【解説・採点基準付き】2022年九州大学理系数学の解答・解説
2022年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2022年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は空間ベクトルの問題です。
テーマは「平面の法線ベクトル・対称点・折れ線の最短」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間内の5点
$$\mathrm{O}(0,0,0),\ \mathrm{A}(1,1,0),\ \mathrm{B}(2,1,2),\ \mathrm{P}(4,0,-1),\ \mathrm{Q}(4,0,5)$$
を考える。3点O、A、Bを通る平面を $\alpha$ とし、 $\vec{a}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec{b}=\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ とおく。以下の問いに答えよ。
(1) ベクトル $\vec a,\vec b$ の両方に垂直であり、 $x$ 成分が正であるような、大きさが1のベクトル $\vec n$ を求めよ。
(2) 平面 $\alpha$ に関して点Pと対称な点 $\mathrm{P}’$ の座標を求めよ。
(3) 点Rが平面 $\alpha$ 上を動くとき、 $|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|+|\overrightarrow{\mathrm{RQ}}|$ が最小となるような点Rの座標を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\vec a,\vec b$ の両方に垂直 ⟺ 両方との内積が0。2つの条件で成分の比が決まり、大きさ1と $x$ 成分が正で1つに決まる。
- $\vec n=(p,q,r)$ とおき、 $\vec n\cdot\vec a=0$、 $\vec n\cdot\vec b=0$ から $q=-p$、 $r=-\dfrac p2$ を求める。
- $|\vec n|=1$ と $p>0$ から $p$ を求める。
- $\vec n$ を求める。
【(2)の方針】
$\mathrm{P’}$ は Pから $\vec n$ の向きに進んだ直線上にあり、$\mathrm{PP’}$ の中点Mが平面 $\alpha$ 上にある。 $\alpha$ は原点を通り $\vec n$ に垂直なので、Mが $\alpha$ 上にあることは $\overrightarrow{\mathrm{OM}}\cdot\vec n=0$ と書ける。
- $\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+t\vec n$ とおく。
- 中点Mについて $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+\dfrac t2\vec n$、 $\overrightarrow{\mathrm{OM}}\cdot\vec n=0$ から $t$ を求める。
- $t$ を代入して $\mathrm{P’}$ の座標を求める。
【(3)の方針】
まず P、Qが $\alpha$ の同じ側にあることを確かめる。同じ側なら、Pを対称点 $\mathrm{P’}$ に取りかえても $\mathrm{PR}=\mathrm{P’R}$ で長さは変わらない。 $\mathrm{P’R}+\mathrm{RQ}\geqq\mathrm{P’Q}$ なので、Rが線分 $\mathrm{P’Q}$ と $\alpha$ の交点のとき最小。


- 平面 $\alpha$ の方程式 $2x-2y-z=0$ にP、Qを代入し、P、Qが同じ側にあることを確かめる(このとき $\mathrm{P’}$ はQと反対側)。
- $\mathrm{PR}=\mathrm{P’R}$ と $\mathrm{P’R}+\mathrm{RQ}\geqq\mathrm{P’Q}$ から、Rが線分 $\mathrm{P’Q}$ 上にあるとき最小になることを示す。
- 線分 $\mathrm{P’Q}$ 上の点を $\overrightarrow{\mathrm{OP’}}+s\overrightarrow{\mathrm{P’Q}}$ と表し、 $\alpha$ 上にある条件から $s$ を求めて、Rの座標を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\vec n=(p,q,r)$ とおく。 $\vec n\cdot\vec a=p+q=0$、 $\vec n\cdot\vec b=2p+q+2r=0$ より $q=-p$、 $r=-\dfrac p2$。
$|\vec n|^2=p^2+p^2+\dfrac{p^2}{4}=\dfrac94p^2=1$、 $p>0$ より $p=\dfrac23$。
答 $\vec n=\left(\dfrac23,\ -\dfrac23,\ -\dfrac13\right)$
(2) 配点 15点
$\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+t\vec n$ とおく。 $\mathrm{PP’}$ の中点をMとすると $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}+\dfrac t2\vec n$。 $\alpha$ は原点を通り $\vec n$ に垂直で、Mは $\alpha$ 上にあるので $\overrightarrow{\mathrm{OM}}\cdot\vec n=0$。
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}\cdot\vec n+\frac t2|\vec n|^2=0\iff3+\frac t2=0\iff t=-6$$
( $\overrightarrow{\mathrm{OP}}\cdot\vec n=\dfrac83+0+\dfrac13=3$)
$\overrightarrow{\mathrm{OP’}}=(4,0,-1)-6\left(\dfrac23,-\dfrac23,-\dfrac13\right)=(0,4,1)$
答 $\mathrm{P’}(0,\ 4,\ 1)$
