【解説・採点基準付き】2024年九州大学文系数学の解答・解説

2024年の九州大学・文系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2024年九州大学文系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は微分法・積分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「形が同じ2つの放物線の共通接線と、2つの放物線と共通接線で囲まれた図形の面積」。

問題

2024年九州大学文系数学 第1問 問題
2024年九州大学文系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

2つの放物線 $C_1:y=2x^2$、 $C_2:y=2x^2-8x+16$ の両方に接する直線を $l$ とする。以下の問いに答えよ。

(1) 直線 $l$ の方程式を求めよ。

(2) 2つの放物線 $C_1$、 $C_2$ と直線 $l$ で囲まれた図形の面積を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

接線は必ず接点から作る。 $C_1$、 $C_2$ はどちらも2次関数なので、 $C_1$ の接線を作って $C_2$ と連立し、判別式を0とするのがいちばん早い。

2024年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2024年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $C_1$ の $x=t$ での接線を $y=f'(t)(x-t)+f(t)$ で作り、 $y=4tx-2t^2$ と整理する。
  2. この接線と $C_2$ の式を連立して、 $x$ の2次方程式を作る。
  3. 接線が $C_2$ に接するので、この2次方程式は重解をもつ。判別式 $\dfrac{D}{4}=0$ から $t$ を求める。
  4. $t$ を接線の式に戻して $l$ を求める。重解 $x=-\dfrac{b}{2a}$ から $C_2$ との接点の $x$ 座標も求めておく。

【(2)の方針】

着眼点

面積に要るのは接点・交点の $x$ 座標と2次の係数だけ。 $C_2$ は $C_1$ を平行移動した同じ形の放物線なので、 $C_1$ と $C_2$ の交点は2つの接点のちょうど真ん中にあり、左右の部分はどちらも $\dfrac13$ 公式の形になる。

2024年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
2024年九州大学文系数学 第1問 解答の方針の図
  1. $C_1$ と $C_2$ の式を連立して、交点の $x$ 座標 $2$ を求める(接点の $x$ 座標 $1$ と $3$ の真ん中)。
  2. $1\leqq x\leqq2$ では $C_1$ と $l$ の間、 $2\leqq x\leqq3$ では $C_2$ と $l$ の間が求める図形になることを、上下関係で確かめる。
  3. $l$ は $C_1$ と $x=1$ で、 $C_2$ と $x=3$ で接するので、 $C_1$ の式 $-$ $l$ の式 $=2(x-1)^2$、 $C_2$ の式 $-$ $l$ の式 $=2(x-3)^2$ と因数分解できる。
  4. 面積を $\displaystyle\int_1^2 2(x-1)^2\,dx+\int_2^3 2(x-3)^2\,dx$ と書き、塊のまま積分して合計を求める。
  5. 左右の値が同じになることを確かめて検算する。

解答

2024年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
2024年九州大学文系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$f(x)=2x^2$ とすると $f'(x)=4x$ である。 $C_1$ 上の点 $(t,\ 2t^2)$ における接線は

$$y=4t(x-t)+2t^2\quad\text{すなわち}\quad y=4tx-2t^2\quad\cdots①$$

①と $C_2:y=2x^2-8x+16$ を連立すると、 $2x^2-8x+16=4tx-2t^2$ より

$$x^2-2(t+2)x+t^2+8=0\quad\cdots②$$

①が $C_2$ に接するのは、②が重解をもつときである。②の判別式を $D$ とすると

$$\dfrac{D}{4}=(t+2)^2-(t^2+8)=4t-4=0$$

よって $t=1$ である。

①に $t=1$ を代入して、 $l:y=4x-2$。

このとき②の重解は $x=t+2=3$ なので、 $l$ は $C_1$ と点 $(1,\ 2)$ で、 $C_2$ と点 $(3,\ 10)$ で接する。

$t$ の値は $1$ つだけなので、両方に接する直線はこの1本だけである。

答 $y=4x-2$

別解(2本の接線を作って係数比較)  $C_2$ の $x=u$ での接線は、 $(2x^2-8x+16)’=4x-8$ より

$$y=(4u-8)(x-u)+2u^2-8u+16\quad\text{すなわち}\quad y=(4u-8)x-2u^2+16$$

①と同じ直線になるので、傾きと $y$ 切片を比べて $4t=4u-8$、 $-2t^2=-2u^2+16$。1つ目の式から $u=t+2$ を2つ目の式に代入すると $t^2=(t+2)^2-8$ となり、 $4t-4=0$ より $t=1$、 $u=3$。本解と同じ $l:y=4x-2$ になる。3次関数を含む共通接線ではこちらの解き方を使う。

