【解説・採点基準付き】2014年九州大学文系数学の解答・解説

2014年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2014年九州大学文系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は図形と方程式・2次関数・積分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「2本の直線 $y=\pm1$ と2点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$ からの距離の条件をみたす点の集合(2つの放物線ではさまれた部分)が存在する条件と、その面積」。

問題

2014年九州大学文系数学 第1問 問題
2014年九州大学文系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面上の直線 $y=-1$ を $l_1$、直線 $y=1$ を $l_2$ とし、 $x$ 軸上の2点 $\mathrm{O}(0,0)$、 $\mathrm{A}(a,0)$ を考える。点 $\mathrm{P}(x,y)$ について、次の条件を考える。

$$d(\mathrm{P},l_1)\geqq\mathrm{PO}\quad\text{かつ}\quad d(\mathrm{P},l_2)\geqq\mathrm{PA}\quad\cdots\cdots①$$

ただし、 $d(\mathrm{P},l)$ は点Pと直線 $l$ の距離である。

(1) 条件①を満たす点Pが存在するような $a$ の値の範囲を求めよ。

(2) 条件①を満たす点P全体がなす図形の面積 $S$ を $a$ を用いて表せ。ただし、 $a$ の値は(1)で求めた範囲にあるとする。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

動くのは点 $\mathrm{P}$ の $x$ と $y$ の2つ。 $x$ を固定して $y$ の範囲を考える1文字固定法で、存在条件を2段階で言いかえる。

2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $d(\mathrm{P},l_1)=|y+1|$、 $d(\mathrm{P},l_2)=|y-1|$、 $\mathrm{PO}=\sqrt{x^2+y^2}$、 $\mathrm{PA}=\sqrt{(x-a)^2+y^2}$ と式で表す。
  2. どちらの不等式も両辺が0以上なので2乗してよい。2乗して整理し、条件①を $\dfrac{x^2-1}{2}\leqq y\leqq\dfrac{1-(x-a)^2}{2}$ と言いかえる。
  3. $x$ を固定すると、この $y$ が存在する条件は「下の端 $\leqq$ 上の端」、すなわち $2x^2-2ax+a^2-2\leqq0$ である。
  4. 点 $\mathrm{P}$ が存在する条件は、この2次不等式をみたす実数 $x$ が存在すること。「ある $x$ で成り立つ」なので、左辺の最小値が0以下と言いかえ、平方完成して $a$ の範囲を求める(判別式 $\dfrac{D}{4}\geqq0$ でもよい)。

【(2)の方針】

着眼点

面積に要るのは交点の $x$ 座標と2次の係数だけ。「上 $-$ 下」は (1) の2次式の定数倍になっている。

2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $-2<a<2$ のとき、 $2x^2-2ax+a^2-2=0$ の2つの解を $\alpha<\beta$ とし、 $\alpha\leqq x\leqq\beta$ の範囲で上の放物線と下の放物線を確かめる。
  2. $S=\displaystyle\int_\alpha^\beta\{(\text{上})-(\text{下})\}\,dx$ と書き、被積分関数が (1) の2次式の $-\dfrac12$ 倍であることから $-(x-\alpha)(x-\beta)$ と因数分解して、 $\dfrac16$ 公式で $S=\dfrac16(\beta-\alpha)^3$ とする。
  3. 2次方程式を解の公式で解いて辺々引き、 $\beta-\alpha=\sqrt{4-a^2}$ を求めて代入する。
  4. $a=\pm2$ のときは図形が1点で $S=0$ となり、求めた式にも合うことを確かめる。

解答

2014年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
2014年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
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(1) 配点 20点

$l_1:y=-1$、 $l_2:y=1$ なので

$$d(\mathrm{P},l_1)=|y+1|,\quad d(\mathrm{P},l_2)=|y-1|,\quad \mathrm{PO}=\sqrt{x^2+y^2},\quad \mathrm{PA}=\sqrt{(x-a)^2+y^2}$$

$d(\mathrm{P},l_1)\geqq\mathrm{PO}$ は両辺とも0以上なので、2乗しても同値である。

$$(y+1)^2\geqq x^2+y^2\iff 2y+1\geqq x^2\iff y\geqq\dfrac{x^2-1}{2}$$

同じく $d(\mathrm{P},l_2)\geqq\mathrm{PA}$ も両辺とも0以上なので

$$(y-1)^2\geqq(x-a)^2+y^2\iff 1-2y\geqq(x-a)^2\iff y\leqq\dfrac{1-(x-a)^2}{2}$$

よって、条件①は

$$\dfrac{x^2-1}{2}\leqq y\leqq\dfrac{1-(x-a)^2}{2}\quad\cdots②$$

と同じである。

$x$ を固定して考える。②をみたす $y$ が存在するのは、下の端が上の端以下のとき、すなわち

$$\dfrac{x^2-1}{2}\leqq\dfrac{1-(x-a)^2}{2}\iff 2x^2-2ax+a^2-2\leqq0\quad\cdots③$$

のときである。

したがって、条件①をみたす点 $\mathrm{P}$ が存在するのは、③をみたす実数 $x$ が存在するときである。

③の左辺を $f(x)$ とおく。「ある $x$ で $f(x)\leqq0$」は「 $f(x)$ の最小値が0以下」と同じである。

$$f(x)=2x^2-2ax+a^2-2=2\left(x-\dfrac{a}{2}\right)^2+\dfrac{a^2}{2}-2$$

より、 $f(x)$ は $x=\dfrac{a}{2}$ で最小値 $\dfrac{a^2-4}{2}$ をとる。よって、求める条件は

$$\dfrac{a^2-4}{2}\leqq0\iff a^2\leqq4\iff -2\leqq a\leqq2$$

(③の左辺は2次の係数が正の2次式なので、判別式 $\dfrac{D}{4}=a^2-2(a^2-2)=4-a^2\geqq0$ としても同じ条件になる。)

