【解説・配点付き】2013年九州大学物理の解答・解説

2013年の九州大学・物理の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの配点付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

※本記事の問題は、九州大学の入学試験問題から引用しています。
解答・解説は九大専門塾・竜文会が独自に作成したもので、九州大学が公表したものではありません。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2013年九州大学物理
第1問 解答・解説

この記事の小問ごとの配点は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は力学の問題です。
テーマは「動く台の斜面を下る小物体。台と小物体の力学的エネルギーと重心の高さ、水平方向の重心が動かないことから求める移動距離、台を離れた直後の速さの比と速さ(水平方向の運動量保存と力学的エネルギー保存)、曲面を上る最高点の高さ、円弧に沿った重力の成分と、小さな円弧での単振動の1/4周期」。

問題

2013年九州大学物理 第1問 問題
2013年九州大学物理 第1問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。

図1のように水平な床、床となめらかに接続している曲面、質量 $M$ の台、質量 $m$ の大きさの無視できる小物体がある。台上の点Aと点Bの間は斜面になっており、点Aは床より $h$ だけ高く、点Bは床と同じ高さにある。点Aと点Bは水平方向には $w$ だけ離れている。斜面ABと床は点Bでなめらかにつながっている。台の重心Gは点Aの鉛直下方にあり、床からの高さは $l$ である。床と曲面は点Cで接続している。CDは半径 $r$ の円弧となっており、その中心点Pは点Cの鉛直上方にある。

台は床の上を移動でき、床から離れることはないものとする。小物体は斜面AB、床、および曲面CDの上を移動でき、これらの面のいずれかに常に接しているものとする。床の上にある台の位置エネルギーはゼロとする。小物体については床を位置エネルギーの基準面とする。重力加速度を $g$ とし、摩擦および空気抵抗は無視する。

問1. 最初、台は静止しており、点Gは床の上に固定された点Oの鉛直上方にあった。点Aに小物体を置いて、静かに放した。

(1) 台と小物体の力学的エネルギーの和を求めよ。

(2) 小物体が点Aにあるとき、小物体と台からなる2物体の重心の、床からの高さを求めよ。

問2. 斜面ABの上を小物体が下っている間、台も床の上を移動するが、小物体と台からなる2物体の重心は水平方向には移動しない。このことに注意して、小物体が台上の点Bまで来たとき、点Oから小物体までの距離を求めよ。

問3. その後、小物体は台を離れ、床の上を移動しはじめた。

(1) 次の文中の空欄 $\boxed{\text{ア}}$ と $\boxed{\text{イ}}$ に入る適切な語句を、下記の(A)〜(F)から選び、解答欄に記号で答えよ。

「小物体が点Aにある時から台を離れた直後までの間、小物体と台は水平方向には $\boxed{\text{ア}}$ を受けないため、小物体と台の $\boxed{\text{イ}}$ の水平成分の和は変化しない。」

(A) 抗力、(B) 運動エネルギー、(C) 外力、(D) 速度、(E) 運動量、

(F) 反作用

(2) 小物体が台を離れた直後、小物体の速さは台の速さの何倍になるか。

(3) 台を離れた直後の小物体の速さを求めよ。

問4. その後、小物体は曲面CDをのぼり、最高点Dに達し、下りはじめた。

(1) 点Dの床からの高さを求めよ。

(2) $M$ が $m$ より十分大きく $\dfrac{m}{M}=0$ とおける場合、点Dの床からの高さを求めよ。

(3) 点Cから小物体までの円弧の長さを $x$ とする。また小物体が受ける重力の、曲面に沿った方向の成分を $F$ とする。 $x$ が $r$ より十分小さいとき、 $F$ は $x$ に比例する。その比例定数を解答欄に書け。ただし $F$ の符号は曲面をのぼる向きを正とする。

(4) (3)で考えた $x$ と $F$ は、それぞれ、単振動する物体の変位とその物体が受ける復元力とみなすことができる。このことを踏まえて、円弧CDの長さが $r$ より十分小さいとき、小物体が点Dから点Cまで下るのにかかる時間を求めよ。

解答の方針

【問1の方針】

着眼点

台は床の上にあって位置エネルギーは0で、はじめは全体が静止している。2物体の重心は、質量で重みをつけた位置の平均。

  1. 台の位置エネルギー・運動エネルギーと、小物体の運動エネルギーがいずれも0であることを確かめ、力学的エネルギーを求める((1))。
  2. 台全体の質量 $M$ が重心Gに集まっているとみて、台(質量 $M$ 、重心の高さ $l$ )と小物体(質量 $m$ 、高さ $h$ )の高さを、質量で重みをつけて平均する((2))。

【問2の方針】

着眼点

まず運動を想像する。小物体が斜面を右へ下れば、台は反動で左へ動く。水平方向の外力はないので、2物体の重心は水平に動かない(下の図)。

2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
  1. 右向きを正、点Oを原点にとり、台の変位を $X$ と置く。B は台に固定された点なので、小物体が B に来たときの座標は $X+w$ と表せる。
  2. 水平方向の重心の位置が、はじめと変わらないことを式にして $X$ を求める。
  3. 小物体の座標 $X+w$ が、点Oから小物体までの距離になる。

【問3の方針】

着眼点

水平方向には外力を受けないので、運動量の和が保存する。垂直抗力の仕事の和は0なので、力学的エネルギーも保存する(下の図)。

2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
  1. 空欄の文を読み、水平方向に何を受けないか、何の和が変化しないかを選ぶ((1))。
  2. 右向きを正とし、小物体の速度 $v>0$ 、台の速度 $V<0$ と見当をつけ、水平方向の運動量保存を立てて速さの比を求める((2))。
  3. 垂直抗力は小物体と台に同じ大きさで逆向きの仕事をするので、物体系の力学的エネルギーは保存する。はじめと台を離れた直後で保存の式を立て、(2) の関係を入れて小物体の速さを求める((3))。

【問4 (1)(2)の方針】

着眼点

台を離れたあとは、曲面を上るのは小物体だけ。台が運動エネルギーを持っていったぶん、元の高さ $h$ まで上がれない(下の図)。

2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
  1. 台を離れたあとの小物体の運動エネルギーが、Dで位置エネルギーに全部変わるとして力学的エネルギー保存を立てる((1))。
  2. (1) の結果で $\dfrac mM=0$ とおく。台が非常に重ければ台は動かず、元の高さまで上がる((2))。

【問4 (3)(4)の方針】

着眼点

円弧が短ければ $\sin\theta\fallingdotseq\theta$ と近似でき、円弧に沿った力は $x$ に比例する復元力になって単振動とみなせる。点Cが中心、Dが端なので、DからCは周期の1/4(下の図)。

2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第1問 解答の方針の図
  1. 点Cから小物体までの円弧の長さ $x$ から中心角 $\theta$ を $r$ と $x$ で表し、曲面に沿った重力の成分 $F$ を $\theta$ で表す。小さい $\theta$ で近似して比例定数を求める((3))。
  2. 運動方程式 $ma=F$ から単振動の周期を求める(周期は振幅によらない)。DからCまでの時間は、周期の1/4((4))。

解答

2013年九州大学物理 第1問 解答・解説
2013年九州大学物理 第1問 解答・解説
2013年九州大学物理 第1問 解答・解説(続き)
2013年九州大学物理 第1問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

