【解説・採点基準付き】2017年九州大学理系数学の解答・解説
2017年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2017年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$a\tan x$ と $\sin2x$ の交点・接線の直交と、囲まれた図形の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
定数 $a>0$ に対し、曲線 $y=a\tan x$ の $0\leqq x<\dfrac{\pi}{2}$ の部分を $C_1$、曲線 $y=\sin2x$ の $0\leqq x<\dfrac{\pi}{2}$ の部分を $C_2$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) $C_1$ と $C_2$ が原点以外に交点をもつための $a$ の条件を求めよ。
(2) $a$ が (1) の条件を満たすとき、原点以外の $C_1$ と $C_2$ の交点をPとし、Pの $x$ 座標を $p$ とする。Pにおける $C_1$ と $C_2$ のそれぞれの接線が直交するとき、 $a$ および $\cos2p$ の値を求めよ。
(3) $a$ が (2) で求めた値のとき、 $C_1$ と $C_2$ で囲まれた図形の面積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$a\tan x=\dfrac{a\sin x}{\cos x}$、 $\sin2x=2\sin x\cos x$ で、両辺とも $\sin x$ を因数にもつ。 $\sin x$ でくくれば、原点( $\sin x=0$)とそれ以外の交点が分かれる。原点以外の交点は $\cos^2x=\dfrac a2$ をみたす $x$ で、左辺に $x$、右辺に $a$ が分離できている。あとは $\dfrac a2$ が $\cos^2x$ のとる値の範囲に入るかを調べればよい。
グラフで確かめると、原点での接線の傾きは $C_1$ が $a$、 $C_2$ が2。 $0<a<2$ なら $C_1$ ははじめ $C_2$ の下にあり、 $x$ が $\dfrac{\pi}{2}$ に近づくと $C_1$ は限りなく大きくなるので、必ずどこかで $C_2$ と交わる。 $a\geqq2$ なら $C_1$ はずっと $C_2$ の上にある(下の図)。


- $a\tan x-\sin2x$ を $\sin x$ でくくり、 $\tan x\left(a-2\cos^2x\right)$ と表す。
- $0<x<\dfrac{\pi}{2}$ では $\tan x>0$ なので、原点以外の交点の条件を「 $\cos^2x=\dfrac a2$ をみたす $x$ が $0<x<\dfrac{\pi}{2}$ にある」と言いかえる。
- $0<x<\dfrac{\pi}{2}$ で $\cos^2x$ がとる値の範囲 $0<\cos^2x<1$ を求め、 $\dfrac a2$ がその範囲に入る条件から $a$ の範囲を求める。
【(2)の方針】
$p$ は $\cos^2p=\dfrac a2$ で決まるが、具体的な角にはならない。そこで $p$ を文字のまま残し、(1) の関係式 $\cos^2p=\dfrac a2$ を条件として使う。交点の座標が求まらないときは、交点を文字でおいて「交点である条件」と「接線についての条件」の2式を連立する(2曲線が接する条件を求めるときと同じ型)。
この関係式を $C_1$ の接線の傾き $\dfrac{a}{\cos^2p}$ に代入すると、 $a$ によらず 傾きは2 になる。すると直交条件に残る文字は $C_2$ の傾き $2\cos2p$ の中の $\cos2p$ だけになり、 $\cos2p$ がすぐに求まる。最後に、2倍角の公式 $\cos2p=2\cos^2p-1$ で $\cos2p$ と $a$ が結びつく。
- $\mathrm{P}$ での $C_1$ の接線の傾き $\dfrac{a}{\cos^2p}$ に $\cos^2p=\dfrac a2$ を代入し、傾きが2になることを示す。
- $\mathrm{P}$ での $C_2$ の接線の傾き $2\cos2p$ を求め、傾きの積が $-1$ という直交条件から $\cos2p$ を求める。
- 2倍角の公式に $\cos^2p=\dfrac a2$ を代入して $\cos2p=a-1$ と表し、 $a$ を求める((1) の範囲に入ることを確かめる)。
【(3)の方針】
面積を求めるには、どちらが上かと、どこからどこまでが囲まれた図形かが要る。(1) と同じ変形で $\sin2x-a\tan x=\tan x\left(2\cos^2x-a\right)$ と表し、その符号を見れば、両方が一度に分かる。 $0<x<p$ では $\cos^2x>\dfrac a2$ なので $C_2$ が上、 $p<x<\dfrac{\pi}{2}$ では $C_1$ が上で、その後は交わらない。
積分の上端の $p$ は求まらないが、積分した結果に現れるのは $\cos2p$ と $\log\cos p$ だけで、どちらも $\cos^2p=\dfrac38$ から求まる。 $p$ の値ではなく $\cos^2p$ の値が分かれば十分。また $\tan x=\dfrac{\sin x}{\cos x}=-\dfrac{(\cos x)’}{\cos x}$ と見れば $\dfrac{f'(x)}{f(x)}$ の形なので、 $\displaystyle\int\tan x\,dx=-\log\cos x+C$ と積分できる。
- $\tan x\left(2\cos^2x-\dfrac34\right)$ の符号から、 $0<x<p$ で $C_2$ が上、 $p<x<\dfrac{\pi}{2}$ で $C_1$ が上であることを確かめ、囲まれた図形が $0\leqq x\leqq p$ の部分であることを示す。
- 面積を $S=\displaystyle\int_0^p\left(\sin2x-\dfrac34\tan x\right)dx$ と表し、 $\displaystyle\int\tan x\,dx=-\log\cos x$ を使って積分する。
- 積分した結果を $\cos2p$ と $\log\cos p$ で表し、 $\cos2p=-\dfrac14$ と $\cos^2p=\dfrac38$ を代入して面積を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$0<x<\dfrac{\pi}{2}$ において
$$a\tan x-\sin2x=\frac{a\sin x}{\cos x}-2\sin x\cos x=\frac{\sin x}{\cos x}\left(a-2\cos^2x\right)=\tan x\left(a-2\cos^2x\right)$$
$0<x<\dfrac{\pi}{2}$ では $\tan x>0$ なので、 $C_1$ と $C_2$ が原点以外に交点をもつ条件は、 $\cos^2x=\dfrac a2$ をみたす $x$ が $0<x<\dfrac{\pi}{2}$ にあることである。
$x$ が $0<x<\dfrac{\pi}{2}$ を動くとき、 $\cos x$ は $0<\cos x<1$ のすべての値をとるので、 $\cos^2x$ は $0<\cos^2x<1$ のすべての値をとる。
よって求める条件は $0<\dfrac a2<1$。
答 $0<a<2$
(2) 配点 15点
$\mathrm{P}$ は原点以外の交点なので、(1) より
$$\cos^2p=\frac a2\qquad\left(0<p<\frac{\pi}{2}\right)$$
$(a\tan x)’=\dfrac{a}{\cos^2x}$ より、 $\mathrm{P}$ での $C_1$ の接線の傾きは
$$\frac{a}{\cos^2p}=\frac{a}{\ \dfrac a2\ }=2$$
$(\sin2x)’=2\cos2x$ より、 $\mathrm{P}$ での $C_2$ の接線の傾きは $2\cos2p$。2本の接線が直交するので、傾きの積が $-1$ になり
$$2\cdot2\cos2p=-1\qquad\therefore\ \cos2p=-\frac14$$
2倍角の公式より $\cos2p=2\cos^2p-1=a-1$ なので、 $a-1=-\dfrac14$ より $a=\dfrac34$。これは $0<a<2$ をみたす。
答 $a=\dfrac34$、 $\cos2p=-\dfrac14$
(3) 配点 20点
$a=\dfrac34$ のとき、(2) より $\cos^2p=\dfrac38$、 $\cos2p=-\dfrac14$。(1) と同様に
$$\sin2x-\frac34\tan x=\tan x\left(2\cos^2x-\frac34\right)$$
$0<x<\dfrac{\pi}{2}$ で $\tan x>0$ であり、 $\cos^2x$ は減少するので、この式は $0<x<p$ で正( $C_2$ が上)、 $p<x<\dfrac{\pi}{2}$ で負( $C_1$ が上)。よって $C_1$ と $C_2$ の交点は原点と $\mathrm{P}$ だけで、囲まれた図形は $0\leqq x\leqq p$ の部分である(下の図の色の部分)。
