「授業をしない塾って成績が上がるんですか?」
と、ある生徒に聞かれました。
「成績は上がるよ」と答えると、
「え、なんで?高校の授業は意味がないってことですか?」と返ってくる。
なかなか、鋭い生徒だなと思いつつ、
「自習したら成績上がるでしょ。それと同じ!」と切り返しました。
すると、「じゃあ、授業をしない塾と授業をする塾ってどっちがいいんですか?」といくつかの塾が倒産する可能性がある質問が飛んできました。
最近は「授業をしない塾」を至るところで見かけます。
しかも1つの塾に限ったことではありません。
「自立学習型」という名前で、たくさんの塾が「授業をしない」形態をとっています。
では、この「授業をしない塾」というのは本当に成績が上がるのでしょうか?
この記事では、「授業をしない塾」のメリットとデメリットを徹底的に分析しています。
そして、「授業をしない塾で成績が上がるのかどうか」というあなたが気になっている問題にお答えします。
この記事を書いた人
中原 遼太郎
九大受験に特化した学習塾『竜文会』代表
『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。
2年目には旧帝大医学部にも合格!
九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。
九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。
経歴
- ラ・サール高校卒業 (高校入学組中)主席・学校賞受賞
- 九州大学医学部医学科卒業
- 九大本試験 数学・理科 9割
- 駿台九大実践 3位
- 九大オープン 6位(数学1位)
※ すべて医学科の成績です - CBT 九大医学部で3位
- ブログ読者 55万人を突破!
もっと知りたい方は中原先生の紹介へ!
※ 当ブログでは、九大受験生や親御様の悩みをリサーチした上で、表面的な悩みだけでなく根本的な悩みを解決できるようなコンテンツ制作を心がけています。コンテンツ制作は、中原遼太郎(九州大学医学部卒・竜文会代表)が担当。制作の流れや想いに関しては、コンテンツ制作ポリシーページを参考にしてください。
授業をしない塾ってどんな塾?
「授業をしない塾」のイメージが湧かないかもしれません。
なので、「授業をしない塾」について簡単にお話ししておきます。
よく聞かれるのは、「授業をしない塾って自習室ってことですか?」ってこと。
これは違います。
「授業をしない=自習室」ではありません。
「授業をしない塾」は、1人1人に合った学習カリキュラムを作ることをサービスにしている塾が多いです。
「この英単語帳を毎週200単語のペースで来月末までには1周しよう」みたいな感じで各科目ごとに「学習計画」を作ってくれるわけです。
ほとんどの「授業をしない塾」は、この「学習計画」を作るところが多いです。
それに加えて、「学習の進捗を確認するテスト」とか「自習でわからないところを質問できる」といったサービスがあるところもあります。
最近、グングン伸びている「自立学習型」の塾の社長さんにこんな話を聞きました。
京都大学の学生に向けて、「受験生のときに必要だったサービスがあるか?」とアンケートを取った結果、
なんと、「自分が今何をしたらいいか教えてくれる学習計画があったらいい」と答えた生徒がダントツで多い。
優秀な学生でも、「学習計画」は喉から手が出るほど欲しい。
まあ、当然です。
受験生はまだ大学受験を経験していないのです。
何を勉強したら正解かがわからないまま勉強するのは不安。
しかも、時間は最大でも3年間しかありません。
無駄な時間を使っていたら浪人まっしぐらになっちゃいます。
う〜ん、「自立指導型」の塾も良いところにつけこみましたね笑
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授業をしないメリット
ここからは「授業をしないメリット」について、お話ししていきます。
「授業をしないで本当に成績上がるの?」と不安な人はぜひ聞いてください。
「授業をする塾と授業をしない塾のどっちがいいか」を判断するためには、情報が大事。
両方の良いところと悪いところを知ってから、判断しても遅くないですよ。
① 自分のペースで進められる
まずはなんといってもこれ!