別解(平面の方程式を使う) $\vec n$ に平行な $(2,-2,-1)$ が法線で、原点を通るので $\alpha:\ 2x-2y-z=0$。 $\mathrm{P’}=(4+2s,\ -2s,\ -1-s)$ とおくと、中点 $\left(4+s,\ -s,\ -1-\dfrac s2\right)$ が $\alpha$ 上にあるので $2(4+s)+2s+1+\dfrac s2=0$、 $s=-2$。よって $\mathrm{P’}(0,4,1)$。
(3) 配点 20点
$g(x,y,z)=2x-2y-z$ とすると、 $g(\mathrm P)=9>0$、 $g(\mathrm Q)=3>0$ なので、P、Qは $\alpha$ に関して同じ側にある。 $\mathrm{P’}$ はPの対称点なので、Qと反対側にある。
Rが $\alpha$ 上にあるとき、$\mathrm{P’}$ はPの対称点なので $\mathrm{PR}=\mathrm{P’R}$。よって
$$|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|+|\overrightarrow{\mathrm{RQ}}|=\mathrm{P’R}+\mathrm{RQ}\geqq\mathrm{P’Q}$$
等号はRが線分 $\mathrm{P’Q}$ 上にあるとき。 $\mathrm{P’}$ とQは $\alpha$ の反対側にあるので、線分 $\mathrm{P’Q}$ は $\alpha$ と交わり、その交点で最小になる。
線分 $\mathrm{P’Q}$ 上の点は $(0,4,1)+s(4,-4,4)=(4s,\ 4-4s,\ 1+4s)$。 $\alpha$ 上にある条件は
$$2\cdot4s-2(4-4s)-(1+4s)=12s-9=0\iff s=\frac34$$
答 $\mathrm{R}(3,\ 1,\ 4)$
出題意図
空間ベクトルの典型問題(法線ベクトル → 対称点 → 折れ線の最短)を正確に処理できるか
平面図形・平面ベクトルで身につけた考え方(直線に関する対称点・折れ線の最短)を、空間でも応用できるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
この問題で満点を取れなければ合格は厳しい。
時間をかけてでも正確な値を出せた人が合格した。
2022年のセットで一番解きやすい問題。
制限時間に関わらず確実に完答する。
対称点は「中点を使う方法」「ベクトルを使う方法」のどちらでも解けるようにしておく。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) の符号:「 $x$ 成分が正」の条件を見落としてベクトルを2つ答えるミス
- (3) の「同じ側」の確認:P、Qが平面の反対側にあれば、Rは線分PQと平面の交点になり答えが変わる。ここを書けるかどうかで点数が大きく変わってくる。
2022年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は式と証明・極限の問題です。
テーマは「$x^n$ を $(x-\alpha)(x-\beta)^2$ で割った余りと極限」。
問題


問題文をテキストで読む
$n$ を3以上の自然数、 $\alpha,\beta$ を相異なる実数とするとき、以下の問いに答えよ。
(1) 次をみたす実数 $A,B,C$ と整式 $Q(x)$ が存在することを示せ。
$$x^n=(x-\alpha)(x-\beta)^2Q(x)+A(x-\alpha)(x-\beta)+B(x-\alpha)+C$$
(2) (1)の $A,B,C$ を $n,\alpha,\beta$ を用いて表せ。
(3) (2)の $A$ について、 $n$ と $\alpha$ を固定して、 $\beta$ を $\alpha$ に近づけたときの極限 $\displaystyle\lim_{\beta\to\alpha}A$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「存在することを示せ」は、割り算を実際に行えば商と余りが存在することを使う。余り(2次以下)を、与えられた形 $A(x-\alpha)(x-\beta)+B(x-\alpha)+C$ に書き直せればよい。
- $x^n$ を3次式 $(x-\alpha)(x-\beta)^2$ で割り、商 $Q(x)$ と2次以下の余り $R(x)$ を得る。
- $R(x)$ の $x^2$ の係数を $A$ とすると、 $R(x)-A(x-\alpha)(x-\beta)$ は1次以下。これを $x-\alpha$ で割って $B(x-\alpha)+C$ の形にする。
- 以上で $A,B,C,Q(x)$ が存在すると結論する。
【(2)の方針】
$x=\alpha$、 $x=\beta$ を代入すると商の項が消える。 $(x-\beta)^2$ は重解の因数なので、両辺を微分してから $x=\beta$ を代入すると、もう1本式が増える。
- $x=\alpha$ を代入して $C$ を求める。
- $x=\beta$ を代入して $B$ を求める。
- 両辺を $x$ で微分し、 $x=\beta$ を代入して $A$ を求める。
【(3)の方針】
そのまま $\beta\to\alpha$ とすると $\dfrac00$ の形。 $\dfrac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}$ の形が現れたら、導関数の定義( $x^k$ の $x=\alpha$ における微分係数)と見れば極限がすぐ求まる。極限の計算では「不定形を直接解消する」「はさみうちの原理」「導関数の定義」の3つを選択肢として持っておく。
- $A=\dfrac{n\beta^{n-1}-B}{\beta-\alpha}$ と書き、 $B=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\beta^{n-1-k}\alpha^k$ を代入する。
- 分子を $\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\beta^{n-1-k}(\beta^k-\alpha^k)$ とまとめ、 $A=\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}\beta^{n-1-k}\cdot\dfrac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}$ と表す。