求める面積を $S$ とすると
$$S=\int_0^p\left(\sin2x-\frac34\tan x\right)dx$$
$\tan x=-\dfrac{(\cos x)’}{\cos x}$ で、 $0\leqq x<\dfrac{\pi}{2}$ では $\cos x>0$ なので $\displaystyle\int\tan x\,dx=-\log\cos x+C$。よって
$$S=\left[-\frac12\cos2x+\frac34\log\cos x\right]_0^p=\frac12-\frac12\cos2p+\frac34\log\cos p$$
$\cos p>0$ より $\log\cos p=\dfrac12\log\cos^2p=\dfrac12\log\dfrac38$。これと $\cos2p=-\dfrac14$ を代入して
$$S=\frac12+\frac18+\frac34\cdot\frac12\log\frac38=\frac58+\frac38\log\frac38$$
答 $\dfrac58+\dfrac38\log\dfrac38$
出題意図
(1) 交点の条件を $\cos^2x=\dfrac a2$ という形に整理し、 $a$ の条件に言いかえられるか
(2) 交点の $x$ 座標 $p$ が具体的な角にならないとき、 $p$ を文字のまま残し、 $p$ がみたす関係式 $\cos^2p=\dfrac a2$ を使って処理できるか。交点を文字でおいて条件式を連立する、難関大学における典型問題。
(3) $p$ が求まらなくても、 面積の計算に必要なのは $\cos2p$ と $\cos p$ の値だけだと捉えることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
交点が具体的に求まらないからといって、解けない問題ではない。
交点を文字でおき、その文字がみたす関係式を代入する。
本問は (2) も (3) も、この操作だけで最後まで進む。
2曲線が接する・直交する・囲む面積といった典型問題を反復し、「交点は文字のまま残し、関係式で処理する」を反射的に使えるようにしておこう。
最初の方に解いて完答する。
(1) は $\sin x$ でくくって $\cos^2x=\dfrac a2$ にすれば終わる。
(2) は $p$ を求めようとせず、 $\cos^2p=\dfrac a2$ を代入して傾きを2にする。
(3) は上下関係を確かめ、 $\tan x$ の積分と $\log\cos p$ の処理をするだけ。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
ここで時間を節約して、第3問・第5問に回す。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で、具体的な角度(交点の $x$ 座標 $p$)が求まらない場合の処理の仕方が分かっているか:交点を文字のままおき、それがみたす関係式( $\cos^2p=\dfrac a2$)を代入して処理する。ここで大きく差がつく。
- (2) で $p$ を求めずに、 $\cos^2p=\dfrac a2$ を条件式として代入するという発想に行き着けるか:代入すれば $C_1$ の傾きが2になり、あとは計算だけで終わる。 $p$ を具体的な角で求めようとすると方針が立たない。
- (3) で $p$ の値ではなく $\cos p$、 $\cos2p$ の値があれば面積が求まる、という発想に行き着けるか:積分の上端が文字のままでも、原始関数に代入した結果は $\cos^2p=\dfrac38$ だけで決まる。ここに気づかないと立式のあとに方針が立たない。
- 積分の符号と対数の処理: $\displaystyle\int\tan x\,dx=-\log\cos x$ の符号の誤り、 $\log\cos p=\dfrac12\log\dfrac38$ の変形の誤りが、そのまま答えの誤りになる。また、 $p<x<\dfrac{\pi}{2}$ で再び交わらないことを書かずに立式すると、論証として不十分。
2017年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「空間の垂線の足とベクトルのなす角」。
問題


問題文をテキストで読む
2つの定数 $a>0$ および $b>0$ に対し、座標空間内の4点を
$$\mathrm{A}(a,0,0),\ \mathrm{B}(0,b,0),\ \mathrm{C}(0,0,1),\ \mathrm{D}(a,b,1)$$
と定める。以下の問いに答えよ。
(1) 点Aから線分CDにおろした垂線とCDの交点をGとする。Gの座標を $a,b$ を用いて表せ。
(2) さらに、点Bから線分CDにおろした垂線とCDの交点をHとする。 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ がなす角を $\theta$ とするとき、 $\cos\theta$ を $a,b$ を用いて表せ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\mathrm{G}$ には「直線 $\mathrm{CD}$ 上にある」「 $\mathrm{AG}\perp\mathrm{CD}$」の2つの条件がある。1つ目の条件から、 $\mathrm{G}$ は $\mathrm{C}$ から $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ の向きに進んだ点として1文字 $s$ で表せる。2つ目の条件は内積=0で $s$ の方程式になる。未知数1つに式1つなので、必ず求まる。
さらに、 $\mathrm{C}$、 $\mathrm{D}$ はどちらも $z$ 座標が1なので、線分 $\mathrm{CD}$ は平面 $z=1$ 上の水平な線分。 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ の $z$ 成分は0なので、内積には $x$、 $y$ 成分しか効かない。つまり、 $\mathrm{A}$ の真上の点 $\mathrm{A’}(a,0,1)$ から $\mathrm{CD}$ におろした垂線の足も $\mathrm{G}$ であり、真上から見れば平面の問題になる。


- $\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(a,b,0)$ を求め、 $\overrightarrow{\mathrm{CG}}=s\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ として $\mathrm{G}(sa,\ sb,\ 1)$ と1文字で表す。
- $\overrightarrow{\mathrm{AG}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=0$ を $s$ の1次方程式にして $s$ を求める。
- $0<s<1$ ( $\mathrm{G}$ が線分 $\mathrm{CD}$ 上にあること)を確かめ、 $\mathrm{G}$ の座標を答える。
【(2)の方針】
$\mathrm{H}$ は (1) と同じ手順で求まる。 $\cos\theta$ を計算する前に、 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ の成分の関係に目を向ける。 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ は平面 $z=0$ 上、 $\mathrm{G}$、 $\mathrm{H}$ は平面 $z=1$ 上なので、 $z$ 成分はどちらも1。真上から見ると、 $\mathrm{A’}(a,0,1)$、 $\mathrm{B’}(0,b,1)$ は長方形 $\mathrm{CA’DB’}$ の中心について対称の位置にあるので、垂線の足 $\mathrm{G}$、 $\mathrm{H}$ も対称になり、 水平方向の成分 $\overrightarrow{\mathrm{A’G}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{B’H}}$ は長さが等しく逆向き。よって $\overrightarrow{\mathrm{AG}}=(-p,\ q,\ 1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}=(p,\ -q,\ 1)$ の形になり、内積も大きさも $p^2+q^2$ の1つのかたまりで表せる。


- (1) と同じように $\mathrm{H}(ta,\ tb,\ 1)$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=0$ から $t$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{AG}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ を成分で表し、 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}=(-p,\ q,\ 1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}=(p,\ -q,\ 1)$ の形であることを確かめる。
