【解説・配点付き】2015年九州大学化学の解答・解説
2015年の九州大学・化学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの配点付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2015年九州大学化学
第1問 解答・解説
この記事の小問ごとの配点は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は理論化学(物質の構成粒子)の問題です。
テーマは『物質の構成粒子』『マンガン酸化物の組成』。
問題


問題文をテキストで読む
下の表は原子番号1番から36番までの元素の周期表である。問1〜問7に答えよ。
問1. 表中の遷移元素の数を答えよ。
問2. 第3周期に属する元素の中で第一イオン化エネルギーが最も小さい元素の元素記号を答えよ。
問3. 炭素原子には、質量数が12、13、14の3種類の同位体が存在する。この中で質量数13の炭素原子の中性子数を答えよ。
問4. 臭化ナトリウムは水に溶けてナトリウムイオン( $\ce{Na+}$ )と臭化物イオン( $\ce{Br-}$ )に電離する。ナトリウムイオンと臭化物イオンの最外殻電子数と陽子数をそれぞれ答えよ。
問5. 原子番号7番から13番の元素の中で、ネオンと同一の電子配置のイオンになるもののうちイオンの大きさが最小となるのはどれか、イオン式で答えよ。
問6. 次の文章中の $\boxed{\text{ア}}$ と $\boxed{\text{イ}}$ に適切な記号もしくは数値を答えよ。
原子番号25番の元素であるマンガンの電子配置では、最外殻に2個の電子が存在する。最外殻のすぐ内側の電子殻は $\boxed{\text{ア}}$ 殻で、 $\boxed{\text{イ}}$ 個の電子が存在する。
問7. 次の文章中の $\boxed{\text{ア}}$ 〜 $\boxed{\text{エ}}$ に適切な数値を答えよ。 $\boxed{\text{ウ}}$ と $\boxed{\text{エ}}$ については小数点以下2桁で答えよ。
マンガンの特徴の一つは、複数の酸化数を取り得ることである。例えば、強力な酸化剤である $\ce{KMnO4}$ ではマンガンの酸化数は $\boxed{\text{ア}}$ であり、 $\ce{MnCl2}$ ではマンガンの酸化数は $\boxed{\text{イ}}$ である。また、 $\ce{MnO2}$ の組成をもつマンガン酸化物中のマンガンの酸化数は+4である。その他、カリウムイオンを含むマンガン酸化物( $\mathrm{K}_x\mathrm{MnO_2}$ )もあり、このマンガン酸化物中には酸化数+3と+4のマンガンが含まれている。その組成式を $\mathrm{K}_x\mathrm{Mn(IV)}_{1-y}\mathrm{Mn(III)}_y\mathrm{O_2}$ のように表すと、下記の分析実験により $x$、 $y$ のそれぞれの値は $\boxed{\text{ウ}}$ 、 $\boxed{\text{エ}}$ のように決定される。
【分析実験】1.00 g のマンガン酸化物 $\mathrm{K}_x\mathrm{Mn(IV)}_{1-y}\mathrm{Mn(III)}_y\mathrm{O_2}$ が完全に溶解した250 mL のシュウ酸水溶液を調製した。この溶液中のカリウムイオン濃度を測定したところ0.0052 mol/L であった。
解答の方針
【問1の方針】
遷移元素は3〜11族の元素。表は36番までなので、遷移元素は第4周期の3〜11族にしかない(下の図)。12族の亜鉛は、九大では遷移元素に入れていない。


- 表の中で遷移元素が入るのは第4周期だけであることを確かめる。
- 第4周期の3族から11族までを数える。
【問2の方針】
イオン化エネルギーは周期表の右上ほど大きく、左下ほど小さい。同じ周期では、最外殻が同じで正電荷が大きくなるので右ほど大きい(下の図)。


- 周期表に「同じ周期では右ほど大きい」の矢印を書く。
- 第3周期でいちばん左の元素を選ぶ。
【問3の方針】
質量数は陽子の数と中性子の数の和。同位体どうしは陽子の数(原子番号)が同じで、中性子の数だけが違う。
- 炭素の原子番号から陽子の数を決める。
- 質量数から陽子の数を引いて中性子の数を求める。
【問4の方針】
イオンの「+」「−」は電子の数の増減で、陽子の数は変わらない。ナトリウムイオンと臭化物イオンは、どちらも近くの希ガスと同じ電子配置になる(下の図)。


- 陽子の数は原子番号のまま(ナトリウム11、臭素35)とする。
- もとの原子の電子配置から、電荷のぶん電子を足し引きする。
- いちばん外側の電子殻に入っている電子の数を最外殻電子数として答える。
【問5の方針】
原子番号7〜13の元素は、イオンになるとネオンと同じ電子配置になる。同じ配置どうしなら最外殻は同じなので、大きさは正電荷だけで決まる(下の図)。


- 原子番号7〜13のうち、ネオンと同じ電子配置のイオンになるものを挙げる(ネオンはイオンにならない)。
- どれも最外殻が L殻であることを確かめる。
- 正電荷(陽子の数)がいちばん大きいイオンを、いちばん小さいイオンとして選ぶ。
【問6の方針】
電子は内側の殻から入り、 $n$ 番目の殻には $2n^2$ 個まで入る。ただし第4周期は、カリウム・カルシウムで先に N殻に入り、スカンジウムから M殻が埋まっていく(下の図)。


- マンガンの電子の数を25個とする。
- K殻2個・L殻8個を入れ、最外殻の N殻に2個入れる。
- 残りを M殻に入れる。
【問7の方針】
ア・イとエは、どれも「全体の電荷が0」で決まる。ウは、溶液中の $\ce{K+}$ の物質量が組成式の物質量の $x$ 倍になることに注目する。式量にも $x$ が入る(下の図)。


- $\ce{KMnO4}$ は K を+1・O を−2、 $\ce{MnCl2}$ は Cl を−1 として、全体の電荷0からマンガンの酸化数を求める。
- 濃度と体積から、溶液中の $\ce{K+}$ の物質量を求める。
- 組成式の式量を $x$ を使って表し、1.00 g を式量で割って組成式の物質量にする。
- (組成式の物質量)× $x$ =( $\ce{K+}$ の物質量)を $x$ について解く。
- 組成式の中の電荷の合計を0とおき、 $y$ を $x$ で表して値を求める。
解答




