【解説・採点基準付き】2008年九州大学文系数学の解答・解説
2008年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2008年九州大学文系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は三角関数・数列の問題です。
テーマは「$\cos$ の積 $a_n=(\cos2^n)(\cos2^{n-1})\cdots(\cos2)(\cos1)$ を、 $\sin1$ を掛けて2倍角の公式を連鎖させて $\sin$ 1つにまとめ、その式で $a_n$ を上から評価する」。
問題


問題文をテキストで読む
自然数 $n$ に対して、 $a_n=(\cos2^n)(\cos2^{n-1})\cdots(\cos2)(\cos1)$ とおく。ただし、角の大きさを表すのに弧度法を用いる。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $a_1=\dfrac{\sin4}{4\sin1}$ を示せ。
(2) $a_n=\dfrac{\sin2^{n+1}}{2^{n+1}\sin1}$ を示せ。
(3) $a_n<\dfrac{\sqrt2}{2^{n+1}}$ を示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\cos$ の積は、 $\sin$ を掛けて2倍角の公式を連鎖させる。答えの分母に $\sin1$ があるのがそのヒント。
- $0<1<\pi$ より $\sin1\neq0$ を確かめる。
- $a_1=(\cos2)(\cos1)$ の分母と分子に $2\sin1$ を掛ける。
- $2\sin1\cos1=\sin2$ 、 $2\sin2\cos2=\sin4$ と2倍角の公式を2回使い、 $\dfrac{\sin4}{4\sin1}$ にする。
【(2)の方針】
すべての自然数 $n$ で成り立つ等式=自然数の全称命題なので、数学的帰納法。
- 自然数の全称命題なので帰納法で示す、と書く。
- $n=1$ のときは (1) より成り立つ。
- $n=k$ で成り立つと仮定し、 $a_{k+1}=(\cos2^{k+1})a_k$ に仮定の式を代入する。
- $\sin2^{k+1}\cos2^{k+1}=\dfrac12\sin2^{k+2}$ (2倍角の公式)で、 $n=k+1$ の式にする。
【(3)の方針】
$\sin2^{n+1}$ は1以下で上から押さえられる。弧度法の1は有名角ではないので、有名角 $\dfrac{\pi}{4}$ と $\dfrac{\pi}{2}$ で挟んで比べる(下の図)。


- (2) の式を代入し、 $\sin1>0$ を掛けて、示す式を $\sin2^{n+1}<\sqrt2\sin1$ と言いかえる。
- $3<\pi<4$ から $\dfrac{\pi}{4}<1<\dfrac{\pi}{2}$ とする。
- $\sin\theta$ は $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で増加するので $\sin1>\sin\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt2}{2}$ 。よって $\sqrt2\sin1>1$ 。
- $\sin2^{n+1}\leqq1<\sqrt2\sin1$ から結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$0<1<\pi$ より $\sin1>0$ なので、 $\sin1\neq0$ 。 $a_1=(\cos2)(\cos1)$ の分母と分子に $2\sin1$ を掛けると
$$a_1=\dfrac{(\cos2)(2\sin1\cos1)}{2\sin1}=\dfrac{\sin2\cos2}{2\sin1}$$
さらに分母と分子に2を掛けて、 $2\sin2\cos2=\sin4$ を使うと
$$a_1=\dfrac{2\sin2\cos2}{4\sin1}=\dfrac{\sin4}{4\sin1}$$
となり、示された。
(2) 配点 20点
すべての自然数 $n$ について
$$a_n=\dfrac{\sin2^{n+1}}{2^{n+1}\sin1}\quad\cdots\cdots(☆)$$
が成り立つことを、数学的帰納法で示す。
(i) $n=1$ のとき (1) より $a_1=\dfrac{\sin4}{4\sin1}=\dfrac{\sin2^2}{2^2\sin1}$ なので、(☆) は成り立つ。
(ii) $n=k$ のとき (☆) が成り立つと仮定する つまり $a_k=\dfrac{\sin2^{k+1}}{2^{k+1}\sin1}$ とする。 $a_n$ の定義より
$$a_{k+1}=(\cos2^{k+1})(\cos2^k)\cdots(\cos2)(\cos1)=(\cos2^{k+1})\,a_k$$
仮定を代入し、2倍角の公式 $\sin2^{k+1}\cos2^{k+1}=\dfrac12\sin\left(2\cdot2^{k+1}\right)=\dfrac12\sin2^{k+2}$ を使うと
$$a_{k+1}=\dfrac{\sin2^{k+1}\cos2^{k+1}}{2^{k+1}\sin1}=\dfrac{\sin2^{k+2}}{2\cdot2^{k+1}\sin1}=\dfrac{\sin2^{(k+1)+1}}{2^{(k+1)+1}\sin1}$$
よって、 $n=k+1$ のときも (☆) は成り立つ。
(i)(ii) より、すべての自然数 $n$ について (☆) が成り立つ。
別解(2倍角の公式を書き並べる) $a_n$ に $2^{n+1}\sin1$ を掛け、右端から2倍角の公式を順に使うと