問1 (1)

台は床の上にあるので位置エネルギーは0、はじめ全体は静止していて運動エネルギーも0。小物体も静止していて運動エネルギーは0。床を基準にすると、小物体の位置エネルギーは $mgh$ 。

答 $mgh$(3点)

問1 (2)

重心の高さを $y_{\mathrm G}$ とする。台(質量 $M$ )の重心Gの高さは $l$ 、小物体(質量 $m$ )の高さは $h$ 。重心は、質量で重みをつけた高さの平均なので

$$y_{\mathrm G}=\frac{M\cdot l+m\cdot h}{M+m}$$

(高さ $h$ と $l$ を質量の逆比 $M:m$ に内分した点。重い台のほうに近くなる。下の図)

答 $\dfrac{Ml+mh}{M+m}$(3点)

問2

右向きを正、点Oを原点とする。はじめ、台の重心Gも小物体も点Oの真上にあるので、座標はどちらも0。小物体が B に来たとき、台の変位を $X$ とすると、B は台に固定された点で、A から水平に $w$ 離れているので、小物体の座標は $X+w$ (台の重心の座標は $X$ )。

水平方向には外力がないので、2物体の重心の水平位置は、はじめと変わらず0のまま。

$$\frac{M\cdot X+m\cdot(X+w)}{M+m}=0\qquad\therefore\ X=-\frac{m}{M+m}w$$

$X<0$ なので台は左へ動いている。小物体の座標は

$$X+w=\frac{M}{M+m}w$$

答 $\dfrac{M}{M+m}w$(5点)

(台と小物体の動く距離の比は、質量の逆比 $m:M$ 。軽い小物体のほうが長く動く。)

問3 (1)

小物体と台の間の垂直抗力は、どちらにとっても相手から受ける力(作用反作用の内力)。重力と床の垂直抗力は鉛直なので、水平方向には、台と小物体の外にある物体から力を受けない。よって、水平成分の運動量の和は変化しない。

答(ア) (C) 外力(2点)

答(イ) (E) 運動量(2点)

問3 (2)

右向きを正、台を離れた直後の小物体の速度を $v$ 、台の速度を $V$ とする。小物体は右へ、台は左へ動くので $v>0$ 、 $V<0$ 。はじめは全体が静止していて運動量の和は0。水平方向の運動量保存より

$$0=mv+MV\qquad\therefore\ V=-\frac mMv$$

速さの比は $\dfrac{v}{|V|}=\dfrac Mm$ 。速さの比なので正の値で、向きは逆。

答 $\dfrac Mm$ 倍(4点)

問3 (3)

垂直抗力は小物体と台に同じ大きさで逆向きの仕事をするので仕事の和は0。重力以外に仕事をする力はなく、台と小物体をまとめた力学的エネルギーが保存する。台は床の上にあり位置エネルギーは変わらない。はじめ $mgh$ 、台を離れた直後は両方の運動エネルギーだけ。

$$mgh=\frac12mv^2+\frac12MV^2$$

(2) の $V=-\dfrac mMv$ を入れて

$$mgh=\frac12mv^2\left(1+\frac mM\right)\qquad\therefore\ v^2=\frac{2Mgh}{M+m}$$

$v>0$ より

答 $\sqrt{\dfrac{2Mgh}{M+m}}$(5点)

問4 (1)

小物体が台を離れたあとは、曲面を上るのは小物体だけ。曲面はなめらかなので、小物体の力学的エネルギーが保存する。最高点Dで速さは0。床からの高さを $H$ とすると

$$\frac12mv^2=mgH\qquad\therefore\ H=\frac{v^2}{2g}$$

問3 (3) の $v^2$ を入れて

答 $\dfrac{M}{M+m}h$(4点)

(元の高さ $h$ より低い。台が持っていった運動エネルギー $\dfrac12MV^2=\dfrac{m}{M+m}mgh$ のぶん、小物体の位置エネルギーが減ったため。)

問4 (2)

(1) の結果は $H=\dfrac{h}{1+\frac mM}$ 。 $\dfrac mM=0$ とおくと

答 $h$(2点)

( $M$ が十分に大きいと、台は動かず運動エネルギーを持っていかない。台が固定されているのと同じなので、元の高さまで上がる。)

問4 (3)

点Cから小物体までの円弧の長さが $x$ 、半径が $r$ なので、中心角は $\theta=\dfrac xr$ 。小物体が受ける重力の、曲面に沿った成分の大きさは $mg\sin\theta$ で、下る向き(Cへ向かう向き)。のぼる向きを正とすると

$$F=-mg\sin\theta$$

$x$ が $r$ より十分小さいとき $\theta$ は小さく、 $\sin\theta\fallingdotseq\theta$ なので

$$F=-mg\cdot\frac xr=-\frac{mg}{r}x$$

答 $-\dfrac{mg}{r}$(5点)

問4 (4)

$F=-\dfrac{mg}{r}x$ は、変位 $x$ に比例して逆向きにはたらく復元力。曲面に沿った加速度を $a$ とすると、運動方程式は

$$ma=-\frac{mg}{r}x\qquad\therefore\ a=-\frac gr\,x$$

単振動の $a=-\omega^2x$ と比べて $\omega=\sqrt{\dfrac gr}$ 、周期は

$$T=\frac{2\pi}{\omega}=2\pi\sqrt{\frac rg}$$

Dは振動の端(速さ0)、Cは振動の中心。端から中心までは周期の $\dfrac14$ なので

答 $\dfrac{\pi}{2}\sqrt{\dfrac rg}$(5点)

(周期は振幅(円弧CDの長さ)によらないので、答えに円弧の長さは入らない。)

別解

問2 (運動量保存から速度の比を使って) 水平方向の運動量保存より、小物体の速度と台の速度は、どの瞬間も大きさの比が $M:m$ で逆向き(問3 (2) と同じ関係)。比が一定なので、移動距離の比も $M:m$ 。小物体が台に対して進んだ距離は $w$ で、台と小物体が逆向きに動くぶん「小物体の移動距離+台の移動距離=$w$」。よって小物体は $w$ のうち $\dfrac{M}{M+m}$ を動く。本解は、問題文が「重心は水平方向には移動しない」と書いているので、重心の式を使った。

問4 (4) (既知の周期の式で) 小さな円弧の上の運動は、長さ $r$ の単振り子と同じ。周期の公式 $T=2\pi\sqrt{\dfrac rg}$ をそのまま使い、1/4を取る。公式で済ませてよいのは、本解のように運動方程式から導けるようになってから。

出題意図

問1 台の位置エネルギーが0・静止という設定から力学的エネルギーを求め、2物体の重心を定義どおり求めることができるか

問2 台が小物体と逆向きに動くことを想像し、水平方向の重心が動かないことから距離を求めることができるか

問3 水平方向に外力がないことに気づき、運動量保存と力学的エネルギー保存の2本で台を離れた直後の速さを求めることができるか

問4 (1)(2) 台を離れたあとは小物体だけの運動になることを捉え、台が持っていくエネルギーのぶん上がる高さが低くなることを求めることができるか

問4 (3)(4) 小さな円弧の上の運動が、復元力に比例する単振動とみなせることに気づき、端から中心までの時間(1/4周期)を求めることができるか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点40点35点
目標時間20分25分