$a=\pm2$ のとき、③をみたす $x$ は $x=\dfrac{a}{2}=\pm1$ だけで、②から $y=0$。条件①をみたす点は $(\pm1,\ 0)$ の1点だけになる(2つの放物線が接する)。

答 $-2\leqq a\leqq2$

別解(図形的な見方)  $\mathrm{PO}\geqq|y|$ なので、 $d(\mathrm{P},l_1)\geqq\mathrm{PO}$ から $|y+1|\geqq|y|$、すなわち $y\geqq-\dfrac12$。同じく $d(\mathrm{P},l_2)\geqq\mathrm{PA}\geqq|y|$ から $y\leqq\dfrac12$。よって点 $\mathrm{P}$ は $l_1$ と $l_2$ の間にあり、 $d(\mathrm{P},l_1)+d(\mathrm{P},l_2)=(y+1)+(1-y)=2$ となる。①の2つの不等式を足すと

$$\mathrm{PO}+\mathrm{PA}\leqq2$$

三角形の不等式より $\mathrm{PO}+\mathrm{PA}\geqq\mathrm{OA}=|a|$ なので、 $|a|\leqq2$ が必要である。逆に $|a|\leqq2$ のとき、線分 $\mathrm{OA}$ の中点 $\mathrm{M}\left(\dfrac{a}{2},\ 0\right)$ は $d(\mathrm{M},l_1)=d(\mathrm{M},l_2)=1$、 $\mathrm{MO}=\mathrm{MA}=\dfrac{|a|}{2}\leqq1$ で①をみたす。よって $-2\leqq a\leqq2$ で、本解と一致する。

(2) 配点 30点

$a=\pm2$ のとき、(1) より図形は1点なので $S=0$ である。以下 $-2<a<2$ とする。

③の等号の2次方程式 $2x^2-2ax+a^2-2=0$ は、 $\dfrac{D}{4}=4-a^2>0$ より異なる2つの実数解をもつ。それを $\alpha$、 $\beta$( $\alpha<\beta$ )とすると

$$2x^2-2ax+a^2-2=2(x-\alpha)(x-\beta)$$

$\alpha\leqq x\leqq\beta$ ではこれが0以下なので、放物線 $y=\dfrac{1-(x-a)^2}{2}$ が上、放物線 $y=\dfrac{x^2-1}{2}$ が下にあり、条件①をみたす点全体は、この2つの放物線で囲まれた部分(境界を含む)である。

上 $-$ 下は

$$\dfrac{1-(x-a)^2}{2}-\dfrac{x^2-1}{2}=-\dfrac{2x^2-2ax+a^2-2}{2}=-(x-\alpha)(x-\beta)$$

なので

$$S=\int_\alpha^\beta\left\{\dfrac{1-(x-a)^2}{2}-\dfrac{x^2-1}{2}\right\}dx=\int_\alpha^\beta\{-(x-\alpha)(x-\beta)\}\,dx=\dfrac16(\beta-\alpha)^3$$

$2x^2-2ax+a^2-2=0$ を解の公式で解くと

$$x=\dfrac{a\pm\sqrt{4-a^2}}{2}$$

なので、辺々引いて

$$\beta-\alpha=\sqrt{4-a^2}$$

よって

$$S=\dfrac16\left(\sqrt{4-a^2}\right)^3=\dfrac{(4-a^2)\sqrt{4-a^2}}{6}$$

$a=\pm2$ のときもこの式は $0$ になり、上の $S=0$ と合う。

答 $S=\dfrac{(4-a^2)\sqrt{4-a^2}}{6}$

検算  $a=0$ のとき、2つの放物線は $y=\dfrac{x^2-1}{2}$ と $y=\dfrac{1-x^2}{2}$ で、 $x=\pm1$ で交わる。上 $-$ 下 $=1-x^2$ なので $S=\displaystyle\int_{-1}^{1}(1-x^2)\,dx=\dfrac43$。式に $a=0$ を入れると $\dfrac{4\cdot2}{6}=\dfrac43$ で一致する。

出題意図

(1) 距離の条件を式に直して2つの放物線ではさまれた範囲と捉え、「 $x$ を固定したときに $y$ が存在する条件」→「そのような $x$ が存在する条件」と、存在条件を2段階に言いかえることができるか。

(2) 2つの放物線で囲まれた図形の面積を、 $\dfrac16$ 公式で求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)。

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間30分

見慣れない形だが、定義自体は難しくない。
点と直線の距離を $d$ と定義しているだけなので、(1) は普通に立式して2乗し、不等式でつなげばよい。
立式したあと、条件をみたす $y$ が存在することを言いかえられるかがポイントで、ここさえ整理できれば、(2) は (1) の2次式を使って $\dfrac16$ 公式で計算するだけ。
やや簡単とし、50点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (1):点 $\mathrm{P}$ の $x$ と $y$ の両方が動くことを整理し、「 $x$ を固定して $y$ が存在する条件」→「そのような $x$ が存在する条件」と2段階で言いかえるという発想に行き着けるか。
  • 失点しやすい所:距離の不等式を2乗するときに両辺が0以上であることを断らない所と、(2) で上 $-$ 下の2次の係数を $-1$ ではなく $-2$ のまま $\dfrac16$ 公式に入れてしまう所。

2014年九州大学文系数学
第2問 解答・解説

第2問は整数の問題です。
テーマは「$a^2+b^2=3c^2$ をみたす自然数が存在しないことの証明」。

問題

2014年九州大学文系数学 第2問 問題
2014年九州大学文系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。

