【解説・採点基準付き】2006年九州大学文系数学の解答・解説
2006年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2006年九州大学文系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・積分法・高次不等式(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「放物線 $y=x^2$ の接線と、それに垂直な直線(法線)から作る三角形の面積 $S_1$ と、放物線・ $y$ 軸・線分で囲まれた図形の面積 $S_2$ の大小」。
問題


問題文をテキストで読む
曲線 $C:y=x^2$ 上に点 $\mathrm{P}(t,t^2)$ をとり、点Pにおける曲線 $C$ の接線を $l$、点Pを通り $l$ に垂直な直線を $m$ とする。ただし、 $t>0$ とする。接線 $l$ と $x$ 軸との交点をQとし、直線 $m$ と $x$ 軸、 $y$ 軸との交点をそれぞれ $\mathrm{R}_1$、 $\mathrm{R}_2$ とする。また、 $\triangle\mathrm{PQR}_1$ の面積を $S_1$ とし、曲線 $C$ と $y$ 軸および線分 $\mathrm{PR}_2$ で囲まれる図形の面積を $S_2$ とする。このとき次の問いに答えよ。
(1) 点Qと点 $\mathrm{R}_1$ の $x$ 座標を $t$ を用いて表せ。
(2) 面積 $S_2$ を $t$ を用いて表せ。
(3) $S_1>S_2$ が成り立つ $t$ の範囲を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
接線は接点から作り、垂直な直線 $m$ は分母を払った形で書けば、分数を扱わずに済む。座標軸との交点は、 $y=0$ や $x=0$ を代入して求める。


- $y’=2x$ から、接線 $l$ を $y=2tx-t^2$ と作る。
- $l$ の式に $y=0$ を代入して、Qの $x$ 座標を求める。
- $m$ を分母を払った形 $2t(y-t^2)=-(x-t)$ で書く。
- $m$ に $y=0$ を代入して $\mathrm{R}_1$ の $x$ 座標を、 $x=0$ を代入して $\mathrm{R}_2$ の $y$ 座標を求める。
【(2)の方針】
上が線分 $\mathrm{PR}_2$ 、下が $C$ の図形なので、面積は $\displaystyle\int\{(\text{上})-(\text{下})\}\,dx$ の1行から書く。台形から放物線の下を引く見方でも、同じ値になる。


- $m$ の式を $y=-\dfrac{1}{2t}x+t^2+\dfrac12$ と書き直す。
- 「直線 $-$ 放物線」が $x=t$ で $0$ になることから $(t-x)$ でくくり、 $0\leqq x\leqq t$ で線分 $\mathrm{PR}_2$ が上にあることを確かめる。
- $S_2=\displaystyle\int_0^t\{(\text{直線})-x^2\}\,dx$ を計算する。
【(3)の方針】
$S_1>S_2$ は、差をとって $S_1-S_2>0$ と言いかえる。 $t>0$ を使って $t$ で割れば、 $t^2$ だけの式になる。


- 底辺 $\mathrm{QR}_1$ と高さ $t^2$ から $S_1$ を求める。
- $S_1-S_2$ を通分して $\dfrac{t}{12}(12t^4-5t^2-3)$ とまとめる。
- $t>0$ より $\dfrac{t}{12}>0$ なので、 $12t^4-5t^2-3>0$ を解けばよい。 $t^2$ の2次式として $(4t^2-3)(3t^2+1)$ と因数分解する。
- $3t^2+1>0$ から $4t^2-3>0$ とし、 $t>0$ と合わせて $t$ の範囲を答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$y=x^2$ より $y’=2x$ なので、点 $\mathrm{P}(t,\ t^2)$ における接線 $l$ は
$$y=2t(x-t)+t^2\quad\text{すなわち}\quad y=2tx-t^2$$
$y=0$ とすると $2tx=t^2$ で、 $t>0$ より
$$x=\dfrac{t}{2}$$
$l$ の傾きは $2t$ なので、 $\mathrm{P}$ を通り $l$ に垂直な直線 $m$ は、傾きをかけて $-1$ になる直線で
$$2t(y-t^2)=-(x-t)\quad\cdots①$$
と書ける。
①で $y=0$ とすると $-2t^3=-(x-t)$ より
$$x=2t^3+t$$
答 Qの $x$ 座標 $\dfrac{t}{2}$ 、 $\mathrm{R}_1$ の $x$ 座標 $2t^3+t$
また、①で $x=0$ とすると $2t(y-t^2)=t$ より $y=t^2+\dfrac12$ 。よって $\mathrm{R}_2\left(0,\ t^2+\dfrac12\right)$ である((2) で使う)。
検算 $t=1$ のとき、接線は $y=2x-1$ でQの $x$ 座標は $\dfrac12$ 。①は $2(y-1)=-(x-1)$ で、 $y=0$ とすると $x=3=2\cdot1^3+1$ 、 $x=0$ とすると $y=\dfrac32=1^2+\dfrac12$ 。 $l$ の傾き $2$ と $m$ の傾き $-\dfrac12$ の積は $-1$ で、垂直になっている。
(2) 配点 20点
①を $y$ について解くと
$$m:y=-\dfrac{1}{2t}x+t^2+\dfrac12$$
「直線 $-$ 放物線」は $x=t$ で $0$ になる( $\mathrm{P}$ が $m$ と $C$ の両方の上にある)ので、 $(t-x)$ でくくれて
$$\left(-\dfrac{1}{2t}x+t^2+\dfrac12\right)-x^2=(t-x)\left(x+t+\dfrac{1}{2t}\right)$$