動く台の問題の決まった流れで解ける大問。
決め手は運動を想像できるかどうかで、小物体が右へ下れば台は左へ動き、水平方向の重心は動かない。
動く台は「水平方向の運動量保存+物体系の力学的エネルギー保存」、台を離れたあとは小物体だけの運動、最後は円弧の単振動と進む。
良問の風を完璧にしていれば解けるので、医学科は満点、ほかの学部も問4 (3) までは確実に取りたい大問。

差がつく所・失点しやすい所

  • 問2:運動を想像できるか。小物体が下れば台は逆向き(左)に動くので、小物体の移動距離は $w$ より短い、という発想に行き着けるか。
  • 問4 (3)(4):円弧が短いとき復元力に比例して単振動とみなせる、という発想に行き着けるか。端から中心までが周期の1/4だと気づけば、周期の式に入れるだけ。

2013年九州大学物理
第2問 解答・解説

第2問は電磁気の問題です。
テーマは「磁場の領域(半円運動)と電場の領域(等加速度運動)を行き来する荷電粒子。軌道に沿って、OP間の距離と時間・磁場の向き・加速度・速さ・磁束密度を求め、電場を強めて Q で引き返すようにした往復運動では、くり返しの平均の速さを求める」。

問題

2013年九州大学物理 第2問 問題
2013年九州大学物理 第2問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。

真空中に $x$、 $y$ 座標を図2(a)のようにとり、質量 $m$、電荷 $q\,(q>0)$ の1個の荷電粒子が $xy$ 平面内で運動する場合を考える。図2(a)中に網かけで示した2つの領域には $xy$ 平面に垂直な方向を向いた一様な磁場が存在し、その磁束密度の大きさは、それぞれ、 $y>0$ で表される領域1では $B_1$ であり、 $y<-d$ で表される領域2では $B_2$ である。また、 $-d\leqq y\leqq0$ で表される領域3には $y$ 軸の正の方向を向いた一様な電場が存在する。なお、荷電粒子の大きさと重力の影響は無視できるものとする。

いま、領域3の電場の大きさが $E\,(E>0)$ であるとする。はじめに原点Oの位置にあった荷電粒子が速さ $v_0$ で $y$ 軸の正の方向に放出され、O、P、Q、R、S、…の各点を通る軌道を描いて運動した。ここで、直線距離 $\mathrm{OP}=\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ であった。以下の問題中、式で答える問題では、特に断らない限り、 $m$、 $q$、 $d$、 $E$、 $B_1$、 $v_0$ のうち必要なものを用いて答えよ。

問1. 荷電粒子が、領域1および領域2を通過する際に、磁場から受ける力は何と呼ばれるか。

問2. 領域1および領域2中の磁場の向きは、それぞれ紙面の「表から裏」、または「裏から表」のどちらか。

問3. OP間の直線距離を求めよ。

問4. 荷電粒子がOP間の軌道を描くのに要する時間を求めよ。

問5. 荷電粒子がOP間の軌道を描く際に、磁場が荷電粒子にする仕事を求めよ。

問6. 荷電粒子が点Pから点Qに向かって運動するときの加速度の大きさと向きを求めよ。

問7. 荷電粒子が点Qに達したときの荷電粒子の速さを求めよ。

問8. 領域2の磁束密度の大きさ $B_2$ を求めよ。ただし、問7で求めた速さを $v_{\mathrm{Q}}$ として、 $v_{\mathrm{Q}}$ を用いて答えよ。

次に図2(a)と同じ状況で電場の大きさだけを $E’\,(E’>0)$ にしたところ、図2(b)のように、原点Oから速さ $v_0$ で $y$ 軸の正の方向に放出された荷電粒子は点Pを通って点Qまで到達したのち、そこから引き返して点Pに戻り、このようにして、点O、P、Q、P、S、R、S、…を順に通って運動した。

問9. このとき、電場の大きさ $E’$ を求めよ。

問10. 荷電粒子が点Pを通過した瞬間から点Qに到達するまでの時間を求めよ。

問11. 運動をはじめてから十分長い時間を考えると、荷電粒子は図2(b)の軌道を描きながら、ある平均の速さで $x$ 方向に進んでいるとみなすことができる。この平均の速さを求めよ。

解答の方針

【問1〜問8の方針】

着眼点

大前提は「磁場の中は円運動、電場の中は一定の力で等加速度運動」。軌道は O→P→Q→R→S の順(下の図)。条件の中身は $\mathrm{OP}=\mathrm{QR}$ だけ。

2013年九州大学物理 第2問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第2問 解答の方針の図
  1. 磁場から受ける力の名前を答える(問1)。
  2. 軌道から力の向き(円の中心向き)を読み、速度と力の向きから磁場の向きを決める。領域1・2とも同じ手順(問2)。
  3. ローレンツ力を向心力とする円運動の運動方程式から半径を求める。OP は半円の直径(問3)。
  4. 半周の長さを速さで割って時間を求める(問4)。
  5. ローレンツ力が速度と垂直であることから仕事を決める(問5)。
  6. 領域3の電場の力から加速度の大きさと向きを求める。P→Q は下へ進むので減速になる(問6)。
  7. 領域3で仕事をするのは電場の力だけ。仕事とエネルギーの関係で Q での速さを求める(問7)。
  8. PQ と RS はどちらも $y$ 軸に平行で長さ $d$ なので $\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ はいつも成り立つ。領域2の半径を Q での速さで表し、 $\mathrm{QR}=\mathrm{OP}$ とおいて $B_2$ を求める(問8)。

【問9〜問11の方針】

着眼点

電場を強めると、粒子は Q でちょうど速さが 0 になって同じ加速度で引き返し、P に速さ $v_0$ ・上向きで戻る。半円と往復の同じ形のくり返しなので、平均の速さは1回分の距離÷時間(下の図)。

2013年九州大学物理 第2問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第2問 解答の方針の図
  1. Q でちょうど速さが 0 になる条件を、仕事とエネルギーの関係で立てて $E’$ を求める(問9)。
  2. P→Q を一定の加速度で減速する運動として、時間を求める(問10)。
  3. 1回のくり返し(O→P の半円+ P→Q→P の往復)で $x$ 方向に進む距離(往復の間は進まない)と、かかる時間を求め、距離÷時間とする(問11)。

解答

2013年九州大学物理 第2問 解答・解説
2013年九州大学物理 第2問 解答・解説
2013年九州大学物理 第2問 解答・解説(続き)
2013年九州大学物理 第2問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

問1

磁場の中を運動する荷電粒子が、磁場から受ける力は

答 ローレンツ力(3点)

(速度と垂直な向きにはたらく力)

問2

軌道から力の向きを読み、力と速度から磁場の向きを決める。ローレンツ力は $q\vec v\times\vec B$ で、フレミングの左手の法則(人差し指=磁場、中指=速度、親指=力)と同じ。

領域1:O で速度は $y$ 軸の正の向き。軌道は右( $x$ 軸の正の向き)へ曲がるので、力は $x$ 軸の正の向き(円の中心向き)。 $y$ 軸の正の向きの速度で $x$ 軸の正の向きの力を受ける正の電荷の磁場は、紙面の裏から表向き(手前向き)。