(1) 任意の自然数 $a$ に対し、 $a^2$ を3で割った余りは0か1であることを証明せよ。

(2) 自然数 $a,b,c$ が $a^2+b^2=3c^2$ を満たすと仮定すると、 $a,b,c$ はすべて3で割り切れなければならないことを証明せよ。

(3) $a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数 $a,b,c$ は存在しないことを証明せよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

問われているのは3で割った余りなので、 $a$ を余りで分類する。

2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. 自然数 $a$ を $3k$、 $3k+1$、 $3k+2$( $k$ は0以上の整数)の3通りに分ける。
  2. それぞれ $a^2$ を「3の倍数+余り」の形に直し、余りが0か1であることを確かめる。表にすると、平方数が3で割り切れるのは元の数が3の倍数のときに限ることも読み取れる。

【(2)の方針】

着眼点

平方数の余りは0か1だけなので、余りの組み合わせを全部並べて表にする。

2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. (1) の結果から、 $a^2$、 $b^2$ の余りの組み合わせ4通りを表に並べ、和が3の倍数になる場合を探す。
  2. 余りがともに0の場合だけだと分かるので、 $a$、 $b$ は3の倍数になる。
  3. $a=3a_1$、 $b=3b_1$ を等式に代入し、 $c^2=3(a_1^2+b_1^2)$ から $c$ も3の倍数と結論する。

【(3)の方針】

着眼点

「存在しない」は背理法。(2) が何度も使えることから、最小の解をとって矛盾させる(無限降下法)。

2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. 解があるものと仮定する。そのうち $c$ がもっとも小さい解を $(a,b,c)$ とおく。
  2. (2) より $a=3a_1$、 $b=3b_1$、 $c=3c_1$ とおき、代入して $a_1^2+b_1^2=3c_1^2$ を得る。
  3. $(a_1,b_1,c_1)$ も解で $c_1=\dfrac c3<c$ となり、最小性に反する。よって解は存在しない。

解答

2014年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2014年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

0以上の整数 $k$ を使うと、自然数 $a$ は $3k$、 $3k+1$、 $3k+2$ のどれかの形に書ける。

$a=3k$ のとき $a^2=9k^2=3\cdot3k^2$

$a=3k+1$ のとき $a^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1$

$a=3k+2$ のとき $a^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)+1$

どの場合も、 $a^2$ を3で割った余りは0か1になる。(証明終)

あわせて、余りが0になるのは $a$ が3の倍数のときだけ、ということも分かる。

(2) 配点 20点

等式 $a^2+b^2=3c^2$ の右辺は3の倍数なので、左辺の $a^2+b^2$ も3で割り切れる。(1) により $a^2$、 $b^2$ の余りはどちらも0か1なので、和を3で割った余りは次の表のようになる。

和が3で割り切れるのは、 $a^2$ も $b^2$ も3で割り切れる場合に限る。(1) の結果から、平方数が3で割り切れるのは元の数が3の倍数のときに限るので、 $a$ と $b$ はどちらも3の倍数となる。

$a=3a_1$、 $b=3b_1$( $a_1,b_1$ は自然数)とおいて代入すると

$$9a_1^2+9b_1^2=3c^2\iff c^2=3(a_1^2+b_1^2)$$

$c^2$ が3の倍数だから、(1) により $c$ も3の倍数になる。以上から、3つの数 $a,b,c$ はどれも3の倍数である。(証明終)

(3) 配点 20点

$a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数の組が存在するとして、そのうち $c$ がもっとも小さいものを $(a,b,c)$ とする(自然数の集まりには最小の数がある)。

(2) の結論から $a,b,c$ はいずれも3の倍数となるので、 $a=3a_1$、 $b=3b_1$、 $c=3c_1$( $a_1,b_1,c_1$ は自然数)と書ける。これを代入すると

$$9a_1^2+9b_1^2=27c_1^2\iff a_1^2+b_1^2=3c_1^2$$

つまり $(a_1,b_1,c_1)$ も同じ等式を満たす自然数の組である。しかし $c_1=\dfrac c3<c$ なので、 $c$ が最小であったことと食い違う。

よって、 $a^2+b^2=3c^2$ を満たす自然数 $a,b,c$ は存在しない。(証明終)

別解( $3^n$ をくくり出す) 解 $(a,b,c)$ があるとする。 $3^n$ が $c$ の約数なら $3^n\leqq c$ だから、 $a,b,c$ をまとめて割り切る3の累乗のうち、最大のものが存在する。その累乗を $3^n$( $n\geqq0$)と書き、 $a=3^nA$、 $b=3^nB$、 $c=3^nC$ とおく。 $A,B,C$ は自然数で、 3で割り切れないものが少なくとも1つはある(3つとも割り切れるなら $3^{n+1}$ のほうが大きい公約数になってしまう)。代入して両辺を $9^n$ で割ると $A^2+B^2=3C^2$ で、 $(A,B,C)$ も解になる。(2) から $A,B,C$ はすべて3の倍数となり、先の事実と矛盾する。本解は最小の $c$ を、この別解は最大の $3^n$ を選ぶ違いがあるだけで、どちらも (2) を1度使えば矛盾に行き着く。