$$2^{n+1}\sin1\cdot a_n=2^n(\cos2^n)\cdots(\cos2)\cdot(2\sin1\cos1)=2^n(\cos2^n)\cdots(\cos2)\sin2$$
$$=2^{n-1}(\cos2^n)\cdots(\cos4)\cdot(2\sin2\cos2)=2^{n-1}(\cos2^n)\cdots(\cos4)\sin4=\cdots=2\sin2^n\cos2^n=\sin2^{n+1}$$
となる。 $\sin1\neq0$ で割ると (☆) が得られる。2倍角の公式を1回使うごとに、 $2$ の指数が1つ減り、 $\sin$ の中の角が2倍になる。「 $\cdots$ 」を含むので、答案としては本解の帰納法の方が論証に穴がない。
(3) 配点 20点
(2) より、示す式は
$$\dfrac{\sin2^{n+1}}{2^{n+1}\sin1}<\dfrac{\sqrt2}{2^{n+1}}$$
$2^{n+1}\sin1>0$ を両辺に掛けると、これは
$$\sin2^{n+1}<\sqrt2\sin1\quad\cdots\cdots①$$
と同値である。
$3<\pi<4$ より $\dfrac{\pi}{4}<1<\dfrac{\pi}{2}$ 。 $\sin\theta$ は $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で増加するので
$$\sin1>\sin\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\sqrt2}{2}$$
よって $\sqrt2\sin1>1$ 。
また、どんな角でも $\sin$ の値は1以下なので、 $\sin2^{n+1}\leqq1$ 。したがって
$$\sin2^{n+1}\leqq1<\sqrt2\sin1$$
となり、①が成り立つ。よって $a_n<\dfrac{\sqrt2}{2^{n+1}}$ が示された。
出題意図
(1) $\cos$ の積に $\sin1$ を掛けると、2倍角の公式 $2\sin\theta\cos\theta=\sin2\theta$ が次々に使える形になることを捉えることができるか。
(2) (1) の計算を一般の $n$ に広げ、「すべての自然数 $n$ 」の等式を数学的帰納法で示すことができるか。
(3) (2) の式に直したうえで、 $\sin2^{n+1}\leqq1$ と、弧度法の $\sin1$ を有名角 $\dfrac{\pi}{4}$ と比べた評価を組み合わせられるか。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 |
$\cos2\cdot\cos1$ のような表記を見慣れておらず、戸惑う受験生が多い問題なので、やや簡単寄りの標準としました。
(1) は $\sin1$ を掛けて倍角の公式を使うだけで、(2) は「すべての自然数 $n$」を見て数学的帰納法で示せるかが分かれ目です。
(3) は $\sin1$ の大小を有名角と比べます。
満点を取ってほしい問題で、20分で50点が目標です。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (3): $\sin2^{n+1}\leqq1$ で上から押さえ、残った $\sin1$ を有名角 $\dfrac{\pi}{4}$ と比べる、という発想に行き着けるか。弧度法の1を $1^\circ$ と取り違えると方針が立たない。
- 割る・掛ける前の符号の確認:(1) で $\sin1\neq0$ 、(3) で $\sin1>0$ を書かずに式変形すると減点される。
2008年九州大学文系数学
第2問 解答・解説
第2問は微分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「放物線 $y=x^2$ の法線の方程式と、 $y$ 軸上の点 $(0,\ a)$ を通る法線の本数」。
問題


問題文をテキストで読む
放物線 $C:y=x^2$ 上の点Pにおける法線とは、点Pにおける $C$ の接線と点Pで垂直に交わる直線である。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 点 $(p,\ p^2)$ における $C$ の法線の方程式を求めよ。
(2) $y$ 軸上の点 $(0,\ a)$ を通る $C$ の法線の本数を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
法線は、接線と傾きを掛けて $-1$ になる直線。ただし原点では接線の傾きが $0$ で、傾きの形では書けない。分母を払った形で書けば、場合分けせずに1つの式で表せる。


- $y’=2x$ から、点 $(p,\ p^2)$ における接線の傾き $2p$ を求める。
- 法線の式を分母を払った形 $f'(p)\{y-f(p)\}=-(x-p)$ で書き、 $2p(y-p^2)=-(x-p)$ とする。
- $p\neq0$ のときは傾き $-\dfrac{1}{2p}$ の直線、 $p=0$ のときは $y$ 軸(原点での接線 $y=0$ に垂直)になることを確かめる。
- 整理して答える。
【(2)の方針】
接線の本数=接点の個数と同じく、法線の本数は法線を引く点の個数で決まる。原点の法線( $y$ 軸)はどの $a$ でも $(0,\ a)$ を通る。


- (1) の法線の式に $x=0$、 $y=a$ を代入し、 $p$ の方程式 $p(2p^2+1-2a)=0$ を作る。
- 異なる点における法線は一致しない(法線の式の $y$ の係数 $2p$ が異なる)ので、法線の本数はこの方程式の異なる実数解 $p$ の個数に等しいことを断る。
- $p=0$ は $a$ によらず解になる。残りの $p^2=\dfrac{2a-1}{2}$ の実数解を、 $a>\dfrac12$、 $a=\dfrac12$、 $a<\dfrac12$ で場合分けして求める( $a=\dfrac12$ のときは $p=0$ と重なる)。
