【解説・採点基準付き】2010年九州大学文系数学の解答・解説

2010年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2010年九州大学文系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は図形と計量・2次方程式の問題です。
テーマは「余弦定理を2回使って $\mathrm{CP}^2$ を $t$ の2次式で表し、 $\mathrm{CP}=a$ をみたす点Pが辺AB上にちょうど2つ存在する条件を、角の大小と大きさの条件に直す」。

問題

2010年九州大学文系数学 第1問 問題
2010年九州大学文系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

三角形ABCの3辺の長さを $a=\mathrm{BC}$、 $b=\mathrm{CA}$、 $c=\mathrm{AB}$ とする。実数 $t\geqq0$ を与えたとき、Aを始点としBを通る半直線上に $\mathrm{AP}=tc$ となるように点Pをとる。次の問いに答えよ。

(1) $\mathrm{CP}^2$ を $a,b,c,t$ を用いて表せ。

(2) 点Pが $\mathrm{CP}=a$ を満たすとき、 $t$ を求めよ。

(3) (2) の条件を満たす点Pが辺AB上にちょうど2つあるとき、 $\angle\mathrm{A}$ と $\angle\mathrm{B}$ に関する条件を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

余弦定理には「3辺から $\cos$ を出す」使い方と「2辺とはさむ角から残りの辺を出す」使い方がある。角Aを答えに残さないため、 $\triangle\mathrm{ABC}$ と $\triangle\mathrm{ACP}$ の両方で使う。

2010年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $\triangle\mathrm{ABC}$ に余弦定理を使い、3辺から $\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$ を得る。
  2. $\triangle\mathrm{ACP}$ には、 $\mathrm{AC}=b$ 、 $\mathrm{AP}=tc$ とはさむ角Aから $\mathrm{CP}^2=b^2+(tc)^2-2\cdot b\cdot tc\cos A$ と立式する。
  3. 2の式へ1の $\cos A$ を代入し、 $t$ の次数ごとに整理して答える。

【(2)の方針】

着眼点

$t=1$ ではPがBに重なって $\mathrm{CP}=a$ になるので、 $t=1$ は必ず解である。解が1つ見つかっているのだから、 $t-1$ を因数にもつ形に直せる。

  1. (1) の式に $\mathrm{CP}^2=a^2$ を課し、 $c^2t^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2-a^2=0$ とまとめる。
  2. $t=1$ では $\mathrm{AP}=c=\mathrm{AB}$ すなわちP=Bで $\mathrm{CP}=a$ だから、 $t=1$ は解。左辺を $(t-1)\{c^2t-(b^2-a^2)\}$ と因数分解する。
  3. 解は $t=1$ と $\dfrac{b^2-a^2}{c^2}$ 。 $t\geqq0$ の制限から、後者が解になるのは $b\geqq a$ の場合に限られる。そこで、答えを $b\geqq a$ のときと $b<a$ のときに分けて書く。

【(3)の方針】

着眼点

「辺AB上」は $0\leqq t\leqq1$ のこと。 $t=1$ はいつも当てはまるので、もう1つの解がその範囲に入る条件だけを調べる。問われているのは角の条件なので、最後は辺の不等式を角の言葉に直す。

  1. PはAからBの向きの半直線上にあり $\mathrm{AP}=tc$ なので、辺AB上にあるのは $0\leqq t\leqq1$ のとき。 $t=1$ (P=B)は常に当てはまり、もう1つの解が $t=1$ と一致すると点は1個になるので、ちょうど2つとなる条件は $0\leqq\dfrac{b^2-a^2}{c^2}<1$ 。
  2. 左側の不等式は $a\leqq b$ 。三角形では長い辺に向かい合う角ほど大きいので、 $\angle\mathrm{A}\leqq\angle\mathrm{B}$ に読みかえる。
  3. 右側の不等式は $b^2<c^2+a^2$ 。 $\triangle\mathrm{ABC}$ の余弦定理で $\cos B>0$ 、すなわち $\angle\mathrm{B}<90^\circ$ と読みかえる。
  4. 2と3を合わせて答える。

解答

2010年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 15点

まず $\triangle\mathrm{ABC}$ に余弦定理を使い、3辺から $\cos A$ を表す。

$$\cos A=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$$

つぎに $\triangle\mathrm{ACP}$ で、 $\mathrm{AC}=b$ 、 $\mathrm{AP}=tc$ とそのはさむ角Aに余弦定理を使い、上の $\cos A$ を代入する。

$$\mathrm{CP}^2=b^2+(tc)^2-2\cdot b\cdot tc\cos A=b^2+c^2t^2-2btc\cdot\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}=b^2+c^2t^2-(b^2+c^2-a^2)t$$

答 $\mathrm{CP}^2=c^2t^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2$

(確かめ: $t=0$ ならPはAで $\mathrm{CP}^2=b^2$ 、 $t=1$ ならPはBで $\mathrm{CP}^2=c^2-b^2-c^2+a^2+b^2=a^2$ 。どちらも図の位置関係と合っている)

(2) 配点 15点

$\mathrm{CP}=a$ から $\mathrm{CP}^2=a^2$ 。(1) の結果に代入して整理すると

$$c^2t^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2-a^2=0\quad\cdots\cdots①$$

$t=1$ ではPがBに重なり、 $\mathrm{CP}=\mathrm{CB}=a$ となるので、 $t=1$ は①を満たす(左辺に $t=1$ を入れると $c^2-b^2-c^2+a^2+b^2-a^2=0$ になる)。したがって①の左辺は $t-1$ で割り切れて

$$(t-1)\{c^2t-(b^2-a^2)\}=0\qquad\therefore\ t=1,\ \frac{b^2-a^2}{c^2}$$

条件は $t\geqq0$ なので、 $\dfrac{b^2-a^2}{c^2}$ が使えるのは、これが0以上となる $b\geqq a$ の場合だけである。

答 $b\geqq a$ のとき $t=1,\ \dfrac{b^2-a^2}{c^2}$ / $b<a$ のとき $t=1$

( $b=a$ なら $t=0$ と $t=1$ の2つで、PはAとBに一致する)

