【解説・採点基準付き】2012年九州大学理系数学の解答・解説
2012年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2012年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$x$ 軸をまたぐ円を、 $x$ 軸のまわりに1回転してできる立体の体積」。
問題


問題文をテキストで読む
円 $x^2+(y-1)^2=4$ で囲まれた図形を $x$ 軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めよ。
解答の方針
体積は、ある所で切って断面積を求め、それを積分するだけ。円の式のままでは積分しづらいので、まず $y$ について解き、上の弧 $y_1=1+\sqrt{4-x^2}$ と下の弧 $y_2=1-\sqrt{4-x^2}$ に分ける。円の中心 $(0,1)$ は $x$ 軸より上にあるが、半径が2なので円は $x$ 軸をまたいでいる。 回転軸をまたぐ図形は、軸の下側を上側に折り返して片方に寄せる。折り返した弧は円の内側に入るので、 $x$ 軸より下の部分は上の部分に吸収され、 $x$ 軸より上の部分(下の図の塗った部分)だけを回せばよい。すると、断面に穴が開くのは下の弧 $y_2$ が $x$ 軸より上にある $\sqrt3\leqq|x|\leqq2$ だけで、外側の半径はいつも $y_1$ になる。


中原先生のコメント 図形が回転軸をまたぐときは、軸の下側を上側に折り返して片方に寄せる。重なった部分は上側に吸収されるので、あとはいつも通り、切って断面積を求めて積分するだけ。
図形は $y$ 軸に関して対称なので、 $x\geqq0$ の側を求めて2倍する。また、 $y=\sqrt{4-x^2}$ は半径2の円の上半分を表すので、その積分は置換積分をしなくても円の面積で求められる。 $\displaystyle\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ は、中心角 $30^\circ$ の扇形から直角三角形を引いた部分(下の図の濃い部分)の面積。


- 円の式を $y$ について解き、上の弧 $y_1=1+\sqrt{4-x^2}$、下の弧 $y_2=1-\sqrt{4-x^2}$ とする。
- $x$ 軸より下の部分を上に折り返すと上の部分に含まれるので、 $x$ 軸より上の部分を回せばよいことを確かめ、 $y_2\geqq0$ から穴が開く区間 $\sqrt3\leqq|x|\leqq2$ を求める。
- $x$ で切った断面積を、 $|x|\leqq\sqrt3$ では半径 $y_1$ の円、 $\sqrt3\leqq|x|\leqq2$ では外側の半径 $y_1$、内側の半径 $y_2$ の輪の面積として表す。
- $y$ 軸に関する対称性で2倍し、 $\pi$ と2を左辺に寄せて $\dfrac{V}{2\pi}=\displaystyle\int_0^2y_1^2\,dx-\int_{\sqrt3}^2y_2^2\,dx$ と立式する。
- $y_1^2$、 $y_2^2$ を代入し、 $5-x^2$ の部分は積分区間を統合して $\displaystyle\int_0^{\sqrt3}(5-x^2)\,dx$ にまとめる。
- $\displaystyle\int_0^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ は四分円、 $\displaystyle\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ は扇形から三角形を引いた面積として求め、最後に左辺の $2\pi$ を戻して $V$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
$x^2+(y-1)^2=4$ を $y$ について解くと $y=1\pm\sqrt{4-x^2}$ ( $-2\leqq x\leqq2$ )。上の弧を $y_1=1+\sqrt{4-x^2}$、下の弧を $y_2=1-\sqrt{4-x^2}$ とする。
[8/50点]
円は $x$ 軸をまたいでいる。 $x$ 軸より下の部分( $y_2<0$ となる $|x|<\sqrt3$ の部分)を $x$ 軸に関して折り返すと、下の弧は $y=-y_2=\sqrt{4-x^2}-1$ に移る。 $0<\sqrt{4-x^2}-1<\sqrt{4-x^2}+1=y_1$ なので、折り返した部分は $x$ 軸より上の部分に含まれる。よって、求める立体は円の $x$ 軸より上の部分(下の図の塗った部分)を回したものである。
$y_2\geqq0\iff\sqrt{4-x^2}\leqq1\iff x^2\geqq3$ なので、この部分は、 $|x|\leqq\sqrt3$ では $0\leqq y\leqq y_1$、 $\sqrt3\leqq|x|\leqq2$ では $y_2\leqq y\leqq y_1$ である。
[20/50点]
$x$ 軸に垂直な平面で切った断面は、 $|x|\leqq\sqrt3$ では半径 $y_1$ の円、 $\sqrt3\leqq|x|\leqq2$ では外側の半径 $y_1$、内側の半径 $y_2$ の輪なので、断面積 $S(x)$ は
$$S(x)=\begin{cases}\pi y_1^2&(|x|\leqq\sqrt3)\\\pi\left(y_1^2-y_2^2\right)&(\sqrt3\leqq|x|\leqq2)\end{cases}$$
図形は $y$ 軸に関して対称なので、 $x\geqq0$ の側を求めて2倍する。 $\pi$ と2を左辺に寄せて
$$\frac{V}{2\pi}=\int_0^2y_1^2\,dx-\int_{\sqrt3}^2y_2^2\,dx$$
$\pi$ や2倍のように何度も出てくる係数は、左辺に寄せておくと書き間違いが減る。ただし最後に戻すのを忘れる人が多いので、寄せるなら普段から癖にしておくこと。
[28/50点]
$y_1^2=5-x^2+2\sqrt{4-x^2}$、 $y_2^2=5-x^2-2\sqrt{4-x^2}$ なので
$$\frac{V}{2\pi}=\int_0^2(5-x^2)\,dx-\int_{\sqrt3}^2(5-x^2)\,dx+2\int_0^2\sqrt{4-x^2}\,dx+2\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx$$
はじめの2つは積分区間を統合して
$$\int_0^2(5-x^2)\,dx-\int_{\sqrt3}^2(5-x^2)\,dx=\int_0^{\sqrt3}(5-x^2)\,dx=5\sqrt3-\sqrt3=4\sqrt3$$
[36/50点]
$y=\sqrt{4-x^2}$ は半径2の円 $x^2+y^2=4$ の上半分を表す。 $\displaystyle\int_0^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ は半径2の四分円の面積で $\pi$。 $\displaystyle\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ は下の図の濃い部分の面積である。原点と点 $(\sqrt3,\,1)$ を結ぶ線分は、辺の比が $1:2:\sqrt3$ の直角三角形の斜辺なので、 $x$ 軸となす角は $30^\circ$。よって、中心角 $30^\circ$ の扇形から、直角をはさむ2辺が $\sqrt3$、 $1$ の直角三角形を引いて
$$\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx=\pi\cdot2^2\cdot\frac{1}{12}-\frac12\cdot\sqrt3\cdot1=\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2}$$
[44/50点]
よって
$$\frac{V}{2\pi}=4\sqrt3+2\pi+2\left(\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2}\right)=3\sqrt3+\frac{8}{3}\pi$$
左辺の $2\pi$ を戻して
$$V=2\pi\left(3\sqrt3+\frac{8}{3}\pi\right)=6\sqrt3\,\pi+\frac{16}{3}\pi^2$$
答 $6\sqrt3\,\pi+\dfrac{16}{3}\pi^2$
[50/50点]
別解( $\displaystyle\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx$ を置換積分で求める) $x=2\sin\theta$ とおくと、 $x$ が $\sqrt3$ から2まで動くとき $\theta$ は $\dfrac{\pi}{3}$ から $\dfrac{\pi}{2}$ まで動き、 $dx=2\cos\theta\,d\theta$。この範囲で $\cos\theta\geqq0$ なので $\sqrt{4-x^2}=2\cos\theta$ となり
$$\int_{\sqrt3}^2\sqrt{4-x^2}\,dx=\int_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}}4\cos^2\theta\,d\theta=\Big[2\theta+\sin2\theta\Big]_{\frac{\pi}{3}}^{\frac{\pi}{2}}=\pi-\left(\frac{2}{3}\pi+\frac{\sqrt3}{2}\right)=\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2}$$
出題意図
- 回転軸をまたぐ図形を回すとき、 軸の下側の部分は、上側の部分を回した立体に含まれることを捉えることができるか。
- 断面の外側の半径・内側の半径を図から読み取り、 穴が開く区間を正しく決められるか。
- $\displaystyle\int\sqrt{4-x^2}\,dx$ を円の面積として処理できるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 15分 |
誰もが確実に点数を取れるボーナス問題。
数学の得意・不得意で絶対に差がつかないので、数学が苦手な人ほどありがたい問題だ。
気をつけるのは、穴が開く両端の部分を引き忘れないことと、計算ミスだけ。
差がつく所・失点しやすい所
- 特になし:発想で差がつく所はない。差がつくとすれば計算を間違えないかどうかだけ。このレベルの問題で差をつけられるようでは、九大合格はかなり危ない。
2012年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は2次関数・式と証明の問題です。
テーマは「絶対値を含む方程式が実数解をもつ $a$ の範囲」。
問題


