=\dfrac14(b-a)^3$

別解(Rを通り $y$ 軸に平行な直線で2つに分ける) 弦PQの式は $y=(a+b)x-ab$ 。 $x=\dfrac{a+b}{2}$ での弦PQ上の点をMとすると、Mの $y$ 座標は $\dfrac{(a+b)^2}{2}-ab=\dfrac{a^2+b^2}{2}$ なので

$$\mathrm{RM}=\dfrac{a^2+b^2}{2}-ab=\dfrac{(b-a)^2}{2}$$

三角形PRQは線分RMで左右2つの三角形に分かれ、底辺をRMとしたときの高さの和は $b-a$ なので、面積は $\dfrac12\cdot\dfrac{(b-a)^2}{2}\cdot(b-a)=\dfrac14(b-a)^3$ 。本解と一致する。

(2) 配点 20点

PRQSは平行四辺形なので、対角線PQとRSはそれぞれの中点で交わる。PQの中点を $\mathrm{N}\left(\dfrac{a+b}{2},\ \dfrac{a^2+b^2}{2}\right)$ とすると、SはNについてRと対称な点で

$$\mathrm{S}\left(\dfrac{a+b}{2},\ a^2+b^2-ab\right)$$

平行四辺形は対角線の交点Nについて点対称なので、三角形PSQと三角形PRQは合同であり、(1) より

$$\triangle\mathrm{PSQ}=\triangle\mathrm{PRQ}=\dfrac14(b-a)^3$$

弦PQの式は $y=(a+b)x-ab$ で

$$\{(a+b)x-ab\}-x^2=-(x-a)(x-b)$$

なので、 $a\leqq x\leqq b$ では放物線は弦PQより下にある。一方、Rは放物線の下にあるので弦PQより下にあり、SはNについてRと対称なので弦PQより上にある。よって線分PS、SQは(P、Qを除いて)弦PQより上にあり、放物線とはP、Q以外で交わらない。したがって、求める図形は、弦PQで「三角形PSQ」と「弦PQと放物線で囲まれた部分」の2つに分かれる。

弦PQと放物線で囲まれた部分の面積は

$$\int_a^b\left[\{(a+b)x-ab\}-x^2\right]dx=-\int_a^b(x-a)(x-b)\,dx=\dfrac16(b-a)^3$$

よって、求める面積を $T$ とすると

$$T=\dfrac14(b-a)^3+\dfrac16(b-a)^3=\dfrac{5}{12}(b-a)^3$$

答 $\dfrac{5}{12}(b-a)^3$

別解(平行四辺形から、2本の接線と放物線で囲まれた部分を引く)

放物線は2本の接線より上にあり、弦PQより下にあるので、弧PQは三角形PRQの中を通り、平行四辺形PRQSを「求める図形 $T$ 」と「2本の接線と放物線で囲まれた部分 $U$ 」の2つに分ける。平行四辺形の面積は (1) の2倍で $\dfrac12(b-a)^3$ 。

$U$ は接線の交点の $x$ 座標 $m=\dfrac{a+b}{2}$ で左右に分け、接するので「放物線 $-$ 接線」が $(x-a)^2$ 、 $(x-b)^2$ と完全平方の形になることを使うと

$$U=\int_a^{m}(x-a)^2\,dx+\int_{m}^{b}(x-b)^2\,dx=\dfrac13\left(\dfrac{b-a}{2}\right)^3+\dfrac13\left(\dfrac{b-a}{2}\right)^3=\dfrac{1}{12}(b-a)^3$$

左右の値が同じになり、検算もできる。よって $T=\dfrac12(b-a)^3-\dfrac{1}{12}(b-a)^3=\dfrac{5}{12}(b-a)^3$ で、本解と一致する。

(3) 配点 15点

$\angle\mathrm{PRQ}=90^\circ$ は、①と②が直交することと同じなので、傾きの積が $-1$ になる。

$$2a\cdot2b=-1\quad\text{すなわち}\quad ab=-\dfrac14$$

$b>0$ なので $a=-\dfrac{1}{4b}$ (これは $a<0$ を満たし、逆に $b>0$ を1つ決めるとこの $a$ でPとQが決まる)。よって

$$b-a=b+\dfrac{1}{4b}$$

$b>0$ 、 $\dfrac{1}{4b}>0$ なので、相加平均と相乗平均の関係より

$$b+\dfrac{1}{4b}\geqq2\sqrt{b\cdot\dfrac{1}{4b}}=1$$

等号は $b=\dfrac{1}{4b}$ 、すなわち $b=\dfrac12$ ( $b>0$ )のとき成り立ち、このとき $a=-\dfrac12$ 。よって $b-a$ の最小値は $1$ である。

(2) の面積 $\dfrac{5}{12}(b-a)^3$ は $b-a\ (>0)$ が小さいほど小さいので、 $a=-\dfrac12$ 、 $b=\dfrac12$ のとき最小で

