【解説・採点基準付き】2005年九州大学理系数学の解答・解説
2005年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。
2005年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$y=x+a$ と $y=2\sin x$ の接線と回転体」。
問題


問題文をテキストで読む
直線 $\ell:\ y=x+a$ が曲線 $C:\ y=2\sin x\ (-\pi\leqq x\leqq\pi)$ に接しているとき、次の問いに答えよ。ただし、 $a\geqq0$ とする。
(1) $a$ の値を求めよ。
(2) 曲線 $C$ と直線 $\ell$ で囲まれた図形の $y\geqq0$ の範囲にある部分を、 $x$ 軸のまわりに回転する。この回転体の体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「接する」とは、接点で $y$ 座標と傾きの両方が一致すること。接点の $x$ 座標を文字にすれば、傾きの条件だけで接点の候補が2つに絞れ、残りは $a\geqq0$ で1つに決まる。
- 接点の $x$ 座標を $t$ とおき、傾きの条件 $2\cos t=1$ から $t=\pm\dfrac{\pi}{3}$ を求める。
- 接点が直線上にある条件から $a=2\sin t-t$ として、求めた $t$ それぞれについて $a$ を求め、 $a\geqq0$ をみたす方を答える。
【(2)の方針】
$y\geqq0$ の部分は、直線の下の三角形から曲線の下をくりぬいた形。直線を回すと円錐になるので、円錐から曲線の回転体を引けばよい。そのために、直線が曲線より上にあることを確かめておく。


- $h(x)=2\sin x-(x+a)$ の増減から直線が曲線の上にあることを確かめ、 $y\geqq0$ の部分を $-a\leqq x\leqq0$ と $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{3}$ に分けて表す。
- 体積を、直線を回した円錐から曲線を回した部分を引く式で表し、 $\dfrac{\pi}{3}+a=\sqrt3$ から円錐の体積を求める。
- 曲線の部分は半角の公式で積分し、差をとって答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
接点の $x$ 座標を $t$ とすると、傾きが等しいので $2\cos t=1$、 $-\pi\leqq t\leqq\pi$ より $t=\pm\dfrac{\pi}{3}$。
接点を共有するので $2\sin t=t+a$、すなわち $a=2\sin t-t$。
$t=\dfrac{\pi}{3}$ のとき $a=\sqrt3-\dfrac{\pi}{3}>0$、 $t=-\dfrac{\pi}{3}$ のとき $a=-\sqrt3+\dfrac{\pi}{3}<0$。 $a\geqq0$ より
答 $a=\sqrt3-\dfrac{\pi}{3}$
(2) 配点 30点
$h(x)=2\sin x-(x+a)$ とおくと $h'(x)=2\cos x-1$。 $h$ は $-\dfrac{\pi}{3}\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{3}$ で増加、 $\dfrac{\pi}{3}\leqq x\leqq\pi$ で減少し、 $h\left(\dfrac{\pi}{3}\right)=0$。よって $-\dfrac{\pi}{3}\leqq x\leqq\pi$ で $h(x)\leqq0$(直線が曲線の上)。
直線が $x$ 軸と交わるのは $x=-a$($-\dfrac{\pi}{3}<-a<0$)、曲線は $0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{3}$ で $y\geqq0$、 $-a\leqq x<0$ で $y<0$。したがって $y\geqq0$ の部分は
・$-a\leqq x\leqq0$: $0\leqq y\leqq x+a$
・$0\leqq x\leqq\dfrac{\pi}{3}$: $2\sin x\leqq y\leqq x+a$
$$V=\pi\int_{-a}^{\frac{\pi}{3}}(x+a)^2dx-\pi\int_0^{\frac{\pi}{3}}4\sin^2x\,dx$$
$\dfrac{\pi}{3}+a=\sqrt3$ より、円錐の部分 $\pi\displaystyle\int_{-a}^{\frac{\pi}{3}}(x+a)^2dx$ は $\pi\cdot\dfrac{(\sqrt3)^3}{3}=\sqrt3\,\pi$。
$$\int_0^{\frac{\pi}{3}}4\sin^2x\,dx=\int_0^{\frac{\pi}{3}}2(1-\cos2x)\,dx=\frac{2\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2}$$
$$V=\pi\left(\sqrt3-\frac{2\pi}{3}+\frac{\sqrt3}{2}\right)=\pi\left(\frac{3\sqrt3}{2}-\frac{2\pi}{3}\right)$$
答 $\left(\dfrac{3\sqrt3}{2}-\dfrac{2\pi}{3}\right)\pi$
出題意図
- 接する条件(傾きが等しい・点を共有する)を正しく式にできるか。
- 回転体の体積で、どの範囲を回すのかを図から正確に読み取れるか($y\geqq0$ の部分だけ・下側が $x$ 軸に切りかわる所)。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
(1) は普通に計算するだけで難しくない。
(2) は曲線 $C$ と直線 $\ell$ で囲まれた部分がイメージしにくいので、図を書いて確かめるのがよい。
簡単な問題で、確実に満点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) の回転する範囲:$-a\leqq x\leqq0$ の部分(曲線が $x$ 軸より下)を見落として、 $0$ から $\dfrac{\pi}{3}$ だけで計算すると答えが合わない。
- 上下関係の確認を書かない:図だけで済ませると減点されやすい。 $h(x)$ の増減で一言示す。
2005年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は複素数平面の問題です。
テーマは「$z^2+tz+t=0$ の虚数解の軌跡と $w=\dfrac{iz}{z+1}$ の像」。
問題