- 異なる実数解の個数を数えて答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$f(x)=x^2$ とおくと $f'(x)=2x$ なので、点 $\mathrm{P}(p,\ p^2)$ における $C$ の接線の傾きは $2p$ である。
法線は、Pを通り、接線と垂直に交わる直線である。分母を払った形で書くと、Pにおける法線の方程式は
$$2p(y-p^2)=-(x-p)\quad\cdots①$$
実際、 $p\neq0$ のとき①は $y-p^2=-\dfrac{1}{2p}(x-p)$ となり、傾き $-\dfrac{1}{2p}$ (接線の傾き $2p$ との積が $-1$ )でPを通る直線である。 $p=0$ のとき①は $x=0$ ( $y$ 軸)となり、原点での接線 $y=0$ ( $x$ 軸)に原点で垂直に交わる直線である。よって①は $p$ の値によらず法線を表す。
①を整理して
答 $x+2py-2p^3-p=0$( $p\neq0$ のときは $y=-\dfrac{1}{2p}x+p^2+\dfrac12$、 $p=0$ のときは $x=0$ )
別解(傾きで場合分けする) $p\neq0$ のとき、法線の傾きは $-\dfrac{1}{2p}$ なので $y-p^2=-\dfrac{1}{2p}(x-p)$、すなわち $x+2py-2p^3-p=0$。 $p=0$ のとき、原点での接線は $y=0$ なので、法線は $y$ 軸 $x=0$ で、これも $x+2py-2p^3-p=0$ に $p=0$ を代入した式と一致する。よって同じ答えになる。 $p=0$ の場合を書き落とすと減点される。
(2) 配点 35点
点 $(0,\ a)$ が(1)の法線上にある条件は、(1)の答えに $x=0$、 $y=a$ を代入して
$$2pa-2p^3-p=0\quad\text{すなわち}\quad p(2p^2+1-2a)=0\quad\cdots②$$
$p\neq q$ のとき、点 $(p,\ p^2)$ と点 $(q,\ q^2)$ における法線は、 $x$ の係数がどちらも $1$ で $y$ の係数 $2p$、 $2q$ が異なるので、同じ直線にはならない。また、1つの点における法線は1本である。よって、 $(0,\ a)$ を通る $C$ の法線の本数は、②の異なる実数解 $p$ の個数に等しい。
②より
$$p=0\quad\text{または}\quad p^2=\dfrac{2a-1}{2}\quad\cdots③$$
$p=0$ は $a$ の値によらず②の解である( $p=0$ の法線は $y$ 軸で、必ず $(0,\ a)$ を通る)。
③の実数解は、右辺 $\dfrac{2a-1}{2}$ の符号で次のように分かれる。
(i) $a>\dfrac12$ のとき
③は $p=\pm\sqrt{\dfrac{2a-1}{2}}$ の異なる2つの実数解をもち、どちらも $0$ でない。よって②の異なる実数解は $p=0,\ \pm\sqrt{\dfrac{2a-1}{2}}$ の3個で、法線は3本。
(ii) $a=\dfrac12$ のとき
③は $p^2=0$ で $p=0$ となり、②の解 $p=0$ と重なる。よって②の実数解は $p=0$ の1個だけで、法線は1本( $y$ 軸)。
(iii) $a<\dfrac12$ のとき
③の右辺は負なので、③は実数解をもたない。よって②の実数解は $p=0$ の1個だけで、法線は1本( $y$ 軸)。
以上より
答 $a>\dfrac12$ のとき3本、 $a\leqq\dfrac12$ のとき1本
検算 $a=2$ のとき、③は $p^2=\dfrac32$ で $p=\pm\dfrac{\sqrt6}{2}$。(1) の $p\neq0$ の式で $y$ 切片は $p^2+\dfrac12=\dfrac32+\dfrac12=2$ となり、2本とも $(0,\ 2)$ を通る。 $y$ 軸と合わせて3本で一致する。
別解( $y$ 軸との交点で数える) $p\neq0$ の点における法線は $y=-\dfrac{1}{2p}x+p^2+\dfrac12$ なので、 $y$ 軸と点 $\left(0,\ p^2+\dfrac12\right)$ で交わる。 $p$ が $0$ 以外の実数全体を動くと、 $p^2+\dfrac12$ は $\dfrac12$ より大きい値だけをとり、1つの値に対して $p$ は正と負の2つある。よって、 $p\neq0$ の法線のうち $(0,\ a)$ を通るものは、 $a>\dfrac12$ なら2本、 $a\leqq\dfrac12$ なら0本。これに $p=0$ の法線( $y$ 軸)の1本を加えて、本解と同じ答えになる。放物線は $y$ 軸について対称なので、 $y$ 軸以外の法線は左右対称な2本の組で現れ、本数は奇数(1本か3本)になることも分かる。
出題意図
(1) 法線の定義(接線と垂直に交わる直線)から法線の方程式を求め、傾きが $0$ になる点(原点)も含めて1つの式で表すことができるか(教科書・チャートの例題レベル)。
(2) 「法線の本数」を「法線を引く点の個数」に言いかえ、通る点を代入した $p$ の方程式の実数解の個数を、文字 $a$ の値で場合分けして数えることができるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 |
法線の問題ですが、考え方は接線と同じで、法線を引く点の個数が法線の本数になります。
(1) は法線の式を作り、(2) は通る点を代入して実数解の個数を数えるだけなので、やや簡単としました。