(3) 配点 20点

PはAからBに向かう半直線上で $\mathrm{AP}=tc$ の位置にあるので、Pが辺AB上にある $\iff0\leqq t\leqq1$ 。

$t=1$ (P=B)はつねに辺AB上にある。よって、(2) の条件を満たす点が辺AB上にちょうど2つとなるのは、もう1つの解 $\dfrac{b^2-a^2}{c^2}$ が $t=1$ とは別の値で、しかも $0\leqq t\leqq1$ に収まる場合、すなわち

$$0\leqq\frac{b^2-a^2}{c^2}<1\quad\cdots\cdots②$$

の場合である。もう1つの点を図で表すと、Cを中心に半径 $a$ の円をかいたとき、この円が辺ABと交わるB以外の点にあたる(下の図)。

②の左側の不等式は $b^2\geqq a^2$ 、すなわち $b\geqq a$ 。三角形では長い辺に向かい合う角ほど大きく(辺が等しければ角も等しい)、次のように読みかえられる。

$$a\leqq b\iff\angle\mathrm{A}\leqq\angle\mathrm{B}$$

②の右側の不等式は $b^2-a^2<c^2$ 、すなわち $c^2+a^2-b^2>0$ 。 $\triangle\mathrm{ABC}$ の余弦定理より

$$\cos B=\frac{c^2+a^2-b^2}{2ca}>0\iff\angle\mathrm{B}<90^\circ$$

答 $\angle\mathrm{A}\leqq\angle\mathrm{B}<90^\circ$

( $\angle\mathrm{A}=\angle\mathrm{B}$ のときは、もう1つの点がAに一致する)

別解((3) を図で読む:垂線の足の位置に注目)  $\mathrm{CP}=a$ となる点Pは、Cを中心とする半径 $a$ の円が直線ABと交わる点である。Cから直線ABへ垂線を下ろし、その足をHとおくと、円はHを軸にBと左右対称の位置でもう一度ABと交わる(上の図でPと書いた点)。このPが辺AB上にありながらBと重ならないのは、HがABの中点MとBのあいだ(Mを含み、Bは含まない)にあるとき。

・HがBの手前にある(HがBに重なったり、Bを越えたりしない) $\iff\angle\mathrm{B}<90^\circ$

・HがMよりB寄りにある(Mも含む) $\iff\mathrm{HA}\geqq\mathrm{HB}\iff\mathrm{CA}^2=\mathrm{CH}^2+\mathrm{HA}^2\geqq\mathrm{CH}^2+\mathrm{HB}^2=\mathrm{CB}^2\iff b\geqq a\iff\angle\mathrm{A}\leqq\angle\mathrm{B}$

以上から $\angle\mathrm{A}\leqq\angle\mathrm{B}<90^\circ$ 。ちなみに $\mathrm{AH}=b\cos A$ より $\mathrm{AP}=2\mathrm{AH}-c$ なので、 $t=\dfrac{2b\cos A-c}{c}=\dfrac{b^2-a^2}{c^2}$ となり、(2) で求めた解とも一致する。

出題意図

(1) 2つの三角形に余弦定理を当てはめ、 $\cos A$ を橋渡しにして $\mathrm{CP}$ を3辺と $t$ だけの式にできるか。

(2) P=B( $t=1$ )なら $\mathrm{CP}=\mathrm{CB}=a$ が成り立つと図から気づき、 $t$ の2次方程式を因数分解して解けるか。

(3) 「辺AB上」を $0\leqq t\leqq1$ に読みかえ、 $a\leqq b$ ・ $b^2<c^2+a^2$ という辺の条件を、角の大小と鋭角の条件に直して答えられるか。

講評

難易度簡単
目標得点50点
目標時間15分

簡単な問題で、15分で50点を取りたいところです。
余弦定理を2回使って2次方程式をつくり、それを解くだけの、数学Ⅰの基本的な図形問題です。
(2) は P=B、つまり $t=1$ が解になると図から気づければ、因数分解ですぐに終わります。
九大では、頻出ではない単元からもこうした基本問題が出るので、どの範囲から出ても取れるよう、まんべんなく力をつけておきましょう。

差がつく所・失点しやすい所

  • (2) の場合分け: $b<a$ のときは解が $t=1$ だけになることを、書き落としやすい。
  • (3) の等号:もう1つの解が $t=1$ と重なる場合を除き、不等号を $<1$ とすべき所に等号をつけてしまいやすい。

2010年九州大学文系数学
第2問 解答・解説

第2問は確率・期待値の問題です。
テーマは「サイコロの目を見て振り直すかを決める競技で、期待値が最大になる決め方を求める」。

問題

2010年九州大学文系数学 第2問 問題
2010年九州大学文系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

次のような競技を考える。競技者がサイコロを振る。もし、出た目が気に入ればその目を得点とする。そうでなければ、もう1回サイコロを振って、2つの目の合計を得点とすることができる。ただし、合計が7以上になった場合は得点は0点とする。この取り決めによって、2回目を振ると得点が下がることもあることに注意しよう。次の問いに答えよ。

(1) 競技者が常にサイコロを2回振るとすると、得点の期待値はいくらか。

(2) 競技者が最初の目が6のときだけ2回目を振らないとすると、得点の期待値はいくらか。

(3) 得点の期待値を最大にするためには、競技者は最初の目がどの範囲にあるときに2回目を振るとよいか。

解答の方針

全体の着眼点

(1,2) と (2,1) を別の出方として数えると、36通りはどれも同じ確率になる。そこで1回目×2回目の6×6の表に得点を並べ、(1)〜(3) をすべてこの表の上で考える。

