【解説・採点基準付き】2006年九州大学理系数学の解答・解説
2006年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2006年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$\dfrac{\log x}{x}=\dfrac{1}{3n}$ の2つの解 $\alpha_n$、 $\beta_n$ の範囲と、 $\alpha_n$ の極限」。
問題


問題文をテキストで読む
次の問いに答えよ。ただし、 $\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{\log x}{x}=0$ であること、また、 $e$ は自然対数の底で、 $e<3$ であることを用いてよい。
(1) 自然数 $n$ に対して、方程式 $\dfrac{\log x}{x}=\dfrac{1}{3n}$ は $x>0$ の範囲にちょうど2つの実数解をもつことを示せ。
(2) (1) の2つの実数解を $\alpha_n,\ \beta_n\ (\alpha_n<\beta_n)$ とするとき、
$$1<\alpha_n<e^{1/n},\qquad ne<\beta_n$$
が成り立つことを示せ。また、 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\alpha_n$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
右辺 $\dfrac{1}{3n}$ は定数なので、解の個数は $y=\dfrac{\log x}{x}$ のグラフと横線 $y=\dfrac{1}{3n}$ の交点の個数に言いかえられる。交点の個数は、最大値 $\dfrac1e$ と $\dfrac{1}{3n}$ の大小と、両端の極限で決まる。


- $g(x)=\dfrac{\log x}{x}$ とおき、方程式の実数解を「 $y=g(x)$ のグラフと横線 $y=\dfrac{1}{3n}$ の交点の $x$ 座標」と言いかえる。 $g'(x)$ の符号を、正の因子 $\dfrac{1}{x^2}$ を外した $y=1-\log x$ のグラフから読み、 $x=e$ で最大値 $\dfrac1e$ をとることを求める。
- $x\to+0$ の極限は不定形でないので $-\infty$、 $x\to\infty$ の極限は与えられた式から $0$ と求める。また、 $x>e$ で $g(x)>0$ であることと、 $e<3$ から $0<\dfrac{1}{3n}<\dfrac1e$ であることを確かめる。
- 増加の区間 $0<x<e$ と減少の区間 $x>e$ にちょうど1つずつ交点があると結論する。
【(2)の方針】
$x$ と $\log x$ が混ざった方程式は解けないので、 $\alpha_n$、 $\beta_n$ の位置を $g$ の値の大小に言いかえる。 $g$ が単調な区間では、 $x$ の大小と $g(x)$ の大小が対応する。


- (1) から、 $\alpha_n$ は $g$ が増加する区間 $0<x<e$ に、 $\beta_n$ は $g$ が減少する区間 $x>e$ にあることを確かめる。 $g(1)=0<\dfrac{1}{3n}<g\left(e^{1/n}\right)$( $e^{1/n}\leqq e<3$ による)を示し、増加の区間で $1<\alpha_n<e^{1/n}$ と結論する。
- $g(ne)=\dfrac{1+\log n}{ne}>\dfrac{1}{3n}$ を $3(1+\log n)>e$ に直して示し、減少の区間で $g(ne)>g(\beta_n)$ から $ne<\beta_n$ と結論する。
- $e^{1/n}\to1$ は不定形でないことを確かめ、 $1<\alpha_n<e^{1/n}$ とはさみうちの原理から $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\alpha_n$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
$g(x)=\dfrac{\log x}{x}\ (x>0)$ とおく。方程式 $\dfrac{\log x}{x}=\dfrac{1}{3n}$ の実数解は、 $y=g(x)$ のグラフと直線 $y=\dfrac{1}{3n}$ の交点の $x$ 座標である。
$$g'(x)=\frac{\dfrac1x\cdot x-\log x}{x^2}=\frac{1-\log x}{x^2}$$
$\dfrac{1}{x^2}>0$ なので、 $g'(x)$ の符号は $1-\log x$ の符号と一致する。 $y=1-\log x$ は減少し、 $x=e$ で $0$ になるので、 $0<x<e$ で正、 $x>e$ で負である(下の図)。
よって、 $g(x)$ は $0<x\leqq e$ で増加し、 $x\geqq e$ で減少する。最大値は $g(e)=\dfrac1e$ である。
両端の極限を調べる。
・$x\to+0$ のとき $\log x\to-\infty$、 $\dfrac1x\to\infty$ なので不定形ではなく、 $g(x)=\log x\cdot\dfrac1x\to-\infty$
・$x\to\infty$ のとき 与えられた式より $g(x)\to0$
また、 $x>e$ では $\log x>0$ なので $g(x)>0$ である。以上より、増減表は次のようになる。
| $x$ | $(0)$ | $\cdots$ | $e$ | $\cdots$ | $(\infty)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $g(x)$ | $(-\infty)$ | $\nearrow$ | $\dfrac1e$ | $\searrow$ | $(0)$ |
一方、 $e<3$ より
$$0<\frac{1}{3n}\leqq\frac13<\frac1e$$
$0<x\leqq e$ では、 $g(x)$ は連続で増加し、 $-\infty$ から $\dfrac1e$ までのすべての値をとるので、 $g(x)=\dfrac{1}{3n}$ となる $x$ はちょうど1つある。
$x\geqq e$ では、 $g(x)$ は連続で減少し、 $\dfrac1e$ から $0$ に近づく( $0$ より大きい値をとり続ける)ので、 $g(x)=\dfrac{1}{3n}$ となる $x$ はちょうど1つある。
どちらの解も $x=e$ ではない( $g(e)=\dfrac1e\neq\dfrac{1}{3n}$)。よって、方程式は $x>0$ の範囲にちょうど2つの実数解をもつ(下の図)。
(2) 配点 30点
(1) より、 $\alpha_n$ は $g$ が増加する区間 $0<x<e$ に、 $\beta_n$ は $g$ が減少する区間 $x>e$ にある。
$\alpha_n$ について。 $g(1)=0<\dfrac{1}{3n}$ である。また、 $n\geqq1$ より $1<e^{1/n}\leqq e$ であり
$$g\left(e^{1/n}\right)=\frac{\ \dfrac1n\ }{e^{1/n}}=\frac{1}{ne^{1/n}}>\frac{1}{3n}\qquad\left(e^{1/n}\leqq e<3\ \text{より}\ ne^{1/n}<3n\right)$$
よって $g(1)<g(\alpha_n)<g\left(e^{1/n}\right)$ で、 $1$、 $\alpha_n$、 $e^{1/n}$ はどれも $g$ が増加する区間 $0<x\leqq e$ にあるので
$$1<\alpha_n<e^{1/n}$$
$\beta_n$ について。 $ne\geqq e$ であり
$$g(ne)-\frac{1}{3n}=\frac{\log n+1}{ne}-\frac{1}{3n}=\frac{3(1+\log n)-e}{3ne}$$
$n\geqq1$ より $\log n\geqq0$ なので $3(1+\log n)\geqq3>e$。よって $g(ne)>\dfrac{1}{3n}=g(\beta_n)$。 $ne$、 $\beta_n$ はどちらも $g$ が減少する区間 $x\geqq e$ にあるので
$$ne<\beta_n$$
$n\to\infty$ のとき $\dfrac1n\to0$ なので、 $e^{1/n}\to e^0=1$(不定形ではない)。 $1<\alpha_n<e^{1/n}$ とはさみうちの原理より
答 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\alpha_n=1$
別解( $\alpha_n$ の評価を対数で示す) $\alpha_n$ は方程式の解なので $\log\alpha_n=\dfrac{\alpha_n}{3n}$。 $\alpha_n>0$ より $\log\alpha_n>0$、すなわち $\alpha_n>1$。また (1) より $\alpha_n<e<3$ なので $\log\alpha_n=\dfrac{\alpha_n}{3n}<\dfrac{3}{3n}=\dfrac1n$、すなわち $\alpha_n<e^{1/n}$。
出題意図
(1) 右辺が定数の方程式を「 $y=\dfrac{\log x}{x}$ のグラフと横線の交点」に言いかえ、増減と両端の極限から解の個数を正確に論証できるか
(2) 具体的に求められない解の位置を、単調な区間での関数の値の大小に言いかえて示せるか。さらに、はさみうちの原理で極限を求められるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 35点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
(1) は難しくなく、図を書いて定数分離をすればよい。
(2) が、はさみうちで評価する形で、簡単でも難しいでもなく絶妙なので、標準とした。
注意点は記述で、「交点の $x$ 座標」「単調に増加する区間にあるので」の一言を省くと点が来ない。
与えられている $\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{\log x}{x}=0$ も典型なので、示し方まで押さえておこう。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2) だけ:求められない解の位置を、単調な区間での $g$ の値の大小に言いかえるという発想に行き着けるか。値だけ比べて「単調な区間にある」ことを書かない答案は減点される。
2006年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は平面ベクトルの問題です。
テーマは「2本の線分の交点Qと、Qを通りAMに垂直な直線が直線OAと交わる点R」。
問題