問題文をテキストで読む
実数 $a$ と自然数 $n$ に対して、 $x$ の方程式
$$a(x^2+|x+1|+n-1)=\sqrt n\,(x+1)$$
を考える。以下の問いに答えよ。
(1) この方程式が実数解を持つような $a$ の範囲を、 $n$ を用いて表せ。
(2) この方程式が、すべての自然数 $n$ に対して実数解を持つような $a$ の範囲を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
文字定数 $a$ を含む方程式なので、 $a$ だけを分離する(定数分離)。絶対値があるので身構えるが、やることは $a$ を分離し、絶対値を外して、右辺の最大・最小を求めるだけ。 $a$ にかかる式 $x^2+|x+1|+n-1$ はいつも正なので、割って $a=g(x)$ の形にできる。すると、方程式の実数解は $y=g(x)$ のグラフと直線 $y=a$ の交点の $x$ 座標になり、実数解をもつ $a$ の範囲は $g(x)$ のとりうる値の範囲に言いかえられる(下の図の $y$ 軸上の色の部分)。 $g(x)$ は絶対値の中身 $x+1$ の符号で2つの式に分かれる。最大・最小は、 $x$ で微分して増減を調べるのが普通の求め方(下の別解1)。ただしこの問題は、どちらの式も $x+1$ を1文字に置き換えると「分子が1次・分母が2次」の分数になるので、分母・分子をその文字で割ると、文字とその逆数の $n$ 倍の和( $x\geqq-1$ では $u=x+1$ として $u+\dfrac nu$)が現れ、積が定数 $n$ になるから相加平均・相乗平均の関係が使える。こう解くと微分より速い。


- $x^2+|x+1|+n-1>0$ を確かめてから割り、 $a=g(x)$ と分離する。方程式の実数解は $y=g(x)$ と $y=a$ の交点の $x$ 座標なので、求める範囲は $g(x)$ のとりうる値の範囲。
- $x\geqq-1$ のとき、 $u=x+1$ ( $u\geqq0$)とおく。 $u=0$ のとき $g=0$。 $u>0$ のときは分母・分子を $u$ で割って $g=\dfrac{\sqrt n}{u+\dfrac nu-1}$ とし、相加平均・相乗平均の関係から最大値 $\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ ( $x=\sqrt n-1$)を求める。
- $x<-1$ のとき、 $v=-(x+1)$ ( $v>0$)とおき、 $g=-\dfrac{\sqrt n}{v+\dfrac nv+3}$ から、同様に最小値 $-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}$ ( $x=-\sqrt n-1$)を求める。
- $g(x)$ はすべての実数で連続なので、最小値と最大値の間の値をすべてとる。これで $a$ の範囲を答える。
【(2)の方針】
まず問題を言いかえる。(1) の範囲の下の端を $p_n=-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}$、上の端を $q_n=\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ とすると、「すべての自然数 $n$ に対して実数解をもつ」とは、すべての $n$ で $p_n\leqq a\leqq q_n$ が成り立つこと。つまり $a$ が「下の端 $p_n$ の最大値」以上で、かつ「上の端 $q_n$ の最小値」以下であること。よって、 $n$ を動かしたときの $p_n$ の最大値と $q_n$ の最小値を求めればよい。両端を $\pm\dfrac12$ と正の数の和に書きかえると、 $n$ についての増減がすぐに分かる。ただし $q_n$ は $n$ を大きくすると $\dfrac12$ に上から近づくだけで、最小値をとらない。このときは近づいていく値 $\dfrac12$ が最小値の役割をし、 $q_n$ はいつも $\dfrac12$ より大きいので $a=\dfrac12$ も含まれる。


