【解説・採点基準付き】2004年九州大学理系数学の解答・解説

2004年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

⬆︎タップして画面が切り替わったら『LINEアプリを開く』を押して友達追加にお進みください!


中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

経歴

もっと知りたい方は中原先生の紹介へ!

※ 当ブログでは、九大受験生や親御様の悩みをリサーチした上で、表面的な悩みだけでなく根本的な悩みを解決できるようなコンテンツ制作を心がけています。コンテンツ制作は、中原遼太郎(九州大学医学部卒・竜文会代表)が担当。制作の流れや想いに関しては、コンテンツ制作ポリシーページを参考にしてください。

目次

2004年九州大学理系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は積分・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$I_n=\dfrac{(-1)^n}{n!}\displaystyle\int_0^2x^ne^x\,dx$ の漸化式と $\displaystyle\sum\dfrac{(-2)^k}{k!}\to e^{-2}$」。

問題

2004年九州大学理系数学 第1問 問題
2004年九州大学理系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

$n=0,\ 1,\ 2,\ \cdots$ に対して

$$I_n=\frac{(-1)^n}{n!}\int_0^2x^ne^x\,dx$$

とおく。ただし、 $0!=1$ とする。

(1) $I_0$ の値を求め、 $n=1,\ 2,\ \cdots$ のとき $I_n$ と $I_{n-1}$ の関係式を求めよ。また、これらを用いて $I_3$ の値を求めよ。

(2) $0\leqq x\leqq2$ に対して $e^x\leqq e^2$ であることを利用して、次の不等式を示せ。

$$\frac{1}{n!}\int_0^2x^ne^x\,dx\leqq2e^2\left(\frac23\right)^{n-1}\quad(n=1,\ 2,\ \cdots)$$

(3) 極限 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=0}^n\dfrac{(-1)^k2^k}{k!}$ を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$x^n$ を微分する側、 $e^x$ を積分する側にして部分積分すると $x^{n-1}e^x$ の積分が現れる。係数 $\dfrac{(-1)^n}{n!}$ はちょうど $I_{n-1}$ の係数に合うように付いている。

  1. $I_0=e^2-1$ を求める。
  2. 部分積分で $\displaystyle\int_0^2x^ne^x\,dx=2^ne^2-n\int_0^2x^{n-1}e^x\,dx$ とし、係数をかけて $I_n=I_{n-1}+\dfrac{(-2)^ne^2}{n!}$ を導く。
  3. $n=1,\ 2,\ 3$ と順に代入し、 $I_3=-\dfrac{e^2}{3}-1$ を得る。

【(2)の方針】

着眼点

$e^x\leqq e^2$ で上からおさえると、積分は $x^n$ だけになる。あとは $(n+1)!$ と $3^{n-1}$ の大小を比べればよい。

  1. $e^x\leqq e^2$ で置きかえ、左辺 $\leqq\dfrac{2^{n+1}e^2}{(n+1)!}$ とする。
  2. $(n+1)!\geqq2\cdot3^{n-1}$ を数学的帰納法で示す( $n\to n+1$ で左辺は $n+2\ (\geqq3)$ 倍、右辺は3倍)。
  3. 手順1、2より、示すべき不等式が得られる。

【(3)の方針】

着眼点

(1) の漸化式を加えると、(3) の和と $I_n$ がつながる。(2) は、その $I_n$ が0に近づくことを保証している。

  1. 漸化式を加えて $I_n=e^2\displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{(-2)^k}{k!}-1$ を導く。
  2. (2) より $|I_n|\to0$ なので、 $\displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{(-2)^k}{k!}=\dfrac{1+I_n}{e^2}\to e^{-2}$ と答える。

解答

2004年九州大学理系数学 第1問 解答・解説
2004年九州大学理系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$I_0=\displaystyle\int_0^2e^x\,dx=e^2-1$。 $n\geqq1$ のとき、部分積分より

$$\int_0^2x^ne^x\,dx=\left[x^ne^x\right]_0^2-n\int_0^2x^{n-1}e^x\,dx=2^ne^2-n\int_0^2x^{n-1}e^x\,dx$$