問題文をテキストで読む
$t$ を実数とするとき、2次方程式
$$z^2+tz+t=0$$
について、次の問いに答えよ。
(1) この2次方程式が異なる2つの虚数解をもつような $t$ の範囲と、そのときの虚数解をすべて求めよ。
(2) (1) の虚数解のうち、その虚部が正のものを $z(t)$ で表す。 $t$ が (1) で求めた範囲を動くとき、複素数平面上で点 $z(t)$ が書く図形 $C$ を求め、図示せよ。
(3) 複素数平面上で、点 $z$ が (2) の図形 $C$ 上を動くとき、
$$w=\frac{iz}{z+1}$$
で表される点 $w$ が書く図形を求め、図示せよ。
解答の方針
【(1)の方針】
実数係数の2次方程式が異なる2つの虚数解をもつ条件は、判別式が負。
- 判別式 $t^2-4t<0$ を解いて $t$ の範囲を求め、解の公式で虚数解を求めて答える。
【(2)の方針】
$z(t)$ の実部・虚部はどちらも $t$ の式。$t$ を消せば軌跡の方程式が出る。 $t$ の範囲が $x$ の範囲に変わること、 $y>0$ が残ることを忘れない。


- $z(t)=x+yi$ とおき、 $x=-\dfrac t2$、 $y=\dfrac{\sqrt{4t-t^2}}{2}$ と表して $t$ を消去し、 $(x+1)^2+y^2=1$ を得る。
- $0<t<4$ から $-2<x<0$、 $y>0$ を加え、点 $-1$ を中心とする半径1の円の上半分(両端を除く)と答えて図示する。
【(3)の方針】
$C$ は点 $-1$ を中心とする半径1の円の上半分。中心が原点にくるように $u=z+1$ とおくと $|u|=1$ となり、 $\dfrac1u=\bar u$ が使えて式が簡単になる。


