【解説付き・赤本不要】2024年九州大学理系数学の解答・解説
2024年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2024年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は空間ベクトル・微分(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「$(a,a^2,a^3)$ を含む三角形の面積の最大」。
問題


問題文をテキストで読む
$a$ を実数とし、座標空間内の3点 $\mathrm{P}(-1,1,-1)$、$\mathrm{Q}(1,1,1)$、$\mathrm{R}(a,a^2,a^3)$ を考える。以下の問いに答えよ。
(1) $a\neq-1$、$a\neq1$ のとき、3点P、Q、Rは一直線上にないことを示せ。
(2) $a$ が $-1<a<1$ の範囲を動くとき、三角形PQRの面積の最大値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
3点が一直線上 ⟺ $\overrightarrow{\mathrm{PR}}=k\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$(実数倍)。$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ の $y$ 成分が0であることに注目。
- $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$、$\overrightarrow{\mathrm{PR}}$ を成分で書く。
- 実数倍で書けると仮定すると $y$ 成分から $a^2-1=0$ となり、$a\neq\pm1$ に反することを示す。
【(2)の方針】
三角形の面積は $\dfrac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PR}})^2}$ で求める。面積は $a^2$ の関数になるので、$a^2=t$ と置き換え、$t$ の3次関数に帰着する。
- $|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2$、$|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|^2$、$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PR}}$ を計算して、面積を $a$ の式で表す。このとき $S$ ではなく $(2S)^2$ を計算するのがコツ。$\dfrac12$ とルートが消えるので、計算がぐっと楽になる。
- $t=a^2$($0\leqq t<1$)とおき、3次関数の増減を調べて最大値を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(2,0,2)$、$\overrightarrow{\mathrm{PR}}=(a+1,\ a^2-1,\ a^3+1)$
P、Q、R が一直線上にあるとすると、実数 $k$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{PR}}=k\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ と表せる。
$y$ 成分を比べると $a^2-1=0$、すなわち $a=\pm1$
これは $a\neq\pm1$ に反する。よって、$a\neq\pm1$ のとき3点P、Q、Rは一直線上にない。
(2) 配点 35点
$$|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2=8,\qquad \overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PR}}=2(a+1)+2(a^3+1)=2(a^3+a+2)$$
$$|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|^2=(a+1)^2+(a^2-1)^2+(a^3+1)^2=a^6+a^4+2a^3-a^2+2a+3$$
三角形PQRの面積を $S$ とすると
$$\begin{aligned}(2S)^2&=|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{PR}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PR}})^2\\&=8(a^6+a^4+2a^3-a^2+2a+3)-4(a^3+a+2)^2\\&=4(a^6-3a^2+2)\end{aligned}$$
よって $S=\sqrt{a^6-3a^2+2}$
$t=a^2$ とおくと、$-1<a<1$ より $0\leqq t<1$。$g(t)=t^3-3t+2$ とすると
$$g'(t)=3t^2-3=3(t+1)(t-1)<0\quad(0\leqq t<1)$$
なので、$g(t)$ は $0\leqq t<1$ で減少する。
よって $g(t)$ は $t=0$($a=0$)で最大値 $g(0)=2$ をとり、$S$ の最大値は $\sqrt2$
答 $\sqrt2$($a=0$ のとき)
出題意図
(1) 平行なベクトルは実数倍で書けるという超基本事項の確認
(2) 座標空間の三角形の面積をベクトルの三角形の面積公式でサクッと求められるか。そのうえで、微分して最大値を求めるという基本的な計算力が問われている。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
第1問で満点を取れない場合は確実に不合格。
解くときに戸惑ったら、まだまだ数学のレベルが足りないと考えること。
(2) の計算がうまくいかなくても、制限時間に関わらず、時間をかけてでも正確な答えを出す。
答えにたどり着ける問題は必要以上に時間をかけても完答するのが合格への秘訣。
差がつく所・失点しやすい所
- $t=a^2$ と置き換えられるかが決め手。九大受験生なら絶対に50点を取ってほしい問題だが、万が一 $t=a^2$ と置き換えられない場合は6次関数のままになり、完答が難しく厳しい戦いになる。
- 面積の式の展開・整理は手数が多いので、わずかな計算ミスが命取りになる
2024年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は複素数平面の問題です。
テーマは「$z^6+z^4+z^2+1=0$ と回転」。
問題


問題文をテキストで読む
整式
$$f(z)=z^6+z^4+z^2+1$$
について、以下の問いに答えよ。
(1) $f(z)=0$ をみたすすべての複素数 $z$ に対して、$|z|=1$ が成り立つことを示せ。
(2) 次の条件をみたす複素数 $w$ をすべて求めよ。
条件:$f(z)=0$ をみたすすべての複素数 $z$ に対して $f(wz)=0$ が成り立つ。
解答の方針
【(1)の方針】
$z^6+z^4+z^2+1$ は $z^8-1=(z^2-1)(z^6+z^4+z^2+1)$ の因数分解に出てくる形 → $z^8=1$ に帰着
- $(z^2-1)f(z)=z^8-1$ を確認する。
- $f(z)=0$ なら $z^8=1$、両辺の絶対値をとって $|z|=1$。
【(2)の方針】
方針自体は簡単で、図に落とし込めばシンプル。解 $z_1,z_2,z_3,z_5,z_6,z_7$ は単位円を8等分した点から $\pm1$ を除いた6点。$|w|=1$ なので $w$ をかけるのは回転。6点全体がまた6点に重なる回転を探すだけ。答えは1周か半周の回転で、たとえば $z_1$ は1周回転させると $z_1$ に戻り、半周回転させると $z_5$ に移る。このように、すべての点が自分の位置か、原点について反対側の位置に移る。