2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図

【(1)の方針】

着眼点

2回とも振るのだから、表のマスの数がそのまま得点になる。全マスの合計に $\dfrac{1}{36}$ を掛ければ期待値が出る。

  1. (1,2) と (2,1) を区別した36通りを6×6の表にし、各マスに2つの目の和を書く(7以上のマスは0点)。
  2. 行ごとの和を出し、それを全部足して表全体の和を求める。
  3. 全体の和に $\dfrac{1}{36}$ をかけて期待値とする。

【(2)の方針】

着眼点

(1) と違うのは最初の目が6のときだけ。6が出たら振らないので得点は6になる。表では1回目が6の行を、すべて6に置きかえるだけでよい。

2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. (1) の表で、1回目が6の行(もとはすべて0点)を6に置きかえる。
  2. 置きかえた後の表全体の和に $\dfrac{1}{36}$ を掛けて、期待値を求める。

【(3)の方針】

着眼点

振り直すかどうかは、最初の目が分かってから決められる。つまり最初の目ごとに「振る」「振らない」を自由に選べる。各目で期待値の大きいほうを選んでいけば、その積み重ねで全体の期待値が最大になる。

2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. 振るかどうかは最初の目ごとに別々に決められる(決め方は全部で $2^6=64$ 通り)。全体の期待値は、「最初の目が $k$ のときの期待値」の $\dfrac16$ 倍を $k=1,\ 2,\ \cdots,\ 6$ について足したもので、各項はその目の選択だけで決まる。したがって、各目で期待値の大きいほうを選ぶのが全体の最大につながる、と述べておく。
  2. 最初の目が $k$ のとき、振った場合の期待値 $E_k$ (表の $k$ 行目の和を6で割った値)と、振らない場合の得点 $k$ を比べる。両方を6倍し、行の和 $6E_k$ と $6k$ の大小を見る。
  3. $E_k>k$ をみたす $k$ の範囲を答える。

解答

2010年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

2回振るときの目の出方は、1回目・2回目あわせて $6^2=36$ 通りあり、どれも $\dfrac{1}{36}$ ずつの同じ確率である。常に2回振った場合の得点を、1回目を縦・2回目を横にした表にまとめる(合計が7以上のマスは0点)。

1回目が $k$ のとき、2回目を振った場合の得点の期待値を $E_k$ とおく。2回目の目はそれぞれ $\dfrac16$ の確率で出るので、 $E_k$ は表の $k$ 行目の和を6で割った値になる。行の和は上から順に $20,\ 18,\ 15,\ 11,\ 6,\ 0$ だから

$$E_1=\dfrac{10}{3},\quad E_2=3,\quad E_3=\dfrac52,\quad E_4=\dfrac{11}{6},\quad E_5=1,\quad E_6=0$$

(1) 配点 15点

つねに2回振る場合、得点は表のマスに書いた数で、各マスの確率は $\dfrac{1}{36}$ 。

表全体の和は

$$20+18+15+11+6+0=70$$

したがって期待値は

$$70\times\dfrac{1}{36}=\dfrac{35}{18}$$

答 $\dfrac{35}{18}$

別解(得点ごとに数える) 表のマスを数えると、得点が2、3、4、5、6となるマスは順に1、2、3、4、5個、0点のマスが21個。ゆえに期待値は

$$\dfrac{2\cdot1+3\cdot2+4\cdot3+5\cdot4+6\cdot5}{36}=\dfrac{70}{36}=\dfrac{35}{18}$$

(2) 配点 15点

最初の目が6なら2回目は振らず、得点は6で確定する。表では、1回目が6の行をすべて6に置きかえればよい(下の図の枠)。

置きかえた行の和は $6\times6=36$ なので、表全体の和は $70+36=106$ 。期待値は

$$106\times\dfrac{1}{36}=\dfrac{53}{18}$$

答 $\dfrac{53}{18}$

別解((1) からの増加分で考える) (1) と得点が変わるのは、最初の目が6のとき(確率 $\dfrac16$ )だけで、0点が6点になる。期待値の増加分は $\dfrac16\times6=1$ なので、 $\dfrac{35}{18}+1=\dfrac{53}{18}$ 。

(3) 配点 20点

振り直すかどうかは、最初の目を見てから選べる。つまり最初の目 $k$ ごとに、「振る」「振らない」を別々に決めてよい。最初の目が $k$ のときの期待値を $F_k$ と書くと、振らないなら $F_k=k$ 、振るなら $F_k=E_k$ であり、全体の期待値は

$$\dfrac16(F_1+F_2+F_3+F_4+F_5+F_6)$$

と書ける。各 $F_k$ はその目 $k$ での選択だけで決まり、他の目の選択には影響されない。だから、すべての $k$ について $F_k$ が大きくなる方を選べば、全体の期待値は最大になる。

そこで $k$ ごとに $E_k$ と $k$ の大小を調べる。両方を6倍して、表の行の和 $6E_k$ と $6k$ を比べると次のようになる。

・$k=1$ : $6E_1=20>6$  → 振るほうが得

・$k=2$ : $6E_2=18>12$  → 振るほうが得

・$k=3$ : $6E_3=15<18$  → 振らないほうが得

・$k=4,\ 5,\ 6$ : $6E_k=11,\ 6,\ 0$ は、順に $24,\ 30,\ 36$ を下回る → 振らないほうが得

以上より、2回目を振るのは最初の目が1か2の場合だけでよい。この決め方での期待値は

$$\dfrac{1}{36}(20+18+18+24+30+36)=\dfrac{146}{36}=\dfrac{73}{18}$$

答 最初の目が1または2のときに限り、2回目を振る

補足(「◯以上の目なら振らない」という型だけで比べる解き方) 「 $n$ 以上の目が出たら振らない」という形の決め方に限って、 $n=1,\ 2,\ \cdots$ と順に比べても、同じ答えに行きつく( $n=3$ で最大の $\dfrac{73}{18}$ )。ただし、これでは「3の目のときだけ振る」といった飛び飛びの決め方を除く根拠にならない。最初の目ごとに独立に選べると書いておけば、64通りすべての決め方のなかで最大だと言い切れる。