- 問題を言いかえる:すべての $n$ で $p_n\leqq a\leqq q_n$ $\iff$ 「 $a\geqq$ ( $p_n$ の最大値)」かつ「すべての $n$ で $a\leqq q_n$ 」。
- $p_n=-\dfrac12+\dfrac{3}{2(2\sqrt n+3)}$、 $q_n=\dfrac12+\dfrac{1}{2(2\sqrt n-1)}$ と表し、どちらも $n$ について減少することを示す。
- $p_n$ の最大値は $p_1=-\dfrac15$。よって $a\geqq-\dfrac15$。
- $q_n$ は最小値をとらず、いつも $\dfrac12$ より大きく、 $n\to\infty$ で $\dfrac12$ に近づく。よって「すべての $n$ で $a\leqq q_n$ 」 $\iff a\leqq\dfrac12$ ( $\dfrac12$ を含む)。
- 3と4を合わせて答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 35点
$x^2\geqq0$、 $|x+1|\geqq0$、 $n-1\geqq0$ で、等号が同時に成り立つには $x=0$ と $x=-1$ が同時に必要なので、これはありえない。よって $x^2+|x+1|+n-1>0$ で、両辺をこれで割ると、方程式は
$$a=\frac{\sqrt n\,(x+1)}{x^2+|x+1|+n-1}$$
と同値である。右辺を $g(x)$ とおく。方程式の実数解は、 $y=g(x)$ のグラフと直線 $y=a$ の交点の $x$ 座標である。よって、求める $a$ の範囲は $g(x)$ のとりうる値の範囲である。
定数分離をしたら、「方程式の実数解は、 $y=g(x)$ のグラフと直線 $y=a$ の交点の $x$ 座標」と答案に必ず書く。グラフを書いて答えだけ書く答案は多いが、この一文がないと記述の点がもらえない。
$x\geqq-1$ のとき $u=x+1$ とおくと $u\geqq0$ で、分母は $x^2+x+n=u^2-u+n$ なので
$$g(x)=\frac{\sqrt n\,u}{u^2-u+n}$$
$u=0$ ( $x=-1$)のとき $g=0$。 $u>0$ のときは、分母・分子を $u$ で割って
$$g(x)=\frac{\sqrt n}{u+\dfrac nu-1}$$
$u>0$、 $\dfrac nu>0$ なので、相加平均・相乗平均の関係より
$$u+\frac nu\geqq2\sqrt{u\cdot\dfrac nu}=2\sqrt n$$
等号は $u=\dfrac nu$、すなわち $u=\sqrt n$ ( $x=\sqrt n-1$)のときに成り立ち、 $u=\sqrt n$ は $u>0$ を満たす。よって分母は $u+\dfrac nu-1\geqq2\sqrt n-1>0$ で、
$$0<g(x)\leqq\frac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$$
となり、等号は $x=\sqrt n-1$ のとき。 $x\geqq-1$ での $g(x)$ の最大値は $\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ である。
相加平均・相乗平均の関係で最大・最小を求めるときは、不等式の片方が定数になる形を作る(ここでは $u$ と $\dfrac nu$ の積が $n$ で一定)。そのうえで、等号が成り立つ値が実際に存在することを必ず示す。
$x<-1$ のとき $v=-(x+1)$ とおくと $v>0$ で、分母は $x^2-(x+1)+n-1=x^2-x+n-2=v^2+3v+n$ なので、分母・分子を $v$ で割って
$$g(x)=\frac{-\sqrt n\,v}{v^2+3v+n}=-\frac{\sqrt n}{v+\dfrac nv+3}$$
相加平均・相乗平均の関係より $v+\dfrac nv\geqq2\sqrt n$ で、等号は $v=\sqrt n$ ( $x=-\sqrt n-1$)のときに成り立つ。よって
$$-\frac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}\leqq g(x)<0$$
となり、等号は $x=-\sqrt n-1$ のとき。 $x<-1$ での $g(x)$ の最小値は $-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}$ である。
以上より、すべての実数 $x$ で $-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}\leqq g(x)\leqq\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ で、左の等号は $x=-\sqrt n-1$、右の等号は $x=\sqrt n-1$ のときに成り立つ。分母はいつも正なので $g(x)$ はすべての実数で連続であり、最小値と最大値の間の値をすべてとる。
したがって、方程式が実数解をもつ $a$ の範囲は
答 $-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}\leqq a\leqq\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$
別解1( $x$ で微分して増減を調べる) $a=g(x)$ と分離するところまでは同じ。 $x\geqq-1$ では $g(x)=\dfrac{\sqrt n\,(x+1)}{x^2+x+n}$、 $x<-1$ では $g(x)=\dfrac{\sqrt n\,(x+1)}{x^2-x+n-2}$ で、どちらの式も微分すると
$$g'(x)=-\frac{\sqrt n\,\{(x+1)^2-n\}}{(x^2+|x+1|+n-1)^2}$$
となる。 $x>-1$ では $x=\sqrt n-1$ の前後で $g'(x)$ が正から負に変わり、 $x<-1$ では $x=-\sqrt n-1$ の前後で負から正に変わる。また $g(-1)=0$ で、 $x\to\pm\infty$ のとき $g(x)\to0$。よって最大値は $g(\sqrt n-1)=\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$、最小値は $g(-\sqrt n-1)=-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}$ で、同じ答えになる。
別解2(定点 $(-1,\ 0)$ を通る直線で見る) $a=0$ のとき、方程式は $\sqrt n\,(x+1)=0$ で $x=-1$ が解。 $a\neq0$ のとき、 $k=\dfrac{\sqrt n}{a}$ とおくと方程式は $x^2+|x+1|+n-1=k(x+1)$。右辺は定点 $(-1,\ 0)$ を通る傾き $k$ の直線で、左辺のグラフ( $x=-1$ で高さ $n$ の、2つの放物線をつないだ形)との共有点を考える。 $x\geqq-1$ の部分 $y=x^2+x+n$ に接するのは $(k+1)^2-4n=0$ から $k=2\sqrt n-1$ (接点 $x=\sqrt n-1$)、 $x<-1$ の部分 $y=x^2-x+n-2$ に接するのは $(k+3)^2-4n=0$ から $k=-2\sqrt n-3$ (接点 $x=-\sqrt n-1$)。直線が共有点をもつのは、この2本より急なとき、すなわち $k\geqq2\sqrt n-1$ または $k\leqq-2\sqrt n-3$。 $a=\dfrac{\sqrt n}{k}$ に戻すと $0<a\leqq\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ または $-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}\leqq a<0$ で、 $a=0$ と合わせて同じ答えになる。
(2) 配点 15点
(1) の範囲の下の端を $p_n=-\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n+3}$、上の端を $q_n=\dfrac{\sqrt n}{2\sqrt n-1}$ とおく。方程式がすべての自然数 $n$ に対して実数解をもつのは、すべての $n$ で $p_n\leqq a\leqq q_n$ が成り立つとき、すなわち
「 $a$ が $p_n$ の最大値以上」かつ「すべての $n$ で $a\leqq q_n$ 」
のときである。よって、 $n$ を動かしたときの $p_n$ の最大値と、 $q_n$ の最小値にあたる値を求めればよい。
両端は次のように表せる。
$$p_n=-\frac12+\frac{3}{2(2\sqrt n+3)},\qquad q_n=\frac12+\frac{1}{2(2\sqrt n-1)}$$
どちらも右側の分数の分母が $n$ について増加するので、 $p_n$ も $q_n$ も $n$ について減少する。
$p_n$ の最大値は $p_1=-\dfrac12+\dfrac{3}{10}=-\dfrac15$。よって、1つ目の条件は $a\geqq-\dfrac15$。
$q_n$ は減少し続けるので最小値をとらないが、いつも $\dfrac12$ より大きく、 $n\to\infty$ で $\dfrac12$ に近づく。よって $a\leqq\dfrac12$ なら、すべての $n$ で $a\leqq\dfrac12<q_n$ が成り立つ。逆に $a>\dfrac12$ なら、 $n$ を十分大きくとると $q_n<a$ となるので成り立たない。したがって、2つ目の条件は $a\leqq\dfrac12$ ( $a=\dfrac12$ も含む)。
以上より、求める範囲は
答 $-\dfrac15\leqq a\leqq\dfrac12$
出題意図
(1) 文字定数 $a$ を分離して、方程式の実数解の存在を関数の値域に言いかえることができるか
(1) 絶対値があっても構えずに、絶対値を外して分数関数の最大・最小を求めることができるか
(2) 「すべての自然数 $n$ に対して」という条件を、$n$ を動かしたときの区間の両端の最大・最小に言いかえることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 25点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
(1) はただの定数分離。
絶対値があるので身構えるが、やることは $a$ を分離して絶対値を外し、右辺の最大・最小を求めるだけ。
(2) は問題の言いかえから入る。
「すべての $n$ で実数解をもつ」とは「 $a$ が下の端の最大値以上で、上の端の最小値以下」ということなので、 $n$ を動かして両端の最大・最小を求めればよい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) の定数分離:絶対値があっても身構えず、「 $a$ を分離して絶対値を外し、右辺の最大・最小を求める」というやることに行き着けるか。
- (2) の問題の言いかえ:「すべての $n$ で実数解をもつ」を「 $a$ が下の端の最大値以上、かつすべての $n$ で上の端以下」と言いかえる発想に行き着けるか(上の端は最小値をとらないので、近づく値 $\dfrac12$ 以下と読みかえる)。
- (2) の $a=\dfrac12$:上の端は最小値をとらず $\dfrac12$ に近づくだけだが、いつも $\dfrac12$ より大きいので $a=\dfrac12$ は含まれる。「<」にして失点しやすい。
2012年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は数列の極限・数と式・複素数と方程式・整数の問題です。
テーマは「$(\alpha^n-1)(\beta^n-1)$ の比の極限と、整数係数の2次方程式の係数の決定」。
問題