(2) 配点 30点

$C_1$ と $C_2$ の式を連立すると、 $2x^2=2x^2-8x+16$ より $x=2$。交点は $(2,\ 8)$ で、接点の $x$ 座標 $1$ と $3$ のちょうど真ん中にある。

また、 $(2x^2-8x+16)-2x^2=-8(x-2)$ なので、 $x\leqq2$ では $C_1$ が $C_2$ の下、 $x\geqq2$ では $C_2$ が $C_1$ の下にある。

$l$ は $C_1$ と $x=1$ で、 $C_2$ と $x=3$ で接するので、それぞれの放物線の式から $l$ の式を引いた2次式は、2次の係数が $2$ の完全平方になる。

$$2x^2-(4x-2)=2(x-1)^2,\qquad (2x^2-8x+16)-(4x-2)=2x^2-12x+18=2(x-3)^2$$

どちらも $0$ 以上なので、 $l$ は $C_1$、 $C_2$ の下にある。よって、求める図形は $1\leqq x\leqq2$ では $C_1$ と $l$ の間、 $2\leqq x\leqq3$ では $C_2$ と $l$ の間の部分で、その面積を $S$ とすると

$$S=\int_1^2\{2x^2-(4x-2)\}\,dx+\int_2^3\{(2x^2-8x+16)-(4x-2)\}\,dx=\int_1^2 2(x-1)^2\,dx+\int_2^3 2(x-3)^2\,dx$$

$$\int_1^2 2(x-1)^2\,dx=\left[\dfrac23(x-1)^3\right]_1^2=\dfrac23$$

$$\int_2^3 2(x-3)^2\,dx=\left[\dfrac23(x-3)^3\right]_2^3=0-\dfrac23\cdot(-1)^3=\dfrac23$$

左右の部分の面積はどちらも $\dfrac23$ で同じになり、検算もできる。求める面積は、その合計で

$$S=\dfrac23+\dfrac23=\dfrac43$$

答 $\dfrac43$

検算  $C_2$ の式は $y=2(x-2)^2+8$ で、 $C_1$ を $x$ 軸方向に $2$、 $y$ 軸方向に $8$ だけ平行移動したもの。同じ形の2つの放物線と共通接線で囲まれた図形は、交点が2つの接点の真ん中にあり、左右の面積が等しくなる。左右とも $\dfrac23\cdot1^3=\dfrac23$ で、本解と一致する。

出題意図

(1) 2つの放物線の両方に接する直線(共通接線)を、接点を文字で置いて求めることができるか(教科書・チャートの例題レベル)

(2) 囲まれた図形を2つの放物線の交点で区間に分け、それぞれを「接するので差が完全平方」の形にして面積を求めることができるか

講評

難易度簡単
目標得点50点
目標時間15分

チャートの例題そのままの共通接線と面積の問題で、問題を見た瞬間に答えまでの道筋が思い浮かぶべき。
ここを落とすと合格は厳しい。
相手も2次関数なので、片方の接線を作って判別式を0とすれば (1) はすぐに終わる。
(2) の注意点は、交点で区間を分けることと、2次の係数を落とさないことだけ。

差がつく所・失点しやすい所

  • 失点しやすい所:(2) でグラフを書かずに、交点 $x=2$ で区間を分けないまま $C_1$ と $l$ の間だけを積分してしまう所。

2024年九州大学文系数学
第2問 解答・解説

第2問は平面ベクトル・座標の問題です。
テーマは「座標が与えられた平面ベクトルで、垂直と長さの条件から点Bを求め、2つの三角形の面積が等しく $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=4$ となる $s$、 $t$ を求める」。