出題意図

全体:期待値は「値×確率」の和であるという基本を、36通りの表を使って正しく扱えるか。

(3) 最初の目が分かってから振り直しを決められる以上、最初の目ごとに「振る」「振らない」をそれぞれ独立に選べると読み取れるか。

講評

難易度標準
目標得点30点
目標時間25分

(1)(2) は6×6の表を書けば足し算だけで解けます。
最後の (3) が少し解きにくいので、標準としました。
ポイントは、最初の目ごとに「振る」「振らない」を別々に決められると捉えられるかどうかで、理由まで書き切るには時間がかかるため、書き切れなければ目ごとの比較の結果だけでも書いて部分点を拾いましょう。
サイコロを2回振る問題は、まず表を書く習慣をつけておくと安心です。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で、最初の目ごとに選択を分けて考えてよい理由を書けたか:「2回目を振るかは最初の目を見てから決められるので、目ごとに期待値の大きい方を選べばよい」と状況を言葉にしておく。ここが書けていないと大きく減点される。「ある目以上は振らない」型だけを比べると、答えが合っていても理由の説明で点を落としやすい。
  • (1)(2) で表を書かずに数える:合計が7以上で0点になる21通りを数え漏らして失点しやすい。まず6×6の表を作れば、0点のマスは一目で分かる。

2010年九州大学文系数学
第3問 解答・解説

第3問は図形と計量・図形の性質・三角関数・微分法(数学Ⅱ。3次方程式の解の個数)の問題です。
テーマは「上半円C上の2点M、N( $\mathrm{NM}=\mathrm{MB}$)とNから $x$ 軸への垂線の足Pについて、MB、Mの座標、PBを $\theta=\angle\mathrm{MAB}$ で表し、 $\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ となる点Mがただ一つであることを示す」。

問題

2010年九州大学文系数学 第3問 問題
2010年九州大学文系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

$xy$ 平面上に原点Oを中心とする半径1の円を描き、その上半分をCとし、その両端を $\mathrm{A}(-1,0)$、 $\mathrm{B}(1,0)$ とする。C上の2点M、Nを $\mathrm{NM}=\mathrm{MB}$ となるようにとる。ただし、 $\mathrm{N}\neq\mathrm{B}$ とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) $\angle\mathrm{MAB}=\theta$ とおくとき、弦の長さMBおよび点Mの座標を $\theta$ を用いて表せ。

(2) 点Nから $x$ 軸におろした垂線をNPとしたとき、PBを $\theta$ を用いて表せ。

(3) $t=\sin\theta$ とおく。条件 $\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ を $t$ を用いて表せ。

(4) $\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ となるような点Mがただ一つあることを示せ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

ABは直径で、 $\theta$ は円周角。「直径の円周角は $90^\circ$」「中心角は円周角の2倍」を使うと、半径1の円の上のMを中心角で置ける。

2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. ABは直径なので $\angle\mathrm{AMB}=90^\circ$。直角三角形AMBで $\mathrm{MB}=\mathrm{AB}\sin\theta=2\sin\theta$ と求める。
  2. 弧MBに対する中心角は円周角 $\angle\mathrm{MAB}$ の2倍なので $\angle\mathrm{MOB}=2\theta$。半径1なので $\mathrm{M}(\cos2\theta,\ \sin2\theta)$ と求める(Mは上半分にあり $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$)。

【(2)の方針】

着眼点

$\mathrm{NM}=\mathrm{MB}$ は「等しい弦には等しい中心角」と言いかえられる。Nの位置は中心角で決まり、NがC上にあるという条件が $\theta$ の範囲を決める。

2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. 弦NMと弦MBが等しいので $\angle\mathrm{NOM}=\angle\mathrm{MOB}=2\theta$。 $\mathrm{N}\neq\mathrm{B}$ より、Nは $x$ 軸の正の向きから $4\theta$ 回った点で、 $\mathrm{N}(\cos4\theta,\ \sin4\theta)$。
  2. NがC上にあるので $4\theta\leqq\pi$、すなわち $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ を書いておく。
  3. $\mathrm{P}(\cos4\theta,\ 0)$ なので $\mathrm{PB}=1-\cos4\theta$ と求める。

【(3)の方針】

着眼点

$1-\cos4\theta$ を倍角の公式で $\theta$ の式に直し、 $t=\sin\theta$ だけの式にそろえる。 $t$ と置いたら、範囲も書いておく。

  1. $\mathrm{PB}=1-\cos4\theta=2\sin^22\theta=8\sin^2\theta\cos^2\theta$ と変形する。
  2. $\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ を $2\sin\theta=8\sin^2\theta\cos^2\theta$ とし、 $\sin\theta>0$ で割って $4\sin\theta\cos^2\theta=1$ とする。
  3. $\cos^2\theta=1-t^2$ を代入して $4t^3-4t+1=0$ とし、 $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ から $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ を添える。

【(4)の方針】

着眼点

「点Mがただ一つ」は「 $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で $4t^3-4t+1=0$ の解がただ一つ」と言いかえられる。解の個数は、グラフと $t$ 軸の交点で数える。

2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2010年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. $t=\sin\theta$ は $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ で増加し、Mは $\theta$ で1つに決まる。よって示すことは「 $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で $4t^3-4t+1=0$ の解がただ一つ」と言いかえられる。
  2. $f(t)=4t^3-4t+1$ とおき、 $f'(t)=12t^2-4$ から $t=\dfrac{1}{\sqrt3}$ で極小。 $\dfrac{1}{\sqrt3}<\dfrac{1}{\sqrt2}$ なので、範囲の中で減少してから増加することを確かめる。
  3. $f(0)=1>0$、 $f\left(\dfrac{1}{\sqrt3}\right)=1-\dfrac{8\sqrt3}{9}<0$、 $f\left(\dfrac{1}{\sqrt2}\right)=1-\sqrt2<0$ を計算する。
  4. 減少する区間でちょうど1回 $t$ 軸と交わり、増加する区間では負のままなので、解はただ一つ。
  5. 解に対応する $\theta$ 、すなわち点Mもただ一つと結論する。