答 $\dfrac{5}{12}$( $a=-\dfrac12$ 、 $b=\dfrac12$ のとき)

別解( $(b-a)^2$ を $a+b$ で表す)  $ab=-\dfrac14$ より

$$(b-a)^2=(a+b)^2-4ab=(a+b)^2+1\geqq1$$

$b-a>0$ なので $b-a\geqq1$ 。等号は $a+b=0$ 、すなわち $a=-\dfrac12$ 、 $b=\dfrac12$ のとき成り立ち、本解と同じ最小値 $\dfrac{5}{12}$ になる。

検算  $ab=-\dfrac14$ なので、Rの $y$ 座標は常に $-\dfrac14$ で、Rは直線 $y=-\dfrac14$ 上を動く。最小のとき $\mathrm{P}\left(-\dfrac12,\ \dfrac14\right)$ 、 $\mathrm{Q}\left(\dfrac12,\ \dfrac14\right)$ 、 $\mathrm{R}\left(0,\ -\dfrac14\right)$ 、 $\mathrm{S}\left(0,\ \dfrac34\right)$ で、図形は $y$ 軸について対称になる。三角形PSQは底辺1・高さ $\dfrac12$ で面積 $\dfrac14$ 、弦と放物線の間は $\dfrac16$ なので、和は $\dfrac14+\dfrac16=\dfrac{5}{12}$ で一致する。

出題意図

(1) 放物線の2本の接線を接点から作って交点を求め、座標平面の三角形の面積を求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)

(2) 折れ線PSQと放物線で囲まれた図形を、弦PQで三角形と「弦と放物線の間」に分け、(1) の三角形と $\dfrac16$ 公式に帰着できるか

(3) 「 $\angle\mathrm{PRQ}=90^\circ$ 」を接線の傾きの積 $-1$ と読みかえ、1文字を消去して相加平均と相乗平均で最小値を求めることができるか

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間25分

放物線の2本の接線でよくある型の問題で、典型問題の組み合わせなので、やや簡単としました。
完答が必須で、50点を取りたい問題です。
2本の接線の交点は接点の真ん中、 $\dfrac16$ 公式、直交する接線は傾きの積が $-1$ という、チャートの例題の型を3つつないだ作りです。
山場は (2) で、求める図形を弦PQで分けると、(1) の三角形と $\dfrac16$ 公式だけで面積が求まります。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (2):求める図形を弦PQで三角形PSQと「弦と放物線の間」に分け、(1) の三角形がそのまま使えるという発想に行き着けるか。行き着けないと、直線PS、SQの式を作って積分することになり、計算が重くなる。
  • 失点しやすい所:(2) で平行四辺形PRQSの面積を答えてしまう所と、(3) で $b-a=b+\dfrac{1}{4b}$ の符号を間違える所( $-a=\dfrac{1}{4b}>0$ )や、等号成立を確かめない所。

2009年九州大学・文系数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問やや簡単50点
第2問簡単50点
第3問やや簡単50点
第4問やや簡単50点
全体簡単170点

大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと200点になりますが、全体の目標点は170点です。

簡単な年です。
どの問題も典型問題なので、基本的に完答したいところです。
目標点は170点です。

解く流れ

  • 第2問→第1問→第3問→第4問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
  • 目標時間の合計は90分(第1問20分・第2問20分・第3問25分・第4問25分)。残りの30分は見直しと予備。

2009年九州大学・文系数学に
関するよくある質問

2009年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2009年の九州大学・文系数学は難しかった?

簡単な年でした。
第2問のベクトルと2次関数は簡単、第1問の図形と計量、第3問の確率、第4問の放物線の接線と面積は、いずれもやや簡単です。
どの問題も教科書やチャートの例題の型で解き切れます。
ただし第1問 (2) は、2つの角の差が約2度しかなく、図や概算では判定できないので、値で厳密に比べる必要があります。

2009年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?

目標点は170点です(200点満点)。

2009年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?

どの問題も基本的に完答したい年です。そのうえで、差がつくのは次の3つです。

  • 第1問 (2):角の大小を、同じ範囲にある $\tan$ の値の大小に言いかえて判定できたか。2つの角が同じ範囲にあることを書かずに結論すると失点します。
  • 第2問 (3):軸が $t\geqq0$ の外にあることに気づき、頂点の値ではなく端 $t=0$ の値を最小値として答えられたか。
  • 第4問 (2):求める図形を弦PQで三角形PSQと「弦と放物線の間」に分け、(1) の三角形と $\dfrac16$ 公式で求められたか。平行四辺形の面積で止めないことが大切です。
2009年の九州大学・文系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:図形と計量・三角関数・平面ベクトル
  • 第2問:平面ベクトル・2次関数
  • 第3問:確率・場合の数
  • 第4問:微分法・積分法(数学Ⅱ)・式と証明

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