- 導関数の定義から $\dfrac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}\to k\alpha^{k-1}$ を使い、極限を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$x^n$ を3次式 $(x-\alpha)(x-\beta)^2$ で割った商を $Q(x)$、余りを $R(x)$(2次以下)とすると
$$x^n=(x-\alpha)(x-\beta)^2Q(x)+R(x)$$
$R(x)$ の $x^2$ の係数を $A$ とすると、 $R(x)-A(x-\alpha)(x-\beta)$ は1次以下の整式。これを $x-\alpha$ で割った商を $B$(定数)、余りを $C$(定数)とすると
$$R(x)=A(x-\alpha)(x-\beta)+B(x-\alpha)+C$$
よって条件をみたす実数 $A,B,C$ と整式 $Q(x)$ が存在する。
(2) 配点 20点
$x=\alpha$ を代入して $C=\alpha^n$。
$x=\beta$ を代入して $\beta^n=B(\beta-\alpha)+\alpha^n$、 $\alpha\neq\beta$ より $B=\dfrac{\beta^n-\alpha^n}{\beta-\alpha}$。
両辺を $x$ で微分すると
$$nx^{n-1}=\left\{(x-\alpha)(x-\beta)^2Q(x)\right\}’+A\{(x-\beta)+(x-\alpha)\}+B$$
$\{(x-\alpha)(x-\beta)^2Q(x)\}’$ は $(x-\beta)$ を因数にもつので、 $x=\beta$ を代入すると $n\beta^{n-1}=A(\beta-\alpha)+B$。
答 $C=\alpha^n$、 $B=\dfrac{\beta^n-\alpha^n}{\beta-\alpha}$、 $A=\dfrac{n\beta^{n-1}(\beta-\alpha)-(\beta^n-\alpha^n)}{(\beta-\alpha)^2}$
(3) 配点 15点
$A=\dfrac{n\beta^{n-1}-B}{\beta-\alpha}$、 $B=\dfrac{\beta^n-\alpha^n}{\beta-\alpha}=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\beta^{n-1-k}\alpha^k$ より
$$n\beta^{n-1}-B=\sum_{k=0}^{n-1}\left(\beta^{n-1}-\beta^{n-1-k}\alpha^k\right)=\sum_{k=0}^{n-1}\beta^{n-1-k}(\beta^k-\alpha^k)$$
$k=0$ の項は0なので
$$A=\sum_{k=1}^{n-1}\beta^{n-1-k}\cdot\frac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}$$
$\beta\to\alpha$ のとき、導関数の定義より $\dfrac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}\to(x^k)’\Big|_{x=\alpha}=k\alpha^{k-1}$。よって
$$\lim_{\beta\to\alpha}A=\sum_{k=1}^{n-1}\alpha^{n-1-k}\cdot k\alpha^{k-1}=\sum_{k=1}^{n-1}k\,\alpha^{n-2}$$
答 $\dfrac{n(n-1)}{2}\alpha^{n-2}$
別解(和をすべて展開する) $\dfrac{\beta^k-\alpha^k}{\beta-\alpha}=\displaystyle\sum_{j=0}^{k-1}\beta^{k-1-j}\alpha^j$ と展開すると、 $A$ は $\beta$ の多項式になる。 $\beta=\alpha$ を代入すると各 $k$ の項は $k\alpha^{n-2}$ で、同じ答えになる。
出題意図
(1)(2):整式の割り算の余りの扱い(割り算の存在・余りの表し方・重解の因数は微分してから代入)という式と証明の基本を身につけているか
(3) $\dfrac00$ の形の極限を、式変形で約分して処理できるか。数Ⅲの計算練習の量が問われている。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 25点 | 10点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
しっかり勉強していても難しい問題。
(3) は、極限の計算問題でどれだけ選択肢(不定形を直接解消する・はさみうちの原理・導関数の定義)を持ち、それを意識できていたかがすべて。
(1) が解けなくても、(2) は式と証明の知識で簡単に解ける。
なので (2) だけは必ず解く。
(3) は、極限の計算で導関数の定義を選択肢として持っておきたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) は問題が抽象的なので、受験生の手が止まる:「存在することを示せ」と言われても、割り算をすれば商と余りがある、というだけ。ここで止まって (2) まで捨てるのが一番もったいない。
- (2) は微分してもう1本条件式を導くところ:$x=\alpha,\ \beta$ を代入しただけでは式が足りない。重解の因数は微分してから代入する、という定石を使えるかで大きく差がつく。
- (3) の極限の計算:$\dfrac00$ の形を前に、導関数の定義を用いて極限を求めるという発想に行き着けるか。ここがすべて。
2022年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は整数の問題です。
テーマは「$n^4=1+210m^2$ をみたす自然数の組」。
問題


問題文をテキストで読む
自然数 $m,n$ が
$$n^4=1+210m^2\quad\cdots\cdots①$$
をみたすとき、以下の問いに答えよ。
(1) $\dfrac{n^2+1}{2}$、 $\dfrac{n^2-1}{2}$ は互いに素な整数であることを示せ。
(2) $n^2-1$ は168の倍数であることを示せ。
(3) ①をみたす自然数の組 $(m,n)$ を1つ求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
示すことは2つ:整数であることと互いに素であること。①から $n$ は奇数。2数の差は1なので、公約数は1しかない。
- $n^4=1+210m^2$ は奇数なので $n$ は奇数。よって $n^2\pm1$ は偶数で、2数は整数。