両辺に $\dfrac{(-1)^n}{n!}$ をかけると

$$I_n=\frac{(-2)^ne^2}{n!}+\frac{(-1)^{n-1}}{(n-1)!}\int_0^2x^{n-1}e^x\,dx$$

答 $I_0=e^2-1$、 $I_n=I_{n-1}+\dfrac{(-2)^ne^2}{n!}$

$$I_3=I_0+e^2\left(-2+\frac{4}{2}-\frac{8}{6}\right)=e^2-1-\frac43e^2$$

答 $I_3=-\dfrac{e^2}{3}-1$

(2) 配点 15点

$0\leqq x\leqq2$ で $x^ne^x\leqq e^2x^n$ なので

$$\frac{1}{n!}\int_0^2x^ne^x\,dx\leqq\frac{e^2}{n!}\int_0^2x^n\,dx=\frac{2^{n+1}e^2}{(n+1)!}$$

$(n+1)!\geqq2\cdot3^{n-1}\ (n\geqq1)$ …① を帰納法で示す。 $n=1$ で $2\geqq2$。 $n=k$ で成り立つとすると $(k+2)!=(k+2)(k+1)!\geqq3\cdot2\cdot3^{k-1}=2\cdot3^k$ で $n=k+1$ でも成り立つ。

①より $\dfrac{2^{n+1}e^2}{(n+1)!}\leqq\dfrac{2^{n+1}e^2}{2\cdot3^{n-1}}=2e^2\left(\dfrac23\right)^{n-1}$。(終)

(3) 配点 15点

(1) の漸化式を $k=1$ から $n$ まで加えると

$$I_n=I_0+e^2\sum_{k=1}^n\frac{(-2)^k}{k!}=e^2\sum_{k=0}^n\frac{(-2)^k}{k!}-1$$

(2) より $|I_n|=\dfrac{1}{n!}\displaystyle\int_0^2x^ne^x\,dx\leqq2e^2\left(\dfrac23\right)^{n-1}\to0$。よって

$$\sum_{k=0}^n\frac{(-1)^k2^k}{k!}=\frac{1+I_n}{e^2}\to\frac{1}{e^2}$$

答 $\dfrac{1}{e^2}$

出題意図

  • 定積分の漸化式を部分積分で作れるか($x^n$ を微分して次数を下げる)。
  • 漸化式を並べて和の形に直し、積分の評価で極限を求めるという定番の流れを最後まで通せるか( $e^x$ のテイラー展開が背景)。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度標準
目標得点50点35点
目標時間25分30分

簡単ではない標準の問題。
医学科は50点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • 2004年の合否を分けた1問は第1問:この年は第1問が簡単ではなく、完答できるかどうかで差がついた。
  • (3) で漸化式を加えて和の形に直すという発想に行き着けるか:(1)(2) を解いても、和と $I_n$ の関係が見えないと (3) は方針が立たない。
  • (2) で $\dfrac{2^{n+1}}{(n+1)!}$ と $\left(\dfrac23\right)^{n-1}$ の比較を「明らか」で済ませると減点。

2004年九州大学理系数学
第3問 解答・解説

第3問は媒介変数表示の曲線・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$x=\cos\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right)$、 $y=\cos2t$ で表される8の字の曲線と面積」。

問題

2004年九州大学理系数学 第3問 問題
2004年九州大学理系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面上を動く点 $\mathrm{P}(x(t),\ y(t))$ の時刻 $t$ における座標が

$$\begin{cases}x(t)=\cos\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right)\\y(t)=\cos(2t)\end{cases}\quad(0\leqq t<2\pi)$$

で与えられているとし、この点の軌跡を $C$ とする。

(1) $\mathrm{P}$ が原点を通るときの速度ベクトルを求めよ。

(2) $C$ が $x$ 軸、 $y$ 軸に関して対称であることを示せ。

(3) $C$ の概形を描け。

(4) $C$ が囲む図形の面積を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

原点を通るのは $x=0$ かつ $y=0$ のとき。速度ベクトルは $\left(\dfrac{dx}{dt},\ \dfrac{dy}{dt}\right)$。

  1. $x=0$ から $t=\dfrac{\pi}{4},\ \dfrac{5\pi}{4}$ を求め、速度ベクトル $(-1,\ -2)$、 $(1,\ -2)$ を得る。