問題文をテキストで読む
$\triangle\mathrm{OAB}$ において、辺OBの中点をM、辺ABを $\alpha:1-\alpha$ に内分する点をPとする。ただし、 $0<\alpha<1$ とする。線分OPとAMの交点をQとし、Qを通り、線分AMに垂直な直線が、辺OAまたはその延長と交わる点をRとする。 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b$ として、次の問いに答えよ。
(1) ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を $\vec a$、 $\vec b$ および $\alpha$ を用いて表せ。
(2) $|\vec a|=2$、 $|\vec b|=3$、 $\angle\mathrm{AOB}=\theta$ で $\cos\theta=\dfrac16$ とする。このとき、ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OR}}$ を $\vec a$ と $\alpha$ を用いて表せ。
(3) (2) の条件のもとで、点Rが辺OAの中点であるときの $\alpha$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
Qは線分OP上にも線分AM上にもある点。 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を2通りに表せば、 $\vec a$、 $\vec b$ は1次独立なので、係数を比べて決まる。


- 内分の公式で $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-\alpha)\vec a+\alpha\vec b$ と表す。
- Qは線分OP上なので $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=k\overrightarrow{\mathrm{OP}}$、線分AM上なので $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=(1-s)\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ と、2通りに表す。
- $\vec a$、 $\vec b$ は1次独立なので係数を比べ、 $k$、 $s$ の連立方程式を立てる。
- 連立方程式から $k$ を求めて $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を答える。
【(2)の方針】
Rは直線OA上の点なので $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=r\vec a$ と1文字で置ける。「垂直」を内積=0に直せば、この1文字が決まる。