$0\leqq x\leqq t$ では $t-x\geqq0$、 $x+t+\dfrac{1}{2t}>0$ なので、これは $0$ 以上で、線分 $\mathrm{PR}_2$ が上、 $C$ が下にある。よって
$$S_2=\int_0^t\left\{\left(-\dfrac{1}{2t}x+t^2+\dfrac12\right)-x^2\right\}dx$$
$$S_2=\left[-\dfrac{1}{4t}x^2+\left(t^2+\dfrac12\right)x-\dfrac{x^3}{3}\right]_0^t=-\dfrac{t}{4}+t^3+\dfrac{t}{2}-\dfrac{t^3}{3}=\dfrac23t^3+\dfrac{t}{4}$$
答 $S_2=\dfrac23t^3+\dfrac{t}{4}$
検算(台形から放物線の下を引く) $\mathrm{O}$、 $\mathrm{R}_2$、 $\mathrm{P}$、 $(t,\ 0)$ を頂点とする台形の面積は $\dfrac12\left\{\left(t^2+\dfrac12\right)+t^2\right\}\cdot t=t^3+\dfrac{t}{4}$ 。放物線の下の部分は $\displaystyle\int_0^tx^2\,dx=\dfrac{t^3}{3}$ 。差は $t^3+\dfrac{t}{4}-\dfrac{t^3}{3}=\dfrac23t^3+\dfrac{t}{4}$ で、本解と一致する。
(3) 配点 15点
(1) より $0<\dfrac{t}{2}<2t^3+t$ で、三角形 $\mathrm{PQR}_1$ は底辺 $\mathrm{QR}_1$ が $x$ 軸上にあり、高さは $\mathrm{P}$ の $y$ 座標 $t^2$ である。底辺は $\mathrm{QR}_1=(2t^3+t)-\dfrac{t}{2}=2t^3+\dfrac{t}{2}$ なので
$$S_1=\dfrac12\left(2t^3+\dfrac{t}{2}\right)t^2=t^5+\dfrac{t^3}{4}$$
$S_1>S_2$ は $S_1-S_2>0$ と同じである。
$$S_1-S_2=t^5+\dfrac{t^3}{4}-\dfrac23t^3-\dfrac{t}{4}=t^5-\dfrac{5}{12}t^3-\dfrac{t}{4}=\dfrac{t}{12}(12t^4-5t^2-3)$$
$t>0$ より $\dfrac{t}{12}>0$ なので、 $S_1>S_2$ は $12t^4-5t^2-3>0$ と同じである。左辺は $t^2$ の2次式なので
$$12t^4-5t^2-3=(4t^2-3)(3t^2+1)$$
$3t^2+1>0$ なので、 $4t^2-3>0$ 、すなわち $t^2>\dfrac34$ 。 $t>0$ と合わせて
答 $t>\dfrac{\sqrt3}{2}$
検算 $t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ のとき $t^2=\dfrac34$ 、 $t^3=\dfrac{3\sqrt3}{8}$ 、 $t^5=\dfrac{9\sqrt3}{32}$ で、 $S_1=\dfrac{9\sqrt3}{32}+\dfrac{3\sqrt3}{32}=\dfrac{3\sqrt3}{8}$ 、 $S_2=\dfrac{\sqrt3}{4}+\dfrac{\sqrt3}{8}=\dfrac{3\sqrt3}{8}$ で等しい。 $t=1$ のときは $S_1=\dfrac54$ 、 $S_2=\dfrac{11}{12}$ で $S_1>S_2$ となり、答えと合う。
出題意図
(1) 放物線の接線と、接点を通り接線に垂直な直線(法線)の式を作り、座標軸との交点を求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)。
(2) 線分と放物線で囲まれた図形の上下関係を確かめ、面積を定積分で求めることができるか。
(3) 2つの面積の大小を差の符号に言いかえ、 $t^2$ の2次式として因数分解して4次不等式を解くことができるか。
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 |
簡単な問題で、15分で50点を取りたいところです。
接線・法線、面積、高次不等式という、チャートの基本例題の型を3つつないだだけで、問題を見た瞬間に答えまでの道筋が浮かぶ出題です。
注意点は、法線を分母を払った形で書くことと、 $t>0$ を使って範囲を絞ることの2つだけ。
ここを落とすと合格は厳しくなります。
差がつく所・失点しやすい所
- 失点しやすい所:(2) で囲まれる図形を、直線 $m$ と $C$ で囲まれた図形全体( $x$ が負の側まで広がる部分)と読み違える所と、(3) で $t>0$ を使わずに $t<-\dfrac{\sqrt3}{2}$ まで答えに含める所。
2006年九州大学文系数学
第2問 解答・解説
第2問は整数・数列の問題です。
テーマは「漸化式で定まる整数 $a_n$、 $b_n$ の、3で割った余りと互いに素になること」。
問題


問題文をテキストで読む
2つの数列 $\{a_n\}$、 $\{b_n\}$ は、 $a_1=b_1=1$ および、関係式
$$a_{n+1}=2a_nb_n,\qquad b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$$
をみたすものとする。
(1) $n\geqq3$ のとき、 $a_n$ は3で割り切れるが、 $b_n$ は3で割り切れないことを示せ。
(2) $n\geqq2$ のとき、 $a_n$ と $b_n$ は互いに素であることを示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
$n\geqq3$ のすべての $n$ で示すので、数学的帰納法を使う。漸化式は解かず、各項を3で割った余りだけを追う。平方数を3で割った余りが0か1のどちらかであることが、決め手になる。


- 示す内容を「 $a_n$ は3の倍数で、 $b_n$ は3の倍数でない」…(*) とおく。 $b_2=3$ は3の倍数なので、帰納法のスタートは $n=3$ にする。
- 具体的な値 $a_3=12$、 $b_3=17$ を調べ、出発点の $n=3$ で (*) が成り立つことを確認する。