問題文をテキストで読む
$p$ と $q$ はともに整数であるとする。2次方程式 $x^2+px+q=0$ が実数解 $\alpha,\beta$ を持ち、条件 $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)\neq0$ をみたしているとする。このとき、数列 $\{a_n\}$ を
$$a_n=(\alpha^n-1)(\beta^n-1)\qquad(n=1,2,\cdots)$$
によって定義する。以下の問いに答えよ。
(1) $a_1,a_2,a_3$ は整数であることを示せ。
(2) $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)>0$ のとき、極限値 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|$ は整数であることを示せ。
(3) $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ となるとき、 $p$ と $q$ の値をすべて求めよ。ただし、 $\sqrt5$ が無理数であることは証明なしに用いてよい。
解答の方針
【(1)の方針】
$a_n=(\alpha^n-1)(\beta^n-1)$ は、 $\alpha$ と $\beta$ を入れかえても同じ式、つまり対称式。対称式は基本対称式(和 $\alpha+\beta$ と積 $\alpha\beta$)で表せる。 $\alpha,\beta$ は $x^2+px+q=0$ の解なので、解と係数の関係から $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ と基本対称式はどちらも整数。よって、 $a_1,a_2,a_3$ を基本対称式で表せば、整数の和・差・積なので整数になる。
中原先生のコメント 対称式を見たら、問題に指示がなくても、まず基本対称式(和と積)を求める。これは絶対に必須です。
- 解と係数の関係から、基本対称式 $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ を求める。
- $a_n=(\alpha\beta)^n-(\alpha^n+\beta^n)+1$ と表す。
- $\alpha^2+\beta^2$、 $\alpha^3+\beta^3$ を基本対称式で表し、 $p,q$ の式にする。
- $a_1,a_2,a_3$ は整数 $p,q$ の和・差・積なので、整数であると結論する。
【(2)の方針】
条件 $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)>0$ は、$|\alpha|$ と $|\beta|$ がともに1より大きいか、ともに1より小さいということ。比 $\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|$ は、 $\alpha$ だけの部分 $\left|\dfrac{\alpha^{n+1}-1}{\alpha^n-1}\right|$ と $\beta$ だけの部分に分けられる。それぞれは等比数列 $r^n$ の極限の典型問題で、まずそもそも不定形かどうかを判断する(下の図)。
- $|r|<1$ のとき $r^n\to0$ なので不定形ではない。そのまま極限をとれば1。
- $|r|>1$ のとき $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、底が大きい方の $r^n$ で分母・分子を割り、 $\left(\dfrac1r\right)^n\to0$ となる「消える項」を作る。極限は $|r|$。