領域2:Q で速度は $y$ 軸の負の向き。軌道はやはり右へ曲がるので、力は $x$ 軸の正の向き。速度が逆向きで力が同じ向きなので、磁場は領域1と逆向きの、紙面の表から裏向き(下の図)。

答(領域1) 裏から表(2点)

答(領域2) 表から裏(2点)

問3

領域1では、ローレンツ力 $qv_0B_1$ が向心力になって半径 $r_1$ の等速円運動をする。円運動の運動方程式は

$$m\frac{v_0^{\,2}}{r_1}=qv_0B_1\qquad\therefore\ r_1=\frac{mv_0}{qB_1}$$

(答えごと覚える式)。OP は半円の直径なので $2r_1$。

答 $\dfrac{2mv_0}{qB_1}$(4点)

問4

OP 間の軌道は半円で、長さは $\pi r_1$。速さは $v_0$ のまま(問5)なので、時間は

$$\frac{\pi r_1}{v_0}=\frac{\pi m}{qB_1}$$

答 $\dfrac{\pi m}{qB_1}$(4点)

(周期 $T=\dfrac{2\pi m}{qB_1}$ の半分。 $v_0$ によらない。下のコラム)

問5

ローレンツ力は、いつも速度と垂直にはたらく。力の向きと動く向きが垂直なので、仕事はしない。

答 $0$(3点)

(速さは $v_0$ のまま変わらない。運動エネルギーを変えられるのは、領域3の電場だけ)

問6

領域3の粒子にはたらく力は電場の力だけ(重力は無視)。 $q>0$ なので力は電場と同じ向き( $y$ 軸の正の向き)に $qE$。運動方程式 $ma=qE$ より

答(大きさ) $\dfrac{qE}{m}$(2点)

答(向き) $y$ 軸の正の向き(2点)

(P→Q では粒子は下へ進むので、この加速度は減速の向き)

問7

領域3で仕事をするのは電場の力だけ。P から Q まで、粒子は下へ $d$ 動き、力は上向き $qE$ なので、力と動く向きが逆で、電場がする仕事は $-qEd$ (下の図)。仕事とエネルギーの関係より

$$\frac12mv_{\mathrm Q}^{\,2}-\frac12mv_0^{\,2}=-qEd\qquad\therefore\ v_{\mathrm Q}=\sqrt{v_0^{\,2}-\frac{2qEd}{m}}$$

答 $\sqrt{v_0^{\,2}-\dfrac{2qEd}{m}}$(4点)

( $v_0^{\,2}>\dfrac{2qEd}{m}$ でないと Q に着かない。図2(a)では着いているので根号の中は正)

問8

領域2でも、問3と同じ円運動の運動方程式で半径は $r_2=\dfrac{mv_{\mathrm Q}}{qB_2}$ 。QR は半円の直径なので $\mathrm{QR}=2r_2=\dfrac{2mv_{\mathrm Q}}{qB_2}$ 。

PQ と RS はどちらも $y$ 軸に平行で長さ $d$ なので $\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ はいつも成り立つ。条件の中身は $\mathrm{OP}=\mathrm{QR}$ (下の図)。

$$\frac{2mv_0}{qB_1}=\frac{2mv_{\mathrm Q}}{qB_2}\qquad\therefore\ B_2=\frac{v_{\mathrm Q}}{v_0}B_1$$

答 $B_2=\dfrac{v_{\mathrm Q}}{v_0}B_1$(5点)

( $v_{\mathrm Q}<v_0$ なので $B_2<B_1$ 。遅くなった分、磁場を弱くして半径をそろえている)

問9

図2(b)では、粒子は Q でちょうど止まって引き返す。P から Q まで下へ $d$ 動く間、電場の力 $qE’$ は上向きで、電場がする仕事は $-qE’d$ 。速さが $v_0$ から 0 になるので

$$0-\frac12mv_0^{\,2}=-qE’d\qquad\therefore\ E’=\frac{mv_0^{\,2}}{2qd}$$

答 $E’=\dfrac{mv_0^{\,2}}{2qd}$(4点)

問10

領域3の加速度の大きさは、問6の $E$ を $E’$ にして $a’=\dfrac{qE’}{m}$ 。問9の $E’$ を入れると $a’=\dfrac{v_0^{\,2}}{2d}$ 。P で下向きの速さ $v_0$ の粒子が一定の加速度で減速して 0 になる時間は

$$t=\frac{v_0}{a’}=\frac{2d}{v_0}$$

答 $\dfrac{2d}{v_0}$(5点)

問11

1回のくり返しは、O→P の半円と、P→Q→P の往復(下の図)。往復では P に速さ $v_0$・上向きで戻ってくる(減速と加速は同じ大きさの加速度なので、Q→P も P→Q と同じ時間 $\dfrac{2d}{v_0}$ )。O を出たときと同じ状態なので、このあとも同じことをくり返す。

1回のくり返しで $x$ 方向に進む距離は OP = $\dfrac{2mv_0}{qB_1}$ (往復では $x$ 方向に進まない)。かかる時間は、半円(問4)と往復2回分(問10の2倍)で

$$\frac{\pi m}{qB_1}+2\cdot\frac{2d}{v_0}=\frac{\pi m}{qB_1}+\frac{4d}{v_0}$$

平均の速さは距離÷時間なので

$$\frac{\dfrac{2mv_0}{qB_1}}{\dfrac{\pi m}{qB_1}+\dfrac{4d}{v_0}}=\frac{2mv_0^{\,2}}{\pi mv_0+4qB_1d}$$

答 $\dfrac{2mv_0^{\,2}}{\pi mv_0+4qB_1d}$(5点)

(分母分子に $qB_1v_0$ をかけた)

別解

問7 (等加速度の式で) 問6の加速度は y 軸の正の向きなので、下向きの運動では向きと逆。下向きを正とすると加速度は $-\dfrac{qE}{m}$ 。距離 $d$ 進んだときの式 $v_{\mathrm Q}^{\,2}-v_0^{\,2}=2\left(-\dfrac{qE}{m}\right)d$ から、本解と同じ式になる。

問9 (等加速度の式で) 加速度の大きさ $a’=\dfrac{qE’}{m}$ で、距離 $d$ 進んで速さが 0 になるので $0-v_0^{\,2}=2(-a’)d$ 。 $a’=\dfrac{v_0^{\,2}}{2d}$ から $E’=\dfrac{ma’}{q}=\dfrac{mv_0^{\,2}}{2qd}$ 。

問10 (平均の速さで) 一定の加速度で $v_0$ から 0 まで減速するので、平均の速さは $\dfrac{v_0}{2}$ 。距離 $d$ を進む時間は $\dfrac{d}{v_0/2}=\dfrac{2d}{v_0}$ 。本解と同じ値になる。

出題意図

問1・問2 ローレンツ力という名前と、軌道の曲がる向き(円の中心向きの力)から磁場の向きを決めることができるか

問3〜問5 磁場の中の半円運動の距離・時間・仕事を、円運動の運動方程式から求めることができるか

問6〜問8 電場の中の等加速度運動で速さを求め、OP=QR(半径がそろう)という条件から磁束密度を決めることができるか

問9〜問11 Q でちょうど止まる条件と、くり返し運動の平均の速さ(1回分の距離÷時間)を捉えることができるか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点45点40点
目標時間20分25分