- $n=k$ のときの仮定のもとで、 $a_{k+1}=2a_kb_k$ が3の倍数になることを、3を法とする合同式で示す。
- $b_{k+1}$ については、 $b_k^2$ を3で割った余りが1になることを使い、3の倍数でないと導いて、帰納法を完成させる。
【(2)の方針】
「互いに素」は「最大公約数が1」と同じ意味。最大公約数 $g$ から $g\times$(整数) $=1$ の形をつくれば $g=1$ と言える。どの組み合わせでつくるかは、小さい $n$ で実験して探す。
- 漸化式を代入し、 $b_{n+1}^2-2a_{n+1}^2=\left(b_n^2-2a_n^2\right)^2$ が成り立つことを確かめる。
- $n=1$ の値 $-1$ から $n=2$ の値 $1$ を出し、帰納法によって、 $n\geqq2$ のとき $b_n^2-2a_n^2=1$ とわかる。
- $a_n$ と $b_n$ が自然数であることに触れたうえで、最大公約数を $g$ とおく。 $g^2\left(t^2-2s^2\right)=1$ が得られるので、 $g=1$ と結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
最初の項を計算すると、 $a_2=2$、 $b_2=3$、 $a_3=2\cdot2\cdot3=12$、 $b_3=2\cdot2^2+3^2=17$ である。
$n\geqq3$ について「 $a_n$ は3の倍数で、 $b_n$ は3の倍数でない」…(*) を、数学的帰納法で証明する。以下の合同式は、すべて3を法とする。
(i) $n=3$ のとき $a_3=12=3\cdot4$、 $b_3=17=3\cdot5+2$ より、(*) は成り立つ。
(ii) $n=k$( $k\geqq3$)のとき (*) が成り立つと仮定する。このとき $a_k\equiv0$ であり、 $b_k\equiv1$ か $b_k\equiv2$ のどちらかである。まず
$$a_{k+1}=2a_kb_k\equiv2\cdot0\cdot b_k=0$$
となるので、 $a_{k+1}$ は3の倍数である。
次に $b_{k+1}$ を調べる。 $b_k\equiv1$ なら $b_k^2\equiv1$、 $b_k\equiv2$ なら $b_k^2\equiv4\equiv1$ で、どちらの場合も $b_k^2\equiv1$ となる。したがって
$$b_{k+1}=2a_k^2+b_k^2\equiv2\cdot0+1=1$$
となり、 $b_{k+1}$ は3の倍数でない。これで $n=k+1$ のときも (*) が成り立つ。
(i)(ii) から、 $n\geqq3$ のすべての $n$ について、 $a_n$ は3で割り切れ、 $b_n$ は3で割り切れない。
(2) 配点 30点
まず、すべての $n$ で $a_n$、 $b_n$ が自然数であることを確かめる。 $a_1=b_1=1$ は自然数で、 $a_n$、 $b_n$ が自然数なら $a_{n+1}=2a_nb_n$、 $b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$ も自然数になるからである。
小さい $n$ で実験すると、次の表のようになり、 $n\geqq2$ で $b_n^2-2a_n^2=1$ が続きそうだと見当がつく。
| $n$ | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| $a_n$ | 1 | 2 | 12 | 408 |
| $b_n$ | 1 | 3 | 17 | 577 |
| $b_n^2-2a_n^2$ | $-1$ | 1 | 1 | 1 |
この見当を示すために、 $c_n=b_n^2-2a_n^2$ とおいて $c_{n+1}$ を計算する。漸化式を代入すると
$$\begin{aligned}c_{n+1}&=\left(2a_n^2+b_n^2\right)^2-2\left(2a_nb_n\right)^2\\&=b_n^4-4a_n^2b_n^2+4a_n^4\\&=\left(b_n^2-2a_n^2\right)^2=c_n^2\end{aligned}$$
$c_1=-1$ なので $c_2=(-1)^2=1$。 $k\geqq2$ で $c_k=1$ と仮定すると $c_{k+1}=1^2=1$ となるので、帰納法により、 $n\geqq2$ のとき
$$b_n^2-2a_n^2=1\quad\cdots\text{①}$$
が成り立つ。
最後に、 $n\geqq2$ として、 $a_n$ と $b_n$ の最大公約数を $g$ とおく。 $a_n=sg$、 $b_n=tg$( $s$、 $t$ は自然数)と書けるので、これを①に代入すると
$$g^2\left(t^2-2s^2\right)=1$$
$g^2$ は正の整数、 $t^2-2s^2$ は整数なので $g^2=1$ 。 $g>0$ より $g=1$ となり、 $n\geqq2$ のとき $a_n$ と $b_n$ は互いに素である。
別解(共通の素因数を仮定する) $n\geqq1$ のすべての $n$ で $a_n$ と $b_n$ が互いに素であることを、帰納法で示す( $n\geqq2$ の部分が答えになる)。
まず、 $b_1=1$ は奇数で、 $b_n$ が奇数なら $b_{n+1}=2a_n^2+b_n^2$ も奇数なので、 $b_n$ はいつでも奇数である。
$n=1$ では $a_1=b_1=1$ で互いに素。 $n=k$ のとき $a_k$ と $b_k$ が互いに素だと仮定し、 $a_{k+1}$ と $b_{k+1}$ に共通の素因数 $p$ があるとして矛盾を導く。 $b_{k+1}$ は奇数なので $p\neq2$ 。 $p$ は $a_{k+1}=2a_kb_k$ の約数でもあるから、 $p$ は $a_k$ か $b_k$ の約数である。
・$p$ が $a_k$ の約数のとき $b_k^2=b_{k+1}-2a_k^2$ が $p$ の倍数になり、 $p$ は $b_k$ の約数でもある
・$p$ が $b_k$ の約数のとき $2a_k^2=b_{k+1}-b_k^2$ が $p$ の倍数になり、 $p\neq2$ から $p$ は $a_k$ の約数でもある