問題

2024年九州大学文系数学 第2問 問題
2024年九州大学文系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面上の原点 $\mathrm{O}(0,\ 0)$、点 $\mathrm{A}(2,\ 1)$ を考える。点Bは第1象限にあり、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|=\sqrt{10}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\perp\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ をみたすとする。以下の問いに答えよ。

(1) 点Bの座標を求めよ。

(2) $s,\ t$ を正の実数とし、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ をみたす点Cを考える。三角形OACと三角形OBCの面積が等しく、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=4$ が成り立つとき、 $s,\ t$ の値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

座標が与えられているので、Bを $(x,\ y)$ と置いて成分で計算すればよい。作図すると、BはAを通りOAに垂直な直線と、原点を中心とする半径 $\sqrt{10}$ の円の交点で、交点は2つある。第1象限の条件で1つに絞る。

2024年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
2024年九州大学文系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $\mathrm{B}(x,\ y)$( $x>0$、 $y>0$)とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$ を成分で書いて $y=5-2x$ を求める。
  2. $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|=\sqrt{10}$ を2乗して $x^2+y^2=10$ とし、 $y=5-2x$ を代入して $x$ の2次方程式を解く。
  3. 2つの解のうち、第1象限にある方を選ぶ。

【(2)の方針】

着眼点

Cの座標は $s$、 $t$ で表せる。三角形OAC、OBCはどちらも原点Oを頂点にもつので、面積は $\dfrac12|ad-bc|$ ですぐに $s$、 $t$ の式になる。面積の条件から $s$、 $t$ の関係が分かれば、あとは $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=4$ に代入するだけ。

  1. (1) の $\mathrm{B}(1,\ 3)$ を使い、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(2s+t,\ s+3t)$ と成分で表す。
  2. $\dfrac12|ad-bc|$ で三角形OAC、OBCの面積を $s$、 $t$ で表し、 $s>0$、 $t>0$ で絶対値を外す。
  3. 面積が等しい条件から $s=t$ を求める。
  4. $s=t$ を代入して $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|$ を $s$ で表し、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=4$ から $s$、 $t$ を求める。

解答

2024年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
2024年九州大学文系数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$\mathrm{B}(x,\ y)$ とおく。Bは第1象限にあるので $x>0$、 $y>0$ である。 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(2,\ 1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(x-2,\ y-1)$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\perp\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ より $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$ なので

$$2(x-2)+(y-1)=0\iff y=5-2x$$

$\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|=\sqrt{10}$ の両辺を2乗して

$$x^2+y^2=10$$

$y=5-2x$ を代入すると

$$x^2+(5-2x)^2=10\iff5x^2-20x+15=0\iff(x-1)(x-3)=0$$

よって $x=1$ のとき $y=3$、 $x=3$ のとき $y=-1$。

条件をみたす点は、Aを通りOAに垂直な直線と、原点を中心とする半径 $\sqrt{10}$ の円の交点で、図のように $(1,\ 3)$ と $(3,\ -1)$ の2つある。Bは第1象限にあるので、 $(3,\ -1)$ は条件をみたさない。

答 $\mathrm{B}(1,\ 3)$

(確かめ: $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2=1+9=10$、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=2\cdot(-1)+1\cdot2=0$)

別解(1文字で置く)  $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(2,\ 1)$ に垂直なので、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ と垂直なベクトル $(-1,\ 2)$ の実数倍で $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=k(-1,\ 2)$ とおける。Aまで進んでからBへ進むと

$$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2-k,\ 1+2k)$$

$\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2=(2-k)^2+(1+2k)^2=5+5k^2=10$ より $k=\pm1$。 $k=1$ のとき $(1,\ 3)$、 $k=-1$ のとき $(3,\ -1)$ で、第1象限にあるのは $k=1$ の $\mathrm{B}(1,\ 3)$。置く文字が1つで済むので、連立方程式を解く手間が少ない。

(2) 配点 30点

(1) より $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(1,\ 3)$ なので

$$\overrightarrow{\mathrm{OC}}=s(2,\ 1)+t(1,\ 3)=(2s+t,\ s+3t)$$

三角形OAC、OBCはどちらも原点Oを頂点にもつ。原点O、点 $(a,\ b)$、点 $(c,\ d)$ を頂点とする三角形の面積は $\dfrac12|ad-bc|$ なので、 $t>0$ より

$$\triangle\mathrm{OAC}=\frac12\left|2(s+3t)-1\cdot(2s+t)\right|=\frac12|5t|=\frac52t$$