- 内積の定義から $\vec a\cdot\vec b$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{AM}}=\dfrac12\vec b-\vec a$ とし、何度も使う $\vec a\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}$、 $\vec b\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}$ を先に求めておく。
- $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=r\vec a$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{QR}}=\overrightarrow{\mathrm{OR}}-\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ を (1) の $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ で表し、垂直の条件 $\overrightarrow{\mathrm{QR}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}=0$ を立てる。
- 手順2の値を代入して $r$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{OR}}$ を $\vec a$ と $\alpha$ で表して答える。
【(3)の方針】
Rが辺OAの中点であることは、 $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=\dfrac12\vec a$、すなわち (2) の $\vec a$ の係数が $\dfrac12$ であることと同じ。
- (2) の $\vec a$ の係数を $\dfrac12$ とおく。
- $\alpha$ の1次方程式を解き、 $0<\alpha<1$ をみたすことを確かめて答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
Pは辺ABを $\alpha:1-\alpha$ に内分するので
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-\alpha)\vec a+\alpha\vec b$$
Qは線分OP上の点なので、実数 $k$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=k\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k(1-\alpha)\vec a+k\alpha\vec b$$
と表せる。また、Qは線分AM上の点で、 $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\dfrac12\vec b$ なので、実数 $s$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=(1-s)\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{OM}}=(1-s)\vec a+\frac s2\vec b$$
と表せる(下の図)。
$\vec a$、 $\vec b$ は1次独立なので、係数を比べて
$$k(1-\alpha)=1-s,\qquad k\alpha=\frac s2$$
2つ目の式から $s=2k\alpha$。これを1つ目の式に代入すると $k(1-\alpha)=1-2k\alpha$ より $k(1+\alpha)=1$ なので、 $k=\dfrac{1}{1+\alpha}$。
答 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-\alpha)\vec a+\alpha\vec b$、 $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac{1-\alpha}{1+\alpha}\vec a+\dfrac{\alpha}{1+\alpha}\vec b$
答えは、 $\alpha=\dfrac12$ のとき(Pが辺ABの中点で、Qは $\triangle\mathrm{OAB}$ の重心) $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac13\vec a+\dfrac13\vec b$ となることで検算できる。
別解(変数1つで、係数の和を1にする) $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=k\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を、線分AM上の点の形に変形する。 $\vec b=2\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ なので
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=k(1-\alpha)\overrightarrow{\mathrm{OA}}+2k\alpha\overrightarrow{\mathrm{OM}}$$
Qは線分AM上にあるので、係数の和は1である。よって $k(1-\alpha)+2k\alpha=1$ より $k=\dfrac{1}{1+\alpha}$ となり、同じ答えを得る。
(2) 配点 20点
$|\vec a|=2$、 $|\vec b|=3$、 $\cos\theta=\dfrac16$ より
$$\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta=2\cdot3\cdot\frac16=1$$
$\overrightarrow{\mathrm{AM}}=\overrightarrow{\mathrm{OM}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\dfrac12\vec b-\vec a$ である。このあと何度も使う内積を先に求めておくと
$$\vec a\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}=\frac12\vec a\cdot\vec b-|\vec a|^2=\frac12-4=-\frac72,\qquad\vec b\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}=\frac12|\vec b|^2-\vec a\cdot\vec b=\frac92-1=\frac72$$
Rは直線OA上の点なので、実数 $r$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=r\vec a$ とおける。(1) より
$$\overrightarrow{\mathrm{QR}}=\overrightarrow{\mathrm{OR}}-\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=r\vec a-\frac{(1-\alpha)\vec a+\alpha\vec b}{1+\alpha}$$
直線QRはAMに垂直なので(下の図)、 $\overrightarrow{\mathrm{QR}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}=0$ である。
先に求めた内積を代入すると
$$r\cdot\left(-\frac72\right)-\frac{(1-\alpha)\cdot\left(-\dfrac72\right)+\alpha\cdot\dfrac72}{1+\alpha}=0$$
両辺に $-\dfrac27$ を掛けて
$$r+\frac{-(1-\alpha)+\alpha}{1+\alpha}=0\iff r=\frac{1-2\alpha}{1+\alpha}$$
答 $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=\dfrac{1-2\alpha}{1+\alpha}\vec a$
$r$ の符号から、Rの位置が分かる。 $0<\alpha<\dfrac12$ のときは $r>0$ でRは辺OA上(上の図の左)、 $\alpha=\dfrac12$ のときは $\mathrm{R}=\mathrm{O}$ 、 $\dfrac12<\alpha<1$ のときは $r<0$ でRはOの先の延長上(上の図の右)にある。問題文の「辺OAまたはその延長」はこのことを指している。
別解( $\vec a+\vec b$ が $\overrightarrow{\mathrm{AM}}$ に垂直であることを使う) 上で求めた内積から
$$(\vec a+\vec b)\cdot\overrightarrow{\mathrm{AM}}=-\frac72+\frac72=0$$
なので、 $\vec a+\vec b$ は $\overrightarrow{\mathrm{AM}}$ に垂直である。よって、Qを通りAMに垂直な直線は $\vec a+\vec b$ の向きの直線で、その上の点は実数 $t$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}+t(\vec a+\vec b)=\left(\frac{1-\alpha}{1+\alpha}+t\right)\vec a+\left(\frac{\alpha}{1+\alpha}+t\right)\vec b$$
と表せる。Rは直線OA上にあるので、 $\vec b$ の係数は0である。 $t=-\dfrac{\alpha}{1+\alpha}$ を $\vec a$ の係数に代入して $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=\dfrac{1-2\alpha}{1+\alpha}\vec a$ となる。 $\vec a+\vec b$ は辺ABの中点に向かうベクトルなので、「QRは $\triangle\mathrm{OAB}$ の中線と平行」という図形の見方ができる。ただし、これは $|\vec a|=2$、 $|\vec b|=3$、 $\cos\theta=\dfrac16$ という数値のときだけ成り立つ特別な関係なので、本解の解き方を身につけておく。
(3) 配点 10点
Rが辺OAの中点であるのは $\overrightarrow{\mathrm{OR}}=\dfrac12\vec a$ のときなので、(2) より
$$\frac{1-2\alpha}{1+\alpha}=\frac12$$
$2(1-2\alpha)=1+\alpha$ より $5\alpha=1$ なので $\alpha=\dfrac15$。これは $0<\alpha<1$ をみたす(下の図。PはABを $1:4$ に内分する)。
答 $\alpha=\dfrac15$
出題意図
(1) 2本の線分の交点の位置ベクトルを、2通りに表して係数比較で求められるか
(2) 「垂直」を内積=0に翻訳し、文字 $\alpha$ を含んだまま内積の計算を正確に進められるか
(3) (2) の結果を、点の位置の条件(中点)に読みかえられるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
ベクトルの基本問題で、簡単。
交点は2通りに表して係数比較、垂直は内積=0。
1対1対応の演習の例題をそのまま組み合わせただけで、誰もが確実に取れるボーナス問題。
注意点は (2) の内積の計算で、1か所符号を誤ると (3) まで答えが合わなくなるが、何度も使う内積を先に求めておけば計算は軽く済む。
差がつく所・失点しやすい所
- 失点しやすいのは (2) の内積の計算だけ:差がつくとすれば計算ミスで、このレベルで差をつけられるようでは九大合格はかなり危ない。
2006年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は整数・数列の問題です。
テーマは「$a_{n+1}=2a_nb_n$、 $b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$ で定まる整数の、3で割った余りと互いに素」。
問題


問題文をテキストで読む
2つの数列 $\{a_n\}$、 $\{b_n\}$ は、 $a_1=b_1=1$ および、関係式
$$a_{n+1}=2a_nb_n,\qquad b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$$
をみたすものとする。
(1) $n\geqq3$ のとき、 $a_n$ は3で割り切れるが、 $b_n$ は3で割り切れないことを示せ。
(2) $n\geqq2$ のとき、 $a_n$ と $b_n$ は互いに素であることを示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
「 $n\geqq3$ のすべての $n$ で」という自然数の全称命題なので帰納法。漸化式は解かずに、3で割った余りだけを追う。決め手は平方数を3で割った余りは0か1しかないこと。