どちらの場合も $p$ が $a_k$ と $b_k$ の共通の素因数になってしまい、仮定に反する。したがって $a_{k+1}$ と $b_{k+1}$ も互いに素で、帰納法により結論が出る。
出題意図
(1) 一般項が求まらない漸化式でも、3を法にした余りだけを追えば、数学的帰納法で性質を示せることを理解しているか。
(2) 「互いに素」を最大公約数が1と読みかえ、小さい $n$ の実験から見つけた関係式を使って、整数の証明の型で最後まで書き切れるか。
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 |
整数と漸化式の証明で、漸化式を解かずに整数の性質を示す形です。
標準寄りのやや難として、(1) の帰納法を確実に取り、(2) でも部分点を拾って30点を目標にします。
理系と共通の問題ですが、文系は整数・数列・証明が苦手な受験生が多いので、1段重く見ました。
使うのは平方数を3で割った余りと「互いに素」の言いかえという基本だけなので、型を持っていれば (2) まで完答できます。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「互いに素」を最大公約数の言葉に直し、実験で関係式を見つけられるか:見つからなくても、共通の素因数があると仮定して番号を下げる別解で解き切れる。
- (1) のスタートを $n=3$ にして、 $b_k^2\equiv1$ の理由を書く: $n=2$ では $b_2=3$ で成り立たない。 $b_k$ が3の倍数でないとき、 $b_k$ を3で割った余りは1か2で、どちらも2乗すると余りが1になる。この理由を書かないと、 $b_{k+1}\equiv1$ が言えない。
- 別解では $p=2$ の場合を落とさない: $b_n$ が奇数であることを先に示しておく。
2006年九州大学文系数学
第3問 解答・解説
第3問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「垂直の条件から $|x\vec a+\vec b|$、 $|x\vec a+y\vec b+\vec c|$ の最小を示し、具体的なベクトルで最小値と、最小値を与える $x$、 $y$ を求める」。
問題


問題文をテキストで読む
空間ベクトル $\vec a$、 $\vec b$、 $\vec c$ について次の問いに答えよ。ただし、 $h$ と $k$ は実数とする。
(1) $h\vec a+\vec b$ が $\vec a$ と垂直であるとき、すべての実数 $x$ に対して、
$$|x\vec a+\vec b|\geqq|h\vec a+\vec b|$$
が成り立つことを示せ。ただし、 $\vec 0$ はすべてのベクトルと垂直であるとする。
(2) $h\vec a+k\vec b+\vec c$ が $\vec a$、 $\vec b$ のいずれとも垂直であるとき、すべての実数 $x$、 $y$ に対して、
$$|x\vec a+y\vec b+\vec c|\geqq|h\vec a+k\vec b+\vec c|$$
が成り立つことを示せ。
(3) $\vec a=(1,1,1)$、 $\vec b=(1,4,-2)$、 $\vec c=(-3,-6,6)$ とするとき、 $|x\vec a+y\vec b+\vec c|$ の最小値を与える実数 $x$、 $y$ と、そのときの最小値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$x\vec a+\vec b$ を、Oから直線上を動く点Qへのベクトルと見る。垂線の足Hまで進んでから残りを進むと分ければ、2つが垂直なので、2乗したとき交差する項が消える。


- $x\vec a+\vec b=(h\vec a+\vec b)+(x-h)\vec a$ と分ける。
- 両辺の大きさを2乗して展開し、垂直の条件 $(h\vec a+\vec b)\cdot\vec a=0$ で真ん中の項を消す。
- $|x\vec a+\vec b|^2=(x-h)^2|\vec a|^2+|h\vec a+\vec b|^2\geqq|h\vec a+\vec b|^2$ とし、大きさは0以上なので2乗をはずす。
【(2)の方針】
(1) の直線が平面にかわっただけ。Oから平面上を動く点Qへのベクトルを、垂線の足Hまで進んでから平面上を進む、と分ける。


- $\vec w=h\vec a+k\vec b+\vec c$ とおき、 $x\vec a+y\vec b+\vec c=\vec w+\{(x-h)\vec a+(y-k)\vec b\}$ と分ける。
- $\vec w\cdot\vec a=0$、 $\vec w\cdot\vec b=0$ から、 $\vec w$ と $(x-h)\vec a+(y-k)\vec b$ の内積が0になることを示す。
- 2乗して展開し、 $|x\vec a+y\vec b+\vec c|^2=|(x-h)\vec a+(y-k)\vec b|^2+|\vec w|^2\geqq|\vec w|^2$ とする。
【(3)の方針】
(2) より、「 $h\vec a+k\vec b+\vec c$ が $\vec a$、 $\vec b$ のどちらとも垂直」となる $h$、 $k$ が見つかれば、その大きさが最小値になる。2変数の最小の問題が、内積0の式2本を連立する問題にかわる。
- $\vec w=h\vec a+k\vec b+\vec c$ を成分で表す。
- $\vec w\cdot\vec a=0$、 $\vec w\cdot\vec b=0$ の2式を連立して $h$、 $k$ を求める。
- $\vec w=(-2,\ 1,\ 1)$ と $|\vec w|=\sqrt6$ を求める。
- (2) より最小値は $|\vec w|$ で、等号は $x=h$、 $y=k$ のとき。 $\vec a$、 $\vec b$ が平行でないことから、この1組だけであることも確かめる。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$h\vec a+\vec b$ が $\vec a$ と垂直なので