$s>0$ より

$$\triangle\mathrm{OBC}=\frac12\left|1\cdot(s+3t)-3(2s+t)\right|=\frac12|-5s|=\frac52s$$

$\triangle\mathrm{OAC}=\triangle\mathrm{OBC}$ より $\dfrac52t=\dfrac52s$、すなわち $s=t$。

このとき $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(3s,\ 4s)$ なので、 $s>0$ より

$$\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=\sqrt{9s^2+16s^2}=5s$$

$\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|=4$ より $5s=4$、すなわち $s=\dfrac45$。 $s=t$ より $t=\dfrac45$。

答 $s=\dfrac45$、 $t=\dfrac45$

(確かめ: $\mathrm{C}\left(\dfrac{12}{5},\ \dfrac{16}{5}\right)$ で $\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=\dfrac{144+256}{25}=16$。2つの三角形の面積はどちらも $\dfrac52\cdot\dfrac45=2$)

補足(図形として見る)  $s=t$ のとき、ABの中点をMとすると $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=s\left(\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right)=2s\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ なので、Cは直線OM上にある。三角形OAC、OBCは辺OCを共有するので、面積が等しいことは、AとBから直線OCまでの距離が等しいことと同じである。AとBは直線OCの両側にあるので、これは直線OCがABの中点Mを通ることを表している(下の図。AとBから直線OCまでの距離はどちらも1)。

別解(面積比で見る) 辺OAを底辺とみる。 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の $s\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ の部分は直線OAに平行で、直線OAからの距離を変えないので、Cから直線OAまでの距離は、Bから直線OAまでの距離の $t$ 倍になる( $t>0$)。よって $\triangle\mathrm{OAC}=t\,\triangle\mathrm{OAB}$。同じように $\triangle\mathrm{OBC}=s\,\triangle\mathrm{OAB}$ なので、 $s=t$。

次に $\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|^2=5$、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2=10$、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}=2+3=5$ より、2乗して展開すると

$$\left|\overrightarrow{\mathrm{OC}}\right|^2=s^2\left|\overrightarrow{\mathrm{OA}}\right|^2+2st\,\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}+t^2\left|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\right|^2=5s^2+10st+10t^2$$

$s=t$ を代入して $25s^2=16$、 $s>0$ より $s=t=\dfrac45$。

出題意図

(1) 「垂直」を内積0に、「長さ」を2乗した式に翻訳し、座標の計算で点を決められるか

(2) 三角形の面積を座標で式にし、条件を $s$、 $t$ の式に直して解けるか(教科書・チャートの例題レベル)

講評

難易度やや簡単
目標得点50点
目標時間20分

座標が与えられた平面ベクトルの、チャートの例題レベルの問題。
(1) は「垂直は内積0」「長さは2乗」を式にするだけ、(2) は三角形の面積を $\dfrac12|ad-bc|$ で $s$、 $t$ の式にするだけで、発想で差がつく所はない。
九大文系数学は「微積とベクトルは絶対に取る」が鉄則で、この問題も20分で満点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • 失点しやすい所:(1) で第1象限の条件を使ってBを1つに絞ること、(2) で $s>0$、 $t>0$ を使って絶対値を外すことを書き落とす所。

2024年九州大学文系数学
第3問 解答・解説

第3問は整数の問題です。
テーマは「階乗の方程式」。

問題

2024年九州大学文系数学 第3問 問題
2024年九州大学文系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。

(1) 自然数 $a,b$ が $a<b$ をみたすとき、 $\dfrac{b!}{a!}\geqq b$ が成り立つことを示せ。

(2) $2\cdot a!=b!$ をみたす自然数の組 $(a,\ b)$ をすべて求めよ。

(3) $a!+b!=2\cdot c!$ をみたす自然数の組 $(a,\ b,\ c)$ をすべて求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$\dfrac{b!}{a!}=b(b-1)\cdots(a+1)$ は、 $b$ を先頭に、1以上の整数をかけ合わせたもの。