解答をテキストで読む
問1
遷移元素は3〜11族の元素。原子番号1〜36のうち、3〜11族の元素があるのは第4周期だけで、スカンジウム・チタン・バナジウム・クロム・マンガン・鉄・コバルト・ニッケル・銅の9個(下の図)。
12族の亜鉛は、教科書によっては遷移元素に入れるが、九大は「3〜11族に属する元素を遷移元素という」と本文で決めて出題したことがある(2023年 第3問)。亜鉛を入れて10と答えないこと。
答 9(2点)
問2
イオン化エネルギーは、原子から電子を1個取り去って1価の陽イオンにするのに必要なエネルギー。周期表の右上ほど大きく、左下ほど小さい(希ガスを含む)。第3周期の8つの元素は、どれも最外殻が M殻で、右へ行くほど正電荷が11+から18+へ大きくなり、電子を強く引きつける(下の図)。
よって、第3周期で第一イオン化エネルギーがいちばん小さいのは左端のナトリウム(いちばん大きいのは右端のアルゴン)。
答 $\ce{Na}$(2点)
問3
炭素の原子番号は6なので、陽子の数は6。質量数は陽子の数と中性子の数の和なので、質量数13の炭素原子の中性子の数は
$$13-6=7$$
同位体どうしは陽子の数が同じで、中性子の数だけが違う(質量数12は6個、14は8個)。
答 7(2点)
問4
陽子の数は原子番号のままで、イオンになっても変わらない。ナトリウムは11、臭素は35。
ナトリウム原子(K殻2・L殻8・M殻1)は、M殻の電子1個を失って $\ce{Na+}$ になり、ネオンと同じ K殻2・L殻8 になる。最外殻は L殻で、電子は8個。
臭素原子(K殻2・L殻8・M殻18・N殻7)は、N殻に電子1個を受け取って $\ce{Br-}$ になり、クリプトンと同じ配置になる。最外殻は N殻で、電子は8個(下の図)。
答(ナトリウムイオンの最外殻電子数) 8(1点)
答(ナトリウムイオンの陽子数) 11(1点)
答(臭化物イオンの最外殻電子数) 8(1点)
答(臭化物イオンの陽子数) 35(1点)
問5
原子番号7〜13の元素のうち、イオンになってネオンと同じ電子配置(K殻2・L殻8)になるのは $\ce{N^3-}$ ・ $\ce{O^2-}$ ・ $\ce{F-}$ ・ $\ce{Na+}$ ・ $\ce{Mg^2+}$ ・ $\ce{Al^3+}$ の6つ(ネオンはイオンにならない)。どれも最外殻は L殻で同じなので、大きさは正電荷だけで決まる。正電荷が大きいほど電子を強く引きつけるので、イオンは小さくなる(下の図)。
$$\mathrm{N}^{3-}>\mathrm{O}^{2-}>\mathrm{F}^{-}>\mathrm{Na}^{+}>\mathrm{Mg}^{2+}>\mathrm{Al}^{3+}$$
正電荷が13+でいちばん大きいアルミニウムイオンが最小(いちばん大きいのは7+の窒化物イオン)。
答 $\ce{Al^3+}$(2点)
問6
マンガンは原子番号25なので、電子は25個。内側の殻から、 $n$ 番目の殻に $2n^2$ 個まで入る(K殻2・L殻8・M殻18・N殻32)。
第4周期では、カリウムとカルシウムで M殻が8個のまま先に N殻に入り、スカンジウムから M殻が埋まっていく(下の図)。マンガンは最外殻の N殻に2個(問題文の「最外殻に2個」と合う)、残りの $25-2-8-2=13$ 個が M殻に入る。
最外殻の N殻のすぐ内側は M殻で、電子は13個。電子配置の例外は、カリウム・カルシウム(N殻に先に入る)と、クロム・銅(N殻が1個)の4つだけ。36番のクリプトンまでは、自分で書けるようにしておく。
答(ア) M(2点)
答(イ) 13(2点)
問7
ア: $\ce{KMnO4}$ は K が+1、O が−2 で、全体の電荷は0。マンガンの酸化数を $m$ とおくと
$$(+1)+m+(-2)\times4=0\qquad m=+7$$
答(ア) +7(2点)
イ: $\ce{MnCl2}$ は Cl が−1 で、全体の電荷は0。
$$m+(-1)\times2=0\qquad m=+2$$
答(イ) +2(2点)
ウ:シュウ酸はマンガン酸化物を溶かすために使っているだけで、カリウムイオンは溶かしても数が変わらない。溶液中の $\ce{K+}$ の物質量は
$$0.0052\times\dfrac{250}{1000}=1.3\times10^{-3}\ \mathrm{mol}$$
組成式 $\mathrm{K}_x\mathrm{MnO_2}$ の式量は、 K が $x$ 個・Mn が1個・O が2個なので
$$39.1x+54.9+16.0\times2=39.1x+86.9$$
1.00 g を式量で割ると組成式の物質量になり、その中の K は $x$ 倍(下の図)。これが溶液中の $\ce{K+}$ の物質量と等しい。
$$\dfrac{1.00x}{39.1x+86.9}=1.3\times10^{-3}$$
$$x=1.3\times10^{-3}(39.1x+86.9)$$
$$x=0.05083x+0.11297$$
$$x=\dfrac{0.11297}{0.94917}=0.119\cdots$$
小数点以下2桁で $x=0.12$ 。
答(ウ) 0.12(3点)
エ:組成式の中の電荷の合計は0。K が+1で $x$ 個、 $\mathrm{Mn(IV)}$ が+4で $1-y$ 個、 $\mathrm{Mn(III)}$ が+3で $y$ 個、O が−2で2個なので
$$x+4(1-y)+3y-2\times2=0$$
$$x-y=0\qquad y=x$$
よって $y=0.12$ 。
答(エ) 0.12(2点)
別解
問2 (最外殻と正電荷で理由から決める)第3周期の元素は、どれも最外殻が M殻で同じ。違うのは正電荷だけで、ナトリウムが11+でいちばん小さい。正電荷が小さいほど最外殻の電子を引きつける力が弱く、電子を取り去りやすいので、ナトリウムのイオン化エネルギーがいちばん小さい。
問5 (判断基準)同じ電子配置のイオンは、原子番号が小さいほど大きく、原子番号が大きいほど小さい。ネオンと同じ配置の6つのうち、原子番号がいちばん大きい13のアルミニウムのイオンが最小。
問7 エ (電荷のつり合いで考える) $\ce{MnO2}$ ではマンガンはすべて+4で、電荷はつり合っている。そこに $\ce{K+}$ が $x$ 個入ると正電荷が $x$ だけ多くなるので、マンガンの正電荷が合計 $x$ だけ下がって打ち消す。マンガン1個が+4から+3になると正電荷は1下がるので、+3になるマンガンは $x$ 個。よって $y=x=0.12$ 。
出題意図
問1 周期表の中で遷移元素がどこからどこまでかを押さえ、数えられるか
問2 イオン化エネルギーの周期表での傾向から、第3周期で最小の元素を選べるか
問3・問4 陽子・中性子・電子の数の関係と、イオンになると電子の数だけが変わることを理解できているか
問5 同じ電子配置のイオンの大きさを、正電荷の大きさで比べられるか
問6 第4周期の電子の入り方の決まりから、マンガンの電子配置を書けるか
問7 化合物の酸化数を求め、組成式に文字が入ったマンガン酸化物の組成を、物質量と電荷の合計から決められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 25点 | 25点 |
| 目標時間 | 10分 | 12分 |
周期表・イオン・電子配置と、化学基礎の最初に習う「物質の構成粒子」がほとんどを占める大問で、どの学部も満点を取りたい。
重要問題集の物質の構成粒子の問題が完璧なら、迷う所はない。
差がつくとしたら問7 の組成で、式量に文字が入ったまま物質量の式を立てられるかだけ。
知識で埋められる所は時間をかけずに書き、浮いた時間を計算の重い大問に回すこと。
差がつく所・失点しやすい所
- 問7 ウ・エ:差がつくとしたら、式量に $x$ が入ったまま物質量の式を立てられるか。K を入れ忘れて式量を86.9 にすると $x=0.11$ になり、エも $y=x$ なので2つまとめて落とす(5点)。
- 問6:マンガンの M殻を13個と数えられるか。第4周期の電子の入り方(Ca まで N殻・Sc から M殻)をあいまいにしていると、M殻を8や15にしてしまう。
2015年九州大学化学
第2問 解答・解説
第2問は理論化学(化学結合と結晶)の問題です。
テーマは『ドライアイスの結晶と昇華』『電離平衡とヘンリーの法則』。
問題


問題文をテキストで読む
次の文章を読み、問1〜問4に答えよ。大気圧は $1.0\times10^{5}$ Pa、気体はすべて理想気体とする。
二酸化炭素は大気圧下、温度27 ℃では気体であるが、−78 ℃以下では固体であり、ドライアイスと呼ばれる。ドライアイスは大気圧下で温度を上げると、液体を経ないで直接気体となる(a)。ドライアイス中の二酸化炭素分子は互いに弱い引力である $\boxed{\text{ア}}$ 力によって結びついており、二酸化炭素分子が規則正しく配列した結晶の単位格子の形状は図1に示すような立方体である(b)。この単位格子の体積は $1.8\times10^{-22}$ cm³ である。一辺が1 cm の立方体のドライアイスの質量は $\boxed{\text{イ}}$ g であり、これを大気圧下で27 ℃にすると、その体積は $\boxed{\text{ウ}}$ L になる。
27 ℃において圧力 $1.0\times10^{5}$ Pa の二酸化炭素は1.0 L の水に0.831 L 溶け、その溶解量はヘンリーの法則に従うものとする。水に溶けた二酸化炭素は式①のように炭酸水素イオンと水素イオンを生じ、炭酸水素イオンはそれ以上電離しないとする。
$\ce{CO2 + H2O <=> HCO3- + H+}$ ・・・①
式①の電離定数 $K_\mathrm{a}\left(=\dfrac{[\ce{HCO3-}][\ce{H+}]}{[\ce{CO2}]}\right)$ は27 ℃において $4.5\times10^{-7}$ mol/L である。容器に二酸化炭素と水を入れ、密閉し、気液平衡の状態にした。温度は27 ℃で一定とする。この炭酸水のpHを測定すると3.50であった。このときの炭酸水中の二酸化炭素濃度は $\boxed{\text{エ}}$ mol/L である。また、この容器中の気体の二酸化炭素分圧は $\boxed{\text{オ}}$ Pa である。大気中の二酸化炭素の分圧は $\boxed{\text{オ}}$ Pa より低いので、容器を開けると水中の二酸化炭素は大気中に放出される。
問1. 文中の $\boxed{\text{ア}}$ に適切な語句を答えよ。また $\boxed{\text{イ}}$ 〜 $\boxed{\text{オ}}$ に入る数値を有効数字2桁で答えよ。
問2. 二酸化炭素の電子式を記入例にならって答えよ。
記入例:窒素分子 ただし、●は電子を表す。
問3. 下線部(a)の現象の名称を答えよ。
問4. 下線部(b)の単位格子の名称を答えよ。
解答の方針
【問1 アの方針】
二酸化炭素は非金属元素どうしでできた分子なので、ドライアイスは分子結晶。分子の中は共有結合、分子と分子の間は弱い分子間力で結びついている。
- ドライアイスを分子結晶と特定する。
- 無極性分子の $\ce{CO2}$ どうしを結びつける分子間力の名前を答える。
【問1 イの方針】
図1は $\ce{CO2}$ 分子の中心が頂点と面の中心にある面心立方格子。分子1個を1つの粒とみれば、金属の結晶と同じ数え方ができる(下の図)。1辺1 cm の立方体の質量は、密度の数値そのもの。


- 単位格子の中の $\ce{CO2}$ 分子の数を、頂点と面の中心で数える。
- 1分子あたりの質量 $\dfrac{44.0}{6.0\times10^{23}}$ g と単位格子の体積で、密度の式を立てる。
- 体積1 cm³ をかけて質量にし、有効数字2桁で答える。
【問1 ウの方針】
昇華しても $\ce{CO2}$ の物質量は変わらない。気体になったあとは、圧力・温度・物質量が分かるので、状態方程式で体積が決まる(下の図)。


- イの質量(丸める前の値)を分子量44.0で割って物質量にする。
- 27 ℃を300 K に直し、状態方程式 $PV=nRT$ で $V$ を求める。
【問1 エの方針】
弱酸の電離の pH の計算を逆にたどる。炭酸水素イオンはそれ以上電離しないので、できる $\ce{HCO3-}$ と $\ce{H+}$ は同じ数で、 $[\ce{HCO3-}]=[\ce{H+}]$ と置ける(下の図)。