$$(h\vec a+\vec b)\cdot\vec a=0$$
である( $h\vec a+\vec b=\vec 0$ のときも、問題の約束により成り立つ)。
すべての実数 $x$ に対して
$$x\vec a+\vec b=(h\vec a+\vec b)+(x-h)\vec a$$
と表せる。
両辺の大きさを2乗して展開すると
$$\begin{aligned}|x\vec a+\vec b|^2&=|h\vec a+\vec b|^2+2(x-h)(h\vec a+\vec b)\cdot\vec a+(x-h)^2|\vec a|^2\\&=|h\vec a+\vec b|^2+(x-h)^2|\vec a|^2\end{aligned}$$
$(x-h)^2|\vec a|^2\geqq0$ なので $|x\vec a+\vec b|^2\geqq|h\vec a+\vec b|^2$ 。 $|x\vec a+\vec b|\geqq0$、 $|h\vec a+\vec b|\geqq0$ なので
$$|x\vec a+\vec b|\geqq|h\vec a+\vec b|$$
が成り立つ。(証明終)
図で見ると、Qは直線上を動き、OHとHQが垂直なので三平方の定理 $\mathrm{OQ}^2=\mathrm{OH}^2+\mathrm{HQ}^2$ が成り立つ。上の計算はこれをベクトルで書いたもので、最小になるのはQがHに一致するとき( $x=h$ )である。
別解(2乗して $x$ の2次関数として平方完成) 垂直の条件から $h|\vec a|^2+\vec a\cdot\vec b=0$、すなわち $\vec a\cdot\vec b=-h|\vec a|^2$。これを使うと
$$|x\vec a+\vec b|^2=|\vec a|^2x^2+2(\vec a\cdot\vec b)x+|\vec b|^2=|\vec a|^2x^2-2h|\vec a|^2x+|\vec b|^2=|\vec a|^2(x-h)^2+|\vec b|^2-h^2|\vec a|^2$$
$$|h\vec a+\vec b|^2=h^2|\vec a|^2+2h(\vec a\cdot\vec b)+|\vec b|^2=|\vec b|^2-h^2|\vec a|^2$$
よって $|x\vec a+\vec b|^2-|h\vec a+\vec b|^2=|\vec a|^2(x-h)^2\geqq0$ で、同じ結論になる。
(2) 配点 15点
$\vec w=h\vec a+k\vec b+\vec c$ とおく。 $\vec w$ は $\vec a$、 $\vec b$ のいずれとも垂直なので
$$\vec w\cdot\vec a=0,\qquad\vec w\cdot\vec b=0$$
すべての実数 $x$、 $y$ に対して、 $\vec u=(x-h)\vec a+(y-k)\vec b$ とおくと
$$x\vec a+y\vec b+\vec c=\vec w+\vec u$$
と表せる。
$$\vec w\cdot\vec u=(x-h)(\vec w\cdot\vec a)+(y-k)(\vec w\cdot\vec b)=0$$
なので、 $\vec w$ と $\vec u$ も垂直である。
両辺の大きさを2乗して展開すると
$$|x\vec a+y\vec b+\vec c|^2=|\vec w|^2+2\vec w\cdot\vec u+|\vec u|^2=|\vec w|^2+|\vec u|^2\geqq|\vec w|^2$$
大きさは0以上なので
$$|x\vec a+y\vec b+\vec c|\geqq|h\vec a+k\vec b+\vec c|$$
が成り立つ。(証明終)
図で見ると、Qは平面上を動き、OHはこの平面に垂直なので、 $\mathrm{OQ}^2=\mathrm{OH}^2+\mathrm{HQ}^2$ となる。(1) の「直線」が「平面」にかわっただけで、証明の流れは同じである。
(3) 配点 20点
$\vec w=h\vec a+k\vec b+\vec c$ を成分で表すと
$$\vec w=(h+k-3,\ h+4k-6,\ h-2k+6)$$
$\vec w$ が $\vec a$、 $\vec b$ のいずれとも垂直になる条件は
$$\vec w\cdot\vec a=(h+k-3)+(h+4k-6)+(h-2k+6)=3h+3k-3=0$$
$$\vec w\cdot\vec b=(h+k-3)+4(h+4k-6)-2(h-2k+6)=3h+21k-39=0$$
3でくくって $h+k=1$、 $h+7k=13$。これを解いて
$$h=-1,\qquad k=2$$
このとき
$$\vec w=-\vec a+2\vec b+\vec c=(-2,\ 1,\ 1),\qquad|\vec w|=\sqrt{4+1+1}=\sqrt6$$
(確かめ: $\vec w\cdot\vec a=-2+1+1=0$、 $\vec w\cdot\vec b=-2+4-2=0$)
(2) より、すべての実数 $x$、 $y$ に対して $|x\vec a+y\vec b+\vec c|\geqq\sqrt6$ で、等号は $x=-1$、 $y=2$ のときに成り立つ。さらに (2) の計算から
$$|x\vec a+y\vec b+\vec c|^2=6+|(x+1)\vec a+(y-2)\vec b|^2$$
で、 $\vec a$ と $\vec b$ は平行でないので、 $(x+1)\vec a+(y-2)\vec b=\vec 0$ となるのは $x=-1$、 $y=2$ のときだけである。よって最小値を与える $x$、 $y$ はこの1組に限る。
答 $x=-1$、 $y=2$ のとき最小値 $\sqrt6$
図で見ると、Qの動く平面は、Cを通り $\vec w=(-2,1,1)$ に垂直な平面 $-2(x+3)+(y+6)+(z-6)=0$、すなわち $-2x+y+z=6$ である。最小値 $\sqrt6$ は、原点Oからこの平面までの距離 $\dfrac{|-6|}{\sqrt{(-2)^2+1^2+1^2}}=\sqrt6$ と一致し、垂線の足は $\mathrm{H}(-2,\ 1,\ 1)$ である。