「磁場の中は円運動、電場の中は等加速度」の2本で最後まで解ける荷電粒子の大問。
決め手は、領域を行き来する軌道を想像できるか。
P→Q で減速して Q での速さが $v_0$ より小さくなり、R→S で元に戻ると見えれば、問8の条件も問11の平均の速さも難しくない。
良問の風140と名問の森の質量分析器を白紙で再現できるなら、医学科は満点を取りに行こう。

差がつく所・失点しやすい所

  • 問8:条件の「 $\mathrm{OP}=\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ 」のうち $\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ は図の形からいつも成り立ち、中身は $\mathrm{OP}=\mathrm{QR}$(半径をそろえる)だと読み取る発想に行き着けるか。
  • 問11:周期的にくり返す運動の平均の速さを、1回のくり返しの距離÷時間と捉え、往復の時間を足し忘れない発想に行き着けるか。
  • 問2:領域1と領域2で磁場の向きが逆になることを、軌道の曲がる向き(円の中心向きの力)から決められるか。

コラム サイクロトロン

2013年九州大学物理 第2問 コラムの図
2013年九州大学物理 第2問 コラムの図
  • 問4の半周の時間 $\dfrac{\pi m}{qB_1}$ は、速さ $v_0$ によらない。磁場の中の円運動は、速くなれば半径が大きくなるだけで、1周にかかる時間は変わらない。この性質をそのまま使った粒子加速器がサイクロトロン。
  • しくみは、磁場の中に半円形の中空の電極(D形電極)を2個、狭いすき間をあけて向かい合わせに置くだけ。粒子は電極の中では電場を受けず、磁場で半円を回る。すき間に出たときだけ電場で加速され、速さが増えるので、次の半円は少し大きくなる。半周の時間は毎回同じなので、すき間の電場の向きをその時間ごとに切りかえておけば(交流の電圧をかけておけば)、すき間を通るたびに必ず加速される。
  • この問題との違いは、電場の向きが一定なところ。P→Q では減速、R→S では加速で、差し引き 0 になり、粒子は同じ速さで $x$ 方向に進み続ける。電場の向きを切りかえるサイクロトロンでは、加速が積み重なって軌道が外へ広がる。なお、速さが光速に近づくと質量が増えて周期が変わり、このしくみでは加速できなくなる。

(問題との対応:問4=半周の時間が速さによらない/問3=半径は速さに比例)

2013年九州大学物理
第3問 解答・解説

第3問は波動の問題です。
テーマは「$x=5\ \mathrm m$ の地点の時間変化のグラフと $t=0$ の波形のグラフから水面波の式を作り、次に、直立壁で反射した波を入射波と重ねて定常波の式を作って、壁の位置・振幅の比・節の個数の条件を求める」。

問題

2013年九州大学物理 第3問 問題
2013年九州大学物理 第3問 問題
問題文をテキストで読む

以下の問いに答えよ。

水面に発生する波について考える。

問1. 無限に広い水面上で、水面の高さ $h$ が図3(a)、(b)のように変化する正弦波が観測された。観測された波は時間、空間に対して無限に続いていて、 $x$ 方向にのみ伝わっているものとする。図3(a)は時刻 $t=0\ \mathrm{s}$ のときの波形を、図3(b)は $x=5\ \mathrm{m}$ の地点における水面の高さの時間変化をそれぞれ表している。

(1) この波の振幅、波長、周期、ならびに波の進む速さを求めよ。なお、それぞれ単位をつけて解答すること。

(2) 次式で表した水面の高さ $h(x,\ t)$ において、 $a$〜$d$ の値をそれぞれ単位をつけて求めよ。なお、 $a$、 $b$ については、 $a>0\ \mathrm{m}$、 $-10\ \mathrm{m}<b<10\ \mathrm{m}$ を満足する値を選ぶこと。

$$h(x,\ t)=a\sin\left\{2\pi\left(\frac{x+b}{c}+\frac{t}{d}\right)\right\}$$

問2. 図3(c)に示すように $x$ 軸の正方向に進行する入射波 $h_{\mathrm{i}}(x,\ t)$ が、次式で表されている場合を考える。

$$h_{\mathrm{i}}(x,\ t)=A\cos\left\{2\pi\left(\frac{x}{\lambda}-\frac{t}{T}\right)\right\}$$

ここで、 $A$、 $\lambda$、 $T$ は $x$ および $t$ によらない正の定数とする。

(1) $x=x_{\mathrm{w}}\,(x_{\mathrm{w}}>0)$ にある $x$ 軸に対して直交する直立壁において、この波が反射して反射波 $h_{\mathrm{r}}(x,\ t)$ が発生した。

$h_{\mathrm{r}}(x,\ t)$ を次式で表す場合に、 $D$ と $E$ に入る組み合わせのうち正しいものを下記のア〜カから選び解答欄に記号で答えよ。

$$h_{\mathrm{r}}(x,\ t)=D\cos(2\pi E+\delta)$$

ここで、 $\delta$ は直立壁の位置 $x_{\mathrm{w}}$ により決定される位相のずれを表し、 $x$ および $t$ によらないとする。

$D$$E$
ア$A$$\dfrac{x}{\lambda}-\dfrac{t}{T}$
イ$\dfrac{A}{2}$$\dfrac{x}{\lambda}-\dfrac{t}{T}$
ウ$2A$$\dfrac{x}{\lambda}-\dfrac{t}{T}$
エ$A$$\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}$
オ$\dfrac{A}{2}$$\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}$
カ$2A$$\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}$

(2) 上述の状況について説明した次の文中の四角に入る言葉の組み合わせのうち正しいものを下記のア〜エから選び解答欄に記号で答えよ。

「水面上の入射波は直立壁で水面が上下に動ける $\boxed{\text{i}}$ 反射するため、壁の位置で定常波は $\boxed{\text{ii}}$ を示す。」

iii
ア自由端節
イ自由端腹
ウ固定端節
エ固定端腹

(3) 上述の入射波 $h_{\mathrm{i}}(x,\ t)$ と反射波 $h_{\mathrm{r}}(x,\ t)$ を合成した定常波 $H(x,\ t)$ を次式で表すとき、 $F$、 $G$、 $K$ をそれぞれ $A$、 $\lambda$、 $T$、 $x$、 $t$、 $\delta$ のうち必要なものを用いて答えよ。

$$H(x,\ t)=F\cos G\cos K$$

なお、必要に応じて次の公式を用いてよい。

$$\cos\alpha+\cos\beta=2\cos\frac{\alpha+\beta}{2}\cos\frac{\alpha-\beta}{2}$$

(4) 次に、 $\delta$ を次式のように表した場合、直立壁 $(x=x_{\mathrm{w}})$ での反射の仕方を考えて、 $P$ を $x_{\mathrm{w}}$ を用いて答えよ。

$$\delta=2\pi\left(n+\frac{P}{\lambda}\right)\qquad(n=0,\ \pm1,\ \pm2,\ \pm3,\ \cdots)$$