解答

2010年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
2010年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

ABは円の直径なので、直径の円周角より $\angle\mathrm{AMB}=90^\circ$。直角三角形AMBで $\mathrm{AB}=2$、 $\angle\mathrm{MAB}=\theta$ なので

$$\mathrm{MB}=\mathrm{AB}\sin\theta=2\sin\theta$$

また、弧MBに対する中心角は円周角の2倍なので $\angle\mathrm{MOB}=2\theta$。Oを中心とする半径1の円の上の点で、 $x$ 軸の正の向きから $2\theta$ 回った位置にあるので

$$\mathrm{M}(\cos2\theta,\ \sin2\theta)$$

(MはCの上で $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ と異なるので $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$)

答 $\mathrm{MB}=2\sin\theta$、 $\mathrm{M}(\cos2\theta,\ \sin2\theta)$

別解(Aから測る) 直角三角形AMBで $\mathrm{AM}=2\cos\theta$。MはAから角 $\theta$ の向きに $2\cos\theta$ 進んだ点なので

$$\mathrm{M}(-1+2\cos\theta\cdot\cos\theta,\ 2\cos\theta\cdot\sin\theta)=(2\cos^2\theta-1,\ 2\sin\theta\cos\theta)=(\cos2\theta,\ \sin2\theta)$$

(2) 配点 12点

弦NMと弦MBの長さが等しいので、対応する中心角も等しく $\angle\mathrm{NOM}=\angle\mathrm{MOB}=2\theta$。Mから中心角 $2\theta$ だけ離れたC上の点はBとNの2つで、 $\mathrm{N}\neq\mathrm{B}$ なので、NはMからさらに $2\theta$ 回った点である。よって

$$\mathrm{N}(\cos4\theta,\ \sin4\theta)$$

NはC上の点なので $0<4\theta\leqq\pi$、すなわち

$$0<\theta\leqq\frac{\pi}{4}$$

である( $\theta=\dfrac{\pi}{4}$ のときMは $(0,\ 1)$ で、NはAに一致する。 $\theta$ がこれより大きいとNはCからはみ出す)。

Nから $x$ 軸におろした垂線の足は $\mathrm{P}(\cos4\theta,\ 0)$ なので

$$\mathrm{PB}=1-\cos4\theta$$

答 $\mathrm{PB}=1-\cos4\theta$( $=2\sin^22\theta$)

別解(円周角で求める) 等しい弦NM、MBに対する円周角は等しいので $\angle\mathrm{NAM}=\angle\mathrm{MAB}=\theta$、よって $\angle\mathrm{NAB}=2\theta$。直角三角形ANB( $\angle\mathrm{ANB}=90^\circ$)で $\mathrm{AN}=2\cos2\theta$、直角三角形ANPで $\mathrm{AP}=\mathrm{AN}\cos2\theta=2\cos^22\theta$。よって $\mathrm{PB}=2-2\cos^22\theta=2\sin^22\theta$。

(3) 配点 10点

半角(倍角)の公式より

$$\mathrm{PB}=1-\cos4\theta=2\sin^22\theta=2(2\sin\theta\cos\theta)^2=8\sin^2\theta\cos^2\theta$$

$\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ は $2\sin\theta=8\sin^2\theta\cos^2\theta$。 $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ より $\sin\theta>0$ なので、両辺を $2\sin\theta$ で割って

$$4\sin\theta\cos^2\theta=1$$

$t=\sin\theta$ とおくと $\cos^2\theta=1-t^2$ なので $4t(1-t^2)=1$。また $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ より $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$。

答 $4t^3-4t+1=0$(ただし $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$)

(4) 配点 18点

$t=\sin\theta$ は $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ で増加するので、 $t$ と $\theta$ は1対1に対応する。また (1) よりMは $\theta$ で1つに決まり、異なる $\theta$ には異なるMが対応する( $2\theta$ は $0$ から $\dfrac{\pi}{2}$ の範囲で異なる)。よって、示すことは「 $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で $4t^3-4t+1=0$ の解がただ一つあること」である。

$f(t)=4t^3-4t+1$ とおくと $f'(t)=12t^2-4=4(\sqrt3t+1)(\sqrt3t-1)$。 $\dfrac{1}{\sqrt3}<\dfrac{1}{\sqrt2}$ なので、 $f(t)$ は $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt3}$ で減少し、 $\dfrac{1}{\sqrt3}\leqq t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で増加する。

$$f(0)=1>0,\qquad f\left(\frac{1}{\sqrt3}\right)=\frac{4}{3\sqrt3}-\frac{4}{\sqrt3}+1=1-\frac{8\sqrt3}{9}<0,\qquad f\left(\frac{1}{\sqrt2}\right)=\frac{2}{\sqrt2}-\frac{4}{\sqrt2}+1=1-\sqrt2<0$$

( $8\sqrt3=\sqrt{192}>\sqrt{81}=9$ より $\dfrac{8\sqrt3}{9}>1$)

$0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt3}$ では、 $f(t)$ は連続で減少し、 $f(0)>0$、 $f\left(\dfrac{1}{\sqrt3}\right)<0$ なので、 $f(t)=0$ となる $t$ がちょうど1つある(これを $t_0$ とする)。 $\dfrac{1}{\sqrt3}\leqq t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ では、増加するので $f(t)\leqq f\left(\dfrac{1}{\sqrt2}\right)<0$ で、解はない。

よって $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で $f(t)=0$ の解は $t_0$ ただ一つで、対応する $\theta$、すなわち点Mもただ一つある。(終)