- $u=z+1$ とおき、 $w=i\left(1-\dfrac1u\right)=i(1-\bar u)$ と変形する。
- $u=\cos\varphi+i\sin\varphi$($0<\varphi<\pi$)とおいて、 $w$ の実部・虚部を $\varphi$ で表し、 $X^2+(Y-1)^2=1$ から $w$ が点 $i$ を中心とする半径1の円の上にあることを確かめる。
- $\varphi$ の範囲から実部が負の部分(両端を除く)と決めて答え、図示する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
異なる2つの虚数解をもつ条件は、判別式 $t^2-4t<0$ より
答 $0<t<4$、虚数解は $z=\dfrac{-t\pm\sqrt{4t-t^2}\,i}{2}$
(2) 配点 15点
$z(t)=x+yi$ とおくと $x=-\dfrac t2$、 $y=\dfrac{\sqrt{4t-t^2}}{2}>0$。
$t=-2x$ を代入して $4y^2=4t-t^2=-8x-4x^2$、すなわち $(x+1)^2+y^2=1$。
$0<t<4$ より $-2<x<0$、また $y>0$。
答 $C$ は点 $-1$ を中心とする半径1の円 $|z+1|=1$ のうち、虚部が正の部分(上半分の半円。両端の点 $0$、 $-2$ は含まない)
(3) 配点 20点
$u=z+1$ とおくと $|u|=1$、 $\mathrm{Im}\,u>0$。 $z=u-1$ より
$$w=\frac{i(u-1)}{u}=i\left(1-\frac1u\right)=i(1-\bar u)\qquad\left(|u|=1\ \text{より}\ \frac1u=\bar u\right)$$
$u=\cos\varphi+i\sin\varphi\ (0<\varphi<\pi)$ とおくと
$$w=i(1-\cos\varphi+i\sin\varphi)=-\sin\varphi+(1-\cos\varphi)\,i$$
よって $w=X+Yi$ は $X^2+(Y-1)^2=\sin^2\varphi+\cos^2\varphi=1$ をみたす。
$0<\varphi<\pi$ より $X=-\sin\varphi<0$、 $Y=1-\cos\varphi$ は $0<Y<2$ を動く($\varphi$ が $0$ から $\pi$ へ動くとき、点 $0$ のそばから $-1+i$ を通って点 $2i$ のそばまで動く)。
答 点 $i$ を中心とする半径1の円 $|w-i|=1$ のうち、実部が負の部分(左半分の半円。両端の点 $0$、 $2i$ は含まない)
出題意図
- 実部・虚部を $t$ で表し、$t$ を消去して軌跡を求めるという基本の手順と、範囲(端点を含むか)まで正確に答える姿勢を見ている。
- (3) は1次分数変換で円がどこに移るかを、計算か図形的な見方で処理できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | — | — |
1次分数変換のよくある典型問題。
ただし少しずらしてあるので、やや簡単ではなく標準とした。
差がつく所・失点しやすい所
- (2)(3) の範囲:円全体と答えると減点。 $y>0$ と $-2<x<0$、(3) では $X<0$ と端点を除くことまで書き切れるかで差がつく。
- (3) を逆に解く方法での範囲:$z=\dfrac{w}{i-w}$ から $z+1=\dfrac{i}{i-w}$、 $|w-i|=1$ と円まではすぐ出る。しかし「$z$ の虚部が正」を $w$ の条件に直す所で詰まりやすい。 $u=z+1$ と置けば範囲まで一度に決まる。
2005年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は指数・対数・三角関数・整数の問題です。
テーマは「ガウス記号と $\log_2$ を含む三角不等式」。
問題


問題文をテキストで読む
実数 $x$ に対して、 $[x]$ は $x$ を超えない最大の整数を表す。例えば、 $\left[\dfrac32\right]=1$、 $[2]=2$ である。このとき、 $0<\theta<\pi$ として次の問いに答えよ。ただし、必要なら $\sin\alpha=\dfrac{1}{2\sqrt2}$ となる角 $\alpha\ \left(0<\alpha<\dfrac{\pi}{2}\right)$ を用いてよい。
(1) 不等式 $\log_2\left[\dfrac52+\cos\theta\right]\leqq1$ を満たす $\theta$ の範囲を求めよ。
(2) 不等式 $\left[\dfrac32+\log_2\sin\theta\right]\geqq1$ を満たす $\theta$ の範囲を求めよ。
(3) 不等式 $\log_2\left[\dfrac52+\cos\theta\right]\leqq\left[\dfrac32+\log_2\sin\theta\right]$ を満たす $\theta$ の範囲を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
ガウス記号の中身 $\dfrac52+\cos\theta$ は $\dfrac32$ より大きく $\dfrac72$ より小さい。だから $\left[\dfrac52+\cos\theta\right]$ は $1,2,3$ のどれかで、値ごとに $\theta$ の範囲を分ければガウス記号が外れる。