【(2)の方針】

着眼点

$s=t+\dfrac{\pi}{4}$ とおくと $y$ が $\sin2s$ になり、 $x=\cos s$ と組になる。 $s$ を $-s$、 $\pi+s$ に変えたときの点の動きから、2つの対称性が示せる。

  1. $s=t+\dfrac{\pi}{4}$ とおき、 $\mathrm{P}=(\cos s,\ \sin2s)$ と書く。
  2. 曲線上の点 $(\cos s,\ \sin2s)$ に対し、 $s$ を $-s$ にした点が $(\cos s,\ -\sin2s)$、 $\pi+s$ にした点が $(-\cos s,\ \sin2s)$ で、どちらも $C$ 上にあることを示す。

【(3)の方針】

着眼点

対称性から、第1象限の部分だけ調べればよい。そこでは $y$ が $x$ の式で書ける。

2004年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
2004年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
  1. $0\leqq s\leqq\dfrac{\pi}{2}$ で $y=2x\sqrt{1-x^2}$( $0\leqq x\leqq1$ )と書き、最大値 $1$( $x=\dfrac{1}{\sqrt2}$ )を求める。
  2. 原点と $(1,\ 0)$ を通る山形の弧を書き、 $x$ 軸・ $y$ 軸に関して折り返して8の字の概形にする。

【(4)の方針】

着眼点

$C$ は8の字で、囲む図形は第1象限の部分の4倍。第1象限の部分は、(3) の弧と $x$ 軸の間にある。

  1. 面積 $=4\displaystyle\int_0^12x\sqrt{1-x^2}\,dx$ と立てる。
  2. $\left\{\left(1-x^2\right)^{\frac32}\right\}’=-3x\sqrt{1-x^2}$ を使って計算し、面積 $\dfrac83$ を得る。

解答

2004年九州大学理系数学 第3問 解答・解説
2004年九州大学理系数学 第3問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

$x=0\iff t+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{2},\ \dfrac{3\pi}{2}\iff t=\dfrac{\pi}{4},\ \dfrac{5\pi}{4}$。このとき $y=\cos\dfrac{\pi}{2}=0$、 $\cos\dfrac{5\pi}{2}=0$ で、確かに原点を通る。

速度ベクトルは $\left(-\sin\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right),\ -2\sin2t\right)$。

答 $t=\dfrac{\pi}{4}$ のとき $(-1,\ -2)$、 $t=\dfrac{5\pi}{4}$ のとき $(1,\ -2)$

(2) 配点 12点

$s=t+\dfrac{\pi}{4}$ とおくと $x=\cos s$、 $y=\cos\left(2s-\dfrac{\pi}{2}\right)=\sin2s$ で、 $s$ は $\dfrac{\pi}{4}\leqq s<\dfrac{9\pi}{4}$ を動く。 $x$、 $y$ は $s$ について周期 $2\pi$ なので、 $C$ は $s$ が任意の実数を動くときの点 $(\cos s,\ \sin2s)$ 全体と一致する。

$C$ 上の点 $(\cos s,\ \sin2s)$ に対し

・ $s$ を $-s$ にすると $(\cos s,\ -\sin2s)$ も $C$ 上にある。よって $C$ は $x$ 軸に関して対称。

・ $s$ を $\pi+s$ にすると $(\cos(\pi+s),\ \sin(2\pi+2s))=(-\cos s,\ \sin2s)$ も $C$ 上にある。よって $C$ は $y$ 軸に関して対称。(終)

(3) 配点 12点

対称性より $x\geqq0$、 $y\geqq0$ の部分を調べる。これは $0\leqq s\leqq\dfrac{\pi}{2}$ の部分で、 $y=2\sin s\cos s=2x\sqrt{1-x^2}\ (0\leqq x\leqq1)$。

$y^2=4x^2-4x^4$ より $\dfrac{d(y^2)}{dx}=8x(1-2x^2)$ なので、 $y$ は $0\leqq x\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ で増加、 $\dfrac{1}{\sqrt2}\leqq x\leqq1$ で減少し、最大値は $x=\dfrac{1}{\sqrt2}$ で $y=1$。