- 内積 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BH}}=1-(p^2+q^2)$ と大きさ $|\overrightarrow{\mathrm{AG}}|^2=|\overrightarrow{\mathrm{BH}}|^2=1+(p^2+q^2)$ を求める。
- $p^2+q^2$ を $a$、 $b$ で表して代入し、 $\cos\theta$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
以下 $K=a^2+b^2$ とおく。
(1) 配点 20点
$\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(a,\ b,\ 0)$。 $\mathrm{G}$ は直線 $\mathrm{CD}$ 上の点なので、実数 $s$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{CG}}=s\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ と表せて
$$\mathrm{G}(sa,\ sb,\ 1),\qquad\overrightarrow{\mathrm{AG}}=(sa-a,\ sb,\ 1)$$
$\overrightarrow{\mathrm{AG}}\perp\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ より $\overrightarrow{\mathrm{AG}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=0$ なので
$$a(sa-a)+b\cdot sb+1\cdot0=0\iff s(a^2+b^2)=a^2\iff s=\frac{a^2}{K}$$
$0<s<1$ なので、 $\mathrm{G}$ は確かに線分 $\mathrm{CD}$ 上にある。よって $\mathrm{G}\left(\dfrac{a^3}{K},\ \dfrac{a^2b}{K},\ 1\right)$。
答 $\mathrm{G}\left(\dfrac{a^3}{a^2+b^2},\ \dfrac{a^2b}{a^2+b^2},\ 1\right)$
補足(正射影ベクトル) この計算は、 $\overrightarrow{\mathrm{CA}}$ の $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ 方向の成分を求めているのと同じで、 $\overrightarrow{\mathrm{CG}}=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{CA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}}{|\overrightarrow{\mathrm{CD}}|^2}\overrightarrow{\mathrm{CD}}=\dfrac{a^2}{K}\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ となる。公式として使ってもよいが、答案では「直線上の点を1文字で表す→内積=0」の流れを書けば、公式を忘れても同じ結果にたどり着ける。
(2) 配点 30点
(1) と同様に、実数 $t$ を用いて $\mathrm{H}(ta,\ tb,\ 1)$ とおくと $\overrightarrow{\mathrm{BH}}=(ta,\ tb-b,\ 1)$。 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=0$ より
$$a\cdot ta+b(tb-b)=0\iff t=\frac{b^2}{K}$$
( $0<t<1$ なので $\mathrm{H}$ は線分 $\mathrm{CD}$ 上にある)
よって
$$\overrightarrow{\mathrm{AG}}=\left(\frac{a^3}{K}-a,\ \frac{a^2b}{K},\ 1\right)=\left(-\frac{ab^2}{K},\ \frac{a^2b}{K},\ 1\right)$$
$$\overrightarrow{\mathrm{BH}}=\left(\frac{ab^2}{K},\ \frac{b^3}{K}-b,\ 1\right)=\left(\frac{ab^2}{K},\ -\frac{a^2b}{K},\ 1\right)$$
$p=\dfrac{ab^2}{K}$、 $q=\dfrac{a^2b}{K}$ とおくと、 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}=(-p,\ q,\ 1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}=(p,\ -q,\ 1)$。 $x$、 $y$ 成分は符号だけが違い、 $z$ 成分はどちらも1である。
$$\overrightarrow{\mathrm{AG}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BH}}=-p^2-q^2+1=1-(p^2+q^2),\qquad|\overrightarrow{\mathrm{AG}}|^2=|\overrightarrow{\mathrm{BH}}|^2=1+(p^2+q^2)$$
ここで
$$p^2+q^2=\frac{a^2b^4+a^4b^2}{K^2}=\frac{a^2b^2(a^2+b^2)}{K^2}=\frac{a^2b^2}{K}$$
$|\overrightarrow{\mathrm{AG}}|=|\overrightarrow{\mathrm{BH}}|$ なので
$$\cos\theta=\frac{\overrightarrow{\mathrm{AG}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BH}}}{|\overrightarrow{\mathrm{AG}}|^2}=\frac{1-(p^2+q^2)}{1+(p^2+q^2)}$$
に $p^2+q^2=\dfrac{a^2b^2}{K}$ を代入し、分母・分子に $K$ をかけて
$$\cos\theta=\frac{K-a^2b^2}{K+a^2b^2}=\frac{a^2+b^2-a^2b^2}{a^2+b^2+a^2b^2}$$
答 $\cos\theta=\dfrac{a^2+b^2-a^2b^2}{a^2+b^2+a^2b^2}$
別解(真上から見る) $\mathrm{A’}(a,0,1)$、 $\mathrm{B’}(0,b,1)$ とおく。 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ の $z$ 成分は0なので、 $\mathrm{G}$ は $\mathrm{A’}$ から、 $\mathrm{H}$ は $\mathrm{B’}$ から、それぞれ $\mathrm{CD}$ におろした垂線の足でもある。平面 $z=1$ を真上から見ると、 $\mathrm{CA’DB’}$ は縦 $b$、横 $a$ の長方形で、 $\mathrm{CD}$ はその対角線。 $\mathrm{A’}$ と $\mathrm{B’}$ は長方形の中心について対称なので、 $\overrightarrow{\mathrm{B’H}}=-\overrightarrow{\mathrm{A’G}}$。長さは、三角形 $\mathrm{CA’D}$ の面積 $\dfrac12ab$ を2通りに表して
$$\mathrm{A’G}=\frac{ab}{\mathrm{CD}}=\frac{ab}{\sqrt{K}}$$
$\overrightarrow{\mathrm{AG}}=\overrightarrow{\mathrm{A’G}}+(0,0,1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}=-\overrightarrow{\mathrm{A’G}}+(0,0,1)$ なので、2つのベクトルを同じ点から書くと、鉛直方向の長さ1の線分について対称な二等辺三角形ができる((2) の模範解答の図)。 $\theta$ の半分の角を $\varphi$ とすると $\tan\varphi=\dfrac{ab}{\sqrt K}$ なので
$$\cos\theta=\cos2\varphi=\frac{1-\tan^2\varphi}{1+\tan^2\varphi}=\frac{K-a^2b^2}{K+a^2b^2}$$
となり、同じ答えになる。
出題意図
(1) 垂線の足を「直線上の点を1文字で表す」「内積=0」の2つの条件で求めるという空間ベクトルの基本が理解できているか
(2) 文字が多いベクトルのなす角を、成分の関係に目を向けて式を整理しながら、最後まで正確に計算できるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 10分 | 15分 |
空間ベクトルの垂線の足は、「直線上の点を1文字で表す」「内積=0」の2つで必ず求まる。
発想は要らず、解き方は毎回同じ。
この問題を落とすと2017年の合格は厳しい。