- $\left[\dfrac52+\cos\theta\right]$ が $1,2,3$ になる $\theta$ の範囲をそれぞれ求める。
- $\log_2N\leqq1\iff N\leqq2$ から、値が1か2になる範囲を合わせて答える。
【(2)の方針】
$[x]\geqq1$ は $x\geqq1$ と同じ。ガウス記号を外せば、ふつうの対数不等式になる。


- ガウス記号を外した $\dfrac32+\log_2\sin\theta\geqq1$ を $\sin\theta\geqq\dfrac{1}{\sqrt2}$ に直し、 $0<\theta<\pi$ で解いて答える。
【(3)の方針】
左辺は (1) で調べたとおり $0,\ 1,\ \log_23$ の3通りの値しかとらない。だから左辺の値で場合分けすれば、どの場合も (1)・(2) と同じ種類の不等式になる。


- 右辺 $\left[\dfrac32+\log_2\sin\theta\right]$ が1以下であること、右辺 $\geqq0\iff\sin\theta\geqq\dfrac{1}{2\sqrt2}$ であることを確かめる。
- (1) の範囲ごとに左辺の値で場合分けし、左辺 $=\log_23$ は右辺が1以下なので不適、左辺 $=1$ は右辺 $\geqq1$ が必要で (2) の範囲と重ね、左辺 $=0$ は右辺 $\geqq0$ の範囲 $\alpha\leqq\theta\leqq\pi-\alpha$ と重ねる。
- $\alpha<\dfrac{\pi}{3}$ から $\pi-\alpha>\dfrac{2\pi}{3}$ を確かめ、2つの場合を合わせて答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$0<\theta<\pi$ より $-1<\cos\theta<1$、 $\dfrac32<\dfrac52+\cos\theta<\dfrac72$。 $N=\left[\dfrac52+\cos\theta\right]$ は
・$N=1$: $\cos\theta<-\dfrac12$、すなわち $\dfrac{2\pi}{3}<\theta<\pi$
・$N=2$: $-\dfrac12\leqq\cos\theta<\dfrac12$、すなわち $\dfrac{\pi}{3}<\theta\leqq\dfrac{2\pi}{3}$
・$N=3$: $\cos\theta\geqq\dfrac12$、すなわち $0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{3}$
$\log_2N\leqq1\iff N\leqq2$ なので
答 $\dfrac{\pi}{3}<\theta<\pi$
(2) 配点 15点
$[x]\geqq1\iff x\geqq1$ より、 $\dfrac32+\log_2\sin\theta\geqq1$、 $\log_2\sin\theta\geqq-\dfrac12$、 $\sin\theta\geqq2^{-\frac12}=\dfrac{1}{\sqrt2}$。
答 $\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta\leqq\dfrac{3\pi}{4}$
(3) 配点 20点
右辺を $M=\left[\dfrac32+\log_2\sin\theta\right]$ とおく。 $0<\sin\theta\leqq1$ より $\dfrac32+\log_2\sin\theta\leqq\dfrac32$ なので $M\leqq1$。
また $M\geqq0\iff\dfrac32+\log_2\sin\theta\geqq0\iff\sin\theta\geqq2^{-\frac32}=\dfrac{1}{2\sqrt2}$。
左辺は (1) の $N$ により $\log_2N$。
・$N=3$($0<\theta\leqq\dfrac{\pi}{3}$):左辺 $=\log_23>1\geqq M$ なので不適
・$N=2$($\dfrac{\pi}{3}<\theta\leqq\dfrac{2\pi}{3}$):左辺 $=1$。 $M\geqq1$ が必要で、(2) より $\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta\leqq\dfrac{3\pi}{4}$。この区間全体が条件をみたす
・$N=1$($\dfrac{2\pi}{3}<\theta<\pi$):左辺 $=0$。 $M\geqq0$、すなわち $\sin\theta\geqq\dfrac{1}{2\sqrt2}$ が必要で、 $\alpha\leqq\theta\leqq\pi-\alpha$
$\sin\alpha=\dfrac{1}{2\sqrt2}<\dfrac{\sqrt3}{2}$ より $\alpha<\dfrac{\pi}{3}$、よって $\pi-\alpha>\dfrac{2\pi}{3}$。 $N=1$ の場合は $\dfrac{2\pi}{3}<\theta\leqq\pi-\alpha$。
2つの場合を合わせて
答 $\dfrac{\pi}{3}<\theta\leqq\pi-\alpha$
出題意図
- ガウス記号は「とりうる整数値で場合分け」するという基本を、 $\log$ や三角関数と組み合わせても実行できるか。
- 両辺がとりうる値を先に整理し、場合の数を減らしてから解くことができるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
標準の問題です。
この年の合否を分けた1問になりました。
差がつく所・失点しやすい所
- 第4問を完答できるか:丁寧に計算を進めていく問題で、この年の山場になった。
- ガウス記号の境目(等号):$\cos\theta=\dfrac12$ のとき $N=3$ になるので $\theta=\dfrac{\pi}{3}$ は含まない。境目の扱いで答えの等号がずれる。
- (3) で左辺 $=0$ の場合を落とす:右辺が負になりうることに気づかず、(1)(2) の共通部分だけ答えると $\alpha$ を使う部分を丸ごと失う。
2005年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は積分・微分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$\mathrm{P}(t^2,e^{-t})$ が書く曲線の面積 $S(a)$ と中間値の定理」。
問題