- 「 $a_n$ は3の倍数で、 $b_n$ は3の倍数でない」…(*) を数学的帰納法で示すと決める。 $b_2=3$ は3の倍数なので、スタートは $n=3$。
- $a_3=12$、 $b_3=17$ を求め、 $n=3$ で (*) が成り立つことを確かめる。
- $n=k$ で (*) を仮定し、3を法とする合同式で $a_{k+1}=2a_kb_k\equiv0$ を示す。
- $b_k$ は3の倍数でないので $b_k^2\equiv1$。 $b_{k+1}=2a_k^2+b_k^2\equiv0+1=1$ から $b_{k+1}$ が3の倍数でないことを示し、帰納法で結論する。
【(2)の方針】
「互いに素」とは「最大公約数が1」のこと。最大公約数 $g$ で $g\times$(整数) $=1$ の形を作ればよい。組み合わせは実験で探す。


- $a_n$、 $b_n$ が自然数であることを確かめ、漸化式を代入して $b_{n+1}^2-2a_{n+1}^2=\left(b_n^2-2a_n^2\right)^2$ を示す。
- $b_1^2-2a_1^2=-1$ から $b_2^2-2a_2^2=1$ を求め、帰納法で $n\geqq2$ のとき $b_n^2-2a_n^2=1$ を示す。
- 最大公約数を $g$ とおいて $a_n=sg$、 $b_n=tg$( $s,\ t$ は自然数)と表し、手順2の式に代入した $g^2\left(t^2-2s^2\right)=1$ から $g=1$ を導き、互いに素と結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
漸化式から $a_2=2$、 $b_2=3$、 $a_3=2\cdot2\cdot3=12$、 $b_3=2\cdot2^2+3^2=17$。
数学的帰納法を使って、 $n\geqq3$ のとき「 $a_n$ は3の倍数で、 $b_n$ は3の倍数でない」…(*) を示す。以下、合同式の法はすべて3とする。
(i) $n=3$ のとき $a_3=12=3\cdot4$、 $b_3=17=3\cdot5+2$ なので (*) は成り立つ。
(ii) $n=k$( $k\geqq3$)で (*) が成り立つと仮定する $a_k\equiv0$ で、 $b_k\equiv1$ または $b_k\equiv2$ である。
$$a_{k+1}=2a_kb_k\equiv2\cdot0\cdot b_k=0$$
なので、 $a_{k+1}$ は3の倍数である。
$b_k\equiv1$ なら $b_k^2\equiv1$、 $b_k\equiv2$ なら $b_k^2\equiv4\equiv1$ なので、どちらでも $b_k^2\equiv1$。よって
$$b_{k+1}=2a_k^2+b_k^2\equiv2\cdot0+1=1$$
となり、 $b_{k+1}$ は3の倍数でない。したがって $n=k+1$ でも (*) は成り立つ。
(i)(ii) より、 $n\geqq3$ のすべての $n$ で $a_n$ は3で割り切れ、 $b_n$ は3で割り切れない。
(2) 配点 30点
$a_1=b_1=1$ は自然数で、 $a_n$、 $b_n$ が自然数なら $a_{n+1}=2a_nb_n$、 $b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$ も自然数なので、帰納的にすべての $n$ で $a_n$、 $b_n$ は自然数である。
$c_n=b_n^2-2a_n^2$ とおく。漸化式を代入すると
$$\begin{aligned}c_{n+1}&=\left(2a_n^2+b_n^2\right)^2-2\left(2a_nb_n\right)^2\\&=4a_n^4+4a_n^2b_n^2+b_n^4-8a_n^2b_n^2\\&=b_n^4-4a_n^2b_n^2+4a_n^4=\left(b_n^2-2a_n^2\right)^2=c_n^2\end{aligned}$$
$c_1=1^2-2\cdot1^2=-1$ なので $c_2=(-1)^2=1$。 $c_k=1$( $k\geqq2$)なら $c_{k+1}=1^2=1$ なので、帰納法により $n\geqq2$ のとき
$$b_n^2-2a_n^2=1\quad\cdots\text{①}$$
$n\geqq2$ とし、 $a_n$ と $b_n$ の最大公約数を $g$ とすると、 $a_n=sg$、 $b_n=tg$( $s,\ t$ は自然数)と表せる。①に代入すると
$$g^2\left(t^2-2s^2\right)=1$$
$g^2$ は正の整数、 $t^2-2s^2$ は整数なので $g^2=1$ で、 $g>0$ より $g=1$。よって $n\geqq2$ のとき、 $a_n$ と $b_n$ は互いに素である。
(補足)①は $\sqrt2$ を使うと見通しがよい。漸化式から
$$b_{n+1}+a_{n+1}\sqrt2=\left(b_n+a_n\sqrt2\right)^2,\qquad b_{n+1}-a_{n+1}\sqrt2=\left(b_n-a_n\sqrt2\right)^2$$
がどちらも成り立つので、 $b_n+a_n\sqrt2=\left(1+\sqrt2\right)^{2^{n-1}}$、 $b_n-a_n\sqrt2=\left(1-\sqrt2\right)^{2^{n-1}}$。2式をかけると $b_n^2-2a_n^2=(-1)^{2^{n-1}}$ で、 $n\geqq2$ なら指数 $2^{n-1}$ が偶数なので1になる
(別解)共通の素因数で背理法 $n\geqq1$ のすべての $n$ で $a_n$ と $b_n$ は互いに素であることを、数学的帰納法で示す( $n\geqq2$ の場合が答えになる)。
まず、 $b_1=1$ は奇数で、 $b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$ は $b_n$ が奇数なら奇数なので、すべての $n$ で $b_n$ は奇数である。
$n=1$ のとき、 $a_1=b_1=1$ は互いに素。 $n=k$ で $a_k$ と $b_k$ が互いに素であると仮定する。 $a_{k+1}$ と $b_{k+1}$ が共通の素因数 $p$ をもつとすると、 $p$ は奇数 $b_{k+1}$ の約数なので $p\neq2$。 $p$ は $a_{k+1}=2a_kb_k$ を割り切り、 $p\neq2$ なので $p$ は $a_k$ または $b_k$ を割り切る。
・$p$ が $a_k$ を割り切るとき $b_k^2=b_{k+1}-2a_k^2$ も $p$ で割り切れるので、 $p$ は $b_k$ を割り切る
・$p$ が $b_k$ を割り切るとき $2a_k^2=b_{k+1}-b_k^2$ も $p$ で割り切れ、 $p\neq2$ なので $p$ は $a_k$ を割り切る
どちらの場合も $p$ は $a_k$、 $b_k$ の共通の素因数になり、仮定に反する。よって $a_{k+1}$ と $b_{k+1}$ は互いに素で、帰納法によりすべての $n$ で成り立つ。
出題意図
(1) 一般項が求まらない漸化式でも、3で割った余りだけを追えば数学的帰納法で性質を示せることが理解できているか
(2) 「互いに素」を最大公約数が1と言いかえ、2数の組み合わせで1を作る(または共通の素因数をもつと仮定して矛盾を導く)という整数の証明の型を使えるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 30点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
互いに素の証明は、「最大公約数を $g$ とおいて $g\times$(整数) $=1$ を作る」か「共通の素因数 $p$ をもつと仮定して矛盾を導く」かの2つで決まる。
この型を持っていれば、(2) は実験で $b_n^2-2a_n^2=1$ を見つけるだけで完答できる。
(1) も平方数を3で割った余りが0か1という基本だけの問題。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):「互いに素」とは最大公約数 $g$ が1ということだと気づき、 $g\times$(整数) $=1$ の形を作ればよいという発想に行き着けるか。行き着けば、実験で $b_n^2-2a_n^2=1$ がすぐに見つかる。
- (1) で $b_k^2\equiv1$ の根拠を書かない:平方数を3で割った余りは0か1なので、3の倍数でなければ1。これを書いて初めて $b_{k+1}\equiv1$ が言える。
- 別解で $p=2$ の場合を落とす:「 $p$ が $2a_kb_k$ を割り切るなら $a_k$ か $b_k$ を割り切る」には $p\neq2$ が必要。 $b_n$ が奇数であることを先に示しておく。
2006年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は積分(数学Ⅲ)・三角関数・数と式の問題です。
テーマは「$\left|\,\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12\,\right|$ のグラフと積の定積分」。
問題