中原先生のコメント 等比数列の極限は、底が大きい方で割って、0に近づく項(消える項)を作りにいくのが解法です。
- 比を $\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|=\left|\dfrac{\alpha^{n+1}-1}{\alpha^n-1}\right|\cdot\left|\dfrac{\beta^{n+1}-1}{\beta^n-1}\right|$ と $\alpha$ の部分と $\beta$ の部分に分ける。
- 条件から「 $|\alpha|>1$ かつ $|\beta|>1$」と「 $|\alpha|<1$ かつ $|\beta|<1$」の2つに場合分けする。
- $|\alpha|>1$、 $|\beta|>1$ のとき、それぞれの部分を $\alpha^n$、 $\beta^n$ で割って極限 $|\alpha|$、 $|\beta|$ を求め、比の極限 $|\alpha\beta|=|q|$ を求める。
- $|\alpha|<1$、 $|\beta|<1$ のとき、 $\alpha^n,\beta^n\to0$ から比の極限1を求める。
- $|q|$ も1も整数なので、極限値は整数であると結論する。
【(3)の方針】
(3) は (2) がクリアできていれば難しくない。極限 $\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ は無理数なので、(2) の場合(極限が整数)ではない。よって $|\alpha|$ と $|\beta|$ は1をはさむ((2) の図の3段目)。
次に対称性を使う。 $a_n$ は $\alpha$ と $\beta$ を入れかえても変わらないので、 $|\alpha|$ が1より大きいときと $|\beta|$ が1より大きいときは同じ。よって $|\alpha|>1>|\beta|$ として処理すればよい。このとき $\beta$ の部分は $\beta^n\to0$ で不定形にならず、極限は1。不定形になる $\alpha$ の部分だけを $\alpha^n$ で割って処理すれば、極限は $|\alpha|$ になり、 $\alpha=\pm\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ と決まる。
あとは $p,q$ を求める。 $x^2+px+q=0$ は係数が整数(有理数)の2次方程式なので、解の公式 $x=\dfrac{-p\pm\sqrt{p^2-4q}}{2}$ のとおり、2つの解は $\sqrt{\ }$ の前の符号 $\pm$ だけが違う形をしている。よって、もう1つの解は $\alpha$ と共役な無理数で、 $\alpha=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ なら $\beta=\dfrac{1-\sqrt5}{2}$。2つの解がそろえば、解と係数の関係 $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ ですぐに $p,q$ が求まる。
- 極限が無理数なので (2) の場合ではないことから、 $|\alpha|$ と $|\beta|$ は1をはさむことを導く。 $a_n$ は $\alpha$ と $\beta$ を入れかえても変わらない(対称性)ので、 $|\alpha|>1>|\beta|$ としてよい。
- 不定形にならない $\beta$ の部分の極限は1、不定形になる $\alpha$ の部分は $\alpha^n$ で割って極限 $|\alpha|$ を求める。極限が $|\alpha|$ になることから、 $\alpha=\pm\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ とする。
- 係数が整数の2次方程式の2つの解は、解の公式で $\pm$ だけが違う形になることから、もう1つの解 $\beta$ は $\alpha$ と共役な無理数とする。
- $\alpha=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$、 $\beta=\dfrac{1-\sqrt5}{2}$ のとき、解と係数の関係 $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ から $p,q$ を求める。
- $\alpha=-\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ のときも同じ手順で $p,q$ を求める。
- それぞれの $\beta$ が $|\beta|<1$ をみたすことを確かめて答える。
解答