「自分のペースで勉強が進められる」というのが授業をしない強みでしょう。
ある塾では、
「塾の授業は週に1日だけど、参考書での勉強なら週に7日進めることができる」と「授業をしない強み」を強調しています。
(これは極端だとは思いますが・・・笑)
まあ、確かに週に5日とか授業がある塾もあるんですよね。
1日4時間の授業を週に5日間。
いったい、いつ自分の勉強時間をとるんでしょうね。
塾の授業の予習と復習だけしていたら、高校生活終わってそうです笑
高校生なんて学校の授業だけでも大変ですから、そこに塾の授業が20時間なんてもう大変。
特に九州では高校が補講(朝も夜も、先生も大変・・・)に力を入れていますから、高校に通うだけでも結構なボリュームです。
そんな彼らには塾の授業なしで、自分のペースで勉強できるというのはかなり大事なことです。
② 不要な授業を受けなくていい
次のメリットは「塾では不要な授業を受けなくていい」こと。
これって結構大事なことです。
特に先取りに重きをおく塾がそうですが、
学校の内容と重複する授業が結構あるんですよ。
先取りの塾にありがち!学校も塾も同じことをするのはもったいない
なんで学校で習っているのに、わざわざ塾にお金を払ってもう一度習うの?
って思っちゃいます。
でも医学部とか東大とか難しい大学を目指す生徒にとっては無駄と思うんですよね。
3年間しかない有限な時間を、無駄な勉強に回す暇はないはずです。
ポイント
考えてみてください。
高校で受験対策を100%してくれる(すべての解法を教えてくれて、難しい問題の考え方も学べる)ならどうしますか?
きっと塾には行かないはず。
だって、塾で新たに学ぶことがありませんから。
塾は高校で足りないことを補ってくれる場所です。
全く同じことをわざわざお金を払って学ぶ必要なんてありません。
そう考えると、「授業をしない塾」の勉強は理にかなってるんですよね。
無駄な授業を受けることはなくなります。
(ただ、必要な授業も受けれませんが・・・)
参考書を使って自分に必要な勉強だけができる。
これは大きなメリットでしょう。
③ 学校の授業との両立が容易
3つの目のメリットは、「学校の授業との両立が容易」であること。
塾に通っている高校生の中にたまにこんな子がいます。
「受験対策は塾の授業だけ!学校の授業は適当に流しとく」
私も高校受験の時はこんな感じでした。
ラ・サールとか久留米附設を受けるのに、公立中学の勉強では意味がないなと思ってました。
学校は適当に聞いたり寝たりしていて、塾で勉強が普通。
まあ、高校受験ならなんとかなるんですよね。(覚える量も少ないですし・・・)
ただ、時間が厳しい大学受験では話が変わってきます。
高校って毎日7〜8時間の授業があります。(九州では課外が流行っているので、大体このくらいです。)
塾とか自宅での自習とか、高校以外での勉強は多くても4〜5時間といったとこでしょうか?
つまり学校の授業をないがしろにする生徒は、多くても5時間くらいが毎日の勉強時間です。
一方、学校の授業をフルに活用できる生徒は勉強時間が10時間になるような子もいます。
どうやって勝つんですか?
って聞いてみたいです。
塾の授業のために、学校では睡眠をとってる高校生!
5時間の勉強で10時間の勉強に勝てますか?
勝つ方法は1つしかありません。
それは天才であること。
周りよりもズバ抜けて頭が良かったり、一を聞いて十を知るような天才だったら勝てるかもしれません。
でも基本的には大学受験は質より量です。
勝てる可能性は限りなく0と思った方がいいでしょう。
「授業をしない塾」だと、学校の授業+足りない内容を自分で補っていくというスタイルで勉強できます。
つまり、「学校の授業を最大限に利用できる」わけです。
これは「授業をしない塾」の大きなメリットです。
ちなみに、すべての「授業をしない塾」でこのメリットがあるわけではありません。
学校の授業は受験に必要ないものと考え、学習カリキュラムを作る塾もあります。
(詳しい名前は出せませんが、話を聞きに塾に行けば分かります)
これだと授業を受けるのとあまり変わらないんですよね。
自分のペースで勉強できるのはいいんですけど・・・
「授業をしない」ことのメリットを最大限活かせていません。
せっかく学習カリキュラムを作るんだから、学校の授業も最大限に利用してあげたらいいのに・・・もったいない。
④ 自分に合った教材で進められる
「授業をしない」ことの最後のメリットは「自分に合った教材で勉強を進めることができる」こと。
授業を受けるタイプだと、解く問題や配られる問題集が決まっています。
つまり自分のレベルに合っていない問題を解くことになるかもしれません。
ポイント
勉強が嫌になる理由の1つに、「問題が難しすぎて解けない」があります。
少し難しい問題にチャレンジするのは大事ですが、あまりにもレベルがかけ離れているとやる気を無くします。
勉強のモチベーションの維持のためにも、取り組む問題集は大事になってきます。
「授業をしない塾」では、自分に合った問題集を教えてもらえます。
つまり今の自分にぴったりのレベルの勉強をすることができるわけです。
ただ、これってよくない点もあるんですよね。
難しい問題をなんとか解けるようになろうと、がむしゃらに頑張ることで成長できることもあります。
「他の生徒が解けるんだから、このくらいの問題が解けないと合格できないのか」とモチベーションにつなげて頑張っていくことも大事。
特に上のレベルを目指す生徒にはとても大事なこと!