(5) 上で得られた $\delta$ について $n=0$ の場合を考える。このとき、ある位置 $x$ における定常波 $H(x,\ t)$ と直立壁の位置における定常波 $H_{\mathrm{w}}=H(x_{\mathrm{w}},\ t)$ について、それぞれが1周期の中で取り得る最大値 $H_{\mathrm{max}}$ と $H_{\mathrm{wmax}}$ の比 $\dfrac{H_{\mathrm{max}}}{H_{\mathrm{wmax}}}$ を表す式を $A$、 $\lambda$、 $x$、 $x_{\mathrm{w}}$ のうち必要なものを用いて求めよ。

(6) いま、上で得られた定常波について、 $0\leqq x\leqq x_{\mathrm{w}}$ の区間内に節が3つ発生していた場合に $x_{\mathrm{w}}$ が満たすべき条件を求めよ。

解答の方針

【問1の方針】

着眼点

横軸が $x$ のグラフの山と山の間隔は波長、横軸が $t$ のグラフでは周期(下の図)。

2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図

基準が $x=5\ \mathrm m$ でも、「いつ原点にあったか」を「いつ $x=5$ にあったか」に置きかえるだけ(下の図)。

2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
  1. (1) 図3(a)から振幅と波長、図3(b)から周期を読み、 $v=\dfrac{\lambda}{T}$ で速さを求める。
  2. (1) 図3(a)を少し右へずらしたとき、 $x=5$ の高さの変化が図3(b)と合うかどうかで、波の進む向きを確かめる。
  3. (2) 図3(b)の振動を式にする($x=5$ の地点で、 $t=0$ から下がる $-\sin$ 型)。
  4. (2) 位置 $x$ の水面は、 $\Delta t=\dfrac{x-5}{v}$ 秒前の $x=5$ の水面と同じなので、 $t$ を $t-\Delta t$ に置きかえる。
  5. (2) 形が $+\dfrac td$ なので $c$ か $d$ が負になり、答えは2組ある。値を入れ、 $-$ を $\sin$ の中に入れて、問題の形 $a\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x+b}{c}+\dfrac td\right)\right\}$ に合わせ、条件($a>0\ \mathrm m$、 $-10\ \mathrm m<b<10\ \mathrm m$)を確かめる。

【問2の方針】

着眼点

反射波は、壁の向こうの対称点 $2x_\mathrm w-x$ まで進んだ入射波と同じ道のり。位相のずれは文字で置く(下の図)。

2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図

定常波の式は、 $x$ の項が節・腹の位置、$t$ の項が時間変化を表す(下の図)。

2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
2013年九州大学物理 第3問 解答の方針の図
  1. (1) 入射波の式の $x$ を $2x_\mathrm w-x$ に置きかえ、位相を $\delta’$ ずらして反射波を書く。 $\cos(-\theta)=\cos\theta$ で $x$ の符号をそろえ、定数を $\delta$ にまとめて、 $D$ と $E$ を決める。
  2. (2) 水面は壁があっても上下に動けることから、自由端か固定端かを決め、壁の位置が腹か節かを答える。
  3. (3) 入射波と反射波を足し、与えられた和積の公式で $F\cos G\cos K$ の形にする。 $x$ を含む方を $G$、 $t$ を含む方を $K$ とする。
  4. (4) 壁が腹であることを、 $G$ に $x=x_\mathrm w$ を入れて $\pm1$ になる条件にし、 $\delta$ について解いて問題の形と比べる。
  5. (5) $n=0$ の $\delta$ を $G$ に入れる。1周期の最大値は $t$ の項が $\pm1$ のときの値なので、 $H_\mathrm{max}=2A\,|\cos G|$。壁での最大値で割る。
  6. (6) 壁を腹として、壁から $\dfrac14\lambda$ の所に1つ目の節、そこから $\dfrac12\lambda$ ごとに節を並べる。3つ目が $0\leqq x$ に入り、4つ目は入らない条件を不等式にする。

解答

2013年九州大学物理 第3問 解答・解説
2013年九州大学物理 第3問 解答・解説
2013年九州大学物理 第3問 解答・解説(続き)
2013年九州大学物理 第3問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

問1 (1)

図3(a)は $t=0$ の波形(横軸は $x$)。山の高さは $1.0\ \mathrm m$、山と山の間隔は $20\ \mathrm m$。図3(b)は $x=5\ \mathrm m$ の水面の高さの時間変化(横軸は $t$)。山と山の間隔は $10\ \mathrm s$。よって

$$v=\dfrac{\lambda}{T}=\dfrac{20}{10}=2.0\ \mathrm{m/s}$$

波の進む向きは、図3(a)の波形を少し右へずらして確かめる(下の図)。 $x=5\ \mathrm m$ は、 $x$ が増えると高くなる坂の途中にある。波が $+x$ 向きに進むと、左にあった低い所が $x=5$ に来るので、 $x=5$ の高さは下がる。図3(b)でも $t=0$ から下がっているので、波は $+x$ 向きに進む。

答 振幅 $1.0\ \mathrm m$、波長 $20\ \mathrm m$、周期 $10\ \mathrm s$、速さ $2.0\ \mathrm{m/s}$(4点)

問1 (2)

図3(b)は $x=5$ の振動で、 $t=0$ から下がる $-\sin$ 型なので

$$h(5,\ t)=-A\sin\dfrac{2\pi}{T}t$$

位置 $x$ の水面は、波が $x=5$ から $x$ まで進む時間 $\Delta t=\dfrac{x-5}{v}$ だけおくれて同じ振動をする。いつもの「いつ原点にあったか」が、「いつ $x=5$ にあったか」に変わっただけ。 $t$ を $t-\Delta t$ に置きかえる(下の図)。

$A=1.0$、 $T=10$、 $v=2.0$ を入れて

$$h(x,\ t)=-\sin\dfrac{2\pi}{10}\left(t-\dfrac{x-5}{2}\right)$$

$-$ を $\sin$ の中に入れて、 $\dfrac{2\pi}{10}\cdot\dfrac{x-5}{2}=2\pi\cdot\dfrac{x-5}{20}$ とそろえると

$$h(x,\ t)=\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x-5}{20}-\dfrac{t}{10}\right)\right\}$$

問題の形 $\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x+b}{c}+\dfrac td\right)\right\}$ と比べると、 $\dfrac{x-5}{20}$ から $b=-5.0\ \mathrm m$、 $c=20\ \mathrm m$。 $-\dfrac{t}{10}=\dfrac{t}{d}$ から $d=-10\ \mathrm s$。 $a=A=1.0\ \mathrm m$。形が $+\dfrac td$ なので、 $+x$ 向きの波では $d=T$ と決めつけられず、 $c$ か $d$ のどちらかが負になる。

答 $a=1.0\ \mathrm m$、 $b=-5.0\ \mathrm m$、 $c=20\ \mathrm m$、 $d=-10\ \mathrm s$ (または $a=1.0\ \mathrm m$、 $b=5.0\ \mathrm m$、 $c=-20\ \mathrm m$、 $d=10\ \mathrm s$)(6点)

(2組目も同じ波を表す。 $h(x,\ t)=\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x-5}{20}-\dfrac{t}{10}\right)\right\}$ の $\sin$ の中身を $\theta$ とおくと、2組目の中身は $-\theta-\pi$ と書け、 $\sin(-\theta-\pi)=\sin\theta$ だから。どちらを答えても正解。条件 $a>0\ \mathrm m$、 $-10\ \mathrm m<b<10\ \mathrm m$ を満たす組はこの2つだけ)