解答をテキストで読む
解と係数の関係より $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ で、どちらも整数である。また、 $|\alpha|\neq1$、 $|\beta|\neq1$ より $|\alpha^n|\neq1$、 $|\beta^n|\neq1$ なので $\alpha^n\neq1$、 $\beta^n\neq1$ となり、 $a_n\neq0$ である。
(1) 配点 10点
$a_n$ を展開すると
$$a_n=(\alpha\beta)^n-(\alpha^n+\beta^n)+1=q^n-(\alpha^n+\beta^n)+1$$
$\alpha^n+\beta^n$ を基本対称式で表すと
$$\alpha+\beta=-p$$
$$\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta=p^2-2q$$
$$\alpha^3+\beta^3=(\alpha+\beta)^3-3\alpha\beta(\alpha+\beta)=-p^3+3pq$$
よって
$$a_1=q+p+1,\qquad a_2=q^2-p^2+2q+1,\qquad a_3=q^3+p^3-3pq+1$$
$p,q$ は整数なので、 $a_1,a_2,a_3$ は整数である。
別解( $a_1$ でくくる) $a_1=(\alpha-1)(\beta-1)=q+p+1$ を使うと
$$a_2=(\alpha-1)(\beta-1)(\alpha+1)(\beta+1)=(q-p+1)a_1$$
$$a_3=(\alpha-1)(\beta-1)(\alpha^2+\alpha+1)(\beta^2+\beta+1)=(q^2-pq+p^2-q-p+1)a_1$$
となり、整数の積なので整数である。
(2) 配点 15点
$$\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|=\left|\frac{\alpha^{n+1}-1}{\alpha^n-1}\right|\cdot\left|\frac{\beta^{n+1}-1}{\beta^n-1}\right|$$
条件 $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)>0$ より、「 $|\alpha|>1$ かつ $|\beta|>1$」または「 $|\alpha|<1$ かつ $|\beta|<1$」である(下の図の1段目・2段目)。
$|\alpha|>1$、 $|\beta|>1$ のとき $|\alpha^n|\to\infty$ で $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、分母・分子を $\alpha^n$ で割る。 $\left|\dfrac1\alpha\right|<1$ より $\left(\dfrac1\alpha\right)^n\to0$ なので
$$\left|\frac{\alpha^{n+1}-1}{\alpha^n-1}\right|=\left|\frac{\alpha-\left(\dfrac1\alpha\right)^n}{1-\left(\dfrac1\alpha\right)^n}\right|\longrightarrow|\alpha|\quad(n\to\infty)$$
$\beta$ の部分も同様に $|\beta|$ に収束する。よって
$$\lim_{n\to\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|=|\alpha|\,|\beta|=|\alpha\beta|=|q|$$
$|\alpha|<1$、 $|\beta|<1$ のとき $\alpha^n\to0$、 $\beta^n\to0$ なので不定形ではなく
$$\lim_{n\to\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|=\left|\frac{0-1}{0-1}\right|\cdot\left|\frac{0-1}{0-1}\right|=1$$
$|q|$ も1も整数なので、極限値は整数である。
(3) 配点 25点
$\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ は無理数なので、(2) より $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)>0$ ではない。条件 $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)\neq0$ とあわせて $(|\alpha|-1)(|\beta|-1)<0$ であり、 $|\alpha|$ と $|\beta|$ は1をはさむ(上の図の3段目)。 $a_n=(\alpha^n-1)(\beta^n-1)$ は $\alpha$ と $\beta$ を入れかえても変わらないので、対称性より $|\alpha|>1>|\beta|$ としてよい。
このとき、 $\beta$ の部分は $\beta^n\to0$ で不定形ではなく、 $\left|\dfrac{\beta^{n+1}-1}{\beta^n-1}\right|\to\left|\dfrac{0-1}{0-1}\right|=1$。 $\alpha$ の部分は $\dfrac{\infty}{\infty}$ の不定形なので、(2) と同じく分母・分子を $\alpha^n$ で割って $\left|\dfrac{\alpha^{n+1}-1}{\alpha^n-1}\right|\to|\alpha|$。よって極限は $|\alpha|$ であり、 $|\alpha|=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ より
$$\alpha=\pm\frac{1+\sqrt5}{2}$$
$p,q$ は整数なので、解の公式より $x^2+px+q=0$ の2つの解は $\dfrac{-p\pm\sqrt{p^2-4q}}{2}$ と表され、有理数の部分 $-\dfrac p2$ は共通で、 $\sqrt{p^2-4q}$ の前の符号だけが違う。 $\alpha$ は無理数なので $\sqrt{p^2-4q}$ は無理数であり、もう1つの解 $\beta$ は、 $\alpha$ の無理数の部分の符号を変えた共役な無理数である。
$\alpha=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ のとき $\beta=\dfrac{1-\sqrt5}{2}$ なので、解と係数の関係より
$$-p=\alpha+\beta=1,\qquad q=\alpha\beta=\frac{1-5}{4}=-1$$
よって $p=-1$、 $q=-1$。
$\alpha=-\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ のとき $\beta=\dfrac{-1+\sqrt5}{2}$ なので、解と係数の関係より
$$-p=\alpha+\beta=-1,\qquad q=\alpha\beta=-\frac{5-1}{4}=-1$$
よって $p=1$、 $q=-1$。
最後に条件を確かめる。どちらの場合も $\beta$ は $|\beta|=\dfrac{\sqrt5-1}{2}<1$ をみたす(下の図)。 $(p,q)=(-1,-1)$ のとき $x^2-x-1=0$ の解は $\dfrac{1\pm\sqrt5}{2}$、 $(p,q)=(1,-1)$ のとき $x^2+x-1=0$ の解は $\dfrac{-1\pm\sqrt5}{2}$ で、どちらも実数解をもち、極限は $|\alpha|=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ となり、条件をみたす。
答 $(p,q)=(-1,-1),\ (1,-1)$
別解(次数下げ) $\alpha$ の値をそのまま代入せず、解が満たす式で次数を下げる。 $\alpha=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ のとき、 $2\alpha-1=\sqrt5$ の両辺を2乗して $\alpha^2=\alpha+1$。これを $\alpha^2+p\alpha+q=0$ に代入して
$$(p+1)\alpha+(q+1)=0$$
$p+1\neq0$ とすると $\alpha=-\dfrac{q+1}{p+1}$ となり、右辺は有理数、左辺は無理数で矛盾する。よって $p+1=0$ で、このとき $q+1=0$。したがって $p=-1$、 $q=-1$。 $\alpha=-\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ のときも同様に、 $\alpha^2=-\alpha+1$ から $(p-1)\alpha+(q+1)=0$ となり、 $p=1$、 $q=-1$。
有理数どうしを足したり引いたり掛けたり割ったりしても、無理数は絶対に生まれません。 $\sqrt2$ や $\pi$ は有理数の計算では作れないからです。
出題意図
(1) $a_n$ が $\alpha,\beta$ の対称式であることに気づき、基本対称式(解と係数の関係)で表せるか
(2) $|\alpha|$、 $|\beta|$ と1の大小から、そもそも不定形かどうかを判断し、比の極限を $\alpha,\beta$ で表せるか
(3) (2) の結果を逆向きに使って $|\alpha|$ と $|\beta|$ が1をはさむことを導き、係数が整数であることから、もう1つの解が共役な無理数であると捉えて係数を決められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 25点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
見た目は難しそうだが、中身は基本問題の組み合わせにすぎない。
極限の問題だが、問われているのは極限の計算だけではない。
不定形かどうかの判断、対称式、共役な無理数、解と係数の関係といった知識を、自由自在に取り出して組み合わせられるかが問われている。
こういう問題でこそ、確実に取り切ろう。
差がつく所・失点しやすい所
- 2012年の合否を分けた1問。差がつくのは (2):そもそも不定形なのかを判断できるか。 $|\alpha|$、 $|\beta|$ がともに1より小さければ $\alpha^n,\beta^n\to0$ で不定形ではなく、ともに1より大きいときだけ不定形なので底の大きい方で割る、という発想に行き着けるか。
- (3) の対称性:極限が無理数なので $|\alpha|$ と $|\beta|$ は1をはさむ。対称性で $|\alpha|>1>|\beta|$ とし、不定形になる $\alpha$ の部分だけを $\alpha^n$ で割る、という発想に行き着けるか。
- (3) の $p,q$:係数が整数なので、もう1つの解は共役な無理数。あとは解と係数の関係で $p,q$ を求める、という発想に行き着けるか。
2012年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は確率の問題です。
テーマは「2つの箱の間で玉をやりとりする試行の確率」。
問題