10分から15分で確実に完答できる力をつけよう。
2017年のセットで最も易しい問題なので、最初に解く。
(1) は $\mathrm{G}$ を1文字で表して内積=0とするだけ。
(2) は (1) と同じ手順で $\mathrm{H}$ を求め、 $\overrightarrow{\mathrm{AG}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ の成分を並べて関係を確かめてから内積を計算する。
計算自体は単純なので、確実に計算し、 $a=b=1$ のとき $\cos\theta=\dfrac13$ になることなどで検算してから次の問題へ進む。
ここで時間を節約して、(3) の重い第3問・第5問に回す。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で $\overrightarrow{\mathrm{AG}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{BH}}$ の成分を並べ、「 $x$、 $y$ 成分は符号違い、 $z$ 成分は1」という関係に気づく、という発想に行き着けるか:気づけば内積も大きさも $p^2+q^2$ の1つのかたまりで済む。気づかずに成分をそのまま2乗して展開すると、分母に $(a^2+b^2)^2$ が残ったまま式が長くなり、計算ミスが起きやすい。
- 線分上にあることの確認:問題は「線分CDにおろした垂線」なので、 $0<s<1$ を一言書いておく。書かないと減点される可能性がある。
2017年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は整数・数列の問題です。
テーマは「等差数列の項の積に含まれる素因数7の個数」。
問題


問題文をテキストで読む
初項 $a_1=1$、公差4の等差数列 $\{a_n\}$ を考える。以下の問いに答えよ。
(1) $\{a_n\}$ の初項から第600項のうち、7の倍数である項の個数を求めよ。
(2) $\{a_n\}$ の初項から第600項のうち、 $7^2$ の倍数である項の個数を求めよ。
(3) 初項から第 $n$ 項までの積 $a_1a_2\cdots a_n$ が $7^{45}$ の倍数となる最小の自然数 $n$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$a_n=4n-3$。 $n$ が7増えると $a_n$ は $4\cdot7=28$ 増え、28は7の倍数なので、 $a_n$ を7で割った余りは7項ごとにくり返す。600項すべてを調べる必要はなく、最初の7項( $n=1,2,\cdots,7$)で7の倍数になる $n$ を1つ見つければ、あとはその7項おきに並ぶだけ。
- $a_n=4n-3$ と表す。
- $n=1,2,\cdots,7$ を順に代入し、7の倍数になるのが $n=6$( $a_6=21$)だけであることを確かめる。
- $a_{n+7}-a_n=28$ から、7の倍数になるのは $n$ を7で割った余りが6のとき、つまり $n=7m+6$( $m=0,1,2,\cdots$)のときだけだと結論する。
- $1\leqq 7m+6\leqq600$ をみたす $m$ の個数を数える。
【(2)の方針】
$49$ の倍数の項は、7の倍数の項の中にしかない。そこで (1) の $n=7m+6$ を代入して7をくくり出すと $a_n=7(4m+3)$ で、「 $a_n$ が49の倍数」は「中身の $4m+3$ が7の倍数」と同じ。これは (1) とまったく同じ形の問題なので、割る数は7のままでよい。 $4n\equiv3\pmod{49}$ を直接解こうとすると $n=1$ から49まで試すか、法49での4の逆数を探すことになり、計算が重くなる。
- $n=7m+6$ を代入して $a_n=7(4m+3)$ と表す。
- $4m+3$ が7の倍数になる $m$ を、 $m=0,1,\cdots,6$ を代入して探す( $m=1$ のとき $4m+3=7$)。 $4m+3$ も $m$ が7増えると28増えるので、条件は $m=7l+1$( $l=0,1,2,\cdots$)。
- $n=7(7l+1)+6=49l+13$ と表し、 $1\leqq49l+13\leqq600$ をみたす $l$ の個数を数える。
【(3)の方針】
積 $a_1a_2\cdots a_n$ に含まれる7の個数は、各項に含まれる7の個数の和。下の図のように、項ごとに7の個数だけ点を縦に積むと、横の段ごとに数えることができる。1段目は7の倍数の項の個数、2段目は49の倍数の項の個数、3段目は343の倍数の項の個数で、7の個数の合計はこれらの和になる。 $n!$ に含まれる素因数7の個数を数えるときと同じ考え方。


343の倍数の項は、(2) と同じ操作をもう1回すれば求められる。 $n=49l+13$ を代入すると $a_n=49(4l+1)$ で、中身の $4l+1$ が7の倍数になる $l$ を探せばよい。また、答えのおよその位置を先に見積もっておく。49項ごとに7の倍数の項が7個あり、そのうち1個が49の倍数なので、7は49項ごとに8個ずつ増える。 $45=8\cdot5+5$ なので、答えは6まとまり目( $n=245$ 〜 $293$)の途中にあり、ここに343の倍数の項 $a_{258}$ が入るかどうかで答えが変わる。
- $n=49l+13$ を代入して $a_n=49(4l+1)$ と表し、 $4l+1$ が7の倍数になる $l$ を探して、343の倍数の項が $n=343j+258$( $j=0,1,\cdots$)であることを求める。同じ操作をもう1回して、 $7^4=2401$ の倍数の項は $n\geqq601$ でしか現れないことを確かめる。
- 第 $n$ 項までの積に含まれる7の個数を $N(n)$ とし、 $N(n)=$(7の倍数の項の個数)$+$(49の倍数の項の個数)$+$(343の倍数の項の個数)と表す。
- 7の倍数の項の番号を7個ずつ横に並べた表を作る。1つの行に含まれる7の個数は8個なので、5行目の終わり( $n=244$)で $N=40$ と求める。
- 6行目を $n=251,\ 258,\ 265$ と順に足し、 $N(258)=44$、 $N(265)=45$ を確かめる。 $n=258$ から $n=264$ までは7の倍数の項がないので、 $N(n)=44$ のままであることも確かめ、最小の $n$ を答える。
解答


解答をテキストで読む
$a_n=1+4(n-1)=4n-3$。
(1) 配点 10点
$a_{n+7}-a_n=4\cdot7=28$ は7の倍数なので、 $a_n$ を7で割った余りは $n$ について周期7でくり返す。 $n=1,2,\cdots,7$ のとき
$$a_n=1,\ 5,\ 9,\ 13,\ 17,\ 21,\ 25$$
で、7の倍数は $a_6=21$ だけ。よって $a_n$ が7の倍数 $\iff$ $n$ を7で割った余りが6 $\iff$ $n=7m+6$( $m$ は0以上の整数)。
$1\leqq7m+6\leqq600$ より $0\leqq m\leqq84$( $7\cdot84+6=594$)なので、個数は85個。
答 85個
(2) 配点 15点
49の倍数は7の倍数なので、 $n=7m+6$ の項だけを調べればよい。
$$a_{7m+6}=4(7m+6)-3=28m+21=7(4m+3)$$
よって $a_n$ が49の倍数 $\iff$ $4m+3$ が7の倍数。 $4m+3$ は $m$ が7増えると28増えるので、7で割った余りは $m$ について周期7でくり返す。 $m=0,1,\cdots,6$ のとき $4m+3=3,\ 7,\ 11,\ 15,\ 19,\ 23,\ 27$ で、7の倍数は $m=1$ のときだけ。よって $m=7l+1$( $l$ は0以上の整数)、すなわち
$$n=7(7l+1)+6=49l+13$$
$1\leqq49l+13\leqq600$ より $0\leqq l\leqq11$( $49\cdot11+13=552$、 $49\cdot12+13=601$)なので、個数は12個。
答 12個
(補足)合同式で書くと、 $4n\equiv3\pmod{49}$ の両辺に $37$ をかけて( $4\cdot37=148\equiv1\pmod{49}$)、 $n\equiv111\equiv13\pmod{49}$ と求めることもできる。ただし本番で法49の4の逆数37を探すのは時間がかかるので、7をくくり出す方が確実。
(3) 配点 25点
第 $n$ 項までの積 $a_1a_2\cdots a_n$ に含まれる素因数7の個数を $N(n)$ とする。 $N(n)$ は各項に含まれる7の個数の和で、項ごとに7の個数を段に分けて数えると
$$N(n)=A_1+A_2+A_3+\cdots$$
ただし $A_k$ は、第 $n$ 項までのうち $7^k$ の倍数である項の個数。
(2) と同様に、 $n=49l+13$ のとき
$$a_{49l+13}=4(49l+13)-3=196l+49=49(4l+1)$$
$l=0,1,\cdots,6$ のとき $4l+1=1,\ 5,\ 9,\ 13,\ 17,\ 21,\ 25$ で、7の倍数は $l=5$ のときだけ。よって $a_n$ が343の倍数 $\iff$ $l=7j+5$( $j$ は0以上の整数) $\iff$ $n=343j+258$ で、 $a_{343j+258}=343(4j+3)$。