問題を見た瞬間に答えまでの道筋が思い浮かぶべき問題で、20分で50点を取りたいところです。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (2): $p=0$ の法線( $y$ 軸)を数えられるか。法線を傾き $-\dfrac{1}{2p}$ の形だけで書くと $y$ 軸が抜け、「 $a>\dfrac12$ のとき2本、 $a\leqq\dfrac12$ のとき0本」と答えてしまう。
- 失点しやすい所: $a=\dfrac12$ のとき③の解が $p=0$ になり、②の解 $p=0$ と重なることに気づかず、本数を多く数える所。
2008年九州大学文系数学
第3問 解答・解説
第3問は平面ベクトル・確率の問題です。
テーマは「直角二等辺三角形ABEと長方形BCDEをあわせた五角形ABCDEで、BEの中点Oから頂点へのベクトルの内積を求め、カードを引いて頂点を選ぶ確率と結びつける」。
問題


問題文をテキストで読む
図のような五角形ABCDE(角Aが直角である二等辺三角形ABEと長方形BCDEをあわせた図形)において、辺BCと辺DEの長さは1、辺CDと線分BEの長さは2とする。線分BEの中点をOとする。また、5枚のカードがあり、それぞれにA、B、C、D、Eと書いてある。カードをよくきって1枚引き、もとに戻す。この操作を $n$ 回繰り返し、 $i$ 回目に引いたカードの文字を $\mathrm{P}_i$ とする。たとえば、 $i$ 回目にBを引いたとすると、 $\mathrm{P}_i=\mathrm{B}$ である。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ の内積を求めよ。
(2) $\overrightarrow{\mathrm{OP}_1}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OP}_2}$ の内積が1である確率を求めよ。
(3) $\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OP}_i}$ の内積を $q_i$ とする。このとき、 $q_1q_2\cdots q_n=0$ となる確率を求めよ。
問題文から復元した五角形ABCDE。長方形BCDEの辺BEに、角Aが直角の直角二等辺三角形ABEを長方形の外側につけた形で、OはBEの中点である。
解答の方針
【(1)の方針】
直角と長さがそろった図形なので、Oを原点、BEを $x$ 軸にとると、5つの頂点がすべて整数の座標になる。座標が決まれば、内積は成分をかけて足すだけ。


- Oを原点、Eを $x$ 軸の正の側、Aを $y$ 軸の正の側にとり、5つの頂点の座標を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ の成分をかけて足し、内積を求める。
【(2)の方針】
カードはもとに戻すので同じ文字を2回引くこともあり、全体は順番を区別した25通り。5つのベクトルどうしの内積を表にすれば、1になる組を漏れなく数えられる。
- 全体の場合の数を、順番を区別した $(\mathrm{P}_1,\ \mathrm{P}_2)$ の組 $5^2=25$ 通りと決める。
- (1) の座標を使い、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}_1}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OP}_2}$ の値を $5\times5$ の表にする。
- 表の中で値が1のマスを数え(同じ文字どうしのマスも含める)、25で割る。
【(3)の方針】
積 $q_1q_2\cdots q_n=0$ は「少なくとも1回は $q_i=0$」と言いかえられ、余事象なら「毎回 $q_i\neq0$」の1つの状況で済む。


- $\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ の成分を求め、 $q_i$ を $\mathrm{P}_i$ の $y$ 座標で表す。
- $q_i=0$ となる $\mathrm{P}_i$(BとE)を特定する。
- $q_1q_2\cdots q_n=0$ を「少なくとも1つの $q_i$ が0」と言いかえ、余事象「 $n$ 回ともA、C、Dのどれか」の確率 $\left(\dfrac35\right)^n$ を1から引く。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
Oを原点とし、Eが $x$ 軸の正の側、Aが $y$ 軸の正の側にくるように座標をとる。 $\mathrm{OB}=\mathrm{OE}=1$ で、三角形ABEは角Aが直角の直角二等辺三角形なので、中点Oについて $\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=1$、 $\mathrm{OA}\perp\mathrm{BE}$ である。また、長方形BCDEで $\mathrm{BC}=\mathrm{DE}=1$ なので、CとDはBEからAと反対側に1だけ離れている。よって
$$\mathrm{A}(0,\ 1),\quad\mathrm{B}(-1,\ 0),\quad\mathrm{C}(-1,\ -1),\quad\mathrm{D}(1,\ -1),\quad\mathrm{E}(1,\ 0)$$
$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(-1,\ 0)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(-1,\ -1)$ なので
$$\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(-1)\cdot(-1)+0\cdot(-1)=1$$
答 1