出題意図

(1) 整数を3で割った余りで分類し、平方数の余りが0か1に限られることを確かめられるか。

(2) (1) の結果を足がかりに余りの組み合わせを絞り込み、3つの数がすべて3の倍数になると言い切れるか。

(3) (2) の操作が何度でも使えることに気づき、最小の解をとって矛盾を導く無限降下法を、答案として書き切れるか。

講評

難易度標準
目標得点30点
目標時間25分

(1)(2) は余りの表を作れば解ける典型で、ここで30点ほど確保する方針でよい。
(3) の無限降下法は文系の受験生には見慣れない議論で、やや難しいが、本番で最後まで書き切れなくても心配はいらない。
大事なのは、周りの受験生が解ける問題を確実に取ること。
無限降下法の書き方は、過去問の演習で身につけておこう。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で、 $c$ が最小の解を先に決めてから矛盾を導けるか:「3で何回でも割れるから矛盾」とだけ書くと、どこが矛盾なのかが答案に出ず、大きく減点される。最小の解を先に決め、3で割った組がもっと小さい解になることを示す。
  • (2) の根拠を一言添える:「 $a^2$ が3の倍数ならば $a$ も3の倍数」を使うときは、(1) の結果か、3が素数であることを書き添える。
  • (2) で $c$ まで言い切る: $a,\ b$ だけ示して終わりにすると失点する。 $c$ も3の倍数だと結論するところまでが答案。

2014年九州大学文系数学
第3問 解答・解説

第3問は図形と計量・図形の性質・平面ベクトル・三角関数の問題です。
テーマは「鋭角三角形ABCの頂点Aと外心Oから辺BCに下ろした垂線の長さを $R$ と角で表し、重心Gと外心Oが一致すれば正三角形、OGがBCと平行なら $\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$、 $\tan B\tan C=3$ となることを示す」。

問題

2014年九州大学文系数学 第3問 問題
2014年九州大学文系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

鋭角三角形 $\triangle\mathrm{ABC}$ について、 $\angle\mathrm{A}$、 $\angle\mathrm{B}$、 $\angle\mathrm{C}$ の大きさを、それぞれ $A,B,C$ とする。 $\triangle\mathrm{ABC}$ の重心をG、外心をOとし、外接円の半径を $R$ とする。

(1) AとOから辺BCに下ろした垂線を、それぞれAD、OEとする。このとき、

$$\mathrm{AD}=2R\sin B\sin C,\quad \mathrm{OE}=R\cos A$$

を証明せよ。

(2) GとOが一致するならば $\triangle\mathrm{ABC}$ は正三角形であることを証明せよ。

(3) $\triangle\mathrm{ABC}$ が正三角形でないとし、さらにOGがBCと平行であるとする。このとき、

$$\mathrm{AD}=3\mathrm{OE},\quad \tan B\tan C=3$$

を証明せよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

ADもOEも直角三角形の1辺なので三角比で表す。外接円の半径が絡む長さは、正弦定理と中心角を使う。

2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. 直角三角形ABDで $\mathrm{AD}=\mathrm{AB}\sin B$ と表す。
  2. △ABCで正弦定理を使い、 $\mathrm{AB}=2R\sin C$ を代入する。
  3. 鋭角三角形なので、Oは三角形の内部にあり、中心角は円周角の2倍で $\angle\mathrm{BOC}=2A$。
  4. $\mathrm{OB}=\mathrm{OC}$ から、Eは辺BCの中点で $\angle\mathrm{BOE}=\angle\mathrm{COE}=A$。
  5. 直角三角形OBEで $\mathrm{OE}=\mathrm{OB}\cos A=R\cos A$ とする。

【(2)の方針】

着眼点

外心を始点にとると、半径が等しいことと重心の式だけで「GとOが一致」を式に言いかえられる。

2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. Oを始点として $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec c$ とおき、 $|\vec a|=|\vec b|=|\vec c|=R$ を書く。
  2. 重心の位置ベクトルは $\overrightarrow{\mathrm{OG}}=\dfrac{\vec a+\vec b+\vec c}{3}$ なので、GとOが一致することは $\vec a+\vec b+\vec c=\vec0$ と同じ。
  3. $\vec a+\vec b=-\vec c$ と1つを移項して2乗し、 $\vec a\cdot\vec b=-\dfrac{R^2}{2}$ を求める。 $\vec b\cdot\vec c$、 $\vec c\cdot\vec a$ も同じ値になる。
  4. $\mathrm{AB}^2=|\vec b-\vec a|^2$ などを計算し、3辺がすべて $\sqrt3R$ になることを示す。

【(3)の方針】

着眼点

「OGがBCと平行」は「OとGのBCからの距離が等しい」と言いかえる。

2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第3問 解答の方針の図
  1. (2) の対偶より、 $\triangle\mathrm{ABC}$ が正三角形でなければ $\mathrm{G}\neq\mathrm{O}$。
  2. (1) よりEは辺BCの中点なので、AEは中線で、GはAEを $2:1$ に内分する。Gから辺BCに下ろした垂線をGHとし、 $\mathrm{GH}=\dfrac13\mathrm{AD}$ を示す。
  3. $\mathrm{OG}\parallel\mathrm{BC}$ なので $\mathrm{OE}=\mathrm{GH}$。よって $\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$。
  4. (1) の2式を代入して $2R\sin B\sin C=3R\cos A$。
  5. $A=\pi-(B+C)$ より $\cos A=-\cos(B+C)=\sin B\sin C-\cos B\cos C$ を代入して、 $\sin B\sin C=3\cos B\cos C$ にする。
  6. $B$、 $C$ は鋭角なので $\cos B\cos C>0$。両辺を割って $\tan B\tan C=3$ とする。