- 2数の正の公約数 $d$ は差 $\dfrac{n^2+1}{2}-\dfrac{n^2-1}{2}=1$ を割り切るので $d=1$ と結論する。
【(2)の方針】
$168=8\cdot3\cdot7$。 $n^4-1=(n^2-1)(n^2+1)$ は $210$ の倍数なので、3と7で割り切れる。ところが $n^2+1$ は3でも7でも割り切れない(平方数を3や7で割った余りを調べると分かる)ので、3と7は $n^2-1$ の方に入る。8は $n$ が奇数であることから。整数問題の3つの解法(素因数分解・不等式で評価・余りで分類)のうち、ここは余りで分類。
- $n$ は奇数なので $n^2-1=(n-1)(n+1)$ は連続する偶数の積で8の倍数。
- 平方数を3で割った余りは0か1、7で割った余りは0、1、2、4なので、 $n^2+1$ は3でも7でも割り切れない。
- $(n^2-1)(n^2+1)=210m^2$ は3と7の倍数なので、 $n^2-1$ が3の倍数かつ7の倍数。
- 8・3・7が互いに素なので、 $n^2-1$ は168の倍数と結論する。
【(3)の方針】
(1)(2) を使って①を互いに素な2数の積の形にすると、それぞれが「平方数の何倍か」に絞り込める。あとは小さい値から試せば見つかる。
- $X=\dfrac{n^2+1}{2}$、 $Y=\dfrac{n^2-1}{2}$ とおくと、①は $2XY=105m^2$。(2) より $Y=84k$( $k$ は自然数)と書ける。
- 代入して $8k(84k+1)=5m^2$。 $84k+1$ と $8k$ は互いに素なので、「 $84k+1$ が平方数」「 $\dfrac{8k}{5}$ が平方数」となる $k$ を探す。
- $k=10$ のとき $84k+1=841=29^2$、 $\dfrac{8k}{5}=16=4^2$ となることを見つけ、 $n,m$ を求めて①を確かめる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
①より $n^4=1+210m^2$ は奇数なので $n$ は奇数。よって $n^2$ は奇数で、 $n^2+1$、 $n^2-1$ は偶数。 $\dfrac{n^2+1}{2}$、 $\dfrac{n^2-1}{2}$ は整数である。
2数の正の公約数を $d$ とすると、 $d$ は差 $\dfrac{n^2+1}{2}-\dfrac{n^2-1}{2}=1$ を割り切るので $d=1$。よって2数は互いに素。
(2) 配点 20点
$n$ は奇数なので $n-1$、 $n+1$ は連続する偶数で、一方は4の倍数。よって $n^2-1=(n-1)(n+1)$ は8の倍数。
平方数を3で割った余りは0か1なので、 $n^2+1$ を3で割った余りは1か2で、3の倍数でない。平方数を7で割った余りは0、1、2、4なので、 $n^2+1$ を7で割った余りは1、2、3、5で、7の倍数でない。
$(n^2-1)(n^2+1)=210m^2$ は3の倍数かつ7の倍数で、3、7は素数なので、 $n^2-1$ は3の倍数かつ7の倍数。8、3、7は互いに素なので、 $n^2-1$ は $8\cdot3\cdot7=168$ の倍数。
(3) 配点 15点
$X=\dfrac{n^2+1}{2}$、 $Y=\dfrac{n^2-1}{2}$ とおくと $4XY=n^4-1=210m^2$、すなわち $2XY=105m^2$。(2) より $Y$ は84の倍数で、 $Y=84k$( $k$ は自然数)とおくと $X=84k+1$。代入して
$$168k(84k+1)=105m^2\iff8k(84k+1)=5m^2$$
$84k+1$ は $k$ とも2とも互いに素なので、 $8k$ と互いに素。そこで「 $84k+1$ が平方数」かつ「 $8k=5\times$ 平方数」となる $k$ を探すと、 $k=10$ のとき
$$84k+1=841=29^2,\qquad8k=80=5\cdot4^2$$
このとき $5m^2=80\cdot841$、 $m^2=16\cdot29^2$、 $m=116$。 $n^2=2X-1=1681=41^2$、 $n=41$。
実際、 $41^4=2825761$、 $1+210\cdot116^2=1+2825760=2825761$ で①をみたす。
答 $(m,n)=(116,\ 41)$
出題意図
(1) 互いに素の証明という基本的な整数問題を理解できているか
(2) 余りで分類して倍数を示すという整数の基本を、論証として書けるか
(3) (1)(2) で分かったことから条件を絞り込み、条件をみたす組を実際に見つけ出す力。「1つ求めよ」という見慣れない問われ方への対応力も問われている。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 難 | |
| 目標得点 | 25点 | 10点 |
| 目標時間 | 35分 | 40分 |
2022年のセットで一番の難問。
整数は体系的に練習を積めば、難問でも切り口が見つかる。
慣れれば点数が安定し、一気に差をつけられる単元。
(1) は確実に取る(互いに素だけでなく、整数であることも示す)。
(2) は整数の3つの解法(素因数分解・不等式で評価・余りで分類)から「余りで分類」を選べれば解ける。
(3) は本番では解けなくて大丈夫。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で整数であることを示し忘れる:問われているのは「互いに素な整数」。 $n$ が奇数であることから整数になることも書く。
- (2) で余りに注目する発想に行き着けるか:3や7が $n^2-1$ と $n^2+1$ のどちらに入るかを、平方数の余りで決められるかで大きく差がつく
- (3) は「1つ見つければよい」存在の問題:やみくもに代入しても見つからない(最小の解でも $n=41$)。(1)(2) を使って式を絞ってから探すという発想に行き着けるか。
2022年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は積分・微分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「定積分の定義から区分求積法を導く(長文・穴埋め)」。
問題


問題文をテキストで読む
定積分について述べた次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
区間 $a\leqq x\leqq b$ で連続な関数 $f(x)$ に対して、 $F'(x)=f(x)$ となる関数 $F(x)$ を1つ選び、 $f(x)$ の $a$ から $b$ までの定積分を