別解(点と点をつなぐ) $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{BC}}$ で、長方形なので $\mathrm{BC}\perp\mathrm{BE}$、つまり $\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=0$。よって
$$\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2+\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BC}}=1+0=1$$
座標を置かなくても、垂直を内積0に翻訳すればすぐに求まる。
(2) 配点 20点
カードはもとに戻すので、1回目と2回目はそれぞれ5通りで、同じ文字を2回引くこともある。全体の場合の数は、順番を区別して $5^2=25$ 通りで、これらは同様に確からしい。
(1) の座標より、5つのベクトルは $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(0,\ 1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(-1,\ 0)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(-1,\ -1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OD}}=(1,\ -1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OE}}=(1,\ 0)$。内積 $\overrightarrow{\mathrm{OP}_1}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OP}_2}$ を表にすると、次のようになる(行が $\mathrm{P}_1$、列が $\mathrm{P}_2$)。
| $\mathrm{P}_1$ \ $\mathrm{P}_2$ | A | B | C | D | E |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 1 | 0 | $-1$ | $-1$ | 0 |
| B | 0 | 1 | 1 | $-1$ | $-1$ |
| C | $-1$ | 1 | 2 | 0 | $-1$ |
| D | $-1$ | $-1$ | 0 | 2 | 1 |
| E | 0 | $-1$ | $-1$ | 1 | 1 |
内積が1になるのは
$$(\mathrm{P}_1,\ \mathrm{P}_2)=(\mathrm{A},\ \mathrm{A}),\ (\mathrm{B},\ \mathrm{B}),\ (\mathrm{E},\ \mathrm{E}),\ (\mathrm{B},\ \mathrm{C}),\ (\mathrm{C},\ \mathrm{B}),\ (\mathrm{D},\ \mathrm{E}),\ (\mathrm{E},\ \mathrm{D})$$
の7通り。
よって、求める確率は $\dfrac{7}{25}$
答 $\dfrac{7}{25}$
内積が1になるのは、長さ1のベクトルを2回選ぶ場合(A、B、Eを2回)と、(1) と同じ「長さ1と長さ $\sqrt2$ で $45^\circ$」の組(BとC、DとE)の2種類である。表は対称なので、右上半分を数えて2倍し、対角線上を足してもよい。
(3) 配点 20点
$\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}=(-1,\ -1)+(1,\ -1)=(0,\ -2)$ である。 $\mathrm{P}_i$ の座標を $(x_i,\ y_i)$ とすると
$$q_i=0\cdot x_i+(-2)\cdot y_i=-2y_i$$
各頂点での $q_i$ の値は、Aで $-2$、BとEで $0$、CとDで $2$ である。よって $q_i=0$ となるのは、 $\mathrm{P}_i$ がBかEのとき( $y$ 座標が0の点)だけである。
$\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ はBEに垂直なので、直線BE上の点BとEへのベクトルとの内積だけが0になる。
$q_1q_2\cdots q_n=0$ となるのは、少なくとも1つの $q_i$ が0のとき、つまり $n$ 回のうち少なくとも1回BかEを引くときである。直接数えると、BかEを引く回数が1回から $n$ 回まであり場合分けが多い。そこで余事象「 $n$ 回ともA、C、Dのどれかを引く」を考える。
1回の操作でA、C、Dのどれかを引く確率は $\dfrac35$ で、各回の操作は独立なので、余事象の確率は $\left(\dfrac35\right)^n$。
よって、求める確率は
答 $1-\left(\dfrac35\right)^n$
(確かめ: $n=1$ のとき、BかEを引く確率 $\dfrac25$ と一致する。 $n=2$ のとき、25通りのうち2回ともA、C、Dの $3^2=9$ 通りを除いた16通りで $\dfrac{16}{25}=1-\dfrac{9}{25}$ と一致する)
別解(図形として見る) CDの中点をMとすると、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}=2\overrightarrow{\mathrm{OM}}$。長方形の形から $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ と逆向きで長さ1なので、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}+\overrightarrow{\mathrm{OD}}=-2\overrightarrow{\mathrm{OA}}$。よって $q_i=-2\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OP}_i}$ で、 $\mathrm{OA}\perp\mathrm{BE}$ より $\mathrm{P}_i$ がBかEのとき0。A、C、Dは直線BE上にないので、内積は0にならない。以下は本解と同じ。