問題文をテキストで読む
実数 $t$ が $t\geqq0$ の範囲を動くとき、 $xy$ 平面上で点 $\mathrm{P}\left(t^2,\ e^{-t}\right)$ が書く曲線を $C$ とする。 $a$ を正の実数とし、曲線 $C$ と $x$ 軸、 $y$ 軸、および直線 $x=a^2$ で囲まれる部分の面積を $S(a)$ とする。このとき次の問いに答えよ。
(1) 面積 $S(a)$ を求めよ。
(2) $a>0$ の範囲で関数 $S(a)$ の増減、凹凸を調べ、そのグラフの概形を書け。ただし、 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}ae^{-a}=0$ であることを用いてよい。
(3) $S(a)=1.35$ となる $a$ が $2<a<3$ の範囲に存在することを示せ。ただし、必要なら $2.5<e<3$ であることを用いてよい。
解答の方針
【(1)の方針】
媒介変数で表された曲線の面積は、 $\displaystyle\int y\,dx$ を $t$ の積分に置きかえる。 $x=t^2$ は $t\geqq0$ で増加し、 $y=e^{-t}>0$ なので、そのまま置換できる。


- $S(a)=\displaystyle\int_0^{a^2}y\,dx$ とし、 $dx=2t\,dt$、 $x:0\to a^2$ を $t:0\to a$ に直して $\displaystyle\int_0^a2te^{-t}\,dt$ にする。
- 部分積分で計算して答える。
【(2)の方針】
$S'(a)$ は (1) の被積分関数そのもの $2ae^{-a}$ なので、微分の計算はほとんどいらない。グラフの右端の様子は、与えられた極限 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}ae^{-a}=0$ で決まる。


- $S'(a)=2ae^{-a}>0$ から単調に増加することを確かめ、 $S”(a)=2(1-a)e^{-a}$ から凹凸と変曲点を調べる。
- $a\to+0$、 $a\to\infty$ の極限から漸近線 $S=2$ を求め、グラフをかく。
【(3)の方針】
$S(a)$ は連続なので、 $S(2)<1.35<S(3)$ を示せば中間値の定理で存在が言える。 $e$ の評価は不等号の向きが合う方を選ぶ($S(2)$ を上から押さえるには $e<3$、 $S(3)$ を下から押さえるには $e>2.5$)。