$$\int_a^b f(x)\,dx=F(b)-F(a)\quad\cdots\cdots①$$
で定義する。定積分の値は $F(x)$ の選び方によらずに定まる。定積分は次の性質(A)、(B)、(C)をもつ。
(A) $\displaystyle\int_a^b\{kf(x)+lg(x)\}\,dx=k\int_a^b f(x)\,dx+l\int_a^b g(x)\,dx$
(B) $a\leqq c\leqq b$ のとき、 $\displaystyle\int_a^c f(x)\,dx+\int_c^b f(x)\,dx=\int_a^b f(x)\,dx$
(C) 区間 $a\leqq x\leqq b$ において $g(x)\geqq h(x)$ ならば、 $\displaystyle\int_a^b g(x)\,dx\geqq\int_a^b h(x)\,dx$
ただし、 $f(x),g(x),h(x)$ は区間 $a\leqq x\leqq b$ で連続な関数、 $k,l$ は定数である。
以下、 $f(x)$ を区間 $0\leqq x\leqq1$ で連続な増加関数とし、 $n$ を自然数とする。定積分の性質[ア]を用い、定数関数に対する定積分の計算を行うと、
$$\frac1n f\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}f(x)\,dx\leqq\frac1n f\left(\frac in\right)\quad(i=1,2,\cdots,n)\quad\cdots\cdots②$$
が成り立つことがわかる。 $S_n=\dfrac1n\displaystyle\sum_{i=1}^n f\left(\dfrac{i-1}{n}\right)$ とおくと、不等式②と定積分の性質[イ]より次の不等式が成り立つ。
$$0\leqq\int_0^1f(x)\,dx-S_n\leqq\frac{f(1)-f(0)}{n}\quad\cdots\cdots③$$
よって、はさみうちの原理より $\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n=\int_0^1f(x)\,dx$ が成り立つ。
(1) 関数 $F(x),G(x)$ が微分可能であるとき、 $\{F(x)+G(x)\}’=F'(x)+G'(x)$ が成り立つことを、導関数の定義に従って示せ。また、この等式と定積分の定義①を用いて、定積分の性質(A)で $k=l=1$ とした場合の等式 $\displaystyle\int_a^b\{f(x)+g(x)\}\,dx=\int_a^b f(x)\,dx+\int_a^b g(x)\,dx$ を示せ。
(2) 定積分の定義①と平均値の定理を用いて、次を示せ。
$a<b$ のとき、区間 $a\leqq x\leqq b$ において $g(x)>0$ ならば、 $\displaystyle\int_a^b g(x)\,dx>0$
(3) (A)、(B)、(C)のうち、空欄[ア]に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また文章中の下線部の内容を詳しく説明することで、不等式②を示せ。
(4) (A)、(B)、(C)のうち、空欄[イ]に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また、不等式③を示せ。
解答の方針
話の流れは「定積分の性質(A)(B)(C) → ② → ③ → はさみうちで区分求積法」。(1)(2) は性質(A)(C) の裏付け、(3)(4) は②③ の証明で、1段階ずつ丁寧に証明させている。穴埋めの[ア][イ]は、その段で使う性質を選ぶ。
【(1)の方針】
「導関数の定義に従って」とあるので、 $\{F(x)+G(x)\}’$ を導関数の定義で書いて2つに分ける。後半は、$F+G$ が $f+g$ の原始関数になることを定義①に当てはめる。
- $\dfrac{\{F(x+h)+G(x+h)\}-\{F(x)+G(x)\}}{h}$ を $\dfrac{F(x+h)-F(x)}{h}+\dfrac{G(x+h)-G(x)}{h}$ に分け、 $h\to0$ として和の微分を示す。
- $F’=f$、 $G’=g$ のとき前半から $(F+G)’=f+g$。
- 定義①を $F+G$ に当てはめ、 $\{F(b)+G(b)\}-\{F(a)+G(a)\}$ を並べかえて等式を示す。
【(2)の方針】
定積分は定義①で $G(b)-G(a)$( $G’=g$)。この差を平均値の定理で $G'(c)(b-a)$ に直せば、符号は $g(c)$ の符号で決まる。
- $G'(x)=g(x)$ となる $G(x)$ をとり、 $\displaystyle\int_a^bg(x)\,dx=G(b)-G(a)$ と書く。
- 平均値の定理から $G(b)-G(a)=(b-a)g(c)$( $a<c<b$)となる $c$ をとる。
- $b-a>0$、 $g(c)>0$ から積分が正と結論する。
【(3)の方針】
$f(x)$ は増加関数なので、幅 $\dfrac1n$ の区間では 左端の値 $\leqq f(x)\leqq$ 右端の値。この大小関係を積分に持ちこむのが性質(C)。定数関数の積分は長方形の面積。


- $\dfrac{i-1}{n}\leqq x\leqq\dfrac in$ で $f\left(\dfrac{i-1}{n}\right)\leqq f(x)\leqq f\left(\dfrac in\right)$。
- 性質(C)で各辺をこの区間で積分する([ア]は(C))。
- 定数 $c$ の積分 $\displaystyle\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}c\,dx=\dfrac cn$ を計算して②を示す。
【(4)の方針】
②を $i=1$ から $n$ まで足す。区間をつなげるのが性質(B)。右側の和は $S_n$ と1項ずつずれているだけなので、差は両端の2項だけが残る。
- ②を $i=1,\cdots,n$ で足し、性質(B)で積分をつなげて $\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx$ にする([イ]は(B))。
- 左側の和は $S_n$、右側の和は $S_n+\dfrac{f(1)-f(0)}{n}$ であることを示す。
- 各辺から $S_n$ を引いて③を得る。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$$\frac{\{F(x+h)+G(x+h)\}-\{F(x)+G(x)\}}{h}=\frac{F(x+h)-F(x)}{h}+\frac{G(x+h)-G(x)}{h}$$