問2 (1)

入射波は $+x$ 向きに進む。壁ですべて反射するので、反射波は $-x$ 向きで、振幅は $A$ のまま。反射波は、壁の向こうまで入射波が進んだと考えたときの対称点 $2x_\mathrm w-x$ の入射波と同じ道のり(下の図)。反射の仕方が (4) まで決まっていないので、位相のずれを文字 $\delta’$ で置く。

$$h_\mathrm r(x,\ t)=A\cos\left\{2\pi\left(\dfrac{2x_\mathrm w-x}{\lambda}-\dfrac tT\right)+\delta’\right\}$$

$\cos(-\theta)=\cos\theta$ で、 $\cos$ の中身全体の符号を逆にして

$$h_\mathrm r(x,\ t)=A\cos\left\{2\pi\left(\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}\right)-\dfrac{4\pi x_\mathrm w}{\lambda}-\delta’\right\}$$

$-\dfrac{4\pi x_\mathrm w}{\lambda}-\delta’$ は $x$ にも $t$ にもよらない定数なので、 $\delta$ とまとめて $A\cos(2\pi E+\delta)$ の形になる。よって $D=A$、 $E=\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}$。

答 エ(5点)

問2 (2)

水面は、壁があっても上下に動ける。媒質が動けない所(固定端)は壁で変位が0になるが、ここは動けるので自由端。自由端では、壁の位置が最も大きく振れる。

答 イ(自由端・腹)(5点)

問2 (3)

$h_\mathrm i=A\cos\alpha$、 $h_\mathrm r=A\cos\beta$ とおくと、 $\alpha=2\pi\left(\dfrac{x}{\lambda}-\dfrac tT\right)$、 $\beta=2\pi\left(\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac tT\right)+\delta$。和積の公式を使うと

$$\dfrac{\alpha+\beta}{2}=\dfrac{2\pi x}{\lambda}+\dfrac{\delta}{2},\qquad\dfrac{\alpha-\beta}{2}=-\dfrac{2\pi t}{T}-\dfrac{\delta}{2}$$

$\cos$ は偶関数なので $\cos\left(-\dfrac{2\pi t}{T}-\dfrac\delta2\right)=\cos\left(\dfrac{2\pi t}{T}+\dfrac\delta2\right)$。

$$H(x,\ t)=2A\cos\left(\dfrac{2\pi x}{\lambda}+\dfrac{\delta}{2}\right)\cos\left(\dfrac{2\pi t}{T}+\dfrac{\delta}{2}\right)$$

$x$ を含む方($\cos G$)が、位置ごとの振れ幅を決める $x$ の項。 $t$ を含む方($\cos K$)が、時間とともに $-1$〜 $1$ を行き来する $t$ の項(下の図)。

答 $F=2A$、 $G=\dfrac{2\pi x}{\lambda}+\dfrac{\delta}{2}$、 $K=\dfrac{2\pi t}{T}+\dfrac{\delta}{2}$(5点)

($G$ と $K$ の入れかえや、 $K$ の符号を逆にした形も式としては同じ。ここでは $x$ を含む方を $G$ とした)

問2 (4)

(2) より壁 $x=x_\mathrm w$ は腹。腹は $x$ の項 $\cos G$ が $\pm1$ になる所(振れ幅が最大の $2A$ になる所)なので

$$\cos\left(\dfrac{2\pi x_\mathrm w}{\lambda}+\dfrac{\delta}{2}\right)=\pm1\qquad\therefore\ \dfrac{2\pi x_\mathrm w}{\lambda}+\dfrac{\delta}{2}=n\pi\quad(n=0,\ \pm1,\ \pm2,\ \cdots)$$

$\delta$ について解くと

$$\delta=2\pi\left(n-\dfrac{2x_\mathrm w}{\lambda}\right)$$

問題の形 $\delta=2\pi\left(n+\dfrac{P}{\lambda}\right)$ と比べて $P=-2x_\mathrm w$。((1) の $\delta=-\dfrac{4\pi x_\mathrm w}{\lambda}-\delta’$ と見比べると、 $\delta’$ は $2\pi$ の整数倍、つまり位相のずれなし。「自由端は反射で位相が変わらない」という知識と合う)

答 $P=-2x_\mathrm w$(5点)

問2 (5)

$n=0$ のとき $\delta=-\dfrac{4\pi x_\mathrm w}{\lambda}$ なので、 $\dfrac\delta2=-\dfrac{2\pi x_\mathrm w}{\lambda}$。これを (3) の $G$、 $K$ に入れて

$$H(x,\ t)=2A\cos\dfrac{2\pi(x-x_\mathrm w)}{\lambda}\cdot\cos\left(\dfrac{2\pi t}{T}-\dfrac{2\pi x_\mathrm w}{\lambda}\right)$$

$t$ の項は1周期のうちに $\pm1$ になるので、位置 $x$ の1周期の最大値は、 $x$ の項の絶対値を使って

$$H_\mathrm{max}=2A\left|\cos\dfrac{2\pi(x-x_\mathrm w)}{\lambda}\right|$$

(絶対値が必要。 $\cos$ が負になる位置でも、最大値は正の値)。壁の位置 $x=x_\mathrm w$ は腹で、 $x$ の項が $1$ なので $H_\mathrm{wmax}=2A$。

$$\dfrac{H_\mathrm{max}}{H_\mathrm{wmax}}=\left|\cos\dfrac{2\pi(x-x_\mathrm w)}{\lambda}\right|$$

答 $\left|\cos\dfrac{2\pi(x-x_\mathrm w)}{\lambda}\right|$(5点)

問2 (6)

数式でなく作図で数える。壁 $x=x_\mathrm w$ は腹で、壁から $\dfrac14\lambda$ の所に1つ目の節がある。そこから $\dfrac12\lambda$ ごとに2つ目、3つ目、……と節が並ぶ(下の図)。

3つ目の節は $x_\mathrm w-\dfrac54\lambda$、4つ目の節は $x_\mathrm w-\dfrac74\lambda$。区間 $0\leqq x\leqq x_\mathrm w$ に節がちょうど3つあるのは、3つ目が $x\geqq0$ に入り、4つ目は入らないとき。

$$x_\mathrm w-\dfrac74\lambda<0\leqq x_\mathrm w-\dfrac54\lambda$$

端の確認:$x_\mathrm w=\dfrac54\lambda$ のとき、3つ目の節がちょうど $x=0$ に来て、区間に入るので含む。 $x_\mathrm w=\dfrac74\lambda$ のときは、4つ目の節が $x=0$ に来て節が4つになるので含まない。

答 $\dfrac54\lambda\leqq x_\mathrm w<\dfrac74\lambda$(5点)

別解

問1 (2) (図3(a)の波形から作る) $t=0$ の波形は図3(a)より $h(x,\ 0)=-\cos\dfrac{2\pi x}{20}$。 $+x$ 向きに速さ $v=2.0\ \mathrm{m/s}$ で進むので、時刻 $t$ の波形は $x$ を $x-vt$ に置きかえて

$$h(x,\ t)=-\cos\left\{2\pi\left(\dfrac{x}{20}-\dfrac{t}{10}\right)\right\}=\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x}{20}-\dfrac{t}{10}-\dfrac14\right)\right\}=\sin\left\{2\pi\left(\dfrac{x-5}{20}-\dfrac{t}{10}\right)\right\}$$