答 原点から $\left(\dfrac{1}{\sqrt2},\ 1\right)$ を通って $(1,\ 0)$ に至る山形の弧を、 $x$ 軸・ $y$ 軸に関して折り返した8の字の曲線(原点で2回交差し、原点での接線の傾きは $\pm2$。 $(\pm1,\ 0)$ では $y$ 軸に平行な接線をもつ)

(4) 配点 16点

$C$ が囲む図形は、第1象限の部分(曲線 $y=2x\sqrt{1-x^2}$ と $x$ 軸で囲まれた部分)の4倍なので

$$S=4\int_0^12x\sqrt{1-x^2}\,dx$$

$$\int_0^12x\sqrt{1-x^2}\,dx=\left[-\frac23\left(1-x^2\right)^{\frac32}\right]_0^1=\frac23$$

答 $\dfrac83$

出題意図

  • 媒介変数の置きかえ( $s=t+\dfrac{\pi}{4}$ )で式を見やすくできるか。
  • 曲線の対称性を媒介変数の変換で示し、第1象限だけを調べて全体の概形・面積につなげられるか。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点50点50点
目標時間20分25分

(2) があるので、それほど難しくない。
シンプルな問題で、やや簡単。
満点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • $s=t+\dfrac{\pi}{4}$ と置きかえて $y=\sin2s$ にするという発想に行き着けるか:置きかえないと、 $y=\cos2t$ と $x=\cos\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right)$ の関係が見えず、(2)〜(4) で止まる。
  • (2) を「 $y^2=4x^2(1-x^2)$ の形だから対称」とだけ書く答案は、 $C$ がその曲線全体と一致することの確認がないと減点されうる。

2004年九州大学理系数学
第4問 解答・解説

第4問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「三角柱の2つの面上の点A、Bと $\mathrm{C}(1,\ 1,\ 1)$ でつくる四面体OABCの体積の最大」。

問題

2004年九州大学理系数学 第4問 問題
2004年九州大学理系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

座標空間内の三角柱

$$0\leqq x\leqq1,\quad0\leqq y\leqq1,\quad x\geqq y,\quad0\leqq z\leqq1$$

を考え、その $xy$ 平面内の面を $S$、 $xz$ 平面内の面を $T$ とする。点 $\mathrm{A}(a,\ b,\ 0)$ を $S$ 内に、点 $\mathrm{B}(c,\ 0,\ d)$ を $T$ 内にとり、また $\mathrm{C}(1,\ 1,\ 1)$ とする。ただし、点 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ は原点 $\mathrm{O}$ とは異なるとする。

(1) ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ および $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ に直交する単位ベクトルを求め、その単位ベクトルとベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の内積の絶対値を求めよ。

(2) 四面体 $\mathrm{OABC}$ の体積を求めよ。ただし、点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ は同一平面上にないとする。

(3) 点 $\mathrm{A}$ が $S$ 内を、点 $\mathrm{B}$ が $T$ 内を動くとする。このときの、四面体 $\mathrm{OABC}$ の体積の最大値、および最大値を与える点 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ の位置をすべて求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

平面 $\mathrm{OAC}$ に垂直な単位ベクトルとの内積の絶対値は、点 $\mathrm{B}$ と平面 $\mathrm{OAC}$ の距離になる。垂直なベクトルは、内積0の2式から求める。

2004年九州大学理系数学 第4問 解答の方針の図
2004年九州大学理系数学 第4問 解答の方針の図
  1. 内積0の2式から $\vec n$ を $(b,\ -a,\ a-b)$ の定数倍と求める( $\mathrm{A}\neq\mathrm{O}$ より $\vec n\neq\vec0$ )。
  2. 大きさ $\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}$ で割る。
  3. $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(c,\ 0,\ d)$ との内積を計算し、 $b\geqq0$、 $a-b\geqq0$、 $c,\ d\geqq0$ から絶対値を外して $\dfrac{bc+(a-b)d}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}$ を得る。