- pH 3.50 から $[\ce{H+}]$ を求める。
- $[\ce{HCO3-}]=[\ce{H+}]$ を電離定数の式に入れて $[\ce{CO2}]$ について解く。
【問1 オの方針】
ヘンリーの法則は、まず 1.0×10⁵ Pa で水1 L に溶ける $\ce{CO2}$ の物質量を準備し、分圧の倍率で補正する。0.831 L は27 ℃での体積なので、状態方程式で mol に直す(エの図)。
- 0.831 L を27 ℃・1.0×10⁵ Pa の状態方程式で mol に直し、1.0×10⁵ Pa で水1 L に溶ける量とする。
- 分圧を $P$ と置き、溶ける量が $P$ に比例する式を立てる。
- エの $[\ce{CO2}]$(丸める前の値)と等しいとして $P$ を求める。
【問2の方針】
電子式は「電子の総数は変わらない」「各原子は希ガスの電子配置」の2つのルールで書く。O が8個にそろうには、C と O が共有電子対を2組ずつ出し合う二重結合になる。
- 価電子の総数を数える(C が4個、O が6個ずつ)。
- C の左右の O と共有電子対を2組ずつつくり、C のまわりを8個にする。
- 残りの電子を O の非共有電子対にして、O のまわりも8個にそろえ、記入例どおり●で書く。
【問3の方針】
固体が液体を経ずに直接気体になる変化の名前。ドライアイスでこれが起こるのは、大気圧が二酸化炭素の三重点の圧力より低く、大気圧のもとでは液体の領域を通らないから(下の図)。


- 固体から直接気体になる状態変化の名前を答える。
【問4の方針】
図1の $\ce{CO2}$ 分子の中心の位置を見る。頂点の8か所と面の中心の6か所にあり、立方体の中心には無い(問1 イの図)。
- 分子の中心の位置から単位格子の名前を答える(体心立方格子と取り違えない)。
解答




解答をテキストで読む
問1 ア
二酸化炭素は非金属元素の C と O だけでできた分子なので、ドライアイスは分子結晶。分子の中の C と O は共有結合で強く結びついているが、分子と分子の間は弱い分子間力で結びついているだけ。 $\ce{CO2}$ は直線形の無極性分子なので水素結合も極性による引力もなく、分子どうしを結びつけているのはファンデルワールス力。分子間力を切るだけで分子がばらばらになるので、ドライアイスは低い温度で気体になる(問3 の昇華)。
答(ア) ファンデルワールス(2点)
問1 イ
図1の $\ce{CO2}$ 分子の中心は、立方体の頂点の8か所と面の中心の6か所にある面心立方格子(問4)。分子1個を1つの粒とみて、位置ごとに数える(下の図)。
$$\dfrac18\times8+\dfrac12\times6=4$$
分子量は $\ce{CO2}=44.0$ なので、1分子あたりの質量は $\dfrac{44.0}{6.0\times10^{23}}$ g。密度は「1個あたりの質量×個数」を単位格子の体積で割ったもの。
$$d=\dfrac{\dfrac{44.0}{6.0\times10^{23}}\times4}{1.8\times10^{-22}}=1.629\cdots\ \mathrm{g/cm^3}$$
1辺が1 cm の立方体の体積は1 cm³ なので、質量は 1.629… g。
答(イ) 1.6 g(3点)
問1 ウ
昇華しても $\ce{CO2}$ の物質量は変わらない。イの丸める前の質量を分子量で割ると
$$n=\dfrac{1.629\cdots}{44.0}=\dfrac{4}{1.8\times10^{-22}\times6.0\times10^{23}}=\dfrac{1}{27}\fallingdotseq3.70\times10^{-2}\ \mathrm{mol}$$
気体になったあとは、 $P=1.0\times10^5$ Pa、 $T=273+27=300$ K、 $n=\dfrac{1}{27}$ mol で、体積だけが分からない(下の図)。
状態方程式 $PV=nRT$ より
$$V=\dfrac{nRT}{P}=\dfrac{\dfrac{1}{27}\times8.31\times10^3\times300}{1.0\times10^5}=0.923\cdots\ \mathrm L$$
1 cm³ のドライアイスが約920倍の体積の気体になる。イを1.6 g に丸めてから使うと0.906…で0.91 L になってしまうので、途中の値は丸めずに1桁多く残す。
答(ウ) 0.92 L(3点)
問1 エ
これは弱酸の電離の問題で、ふつうは $[\ce{CO2}]$ から $[\ce{H+}]$ を求めるところを、pH から $[\ce{CO2}]$ へ逆にたどる。pH 3.50 より
$$[\ce{H+}]=10^{-3.50}\ \mathrm{mol/L}$$
炭酸水素イオンはそれ以上電離しないので、式①でできる $\ce{HCO3-}$ と $\ce{H+}$ は同じ数(水の電離による $\ce{H+}$ は無視できる)。よって $[\ce{HCO3-}]=[\ce{H+}]$ (下の図)。
電離定数の式に入れて $[\ce{CO2}]$ について解くと
$$K_\mathrm{a}=\dfrac{[\ce{H+}]^2}{[\ce{CO2}]}\qquad[\ce{CO2}]=\dfrac{[\ce{H+}]^2}{K_\mathrm{a}}=\dfrac{1.0\times10^{-7}}{4.5\times10^{-7}}=0.222\cdots\ \mathrm{mol/L}$$
$[\ce{H+}]^2=10^{-7.00}$ になるので、対数の値を使わずに計算できる。
答(エ) 0.22 mol/L(4点)
問1 オ
まず 1.0×10⁵ Pa で水1.0 L に溶ける $\ce{CO2}$ の物質量を準備する。0.831 L は27 ℃・1.0×10⁵ Pa での体積なので、状態方程式で mol に直す(標準状態ではないので22.4 L/mol で割らない)。
$$n=\dfrac{PV}{RT}=\dfrac{1.0\times10^5\times0.831}{8.31\times10^3\times300}=\dfrac{1}{30}\fallingdotseq3.33\times10^{-2}\ \mathrm{mol}$$
溶ける量は分圧に比例するので、容器の中の $\ce{CO2}$ の分圧を $P$ [Pa] とすると、水1.0 L(溶液1.0 L とみなす)に溶けている $\ce{CO2}$ は
$$[\ce{CO2}]=\dfrac{1}{30}\times\dfrac{P}{1.0\times10^5}\ \mathrm{mol/L}$$
これがエの $[\ce{CO2}]=0.222\cdots$ mol/L と等しいので
$$P=1.0\times10^5\times0.222\cdots\times30=6.66\cdots\times10^5\ \mathrm{Pa}$$
エを0.22に丸めてから使うと $6.6\times10^5$ Pa になってしまう。大気中の二酸化炭素は体積で約0.04%(分圧は約40 Pa)しかないので、容器を開けると溶けていた $\ce{CO2}$ は気体になって出ていく。炭酸飲料のふたを開けると泡が出るのと同じ。
答(オ) $6.7\times10^5$ Pa(4点)
問2
電子の総数を変えずに、各原子のまわりが希ガスの電子配置になるように書く。価電子は C が4個、O が6個ずつで、合計16個。C のまわりを8個にするには、左右の O と共有電子対を2組ずつ(二重結合)つくる。残りの8個は O の非共有電子対で、各 O に2組ずつ。これで C も O もまわりが8個(Ne と同じ)になる(下の図)。構造式は O=C=O。
答 上の図の電子式(3点)
問3
固体が液体を経ずに直接気体になる変化を昇華という。二酸化炭素の三重点は約−57 ℃・約5.2×10⁵ Pa で、大気圧1.0×10⁵ Pa はそれより低い。大気圧の横線は液体の領域を通らず、−78 ℃で固体と気体の境目(昇華圧曲線)を横切るので、ドライアイスは液体にならずに直接気体になる(下の図)。液体の二酸化炭素は、三重点より高い圧力でしか存在しない。
答 昇華(3点)
問4
図1の $\ce{CO2}$ 分子の中心は、立方体の頂点の8か所と面の中心の6か所にある(問1 イの図)。図1の中央の破線は面の中心どうしを結んだ補助の線で、立方体の中心には分子が無い。よって面心立方格子。単位格子の中の分子は4個で、イの計算に使った数。
答 面心立方格子(3点)
別解
問1 イ (1 cm³ に単位格子がいくつ入るかで数える)1 cm³ を単位格子の体積で割ると、1 cm³ に入る単位格子の数が求まる。1つに $\ce{CO2}$ が4個あるので、分子の数と物質量は
$$\dfrac{1}{1.8\times10^{-22}}\times4=2.22\times10^{22}\ \text{個}\qquad\dfrac{2.22\times10^{22}}{6.0\times10^{23}}=\dfrac{1}{27}\ \mathrm{mol}$$
質量は $44.0\times\dfrac{1}{27}=1.629\cdots$ g で、本解と同じ1.6 g。物質量が先に求まるので、ウにそのまま使える。
問1 エ (C と α の表で書く)溶けた $\ce{CO2}$ の濃度を $C$ 、電離度を $\alpha$ とすると、平衡では $[\ce{CO2}]=C(1-\alpha)$ 、 $[\ce{HCO3-}]=[\ce{H+}]=C\alpha$ 。 $\alpha$ がとても小さいとして近似すると
$$K_\mathrm{a}=\dfrac{C\alpha^2}{1-\alpha}\fallingdotseq C\alpha\times\alpha$$
$C\alpha=10^{-3.50}$ を入れると $\alpha=1.4\times10^{-3}$ 、 $C=\dfrac{10^{-3.50}}{\alpha}=0.22$ mol/L。 $\alpha$ がとても小さいので $[\ce{CO2}]=C(1-\alpha)\fallingdotseq C$ で、本解と同じ。
出題意図
問1 ア・問3・問4 ドライアイスが分子結晶であることから、分子どうしを結びつける力・昇華・単位格子の名前を答えられるか
問1 イ・ウ 分子結晶の単位格子の分子の数から 1 cm³ の質量を求め、物質量を通して昇華後の気体の体積につなげられるか
問1 エ・オ 炭酸水の pH から電離定数で溶けた二酸化炭素の濃度を逆にたどり、ヘンリーの法則で気体の分圧に戻せるか
問2 電子式の2つのルールから、二重結合を2つもつ二酸化炭素の電子式を書けるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 25点 | 20点 |
| 目標時間 | 15分 | 15分 |
ドライアイスを題材に、結晶格子・気体・電離平衡・ヘンリーの法則の典型的な計算を1本につないだ大問。
重要問題集の分子結晶・弱酸の電離・気体の溶解度が完璧なら迷わずに解ける。
差がつくのは、pH から溶けた二酸化炭素の濃度を逆にたどり、ヘンリーの法則で分圧まで戻すエ・オの2つ。
イ→ウ、エ→オと前の答えを次に使う形なので、途中の値は丸めず、1か所の計算ミスで2問まとめて落とさないこと。
差がつく所・失点しやすい所
- 問1 エ・オ:炭酸水の pH から、電離定数で溶けた $\ce{CO2}$ の濃度を逆にたどり、さらにヘンリーの法則で分圧まで戻せるか。「それ以上電離しない」から $[\ce{HCO3-}]=[\ce{H+}]$ と置けるかが決め手で、エでつまずくとオもまとめて落ちる(8点)。オは0.831 L を27 ℃の状態方程式で mol に直す所も間違えやすい。
- 問1 イ・ウ:分子結晶でも $\ce{CO2}$ 分子1個を1つの粒として面心立方格子の4個と数え、密度→質量→物質量→気体の体積と1本につなげられるか。イを誤るとウも落ちる。
2015年九州大学化学
第3問 解答・解説
第3問は理論化学(反応の速さと化学平衡)の問題です。
テーマは『反応速度と半減期』『気体の分解と全圧』。
問題