問題文をテキストで読む
いくつかの玉が入った箱Aと箱Bがあるとき、次の試行Tを考える。
(試行T)箱Aから2個の玉を取り出して箱Bに入れ、その後、箱Bから2個の玉を取り出して箱Aに入れる。
最初に箱Aに黒玉が3個、箱Bに白玉が2個入っているとき、以下の問いに答えよ。
(1) 試行Tを1回行ったときに、箱Aに黒玉が $n$ 個入っている確率 $p_n\ (n=1,2,3)$ を求めて既約分数で表せ。
(2) 試行Tを2回行ったときに、箱Aに黒玉が $n$ 個入っている確率 $q_n\ (n=1,2,3)$ を求めて既約分数で表せ。
(3) 試行Tを3回行ったときに、箱Aの中がすべて黒玉になっている確率を求めて既約分数で表せ。
解答の方針
試行の前後で箱Aには常に3個、箱Bには常に2個の玉が入っていて、黒玉は全部で3個。だから2つの箱の中身は箱Aの黒玉の数 $n$ だけで決まる(箱Bには2個しか入らないので $n=1,2,3$ )。さらに、箱Aから2個を移したあとの途中の状態は、箱Aに残る1個が黒か白かの2通りしかない。
X:箱Aに黒玉1個が残る(箱Bは黒玉2個・白玉2個)。
Y:箱Aに白玉1個が残る(箱Bは黒玉3個・白玉1個)。
試行Tは「 $n$ → 途中の状態(XかY)→ 次の $n$ 」と2段階で移る。この推移図を最初に書いておけば、あとの小問は矢印の確率をかけて足すだけになる。各段階の確率は、同じ色の玉もすべて区別して数える。確率は分母と分子の数え方をそろえさえすれば、区別のない玉に区別をつけて数えてよい。


中原先生のコメント 操作をくり返す確率の問題は、最初に読んだときは状況がよく分からないと感じても、状態を図にして書き出してみれば、そこまで難しくありません。
【(1)の方針】
最初は箱Aの3個がすべて黒玉なので、箱Bへ移るのは必ず黒玉2個で、途中の状態は必ずX。あとは箱B(黒玉2個・白玉2個)から戻す2個に、黒玉が何個入るかを数えるだけ。推移図のうち使うのは、Xから次の $n=1,2,3$ への部分(下の図の枠)。


- 箱Aから黒玉2個を移すので、途中の状態がXになることを確かめる。
- 箱Bの4個をすべて区別し、2個の選び方 ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りのうち、戻す黒玉が0個・1個・2個になるものを数える。
- 戻す黒玉が $k$ 個なら箱Aの黒玉は $1+k$ 個になることから、 $p_1$、 $p_2$、 $p_3$ を求める。
【(2)の方針】
どの $n$ からでも、途中の状態はXかYのどちらか。だから「 $n$ → 途中の状態」と「途中の状態 → 次の $n$ 」の確率を推移図に書きこめば、2回目は2回目の途中の状態がXかYかで分けて、かけて足すだけ。Xから次の $n$ への確率は (1) で求めたものをそのまま使える。(2) では「 $n$ → X・Y」と「X・Y → 次の $n$ 」の両方、つまり推移図の全体を使う(下の図の枠)。


- $n=1$、 $n=2$ のそれぞれから、箱Aから移す2個の色で分けて、途中の状態がX・Yになる確率を求める( $n=3$ からは必ずX)。
- Yのとき、箱B(黒玉3個・白玉1個)から戻す2個の色で分けて、次の $n$ への確率を求める。
- (1) の $p_1$、 $p_2$、 $p_3$ に「 $n$ → X」の確率をかけて足し、2回目の途中の状態がXである確率を求める(Yはその残り)。
- 2回目の途中の状態がXのとき、Yのときに分けて、それぞれ次の $n$ への確率をかけて足し、 $q_1$、 $q_2$、 $q_3$ を求める。
【(3)の方針】
箱Aがすべて黒玉になる( $n=3$ )のは、途中の状態がXで、箱Bから黒玉2個を戻すときだけ(Yでは箱Aに白玉が残る)。だから3回目の途中の状態がXである確率さえ分かればよく、それは (2) の $q_n$ から、(2) の手順3と同じ計算ですぐ求まる。推移図のうち使うのは、各 $n$ からXへの矢印と、Xから $n=3$ への矢印だけ(下の図の枠)。


途中の状態だけを追って、樹形図をたどってかけ算してもよい(下の図)


- 箱Aがすべて黒玉になるのは、3回目の途中の状態がXで、黒玉2個を戻すときだけだと言いかえる。
- (2) の $q_1$、 $q_2$、 $q_3$ に「 $n$ → X」の確率をかけて足し、3回目の途中の状態がXである確率を求める。
- それにXから黒玉2個を戻す確率 $\dfrac16$ をかけて答える。
解答