解答

2014年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2014年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2014年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
2014年九州大学文系数学 第3問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$\triangle\mathrm{ABC}$ は鋭角三角形なので、Aから辺BCに下ろした垂線の足Dは辺BC上(B、Cとは異なる点)にあり、 $\angle\mathrm{ABD}=B$ である。直角三角形ABDで

$$\mathrm{AD}=\mathrm{AB}\sin B$$

また、△ABCで正弦定理より $\dfrac{\mathrm{AB}}{\sin C}=2R$ なので $\mathrm{AB}=2R\sin C$。よって

$$\mathrm{AD}=2R\sin B\sin C$$

次にOEを求める。 $\triangle\mathrm{ABC}$ は鋭角三角形なので、外心Oは三角形の内部にあり、OとAは直線BCについて同じ側にある。弧BC(Aを含まない方)に対する中心角は円周角の2倍なので

$$\angle\mathrm{BOC}=2A$$

$\mathrm{OB}=\mathrm{OC}=R$ なので、△OBCは二等辺三角形で、頂点Oから底辺BCに下ろした垂線OEは、底辺BCを二等分し、頂角 $\angle\mathrm{BOC}$ も二等分する(直角三角形OBEとOCEは、斜辺と他の1辺が等しいので合同)。よってEは辺BCの中点で

$$\angle\mathrm{BOE}=\frac12\angle\mathrm{BOC}=A$$

直角三角形OBEで $\mathrm{OB}=R$ なので

$$\mathrm{OE}=\mathrm{OB}\cos\angle\mathrm{BOE}=R\cos A$$

(証明終)

(確かめ: $\mathrm{B}\left(-\dfrac32,\ 0\right)$、 $\mathrm{C}\left(\dfrac92,\ 0\right)$、 $\mathrm{A}\left(0,\ \dfrac92\right)$ のとき、 $\tan B=3$、 $\tan C=1$ で鋭角三角形。外心は $\mathrm{O}\left(\dfrac32,\ \dfrac32\right)$、 $R=\mathrm{OB}=\dfrac{3\sqrt5}{2}$。 $\sin B=\dfrac{3}{\sqrt{10}}$、 $\sin C=\dfrac{1}{\sqrt2}$ より $2R\sin B\sin C=\dfrac92=\mathrm{AD}$。 $\cos A=\sin B\sin C-\cos B\cos C=\dfrac{3}{\sqrt{20}}-\dfrac{1}{\sqrt{20}}=\dfrac{1}{\sqrt5}$ より $R\cos A=\dfrac32=\mathrm{OE}$ で一致する)

別解(OEを三平方の定理で求める) Eは辺BCの中点なので $\mathrm{BE}=\dfrac12\mathrm{BC}$。△ABCで正弦定理より $\mathrm{BC}=2R\sin A$ なので $\mathrm{BE}=R\sin A$。直角三角形OBEで三平方の定理より

$$\mathrm{OE}=\sqrt{R^2-R^2\sin^2A}=R\sqrt{\cos^2A}=R\cos A$$

最後は、 $A$ が鋭角で $\cos A>0$ であることを使う。

(2) 配点 10点

外心Oを始点として、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec c$ とおく。Oは外接円の中心なので

$$|\vec a|=|\vec b|=|\vec c|=R$$

重心Gの位置ベクトルは $\overrightarrow{\mathrm{OG}}=\dfrac{\vec a+\vec b+\vec c}{3}$ なので、GとOが一致するとき

$$\vec a+\vec b+\vec c=\vec0$$

$\vec a+\vec b=-\vec c$ の両辺の大きさを2乗すると

$$|\vec a|^2+2\vec a\cdot\vec b+|\vec b|^2=|\vec c|^2\qquad R^2+2\vec a\cdot\vec b+R^2=R^2\qquad\vec a\cdot\vec b=-\frac{R^2}{2}$$

同様に、 $\vec b+\vec c=-\vec a$、 $\vec c+\vec a=-\vec b$ を2乗して

$$\vec b\cdot\vec c=-\frac{R^2}{2},\qquad\vec c\cdot\vec a=-\frac{R^2}{2}$$

よって

$$\mathrm{AB}^2=|\vec b-\vec a|^2=|\vec b|^2-2\vec a\cdot\vec b+|\vec a|^2=R^2+R^2+R^2=3R^2$$

同様に $\mathrm{BC}^2=|\vec c-\vec b|^2=3R^2$、 $\mathrm{CA}^2=|\vec a-\vec c|^2=3R^2$。

したがって $\mathrm{AB}=\mathrm{BC}=\mathrm{CA}=\sqrt3R$ となり、 $\triangle\mathrm{ABC}$ は正三角形である。(証明終)

別解1(中線が垂直二等分線になる) (1) より、Eは辺BCの中点なので、AEは中線で、重心GはAE上にある。GとOが一致すると、Oは直線AE上にある。Oは三角形の内部にあるのでEとは異なり、直線OE(=直線AE)はBCに垂直である。よって直線AEはBCの垂直二等分線で、Aはその上にあるので $\mathrm{AB}=\mathrm{AC}$。頂点Bと辺CAについても同じように考えると $\mathrm{BC}=\mathrm{BA}$。よって3辺が等しく、 $\triangle\mathrm{ABC}$ は正三角形である。(1) で求めたE(BCの中点)をそのまま使う、最も短い解き方。

別解2((3) と同じ計算を3辺で使う) GとOが一致すると、辺BCからの距離も一致する。下の (3) の前半と同じ理由でGの距離は $\dfrac13\mathrm{AD}$ なので $\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$ となり、(3) の後半と同じ計算で $\tan B\tan C=3$(この計算には「正三角形でない」は使わない)。辺CA、辺ABについても同じように考えると $\tan C\tan A=3$、 $\tan A\tan B=3$。 $\tan B>0$ なので $\tan A\tan B=\tan B\tan C$ から $\tan A=\tan C$、同様に $\tan A=\tan B$。 $A$、 $B$、 $C$ はどれも鋭角で、 $0^\circ<\theta<90^\circ$ では $\tan\theta$ は増加するので $A=B=C$。よって正三角形である。