問題文をテキストで読む
次の文章(1)〜(4)を読み、問1〜問5に答えよ。
(1) 物質AがBとCに変化する式①の反応を考える。
$\mathrm{A}\ \ce{->}\ \mathrm{B}+\mathrm{C}$ ・・・①
反応の途中で温度は変わらないとする。図1に示すように、時刻 $t_1$ でAの濃度を測定したところ $[\mathrm{A}]_1$ であった。また、時刻 $t_1$ から $\Delta t$ だけ時間が過ぎた時刻 $t_2$ での濃度は $[\mathrm{A}]_2$ であった。この時、時刻 $t_1$ から時刻 $t_2$ までの間の平均の反応速度 $v_{\mathrm{av}}$ は $t_1$、 $t_2$、 $[\mathrm{A}]_1$、 $[\mathrm{A}]_2$ を用いて式②で表せる( $t_1<t_2$、 $[\mathrm{A}]_1>[\mathrm{A}]_2$ )。
$v_{\mathrm{av}}=\boxed{\text{ア}}$ ・・・②
すなわち、図1の曲線上の二つの点 $g_1$、 $g_2$ を結んだ直線の傾きに−(マイナス)記号を付けた値が、時刻 $t_1$ から時刻 $t_2$ までの間の平均の反応速度を表す。ここで、−(マイナス)記号を付けるのは平均の反応速度 $v_{\mathrm{av}}$ を正の値にするためである。
式②において、 $\Delta[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_2-[\mathrm{A}]_1$ とすると $v_{\mathrm{av}}$ は $\Delta t$ と $\Delta[\mathrm{A}]$ を用いて式③で表せる。
$v_{\mathrm{av}}=\boxed{\text{イ}}$ ・・・③
$\Delta t$ を十分小さくすると $v_{\mathrm{av}}$ は時刻 $t_1$ の時の瞬間的な反応速度を表す。従って、時刻 $t_1$ における曲線の $\boxed{\text{ウ}}$ の傾きに−(マイナス)記号を付けた値が時刻 $t_1$ の瞬間的な反応速度を表す。
問1. $\boxed{\text{ア}}$ と $\boxed{\text{イ}}$ に適切な式と、 $\boxed{\text{ウ}}$ に適切な語句を答えよ。
(2) 今、式①の反応速度 $v$ が、反応速度定数 $k$ とAの濃度 $[\mathrm{A}]$ を用いて式④で表すことができた。
$v=k[\mathrm{A}]$ ・・・④
反応開始から時刻 $t_5$ までのAの濃度変化を時間に対して示すと図2のようになった。図中の $t_3$、 $t_4$、 $t_5$ はいずれも反応途中の時刻を表している。反応の初期濃度は $[\mathrm{A}]_0$ である。
問2. 反応速度 $v$ は時間とともにどのように変化するか。図2にならって解答用紙に実線で図示せよ。縦軸を反応速度、横軸を時間とする。図示する時間は反応開始から時刻 $t_5$ までとする。また、反応開始時の反応速度は $v_0$ とする。時刻 $t=0$、 $t_3$、 $t_4$、 $t_5$ における値は図2にならって黒丸(●)で示せ。(解答用紙には縦軸、横軸、目盛が描かれている。)
(3) ある時刻 $t_\mathrm{a}$ におけるAの濃度を $[\mathrm{A}]_\mathrm{a}$ とした時、濃度が $[\mathrm{A}]_\mathrm{a}$ からその半分の濃度である $\dfrac{1}{2}[\mathrm{A}]_\mathrm{a}$ になるまでにかかる時間 $t_{1/2}$ を半減期と呼ぶ。反応速度が式④に従う場合、半減期 $t_{1/2}$ は自然対数(底が $e$ の対数)を用いて式⑤で表せる。
$t_{1/2}=\dfrac{\log_e 2}{k}$ ・・・⑤
式⑤から、式①の反応の半減期は反応速度定数 $k$ に反比例し、Aの濃度 $[\mathrm{A}]_\mathrm{a}$ によらないことがわかる。
問3. 濃度が $[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac{1}{2}[\mathrm{A}]_0$ になる時間と、 $[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac{1}{4}[\mathrm{A}]_0$ になる時間をそれぞれ半減期 $t_{1/2}$ を用いて表せ。
(4) 反応が式①で表され、反応速度が式④に従う一つの例として、 $\ce{C2H5NH2}$(気体)が分解して、 $\ce{C2H4}$(気体)と $\ce{NH3}$(気体)になる反応がある。この反応は式⑥で表せる。
$\ce{C2H5NH2}(\text{気体})$
$\quad\ce{->}\ \ce{C2H4}(\text{気体})+\ce{NH3}(\text{気体})$ ・・・⑥
$\ce{C2H5NH2}$(気体)を一定体積の容器に入れ、圧力を測定したところ、反応開始時の圧力は $P_0$ であった。また、反応開始6時間後の圧力を測定したところ $\left(\dfrac{15}{8}\right)P_0$ であった。気体はすべて理想気体とし、反応の途中で反応温度は変わらないとする。
問4. 反応開始6時間後の反応速度は、反応開始時の反応速度の何倍か、答えよ。
問5. 式⑥の反応の半減期 $t_{1/2}$ は何時間か、答えよ。
解答の方針
【問1の方針】
反応速度は A の濃度の変化で決まり、A は減るのでマイナスを付けて正の値にする。曲線上の2点を結ぶ直線の傾きが平均の速さで、2点を近づけた極限が接線になる(下の図)。


- 2点 $g_1$ ・ $g_2$ の間の濃度の変化を時間で割り、マイナスを付けて平均の速度を書く(ア)。
- 同じ式を $\Delta[\mathrm{A}]$ と $\Delta t$ で書きなおす(イ)。
- $\Delta t$ を小さくしたときに2点を結ぶ直線が近づく線の名前を答える(ウ)。
【問2の方針】
速度は $v=k[\mathrm{A}]$ で、温度が変わらなければ $k$ は一定なので、速度は A の濃度に比例する。速度のグラフは、図2の縦軸を $k$ 倍に読みかえるだけで同じ形になる(下の図)。


- $t=0$ の速度 $v_0=k[\mathrm{A}]_0$ を基準にし、速度の倍率=濃度の倍率と決める。
- 図2の目盛りから、 $t_3$ ・ $t_4$ ・ $t_5$ の濃度が $[\mathrm{A}]_0$ の何倍かを読む。
- 同じ倍率で4点の速度を決めて黒丸で打ち、図2と同じ形の曲線で結ぶ。
【問3の方針】
半減期は濃度によらないので、どこから測っても半分になるまでの時間は同じ。 $\dfrac14$ は半分の半分である(下の図)。


- $[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac12[\mathrm{A}]_0$ までは、半減期の定義そのもの。
- $\dfrac12[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac14[\mathrm{A}]_0$ までも半減期1回分なので、2つを足す。
【問4の方針】
体積と温度が一定なので、分圧は物質量に比例し、モル計算を圧力でできる。1分子が2分子に分かれるので、全圧の増えた分がそのまま分解した量になる(下の図)。