さらに $4j+3$ が7の倍数になる最小の $j$ は $j=1$ なので、 $7^4$ の倍数の項は $n=601$ が最初。以下 $n\leqq600$ の範囲で考えると $A_4=A_5=\cdots=0$ で、343の倍数の項は $a_{258}=1029=3\cdot7^3$ だけ。
7の倍数の項の番号 $n=7m+6$ を、7個ずつ横に並べる(下の表)。どの行も2列目が49の倍数の項( $n=49l+13$)で、1つの行に含まれる7の個数は $6\cdot1+1\cdot2=8$ 個。ただし6行目の2列目 $n=258$ は343の倍数で、7が3個。
5行目の終わりの $n=244$ までで $N(244)=8\cdot5=40$。6行目を順に足すと
$$N(251)=41,\qquad N(258)=41+3=44,\qquad N(265)=44+1=45$$
$259\leqq n\leqq264$ では7の倍数の項がないので $N(n)=N(258)=44<45$、また $N(n)$ は $n$ について減らないので、 $n\leqq264$ では $N(n)\leqq44$。
(確認) $N(265)=A_1+A_2+A_3=38+6+1=45$( $7\cdot37+6=265$ より $A_1=38$、 $49\cdot5+13=258\leqq265$ より $A_2=6$)
答 $n=265$
出題意図
(1)(2) 「 $a_n$ が7の倍数」「 $a_n$ が $7^2$ の倍数」という条件を、 $n$ を7で割った余りの条件に言いかえられるか。(2) では割る数を49に大きくせず、7をくくり出して中身をもう一度7で調べることができるか。
(3) 積に含まれる素因数7の個数を、各項に含まれる7の個数の和として捉えることができるか。 $n!$ に含まれる素因数の個数と同じ数え方を等差数列に当てはめ、343の倍数の項まで落とさずに数えきれるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 30点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 | 25分 |
整数問題で大きく差がつくのは、難しい定理を知っているかではなく、数え方を整理できるかどうかだ。
本問は (1)(2)(3) とも「7をくくり出して、中身を7で割った余りを調べる」という同じ操作のくり返しで、(3) は $n!$ に含まれる素因数の個数の数え方そのもの。
それでも重い問題になるのは、大きな数を前にして、余りの周期や表で整理する習慣がないと数え上げが崩れるからである。
竜文会ブログでも書いているとおり、余りに着目する整数問題は難しくなりがちで、九大では近年くり返し出題されている。
余りの周期を見つけ、表に並べて数える演習を積み、確実な得点源にしておこう。
2017年のセットで最も時間がかかる問題なので、解きやすい第1問・第2問を先に終えてから取りかかる。
(1)(2) は「最初の7項を調べる」「7をくくり出して中身を0から6まで調べる」だけなので、15分以内に確実に取る。
(1) で方針が立たなければ (2)(3) も同じ操作の続きなので、第3問は飛ばして他の問題に時間を回してよい。
(3) は (2) と同じ操作をもう1回して343の倍数の項 $n=258$ を求め、答えのおよその位置を見積もってから表を書いて数える。
計算自体は単純なので、確実に計算し、 $N(258)=44$、 $N(265)=45$ を表で検算してから次の問題へ進む。
難易度自体はそこまで高くないので、余りの周期や素因数の個数の数え方といった整数問題の知識を鍛えて、完答を目指したい。
差がつく所・失点しやすい所
- 第3問で差がつくのは (2):整数が絡んだ数列の周期性に気づけるか。7項ずれると項が28増えて(7の倍数)、7で割った余りが7項ごとにくり返す。(2) は $a_{7m+6}=7(4m+3)$ から、今度は $4m+3$ を7で割った余りで7項ずつ調べる(結果として49項の周期を文字で扱っている)。(2) さえ解ければ、(3) は $n!$ に含まれる素因数7の個数を数えるのと同じ考え方で、 $7^3$ の倍数を見落とさなければ難しくない。医学科ならここを乗り切りたい。
- (1) で「余りは7項ごとにくり返す」という発想に行き着けるか:600項という大きな数を前にして方針が立たないと、(1) の時点で大きく差がつく。最初の7項だけ調べればよいと気づければ、(1) はすぐに解ける。
- (2) で7をくくり出し、中身をもう一度7で調べるという発想に行き着けるか:$4n\equiv3\pmod{49}$ を直接解こうとすると、法49での4の逆数37を探すか $n=1$ から49まで試すことになり、時間がかかって計算ミスも起きやすい。くくり出せば、(1) と同じく0から6を代入するだけで済む。
- (3) で「7の個数=各段の個数の和」と数えるという発想に行き着けるか:「7の倍数の項が45個になる $n$」を求めてしまうと $n=314$ になる。49の倍数の項は7を2個もつ、という数え方ができるかで大きく差がつく。
- (3) で343の倍数の項 $a_{258}=1029=3\cdot7^3$ を落とす:(3) には343の倍数を求める誘導がないので、見落とすと7の個数が1個ずつ足りず、答えが $n=272$ にずれる。答えのおよその位置( $n=245$ 〜 $293$)を先に見積もれば、258がその中に入っていることに気づける。
- 答えだけで点が決まりやすい:(3) は最後の数え上げを1つ間違えると答えがずれ、部分点しか残らない。大きな数の計算が3段続くうえに、最後は数え上げの正確さが問われる。この重さが、2017年のセットで最も時間がかかる問題になる理由。
2017年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は確率・数列の問題です。
テーマは「3人で玉を取り出すゲームと確率の漸化式」。
問題


問題文をテキストで読む
赤玉2個、青玉1個、白玉1個が入った袋が置かれた円形のテーブルの周りにA、B、Cの3人がこの順番で時計回りに着席している。3人のうち、ひとりが袋から玉を1個取り出し、色を確認したら袋にもどす操作を考える。1回目はAが玉を取り出し、次のルール (a)、(b)、(c) に従って勝者が決まるまで操作を繰り返す。
(a) 赤玉を取り出したら、取り出した人を勝者とする。
(b) 青玉を取り出したら、次の回も同じ人が玉を取り出す。
(c) 白玉を取り出したら、取り出した人の左隣りの人が次の回に玉を取り出す。
A、B、Cの3人が $n$ 回目に玉を取り出す確率をそれぞれ $a_n,b_n,c_n\ (n=1,2,\cdots)$ とする。ただし、 $a_1=1$、 $b_1=c_1=0$ である。以下の問いに答えよ。
(1) Aが4回目に勝つ確率と7回目に勝つ確率をそれぞれ求めよ。
(2) $d_n=a_n+b_n+c_n\ (n=1,2,\cdots)$ とおくとき、 $d_n$ を求めよ。
(3) 自然数 $n\geqq3$ に対し、 $a_{n+1}$ を $a_{n-2}$ と $n$ を用いて表せ。
解答の方針
【(1)の方針】
1回の操作で、赤 $\dfrac12$ なら終わり、青 $\dfrac14$ なら同じ人、白 $\dfrac14$ なら左隣りの人(図の矢印の向きで A→B→C→A)へ回る。ゲームが続いている間に出た玉は青か白だけで、白が1回出るたびに取り出す人が1つ進む。つまり $k$ 回目に取り出す人は、それまでの $k-1$ 回で出た白の回数を3で割った余りだけで決まる(余り0ならA、1ならB、2ならC)。たとえば「青、白、白、白」と出れば、5回目はAに戻る。漸化式を立てて7回目まで順に計算しなくても、白の回数を数えるだけで確率が求まる。


- $n$ 回目にAが取り出すのは、「1〜 $(n-1)$ 回目がすべて青か白で、白の回数が3の倍数」のときであることを示す。
- 4回目は、1〜3回目の白の回数が0回か3回の場合を数えて $a_4$ を求める。
- 7回目は、1〜6回目の白の回数が0回・3回・6回の場合を二項係数で数えて $a_7$ を求める。
- Aが $n$ 回目に勝つ確率は「 $n$ 回目にAが取り出し、赤を取り出す」確率 $\dfrac12a_n$ なので、 $n=4,\ 7$ の値を答える。
【(2)の方針】
$a_n,b_n,c_n$ は「 $n$ 回目に取り出すのがA」「B」「C」という、同時には起こらない3つの事象の確率なので、その和 $d_n$ は 「 $n$ 回目に誰かが玉を取り出す確率」、つまり $n-1$ 回目までに勝負がついていない確率である。毎回 $\dfrac12$ で勝負が続くので、すぐに求まる。勝者が決まるとゲームが終わるので、 $d_n$ は1にならないことに注意する。
- $d_n$ を「1〜 $(n-1)$ 回目にすべて赤以外が出る確率」と言いかえる。
- 赤以外が出る確率 $\dfrac12$ を $n-1$ 回かけて $d_n$ を求める。
【(3)の方針】
$a_{n+1}$ と $a_{n-2}$ は3回分はなれている。3人で1周するのに3回かかることがその理由で、漸化式を代入して添字を3つ下げるのが方針になる。ただし、そのまま3回代入すると $b_{n-2}$、 $c_{n-2}$ も残る。そこで $n+1$ 回目のAから3回さかのぼると、下の図のように $n-2$ 回目にAである道が2本、Bである道とCである道が3本ずつあり、 $b_{n-2}$ と $c_{n-2}$ の係数が等しくなる。係数が等しければ $b_{n-2}+c_{n-2}=d_{n-2}-a_{n-2}$ とまとめられ、(2) の $d_n$ が使える。 $b_n$、 $c_n$ の一般項を求める必要はない。