補足(範囲を忘れるとどうなるか)  $0<t<1$ のまま考えると、 $f(1)=1>0$ なので $\dfrac{1}{\sqrt2}<t<1$ にもう1つ解( $t\fallingdotseq0.84$、上の図の白丸)が出てきて、「ただ一つ」が示せない。この解は $\theta>\dfrac{\pi}{4}$ に当たり、NがCの外に出てしまうので解にならない。(2) で $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ を押さえておくことが、(4) の決め手になる。なお、 $t_0\fallingdotseq0.270$、 $\theta\fallingdotseq15.6^\circ$ である。

出題意図

(1)(2) ABが直径であること・等しい弦には等しい中心角が対応することから、角を $\theta$、 $2\theta$、 $4\theta$ と読み取れるか。円の上の点を中心角で $(\cos,\ \sin)$ と表せるか。

(3) 倍角の公式で $\theta$ の式を $\sin\theta$ だけの式に直せるか。置き換えた $t$ の範囲(NがC上にある条件)まで書けるか。

(4) 3次方程式の解の個数を、決められた範囲の中でグラフを使って数えられるか(範囲を正しく押さえていないと、解が2つになってしまう)。

講評

難易度標準
目標得点50点
目標時間30分

(1)(2) は難しくありません。
(3) は $\mathrm{MB}=\mathrm{PB}$ から方程式を立て、(4) は $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$ の範囲の中に解がただ1つあることを示す問題です。
見た目は図形問題でも、円周角・中心角、倍角の公式、3次方程式の解の個数という典型の組み合わせなので、やや簡単寄りの標準としました。
目標時間の30分を使い切ってでも満点を取りたいところで、唯一差がつくのは、NがC上にある条件から $\theta$ の範囲を押さえられるかです。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (4):NがC上にある条件から $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{4}$( $0<t\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$)を押さえ、その範囲で解を数えるという発想に行き着けるか。範囲を忘れると解が2つ出てきて、示せなくなる。
  • 失点しやすい所:(2) で $\mathrm{NM}=\mathrm{MB}$ を中心角(または円周角)の言葉に直せず、Nの位置が決められない所。(4) で $t$ と $\theta$、 $\theta$ とMが1対1であることを書かない所。

2010年九州大学文系数学
第4問 解答・解説

第4問は数列・数学的帰納法の問題です。
テーマは「和 $\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k$、 $\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2$、 $\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^3$ を $n$ の多項式で表し、証明をつける(教科書レベルの公式の証明)」。

問題

2010年九州大学文系数学 第4問 問題
2010年九州大学文系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。答えだけでなく、必ず証明も記せ。

(1) 和 $1+2+\cdots+n$ を $n$ の多項式で表せ。

(2) 和 $1^2+2^2+\cdots+n^2$ を $n$ の多項式で表せ。

(3) 和 $1^3+2^3+\cdots+n^3$ を $n$ の多項式で表せ。

解答の方針

【全体の方針】

着眼点

「証明も記せ」は、和を $n$ の式で求め、それがすべての自然数 $n$ で成り立つことまで示せという意味。導き方は、隣り合う2項の差を作って足すか、答えを知っているなら数学的帰納法。

【(1)の方針】

着眼点

$1+2+\cdots+n$ は初項1、公差1の等差数列の和。等差数列の和は、端と端をペアにすると、どのペアの和も同じ $n+1$ になる。

  1. $S_1=1+2+\cdots+n$ と、逆順に並べた $S_1=n+(n-1)+\cdots+1$ を上下にそろえて書く。
  2. 上下を足すと、どの列も $n+1$ で、それが $n$ 個あるので $2S_1=n(n+1)$ 。
  3. $S_1=\dfrac12n(n+1)=\dfrac12n^2+\dfrac12n$ と答える。

【(2)の方針】

着眼点

和は隣り合う2項の差を作って足すと、間の項が消えて両端だけが残る。2乗の和なら、3次の積で差を作る。

  1. 恒等式 $(k+2)(k+1)k-(k+1)k(k-1)=3k^2+3k$ を確かめる。
  2. 両辺を $k=1,\ 2,\ \cdots,\ n$ について足す。左辺は書き出して、間の項が消え $(n+2)(n+1)n$ だけ残ることを示す。
  3. 右辺は $3\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2+3\sum_{k=1}^{n}k$ 。(1) の結果を代入する。
  4. $\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2$ について解き、 $n(n+1)$ でくくって $\dfrac16n(n+1)(2n+1)$ に整理する。

【(3)の方針】

着眼点

(2) と同じ考えで次数を1つ上げ、3乗の和なら4次の積で差を作る。足したあとは (1)(2) の結果が使える。

  1. 恒等式 $(k+3)(k+2)(k+1)k-(k+2)(k+1)k(k-1)=4k^3+12k^2+8k$ を確かめる。
  2. 両辺を $k=1$ から $n$ まで足す。左辺は間の項が消え $(n+3)(n+2)(n+1)n$ だけ残る。
  3. 右辺の $\displaystyle\sum k^2$、 $\displaystyle\sum k$ に (1)(2) の結果を代入する。
  4. $\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^3$ について解き、 $n(n+1)$ でくくって $\left\{\dfrac12n(n+1)\right\}^2$ に整理する。

解答

2010年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2010年九州大学文系数学 第4問 解答・解説(続き)
2010年九州大学文系数学 第4問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

以下、 $S_1=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k$、 $S_2=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^2$、 $S_3=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^3$ とおく( $n$ は自然数)。

(1) 配点 10点

$S_1$ を順に並べた式と、逆順に並べた式を上下にそろえて書く。

$$\begin{array}{rcl}S_1&=&1+2+\cdots+(n-1)+n\\S_1&=&n+(n-1)+\cdots+2+1\end{array}$$