別解(2変数の2次式として1文字固定法) (2) を使わずに直接計算してもよい。 $|\vec a|^2=3$、 $|\vec b|^2=21$、 $|\vec c|^2=81$、 $\vec a\cdot\vec b=3$、 $\vec a\cdot\vec c=-3$、 $\vec b\cdot\vec c=-39$ より
$$f=|x\vec a+y\vec b+\vec c|^2=3x^2+6xy+21y^2-6x-78y+81$$
$x$ と $y$ は独立に動くので、まず $y$ を固定して $x$ の2次式として平方完成する。
$$f=3\{x+(y-1)\}^2-3(y-1)^2+21y^2-78y+81=3(x+y-1)^2+18y^2-72y+78$$
次に $y$ について平方完成すると
$$f=3(x+y-1)^2+18(y-2)^2+6\geqq6$$
等号は $x+y-1=0$、 $y-2=0$、すなわち $x=-1$、 $y=2$ のときに成り立ち、このような $x$、 $y$ は存在する。よって最小値は $\sqrt6$ で、同じ答えになる。
出題意図
(1)(2) 「ベクトルの大きさが最小になるのは、垂線を下ろしたとき」という図形の事実を、2乗と内積0の計算で証明できるか。
(3) (2) を使い、2変数の最小の問題を「垂直の条件2本を解く」問題に言いかえられるか。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 |
文字だけのベクトルを扱う抽象的な証明で、計算は難しくありませんが、どう証明するかが分かれ目です。
やや難寄りの標準として、30点を目標にします。
中身は「大きさが最小になるのは垂線を下ろしたとき」という、点と直線・点と平面の距離の基本です。
図で状況を言葉にできれば、証明は三平方の定理をベクトルで書くだけで、(3) は (1)(2) が書けなくても、1文字固定法で解けます。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (1)(2):文字だけのベクトルを「Oから、直線(平面)上を動く点Qへのベクトル」と言葉にして整理し、 $(h\vec a+\vec b)+(x-h)\vec a$ と分ける発想に行き着けるか。図で状況がつかめれば、証明は三平方の定理をベクトルで書くだけになる。
- (3) で (2) を使うと気づけるか:気づかなくても、1文字固定法でゴリゴリ計算すれば同じ答えにたどり着ける。(1)(2) が書けなくても (3) は必ず解く。
- 最小値を2乗の値6と答えない:最後に $\sqrt6$ に直す。
2006年九州大学文系数学
第4問 解答・解説
第4問は三角関数・数と式の問題です。
テーマは「$\left|\,\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12\,\right|$ のグラフと、方程式 $f(x)=k$ の解の個数」。
問題


問題文をテキストで読む
関数 $f(x)=\left|\,\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12\,\right|$ について、次の問いに答えよ。ただし、 $-\pi\leqq x\leqq\pi$ とする。
(1) $f(x)=0$ となる $x$ を求めよ。
(2) 関数 $y=f(x)$ のグラフの概形を描け。
(3) 実数 $k$ に対し、 $f(x)=k$ を満たす $x$ の個数を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
二重の絶対値を含む方程式は、まず一番外側の絶対値から順に外す。すると、最後は $\sin x$ の値を求める問題に変わる。
- 外側の絶対値を外して、 $\left|\sin x-\dfrac12\right|=\dfrac12$ とする。
- 内側の絶対値も外して $\sin x=1,\ 0$ を得て、 $-\pi\leqq x\leqq\pi$ で解く。
【(2)の方針】
絶対値をつけると、 $x$ 軸より下の部分が $x$ 軸で折り返される。そこで $y=\sin x$ を出発点に、平行移動と折り返しを2回くり返せば、 $y=f(x)$ のグラフが書ける(下の図)。


- $y=\sin x$ を下に $\dfrac12$ 動かして、 $x$ 軸より下の部分を折り返し、 $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|$ のグラフを書く。
- これをさらに下に $\dfrac12$ 動かして、 $x$ 軸より下の部分を折り返し、 $y=f(x)$ のグラフにする。区間ごとの式でも確かめる。
- 最大値、とがった点の高さ、 $x$ 軸との共有点をグラフに書き入れて仕上げる。
【(3)の方針】
$f(x)=k$ の解の個数は、定数 $k$ を分離して、(2) のグラフと直線 $y=k$ の共有点の個数に読みかえる。 $y=k$ を上下に動かし、個数が変わる境目(山・谷・とがった点の高さ $0,\ \dfrac12,\ 1$)で場合分けする(下の図)。


- $f(x)=k$ の解の個数を、 $y=f(x)$ のグラフと直線 $y=k$ の共有点の個数に言いかえる(定数分離)。
- (2) のグラフを、増加・減少が入れかわる点( $x=-\dfrac{\pi}{2},\ 0,\ \dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{\pi}{2},\ \dfrac{5\pi}{6}$)で6つの区間に分け、それぞれの区間で $f(x)$ がとる値の範囲を書く。
- 共有点の個数が変わる境目は、最大値 $1$ 、とがった点の高さ $\dfrac12$ 、最小値 $0$ 。 $k<0$、 $k=0$、 $0<k<\dfrac12$、 $k=\dfrac12$、 $\dfrac12<k<1$、 $k=1$、 $1<k$ に分ける。
- 各場合で直線 $y=k$ を引いて共有点を数える。区間の端(とがった点や $x$ 軸との共有点)で交わるときは、隣り合う2つの区間で同じ点を2回数えないようにし、 $x=\pm\pi$ も忘れずに数える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$f(x)=0$ となるのは、外側の絶対値の中身が $0$ のとき、すなわち