$F,G$ は微分可能なので、 $h\to0$ で右辺は $F'(x)+G'(x)$ に収束する。よって $\{F(x)+G(x)\}’=F'(x)+G'(x)$。
$F'(x)=f(x)$、 $G'(x)=g(x)$ となる $F,G$ をとると、前半より $\{F(x)+G(x)\}’=f(x)+g(x)$。定義①より
$$\int_a^b\{f(x)+g(x)\}\,dx=\{F(b)+G(b)\}-\{F(a)+G(a)\}=\{F(b)-F(a)\}+\{G(b)-G(a)\}=\int_a^bf(x)\,dx+\int_a^bg(x)\,dx$$
(2) 配点 10点
$G'(x)=g(x)$ となる $G(x)$ をとると、定義①より $\displaystyle\int_a^bg(x)\,dx=G(b)-G(a)$。 $G$ は $a\leqq x\leqq b$ で微分可能なので、平均値の定理より
$$G(b)-G(a)=(b-a)G'(c)=(b-a)g(c)\qquad(a<c<b)$$
をみたす $c$ がある。 $b-a>0$、 $g(c)>0$ より $\displaystyle\int_a^bg(x)\,dx>0$。
(3) 配点 12点
答 [ア](C)
$f(x)$ は増加関数なので、 $\dfrac{i-1}{n}\leqq x\leqq\dfrac in$ で
$$f\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq f(x)\leqq f\left(\frac in\right)$$
左右は定数関数。性質(C)より、この区間で各辺を積分しても大小は保たれる。定数 $c$ に対して $(cx)’=c$ なので、定義①より $\displaystyle\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}c\,dx=c\cdot\dfrac in-c\cdot\dfrac{i-1}{n}=\dfrac cn$。よって②が成り立つ。
(4) 配点 13点
答 [イ](B)
②を $i=1,2,\cdots,n$ について足す。性質(B)をくり返し使うと $\displaystyle\sum_{i=1}^n\int_{\frac{i-1}{n}}^{\frac in}f(x)\,dx=\int_0^1f(x)\,dx$ なので
$$\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac{i-1}{n}\right)\leqq\int_0^1f(x)\,dx\leqq\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac in\right)$$
左辺は $S_n$。右辺は
$$\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac in\right)=\frac1n\sum_{i=1}^nf\left(\frac{i-1}{n}\right)+\frac{f(1)-f(0)}{n}=S_n+\frac{f(1)-f(0)}{n}$$
各辺から $S_n$ を引いて③を得る。
出題意図
教科書で当たり前に使っている定積分の性質を、定義から説明できるか。公式を使えるだけでなく、なぜ成り立つかを言葉と式で示す力。
(3)(4) は面積を長方形で上下からはさむという区分求積法の考え方そのもの。②③の形を見て「面積の評価だ」と気づけるかが問われている。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 50点 | 35点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
第1問の完答は当たり前として、2022年の合否を決めたのはこの問題。
新傾向に戸惑わず、式の形から解き方が浮かぶほど積分の演習を積んだ人だけが取れた。
長文に見えても飛ばさない。
(1)(2) は教科書レベルの内容なので確実に取る。
(3) は②の形から面積の評価だと見抜く。
差がつく所・失点しやすい所
- 長文で手が止まる:長文の問題なので、読まずに止めた受験生が多いと思われる。ただ、中身は教科書レベルの公式の証明なので、読めば (1)(2) は確実に取れる。
- (3) で②の形を見て「面積を長方形で上下からはさむ評価だ」という発想に行き着けるか:区分求積法の考え方が身についているかで大きく差がつく
- (4) の右側の和:$\dfrac1n\sum f\left(\dfrac in\right)$ と $S_n$ の差が両端の2項だけになることを式で示す
2022年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は微分法・積分(数学Ⅲ)・複素数平面の問題です。
テーマは「媒介変数表示の曲線の増減・面積・対称性・概形」。
問題


問題文をテキストで読む
$xy$ 平面上の曲線 $C$ を、媒介変数 $t$ を用いて次のように定める。
$$x=5\cos t+\cos5t,\quad y=5\sin t-\sin5t\quad(-\pi\leqq t<\pi)$$
以下の問いに答えよ。
(1) 区間 $0<t<\dfrac{\pi}{6}$ において、 $\dfrac{dx}{dt}<0$、 $\dfrac{dy}{dx}<0$ であることを示せ。
(2) 曲線 $C$ の $0\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6}$ の部分、 $x$ 軸、直線 $y=\dfrac{1}{\sqrt3}x$ で囲まれた図形の面積を求めよ。
(3) 曲線 $C$ は $x$ 軸に関して対称であることを示せ。また、 $C$ 上の点を原点を中心として反時計回りに $\dfrac{\pi}{3}$ だけ回転させた点は $C$ 上にあることを示せ。
(4) 曲線 $C$ の概形を図示せよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\dfrac{dx}{dt}$、 $\dfrac{dy}{dt}$ はどちらも三角関数の和・差。和積の公式で積の形にすると符号が一目で分かる。
- $\dfrac{dx}{dt}=-5(\sin t+\sin5t)=-10\sin3t\cos2t$、 $\dfrac{dy}{dt}=5(\cos t-\cos5t)=10\sin3t\sin2t$ と変形する。