- $S(2)=2-\dfrac{6}{e^2}$、 $S(3)=2-\dfrac{8}{e^3}$ を求め、 $e^2<9$ から $S(2)<\dfrac43<1.35$ を示す。
- $e^3>15$ から $S(3)>\dfrac{22}{15}>1.35$ を示す。
- 中間値の定理により、 $S(a)=1.35$ となる $a$ が $2<a<3$ に存在すると結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$x=t^2$ は $t\geqq0$ で増加し、 $y=e^{-t}>0$。 $x:0\to a^2$ のとき $t:0\to a$、 $dx=2t\,dt$ なので
$$S(a)=\int_0^{a^2}y\,dx=\int_0^a 2te^{-t}\,dt$$
$$\int_0^a2te^{-t}dt=\Bigl[-2te^{-t}\Bigr]_0^a+\int_0^a2e^{-t}dt=-2ae^{-a}-2e^{-a}+2$$
答 $S(a)=2-2(a+1)e^{-a}$
(2) 配点 20点
$$S'(a)=2ae^{-a}>0,\qquad S”(a)=2(1-a)e^{-a}$$
$S(a)$ は単調に増加し、 $0<a<1$ で下に凸、 $a>1$ で上に凸。変曲点は $\left(1,\ 2-\dfrac4e\right)$。
$\displaystyle\lim_{a\to+0}S(a)=0$、 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}S(a)=2-2\lim_{a\to\infty}\left(ae^{-a}+e^{-a}\right)=2$。漸近線は直線 $S=2$。
グラフは、原点から横軸に接するように出て($S'(+0)=0$)増加し、 $a=1$ で凹凸が入れかわって、直線 $S=2$ に下から近づく曲線。
(3) 配点 15点
$$S(2)=2-\frac{6}{e^2},\qquad S(3)=2-\frac{8}{e^3}$$
$e<3$ より $e^2<9$、 $S(2)<2-\dfrac69=\dfrac43<1.35$。
$e>2.5$ より $e^3>15.625>15$、 $S(3)>2-\dfrac{8}{15}=\dfrac{22}{15}=1.466\cdots>1.35$。
$S(a)$ は連続なので、中間値の定理より $S(a)=1.35$ となる $a$ が $2<a<3$ に存在する($S$ は増加なのでただ1つ)。
出題意図
- 媒介変数表示の曲線の面積を、$\displaystyle\int y\,dx$ を $t$ の積分に置き換えて計算できるか。
- 求めた関数のグラフを書き、中間値の定理で解の存在を示すという証明の型を、与えられた評価 $2.5<e<3$ を正しい向きで使って書けるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
(1) と (2) は計算するだけ、(3) は評価するだけで、中間値の定理で議論する問題。
やや簡単で、両方の学部とも満点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (3) の不等式の向き:$S(2)$ を上から押さえるには $e$ を上から($e<3$)、 $S(3)$ を下から押さえるには $e$ を下から($e>2.5$)使う。逆に使うと評価にならない。
- (1) で $dx=2t\,dt$ を忘れる:$\displaystyle\int_0^ae^{-t}dt$ としてしまうと以降が全滅する。
2005年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | やや簡単 | 50点 | 40点 |
| 第3問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 第4問 | 標準 | 40点 | 30点 |
| 第5問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 全体 | やや簡単 | 210点 | 160点 |
大問ごとの目標得点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。そのため、総合の目標点(医学部医学科で210点、その他の学部で160点)にはなりません。
第2問は行列の問題です。
行列は現在の高校数学の範囲外なので、この記事では解答・解説を載せていません。
総合の目標点(医学部医学科210点、その他の学部160点)は、第2問も含めた当時の目安です。
どの大問も誘導が細かく、典型の手順をそのまま使えば進められる、やや簡単な年でした。
第1問と第5問は確実に満点を取り、第3問は図形の範囲を端点まで、第4問はガウス記号の境目の等号まで書き切れるかで点差がつきます。
解く流れ
第1問 → 第5問 → 第3問 → 第4問(第2問の行列は今の受験生は解かなくてよい)。
2005年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2005年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2005年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
やや簡単な年でした。
第1問は簡単、第5問はやや簡単、第3問・第4問は標準です。
第2問(行列)は現行課程の範囲外です。 - 2005年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で210点、その他の学部で160点です(250点満点)。
- 2005年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第5問は完答必須です。そのうえで、差がつくのは次の2つです。
- 第4問:ガウス記号の値で場合分けして外し、境目の等号と (3) の左辺が $0$ になる場合まで書き切れたか(2005年の合否を分けた一問)。
- 第3問 (2)(3):円全体と答えず、上半分・左半分で両端を除くところまで書き切れたか。
- 2005年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・積分(数学Ⅲ)
- 第2問:行列・数列
- 第3問:複素数平面
- 第4問:指数・対数・三角関数・整数
- 第5問:積分・微分法(数学Ⅲ)