出題意図
(1) 問題文から図形を正しく書き、ベクトルの内積を計算できるか(教科書レベル)。
(2) 「2回引く」を順番を区別した $5^2$ 通りと捉え、内積が1になる組を漏れなく数えられるか。同じカードを2回引く場合も含めて、状況を言葉にして整理できるか。
(3) 「積が0」を「少なくとも1回は $q_i=0$」と言いかえ、 $q_i=0$ になる頂点を特定して余事象で処理できるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 25分 |
ベクトルと確率の融合問題ですが、中身はどちらも教科書レベルです。
座標を置けば内積は成分の計算だけで、(2) は内積の表を数え、(3) は「一度でもBかEが出ればよい」と言いかえて余事象で求めます。
見慣れない設定に身構えるだけなので、やや簡単とし、25分で50点を取りたい問題です。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくとすれば (2):状況を言葉にして整理できるか。カードはもとに戻すので「1回目と2回目に同じ文字を引く」場合もあり、全体は順番を区別した25通り。この整理ができれば、内積の表を作って数えるだけ。
- 失点しやすい所:(2) で $(\mathrm{A},\ \mathrm{A})$、 $(\mathrm{B},\ \mathrm{B})$、 $(\mathrm{E},\ \mathrm{E})$ を数え忘れる所と、(B、C) と (C、B) を1通りと数える所。表を作れば防げる。
2008年九州大学文系数学
第4問 解答・解説
第4問は微分法(数学Ⅱ)・数列・指数関数と対数関数の問題です。
テーマは「放物線 $y=x^2-1$ の接線の $x$ 切片をくり返してできる数列。 $a_n>1$ の帰納法、 $b_{n+1}<{b_n}^2$ の証明と、それをくり返して使う常用対数の評価」。
問題


問題文をテキストで読む
放物線 $C:y=x^2-1$ と $a_1>1$ を満たす実数 $a_1$ を考える。このとき、次の問いに答えよ。
(1) $C$ 上の点 $(a_1,\ {a_1}^2-1)$ における接線と $x$ 軸との交点の $x$ 座標を $a_2$ とするとき、 $a_2$ を $a_1$ を用いて表せ。
(2) (1)で求めた $a_2$ に対して、 $C$ 上の点 $(a_2,\ {a_2}^2-1)$ における接線と $x$ 軸との交点の $x$ 座標を $a_3$ とする。この操作を繰り返してできる数列を $a_1,a_2,\cdots,a_n,\cdots$ とする。このとき、すべての $n$ に対して、 $a_n>1$ を示せ。
(3) $b_n=\dfrac12(a_n-1)$ とおくとき、すべての $n$ に対して、 $b_{n+1}<{b_n}^2$ を示せ。
(4) $a_1=2$ のとき、 $b_n<10^{-12}$ となる $n$ の値を1つ求めよ。ただし、必要があれば、 $\log_{10}2$ を $0.301$ として計算してよい。
解答の方針
接線を引いて $x$ 軸との交点をとる同じ操作をくり返すので、 $a_n$ から $a_{n+1}$ を作る式(漸化式)は (1) の $a_1$ を $a_n$ にかえるだけで求まる。図を書くと、 $a_n$ は1に右から近づいていくことが見える。


【(1)の方針】
接線の式 $y=f'(t)(x-t)+f(t)$ に $t=a_1$ を入れ、 $y=0$ とすればよい。
- $f(x)=x^2-1$ とおき、点 $(a_1,\ {a_1}^2-1)$ における接線 $y=2a_1(x-a_1)+{a_1}^2-1$ を立てる。
- $a_1>1$ より傾き $2a_1\neq0$ なので、接線は $x$ 軸と交わる。 $y=0$ として $x$ について解き、 $a_2=\dfrac{{a_1}^2+1}{2a_1}$ を求める。
【(2)の方針】
「すべての $n$ に対して」=自然数の全称命題なので帰納法。示す不等式は「右辺−左辺 $>0$ 」の形にして、符号を見る。
- (1) と同じ操作なので、すべての $n$ で $a_{n+1}=\dfrac{{a_n}^2+1}{2a_n}$ ( $a_n\neq0$ のとき)と表す。
- $n=1$ では $a_1>1$ で成り立つ。
- $n=k$ で $a_k>1$ と仮定する。 $a_k\neq0$ なので $a_{k+1}$ が決まり、 $a_{k+1}-1=\dfrac{(a_k-1)^2}{2a_k}$ と変形する。
- $a_k>1$ より分子・分母とも正なので $a_{k+1}>1$ 。帰納法で示し終える。
【(3)の方針】
$a_n-1=2b_n$ なので、(2) で作った $a_{n+1}-1=\dfrac{(a_n-1)^2}{2a_n}$ をそのまま $b_n$ で書き直せばよい。
- $b_{n+1}=\dfrac12(a_{n+1}-1)=\dfrac{(a_n-1)^2}{4a_n}=\dfrac{(2b_n)^2}{4a_n}=\dfrac{{b_n}^2}{a_n}$ と表す。
- 示す式を「右辺−左辺 $>0$ 」の形にし、 ${b_n}^2-b_{n+1}=\dfrac{{b_n}^2(a_n-1)}{a_n}$ と変形する。
- (2) より $a_n>1$、 $b_n>0$ なので正であることを示す。
【(4)の方針】
(3) の不等式を1個ずつずらしてくり返し使う。指数が邪魔な値は、常用対数をとって指数を前に下ろして評価する。