$$\left|\sin x-\dfrac12\right|=\dfrac12$$
のときである。右辺は正なので、内側の絶対値も外れて
$$\sin x-\dfrac12=\pm\dfrac12\iff\sin x=1,\ 0$$
$-\pi\leqq x\leqq\pi$ で、 $\sin x=1$ となるのは $x=\dfrac{\pi}{2}$ 、 $\sin x=0$ となるのは $x=-\pi,\ 0,\ \pi$ である。
答 $x=-\pi,\ 0,\ \dfrac{\pi}{2},\ \pi$
(2) 配点 15点
平行移動と折り返しで、 $y=f(x)$ のグラフを書く(下の図)。
① $y=\sin x$ を下に $\dfrac12$ 平行移動すると、 $y=\sin x-\dfrac12$ になる。値の範囲は $-\dfrac32\leqq y\leqq\dfrac12$ 。このグラフを、 $x$ 軸より下( $\sin x<\dfrac12$ のところ)で折り返したものが $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|$ で、値は $0$ 以上 $\dfrac32$ 以下になる。
② これをもう一度、下に $\dfrac12$ 平行移動したものが $y=\left|\sin x-\dfrac12\right|-\dfrac12$ で、値の範囲は $-\dfrac12\leqq y\leqq1$ 。 $x$ 軸より下に出た所をふたたび折り返せば、 $y=f(x)$ のグラフになる。
式でも確かめる。 $\sin x\geqq\dfrac12$ のとき $f(x)=1-\sin x$、 $\sin x<\dfrac12$ のとき $f(x)=|\sin x|$ で、区間ごとには次のようになる。
・$-\pi\leqq x\leqq0$ のとき $f(x)=-\sin x$
・$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{6}$、 $\dfrac{5\pi}{6}\leqq x\leqq\pi$ のとき $f(x)=\sin x$
・$\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$ のとき $f(x)=1-\sin x$
$x=-\dfrac{\pi}{2}$ で最大値 $1$ をとる。 $x=\dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{5\pi}{6}$ で値 $\dfrac12$ のとがった点になり、 $x=0$ もとがった点である。 $x=\dfrac{\pi}{2}$ では $x$ 軸に接する。 $x$ 軸との共有点は、(1) の4点と一致する。
答 グラフは下の図
(3) 配点 25点
$f(x)=k$ を満たす $x$ は、 $y=f(x)$ のグラフと直線 $y=k$ の共有点の $x$ 座標である。よって、求める個数は、 $-\pi\leqq x\leqq\pi$ における $y=f(x)$ のグラフと直線 $y=k$ の共有点の個数に等しい。
(2) より、 $f(x)$ は次の6つの区間でそれぞれ単調に変化する。
・$-\pi\leqq x\leqq-\dfrac{\pi}{2}$ で $0$ から $1$ まで増加、 $-\dfrac{\pi}{2}\leqq x\leqq0$ で $1$ から $0$ まで減少
・$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{6}$ で $0$ から $\dfrac12$ まで増加、 $\dfrac{\pi}{6}\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で $\dfrac12$ から $0$ まで減少
・$\dfrac{\pi}{2}\leqq x\leqq\dfrac{5\pi}{6}$ で $0$ から $\dfrac12$ まで増加、 $\dfrac{5\pi}{6}\leqq x\leqq\pi$ で $\dfrac12$ から $0$ まで減少
単調に変化する区間では、直線 $y=k$ との共有点は、その区間がとる値の範囲に $k$ があるときちょうど1個、ないとき0個である。
直線 $y=k$ を上下に動かして、共有点を数える(下の図)。
・$k<0$、 $1<k$ のとき $0\leqq f(x)\leqq1$ なので、共有点はない。0個
・$k=0$ のとき (1) の $x=-\pi,\ 0,\ \dfrac{\pi}{2},\ \pi$ の4個
・$0<k<\dfrac12$ のとき 6つの区間それぞれに1個ずつあり、どれも区間の端ではないので重ならない。6個
・$k=\dfrac12$ のとき $-\pi\leqq x\leqq0$ では $-\sin x=\dfrac12$ より $x=-\dfrac{5\pi}{6},\ -\dfrac{\pi}{6}$ の2個。 $0\leqq x\leqq\pi$ では、とがった点 $x=\dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{5\pi}{6}$ の2個(どちらも隣り合う2つの区間の共通の端なので、1個ずつと数える)。合わせて4個
・$\dfrac12<k<1$ のとき $0\leqq x\leqq\pi$ では $f(x)\leqq\dfrac12$ なので共有点はなく、 $-\pi\leqq x\leqq0$ の2つの区間に1個ずつ。2個
・$k=1$ のとき 最大値をとる $x=-\dfrac{\pi}{2}$ の1個
答 $k<0,\ 1<k$ のとき0個、 $k=0$ のとき4個、 $0<k<\dfrac12$ のとき6個、 $k=\dfrac12$ のとき4個、 $\dfrac12<k<1$ のとき2個、 $k=1$ のとき1個
(確かめ: $k=\dfrac12$ の4個は $x=\pm\dfrac{\pi}{6},\ \pm\dfrac{5\pi}{6}$ で、どれも $f(x)=\dfrac12$ を満たす。 $k=0$ は (1) の答えと一致する)