問題文をテキストで読む
関数
$$f(x)=\left|\,\left|\sin x-\frac12\right|-\frac12\,\right|$$
を考える。ただし、 $-\pi\leqq x\leqq\pi$ とする。さらに、 $0\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{2}$ に対して、
$$F(a)=\int_0^a f(x)\,f\left(x-\frac{\pi}{2}\right)dx$$
とする。このとき次の問いに答えよ。
(1) $f(x)=0$ となる $x$ を求めよ。
(2) 関数 $y=f(x)$ のグラフの概形を描け。
(3) $F(a)$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
二重の絶対値の方程式は外側から1段ずつ外す。そうすれば $\sin x$ の値を求めるだけの方程式になる。
- 外側の絶対値を外して $f(x)=0\iff\left|\sin x-\dfrac12\right|=\dfrac12$ とし、内側の絶対値を外して $\sin x-\dfrac12=\pm\dfrac12$、すなわち $\sin x=0,\ 1$ とする。
- $-\pi\leqq x\leqq\pi$ で解く。
【(2)の方針】
絶対値は「中身が負の部分を $x$ 軸で折り返す」操作。だから $y=f(x)$ は、 $y=\sin x$ から平行移動と折り返しをくり返して書ける(下の図)。


- $y=\sin x$ を下に $\dfrac12$ 平行移動した $y=\sin x-\dfrac12$ の、 $x$ 軸より下の部分を折り返して $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|$ を書く。
- それを下に $\dfrac12$ 平行移動した $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12$ の、 $x$ 軸より下の部分を折り返して $y=f(x)$ を書く。式でも確かめる。 $\sin x\geqq\dfrac12$( $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$)では $f(x)=1-\sin x$、 $\sin x<\dfrac12$ では $f(x)=|\sin x|$ となり、 $\sin x$ の符号でさらに外して区間ごとの式を求める((3) で使う)。
- 最大値、 $y$ 座標が $\dfrac12$ になる点、(1) で求めた $x$ 軸との共有点を書き入れてグラフを仕上げる。
【(3)の方針】
絶対値つきの関数の積分は、最初に絶対値を外す。 $f$ に $x-\dfrac{\pi}{2}$ を入れたら中身の動く範囲を求め直し、(2) のグラフのどの部分を使うかを読む。 $f(x)$ は $x=\dfrac{\pi}{6}$ で式が変わるので、 $a$ はそこで場合分けする(下の図)。