(3) 配点 20点

(2) より「GとOが一致するならば正三角形」なので、その対偶「正三角形でないならばGとOは一致しない」が成り立つ。 $\triangle\mathrm{ABC}$ は正三角形でないので $\mathrm{G}\neq\mathrm{O}$ で、直線OGが決まる。

(1) よりEは辺BCの中点なので、AEは中線で、重心GはAEを $2:1$ に内分する。Gから辺BCに下ろした垂線をGHとする。 $\mathrm{D}\neq\mathrm{E}$ のとき、GHとADはどちらもBCに垂直で平行なので、 $\triangle\mathrm{EGH}\backsim\triangle\mathrm{EAD}$。よって

$$\mathrm{GH}=\mathrm{AD}\times\frac{\mathrm{EG}}{\mathrm{EA}}=\frac13\mathrm{AD}$$

( $\mathrm{D}=\mathrm{E}$ のときは、Gは線分AD上にあり $\mathrm{GD}=\dfrac13\mathrm{AD}$ で、同じ式が成り立つ)

$\mathrm{OG}\parallel\mathrm{BC}$ なので、直線OG上の点はどれも辺BCからの距離が等しい。Oの距離はOE、Gの距離はGHなので $\mathrm{OE}=\mathrm{GH}=\dfrac13\mathrm{AD}$。すなわち

$$\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$$

(1) の2式を代入すると

$$2R\sin B\sin C=3R\cos A\qquad2\sin B\sin C=3\cos A$$

$A+B+C=\pi$ より $A=\pi-(B+C)$ なので、加法定理より

$$\cos A=-\cos(B+C)=-\cos B\cos C+\sin B\sin C$$

これを代入して

$$2\sin B\sin C=3\sin B\sin C-3\cos B\cos C\qquad\sin B\sin C=3\cos B\cos C$$

$B$、 $C$ は鋭角なので $\cos B>0$、 $\cos C>0$。両辺を $\cos B\cos C$ で割ると

$$\tan B\tan C=3$$

(証明終)

(確かめ:(1) の確かめの三角形( $\tan B=3$、 $\tan C=1$)は、 $\mathrm{O}\left(\dfrac32,\ \dfrac32\right)$、 $\mathrm{G}\left(1,\ \dfrac32\right)$ で $y$ 座標が等しく、 $\mathrm{OG}\parallel\mathrm{BC}$ になっている。 $\mathrm{AD}=\dfrac92$、 $\mathrm{OE}=\dfrac32$ で $\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$、また $\tan B\tan C=3\times1=3$ で一致する)

別解(座標で示す) Dを原点、直線BCを $x$ 軸にとり、 $\mathrm{B}(\beta,\ 0)$、 $\mathrm{C}(\gamma,\ 0)$、 $\mathrm{A}(0,\ h)$ とおく。鋭角三角形なのでDは辺BC上にあり、 $\beta<0<\gamma$、 $h>0$。外心Oは辺BCの垂直二等分線上にあるので $\mathrm{O}\left(\dfrac{\beta+\gamma}{2},\ k\right)$ とおける。 $\mathrm{OA}^2=\mathrm{OB}^2$ より

$$\left(\frac{\beta+\gamma}{2}\right)^2+(k-h)^2=\left(\frac{\gamma-\beta}{2}\right)^2+k^2\qquad\beta\gamma+h^2-2hk=0\qquad k=\frac{h^2+\beta\gamma}{2h}$$

重心は $\mathrm{G}\left(\dfrac{\beta+\gamma}{3},\ \dfrac h3\right)$。 $\mathrm{G}\neq\mathrm{O}$ で $\mathrm{OG}\parallel\mathrm{BC}$ なので、OとGの $y$ 座標が等しく $k=\dfrac h3$。よって $\mathrm{AD}=h=3k=3\mathrm{OE}$。さらに $\dfrac{h^2+\beta\gamma}{2h}=\dfrac h3$ を整理すると $h^2=-3\beta\gamma$。 $\tan B=\dfrac{h}{-\beta}$、 $\tan C=\dfrac{h}{\gamma}$ なので

$$\tan B\tan C=\frac{h^2}{-\beta\gamma}=\frac{-3\beta\gamma}{-\beta\gamma}=3$$

加法定理を使わずに、2つとも示せる。ただし、問題は (1) の2式を使わせる誘導になっているので、本番では本解の流れで書く方が (1) の部分点とつながる。

出題意図

(1) 直角三角形で三角比を使い、外接円の半径が絡む長さを正弦定理と中心角で表せるか(教科書レベルの基本)。

(2) 「GとOが一致する」という条件を、式に言いかえることができるか。外心を始点にとれば、半径が等しい式と重心の位置ベクトルだけで3辺の長さを比べられる。

(3) 「OGがBCと平行」を「OとGのBCからの距離が等しい」と言いかえ、(1) の2つの式に帰着できるか。最後に $A=\pi-(B+C)$ を使って、 $B$、 $C$ だけの式に直せるか。

講評

難易度やや難
目標得点30点
目標時間35分

(1) は難しくなく、確実に取る。
(2) は外心を始点にとってベクトルを導入できるかが少し難しく、(2) だけなら標準。
(3) は図形問題を苦手とする受験生が多いので、やや難とした。
目標は (1) と (2) の途中までで、(3) は $\mathrm{AD}=3\mathrm{OE}$ まで書いて部分点を拾えば十分。

差がつく所・失点しやすい所

  • 差がつくのは (3):「OGがBCと平行」を「OとGのBCからの距離が等しい」と言いかえ、Gの距離がADの $\dfrac13$ になるという発想に行き着けるか。ここに気づけば、あとは (1) の2式を比べるだけ。
  • (2) で「GとOが一致する」を式にできるか:外心を始点にとれば $|\vec a|=|\vec b|=|\vec c|=R$ と $\vec a+\vec b+\vec c=\vec0$ の2つで解ける。始点を外心にしないと、外心の条件が扱えず方針が立たない。
  • (3) の後半で $\cos A$ を $B$、 $C$ の式に直せるか: $A=\pi-(B+C)$ を使わないと $\tan B\tan C$ にたどり着けない。