- $n+1$ 回目に取り出す人を、 $n$ 回目に取り出す人と出た玉の色で分けて、3つの漸化式 $a_{n+1}=\dfrac14(a_n+c_n)$、 $b_{n+1}=\dfrac14(b_n+a_n)$、 $c_{n+1}=\dfrac14(c_n+b_n)$ を立てる。
- $a_{n+1}=\dfrac14(a_n+c_n)$ に $a_n$、 $c_n$ の漸化式を代入して添字を $n-1$ に下げ、 $a_{n-1}+b_{n-1}+c_{n-1}$ を $d_{n-1}$ にまとめる。
- 残った $c_{n-1}$ に漸化式を代入して添字を $n-2$ に下げ、 $b_{n-2}+c_{n-2}$ を $d_{n-2}-a_{n-2}$ に置きかえる。
- (2) の $d_{n-1}$、 $d_{n-2}$ を代入して整理し、 $a_{n+1}$ を $a_{n-2}$ と $n$ で表す。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
1回の操作で、赤玉を取り出す確率は $\dfrac24=\dfrac12$、青玉は $\dfrac14$、白玉は $\dfrac14$ である。勝者が決まっていない間に出た玉は青か白で、青なら取り出す人は変わらず、白なら A→B→C→A の順に1人進む。よって、 $k$ 回目にAが玉を取り出すのは、1〜 $(k-1)$ 回目にすべて青か白が出て、そのうち白の回数が3の倍数のときである。青と白の出方1通りごとの確率は $\left(\dfrac14\right)^{k-1}$ である。
4回目 1〜3回目の白の回数が0回または3回なので、出方は ${}_3\mathrm{C}_0+{}_3\mathrm{C}_3=2$ 通り。
$$a_4=2\cdot\left(\frac14\right)^3=\frac1{32}$$
Aが4回目に勝つのは、4回目にAが取り出して赤を取り出すときなので、その確率は $\dfrac12a_4=\dfrac1{64}$
7回目 1〜6回目の白の回数が0回・3回・6回なので、出方は ${}_6\mathrm{C}_0+{}_6\mathrm{C}_3+{}_6\mathrm{C}_6=1+20+1=22$ 通り。
$$a_7=22\cdot\left(\frac14\right)^6=\frac{22}{4096}=\frac{11}{2048}$$
よって、Aが7回目に勝つ確率は $\dfrac12a_7=\dfrac{11}{4096}$
答 4回目 $\dfrac1{64}$、7回目 $\dfrac{11}{4096}$
別解(漸化式で順に計算する) (3) の解答の漸化式 $a_{n+1}=\dfrac14(a_n+c_n)$、 $b_{n+1}=\dfrac14(b_n+a_n)$、 $c_{n+1}=\dfrac14(c_n+b_n)$ を使って、 $(a_n,b_n,c_n)$ を $k=1$ から順に求めてもよい。
$$(a_2,b_2,c_2)=\left(\frac14,\ \frac14,\ 0\right),\quad (a_3,b_3,c_3)=\left(\frac1{16},\ \frac18,\ \frac1{16}\right),\quad (a_4,b_4,c_4)=\left(\frac1{32},\ \frac3{64},\ \frac3{64}\right)$$
$$(a_5,b_5,c_5)=\left(\frac5{256},\ \frac5{256},\ \frac3{128}\right),\quad (a_6,b_6,c_6)=\left(\frac{11}{1024},\ \frac5{512},\ \frac{11}{1024}\right),\quad a_7=\frac{11}{2048}$$
同じ答えになるが、分数の計算を6回続けることになり、計算ミスが起きやすい。白の回数で数えれば、二項係数の計算だけで済む。
(2) 配点 10点
$n$ 回目にA、B、Cが取り出すという3つの事象は同時には起こらないので、 $d_n=a_n+b_n+c_n$ は「 $n$ 回目に誰かが玉を取り出す確率」である。 $n$ 回目に誰かが取り出すのは、1〜 $(n-1)$ 回目に勝者が決まっていないとき、つまり1〜 $(n-1)$ 回目にすべて赤以外が出るときである。
赤以外が出る確率は毎回 $\dfrac12$ なので
答 $d_n=\left(\dfrac12\right)^{n-1}$
別解(漸化式を足す) (3) の解答の3つの漸化式を足すと
$$d_{n+1}=\frac14\{(a_n+c_n)+(b_n+a_n)+(c_n+b_n)\}=\frac12d_n$$
$d_1=a_1+b_1+c_1=1$ なので、 $d_n=\left(\dfrac12\right)^{n-1}$。
(3) 配点 25点
$n+1$ 回目にAが玉を取り出すのは、「 $n$ 回目にAが取り出して青を取り出す」または「 $n$ 回目にCが取り出して白を取り出す(Cの左隣りがA)」ときである。B、Cについても同様に考えて、すべての自然数 $n$ について
$$a_{n+1}=\frac14(a_n+c_n),\qquad b_{n+1}=\frac14(b_n+a_n),\qquad c_{n+1}=\frac14(c_n+b_n)$$
$n\geqq3$ とする。 $a_n=\dfrac14(a_{n-1}+c_{n-1})$、 $c_n=\dfrac14(c_{n-1}+b_{n-1})$ を代入して
$$a_{n+1}=\frac14(a_n+c_n)=\frac1{16}\{(a_{n-1}+c_{n-1})+(c_{n-1}+b_{n-1})\}=\frac1{16}(d_{n-1}+c_{n-1})$$
$n-2\geqq1$ なので、 $c_{n-1}=\dfrac14(c_{n-2}+b_{n-2})$ が使える。 $b_{n-2}+c_{n-2}=d_{n-2}-a_{n-2}$ なので
$$c_{n-1}=\frac14(d_{n-2}-a_{n-2})$$
よって、(2) の結果を使うと
$$a_{n+1}=\frac1{16}d_{n-1}+\frac1{64}d_{n-2}-\frac1{64}a_{n-2}=\frac1{16}\left(\frac12\right)^{n-2}+\frac1{64}\left(\frac12\right)^{n-3}-\frac1{64}a_{n-2}=\frac{2}{2^{n+3}}+\frac{1}{2^{n+3}}-\frac1{64}a_{n-2}$$
答 $a_{n+1}=-\dfrac1{64}a_{n-2}+\dfrac{3}{2^{n+3}}$
(確かめ) $n=3$ とすると $a_4=-\dfrac1{64}\cdot1+\dfrac3{64}=\dfrac1{32}$、 $n=6$ とすると $a_7=-\dfrac1{64}\cdot\dfrac1{32}+\dfrac3{512}=\dfrac{11}{2048}$ で、どちらも (1) の値と一致する。
別解(3回分の玉の出方を数える) (1) と同じく、白の回数で考える。 $n+1$ 回目にAが取り出すのは、 $n-2$ 回目に誰かが取り出し、 $n-2$ 回目・ $n-1$ 回目・ $n$ 回目の3回がすべて青か白で、白の回数が次の条件をみたすときである。
・$n-2$ 回目がAのとき:Aに戻るので白は0回か3回。 ${}_3\mathrm{C}_0+{}_3\mathrm{C}_3=2$ 通り
・$n-2$ 回目がBのとき:B→C→Aと2人進むので白は2回。 ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り
・$n-2$ 回目がCのとき:C→Aと1人進むので白は1回。 ${}_3\mathrm{C}_1=3$ 通り
どの出方も確率は $\left(\dfrac14\right)^3=\dfrac1{64}$ なので
$$a_{n+1}=\frac1{64}(2a_{n-2}+3b_{n-2}+3c_{n-2})=\frac1{64}\{3(a_{n-2}+b_{n-2}+c_{n-2})-a_{n-2}\}=\frac{3}{64}d_{n-2}-\frac1{64}a_{n-2}$$
$d_{n-2}=\left(\dfrac12\right)^{n-3}$ を代入すると、本解と同じ $a_{n+1}=-\dfrac1{64}a_{n-2}+\dfrac{3}{2^{n+3}}$ になる。漸化式を代入する本解は手順が決まっていて確実だが、こちらは「なぜ3回前の $a_{n-2}$ と結びつくのか」「なぜ $b$ と $c$ がまとめられるのか」が式を見ただけで分かる。
出題意図
(1)(2) 誰が玉を取り出すかが「それまでに出た白の回数」だけで決まることを捉え、場合の数で確率を求められるか
(3) 3つの数列がからむ連立漸化式から、(2) の $d_n$ を使って $b_n$、 $c_n$ を消し、 $a_{n+1}$ を $a_{n-2}$ と $n$ だけで表すことができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 40点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