解答をテキストで読む
試行の前後で、箱Aには常に3個、箱Bには常に2個の玉が入っていて、黒玉は全部で3個、白玉は2個である。箱Bには2個しか入らないので、試行の後の箱Aには黒玉が少なくとも1個ある。箱Aの黒玉の数を $n$ とすると、2つの箱の中身は $n\ (n=1,2,3)$ で決まる。
また、箱Aから2個を箱Bに移したあとの状態は、箱Aに残る1個の色で次の2通りに分かれる。
・X:箱Aに黒玉1個が残る(箱Bは黒玉2個・白玉2個)
・Y:箱Aに白玉1個が残る(箱Bは黒玉3個・白玉1個)
以下、玉はすべて区別して数える。推移をまとめると次の図のようになる(矢印の確率は (1)(2) で求める)。
(1) 配点 15点
最初は箱Aの3個がすべて黒玉なので、箱Bに移るのは黒玉2個であり、途中の状態はXである。
Xから、箱B(黒玉2個・白玉2個)の4個のうち2個を箱Aに戻す。選び方は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りで、戻す黒玉が $k$ 個のとき箱Aの黒玉は $1+k$ 個になる。
・$k=0$(白玉2個):1通り
・$k=1$(黒玉1個・白玉1個): ${}_2\mathrm{C}_1\cdot{}_2\mathrm{C}_1=4$ 通り
・$k=2$(黒玉2個):1通り
よって、Xから $n=1,2,3$ へ移る確率はそれぞれ $\dfrac16$、 $\dfrac23$、 $\dfrac16$ である。
答 $p_1=\dfrac16$、 $p_2=\dfrac23$、 $p_3=\dfrac16$
(2) 配点 20点
$n$ → 途中の状態 箱Aの3個から2個を選ぶ選び方は ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り。
・$n=1$(箱A:黒玉1個・白玉2個):白玉2個を移すと(1通り)黒玉が残ってX、黒玉1個・白玉1個を移すと(2通り)白玉が残ってY。Xへ $\dfrac13$、Yへ $\dfrac23$
・$n=2$(箱A:黒玉2個・白玉1個):黒玉1個・白玉1個を移すと(2通り)X、黒玉2個を移すと(1通り)Y。Xへ $\dfrac23$、Yへ $\dfrac13$
・$n=3$:必ずX
Y → 次の $n$ 箱B(黒玉3個・白玉1個)の4個から2個を戻す ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りのうち、黒玉1個・白玉1個は ${}_3\mathrm{C}_1\cdot1=3$ 通り、黒玉2個は ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り。箱Aには白玉1個が残っているので、次の $n$ は戻した黒玉の数に等しい。Yから $n=1$、 $n=2$ へそれぞれ $\dfrac12$ である。
1回目のあと箱Aの黒玉が $n$ 個である確率は $p_n$ なので、2回目の途中の状態がXである確率は
$$\dfrac16\cdot\dfrac13+\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac16\cdot1=\dfrac{1+8+3}{18}=\dfrac23$$
Yである確率は $1-\dfrac23=\dfrac13$ である。
2回目の途中の状態がXのときとYのときに分けて
$$q_1=\dfrac23\cdot\dfrac16+\dfrac13\cdot\dfrac12=\dfrac19+\dfrac16=\dfrac{5}{18}$$
$$q_2=\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac12=\dfrac49+\dfrac16=\dfrac{11}{18}$$
$$q_3=\dfrac23\cdot\dfrac16=\dfrac19$$
( $q_1+q_2+q_3=1$ で検算できる。)
答 $q_1=\dfrac{5}{18}$、 $q_2=\dfrac{11}{18}$、 $q_3=\dfrac19$
(3) 配点 15点
箱Aがすべて黒玉になるのは、途中の状態がXで、箱Bから黒玉2個を戻すとき(確率 $\dfrac16$ )だけである。Yでは箱Aに白玉が残るので、すべて黒玉にはならない。
2回目のあと箱Aの黒玉が $n$ 個である確率は $q_n$ なので、3回目の途中の状態がXである確率は
$$\dfrac{5}{18}\cdot\dfrac13+\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac23+\dfrac19\cdot1=\dfrac{5+22+6}{54}=\dfrac{11}{18}$$
よって、求める確率は
$$\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{108}$$
答 $\dfrac{11}{108}$
別解(途中の状態だけを追う) 途中の状態がXのとき、次の試行の途中の状態がXになる確率は、(1)(2) の推移の確率から
$$\dfrac16\cdot\dfrac13+\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac16\cdot1=\dfrac23$$
途中の状態がYのとき、次の試行の途中の状態がXになる確率は $\dfrac12\cdot\dfrac13+\dfrac12\cdot\dfrac23=\dfrac12$ である。1回目の途中の状態は必ずXなので、3回目の途中の状態がXになるのは「X → X → X」「X → Y → X」の2通りで(下の図)、求める確率は
$$\left(\dfrac23\cdot\dfrac23+\dfrac13\cdot\dfrac12\right)\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac16=\dfrac{11}{108}$$
出題意図
2つの箱の中身を「箱Aの黒玉の数」1つで表し、1回の試行で状態がどう移るかを整理できるか
試行Tを「箱Aから箱Bへ」「箱Bから箱Aへ」の2段階に分け、それぞれの確率を正確に数えられるか
(2)(3) 1回分の推移の確率をくり返し使い、かけて足すだけで求められると捉えることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
状態の推移図さえ書ければ簡単な問題。
箱Aから2個移したあとの途中の状態は2通りしかないので、図を書けばあとはかけ算と足し算だけで終わる。
注意点は、箱Aから何を移すかの確率をかけ忘れないこと。
差がつく所・失点しやすい所
- 差がつくのは (2):箱Aから2個移したあとの途中の状態は2通りしかない、という発想に行き着けるか。気づけば推移図が小さくなり、 $n$ ごとに箱の中身を書き直して数える手間と数え漏れが減る。
- 前半の確率のかけ忘れ:箱Aから何を移すかの確率( $\dfrac13$、 $\dfrac23$ )をかけずに、箱Bから戻す段階の確率だけで計算しやすい。2段階を推移図の別々の矢印として書く。
2012年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 50点 | 40点 |
| 第3問 | 標準 | 40点 | 25点 |
| 第4問 | 標準 | 40点 | 25点 |
| 第5問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 合計 | 230点 | 190点 |
第2問は行列の問題です。
行列は現在の高校数学の範囲外なので、この記事では解答・解説を載せていません。
総合の目標点(医学部医学科230点、その他の学部190点)は、第2問も含めた当時の目安です。
満点が取れる可能性があるセットです。
難しい問題も標準レベルで、絶対に解けない問題ではありません。
こういうセットが出たときは、200点オーバーを取って確実にライバルに差をつけにいく。
これが1つの指標です。
最近は九大数学が難化してきたことで、難しい問題を解かないといけない、という方に意識が向きがちです。
しかし九大合格で実はいちばん大事なのは、標準問題が中心のセットを見たときに、確実に8割を取りにいく演習を積むこと。
数学が多少難しくなっても、どうせ周りの受験生も取れません。
そのときは英語や理科でカバーすればよいのです。
解く流れ
第1問 → 第5問 → 第3問 → 第4問(第2問の行列は今の受験生は解かなくてよい)。
2012年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2012年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2012年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
やや簡単〜標準(やや簡単寄り)の年でした。
第1問は簡単、第5問はやや簡単、第3問・第4問は標準です。
第2問(行列)は現行課程の範囲外です。 - 2012年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で230点、その他の学部で190点です(250点満点)。
- 2012年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
第1問・第5問は完答必須です。そのうえで、差がつくのは次の3つです。
- 第4問(2):そもそも不定形かどうかを判断できたか(2012年の合否を分けた一問)。
- 第3問(2):「すべての $n$ で実数解をもつ」を、両端の最大・最小の条件に言いかえられたか。
- 第4問(3):極限が無理数であることから、係数が整数の2次方程式のもう1つの解が共役な無理数だと気づけたか。
- 2012年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:積分(数学Ⅲ)
- 第2問:行列
- 第3問:2次関数・式と証明
- 第4問:数列の極限・数と式・複素数と方程式・整数
- 第5問:確率