2014年九州大学文系数学
第4問 解答・解説

第4問は確率・期待値の問題です。
テーマは「硬貨を投げて勝敗を決め、勝者が相手の裏の硬貨をもらうゲーム」。

問題

2014年九州大学文系数学 第4問 問題
2014年九州大学文系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

Aさんは5円硬貨を3枚、Bさんは5円硬貨を1枚と10円硬貨を1枚持っている。2人は自分が持っている硬貨すべてを一度に投げる。それぞれが投げた硬貨のうち表が出た硬貨の合計金額が多い方を勝ちとする。勝者は相手の裏が出た硬貨をすべてもらう。なお、表が出た硬貨の合計金額が同じときは引き分けとし、硬貨のやりとりは行わない。このゲームについて、以下の問いに答えよ。

(1) AさんがBさんに勝つ確率 $p$、および引き分けとなる確率 $q$ をそれぞれ求めよ。

(2) ゲーム終了後にAさんが持っている硬貨の合計金額の期待値 $E$ を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

確率は数え方がそろえばよい。2人の表の合計金額 $X$、 $Y$ の組を、4×4の表に整理する。

2014年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. 硬貨5枚を区別して全体を32通りとおき、Aの表の合計を $X$ 円、Bの表の合計を $Y$ 円として、Aの表の枚数から $X=0,5,10,15$ の確率 $\dfrac18$、 $\dfrac38$、 $\dfrac38$、 $\dfrac18$ を求める。
  2. Bの2枚の表裏4通りが $Y=0,5,10,15$ に1通りずつ対応し、確率がどれも $\dfrac14$ であることを確認する。
  3. 4×4の表(行が $X$、列が $Y$)を書き、Aが勝つマス( $X>Y$ )と引き分けのマス( $X=Y$ )に印を入れる。
  4. 各マスの確率は( $X$ の確率)× $\dfrac14$ だから、勝ちのマスの和が $p$、引き分けのマスの和が $q$ になる。

【(2)の方針】

着眼点

硬貨を1枚ずつ追わず、ゲーム後のAの所持金を $X$、 $Y$ の式で表す。

2014年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2014年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図

期待値は(値)×(確率)の総和である。表を見ると、ゲーム後の金額は $0,5,10,15,20,25,30$ の7通りなので、 値ごとの確率を表のマスから残らず求め、値と確率の積を足す 。確率の合計が1になるかどうかで、数え漏れも点検できる。

  1. Aの裏の合計が $15-X$ 円、Bの裏の合計が $15-Y$ 円であることを押さえる。
  2. ゲーム後のAの金額を、勝ちなら $30-Y$ 円、負けなら $X$ 円、引き分けなら15円と表す。
  3. (1) の4×4の表の各マスにこの金額を書き込む。
  4. 金額が同じマスの確率を合わせて、金額と確率の表を作る。合計が1になるかも確かめる。
  5. 各金額に確率を掛けて足し、 $E$ を求める。

解答

2014年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2014年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

硬貨5枚それぞれを区別して考えると、表裏の出方は全部で $2^5=32$ 通りあり、どれも同様に確からしい。Aの表の合計を $X$ 円、Bの表の合計を $Y$ 円とおく。

Aの5円硬貨3枚のうち表が $k$ 枚なら $X=5k$ で、その出方は ${}_3\mathrm{C}_k$ 通りだから、確率は $\dfrac{{}_3\mathrm{C}_k}{8}$。ゆえに $X=0,5,10,15$ となる確率は順に $\dfrac18$、 $\dfrac38$、 $\dfrac38$、 $\dfrac18$ である。

Bは、2枚とも裏なら $Y=0$、5円だけ表なら $Y=5$、10円だけ表なら $Y=10$、2枚とも表なら $Y=15$ となり、 $Y=0,5,10,15$ の確率はいずれも $\dfrac14$。

AとBの硬貨は互いに影響し合わないので、 $(X,\ Y)$ の組の確率は( $X$ の確率)× $\dfrac14$ になる。行を $X$、列を $Y$ とした次の表で、Aが勝つマス( $X>Y$ )と引き分けのマス( $X=Y$ )に印をつけた。

Aが勝つマスは、 $X=5$ の行で $Y=0$ の1マス、 $X=10$ の行で $Y=0,5$ の2マス、 $X=15$ の行で $Y=0,5,10$ の3マスである。よって

$$p=\frac38\cdot\frac14\cdot1+\frac38\cdot\frac14\cdot2+\frac18\cdot\frac14\cdot3=\frac{3+6+3}{32}=\frac38$$

引き分けのマスは各行に1つずつあるから

$$q=\left(\frac18+\frac38+\frac38+\frac18\right)\cdot\frac14=\frac14$$

答 $p=\dfrac38$、 $q=\dfrac14$

(2) 配点 30点

最初は2人とも15円を持っているので、Aの裏の合計は $15-X$ 円、Bの裏の合計は $15-Y$ 円となる。

・勝つ( $X>Y$ )場合 Bの裏の $15-Y$ 円が加わり、Aの手元は $15+(15-Y)=30-Y$ 円

・負ける( $X<Y$ )場合 自分の裏の $15-X$ 円を渡すので、Aの手元は $15-(15-X)=X$ 円

・引き分け( $X=Y$ )の場合 硬貨は動かず、Aの手元は15円のまま

この金額を、(1) の表のマスに書き込んでいく。

各マスは、32通りのうち、 $X=0,5,10,15$ の行ならそれぞれ1、3、3、1通りに当たる。同じ金額になるマスの確率を足し合わせて、ゲーム後のAの金額と確率は次の表のとおり。