(自分1人だけでは、医学部とか東京大学の受験は厳しい。中高一貫校が強いのは、ライバルがいることで自分も高みを目指せるから)
こういう良さは「授業をしない塾」にはありません。
ただ、「自分に合った教材で勉強を進めることができる」のは「授業をしない」ことの大きなメリットです。
授業をしないデメリット
ここまでは「授業をしないメリット」についてお話ししてきました。
ただ、いいところもあれば悪いところもあります。
① 教えられてこそわかることがある
「授業をしないデメリット」の1つ目は「教えられてこそ学べることがある」ということ。
ポイント
私は「授業をしない塾」の最大の欠点はこれだと思っています。
この点さえ解決できたら、授業をしない方に100%賛成です。
ただ、この「教えられてこそ学べることがある」が大きすぎるんですよね。
例えば、
A君が数学の問題を解いたとしましょう。
解き終わったら問題集の解説を見て、復習しますよね。
さて、A君はこの問題から必要な知識を100%吸収できるしょうか?
答えはNO!
独学ですべてを吸収するって難しいですよ。
というか不可能と断言できます。
というのも、
解説の中でどれが大事なことかが分からない。
答えはわかるけど、どのように考えたらいいか分からない。
といった問題が出てくるからです。
「解答を理解する」だけでは入試問題は解けない
こういったことは、実際に授業で教えられてこそ身につけることができます。
授業なんてこの点だけが優れていると言っても過言ではありません。
勉強効率だけで考えたら、「授業をせずに問題集や参考書で勉強する」ことに勝てるわけがありません。
自分のペースが1番いいですから・・・
ポイント
ただ、自分より優れた人の考え方を知るのは大学受験には必要不可欠です。
特に暗記一辺倒では合格の難しいレベルの高い大学ではなおさらです。
もちろん、レベルの低い先生が問題集の解答を読み上げる授業には価値はありません。
自分で問題集を解けば解決です。
ただ、優れた授業には問題集を自分で解くことでは絶対に身につけることができない価値があります!
② 友人と切磋琢磨できない
「授業をしない」ことのデメリットの2つ目は、「友人と切磋琢磨できる環境が生まれない」こと。
これもかなり大きい。
「授業をしない」ことってメリットもあるんですが、デメリットが大きすぎるんですよね。
受験勉強って効率だけでは図れない部分があります。
さっきの、「教わってこそ学べることがある」もそうでした。
(参考書での学習が効率は良いけど、最高到達点は低くなります。つまり、結果的には損をすることになります。)
友人と切磋琢磨できるというのも授業の大きなメリットです。
先ほども話したのですが、
同じ授業を受けていて「あの子はなんでも答えられてすごい。もっと頑張らないと!」とモチベーションにつながることもよくあります。
私の生徒に、「個別指導と少人数指導ってどっちがいい?」って聞いたところ、
「〇〇さんが先生の質問にいつも答えてて、なんとか追いつかないとと思ってやる気が出る」と返ってきました。
「個別指導ってなんか退屈そう」とも笑
ここだけの話ですが、
九州大学医学部の同期で個別指導の塾に通っている人はほとんどいませんでした。
もちろん、個別指導の講師レベルでは対応できないというのもありますが・・・
私はもっと大事な理由があると思っています。
それは、集団・少人数授業の方が最終的に高いレベルまで到達できるということ。
これも効率だけを考えると、個別指導の方が良いはず。
自分にぴったりの勉強を教えてもらえますから。
でもそうではありません。
この理由は周りとの関係にあります。
集団授業だと周りのライバルを見て、モチベーションが上がるんですよね。
そして「なんとか食らいつこう」と頑張る。
理屈ではないんです。
効率では語れない良さが集団授業にはあります!
「友人と切磋琢磨できる環境が生まれない」が2つ目のデメリット!