- $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ のとき $-\dfrac{\pi}{2}\leqq x-\dfrac{\pi}{2}\leqq0$ で、(2) よりこの範囲で $f$ は $-\sin$ の形なので、 $f\left(x-\dfrac{\pi}{2}\right)=-\sin\left(x-\dfrac{\pi}{2}\right)=\cos x$ と表す。
- (2) より $f(x)$ を、 $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{6}$ で $\sin x$、 $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で $1-\sin x$ と表す。
- 被積分関数 $\sin x\cos x$、 $(1-\sin x)\cos x$ を、片方がもう片方の微分になっている $f(x)\cdot f'(x)$ の形と見て、原始関数を求め、 $0\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{6}$ のときは $\displaystyle\int_0^a\sin x\cos x\,dx$ を計算する。
- $\dfrac{\pi}{6}\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{2}$ のときは $F\left(\dfrac{\pi}{6}\right)$ に $\dfrac{\pi}{6}$ から $a$ までの積分を足して求める。 $a=\dfrac{\pi}{6}$ で2つの式の値が一致すること、微分すると被積分関数に戻ることで検算する。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$f(x)=0$ のとき、外側の絶対値の中身が0なので
$$\left|\sin x-\frac12\right|-\frac12=0\iff\left|\sin x-\frac12\right|=\frac12$$
右辺は正なので
$$\sin x-\frac12=\pm\frac12\iff\sin x=1,\ 0$$
$-\pi\leqq x\leqq\pi$ で、 $\sin x=1$ となるのは $x=\dfrac{\pi}{2}$、 $\sin x=0$ となるのは $x=-\pi,\ 0,\ \pi$。
答 $x=-\pi,\ 0,\ \dfrac{\pi}{2},\ \pi$
(2) 配点 15点
$y=f(x)$ のグラフを、平行移動と折り返しで書く(下の図)。
① $y=\sin x-\dfrac12$ は $y=\sin x$ を下に $\dfrac12$ 平行移動したグラフで、 $-\dfrac32\leqq y\leqq\dfrac12$ を動く。 $x$ 軸より下の部分( $\sin x<\dfrac12$ の部分)を $x$ 軸で折り返すと $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|$ になり、 $0\leqq y\leqq\dfrac32$ を動く。
② それを下に $\dfrac12$ 平行移動すると $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12$ になり、 $-\dfrac12\leqq y\leqq1$ を動く。 $x$ 軸より下の部分を $x$ 軸で折り返すと $y=f(x)$ になる。
式でも確かめる。
・$\sin x\geqq\dfrac12$、すなわち $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$ のとき $f(x)=\left|\left(\sin x-\dfrac12\right)-\dfrac12\right|=|\sin x-1|=1-\sin x$
・$\sin x<\dfrac12$ のとき $f(x)=\left|\left(\dfrac12-\sin x\right)-\dfrac12\right|=|\sin x|$
$|\sin x|$ を $\sin x$ の符号で外すと、区間ごとの式は次のようになる。
・$-\pi\leqq x\leqq0$ のとき $f(x)=-\sin x$
・$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{6}$、 $\dfrac{5\pi}{6}\leqq x\leqq\pi$ のとき $f(x)=\sin x$
・$\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$ のとき $f(x)=1-\sin x$
$-\pi\leqq x\leqq0$ では $x=-\dfrac{\pi}{2}$ で最大値1をとる山になる。 $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$ では、値 $\dfrac12$ から $x=\dfrac{\pi}{2}$ で0まで下がり、 $\dfrac12$ に戻る谷になる。 $x=0,\ \dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{5\pi}{6}$ では左右で式が変わってとがった点になり、 $x=\dfrac{\pi}{2}$ では $(1-\sin x)’=-\cos x=0$ なので $x$ 軸に接する。 $x$ 軸との共有点は (1) で求めた $x=-\pi,\ 0,\ \dfrac{\pi}{2},\ \pi$ と一致する。
答 グラフは下の図
(3) 配点 25点
$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ のとき $-\dfrac{\pi}{2}\leqq x-\dfrac{\pi}{2}\leqq0$ で、この範囲は (2) の $-\pi\leqq x\leqq0$( $f=-\sin$ の区間)に含まれる(下の図)。
よって
$$f\left(x-\frac{\pi}{2}\right)=-\sin\left(x-\frac{\pi}{2}\right)=\cos x$$
また (2) より、 $f(x)$ は $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{6}$ で $\sin x$、 $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で $1-\sin x$ なので、被積分関数は $x=\dfrac{\pi}{6}$ で式が変わる(下の図)。そこで $a$ で場合分けする。
被積分関数は、どちらも片方がもう片方の微分になっている $f(x)\cdot f'(x)$ の形である。
$$\sin x\cos x=\sin x\,(\sin x)’,\qquad(1-\sin x)\cos x=-(1-\sin x)(1-\sin x)’$$
なので、原始関数はそれぞれ $\dfrac12\sin^2x$、 $-\dfrac12(1-\sin x)^2$ である。
(i) $0\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{6}$ のとき
$$F(a)=\int_0^a\sin x\cos x\,dx=\left[\frac12\sin^2x\right]_0^a=\frac12\sin^2a$$
(ii) $\dfrac{\pi}{6}\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{2}$ のとき、 $F\left(\dfrac{\pi}{6}\right)=\dfrac12\cdot\left(\dfrac12\right)^2=\dfrac18$ なので
$$F(a)=\frac18+\int_{\frac{\pi}{6}}^a(1-\sin x)\cos x\,dx=\frac18+\left[-\frac12(1-\sin x)^2\right]_{\frac{\pi}{6}}^a=\frac18-\frac12(1-\sin a)^2+\frac12\cdot\frac14$$
$$=\frac14-\frac12(1-\sin a)^2=-\frac12\sin^2a+\sin a-\frac14$$
(検算: $a=\dfrac{\pi}{6}$ を代入すると $\dfrac14-\dfrac12\cdot\dfrac14=\dfrac18$ で (i) と一致する。 $\dfrac14-\dfrac12(1-\sin a)^2$ を $a$ で微分すると $(1-\sin a)\cos a$ に戻る。また $F\left(\dfrac{\pi}{2}\right)=\dfrac14$ で、被積分関数は0以上なので $F(a)$ は負にならない。 $F\left(\dfrac{\pi}{2}\right)$ が負になったら計算ミスと分かる)
答 $0\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{6}$ のとき $F(a)=\dfrac12\sin^2a$、 $\dfrac{\pi}{6}\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{2}$ のとき $F(a)=-\dfrac12\sin^2a+\sin a-\dfrac14$
別解((i) を倍角の公式で) $\sin x\cos x=\dfrac12\sin2x$ と直すと、 $F(a)=\left[-\dfrac14\cos2x\right]_0^a=\dfrac14(1-\cos2a)=\dfrac12\sin^2a$。(ii) も $(1-\sin x)\cos x=\cos x-\dfrac12\sin2x$ と直して積分できる。
別解( $t=\sin x$ とおいて面積で見る) $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ では $\sin x$ は0から1まで増加し、 $f(x)$ は $\sin x$ と $1-\sin x$ の小さい方である。そこで $t=\sin x$ とおくと $dt=\cos x\,dx$ で、 $x$ が0から $a$ まで動くとき $t$ は0から $\sin a$ まで動く( $0\leqq a\leqq\dfrac{\pi}{2}$ なので $\sin a$ は0から1の間にあり、この対応は1対1)。よって
$$F(a)=\int_0^{\sin a}g(t)\,dt,\qquad g(t)=\min(t,\ 1-t)$$
$y=g(t)$ は $t=\dfrac12$ で高さ $\dfrac12$ の山形の折れ線で、0から1までの面積は $\dfrac14$。 $s=\sin a$ とおくと、 $s\leqq\dfrac12$ では左の直角二等辺三角形の面積で $F(a)=\dfrac{s^2}{2}$、 $s\geqq\dfrac12$ では全体 $\dfrac14$ から右の直角二等辺三角形(底辺・高さとも $1-s$)を引いて $F(a)=\dfrac14-\dfrac{(1-s)^2}{2}$。 $s\leqq\dfrac12\iff a\leqq\dfrac{\pi}{6}$ なので本解と同じ答えになる。
出題意図
(1)(2) 二重の絶対値を1段ずつ外し、三角関数の場合分けとして正確に処理できるか。グラフは折り返しと平行移動で書けるか。
(3) 関数に $x-\dfrac{\pi}{2}$ を代入したとき、中身の範囲を求め直して絶対値を外せるか。被積分関数が途中で式が変わることに気づき、 $a$ で場合分けできるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
(1)(2) は、グラフを書くだけで解ける。
(3) が、絶対値を外すときの計算を正確にできるかどうか。
二重の絶対値は見た目がいかついだけで、1段ずつ外せばただの三角関数の場合分け。
注意点は (3) で、関数に $x-\dfrac{\pi}{2}$ を入れたら中身の範囲を求め直すこと。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (3) だけ:中身の $x-\dfrac{\pi}{2}$ の範囲を求め直し、 $f\left(x-\dfrac{\pi}{2}\right)=\cos x$ と1つの式にできるかという発想に行き着けるか。範囲を確かめずに外すと符号を誤る。
- (3) で $f(x)$ の式が $x=\dfrac{\pi}{6}$ で変わることを見落とし、 $a$ で場合分けせずに1つの式で答える失点が起きやすい。
2006年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は2次関数・集合と命題の問題です。
テーマは「$f(x)=4x(1-x)$ に関して不変な区間(定義から論証する問題)」。
問題