- $a_1=2$ より $b_1=\dfrac12$ 。(2) より、すべての $n$ で $b_n>0$ 。
- (3) をくり返して、 $n\geqq2$ で $b_n<{b_{n-1}}^2<{b_{n-2}}^4<\cdots<{b_1}^{2^{n-1}}=\left(\dfrac12\right)^{2^{n-1}}$ を示す。
- $\left(\dfrac12\right)^{2^{n-1}}<10^{-12}$ となる $n$ を探す。常用対数をとると $2^{n-1}\log_{10}2>12$ 、すなわち $2^{n-1}>\dfrac{12}{0.301}=39.8\cdots$ 。
- $n=7$ ( $2^6=64$ )で成り立つことを確かめ、答えとする。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$f(x)=x^2-1$ とおくと $f'(x)=2x$ 。点 $(a_1,\ {a_1}^2-1)$ における接線は
$$y=2a_1(x-a_1)+{a_1}^2-1\iff y=2a_1x-{a_1}^2-1$$
$a_1>1$ より $2a_1\neq0$ なので、この接線は $x$ 軸と交わる。 $y=0$ とすると $2a_1x={a_1}^2+1$ より
$$a_2=\frac{{a_1}^2+1}{2a_1}$$
答 $a_2=\dfrac{{a_1}^2+1}{2a_1}$
(確かめ: $a_1=2$ のとき接線は $y=4x-5$ で、 $x$ 軸との交点は $x=\dfrac54$ 。式に入れても $\dfrac{4+1}{4}=\dfrac54$ で一致する)
(2) 配点 12点
(1) と同じ操作なので、 $a_n\neq0$ のとき
$$a_{n+1}=\frac{{a_n}^2+1}{2a_n}\quad\cdots\cdots①$$
である。すべての自然数 $n$ について $a_n>1$ …(☆) が成り立つことを、数学的帰納法で示す。
(i) $n=1$ のとき、 $a_1>1$ より (☆) は成り立つ。
(ii) $n=k$ のとき (☆) が成り立つ、すなわち $a_k>1$ と仮定する。 $a_k\neq0$ なので①より $a_{k+1}$ が定まり
$$a_{k+1}-1=\frac{{a_k}^2+1}{2a_k}-1=\frac{{a_k}^2-2a_k+1}{2a_k}=\frac{(a_k-1)^2}{2a_k}$$
$a_k>1$ より $(a_k-1)^2>0$、 $2a_k>0$ なので $a_{k+1}-1>0$ 。よって $a_{k+1}>1$ で、 $n=k+1$ のときも (☆) は成り立つ。
(i)(ii) より、すべての $n$ に対して $a_n>1$ である。
(3) 配点 13点
$a_n-1=2b_n$ であり、(2) の計算から $a_{n+1}-1=\dfrac{(a_n-1)^2}{2a_n}$ なので
$$b_{n+1}=\frac12(a_{n+1}-1)=\frac{(a_n-1)^2}{4a_n}=\frac{(2b_n)^2}{4a_n}=\frac{{b_n}^2}{a_n}$$
よって
$${b_n}^2-b_{n+1}={b_n}^2-\frac{{b_n}^2}{a_n}=\frac{{b_n}^2(a_n-1)}{a_n}$$
(2) より $a_n>1$ なので $a_n-1>0$、 $a_n>0$ 。また $b_n=\dfrac12(a_n-1)>0$ なので ${b_n}^2>0$ 。したがって ${b_n}^2-b_{n+1}>0$ で、すべての $n$ に対して
$$b_{n+1}<{b_n}^2$$
(4) 配点 15点
$a_1=2$ より $b_1=\dfrac12$ 。(2) より、すべての $n$ で $b_n>0$ である。
$n\geqq2$ のとき、(3) より $b_n<{b_{n-1}}^2$ 。 $b_{n-1}<{b_{n-2}}^2$ の両辺は正なので、2乗しても大小は変わらず ${b_{n-1}}^2<{b_{n-2}}^4$ 。これをくり返すと
$$b_n<{b_{n-1}}^2<{b_{n-2}}^{4}<\cdots<{b_1}^{2^{n-1}}=\left(\frac12\right)^{2^{n-1}}$$
$n=7$ のとき $2^{n-1}=64$ なので、 $b_7<\left(\dfrac12\right)^{64}$ 。右辺の常用対数をとると
$$\log_{10}\left(\frac12\right)^{64}=-64\log_{10}2=-64\times0.301=-19.264<-12$$
よって $\left(\dfrac12\right)^{64}<10^{-12}$ で、 $b_7<\left(\dfrac12\right)^{64}<10^{-12}$ となる。
答 $n=7$
(補足:どの $n$ を答えてもよいが、説明が必要。 $\left(\dfrac12\right)^{2^{n-1}}<10^{-12}$ は $2^{n-1}>\dfrac{12}{0.301}=39.8\cdots$ と同値なので、この評価で言えるのは $n\geqq7$ 。また $0<b_n<1$ より $b_{n+1}<{b_n}^2<b_n$ で $\{b_n\}$ は減少するので、 $n\geqq7$ ならどれでも条件を満たす。実際の値は $b_2=\dfrac18$、 $b_3=\dfrac1{80}$、 $b_4=\dfrac1{6560}$、 $b_5\fallingdotseq2.3\times10^{-8}$、 $b_6\fallingdotseq5.4\times10^{-16}$ で、条件を満たす最小の $n$ は6)