これは大きすぎます。
「受験は団体戦」と有名な言葉がありますが、その通り。
「授業をしない塾」ではこの良さが生まれにくい。
授業をしない塾の問題点
デメリットではないですが、「授業をしない塾」(つまり、学習計画を作る塾)には問題点もあります。
ここからは、その問題点(課題といった方が正しいかも)についてお話ししいきます。
① 先生の能力ですべてが決まる
1つ目の問題点は「先生の能力にすべてがかかっている」ことです。
学習計画は先生(ほとんどの場合は大学生)と生徒が1対1で面談して作ることがほとんど。
つまり、この先生の能力次第で学習計画はまったく別物になってきます。
ほとんどの「授業をしない塾」では、大学生講師が生徒の学習計画を作ることになります。
1人1人の面談をして計画を作るなんて、正社員の講師がやっていたら不可能です。
ここで問題が生じます。
大学生なんて優秀な子はとても優秀ですけど、逆もまたしかり。
講師によってかなり力の差がはっきりしてきます。
しかも難関大学に行っているからといって、必ずしも学習計画を立てるのが優秀かどうかは分かりません。
それもそのはず。
受験生は3年間とか4年間しか勉強していないですから、参考書の知識とかも少ないです。
さらに、自分の勉強で合格したから「自分の勉強=正解」と思いがち。
正直、数学専門の塾講師になるより100倍は難しい。
すべての科目の全体像を知っていなければなりませんし、生徒の現状を100%把握しておかないといけません。
だから、私は「学習計画を作る」という形態は大手がやるには無理があると思っています。
先生ごとで質が変わってきますし、東京と地方といった場所でも格差が生まれます。
最近は「学習計画を作る塾」の中には、あらかじめ生徒に指示する参考書一覧を作っておくところがあります。
それを見て、講師は生徒にアドバイスをして学習計画を作るわけです。
確かにこうすれば、講師ごとに差が生まれるのを防げます。
ただ、これって生徒に応じたオーダーメイドの学習計画ではないんですよね。
あくまで、「たくさんの生徒に均一なサービスを提供すること」を目的にしたもの。
学校の進捗や勉強進度も1人1人が違うので、そこを考慮してあげれたら理想なのに・・・。
② 生徒の能力に依存する
2つ目の問題点は、成績がどの程度が上がるかは「生徒の能力に完全に依存してしまう」ということ。
まあ、これは授業の形態でもそうかもしれません。
「授業をしない塾」では、学習計画をもとに生徒が自学で学びます。
ということは、1冊の問題集でどの程度の知識を得るかが生徒の能力に依存してしまうということです。
先ほども言いましたが、生徒によってどれほど吸収できるかは変わってきます。
自学型の塾だと、この差がモロに表れてしまうかもしれません。
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授業をしない塾と授業をする塾ではどっちがいいの?
ここまでは「授業をしない」ことへのメリットとデメリット、問題点についてお話ししてきました。
ここで一回まとめておきましょう。
授業をしないメリット
- 自分のペースで勉強できる
- 不要な授業を受けなくていい
- 学校の授業との両立が容易
- 自分に合った教材で学習できる
授業をしないデメリット
- 教えられてこそ分かることがある
- 友人と切磋琢磨できない
授業をしない問題点
- 先生の能力がすべて
- 成績が上がるかが生徒の能力に依存する
ここからは、「授業をしない塾」と「授業をする塾」のどっちが良いのか?
について詳しく話していきます。
さてここで生徒の質問に戻りましょう。
私が生徒から聞かれた「授業をしない塾って成績が上がるんですか?」という質問です。
この答えは「授業をしない塾でも成績が上がる」で100%間違いありません。
ただ、この間違いないのが問題なんですよね。
これって『授業をする塾よりも優れている理由』にはなりません。
というのも、授業を受けようが受けまいが、生徒が勉強さえすれば成績は上がるから。
「どっちの塾でも成績は上がる」というのが真実でしょう。
ただ、「どちらの塾がより成績が上がるか?」だと答えは変わってきます。
私は「授業をする塾」の方が生徒の成績を極限まで高められると思っています。
やはり独学には限界がある。
別に、学習計画が悪いと言っているわけではありません。
ただ、より上のレベルを目指すには授業が必要です。
優秀な人の考え方を学び、友人と切磋琢磨する。
この2つが大きな理由です。
授業をしない塾のまとめ
さて、いかがでしたか?
結論としては、「授業はしない塾」でも成績は上がるけど、授業がある塾の方がより高みを目指せる、でした。
高校生はまだまだ思考力も未熟で、勉強の効率もあまりよくありません。
そんな子たちが完全に独学で成績を限界まで上げるのは難しいものがあります。
もちろん成績が上がることには上ります。
ただ、殻を突き破って成績を伸ばしていくのは難しいんじゃないかな?と思います。
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