3人の確率漸化式は、演習をしっかり積んでおけば短時間で完答できる問題。
注意点は、途中で勝って終わる場合があるので、3人の確率の和 $a_n+b_n+c_n$ が常に1とはならないこと。
ここにさえ注意できれば、完答するのは難しくない。
(1)(2) は白の回数で数えれば10分で終わるので、必ず完答する。
(2)(3) は (1) が解けなくても解けるので、(1) で止まっても諦めない。
(3) は3つの漸化式を立て、 $a_{n+1}$ に代入して添字を下げ、 $b+c=d-a$ でまとめるところまで進める。
計算自体は単純なので、確実に計算し、 $n=3$、 $n=6$ を代入して (1) の $a_4$、 $a_7$ と一致することを検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で取り出す人は白の回数だけで決まるという発想に行き着けるか:これに気づかないと、3つの漸化式で $(a_n,b_n,c_n)$ を7回目まで順に計算することになる。分数の計算を何度も続けることになり、1か所でも間違えると7回目の答えが合わない。
- (1) で赤の $\dfrac12$ をかけ忘れる:問われているのは「Aが取り出す確率」ではなく「Aが勝つ確率」。 $a_4=\dfrac1{32}$、 $a_7=\dfrac{11}{2048}$ を答えにしてしまう。
- (2) で $d_n=1$ としてしまう:3人の確率を足したものだが、勝者が決まるとゲームが終わるので1にはならない。 $d_n$ が「勝負がついていない確率」であることが分かれば、すぐに求まる。
- (3) で $b_{n-2}+c_{n-2}$ を $d_{n-2}-a_{n-2}$ にまとめるという発想に行き着けるか:これに気づかないと、 $b_n$、 $c_n$ の一般項を求めようとして連立漸化式を解くことになり、時間を大きく使う。 $a_{n-2}$ と $n$ だけで表せと言われているので、「 $b$、 $c$ を消す手段は (2) の $d_n$ しかない」と考えられるかで大きく差がつく。
2017年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は複素数平面・指数対数の問題です。
テーマは「$z_n=\alpha w^n$ が三角形の内部に入る最小の $n$」。
問題


問題文をテキストで読む
2つの複素数 $\alpha=10000+10000i$ と $w=\dfrac{\sqrt3}{4}+\dfrac14i$ を用いて、複素数平面上の点 $\mathrm{P}_n(z_n)$ を $z_n=\alpha w^n\ (n=1,2,\cdots)$ により定める。ただし、 $i$ は虚数単位を表す。2と3の常用対数を $\log_{10}2=0.301$、 $\log_{10}3=0.477$ として、以下の問いに答えよ。
(1) $z_n$ の絶対値 $|z_n|$ と偏角 $\arg z_n$ を求めよ。
(2) $|z_n|\leqq1$ が成り立つ最小の自然数 $n$ を求めよ。
(3) 下図のように、複素数平面上の $\triangle\mathrm{ABC}$ は線分ABを斜辺とし、点 $\mathrm{C}\left(\dfrac{i}{\sqrt2}\right)$ を一つの頂点とする直角二等辺三角形である。なおA、Bを表す複素数の虚部は負であり、原点Oと2点A、Bの距離はともに1である。点 $\mathrm{P}_n$ が $\triangle\mathrm{ABC}$ の内部に含まれる最小の自然数 $n$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$z_n=\alpha w^n$ は積とべき乗なので、極形式にすればド・モアブルの定理で絶対値と偏角を別々に求められる。 $\alpha=10000\sqrt2\left(\cos\dfrac{\pi}{4}+i\sin\dfrac{\pi}{4}\right)$、 $w=\dfrac12\left(\cos\dfrac{\pi}{6}+i\sin\dfrac{\pi}{6}\right)$ なので、 $n$ が1増えるごとに $\mathrm{P}_n$ は原点のまわりに $\dfrac{\pi}{6}$ 回転し、原点からの距離は $\dfrac12$ 倍になる。
- $\alpha$、 $w$ を極形式で表す。
- ド・モアブルの定理で $w^n=\dfrac{1}{2^n}\left(\cos\dfrac{n\pi}{6}+i\sin\dfrac{n\pi}{6}\right)$ と表す。
- 積 $\alpha w^n$ の絶対値は絶対値の積、偏角は偏角の和として、 $|z_n|$、 $\arg z_n$ を求める。
【(2)の方針】
$|z_n|$ は $n$ が1増えるごとに $\dfrac12$ 倍になるので、 $|z_n|\leqq1$ をみたす $n$ は、ある値以上のすべての自然数になる。 $2^n$ と $10^4\sqrt2$ の大小を比べるので、問題文で与えられた常用対数を使う。
- $|z_n|\leqq1$ を $2^n\geqq10^4\sqrt2$ と表す。
- 両辺の常用対数をとり、 $\left(n-\dfrac12\right)\log_{10}2\geqq4$ と表す。
- $\log_{10}2=0.301$ を代入して $n$ の範囲を求め、最小の自然数を答える。
【(3)の方針】
次の2つに注目する。
- A、Bは単位円の周上、Cは単位円の内部( $\mathrm{OC}=\dfrac{1}{\sqrt2}$)にあるので、三角形ABCは単位円の内側に収まる。(2) から $n\leqq13$ では $|z_n|>1$ なので、調べるのは $n\geqq14$ だけでよい。
- 原点Oは三角形ABCの内部にある。三角形の内部の点Oから半直線を引くと、半直線が辺にぶつかる点より手前が内部、その先が外部になる。だから $\mathrm{P}_n$ が内部にあるかどうかは、偏角の向きに半直線を引き、辺にぶつかる点までの距離と $|z_n|$ を比べるだけで決まる。3辺の不等式に三角関数の値を代入する必要はない。比べる長さも、OCや原点から辺ACまでの距離のように、図からすぐ読める長さで十分。


- 三角形ABCが単位円の内側にあることと (2) から、 $n\geqq14$ だけ調べればよいことを示す。
- 原点Oが三角形の内部にあることを確かめ、「Oから出た半直線上では、辺にぶつかる点より手前が内部、先が外部」という判定の仕方を決める。
- $n=14$:偏角の向き $\dfrac{7\pi}{12}$ は第2象限にあり、半直線は辺AC上のCとD(辺ACと $x$ 軸の交点)の間の点Qにぶつかる。 $\mathrm{OQ}\leqq\mathrm{OC}=\dfrac{1}{\sqrt2}$ で、 $|z_{14}|>\dfrac{1}{\sqrt2}$ を示して外部と判定する。
- $n=15$:偏角の向き $\dfrac{3\pi}{4}$ は、Oから辺ACに下ろした垂線OEの向きで、 $\mathrm{OE}=\dfrac12$。 $|z_{15}|<\dfrac12$ を示して内部と判定し、最小の $n$ を答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$$\alpha=10000\sqrt2\left(\cos\frac{\pi}{4}+i\sin\frac{\pi}{4}\right),\qquad w=\frac12\left(\cos\frac{\pi}{6}+i\sin\frac{\pi}{6}\right)$$
ド・モアブルの定理より
$$z_n=\alpha w^n=\frac{10000\sqrt2}{2^n}\left\{\cos\left(\frac{\pi}{4}+\frac{n\pi}{6}\right)+i\sin\left(\frac{\pi}{4}+\frac{n\pi}{6}\right)\right\}$$
答 $|z_n|=\dfrac{10000\sqrt2}{2^n}$、 $\arg z_n=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{n\pi}{6}$
(偏角は $2\pi$ の整数倍の違いを除いて決まる。 $\dfrac{(2n+3)\pi}{12}$ と書いてもよい)
(2) 配点 15点
$$|z_n|\leqq1\iff2^n\geqq10^4\sqrt2$$
両辺は正なので、常用対数をとって
$$n\log_{10}2\geqq4+\frac12\log_{10}2\iff\left(n-\frac12\right)\log_{10}2\geqq4$$
$\log_{10}2=0.301$ より
$$n\geqq\frac{4}{0.301}+\frac12=13.78\cdots$$
答 $n=14$
補足(常用対数を使わない確かめ方) $2^{13}=8192<10^4<10^4\sqrt2$、また $\sqrt2<1.5$ より $10^4\sqrt2<15000<16384=2^{14}$。 $|z_n|$ は $n$ が増えると減るので、 $n=14$ が最小と確かめられる。常用対数の計算の検算に使える。
(3) 配点 25点