- $\ce{C2H5NH2}$ が分圧 $x$ だけ分解したとして、状態遷移図を分圧で書き、6時間後の全圧を $x$ で表す。
- 全圧が $\dfrac{15}{8}P_0$ であることから $x$ を求め、残りの $\ce{C2H5NH2}$ の分圧を求める。
- 速度は残りの分圧に比例するので、反応開始時との比を求める。
【問5の方針】
残りが $\dfrac18$ なら、半分になることを3回くり返したことになる。半減期は濃度によらないので、1回分の時間はどれも同じ(下の図)。


- 問4 の残りの割合 $\dfrac18$ が、$\dfrac12$ を何回かけたものかを数える。
- 6時間をその回数で割る。
解答


解答をテキストで読む
問1
反応速度は A の濃度の変化を時間で割ったもの。濃度の変化は「後引く前」で $[\mathrm{A}]_2-[\mathrm{A}]_1$ と書くが、A は減るのでこれは負の値になる。そこでマイナスを付けて正の値にする。これは図1の $g_1$ と $g_2$ を結ぶ直線の傾きにマイナスを付けたものになっている(下の図)。
$$v_{\mathrm{av}}=-\dfrac{[\mathrm{A}]_2-[\mathrm{A}]_1}{t_2-t_1}$$
答(ア) $-\dfrac{[\mathrm{A}]_2-[\mathrm{A}]_1}{t_2-t_1}$(2点)
$\Delta[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_2-[\mathrm{A}]_1$ 、 $\Delta t=t_2-t_1$ と書きなおす。平均の速度は Δ で書く。
答(イ) $-\dfrac{\Delta[\mathrm{A}]}{\Delta t}$(2点)
$\Delta t$ を小さくすると $g_2$ は $g_1$ に近づき、2点を結ぶ直線は $g_1$ で曲線に接する直線に近づく。上の図のえんじ色の線がそれで、この傾きにマイナスを付けたものが時刻 $t_1$ の瞬間の速度。
答(ウ) 接線(2点)
問2
式④の $v=k[\mathrm{A}]$ で、反応の途中で温度は変わらないので、反応速度定数 $k$ は一定。よって速度は A の濃度に比例し、速度の倍率は濃度の倍率と同じになる。反応開始時は
$$v_0=k[\mathrm{A}]_0$$
図2の縦軸は $[\mathrm{A}]_0$ と0の間が10等分されていて、 $t_3$ の点は $0.9[\mathrm{A}]_0$ 、 $t_4$ の点は $0.7[\mathrm{A}]_0$ 、 $t_5$ の点は $\dfrac12[\mathrm{A}]_0$ にある。速度も同じ倍率なので、 $t_3$ で $0.9v_0$ 、 $t_4$ で $0.7v_0$ 、 $t_5$ で $\dfrac12v_0$ 。この4点を黒丸で打ち、図2と同じ形(右下がりで、だんだん減り方がゆるやかになる曲線)で結ぶ(下の図)。図2の縦軸を $k$ 倍に読みかえただけのグラフになる。
答 上の図(5点)
問3
式⑤の半減期 $t_{1/2}=\dfrac{\log_e2}{k}$ には濃度が入っていないので、どの濃度から測っても、半分になるまでの時間は $t_{1/2}$ で同じ(下の図)。 $[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac12[\mathrm{A}]_0$ までは半減期の定義そのもので $t_{1/2}$ 。
答(半分になるまで) $t_{1/2}$(2点)
$\dfrac12[\mathrm{A}]_0$ からさらに半分の $\dfrac14[\mathrm{A}]_0$ になるまでも $t_{1/2}$ かかる。よって $[\mathrm{A}]_0$ から $\dfrac14[\mathrm{A}]_0$ までは半減期2回分。
答(4分の1になるまで) $2t_{1/2}$(2点)
問4
一定体積の容器で温度も変わらないので、状態方程式 $PV=nRT$ から、分圧は物質量に比例する。そこでモル計算を圧力でする。 $\ce{C2H5NH2}$ が分圧 $x$ だけ分解したとすると、式⑥の係数は $1:1:1$ なので、 $\ce{C2H4}$ と $\ce{NH3}$ は $x$ ずつ生じる(下の図)。
1分子が2分子に分かれるので、全圧は $x$ だけ増えて $P_0+x$ になる。これが $\dfrac{15}{8}P_0$ なので
$$P_0+x=\dfrac{15}{8}P_0\qquad x=\dfrac78P_0$$
6時間後に残っている $\ce{C2H5NH2}$ の分圧は
$$P_0-\dfrac78P_0=\dfrac18P_0$$
$\ce{C2H5NH2}$ の分圧を $P$ とすると、濃度は
$$[\ce{C2H5NH2}]=\dfrac{P}{RT}$$
$T$ は一定なので、濃度は分圧に比例する。速度は $v=k[\ce{C2H5NH2}]$ で $k$ も一定なので、速度は残りの分圧に比例する。
$$\dfrac{v}{v_0}=\dfrac{\dfrac18P_0}{P_0}=\dfrac18$$
答 $\dfrac18$ 倍(0.125倍)(5点)
問5
問4 より、6時間で $\ce{C2H5NH2}$ は $\dfrac18$ になった。 $\dfrac18=\left(\dfrac12\right)^3$ なので、半分になることを3回くり返した、つまり半減期3回分が6時間(下の図)。
$$3t_{1/2}=6\quad\text{(時間)}$$
答 2時間(5点)
別解
問5 (半減期の式を導いて使う) 1次反応では、 $-\dfrac{d[\mathrm{A}]}{dt}=k[\mathrm{A}]$ を辺々積分して次の式が導ける。
$$t=\dfrac1k\log_e\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{A}]}$$
6時間で $\ce{C2H5NH2}$ は $\dfrac18$ になったので
$$6=\dfrac1k\log_e8=\dfrac{3\log_e2}{k}$$
式⑤の $t_{1/2}=\dfrac{\log_e2}{k}$ を使うと $6=3t_{1/2}$ となり、 $t_{1/2}=2$ 時間。 $\log_e2$ の値は使わなくてよい。
出題意図
問1 平均の反応速度を濃度の変化で表し、瞬間の反応速度がグラフの接線の傾きにあたることを理解できているか
問2 $v=k[\mathrm{A}]$ から速度が濃度に比例することに気づき、濃度のグラフを速度のグラフに読みかえられるか
問3 半減期がどこから測っても同じであることを使えるか
問4・問5 分解で気体の分子の数が増えることを圧力の変化と結びつけ、残りの量から速度の倍率と半減期を求められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 25点 | 25点 |
| 目標時間 | 12分 | 15分 |
反応速度の定義と1次反応の半減期だけで全部解ける、典型問題の大問。
重要問題集の反応速度と半減期の問題が完璧なら満点が取れる。
差がつくのは問4 で、「体積・温度一定なら圧力でモル計算」「8分の1は2分の1を3回」と言い切れれば計算はほとんどいらない。
12分を目安に25点を取り切り、浮いた時間を後ろの大問に回そう。
差がつく所・失点しやすい所
- 問4・問5:1分子が2分子に分かれるので、全圧の増えた分がそのまま分解した量になる、という発想に行き着けるか。全圧の $\dfrac{15}{8}P_0$ を $\ce{C2H5NH2}$ の量と取り違えたり、分解した $\dfrac78P_0$ と残りの $\dfrac18P_0$ を取り違えたりすると、問4 も問5 もまとめて落ち、10点を失う。
- 問2:速度は濃度に比例するので、図2の縦軸を読みかえるだけでよい、という発想に行き着けるか。グラフを書く問題は練習量が少なく、図2の目盛りから $t_3$ ・ $t_4$ の値(0.9倍・0.7倍)を読まずに適当な位置に点を打つ受験生が多い。
2015年九州大学化学
第4問 解答・解説
第4問は有機化学・高分子化合物・理論化学の問題です。
テーマは『芳香族化合物の分離』『加水分解と浸透圧』。
問題