問題文をテキストで読む
区間 $[a,b]$ が関数 $f(x)$ に関して不変であるとは、
$$a\leqq x\leqq b\ \text{ならば,}\ a\leqq f(x)\leqq b$$
が成り立つこととする。 $f(x)=4x(1-x)$ とするとき、次の問いに答えよ。
(1) 区間 $[0,1]$ は関数 $f(x)$ に関して不変であることを示せ。
(2) $0<a<b<1$ とする。このとき、区間 $[a,b]$ は関数 $f(x)$ に関して不変ではないことを示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
「不変」は「すべての $x$ で成り立つ」の形なので、「区間での最小値が左端以上、最大値が右端以下」と言いかえる。 $f(x)$ は上に凸なので、最大の候補は頂点と区間の端、最小の候補は区間の端だけ。


- 区間 $[0,1]$ が不変であることを「 $0\leqq x\leqq1$ での $f(x)$ の最小値が0以上、最大値が1以下」と言いかえる。
- $f(x)=-4\left(x-\dfrac12\right)^2+1$ と平方完成し、軸 $x=\dfrac12$ が区間に入るので最大値は $f\left(\dfrac12\right)=1$、最小値は区間の端の $f(0)=f(1)=0$ と求める。
- 最小値0以上・最大値1以下なので不変と結論する。
【(2)の方針】
「不変ではない」は「区間からはみ出す $x$ がある」こと。 $a$、 $b$ が文字で反例を1つに決められないので、背理法で不変と仮定し、(1) と同じ言いかえから矛盾を導く。