  1. $\dfrac{b!}{a!}$ を、階乗を約分した積の形に書き直す。
  2. $b$ 以外の因数はどれも1以上なので、積は $b$ 以上であると結論する。

【(2)の方針】

着眼点

(1) を使いたいので、$a$ と $b$ の大小で場合分けする。 $a<b$ のとき $\dfrac{b!}{a!}=2$ と (1) を合わせて $b\leqq2$。

  1. $a\geqq b$ のときは $b!\leqq a!<2\cdot a!$ となり、等式が成り立たない。
  2. $a<b$ のとき、(1) より $2=\dfrac{b!}{a!}\geqq b$ なので $b\leqq2$ に絞り、あとは直接調べて $(a,b)$ を答える。

【(3)の方針】

着眼点

式は $a,b$ を入れかえても変わらないので $a\leqq b$ としてよい。 $a<b$ なら不等式から $a<c<b$ が出る。両辺を $c!$ で割ると (1) と同じ形 $\dfrac{b!}{c!}$ が現れ、 $\dfrac{b!}{c!}\geqq b$ が使える。

  1. $a\leqq b$ と仮定する。 $a=b$ なら $c=a$ である。
  2. $a<b$ の場合に、 $a<c<b$ を導く。
  3. 両辺を $c!$ で割って (1) を使い、 $b<2$ を導いて矛盾を示す。
  4. 結局、 $a=b=c$ の組だけが解であると答える。

解答

2024年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
2024年九州大学文系数学 第3問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

$a<b$ なので

$$\frac{b!}{a!}=b\cdot(b-1)\cdots(a+1)$$

右辺は $b$ に、1以上の整数 $(b-1),\dots,(a+1)$ をかけたもの( $b=a+1$ のときは $b$ だけ)だから、 $\dfrac{b!}{a!}\geqq b$ である。

(2) 配点 20点

$a\geqq b$ の場合 $b!\leqq a!<2\cdot a!$ なので、 $2\cdot a!=b!$ は成り立たない。

$a<b$ の場合 $\dfrac{b!}{a!}=2$ であり、(1) から $2\geqq b$。 $a<b$ かつ $a\geqq1$ より $b=2$、 $a=1$ となる。 $2\cdot1!=2=2!$ なので確かに成り立つ。

答 $(a,b)=(1,2)$

(3) 配点 20点

式は $a,b$ について対称なので、まず $a\leqq b$ とし、最後に $a,b$ を入れかえた組を加える。

$a=b$ の場合 $2\cdot a!=2\cdot c!$ から $a!=c!$ となり、自然数だから $c=a$。

$a<b$ の場合 $a!<b!$ より

$$2\cdot a!<a!+b!=2\cdot c!<2\cdot b!$$

つまり $a!<c!<b!$ なので $a<c<b$ が言える。

両辺を $c!$ で割ると

$$\frac{a!}{c!}+\frac{b!}{c!}=2$$

$c<b$ から (1) を使って $\dfrac{b!}{c!}\geqq b$、さらに $\dfrac{a!}{c!}>0$ なので

$$b<\frac{a!}{c!}+\frac{b!}{c!}=2$$

ゆえに $b=1$ になるが、これでは $a<c<b=1$ を満たす自然数 $a,c$ が存在しない。よって $a<b$ の場合に解はない。 $b<a$ の場合も同様に解はない。

したがって、解は $a=b=c$ のものだけである。

答 $(a,b,c)=(k,k,k)$($k$ は自然数)

出題意図

(1) 階乗の定義を式で正しく扱えるか

(2) 直前の小問の結果を使って論証できるか。答えを予想するのは簡単でも、それ以外に答えが存在しないことを (1) で示せるかが問われる。

(3) 文字が多い整数問題で、不等式を使って範囲を絞り込めるか

講評

難易度標準〜やや難
目標得点30点
目標時間25分

前の小問の結果を使うのは当たり前のようでいて、自然にできる受験生は意外と少ない。
次の小問に進んだ時点で、直前の結果を手放さないこと。
標準的な難しさだが、(3) は難しい分類に入るのでやや難寄り。
道具は (1) だけなので、(2) までを取って30点を確保しよう。