上下を足すと、どの列の和も $n+1$ で、列は $n$ 個あるので

$$2S_1=(n+1)\times n$$

答 $1+2+\cdots+n=\dfrac12n(n+1)=\dfrac12n^2+\dfrac12n$

(確かめ: $n=1$ で左辺1、右辺 $\dfrac12\cdot1\cdot2=1$ 。 $n=4$ で左辺10、右辺 $\dfrac12\cdot4\cdot5=10$ )

別解(隣り合う2項の差)  $(k+1)k-k(k-1)=2k$ を $k=1$ から $n$ まで足すと、左辺は $(2\cdot1-1\cdot0)+(3\cdot2-2\cdot1)+\cdots+\left\{(n+1)n-n(n-1)\right\}$ で間の項が消え、 $(n+1)n$ だけが残る。よって $2S_1=n(n+1)$ 。(2)(3) と同じ考え方で示せる。

(2) 配点 20点

すべての整数 $k$ で

$$(k+2)(k+1)k-(k+1)k(k-1)=(k+1)k\left\{(k+2)-(k-1)\right\}=3k^2+3k$$

が成り立つ。左辺は、 $(k+1)k(k-1)$ の $k$ を $k+1$ にすると $(k+2)(k+1)k$ になる、隣り合う2項の差である。

この両辺を $k=1,\ 2,\ \cdots,\ n$ について足す。左辺を書き出すと

$$\begin{aligned}&(3\cdot2\cdot1-2\cdot1\cdot0)+(4\cdot3\cdot2-3\cdot2\cdot1)+(5\cdot4\cdot3-4\cdot3\cdot2)+\cdots\\&+\left\{(n+2)(n+1)n-(n+1)n(n-1)\right\}\end{aligned}$$

で、間の項が消え、最初の $-2\cdot1\cdot0=0$ と最後の $(n+2)(n+1)n$ だけが残る。よって

$$(n+2)(n+1)n=3S_2+3S_1$$

(1) より $S_1=\dfrac12n(n+1)$ なので

$$3S_2=n(n+1)(n+2)-\frac32n(n+1)=n(n+1)\left(n+2-\frac32\right)=\frac12n(n+1)(2n+1)$$

答 $1^2+2^2+\cdots+n^2=\dfrac16n(n+1)(2n+1)=\dfrac13n^3+\dfrac12n^2+\dfrac16n$

(確かめ: $n=1$ で右辺 $\dfrac16\cdot1\cdot2\cdot3=1$ 。 $n=3$ で左辺 $1+4+9=14$ 、右辺 $\dfrac16\cdot3\cdot4\cdot7=14$ )

別解( $(k+1)^3-k^3$ を使う)  $(k+1)^3-k^3=3k^2+3k+1$ を $k=1$ から $n$ まで足すと、左辺は間の項が消えて $(n+1)^3-1^3$ 。右辺は $3S_2+3S_1+n$ (1を $n$ 回足すので $n$ 。1にしない)。よって

$$3S_2=(n+1)^3-1-n-\frac32n(n+1)=(n+1)\left\{(n+1)^2-1-\frac32n\right\}=(n+1)\left(n^2+\frac12n\right)=\frac12n(n+1)(2n+1)$$

で、本解と同じ答えになる。教科書に載っているのはこの形が多い。

別解(数学的帰納法) 答えの式を知っているときは、「すべての自然数 $n$ で $S_2=\dfrac16n(n+1)(2n+1)$ …(☆) が成り立つ」という自然数の全称命題なので、帰納法で示せる。

(i) $n=1$ のとき、左辺1、右辺 $\dfrac16\cdot1\cdot2\cdot3=1$ で成り立つ。

(ii) $n=m$ ( $m\geqq1$ )で (☆) が成り立つと仮定する(使っていい式)。示す式は $1^2+\cdots+(m+1)^2=\dfrac16(m+1)(m+2)(2m+3)$ 。仮定を使うと

$$1^2+\cdots+m^2+(m+1)^2=\frac16m(m+1)(2m+1)+(m+1)^2=\frac16(m+1)\left(2m^2+7m+6\right)=\frac16(m+1)(m+2)(2m+3)$$

となり、 $n=m+1$ でも成り立つ。(i)(ii) より、すべての自然数 $n$ で (☆) は成り立つ。

この解き方は (1) を使わないので、(1) が書けなくても (2) を単独で示せる。ただし、答えの式を正しく覚えていることが前提になる。

(3) 配点 20点

すべての整数 $k$ で

$$\begin{aligned}&(k+3)(k+2)(k+1)k-(k+2)(k+1)k(k-1)\\&=(k+2)(k+1)k\\&\quad\times\left\{(k+3)-(k-1)\right\}\\&=4k(k+1)(k+2)\\&=4k^3+12k^2+8k\end{aligned}$$

が成り立つ。左辺は、 $(k+2)(k+1)k(k-1)$ の $k$ を $k+1$ にすると $(k+3)(k+2)(k+1)k$ になる、隣り合う2項の差である。

この両辺を $k=1$ から $n$ まで足す。左辺を書き出すと

$$\begin{aligned}&(4\cdot3\cdot2\cdot1-3\cdot2\cdot1\cdot0)+(5\cdot4\cdot3\cdot2-4\cdot3\cdot2\cdot1)+\cdots\\&+\left\{(n+3)(n+2)(n+1)n-(n+2)(n+1)n(n-1)\right\}\end{aligned}$$

で、間の項が消え、 $(n+3)(n+2)(n+1)n$ だけが残る。よって

$$n(n+1)(n+2)(n+3)=4S_3+12S_2+8S_1$$

(1)(2) の結果を代入すると $12S_2=2n(n+1)(2n+1)$ 、 $8S_1=4n(n+1)$ なので

$$\begin{aligned}4S_3&=n(n+1)(n+2)(n+3)-2n(n+1)(2n+1)-4n(n+1)\\&=n(n+1)\\&\quad\times\left\{(n^2+5n+6)-(4n+2)-4\right\}\\&=n(n+1)\left(n^2+n\right)=n^2(n+1)^2\end{aligned}$$