【(2)の方針】

着眼点

体積は「三角形 $\mathrm{OAC}$ の面積 × 高さ ÷ 3」で、高さは (1) の値。面積には (1) の分母と同じ根号が現れ、うまく約分される。

  1. $\triangle\mathrm{OAC}=\dfrac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{OC}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}})^2}$ を計算する。
  2. 高さ((1) の値)をかけて3で割り、 $V=\dfrac{bc+(a-b)d}{6}$ を得る。

【(3)の方針】

着眼点

4文字の式を微分しようとしても進まない。 $b\geqq0$、 $a-b\geqq0$ を使い、 $c$、 $d$ を最大値1でおさえる。等号がいつ成り立つかを漏れなく調べる。

  1. $bc+(a-b)d\leqq b+(a-b)=a\leqq1$ を示し、最大値 $\dfrac16$ を求める。
  2. 等号条件を $b=0$、 $0<b<1$、 $b=1$ の3つの場合に分けて調べ、最大を与える点 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ をすべて答える。

解答

2004年九州大学理系数学 第4問 解答・解説
2004年九州大学理系数学 第4問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 18点

$\vec n=(p,\ q,\ r)$ が $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(a,\ b,\ 0)$、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=(1,\ 1,\ 1)$ に直交する条件は $ap+bq=0$、 $p+q+r=0$。これをみたす $\vec n$ は $(b,\ -a,\ a-b)$ の定数倍( $\mathrm{A}\neq\mathrm{O}$ より $(b,\ -a,\ a-b)\neq\vec0$ )。

$|(b,\ -a,\ a-b)|=\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}$ なので、単位ベクトルは

$$\pm\frac{1}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}(b,\ -a,\ a-b)$$

$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=(c,\ 0,\ d)$ との内積は $\pm\dfrac{bc+(a-b)d}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}$。 $b\geqq0$、 $a-b\geqq0$、 $c\geqq0$、 $d\geqq0$ より $bc+(a-b)d\geqq0$。

答 単位ベクトル $\pm\dfrac{(b,\ -a,\ a-b)}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}$、内積の絶対値 $\dfrac{bc+(a-b)d}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}$

(2) 配点 12点

$|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2=a^2+b^2$、 $|\overrightarrow{\mathrm{OC}}|^2=3$、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}}=a+b$ より

$$\triangle\mathrm{OAC}=\frac12\sqrt{3(a^2+b^2)-(a+b)^2}=\frac12\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}$$

(1) の値は平面 $\mathrm{OAC}$ と点 $\mathrm{B}$ の距離(四面体の高さ)なので

答 $V=\dfrac13\cdot\dfrac12\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}\cdot\dfrac{bc+(a-b)d}{\sqrt{2(a^2-ab+b^2)}}=\dfrac{bc+(a-b)d}{6}$

(3) 配点 20点

$0\leqq c\leqq1$、 $0\leqq d\leqq1$、 $b\geqq0$、 $a-b\geqq0$ より

$$bc+(a-b)d\leqq b+(a-b)=a\leqq1$$

よって $V\leqq\dfrac16$。(同一平面上にある場合は $V=0$ と考えてよい)

等号は $a=1$ かつ $bc=b$ かつ $(1-b)d=1-b$ のとき、つまり「 $a=1$」「 $b=0$ または $c=1$」「 $b=1$ または $d=1$」。

・ $b=0$ のとき: $d=1$、 $c$ は任意。 $\mathrm{A}(1,\ 0,\ 0)$、 $\mathrm{B}(c,\ 0,\ 1)\ (0\leqq c\leqq1)$。

・ $0<b<1$ のとき: $c=d=1$。 $\mathrm{A}(1,\ b,\ 0)$、 $\mathrm{B}(1,\ 0,\ 1)$。

・ $b=1$ のとき: $c=1$、 $d$ は任意。 $\mathrm{A}(1,\ 1,\ 0)$、 $\mathrm{B}(1,\ 0,\ d)\ (0\leqq d\leqq1)$。

(いずれも $V=\dfrac16>0$ なので4点は同一平面上にない)