本解と同じ式になる。本解は $y$-$t$ のグラフから作ったが、 $y$-$x$ のグラフからでも同じ式になるので、検算に使える。

問2 (1) (自由端と先に決める) 自由端では反射で位相が変わらないので、 $h_\mathrm r(x,\ t)=h_\mathrm i(2x_\mathrm w-x,\ t)$ として、 $\delta’=0$ のまま一気に

$$h_\mathrm r(x,\ t)=A\cos\left\{2\pi\left(\dfrac{x}{\lambda}+\dfrac{t}{T}\right)-\dfrac{4\pi x_\mathrm w}{\lambda}\right\}$$

と書ける。ただし本問は、(4) まで反射の仕方を決めずに進む流れなので、本解は $\delta’$ を文字で置いた。この一発の形は、(4) の結果の検算に使える。

問2 (6) (式で数える) 節は $x$ の項が0になる所。 $\cos\dfrac{2\pi(x-x_\mathrm w)}{\lambda}=0$ より、 $x\leqq x_\mathrm w$ の範囲で

$$x=x_\mathrm w-\dfrac{2k-1}{4}\lambda$$

( $k=1,\ 2,\ 3,\ \cdots$ )。 $0\leqq x_\mathrm w-\dfrac{2k-1}{4}\lambda$ を満たす $k$ が $1,\ 2,\ 3$ の3つだけ、という条件を書いても、本解と同じ結果になる。ただし式だけでは、端の等号や個数の数えまちがいが起きやすい。

出題意図

問1 (1) 横軸が $x$ のグラフと $t$ のグラフを読み分けて、波の4つの量と進む向きを求められるか

問1 (2) 基準が原点ではない地点($x=5\ \mathrm m$)のグラフから、いつもと同じ手順で波の式を作れるか

問2 (1)(2) 反射波の式の形(進む向きと振幅)と、水面の波が自由端で反射することを答えられるか

問2 (3)〜(5) 入射波と反射波から定常波の式を作り、 $x$ の項と $t$ の項の意味を読み取って、壁の位置と振幅の比を求められるか

問2 (6) 壁が腹の定常波で、区間に入る節の個数を作図で数えて条件にできるか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや難
目標得点25点15点
目標時間25分25分

この年の合否を分けた大問。
多くの受験生は $x=0$ を基準にした波しか練習していないので、$x=5\ \mathrm m$ が基準になっただけで難しくなり、反射の位相のずれを $\pi$ ではなく $\delta$ と置いて処理するのも難所。
ただし手順はいつもと同じで、「いつその地点にあったか」に置きかえ、定常波は $x$ の項(節・腹の位置)と $t$ の項(時間変化)に分けて読めば進める。
後半は落としてもよく、問2 (6) は作図だけで取れる。

差がつく所・失点しやすい所

  • 問1 (2):基準が原点ではなく $x=5\ \mathrm m$ の地点のグラフでも、「いつ $x=5$ にあったか」に置きかえて、いつもと同じ手順で式にできるか。この大問の合否を分ける所で、波の式を「なぜそう書けるか」から導けるかが問われる。
  • 問2 (4)(5):定常波の式の $x$ の項が節・腹の位置を決め、 $t$ の項が時間変化を表す、と意味を読めるか。式を覚えているだけでは進めず、ここも意味の理解で差がつく。

コラム グラフから波の式をつくる型:基準の地点がどこでも手順は同じ

この大問の問1 (2) は、波の式の問題の型で解ける。大事なのは、 $y$-$t$ のグラフが与えられたときに、基準の地点が原点でなくても手順を変えないこと。

2013年九州大学物理 第3問 コラムの図
2013年九州大学物理 第3問 コラムの図
  • グラフ1本を式にする:与えられた $y$-$t$(または $y$-$x$)のグラフを、まず式にする。この大問では、図3(b)の $x=5$ の振動が $h=-A\sin\dfrac{2\pi}{T}t$。
  • 基準の地点を言う:位置 $x$ の水面は、基準の地点の振動を $\dfrac{x-x_0}{v}$ 秒だけ遅らせたもの。基準が原点なら $x_0=0$ で $\dfrac xv$、今回は $x_0=5$ で $\dfrac{x-5}{v}$。波が $-x$ 向きなら進む向きが逆なので、 $t$ の符号が $+$ になる。
  • 問われた形に寄せる:$-$ は $\sin$ の中に入れ、問題の形の $\dfrac{x+b}{c}+\dfrac td$ に合わせる。形によっては $c$ や $d$ が負になり、同じ波を表す組が2つある。
  • 別の道で確かめる:$y$-$x$ のグラフから $x\to x-vt$ で作っても、同じ式になる(別解)。2通りで一致するかを確かめれば、向きや符号の誤りに気づける。

波の式の問題は、この型と、反射・定常波の「$x$ の項=節・腹の位置、 $t$ の項=時間変化」を押さえれば、初見の設定でも同じ手順で解ける。

2013年九州大学・物理の
講評とまとめ

3問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度医学部医学科その他の学部
第1問やや簡単40点35点
第2問やや簡単45点40点
第3問やや難25点15点
全体標準105点85点

大問ごとの目標得点は、それぞれの大問を単体で解いたときの理想の点です。そのため、総合の目標点(医学部医学科で105点、その他の学部で85点)にはなりません。

標準的な年で、この年の合否を分けたのは第3問の波の式です。
第1問・第2問はやや簡単で、特に第2問は運動さえ想像できればそれほど難しくありません。
第3問は $x=5\ \mathrm m$ が基準になっているだけで難しくなり、反射の位相のずれを $\delta$ と置いて処理するのも難所なので、後半は落としてもかまいません。
差がつくのは第3問の問1 (2) と問2 (4)(5) です。

解く流れ

第1問 → 第2問 → 第3問。

2013年九州大学・物理に
関するよくある質問

2013年の九州大学・物理について、よく聞かれる質問にお答えします。

2013年の九州大学・物理は難しかった?

標準的な年でした。
第1問・第2問はやや簡単、第3問はやや難で、第3問が合否を分けました。
第1問・第2問で確実に点を取り、第3問は取れる所を取る年でした。

2013年の九州大学・物理は何点取れば合格できる?

目標点は、医学部医学科で105点、その他の学部で85点です(125点満点)。

2013年の九州大学・物理はどこで差がつく?

第1問・第2問は運動を想像できれば取れる大問で、差がついたのは第3問と第2問の次の3つでした。

  • 第3問 問1 (2):基準が $x=5\ \mathrm m$ の地点でも、「いつ $x=5$ にあったか」に置きかえて、いつもと同じ手順で波の式を作れたか。
  • 第3問 問2 (4)(5):定常波の式の $x$ の項が節・腹の位置を決め、$t$ の項が時間変化を表すと意味を読めたか。
  • 第2問 問8:$\mathrm{OP}=\mathrm{PS}=\mathrm{QR}$ の条件の中身が $\mathrm{OP}=\mathrm{QR}$(半径をそろえる)だと読み取れたか。
2013年の九州大学・物理は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:力学
  • 第2問:電磁気
  • 第3問:波動

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