答 $1^3+2^3+\cdots+n^3=\left\{\dfrac12n(n+1)\right\}^2=\dfrac14n^4+\dfrac12n^3+\dfrac14n^2$

(確かめ: $n=1$ で右辺 $\left(\dfrac12\cdot1\cdot2\right)^2=1$ 。 $n=3$ で左辺 $1+8+27=36$ 、右辺 $\left(\dfrac12\cdot3\cdot4\right)^2=36$ 。3乗の和は、(1) の1乗の和の2乗になっている)

別解( $(k+1)^4-k^4$ を使う)  $(k+1)^4-k^4=4k^3+6k^2+4k+1$ を $k=1$ から $n$ まで足すと、左辺は $(n+1)^4-1$ 、右辺は $4S_3+6S_2+4S_1+n$ 。(1)(2) を代入して

$$4S_3=(n+1)^4-(n+1)-n(n+1)(2n+1)-2n(n+1)=(n+1)\left(n^3+n^2\right)=n^2(n+1)^2$$

で、本解と同じ答えになる。

別解(数学的帰納法) すべての自然数 $n$ で $S_3=\left\{\dfrac12n(n+1)\right\}^2$ …(★) を示す。(i) $n=1$ のとき、左辺1、右辺1で成り立つ。(ii) $n=m$ ( $m\geqq1$ )で (★) が成り立つと仮定すると

$$1^3+\cdots+m^3+(m+1)^3=\frac14m^2(m+1)^2+(m+1)^3=\frac14(m+1)^2\left(m^2+4m+4\right)=\left\{\frac12(m+1)(m+2)\right\}^2$$

となり、 $n=m+1$ でも成り立つ。(i)(ii) より、すべての自然数 $n$ で (★) は成り立つ。(1)(2) を使わないので、前の小問が書けなくても (3) を単独で示せる。

出題意図

全体:教科書に載っている和の公式を、丸暗記ではなく自分の手で導けるか。答えを書くだけでは点にならず、「すべての自然数 $n$ で成り立つ」ことを証明として書き切れるかを見る。

(1) 等差数列の和を、端と端をペアにする(逆順に並べて足す)方法で正確に示せるか。

(2) 隣り合う2項の差を作って和をとり、間の項が消える形に持ちこめるか。(1) の結果を使って $\displaystyle\sum k^2$ を求めることができるか。

(3) (2) と同じ考え方を1つ次数を上げて使えるか。(1)(2) の結果を使って計算を最後まで整理できるか。

講評

難易度簡単
目標得点50点
目標時間20分

簡単な問題で、20分で50点を取りたいところです。
Σの和の公式を、証明つきで導けるかを問う典型問題で、授業でも扱っています。
隣り合う2項の差を作って足す方法でも、答えを知っているなら数学的帰納法でもかまいません。
公式は証明とセットで覚え、何も見ずに自分の手で書けるまで練習しておきましょう。

差がつく所・失点しやすい所

  • 何を示せばよいかへの言いかえ:「証明も記せ」を「すべての自然数 $n$ で成り立つことを示す」と読み、隣り合う2項の差を作って足す(または答えを予想して帰納法)という発想に行き着けるか。公式を書くだけでは点にならない。
  • (3) の整理で失点しやすい: $n(n+1)$ でくくらずに展開すると4次式の計算が重くなり、計算ミスが出やすい。 $n=1,\ 2$ を代入して確かめる。
  • 定数の和の書き落とし: $(k+1)^3-k^3$ の形で解くと、1を $n$ 回足した $n$ を1と書きやすい。

2010年九州大学・文系数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問簡単50点
第2問標準30点
第3問標準50点
第4問簡単50点
全体やや簡単160点

大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと180点になりますが、全体の目標点は160点です。

全体として解きやすい年です。
第1問の余弦定理は基本問題、第4問のΣの公式の証明は教科書レベルなので、どちらも確実に満点を取りましょう。
第2問は6×6の表を書いて (1)(2) を取り、(3) は部分点を拾えれば十分です。
第3問は図形の問題に見えても、円周角・倍角の公式・3次方程式の解の個数という典型の組み合わせなので、満点を狙えます。
目標点は160点です。

解く流れ

  • 第1問→第4問→第2問→第3問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
  • 目標時間の合計は90分(第1問15分・第2問25分・第3問30分・第4問20分)。残りの30分は見直しと予備。

2010年九州大学・文系数学に
関するよくある質問

2010年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2010年の九州大学・文系数学は難しかった?

やや簡単な年でした。
第1問と第4問は簡単、第2問は標準、第3問はやや簡単寄りの標準です。
第1問は余弦定理を使うだけの基本問題、第4問は教科書に載っているΣの公式の証明そのもので、確実に満点を取りたい問題でした。
第2問 (3) の「最初の目ごとに選べる」という捉え方と、第3問 (4) の θ の範囲を押さえた解の個数の数え方が、やや手ごたえのある所でした。

2010年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?

目標点は160点です(200点満点)。

2010年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?

第1問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の3つです。

  • 第2問 (3):振るかどうかを最初の目ごとに別々に選べると捉え、目ごとに期待値の大きい方を選べば全体も最大になる、と理由まで書けたか。(1)(2) は6×6の表で確実に取れます。
  • 第3問 (4):NがC上にある条件から θ の範囲を押さえ、その範囲の中で3次方程式の解がただ1つであることを示せたか。範囲を忘れると解が2つ出て、示せなくなります。
  • 第4問:「証明も記せ」を「すべての自然数 n で成り立つことを示す」と読み、隣り合う2項の差(または数学的帰納法)で書き切れたか。公式を書くだけでは点になりません。
2010年の九州大学・文系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:図形と計量・2次方程式
  • 第2問:確率・期待値
  • 第3問:図形と計量・図形の性質・三角関数・微分法(数学Ⅱ。3次方程式の解の個数)
  • 第4問:数列・数学的帰納法

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