別解( $t=\sin x$ とおいて2段階で数える) $t=\sin x$ とおくと、 $-\pi\leqq x\leqq\pi$ のとき $t$ は $-1\leqq t\leqq1$ を動き、 $f(x)=h(t)=\left|\,\left|t-\dfrac12\right|-\dfrac12\,\right|$ となる。絶対値を外すと
$$h(t)=\begin{cases}-t&(-1\leqq t\leqq0)\\ t&\left(0\leqq t\leqq\dfrac12\right)\\ 1-t&\left(\dfrac12\leqq t\leqq1\right)\end{cases}$$
で、 $y=h(t)$ は下の図の折れ線になる。
1つの $t$ に対応する $x$ の個数は、 $y=\sin x$( $-\pi\leqq x\leqq\pi$)と直線 $y=t$ の共有点を数えて、 $t=0$ のとき3個( $x=-\pi,\ 0,\ \pi$)、 $t=\pm1$ のとき1個( $x=\pm\dfrac{\pi}{2}$)、それ以外の $t$ では2個である。 $h(t)=k$ を満たす $t$ を求めて、対応する $x$ の個数を足す。
・$k=0$:$t=0$(3個)と $t=1$(1個)で4個
・$0<k<\dfrac12$:$t=-k,\ k,\ 1-k$ の3つで、どれも $0,\ \pm1$ ではないので $2+2+2=6$ 個
・$k=\dfrac12$:$t=-\dfrac12,\ \dfrac12$ の2つで4個
・$\dfrac12<k<1$:$t=-k$ だけで2個
・$k=1$:$t=-1$ だけで1個
・$k<0,\ 1<k$:0個
となり、本解と一致する。置きかえたら $t$ の範囲を求め直すこと、1つの $t$ に $x$ がいくつ対応するかを数え分けることの2つを守れば、グラフを書かずに数えられる。
出題意図
(1)(2) 二重の絶対値を、外側から順に外して三角関数の方程式に直せるか。グラフを、折り返しと平行移動の組み合わせで描けるか。
(3) 方程式 $f(x)=k$ の解の個数を、(2) のグラフと直線 $y=k$ の共有点の個数に読みかえ(定数分離)、共有点の個数が変わる境目で漏れなく場合分けできるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 50点 |
| 目標時間 | 25分 |
見た目は二重の絶対値と三角関数でいかついですが、中身は「絶対値つきのグラフ」と「定数分離による解の個数」という数と式の基本です。
やや簡単として、50点を取りたいところです。
差がつくのは、グラフを正確に書けるかと、境目の $k=\dfrac12$ や $k=0$ で個数を数え間違えないかの2点だけです。
差がつく所・失点しやすい所
- 唯一差がつくとすれば (2) のグラフ:二重の絶対値を折り返しと平行移動で正確に書けるか。とがった点(高さ $\dfrac12$ )と $x=\dfrac{\pi}{2}$ で $x$ 軸に接する形を誤ると、(3) の個数がすべてずれる。
- (3) の境目の数え方: $k=\dfrac12$ はとがった点を2回数えて6個、 $k=0$ は端点 $x=\pm\pi$ を落として2個としやすい。どちらも正しくは4個。
2006年九州大学・文系数学の
講評とまとめ
4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 |
| 第2問 | やや難 | 30点 |
| 第3問 | 標準 | 30点 |
| 第4問 | やや簡単 | 50点 |
| 全体 | 標準 | 140点 |
大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと160点になりますが、全体の目標点は140点です。
第1問の微積と第4問の三角関数のグラフは取りやすく、第2問の整数と第3問の空間ベクトルが重い、標準の年です。
第1問と第4問は確実に満点を取り、第2問と第3問は取れる小問を拾って、目標点の140点につなげましょう。
解く流れ
- 第1問→第4問→第3問→第2問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
- 目標時間の合計は100分(第1問15分・第2問30分・第3問30分・第4問25分)。残りの20分は見直しと予備。
2006年九州大学・文系数学に
関するよくある質問
2006年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2006年の九州大学・文系数学は難しかった?
-
標準の年でした。
第1問は放物線の接線・法線と面積の基本問題で簡単、第4問は二重の絶対値のグラフと解の個数で、やや簡単です。
一方、第2問は整数と漸化式の証明でやや難、第3問は空間ベクトルの抽象的な証明で標準と、証明問題が重い年でした。
どれも教科書やチャートの例題を発展させた作りなので、型を使い分ければ解き切れます。 - 2006年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は140点です(200点満点)。
- 2006年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?
-
第1問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の2つです。
- 第2問 (2):「互いに素」を「最大公約数が1」と言いかえ、実験から $b_n^2-2a_n^2=1$ に気づけたか。気づけなくても、共通の素因数があると仮定して番号を下げる別解で、解き切れます。
- 第3問 (1)(2):文字だけのベクトルを「Oから直線(平面)上を動く点Qへのベクトル」と言葉にし、垂線の足まで進んでから残りを進む、と分けられたか。(3) は誘導に乗らなくても1文字固定法で解けるので、必ず解き切りたい所です。
- 2006年の九州大学・文系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・積分法・高次不等式(数学Ⅱ)
- 第2問:整数・数列
- 第3問:空間ベクトル
- 第4問:三角関数・数と式