答 最大値 $\dfrac16$。最大を与えるのは (i) $\mathrm{A}(1,\ 0,\ 0)$、 $\mathrm{B}(c,\ 0,\ 1)\ (0\leqq c\leqq1)$、(ii) $\mathrm{A}(1,\ b,\ 0)\ (0<b<1)$、 $\mathrm{B}(1,\ 0,\ 1)$、(iii) $\mathrm{A}(1,\ 1,\ 0)$、 $\mathrm{B}(1,\ 0,\ d)\ (0\leqq d\leqq1)$

出題意図

  • 2本のベクトルに垂直なベクトル(平面の法線)を求め、それとの内積で点と平面の距離を求める流れが分かっているか。
  • 4文字の式の最大値を、範囲の条件を使って1文字ずつ上からおさえられるか。等号成立を漏れなく調べられるか。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや難
目標得点30点20点
目標時間25分30分

(1) と (2) は計算するだけだが、(3) まで通すのは難しい。
三角柱の中の四面体は図が描きにくく、やや難とした。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で $bc+(a-b)d$ を各項ごとに上からおさえるという発想に行き着けるか:4文字のまま微分しようとすると止まる。
  • 最大を与える点を「すべて」求める:等号成立の場合分けを1つでも落とすと減点。 $b=0$ や $b=1$ のときに $c$ や $d$ が自由に動けることを見落としやすい。

2004年九州大学理系数学
第5問 解答・解説

第5問は場合の数・確率の問題です。
テーマは「$n$ 個の電球が赤か青に輝くときの、色が切りかわる回数の確率と期待値」。

問題

2004年九州大学理系数学 第5問 問題
2004年九州大学理系数学 第5問 問題
問題文をテキストで読む

$n$ を3以上の自然数とする。スイッチを入れると等確率で赤色または青色に輝く電球が横一列に $n$ 個並んでいる。これらの $n$ 個の電球のスイッチを同時に入れたあと、左から電球の色を見ていき、色の変化の回数を調べる。

(1) 赤青…青、赤赤青…青、…… のように左端が赤色で色の変化がちょうど1回起きる確率を求めよ。

(2) 色の変化が少なくとも2回起きる確率を求めよ。

(3) 色の変化がちょうど $m$ 回 $(0\leqq m\leqq n-1)$ 起きる確率を求めよ。

(4) 色の変化の回数の期待値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

左端を赤に固定すると、青に切りかわる位置を1か所決めるだけで並びが決まる。並びは全部で $2^n$ 通りで、どれも同様に確からしい。

  1. 変化の位置を数えて $n-1$ 通りとし、 $\dfrac{n-1}{2^n}$ と答える。

【(2)の方針】

着眼点

「少なくとも2回」は余事象「0回または1回」から求める。0回は全部同じ色の2通り、1回は (1) の2倍。

  1. 変化0回・1回の確率を求める。
  2. 1から引いて $1-\dfrac{n}{2^{n-1}}$ と答える。

【(3)の方針】

着眼点

色の並びは、左端の色(2通り)と、隣り合う $n-1$ か所のどこで色が変わるかを決めれば1つに定まる。

  1. 変化がちょうど $m$ 回の並びを $2\times{}_{n-1}\mathrm{C}_m$ 通りと数え、 $2^n$ で割って $\dfrac{{}_{n-1}\mathrm{C}_m}{2^{n-1}}$ と答える。

【(4)の方針】

着眼点

(3) の分布の期待値は $\displaystyle\sum m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m$ を計算すればよい。 $m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m=(n-1)\,{}_{n-2}\mathrm{C}_{m-1}$ で二項係数の和になる。

  1. $E=\dfrac{1}{2^{n-1}}\displaystyle\sum_{m=0}^{n-1}m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m$ と立てる。
  2. $m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m=(n-1)\,{}_{n-2}\mathrm{C}_{m-1}$ と二項定理で $\displaystyle\sum=(n-1)2^{n-2}$ とし、 $E=\dfrac{n-1}{2}$ と答える。

解答

2004年九州大学理系数学 第5問 解答・解説
2004年九州大学理系数学 第5問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 10点

$n$ 個の色の並びは $2^n$ 通りで、同様に確からしい。左端が赤で、変化が1回だけの並びは、左から $k$ 個が赤で残りがすべて青( $1\leqq k\leqq n-1$ )となる $n-1$ 通り。