問題文をテキストで読む
次の文章を読み、問1〜問6に答えよ。構造式を記入する時は、下に示す記入例にならって記せ。なお、光学異性体は区別しなくてよい。
5種類の有機化合物からなる混合物 X がある。混合物 X 中の少なくとも一つの化合物は常温で液体であり、他の化合物を溶解している。また、混合物 X 中の化合物のうち三つは芳香族化合物であり、他の一つは単一の低分子化合物が重合した高分子化合物であることがわかっている。
混合物 X に十分な量の水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると油状の化合物 A が生じた。一方、化合物 A を除いた残りの水溶液を水溶液 Z とする。
水溶液 Z に十分な量の二酸化炭素を通じると、化合物 B が析出した。化合物 B を取り除いた残りの液体に希塩酸を加えると、化合物 C が析出した。さらに化合物 C を取り除いた残りの液体に十分な量のエタノールを加えると沈殿が生じた。これは化合物 D であった。化合物 D をろ過によって取り除いたところ、ろ液に含まれていた物質は、水、ナトリウムイオン、塩化物イオン、エタノールの他は化合物 E のみであった。
一方、混合物 X に十分な量の希塩酸を加えて加熱したところ、混合物 Y が析出した。冷却後、反応容器にジエチルエーテルを加えて振り混ぜたところ、混合物 Y はすべて溶解し、液体は水層とジエチルエーテル層に分離した。水層を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液を加えると、化合物 A が生じた。化合物 A を取り除いた残りの水層に含まれる有機化合物は、化合物 D、化合物 E およびエタノールであった。一方、ジエチルエーテル層には化合物 B および化合物 C が含まれていた。なお、化合物 A〜E はいずれも混合物 X に含まれる化合物ではなかった。
化合物 A および化合物 E の混合物を少量の濃硫酸とともに加熱すると化合物 F が生じた。化合物 F は、タンパク質やナイロン中にも含まれる結合を持っていた。この結合は、タンパク質がらせん構造( $\alpha$-ヘリックス)を形成する際に重要な役割を果たす。なお、化合物 F は、混合物 X に含まれる化合物であり、分子量は135であった。化合物 F 以外に混合物 X に含まれる化合物は、下に示す〔化合物リスト〕のうちのいずれかである。
〔化合物リスト〕
| シクロヘキサン | アセトアルデヒド |
| アセトン | ギ酸 |
| マレイン酸 | ギ酸エチル |
| 酢酸メチル | 酢酸エチル |
| 酢酸フェニル | ベンゼン |
| トルエン | スチレン |
| エチルベンゼン | ニトロベンゼン |
| テレフタル酸 | アセチルサリチル酸 |
| ポリ塩化ビニル | ポリ酢酸ビニル |
| ポリスチレン | ポリエチレンテレフタラート |
構造式の記入例
問1. 化合物 A は炭素、水素、窒素原子のみからなり、分子量は93であった。化合物 A の構造式を答えよ。
問2. 化合物 B を元素分析したところ、成分元素の質量百分率は炭素76.6 %、酸素17.0 %、水素6.4 %であった。化合物 B のナトリウム塩に高圧下で二酸化炭素を反応させ、これに希硫酸を加えることで化合物 C を合成することができる。化合物 B および C の構造式をそれぞれ答えよ。
問3. 化合物 C とメタノールを少量の濃硫酸の存在下で反応させると生じる化合物の名称を答えよ。
問4. 化合物 D は水に溶解させて合成のりとして用いられるほか、ホルムアルデヒドと反応させることで水に不溶となり、繊維材料の原料になる。化合物 D を水に溶解させ、1.00 g/L の水溶液を調製した。この水溶液の浸透圧を27 ℃において測定したところ8.31 Pa であった。化合物 D の分子量を求めよ。また、化合物 D の名称を答えよ。
問5. 化合物 E および化合物 F の構造式を答えよ。
問6. 混合物 X に含まれる化合物について、化合物 F を除く4種類の化合物を〔化合物リスト〕から選び、答えよ。
解答の方針
【問1の方針】
十分な量の水酸化ナトリウム水溶液で加熱すると、混合物のエステルもアミドもすべて加水分解される。そのあとで塩にならずに油状で分かれてくるのは、塩基のアミンだけ(下の図)。


- 加水分解したあとの塩基性の液で、酸はすべてナトリウム塩として水に溶けるので、油状で分かれる A を塩基のアミンと考える。
- C・H・N だけで分子量93になるものを探し、$\ce{C6H7N}$ のアニリンと決める。
- A の構造式を記入例の形で書く。
【問2の方針】
水溶液 Z に二酸化炭素を通じて析出するのは、炭酸より弱い酸だけ。B のナトリウム塩に高圧で二酸化炭素を反応させる流れは、サリチル酸の合成そのもの。
- 質量百分率を原子量で割って C:H:O の比を求め、組成式を $\ce{C6H6O}$ とする。
- 炭酸より弱い酸であることと組成式から、B をフェノールと決める。
- ナトリウムフェノキシドに高圧で二酸化炭素を反応させるとサリチル酸ナトリウム、希硫酸でサリチル酸になるので、C をサリチル酸と決める。
- B・C の構造式を記入例の形で書く。
【問3の方針】
サリチル酸はカルボキシ基とヒドロキシ基の両方をもつ。メタノールと濃硫酸で反応するのはカルボキシ基で、エステルができる(下の図)。


- C のカルボキシ基がメタノールとエステルをつくるとして、生じる化合物をサリチル酸メチルと答える。
【問4の方針】
浸透圧は溶けている粒子の物質量で決まるので、溶かした質量と浸透圧から分子量が求まる。合成のりとホルムアルデヒドでビニロンの原料になる高分子は、ポリビニルアルコールしかない。
- 溶液を1 L とし、D の分子量を $M$ として物質量を $\dfrac{1.00}{M}$ mol と表す。
- 浸透圧を状態方程式の形に入れて $M$ を求める。
- 合成のり・ホルムアルデヒドで水に溶けない繊維の原料、という説明から D をポリビニルアルコールと決める。
【問5の方針】
F はタンパク質やナイロンと同じアミド結合をもつ。A(アミン)と E(カルボン酸)から水がとれて F ができるので、F の分子量から E の分子量が決まる(下の図)。


- F=A+E−水 の関係から、F と A の分子量を使って E の分子量を求める。
- ろ液に残るカルボン酸で分子量60のものとして、E を酢酸と決める。
- A と E からできるアミドとして F をアセトアニリドと決める。
- E・F の構造式を記入例の形で書く。
【問6の方針】
酸の経路ではエタノールを加えていないのに、水層にエタノールが出てくる。混合物の中にエタノールのエステルがあるはずで、その酸の部分は E(酢酸)でなければならない(下の図)。


- B・C・D のそれぞれについて、加水分解でそれができる元の化合物をリストから選ぶ(B は酢酸フェニル、C はアセチルサリチル酸、D はポリ酢酸ビニルから)。
- 芳香族が F を含めて3つ、高分子が1つという条件と合うことを確かめる。
- 酸の経路で出てきたエタノールの出どころを、リストのエステルから探す。
- ギ酸エチル(ギ酸が残る)と酢酸メチル(メタノールが出る)を消し、酢酸エチルと決める。
解答




解答をテキストで読む
問1
十分な量の水酸化ナトリウム水溶液で加熱すると、混合物 X の中のエステルとアミドはすべて加水分解される。カルボン酸やフェノールはナトリウム塩になって水に溶けるので、塩にならずに油状で分かれてくる A は塩基のアミン(全体の流れは下の図)。
C・H・N だけからなり分子量が93のアミンは、ベンゼン環にアミノ基が付いたアニリン $\ce{C6H5-NH2}$ (分子式 $\ce{C6H7N}$ 、分子量93.0)。
答 $\mathbf{A}=\ce{C6H5-NH2}$(アニリン。構造式は上の図)(3点)
問2
質量百分率を原子量で割って、原子の数の比を求める。
$$\ce{C}:\ce{H}:\ce{O}=\dfrac{76.6}{12.0}:\dfrac{6.4}{1.00}:\dfrac{17.0}{16.0}=6.38:6.4:1.06\fallingdotseq6:6:1$$
組成式は $\ce{C6H6O}$ 。水溶液 Z に二酸化炭素を通じて析出したので、B は炭酸より弱い酸。ナトリウムフェノキシドの水溶液に二酸化炭素を通じるとフェノールが遊離するので、B はフェノール。
B のナトリウム塩(ナトリウムフェノキシド)に高温・高圧で二酸化炭素を反応させると、O のとなりの炭素に $\ce{COONa}$ が付いたサリチル酸ナトリウムになり、希硫酸を加えるとサリチル酸が遊離する(コルベ・シュミット反応)。よって C はサリチル酸。水溶液 Z の流れでも、サリチル酸はカルボキシ基が炭酸より強い酸なので二酸化炭素では析出せず、希塩酸を加えてはじめて析出する。
答 $\mathbf{B}=\ce{C6H5-OH}$(フェノール。構造式は上の図)(2点)
答 $\mathbf{C}=\ce{C6H4(OH)-COOH}$(サリチル酸。構造式は上の図)(2点)
問3
サリチル酸とメタノールを濃硫酸の存在下で反応させると、カルボキシ基とメタノールの間で水がとれてエステルができる。ヒドロキシ基はそのまま残る(下の図)。
答 サリチル酸メチル(3点)
問4
浸透圧の式 $\Pi=cRT$ を、状態方程式と同じ形 $\Pi V=nRT$ で計算する。溶液を1 L とし、D の分子量を $M$ とすると、D の物質量は $\dfrac{1.00}{M}$ mol。温度は $27+273=300$ K なので
$$8.31\times1=\dfrac{1.00}{M}\times8.31\times10^{3}\times300$$
$$M=\dfrac{1.00\times8.31\times10^{3}\times300}{8.31}=3.00\times10^{5}$$
答(分子量) $3.00\times10^{5}$(3点)
水に溶けて合成のりに使われ、ホルムアルデヒドと反応させると水に溶けない繊維(ビニロン)の原料になる高分子は、ポリビニルアルコール。混合物 X のポリ酢酸ビニルが水酸化ナトリウム水溶液でけん化されてできたもので、水には溶けるがエタノールには溶けにくいので、エタノールを加えると沈殿する(下の図)。
答(名称) ポリビニルアルコール(2点)
問5
F はタンパク質やナイロンと同じアミド結合 $\ce{-CO-NH-{}}$ をもつ。この結合の $\ce{C=O}$ と $\ce{N-H}$ の間の水素結合が、α-ヘリックスのらせんを保つ。アミド結合はアミン A のアミノ基とカルボン酸 E のカルボキシ基から水がとれてできるので、F=A+E−水 の関係になる。E の分子量を $M_{\mathrm{E}}$ とすると
$$135=93+M_{\mathrm{E}}-18\qquad M_{\mathrm{E}}=60$$
ろ液に残るカルボン酸で分子量60のものは酢酸 $\ce{CH3-COOH}$ 。F はアニリンと酢酸からできるアセトアニリド $\ce{C8H9NO}$ (下の図)。
答 $\mathbf{E}=\ce{CH3-COOH}$(酢酸。構造式は上の図)(3点)
答 $\mathbf{F}=\ce{C6H5-NH-CO-CH3}$(アセトアニリド。構造式は上の図)(2点)
問6
A〜E はどれも X に含まれないので、加水分解でできたもの。それぞれの元の化合物をリストからさかのぼる。
・B(フェノール)は、フェノールのエステルの酢酸フェニルから
・C(サリチル酸)は、OH がアセチル化されたアセチルサリチル酸から
・D(ポリビニルアルコール)は、ポリ酢酸ビニルのけん化から
F(アセトアニリド)・酢酸フェニル・アセチルサリチル酸で芳香族が3つ、ポリ酢酸ビニルが単一の単量体(酢酸ビニル)が重合した高分子で1つ、と問題文の条件に合う。テレフタル酸とエチレングリコールの2つからできるポリエチレンテレフタラートは「単一の低分子化合物」に合わない。
5つ目は酸の経路から決める。希塩酸で加熱しただけでエタノールは加えていないのに、残りの水層にエタノールが出てきた(下の図)。
X の中に、加水分解でエタノールが出るエタノールのエステルがある。リストの芳香族でないエステルは、ギ酸エチル・酢酸メチル・酢酸エチルの3つ。
・ギ酸エチルなら、塩基の経路のろ液に E 以外のギ酸が残るので合わない
・酢酸メチルはメタノールが出るので合わない
・酢酸エチルなら、酸の部分は E(酢酸)で、ろ液に E しか残らないことと合う。常温で液体で、ほかの化合物を溶かす溶媒の役目とも合う
塩基の経路では、酢酸エチルから出たエタノールは、あとで加えたエタノールにまぎれて見えなくなっている。5つの化合物はどれも酢酸のアミドかエステルで、加水分解すると必ず酢酸 E が出る(下の図)。
(4つは順不同)
答 酢酸フェニル、アセチルサリチル酸、ポリ酢酸ビニル、酢酸エチル(5点)
出題意図
問1 水酸化ナトリウム水溶液で加熱すると油状の塩基が出てくることと分子量93から、アミドの加水分解でできたアニリンに行き着けるか
問2 元素分析と「二酸化炭素で析出する」性質からフェノールを決め、コルベ・シュミット反応でサリチル酸につなげられるか
問3 サリチル酸のカルボキシ基がメタノールとエステルをつくることを知っているか
問4 浸透圧から高分子の分子量を求め、用途の説明からポリビニルアルコールと決められるか
問5 A と E から F ができる関係を分子量でたどり、E を酢酸、F をアセトアニリドと決められるか
問6 2つの経路の結果を見比べて、加水分解でできた物質から元の化合物にさかのぼれるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 20点 | 15点 |
| 目標時間 | 15分 | 15分 |
2015年の化学の合否を分けた大問。
芳香族の分離と加水分解の知識だけで A〜E は決まる、九大の有機としてはオーソドックスな大問だ。
差がつくのは問6 で、2つの経路の違いは「エタノールを加えたかどうか」だけだと気づけば、酢酸エチルはすぐに決まる。
分離の問題は、加水分解でできたものから元の化合物へ流れ図でさかのぼる型を、白紙に再現できるまで練習しておこう。
差がつく所・失点しやすい所
- 問6:酸の経路で「加えていないエタノール」が出てきたことから、X の中にエタノールのエステルがあると読み、ろ液に E しか残らない条件と合わせて酢酸エチルを選び切れるか。4つそろわないと点にならず、この大問でいちばん差がつく(5点)。
- 問5:F をアミドと見抜き、F=A+E−水 から E の分子量60を求めて酢酸に行き着けるか。E が決まらないと F も書けない。
2015年九州大学化学
第5問 解答・解説
第5問は高分子化合物(糖類)の問題です。
テーマは『糖類と重合』『フェーリング液の量的関係』。
問題