別解($b_2$ から評価する) $a_2=\dfrac54$ より $b_2=\dfrac18$ と直接求めておけば、同じくり返しで $n\geqq3$ のとき $b_n<{b_2}^{2^{n-2}}=\left(\dfrac12\right)^{3\cdot2^{n-2}}$ 。 $n=6$ では $\left(\dfrac12\right)^{48}$ で、 $-48\times0.301=-14.448<-12$ より $b_6<10^{-12}$ 。答えは $n=6$ でもよい。
別解(対数をとって漸化式にする) $c_n=\log_{10}b_n$ とおくと、(3) の両辺は正なので常用対数をとって $c_{n+1}<2c_n$ 。これをくり返して $c_n\leqq2^{n-1}c_1=-2^{n-1}\log_{10}2$ (等号は $n=1$ のときだけ)。 $n=7$ で $c_7<-64\times0.301=-19.264<-12$ となり、 $b_7<10^{-12}$ 。
出題意図
(1)(2) 接線の式を正しく立て、 $x$ 切片を求める操作を漸化式として捉えることができるか。「すべての $n$ で」を見て帰納法を選び、 $a_{n+1}-1$ の符号を因数分解で示せるか。
(3) $b_n$ の定義を漸化式に代入し、(2) の $a_n>1$ を使って不等式を示せるか。
(4) (3) の不等式を1個ずつずらしてくり返し使い、 $b_n$ を $b_1$ の累乗で上から押さえられるか。そのうえで常用対数をとって評価できるか。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
(1) は計算するだけですが、(2) は操作をくり返すと1に近づくという見方になじみがなく、標準としました。
大学で学ぶニュートン法を題材にした問題ですが、知らなくても誘導どおりに進めれば解けます。
(1)〜(3) は教科書・チャートの例題の組み合わせで、(4) は不等式をくり返して評価する、文系には見慣れない形です。
目標は30点です。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (4):(3) の $b_{n+1}<{b_n}^2$ を1個ずつずらしてくり返し使い、 $b_n<\left(\dfrac12\right)^{2^{n-1}}$ に行き着けるか。ここまで来れば、あとは常用対数の計算だけ。
- 正の数どうしの不等式だから2乗できる:(2) から $b_n>0$ を確認せずに2乗すると、論証に穴があるとして減点される。
- (4) は根拠を書く: $n$ の値だけを答えても点にならない。 $b_7<\left(\dfrac12\right)^{64}<10^{-12}$ の形まで書く。
2008年九州大学・文系数学の
講評とまとめ
4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 標準 | 50点 |
| 第2問 | やや簡単 | 50点 |
| 第3問 | やや簡単 | 50点 |
| 第4問 | 標準 | 30点 |
| 全体 | やや簡単 | 160点 |
大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと180点になりますが、全体の目標点は160点です。
全体としてやや簡単な年です。
第1問〜第3問は典型問題が中心なので確実に取り、第4問の (4) は文系には少し重いので、取れなくても焦らないようにしましょう。
目標点は160点です。
解く流れ
- 第2問→第1問→第3問→第4問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
- 目標時間の合計は90分(第1問20分・第2問20分・第3問25分・第4問25分)。残りの30分は見直しと予備。
2008年九州大学・文系数学に
関するよくある質問
2008年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2008年の九州大学・文系数学は難しかった?
-
やや簡単な年でした。
第1問は標準(やや簡単寄り)、第2問と第3問はやや簡単、第4問は標準です。
三角関数の積と帰納法、放物線の法線の本数、五角形のベクトルと確率、接線の $x$ 切片でつくる数列と評価と、教科書やチャートの例題の型を組み合わせた問題がそろっていました。
第4問 (4) の不等式をくり返して評価する形だけは、文系の受験生には見慣れない出題です。 - 2008年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は160点です(200点満点)。
- 2008年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?
-
第3問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の3つです。
- 第1問 (3): $\sin2^{n+1}\leqq1$ で上から押さえ、残った $\sin1$ を有名角 $\dfrac{\pi}{4}$ と比べる発想に行き着けたか。弧度法の1を $1^\circ$ と取り違えると、方針が立ちません。
- 第2問 (2): $p=0$ の法線( $y$ 軸)を数えられたか。法線を傾き $-\dfrac{1}{2p}$ の形だけで書くと $y$ 軸が抜け、 $a>\dfrac12$ のとき2本と答えてしまいます。
- 第4問 (4):(3) の不等式を1個ずつずらしてくり返し使い、 $b_n<\left(\dfrac12\right)^{2^{n-1}}$ に行き着けたか。2乗する前に $b_n>0$ を確認し、答えの $n$ に根拠を書くことも大切です。
- 2008年の九州大学・文系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:三角関数・数列
- 第2問:微分法(数学Ⅱ)
- 第3問:平面ベクトル・確率
- 第4問:微分法(数学Ⅱ)・数列・指数関数と対数関数