答 $\dfrac{n-1}{2^n}$

(2) 配点 12点

変化0回は全部赤・全部青の2通り。変化1回は左端が赤・青で (1) の2倍の $2(n-1)$ 通り。

答 $1-\dfrac{2+2(n-1)}{2^n}=1-\dfrac{n}{2^{n-1}}$

(3) 配点 14点

並びは、左端の色(2通り)と、隣り合う $n-1$ か所のうち色が変わる場所の集合で1対1に決まる。変化がちょうど $m$ 回のものは $2\times{}_{n-1}\mathrm{C}_m$ 通り。

答 $\dfrac{{}_{n-1}\mathrm{C}_m}{2^{n-1}}$

(4) 配点 14点

$$E=\sum_{m=0}^{n-1}m\cdot\frac{{}_{n-1}\mathrm{C}_m}{2^{n-1}}$$

$m\geqq1$ で $m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m=(n-1)\,{}_{n-2}\mathrm{C}_{m-1}$ なので

$$\sum_{m=1}^{n-1}m\,{}_{n-1}\mathrm{C}_m=(n-1)\sum_{m=1}^{n-1}{}_{n-2}\mathrm{C}_{m-1}=(n-1)2^{n-2}$$

答 $\dfrac{n-1}{2}$

(別解:隣り合う $n-1$ か所のそれぞれで色が変わる確率は $\dfrac12$ なので、期待値は $(n-1)\times\dfrac12$)

出題意図

  • 色の並びを「左端の色」と「隣り合う $n-1$ か所のうちどこで色が変わるか」で決まるものとして数え直せるか。
  • 期待値を二項係数の和の公式で計算できるか(各か所の変化の期待値 $\dfrac12$ を足す見方もできるか)。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点50点50点
目標時間15分20分

色が切りかわるか切りかわらないかで考えると、とても簡単になる。
やや簡単で、満点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • 並びを「左端の色」と「変化の場所」の組として数え直すという発想に行き着けるか:これがないと (3) が書けない。九大の確率としては易しい部類で、完答が前提。

2004年九州大学・理系数学の
講評とまとめ

5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度医学部医学科その他の学部
第1問標準50点35点
第2問やや簡単50点40点
第3問やや簡単50点50点
第4問やや難30点20点
第5問やや簡単50点50点
全体標準190点150点

大問ごとの目標得点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。そのため、総合の目標点(医学部医学科で190点、その他の学部で150点)にはなりません。

第2問は行列の問題です。
行列は現在の高校数学の範囲外なので、この記事では解答・解説を載せていません。
総合の目標点(医学部医学科190点、その他の学部150点)は、第2問も含めた当時の目安です。

全体として標準の年です。
5問とも誘導が丁寧なので、典型の手順を最後まで通せるかが問われました。
ただし第4問は解きにくく、第1問も簡単ではありません。
第3問・第5問は確実に完答したうえで、第1問・第4問でどこまで得点を積めるかが勝負です。

解く流れ

第5問 → 第3問 → 第1問 → 第4問(第2問の行列は今の受験生は解かなくてよい)。

2004年九州大学・理系数学に
関するよくある質問

2004年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2004年の九州大学・理系数学は難しかった?

標準の年でした。
第1問は標準、第3問・第5問はやや簡単、第4問はやや難です。
第2問は行列で、現行課程の範囲外です。

2004年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?

目標点は、医学部医学科で190点、その他の学部で150点です(250点満点)。

2004年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?

第3問・第5問は完答したい問題です。そのうえで、差がつくのは次の2つです。

  • 第1問(3):(1) の漸化式を加えて和の形に直す発想に行き着けたか(2004年の合否を分けた一問)。
  • 第4問(3):最大を与える点を「すべて」求めるために、等号の場合分けを漏れなくできたか。
2004年の九州大学・理系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:積分・極限(数学Ⅲ)
  • 第2問:行列・極限
  • 第3問:媒介変数表示の曲線・積分(数学Ⅲ)
  • 第4問:空間ベクトル
  • 第5問:場合の数・確率

九州大学理系数学の過去問を年度別に見る

⬆︎タップして画面が切り替わったら『LINEアプリを開く』を押して友達追加にお進みください!

目次