- $0<t<\dfrac{\pi}{6}$ で $\sin3t$、 $\cos2t$、 $\sin2t$ が正であることから、 $\dfrac{dx}{dt}<0$ を示す。
- $\dfrac{dy}{dx}=-\tan2t<0$ を示す。
【(2)の方針】
点 $\mathrm{A}(2\sqrt3,0)$、 $\mathrm{B}(2\sqrt3,2)$、 $\mathrm{C}(6,0)$ とおく。 $t=0$ で点C、 $t=\dfrac{\pi}{6}$ で点B(直線 $y=\dfrac{1}{\sqrt3}x$ 上)。(1) より $t$ が増えると曲線は左上へ進む。図形は三角形OABと、 $2\sqrt3\leqq x\leqq6$ で曲線と $x$ 軸の間の部分に分けられる。


- 曲線の両端がC、Bであることを確かめ、(1) から曲線が $x$ について減少しながら $x$ 軸から上へ進むことを確かめる。
- 図形を、三角形OABと、 $2\sqrt3\leqq x\leqq6$ で曲線と $x$ 軸の間の部分に分ける。
- 後者を $\displaystyle\int_{2\sqrt3}^6y\,dx=\int_0^{\frac{\pi}{6}}y\left(-\dfrac{dx}{dt}\right)dt$ と $t$ の積分に直し、積分の計算をする。
- 三角形OABの面積と足して、図形の面積を求める。
【(3)の方針】
$x$ 軸対称:$t$ を $-t$ にすると $x$ は変わらず $y$ だけ符号が変わる。回転:曲線上の点 $(x,y)$ を複素数 $z=x+yi$ で表すと、 $w=\cos t+i\sin t$ として $z=5w+w^{-5}$ と書ける。原点のまわりに $\dfrac{\pi}{3}$ 回転させることは、 $\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}$ をかけることと同じ。それが $t$ を $\dfrac{\pi}{3}$ ずらすことと一致する。
- $(x(-t),y(-t))=(x(t),-y(t))$ を示し、 $t=-\pi$ のときも点が $C$ 上にあることを確かめて $x$ 軸対称を結論する。
- ド・モアブルの定理で $\cos5t-i\sin5t=w^{-5}$ を使い、 $C$ 上の点を $z=5w+w^{-5}$ と表す。
- $u=\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}$ として $uz=5(uw)+(uw)^{-5}$ を示し、これが $t$ を $\dfrac{\pi}{3}$ ずらした点であることから、回転した点が $C$ 上にあると結論する。
【(4)の方針】
$0\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6}$ の部分を $x$ 軸で折り返すと $-\dfrac{\pi}{6}\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6}$ の部分ができ、これを $\dfrac{\pi}{3}$ ずつ回すと全体になる。(3) の証明ができなくても、(3) の結果( $x$ 軸に関して対称・ $\dfrac{\pi}{3}$ 回転しても重なる)を使えば図が書ける。
- $0\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6}$ の部分(CからBへ)を書く。 $t=0$ では $\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{dy}{dt}=0$ でとがる。
- $x$ 軸で折り返し、原点のまわりに $\dfrac{\pi}{3}$ ずつ5回回して全体を書く。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
和積の公式より
$$\frac{dx}{dt}=-5\sin t-5\sin5t=-10\sin3t\cos2t,\qquad\frac{dy}{dt}=5\cos t-5\cos5t=10\sin3t\sin2t$$
$0<t<\dfrac{\pi}{6}$ では $0<3t<\dfrac{\pi}{2}$、 $0<2t<\dfrac{\pi}{3}$ なので $\sin3t>0$、 $\cos2t>0$、 $\sin2t>0$。よって $\dfrac{dx}{dt}<0$ で
$$\frac{dy}{dx}=\dfrac{\ \dfrac{dy}{dt}\ }{\dfrac{dx}{dt}}=-\frac{\sin2t}{\cos2t}=-\tan2t<0$$
(2) 配点 15点
$t=0$ で $(x,y)=(6,0)$、 $t=\dfrac{\pi}{6}$ で $x=\dfrac{5\sqrt3}{2}-\dfrac{\sqrt3}{2}=2\sqrt3$、 $y=\dfrac52-\dfrac12=2$。 $\mathrm{A}(2\sqrt3,0)$、 $\mathrm{B}(2\sqrt3,2)$、 $\mathrm{C}(6,0)$ とおくと、曲線はCからBへ進み、Bは直線 $y=\dfrac{1}{\sqrt3}x$ 上にある。(1) より $0<t<\dfrac{\pi}{6}$ で $x$ は減少、 $y>0$。
よって図形は、三角形OAB(面積 $2\sqrt3$)と、 $2\sqrt3\leqq x\leqq6$ で曲線と $x$ 軸の間の部分からなる。
$$\int_{2\sqrt3}^6y\,dx=\int_{\frac{\pi}{6}}^0y\frac{dx}{dt}\,dt=\int_0^{\frac{\pi}{6}}(5\sin t-\sin5t)(5\sin t+5\sin5t)\,dt=\int_0^{\frac{\pi}{6}}\left(25\sin^2t+20\sin t\sin5t-5\sin^25t\right)dt$$
$$\int_0^{\frac{\pi}{6}}25\sin^2t\,dt=\frac{25\pi}{12}-\frac{25\sqrt3}{8},\quad\int_0^{\frac{\pi}{6}}20\sin t\sin5t\,dt=10\int_0^{\frac{\pi}{6}}(\cos4t-\cos6t)\,dt=\frac{5\sqrt3}{4},\quad\int_0^{\frac{\pi}{6}}5\sin^25t\,dt=\frac{5\pi}{12}+\frac{\sqrt3}{8}$$
より $\displaystyle\int_{2\sqrt3}^6y\,dx=\dfrac{5\pi}{3}-2\sqrt3$。三角形OABと合わせて