A、Bは原点からの距離が1なので単位円の周上にあり、Cは $\mathrm{OC}=\dfrac{1}{\sqrt2}<1$ なので単位円の内部にある。三角形ABCは3つの頂点を結んでできる図形なので、単位円の内側(周を含む)に収まり、三角形の内部の点 $z$ は $|z|<1$ をみたす。(2) より $n\leqq13$ では $|z_n|>1$ なので、 $\mathrm{P}_n$ は三角形の内部にない。よって $n\geqq14$ を調べればよい。
辺ACは点Cを通り $x$ 軸と $\dfrac{\pi}{4}$ の角で交わるので、直線 $y=x+\dfrac{1}{\sqrt2}$。同様に辺BCは直線 $y=-x+\dfrac{1}{\sqrt2}$。原点は $0<0+\dfrac{1}{\sqrt2}$ をみたすので辺AC、BCに対して三角形と同じ側にあり、A、Bの虚部が負なので辺ABに対しても三角形と同じ側(上側)にある。よって原点Oは三角形ABCの内部にある。
三角形は凸な図形なので、内部の点Oから出た半直線は三角形の周とちょうど1点で交わり、その点より手前(Oに近い側)は内部、その点から先は外部である。
$n=14$ のとき $\arg z_{14}=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{7\pi}{3}=\dfrac{31\pi}{12}$ で、向きは $\dfrac{7\pi}{12}$ と同じ。 $\dfrac{\pi}{2}<\dfrac{7\pi}{12}<\pi$ なので第2象限の向きである。辺ACと $x$ 軸の交点を $\mathrm{D}\left(-\dfrac{1}{\sqrt2},\ 0\right)$ とすると、三角形ABCのうち第2象限にある部分は三角形OCDなので、この向きの半直線は線分CD上の点Qで周にぶつかる。C、Dはともに原点中心・半径 $\dfrac{1}{\sqrt2}$ の円の周上にあるので、線分CDはこの円の内側にあり、 $\mathrm{OQ}\leqq\dfrac{1}{\sqrt2}$。一方
$$|z_{14}|=\frac{10000\sqrt2}{2^{14}}>\frac{1}{\sqrt2}\iff20000>2^{14}=16384$$
で、右の不等式は成り立つ。よって $|z_{14}|>\dfrac{1}{\sqrt2}\geqq\mathrm{OQ}$ で、 $\mathrm{P}_{14}$ はQより先にあるので三角形の内部にない。
$n=15$ のとき $\arg z_{15}=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{5\pi}{2}=\dfrac{11\pi}{4}$ で、向きは $\dfrac{3\pi}{4}$ と同じ。原点から辺AC(直線 $x-y+\dfrac{1}{\sqrt2}=0$)に下ろした垂線の足をEとする。直線ACの傾きは1なので、垂線OEの向きは $\dfrac{3\pi}{4}$ で
$$\mathrm{OE}=\frac{\dfrac{1}{\sqrt2}}{\sqrt{1^2+(-1)^2}}=\frac12$$
$\mathrm{E}\left(-\dfrac{\sqrt2}{4},\ \dfrac{\sqrt2}{4}\right)$ は $x$ 座標がDとCの間にあるので、辺AC上の点である。一方、(2) の補足より $2^{14}>10^4\sqrt2$ なので $|z_{14}|<1$ で
$$|z_{15}|=\frac12|z_{14}|<\frac12=\mathrm{OE}$$
よって $\mathrm{P}_{15}$ は線分OE上でEより手前にあり、三角形の内部にある。
答 $n=15$
補足(辺ACまでの正確な距離で比べる方法) 偏角 $\dfrac{7\pi}{12}$ の向きで辺ACまでの距離 $\mathrm{OQ}$ を計算すると $\dfrac{1}{\sqrt3}$ になり、 $|z_{14}|$ と比べるのに $\log_{10}3$ を使う解き方もある。ただし本解のように $\mathrm{OC}=\dfrac{1}{\sqrt2}$ と比べれば、対数を使わずに整数の大小( $20000>16384$)だけで判定できる。正確な値が要らない所では、求めやすい長さで評価する。
出題意図
(1)(2) 複素数を極形式で表し、ド・モアブルの定理で $z_n$ の絶対値と偏角を求められるか。大きな数の大小を常用対数で比べられるか。
(3) 「三角形の内部にあるか」という図形の条件を、偏角(向き)と絶対値(原点からの長さ)に分けて捉えることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 40点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 | 30分 |
複素数平面の問題は、常に座標平面に図示して、式が何を意味しているかを意識する。
本問は数式だけで解こうとすると難易度はかなり高いが、 $n$ を1つ増やすごとに「長さを $\dfrac12$ 倍して $\dfrac{\pi}{6}$ 回転する」という操作が座標平面上で行われていると意識できれば、それほど難しくない。
(1)(2) は極形式と常用対数の基本で、計算も短い。
10分以内に確実に完答する。
(3) は重い小問だが、(2) の答えと「三角形は単位円の内側」を結びつければ、 $n\geqq14$ に絞るところまではすぐに書ける。
ここまでは必ず書いて部分点を取る。
そのあと、問題の図に $n=14$、 $n=15$ の向きを書き込み、 $\mathrm{P}_{14}$ は OC より遠いので外部、 $\mathrm{P}_{15}$ は原点から辺ACまでの距離 $\dfrac12$ より近いので内部、と長さを比べる。
15分考えて方針が立たなければ、絞り込みまでを書いて、残りの時間は他の大問の検算に回す。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (3) で「三角形は単位円の内側」と (2) の結果を結びつけ、調べる $n$ を絞るという発想に行き着けるか:ここに気づけば、調べるのは $n=14$、15 の2つだけになる。
- (3) で内部の判定を「向き」と「原点からの長さ」に分けるという発想に行き着けるか:3辺の不等式に $\cos\dfrac{7\pi}{12}$ などを代入して比べると計算が重くなり、時間内に終わらない。ここで大きく差がつく。
- $n=14$ を OC と比べて判定するという発想に行き着けるか:辺ACまでの正確な距離 $\dfrac{1}{\sqrt3}$ を求めなくても、線分CDのどの点もOから $\dfrac{1}{\sqrt2}$ 以内にあるので、それより遠ければ外部と決まる。正確な値にこだわると、常用対数の計算が1つ増える。
- 最小であることの論証:$n=15$ が内部にあることだけを示して、 $n=14$ 以下が内部にないことを書き忘れると減点される。
2017年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 50点 | 40点 |
| 第2問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第3問 | 標準 | 30点 | 25点 |
| 第4問 | やや簡単 | 50点 | 40点 |
| 第5問 | 標準 | 40点 | 25点 |
| 合計 | 220点 | 180点 |
全体としてはやや簡単なセットです。
第1問・第2問・第4問は確実に満点を取りたく、できれば第5問も取りたいところです。
差がつくのは第5問の(3)と、第3問の(2)以降(整数が絡んだ数列の周期性に気づけるか)、そして第4問の3人の確率漸化式に慣れているかどうかです。
九大では確率漸化式がよく出るので、演習を積んでおきましょう。
解く流れ
第2問 → 第1問 → 第4問 → 第5問 → 第3問。
2017年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2017年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2017年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
やや簡単な年でした。
第2問は簡単、第1問・第4問はやや簡単、第3問・第5問は標準です。
5問とも小問の誘導がついた素直な構成で、極端に難しい問題はありません。
第1問・第2問・第4問は確実に満点を取りたいセットです。 - 2017年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で220点、その他の学部で180点です(250点満点)。
- 2017年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
合格するために最低限取っておきたいのは、第1問・第2問・第4問の完答です。そのうえで、特に差がついたのは次の2つです。
- 第3問(2)以降:整数が絡んだ数列の周期性に気づき、7をくくり出して中身をもう一度7で調べられたか。(3) は343の倍数の項を落とすと答えがずれます。
- 第5問(3):三角形の内部かどうかを「向き」と「原点からの長さ」に分けて判定できたか。
- 2017年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法・積分(数学Ⅲ)
- 第2問:空間ベクトル
- 第3問:整数・数列
- 第4問:確率・数列
- 第5問:複素数平面・指数対数