差がつく所・失点しやすい所

  • (2) で (1) を使って「ほかに答えがない」ことを示せるか:答えの予想 $(1,\ 2)$ は簡単だからこそ、大小で場合分けして (1) を使い、$b\leqq2$ に絞れるかで差がつく。
  • (3) で文字を減らせるか:不等式から $a<c<b$ を導き、 $c!$ で割って (1) の形を作る。ここまで来れば、あとは矛盾を示すだけ。
  • 解の書き落とし: $a=b=c$ の場合を落とさず、答えを「$(k,\ k,\ k)$($k$ は自然数)」と一般の形で書く。具体例だけでは大きく減点される。

2024年九州大学文系数学
第4問 解答・解説

第4問は場合の数の問題です。
テーマは「格子点を3点以上通る直線の数」。

問題

2024年九州大学文系数学 第4問 問題
2024年九州大学文系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

$n$ を3以上の整数とする。座標平面上の点のうち、 $x$ 座標と $y$ 座標がともに1以上 $n$ 以下の整数であるものを考える。これら $n^2$ 個の点のうち3点以上を通る直線の個数を $L(n)$ とする。以下の問いに答えよ。

(1) $L(3)$ を求めよ。

(2) $L(4)$ を求めよ。

(3) $L(5)$ を求めよ。

解答の方針

着眼点

直線を傾きで分けて数える。対称性から、$x$ 軸に平行な直線と $y$ 軸に平行な直線は同じ本数、傾きが正の直線と負の直線も同じ本数になる。前者を $A_n$ 本、後者を $B_n$ 本とすると、 $L(n)=2(A_n+B_n)$。

2024年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
2024年九州大学文系数学 第4問 解答の方針の図
  1. $x$ 軸に平行な直線は $A_n=n$ 本ある(どの直線も $n$ 個の点を通る)。
  2. $B_n$ は、3点以上を通る正の傾きの直線を、傾き1、2、 $\dfrac12$、…の順に数えて求める。3点を通るには、隣り合う点の差 $(p,q)$ が $2p\leqq n-1$、 $2q\leqq n-1$ を満たす必要がある。
  3. 求めた本数を2倍して $L(n)$ とし、 $L(3)$、 $L(4)$、 $L(5)$ を答える。

解答

2024年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
2024年九州大学文系数学 第4問 解答・解説
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数える直線を向きで分類すると、 $x$ 軸に平行、$y$ 軸に平行、傾きが正、傾きが負の4つになる。直線 $y=x$ を軸に折り返すと、$x$ 軸に平行な直線と $y$ 軸に平行な直線が入れかわる。また直線 $x=\dfrac{n+1}{2}$ を軸に折り返すと、傾きが正の直線と傾きが負の直線が入れかわる。折り返しても本数は変わらないので、 $x$ 軸に平行な直線の数を $A_n$、傾きが正の直線の数を $B_n$ として

$$L(n)=2(A_n+B_n)$$

$A_n$ は、直線 $y=k$($k=1,\dots,n$)がどれも $n\geqq3$ 個の点を通るので $A_n=n$ である。

$B_n$ を求める。傾きが正の直線が3点以上を通るとき、隣り合う2点の差を $(p,q)$($p,q$ は互いに素な自然数)とおくと、両端の点の差は $(2p,2q)$ 以上になるので、 $2p\leqq n-1$、 $2q\leqq n-1$ が必要である。

(1) 配点 10点

$n=3$ のとき、 $2p\leqq2$、 $2q\leqq2$ から $(p,q)=(1,1)$ のみ。傾き1で3点以上を通る直線は $y=x$ の1本だけである。

$$L(3)=2(3+1)=8$$

答 $L(3)=8$

(2) 配点 15点

$n=4$ のとき、 $2p\leqq3$、 $2q\leqq3$ から $(p,q)=(1,1)$ のみ。傾き1の直線 $y=x+k$ のうち3点以上を通るのは $k=-1,0,1$ の3本(それぞれ通る点は3個、4個、3個)。

$$L(4)=2(4+3)=14$$

答 $L(4)=14$

(3) 配点 25点

$n=5$ のとき、 $2p\leqq4$、 $2q\leqq4$ から $(p,q)=(1,1),(1,2),(2,1)$ の3つ。

・傾き1:$y=x+k$ のうち3点以上を通るのは $k=-2,-1,0,1,2$ の5本

・傾き2:3点 $(x,y),(x+1,y+2),(x+2,y+4)$ が範囲に収まるのは $y=1$、 $x=1,2,3$ のときだけで、直線は3本(どれも通る点は3つ)