- 区間 $[a,b]$ が不変と仮定し、「 $a\leqq x\leqq b$ での $f(x)$ の最大値が $b$ 以下、最小値が $a$ 以上」…① と言いかえる。
- 頂点 $x=\dfrac12$ が区間に入ると最大値が $1$ になり、 $b<1$ と①に反する。よって $\dfrac12$ は区間に入らない。
- 区間の端 $a$、 $b$ も区間の点なので、①から $f(a)\geqq a$、 $f(b)\leqq b$。 $f(x)-x=x(3-4x)$ の符号から $a\leqq\dfrac34\leqq b$ に絞る。
- 2と3から $a>\dfrac12$ となり、区間で $f(x)$ は減少する。最大値 $f(a)\leqq b$、最小値 $f(b)\geqq a$ を辺々引いて $a+b\leqq\dfrac54$ を導き、 $a>\dfrac12$、 $b\geqq\dfrac34$ と矛盾させる。
- 仮定が誤りなので、区間 $[a,b]$ は不変ではないと結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
区間 $[0,1]$ が不変であるとは、すべての $x\ (0\leqq x\leqq1)$ で $0\leqq f(x)\leqq1$ が成り立つこと、すなわち「 $0\leqq x\leqq1$ における $f(x)$ の最小値が0以上、最大値が1以下」であることである。
$$f(x)=4x-4x^2=-4\left(x-\dfrac12\right)^2+1$$
$f(x)$ は上に凸で、軸 $x=\dfrac12$ は区間 $0\leqq x\leqq1$ に含まれるので、最大値は $f\left(\dfrac12\right)=1$。最小値は区間の端でとり、 $f(0)=f(1)=0$ より最小値は0。
最小値0は0以上、最大値1は1以下なので、区間 $[0,1]$ は $f(x)$ に関して不変である。
(2) 配点 35点
区間 $[a,b]$ ( $0<a<b<1$ )が $f(x)$ に関して不変であると仮定する。このとき
$$a\leqq x\leqq b\ \text{における}\ f(x)\ \text{の最大値は}\ b\ \text{以下,最小値は}\ a\ \text{以上}\qquad\cdots①$$
$f(x)=-4\left(x-\dfrac12\right)^2+1$ は上に凸で、軸は $x=\dfrac12$。もし $a\leqq\dfrac12\leqq b$ ならば、最大値は $f\left(\dfrac12\right)=1$ で、 $b<1$ より①に反する。よって $\dfrac12$ は区間 $[a,b]$ に含まれない。
また、 $a$、 $b$ 自身も区間 $[a,b]$ の点なので、①より $f(a)\geqq a$、 $f(b)\leqq b$。 $f(x)-x=3x-4x^2=x(3-4x)$ であるから
・$f(a)-a=a(3-4a)\geqq0$ と $a>0$ より $a\leqq\dfrac34$
・$f(b)-b=b(3-4b)\leqq0$ と $b>0$ より $b\geqq\dfrac34$
よって $a\leqq\dfrac34\leqq b$。曲線 $y=f(x)$ は、 $0<x<\dfrac34$ では直線 $y=x$ より上、 $\dfrac34<x<1$ では下にある。
$b\geqq\dfrac34>\dfrac12$ で、 $\dfrac12$ は区間に含まれないので $a>\dfrac12$。よって $\dfrac12<a\leqq\dfrac34\leqq b<1$ で、区間 $[a,b]$ では $f(x)$ は減少する。最大値は $f(a)$、最小値は $f(b)$ なので、①より
$$f(a)\leqq b,\qquad f(b)\geqq a$$
2式を辺々引くと $f(a)-f(b)\leqq b-a$。ここで
$$f(a)-f(b)=4(a-b)-4(a^2-b^2)=4(b-a)(a+b-1)$$
なので $4(b-a)(a+b-1)\leqq b-a$。 $b-a>0$ で割ると $4(a+b-1)\leqq1$、すなわち $a+b\leqq\dfrac54$。
一方、 $a>\dfrac12$、 $b\geqq\dfrac34$ より $a+b>\dfrac54$ となり、これは矛盾である。値の幅 $f(a)-f(b)$ が区間の幅 $b-a$ より大きくなり、グラフは正方形 $a\leqq x\leqq b$、 $a\leqq y\leqq b$ からはみ出す(下の図は $a=0.6$、 $b=0.85$ の例)。
よって仮定は誤りで、区間 $[a,b]$ は $f(x)$ に関して不変ではない。
別解(はみ出す点を直接示す)
区間からはみ出す $x$ を、次のように直接見つけてもよい。
・$b<\dfrac34$ のとき $x=b$ で $f(b)-b=b(3-4b)>0$ より $f(b)>b$
・$a>\dfrac34$ のとき $x=a$ で $f(a)-a=a(3-4a)<0$ より $f(a)<a$
・$a\leqq\dfrac34\leqq b$ かつ $a\leqq\dfrac12$ のとき $x=\dfrac12$ で $f\left(\dfrac12\right)=1>b$
・$\dfrac12<a\leqq\dfrac34\leqq b$ のとき $a+b>\dfrac54$ より $f(a)-f(b)=4(b-a)(a+b-1)>b-a$。 $f(a)\leqq b$ と $f(b)\geqq a$ がともに成り立つと $f(a)-f(b)\leqq b-a$ となるので、どちらかが成り立たない。すなわち $x=a$ で $f(a)>b$ か、 $x=b$ で $f(b)<a$
どの場合も区間からはみ出す $x$ があるので、不変ではない。
出題意図
- 初めて見る「不変」という定義を、区間での $f(x)$ の最大値・最小値の条件に言いかえられるか。
- 「〜ではない」を示す問題で背理法を選び、最大・最小の候補(頂点と区間の端)を調べて矛盾を導けるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
2次関数のよく知られた問題で、いろいろな大学にある。
やや難寄りの標準とした。
「不変」という見慣れない定義のせいで難しく見えるが、言いかえれば「区間での最大値が $b$ 以下、最小値が $a$ 以上」という2次関数の最大・最小の問題。
見慣れない定義を見たら知っている条件に言いかえ、最大・最小は候補を全部調べる。
差がつく所・失点しやすい所
- 何を示せばよいかへの言いかえ:「不変」を「区間での最大値が $b$ 以下、最小値が $a$ 以上」と言いかえ、「不変ではない」を背理法で示すという発想に行き着けるかで大きく差がつく。
- 区間の端 $a$、 $b$ 自身も区間の点:ここから $f(a)\geqq a$、 $f(b)\leqq b$ が必要と気づけば、すぐに $a\leqq\dfrac34\leqq b$ まで絞れる。
- 具体例だけで終える: $a$、 $b$ に数値を入れて不変でないことを確かめただけでは証明にならない。
2006年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 標準 | 50点 | 35点 |
| 第2問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第3問 | 標準 | 40点 | 30点 |
| 第4問 | 標準 | 50点 | 40点 |
| 第5問 | 標準 | 40点 | 30点 |
| 全体 | 標準 | 200点 | 140点 |
大問ごとの目標得点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。そのため、総合の目標点(医学部医学科で200点、その他の学部で140点)にはなりません。
セット全体は標準です。
第2問は簡単で、第1問・第4問も型どおりに丁寧に進めれば完答できる問題でした。
この年の合否を分けたのは、整数と漸化式の第3問を完答できたかどうかです。
第5問は、見慣れない「不変」という定義を言いかえる力が問われました。
解く流れ
問題の順でよい。
第5問は (1) と (2) の途中までを取ってから、時間が残れば (2) の後半。
2006年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2006年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2006年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
標準の年でした。
第2問は簡単、第1問・第3問・第4問は標準で、第5問は標準の中でもやや難しい寄りです。
行列の出題はなく、5問とも現行課程の範囲で解けます。 - 2006年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で200点、その他の学部で140点です(250点満点)。
- 2006年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
第2問は満点を取りたい問題です。そのうえで、差がつくとしたら次の3つです。
- 第3問(2):互いに素を示すために、最大公約数 $g$ から $g\times$(整数) $=1$ の形を作る発想を持てたか(2006年の合否を分けた一問)。
- 第5問:「不変」の定義を最大値・最小値の条件に言いかえ、背理法で矛盾を導けたか。
- 第4問(3): $f\left(x-\dfrac{\pi}{2}\right)$ の中身の範囲を求め直して絶対値を外し、 $a$ で場合分けできたか。
- 2006年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・極限(数学Ⅲ)
- 第2問:平面ベクトル
- 第3問:整数・数列
- 第4問:積分(数学Ⅲ)・三角関数・数と式
- 第5問:2次関数・集合と命題