答 $\dfrac{5\pi}{3}$
(3) 配点 15点
$x(-t)=5\cos t+\cos5t=x(t)$、 $y(-t)=-5\sin t+\sin5t=-y(t)$。 $-\pi<t<\pi$ なら $-t$ も範囲内で、点 $(x,y)$ が $C$ 上なら $(x,-y)$ も $C$ 上。 $t=-\pi$ の点 $(-6,0)$ は $x$ 軸上なのでそれ自身。よって $C$ は $x$ 軸に関して対称。
$w=\cos t+i\sin t$ とおくと、ド・モアブルの定理より $\cos5t-i\sin5t=w^{-5}$ なので、 $C$ 上の点を表す複素数は
$$z(t)=x+yi=5w+w^{-5}$$
$u=\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}$ とおくと $u^6=1$ より $u^{-5}=u$。よって
$$uz(t)=5uw+uw^{-5}=5(uw)+(uw)^{-5}=z\left(t+\frac{\pi}{3}\right)$$
$z$ は $t$ について周期 $2\pi$ なので、 $t+\dfrac{\pi}{3}$ を $-\pi\leqq t<\pi$ の範囲の値に直しても同じ点。よって $\dfrac{\pi}{3}$ 回転した点は $C$ 上にある。
(4) 配点 8点
$0\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6}$ の部分を書き、(3) を使って $x$ 軸に関して折り返し、原点のまわりに $\dfrac{\pi}{3}$ ずつ回転させる。 $t=\dfrac{k\pi}{3}$ で $\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{dy}{dt}=0$ となり、半径6の円周上の6点 $\left(6\cos\dfrac{k\pi}{3},\ 6\sin\dfrac{k\pi}{3}\right)$ でとがる。 $t=\dfrac{\pi}{6}+\dfrac{k\pi}{3}$ の点は原点から距離4。
答 上の図(6つのとがった点をもつ星形の曲線)
出題意図
(1)(2):媒介変数表示の曲線の増減と面積という難関大学における典型問題を、和積の公式を使いこなして計算しきれるか
(3) 対称性・回転を式で示す。回転は複素数で表すと簡単に示せることに気づけるか。
(4) (2)(3) で調べた部分を対称移動・回転して全体を組み立てる力
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 30点 | 20点 |
| 目標時間 | 35分 | 45分 |
第5問でこの計算量。
和積・積和の公式は書いて覚えたあと、頭の中で導けるまで練習する。
普段から「どうすれば計算を減らせるか」を考えて解いた人だけが時間内に終われる。
(1)(2) を落とさないよう丁寧に計算する。
(3) が分からなくても、(4) は (2) の図と「対称性・回転」の見通しで書ける。
差がつく所・失点しやすい所
- 計算量:(1)(2) を和積・積和の公式で処理できるかで、かかる時間が大きく変わる。公式を頭の中で導けるくらいの練習が要る。
- (3) の回転:$\dfrac{\pi}{3}$ 回転を加法定理で展開すると計算が膨らみ、解答用紙が足りなくなる。回転は複素数で表すという発想に行き着けるかで大きく差がつく。
- (4) を (3) と一緒に捨てる:(3) ができなくても (4) は書ける
2022年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 標準 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | やや難 | 25点 | 10点 |
| 第3問 | 難 | 25点 | 10点 |
| 第4問 | やや難 | 50点 | 35点 |
| 第5問 | やや難 | 30点 | 20点 |
この年は、5問すべてが解けることは現実的にありえません。そのため、大問ごとの目標得点を足しても、総合の目標点(医学部医学科で170点、その他の学部で115点)にはなりません。解ける問題を見極めて、そこに時間をかけましょう。
「標準問題が解ければ九大数学は大丈夫」と油断していた受験生は、本番でかなり苦労したはずです。
ただ、これから九大を目指す受験生にとっては、どれだけ簡単な問題が前年に出ていようが、最後の最後まで油断してはいけないという大きな教訓を与えてくれた年です。
難易度は高いですが良問揃いなので、このレベルを目指せるようになるまで勉強しましょう。
解く流れ
第1問(完答)→ 第2問(2) → 第3問(1)(2) → 第4問 → 第5問(1)(2)(4) → 残り(第2問(1)(3)・第3問(3)・第5問(3))
2022年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2022年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2022年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
かなり難しい年でした。
2021年より難化し、当時としては過去25年で最高の難易度。
いずれの大問も完答は難しいですが、前半は解きやすい問題なので、確実に解けるところで得点しましょう。 - 2022年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で170点、その他の学部で115点です(250点満点)。
数学が苦手な人でも、医学部医学科で140点、薬学部臨床薬学科で95点、その他の学部で70点は確保しましょう。 - 2022年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
合格するために最低限取っておきたいのは、第1問の完答と第4問です。そのうえで、特に差がついたのは次の3つです。
- 第2問(2):重解の因数は微分してから代入する、という定石を使えたか。
- 第3問(2):3や7が $n^2-1$ と $n^2+1$ のどちらに入るかを、平方数の余りで決められたか。
- 第5問(2)以降:和積・積和の公式で計算をやり切れたか。(3)では、回転を複素数で表す発想に行き着けたか。
- 2022年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:空間ベクトル
- 第2問:式と証明・極限
- 第3問:整数
- 第4問:積分・微分法(数学Ⅲ)
- 第5問:微分法・積分(数学Ⅲ)・複素数平面