問題文をテキストで読む
次の文章を読み、問1〜問7に答えよ。
多くの高分子化合物は、小さな構成単位が繰り返し結合した構造をしている。この構成単位となる小さな分子を $\boxed{\text{ア}}$ と呼び、 $\boxed{\text{ア}}$ が次々に結合する反応を重合という。重合には、不飽和結合を持つ $\boxed{\text{ア}}$ が次々に $\boxed{\text{イ}}$ 反応を起こす $\boxed{\text{イ}}$ 重合と、二つの官能基の間で簡単な分子が取れて新しい共有結合を形成する $\boxed{\text{ウ}}$ 重合がある。天然高分子化合物であるデンプンやセルロースは、多数のグルコースの間で $\boxed{\text{エ}}$ が取れて共有結合が形成(a)されているので、 $\boxed{\text{ウ}}$ 重合による高分子化合物である。デンプンやセルロースの性質を知るには、高分子化合物としての構造の特徴(b)とともに、それを構成している糖類の化学的な性質をよく理解していなければならない。ここでは、最も身近な二糖類であるスクロース(ショ糖)を例として、糖類の化学的な性質を考察する。
スクロースの水溶液は還元性を示さないが、加水分解するとグルコースと $\boxed{\text{オ}}$ の等量混合物となり還元性を示すようになる。水溶液中で、 $\boxed{\text{オ}}$ は、図1に示すように六員環環状構造が鎖状構造Aを経て五員環環状構造と平衡状態にあり、Aは更にいくつかの鎖状構造間で平衡状態にある。鎖状構造Bが存在するため $\boxed{\text{オ}}$ は、グルコースと同様に還元性を示す。
スクロースを使って以下のような加水分解の実験を行った。
【実験】 スクロース水溶液(水40 g、スクロース100 g)を60 ℃に保ち、加水分解酵素であるインベルターゼ0.6 g を加えて6時間かき混ぜた後、 $\boxed{\text{カ}}$ (*注)と沸騰石を入れて穏やかに加熱した。生成した赤色沈殿(c)をろ過して集め、乾燥後、質量を測定したところ70.0 g であった。
(*注): $\boxed{\text{カ}}$ は、硫酸銅(Ⅱ)五水和物350 g を水5 L に溶かしたものと酒石酸ナトリウムカリウム1730 g と水酸化ナトリウム500 g を水5 L に溶かしたものを使用直前に混合したもの。
問1. $\boxed{\text{ア}}$ 〜 $\boxed{\text{エ}}$ に適切な語句を答えよ。
問2. 下線部(a)の共有結合の名称を答えよ。
問3. 下線部(b)を表すものの一つとして、「重合体1分子を構成する繰り返し単位の数」がある。この数を一般に何というか、名称を答えよ。
問4. $\boxed{\text{オ}}$ にあてはまる単糖類の名称を答えよ。
問5. 図1の鎖状構造Bで空白になっている部分Xの構造を図1にならって答えよ。
問6. 試薬 $\boxed{\text{カ}}$ の名称と下線部(c)の組成式を答えよ。
問7. 赤色沈殿の重量から加水分解されたスクロースの割合(%)を有効数字3桁で答えよ。ただし、グルコースと $\boxed{\text{オ}}$ は、2電子を与える還元剤として働くと考え、スクロースの分子量は342として計算せよ。なお、すべてのグルコースと $\boxed{\text{オ}}$ は、 $\boxed{\text{カ}}$ と反応して赤色沈殿を生成したものとする。
解答の方針
【問1の方針】
重合は、不飽和結合が開いてつながる付加重合と、簡単な分子が取れてつながる縮合重合の2つ。デンプン・セルロースは、グルコースの OH どうしから水が取れてつながる縮合重合の高分子(下の図)。


- ア・イ・ウ 構成単位の分子の名前と、不飽和結合が開く重合・簡単な分子が取れる重合の名前を書く。
- エ グルコースどうしがつながるときに取れる分子を書く。
【問2の方針】
グルコースの OH が、別のグルコースの OH と水を取ってつながる。このときできる、O を含む共有結合の名前を答える(問1 の図)。
- 糖どうしをつなぐ共有結合の名前を書く。
【問3の方針】
高分子は同じ単位のくり返しなので、1分子の大きさは単位がいくつつながったかで表せる。デンプン・セルロースは $(\ce{C6H10O5})_n$ と書く。
- 繰り返し単位の数の名前を書く。
【問4の方針】
スクロースはグルコースとフルクトースが結合した二糖。加水分解すると、2つの単糖が1分子ずつできる。
- スクロースの加水分解でグルコースと等量できる単糖を書く。
【問5の方針】
フルクトースの鎖状構造Aは2位がケトン基だが、エンジオールを経て1位がホルミル基になる。B は還元性を示すので、ホルミル基をもつ形(下の図)。


- 図1の B で描かれていない炭素の数を数える(6位〜3位は描いてあるので、残りは2位と1位の2つ)。
- エンジオールの1位の OH の H が2位の炭素に移ると考え、2位を $\ce{-CH(OH)-{}}$ 、1位をホルミル基 $\ce{-CHO}$ にして、図1の書き方で X を書く。
【問6の方針】
フェーリング液は、硫酸銅(Ⅱ)の水溶液と、酒石酸ナトリウムカリウム・水酸化ナトリウムの水溶液を使う直前に混ぜた液。還元性のある糖で $\ce{Cu^2+}$ が還元され、赤色の沈殿になる。
- カ はフェーリング液、赤色沈殿は酸化銅(Ⅰ) $\ce{Cu2O}$ と書く。
【問7の方針】
酸化剤の受け取る $\ce{e-}$ と還元剤(単糖)の与える $\ce{e-}$ が等しいので、赤色沈殿の物質量から単糖の物質量が分かり、スクロースはその半分になる(下の図)。