・傾き $\dfrac12$:直線 $y=x$ に関して傾き2と対称なので3本

傾きが正の直線は全部で $B_5=5+3+3=11$ 本なので

$$L(5)=2(5+11)=32$$

答 $L(5)=32$

(1)〜(3)の別解:3点以上を通る直線を全部書き出す方法

傾きごとに整理し、対称性も使いながら、条件に合う直線を1本ずつ書き並べる。

・$n=3$ $x=k$($k=1,2,3$)、 $y=l$($l=1,2,3$)、 $y=x$、 $y=-x+4$ の計8本

・$n=4$ $x=k$($k=1,\dots,4$)、 $y=l$($l=1,\dots,4$)、 $y=x+k$($k=-1,0,1$)、 $y=-x+l$($l=4,5,6$)の計14本

・$n=5$ $x=k$ が5本、 $y=l$ が5本、 $y=x+k$ が5本( $k=-2,\dots,2$ )、 $y=-x+l$ が5本( $l=4,\dots,8$ )で、ここまでで20本。このほか傾きが $\pm2$、 $\pm\dfrac12$ の直線を、3点の真ん中の点ごとに数える。真ん中が $(2,3)$、 $(3,2)$、 $(3,4)$、 $(4,3)$ のときは各2本、 $(3,3)$ のときは4本で、 $4\times2+4=12$ 本。同じ直線が重ならないので $20+12=32$ 本

出題意図

条件を整理し、漏れも重なりもなく数え上げる力を見ている。発想は単純で、問われるのは正確さだけ。

講評

難易度やや簡単
目標得点30点
目標時間30分

考え方は易しく、全部数え上げれば解ける。
丁寧に数えた人は時間をかけずに点が取れる問題。
文系の受験生でも、図を描いて落ち着いて数えれば解けるので、数え漏れがあっても30点は取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で初めて出てくる傾き2と傾き $\dfrac12$ の直線を見落とさないこと。
  • 数え間違いをしないこと。

2024年九州大学・文系数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問簡単50点
第2問やや簡単50点
第3問標準〜やや難30点
第4問やや簡単30点
全体やや簡単160点

全体としてやや簡単なセットでした。
第1問は簡単、第2問はやや簡単で、どちらもチャートの例題レベルの微積とベクトルです。
九大文系数学の鉄則は「微積とベクトルは絶対に取る」。
第3問は文理共通の整数で、(3) は難しい分類に入るので落としてよく、(2) まで確実に取ります。
第4問は全部数え上げれば解ける問題で、数え漏れを含めて30点は取りたいところです。
目標点は160点です。

解く流れ

  • 第1問 → 第2問 → 第3問・第4問((3) は難しい分類なので後回しにしてよい)
  • 目標時間の合計は90分(第1問15分・第2問20分・第3問25分・第4問30分)。残りの30分は見直しと予備。第4問は30分かけてよい。

2024年九州大学・文系数学に
関するよくある質問

2024年の九州大学・文系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2024年の九州大学・文系数学は難しかった?

やや簡単な年でした。
第1問は簡単、第2問と第4問はやや簡単、第3問は標準〜やや難です。
第3問 (3) 以外は、チャートの例題レベルで解けます。

2024年の九州大学・文系数学は何点取れば合格できる?

目標点は160点です(200点満点)。

2024年の九州大学・文系数学はどこで差がつく?

第1問・第2問と、第3問の (2) までは確実に取っておきたいところです。そのうえで、差がつくとすれば次の2つです。

  • 第3問 (2)(3):(1) の結果を使って「ほかに答えがない」ことを示せたか。(3) は難しい分類なので、落としても大丈夫です。
  • 第4問:(3) で初めて出てくる傾き2と傾き $\dfrac12$ の直線を含めて、数え漏れなく数えられたか。
2024年の九州大学・文系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:微分法・積分法(数学Ⅱ)
  • 第2問:平面ベクトル・座標
  • 第3問:整数
  • 第4問:場合の数

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