金額(円)$0$$5$$10$$15$$20$$25$$30$
確率$\dfrac{3}{32}$$\dfrac{6}{32}$$\dfrac{3}{32}$$\dfrac{8}{32}$$\dfrac{1}{32}$$\dfrac{4}{32}$$\dfrac{7}{32}$

(たとえば30円になるのは、 $Y=0$ で勝つマスにあたる $X=5,10,15$ の行の $3+3+1=7$ 通り。15円になるのは、4つの引き分けのマスの $1+3+3+1=8$ 通り)

確率の合計は $\dfrac{3+6+3+8+1+4+7}{32}=1$ となり、漏れも重なりもない。

したがって

$$E=\frac{0\cdot3+5\cdot6+10\cdot3+15\cdot8+20\cdot1+25\cdot4+30\cdot7}{32}=\frac{510}{32}=\frac{255}{16}$$

答 $E=\dfrac{255}{16}$(円)

別解(行ごとの平均を使う)  $Y$ の確率はどれも $\dfrac14$ なので、各行の4マスの金額の平均を先に出し、そのあとで $X$ の確率を掛けてもよい。

・$X=0$ の行: $\dfrac{15+0+0+0}{4}=\dfrac{15}{4}$

・$X=5$ の行: $\dfrac{30+15+5+5}{4}=\dfrac{55}{4}$

・$X=10$ の行: $\dfrac{30+25+15+10}{4}=\dfrac{80}{4}$

・$X=15$ の行: $\dfrac{30+25+20+15}{4}=\dfrac{90}{4}$

$$E=\frac18\cdot\frac{15}{4}+\frac38\cdot\frac{55}{4}+\frac38\cdot\frac{80}{4}+\frac18\cdot\frac{90}{4}=\frac{15+165+240+90}{32}=\frac{510}{32}=\frac{255}{16}$$

金額ごとの確率表を作らずに済み、本解の検算としても使える。

出題意図

(1) 5枚の硬貨の表裏を、2人それぞれの「表の合計金額」という2つの量にまとめ、その組み合わせから勝ちと引き分けの確率を導けるか。

(2) 勝敗によって硬貨の移り方が変わる場面で、ゲーム後の所持金を場合ごとに式で表し、期待値まで計算しきれるか。

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間30分

設定を読み取る手間がある分だけやや簡単としたが、中身は簡単に近い。
制限時間に関わらず、満点の50点を取りたい。
文系の受験生は期待値に苦手意識をもつ人が多く、設定の読み違いで失点しやすいので、2つの量の組み合わせで決まる確率は表にまとめ、期待値は値ごとの確率を全部求めて「値×確率」を足す、という典型の手順を、演習で反復しておこう。

差がつく所・失点しやすい所

  • ゲーム後の所持金を、状況を言葉にして式にできたか:勝てば自分の裏はそのまま残り、相手の裏が加わる( $30-Y$ 円)。負ければ自分の裏がすべて相手に渡り、表の硬貨だけが手元に残る( $X$ 円)。ここを整理できていないと、(2) で大きく減点される。
  • (2) を、勝つ確率 $p$ に平均の金額を掛けて済ませない: $Y$ が小さいほど勝ちやすく、そのとき受け取る金額も多い。勝ちやすさと金額が連動しているので、マスごとに金額を書き込んで計算する。
  • $Y$ の確率の取り違えに注意:Bの硬貨は5円と10円で額が違うので、 $Y$ の4つの値はいずれも確率 $\dfrac14$ になる。硬貨の表の枚数で数えて確率を決めると誤る。

2014年九州大学・文系数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問やや簡単50点
第2問標準30点
第3問やや難30点
第4問やや簡単50点
全体標準150点

大問ごとの目標点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。足すと160点になりますが、全体の目標点は150点です。

第2問の無限降下法と第3問の (3) が難しめですが、ほかは解きやすい年です。
第2問は (1)(2) で30点ほど確保し、無限降下法は過去問の演習で解法を身につけておけば十分です。
第3問も (1) と (2) の途中までが目標で、第1問と第4問で確実に満点を取りましょう。
目標点は150点です。

解く流れ

  • 第1問→第4問→第2問→第3問(取りやすい問題を先に確実に取り、難しい問題は最後に回す)
  • 目標時間の合計は120分(第1問30分・第2問25分・第3問35分・第4問30分)。120分すべてを使う想定。

2014年九州大学・文系数学に
関するよくある質問

2014年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2014年の九州大学・文系数学は難しかった?

標準の年でした。
第1問・第4問はやや簡単、第2問は標準、第3問はやや難です。
第2問 (3) の無限降下法と第3問の図形の証明が難しめでしたが、第1問は領域と面積の典型問題、第4問は表に整理すれば解ける確率の問題で、確実に取りたい問題でした。

2014年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?

目標点は150点です(200点満点)。

2014年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?

第1問・第4問は満点を取っておきたいところです。そのうえで、差がつくのは次の2つです。

  • 第2問:(1)(2) の余りの表で30点ほど確保できたか。(3) の無限降下法まで答案に書き切れた人が、上位に食い込めます。
  • 第3問:(1) の2式を使い、「OGがBCと平行」を「OとGのBCからの距離が等しい」と言いかえられたか。(1)(2) の途中まで取れれば目標点には届きます。
2014年の九州大学・文系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:図形と方程式・2次関数・積分法(数学Ⅱ)
  • 第2問:整数
  • 第3問:図形と計量・図形の性質・平面ベクトル・三角関数
  • 第4問:確率・期待値

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