- $\ce{Cu^2+}$ が $\ce{Cu2O}$ になる半反応式から、$\ce{Cu2O}$ 1 mol ができるとき受け取る $\ce{e-}$ は2 mol と読む。
- 「酸化剤の受け取る $\ce{e-}$ =還元剤の与える $\ce{e-}$ 」の式を立てて、単糖の物質量= $\ce{Cu2O}$ の物質量を求める。
- スクロース1 mol から単糖が2 mol できるので、単糖の物質量の半分が加水分解されたスクロース。分子量342で質量にし、100 g に対する割合を求める。
解答


解答をテキストで読む
問1
多くの高分子は、小さな分子が繰り返し結合してできている。この小さな分子が単量体(モノマー)、単量体が次々に結合する反応が重合。重合は次の2つに分ける。
・付加重合:二重結合などの不飽和結合をもつ単量体が、不飽和結合を開きながら次々につながる。何も取れない(例:エチレン → ポリエチレン)
・縮合重合:2つの官能基の間で水などの簡単な分子が取れて、新しい共有結合ができる(例:ナイロン66・ポリエチレンテレフタラート)
デンプン・セルロースは、グルコースの OH どうしから水 $\ce{H2O}$ が取れてつながる(下の図)。
答(ア) 単量体(モノマー)(1点)
答(イ) 付加(1点)
答(ウ) 縮合(1点)
答(エ) 水(1点)
問2
糖のヘミアセタール構造の OH が、別の糖の OH と脱水縮合してできる結合(上の図の O を含む結合)をグリコシド結合という。デンプンは α-グルコースが、セルロースは β-グルコースがこの結合でつながっている。
答 グリコシド結合(2点)
問3
重合体1分子に含まれる繰り返し単位の数を重合度といい、ふつう $n$ で表す。上の図のデンプン・セルロースは $(\ce{C6H10O5})_n$ と書く。
答 重合度(2点)
問4
スクロースは、α-グルコースの1位と β-フルクトース(五員環)の2位がグリコシド結合でつながった二糖。どちらの糖も環を開く部分が結合に使われているので、スクロースは還元性を示さない。インベルターゼ(スクラーゼ)で加水分解すると、グルコースとフルクトースが1分子ずつできる(この等量混合物が転化糖)。
$$\ce{C12H22O11 + H2O -> C6H12O6 + C6H12O6}$$
右辺の2つの $\ce{C6H12O6}$ がグルコースとフルクトース。
答 フルクトース(果糖)(2点)
問5
フルクトースの鎖状構造Aは2位がケトン基で、ホルミル基をもたない。しかし、2位のケトン基のとなりの1位は $\ce{-CH2OH}$ になっている。この部分の H が移って、2位と1位の間が二重結合で両方に OH が付いた形(図1の真ん中の構造。エンジオール)になる。さらにエンジオールの1位の OH の H が2位の炭素に移ると、2位は $\ce{-CH(OH)-{}}$ 、1位はホルミル基 $\ce{-CHO}$ になる(下の図。R は3位〜6位の部分)。
図1の B は、6位の $\ce{-CH2OH}$ から3位の炭素までが描かれている。描かれていない X は2位と1位の炭素2つ分で、図1にならって書くと次の図の点線の枠の中になる。B はホルミル基をもつのでグルコースと同じように還元性を示す。
答 $\mathrm{X}=\ce{-CH(OH)-CHO}$(上の図の点線の枠の中)(4点)
問6
フェーリング液は、硫酸銅(Ⅱ)の水溶液と、酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムの水溶液を使う直前に混ぜた深青色の液(問題文の(*注)と同じ)。還元性のある糖・アルデヒドと加熱すると、$\ce{Cu^2+}$ が還元されて酸化銅(Ⅰ)の赤色沈殿ができる。黒色の酸化銅(Ⅱ) $\ce{CuO}$ と取り違えない。
答(カ) フェーリング液(2点)
答(組成式) $\ce{Cu2O}$(酸化銅(Ⅰ))(2点)
問7
フェーリング液の $\ce{Cu^2+}$ は酸化剤として $\ce{e-}$ を受け取り、$\ce{Cu2O}$ になる(塩基性の水溶液)。
$$\ce{2Cu^2+ + 2e- + 2OH- -> Cu2O + H2O}$$
$\ce{Cu2O}$ 1 mol ができるとき、受け取る $\ce{e-}$ は2 mol。還元剤の単糖(グルコース・フルクトース)は、問題文から1 mol で $\ce{e-}$ を2 mol 与える。単糖の物質量を $x$〔mol〕、$\ce{Cu2O}$ の物質量を $y$〔mol〕として、「酸化剤の受け取る $\ce{e-}$ =還元剤の与える $\ce{e-}$ 」の式を立てる(下の図)。
$$y\times2=x\times2\qquad\therefore\ x=y$$
単糖の物質量は $\ce{Cu2O}$ の物質量と等しい。$\ce{Cu2O}$ の式量は $63.5\times2+16.0=143.0$ なので
$$x=y=\dfrac{70.0}{143.0}=0.4895\ \mathrm{mol}$$
スクロース1 mol からグルコースとフルクトースが1 mol ずつ、合わせて2 mol の単糖ができる。加水分解されたスクロースは単糖の半分で、その質量は
$$\dfrac{0.4895}{2}\times342=83.71\ \mathrm{g}$$
はじめのスクロースは100 g なので、加水分解された割合は
$$\dfrac{83.71}{100}\times100=83.7\ \%$$
答 83.7 %(7点)
出題意図
問1〜問3 重合の種類(付加重合・縮合重合)と、多糖・高分子を表す基本の用語(グリコシド結合・重合度)を正確に言えるか
問4・問5 スクロースの加水分解でできる単糖を答え、フルクトースがケトースなのに還元性を示す理由を、鎖状構造の移り変わりで説明できるか
問6・問7 フェーリング液の赤色沈殿を $\ce{Cu2O}$ と答え、電子の物質量から赤色沈殿と単糖・スクロースの物質量をつなぐことができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 25点 | 20点 |
| 目標時間 | 12分 | 15分 |
問1〜問6 は糖類と高分子の教科書の知識だけで解ける。
フルクトースの還元性は「ケトン基のとなりの炭素から H が移り、エンジオールを経て1位にホルミル基が現れる」まで言えるようにしておけば、図1のような問われ方でも迷わない。
問7 は酸化還元の基本どおり電子の数をそろえるだけで、スクロースが単糖2つ分であることを忘れなければ満点が取れる。
差がつく所・失点しやすい所
- 問7:「酸化剤の受け取る $\ce{e-}$ =還元剤の与える $\ce{e-}$ 」で単糖と $\ce{Cu2O}$ が同じ物質量だと捉え、そこからスクロース1 mol で単糖が2 mol できることまでつなげられるか。半分にし忘れると167 % になり、割合が100 % を超えたことで気づけるかどうか。7点で、この大問でいちばん差がつく。
- 問5:X が2位と1位の炭素2つ分だと数えられるか。1位だけの $\ce{-CHO}$ にすると炭素が5つになり、フルクトースと同じ $\ce{C6H12O6}$ にならない。
2015年九州大学・化学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 25点 | 25点 |
| 第2問 | 標準 | 25点 | 20点 |
| 第3問 | やや簡単 | 25点 | 25点 |
| 第4問 | 標準 | 20点 | 15点 |
| 第5問 | やや簡単 | 25点 | 20点 |
| 全体 | やや簡単 | 110点 | 90点 |
大問ごとの目標得点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。そのため、総合の目標点(医学部医学科で110点、その他の学部で90点)にはなりません。
全体的に難易度はやや簡単な年で、高い点の勝負になります。
第1問は物質の構成粒子の知識、第3問は反応速度の定義と半減期、第5問は糖類の知識と電子の数をそろえる計算で、重要問題集の典型問題が完璧なら満点が取れます。
第2問も、前の答えを次に使う形なので、途中の値を丸めなければ落としません。
この年の合否を分けたのは、第4問の有機化合物の分離でした。
A〜E は小問の中の情報だけで決まりますが、問6 で「加えていないエタノールが出てきた」ことから酢酸エチルを選び切り、4つそろえられるかで差がつきます。
1つの大問に15分以上かけないことが大事です。
解く流れ
第1問 → 第2問 → 第3問 → 第4問 → 第5問。
2015年九州大学・化学に
関するよくある質問
2015年の九州大学・化学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2015年の九州大学・化学は難しかった?
-
全体的に難易度はやや簡単な年でした。
第2問・第4問は標準、第1問・第3問・第5問はやや簡単です。
やや難の大問は無く、高い点の勝負になる年でした。 - 2015年の九州大学・化学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で110点、その他の学部で90点です(125点満点)。
- 2015年の九州大学・化学はどこで差がつく?
-
この年の合否を分けたのは第4問の有機化合物の分離で、差がついたのは次の3つでした。
- 第4問 問6:酸の経路で加えていないエタノールが出てきたことから、酢酸エチルを選び切って4つそろえられたか。
- 第2問 問1 エ・オ:炭酸水の pH から溶けた二酸化炭素の濃度を逆にたどり、ヘンリーの法則で分圧まで戻せたか。
- 第3問 問4・問5:1分子が2分子に分かれる分解で、全圧の増えた分をそのまま分解した量と読めたか。
- 2015年の九州大学・化学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:理論化学(物質の構成粒子)
- 第2問:理論化学(化学結合と結晶)
- 第3問:理論化学(反応の速さと化学平衡)
- 第4問:有機化学・高分子化合物・理論化学
- 第5問:高分子化合物(糖類)