- $f(z)=0$ の解を $z_k=\cos\dfrac{k\pi}{4}+i\sin\dfrac{k\pi}{4}$($k=1,2,3,5,6,7$)と書く。
- $|wz|=|z|=1$ から $|w|=1$。$w=\cos\theta+i\sin\theta$ とおくと、$wz$ は $z$ を原点のまわりに $\theta$ 回転した点。
- $z_1$ の行き先から $\theta$ を $\dfrac{\pi}{4}$ の倍数に絞り、$-1$ に移ってしまう解がないかで決める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
$$(z^2-1)f(z)=(z^2-1)(z^6+z^4+z^2+1)=z^8-1$$
$f(z)=0$ ならば $z^8-1=0$、すなわち $z^8=1$。両辺の絶対値をとると $|z|^8=1$、$|z|>0$ より $|z|=1$
(2) 配点 30点
$f(z)=0$ ならば $z^8=1$ かつ $z^2\neq1$($f(\pm1)=4\neq0$)。逆に $z^8=1$、$z^2\neq1$ ならば $(z^2-1)f(z)=0$ より $f(z)=0$。よって、$f(z)=0$ の解は
$$z_k=\cos\frac{k\pi}{4}+i\sin\frac{k\pi}{4}\quad(k=1,2,3,5,6,7)$$
の6個(単位円を8等分した点のうち $\pm1$ を除いたもの)。
条件をみたす $w$ について、$|wz_1|=1$、$|z_1|=1$ より $|w|=1$。$w=\cos\theta+i\sin\theta$($0\leqq\theta<2\pi$)とおくと、$wz$ は点 $z$ を原点のまわりに $\theta$ だけ回転した点。
$wz_1$ も解なので、偏角を比べて $\dfrac{\pi}{4}+\theta$ は $\dfrac{\pi}{4}$ の倍数。よって $\theta=\dfrac{m\pi}{4}$($m=0,1,\dots,7$)
– $m=0,4$($w=1,-1$)のとき $w=1$ なら $wz=z$。$w=-1$ なら $f$ は偶関数($f(-z)=f(z)$)なので $f(wz)=f(z)=0$。どちらも条件をみたす
– $m\neq0,4$ のとき $z_{4-m}$(添字は8で割った余りで考える)は $\pm1$ ではないので解の1つ。ところが $wz_{4-m}=\cos\pi+i\sin\pi=-1$ で、$f(-1)=4\neq0$。条件をみたさない
答 $w=1,\ -1$
出題意図
(1) $n$ 乗根($z^n=1$)の基本を理解しているか
(2) 複素数のかけ算が回転を表すという図形的な意味を理解し、方程式の解を複素数平面上の点として捉えられるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 30点 | 20点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
医学科の受験生にとっては合否を決めた問題。
他学部は (1) を確実に解いておけば十分。
(1) は確実に取る。
(2) は問題文で身構えず、解を単位円上に図示して「どう回転させたら重なるか」を考える。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) の問題文で手が止まる:問われ方が見慣れないため、読んだ瞬間に飛ばしてしまう人が多い。図に描けば「6点を回転させて重なるのは1周か半周」と分かる。
- (2) の論証:答え $\pm1$ は予想できても、それ以外の $w$ が条件をみたさないことを示せるかで大きく差がつく
2024年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は整数の問題です。
テーマは「階乗の方程式」。
問題


問題文をテキストで読む
以下の問いに答えよ。
(1) 自然数 $a,b$ が $a<b$ をみたすとき、$\dfrac{b!}{a!}\geqq b$ が成り立つことを示せ。
(2) $2\cdot a!=b!$ をみたす自然数の組 $(a,b)$ をすべて求めよ。
(3) $a!+b!=2\cdot c!$ をみたす自然数の組 $(a,b,c)$ をすべて求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\dfrac{b!}{a!}=b(b-1)\cdots(a+1)$ は、$b$ から始まる1以上の整数の積
- $\dfrac{b!}{a!}$ を積の形で書き、$b$ 以外の因数がすべて1以上であることから示す。
【(2)の方針】
(1) を使うために $a$ と $b$ の大小で場合分け。$a<b$ なら $\dfrac{b!}{a!}=2$ と (1) から $b\leqq2$。
- $a\geqq b$ のときは $b!\leqq a!<2\cdot a!$ で不適。
- $a<b$ のとき、(1) から $b\leqq2$ に絞って調べる。
【(3)の方針】
$a,b$ は入れかえても同じ式なので $a\leqq b$ としてよい。$a<b$ なら不等式から $a<c<b$。両辺を $c!$ で割ると (1) の形 $\dfrac{b!}{c!}$ が現れ、$\dfrac{b!}{c!}\geqq b$ が使える。
- $a=b$ のときは $c=a$。
- $a<b$ のとき、$a<c<b$ を示す。
- 両辺を $c!$ で割り、(1) から $b<2$ を導いて矛盾を示す。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$a<b$ より
$$\frac{b!}{a!}=b\cdot(b-1)\cdots(a+1)$$
これは $b$ と、1以上の整数 $(b-1),\dots,(a+1)$ の積($b=a+1$ のときは $b$ だけ)なので、$\dfrac{b!}{a!}\geqq b$
(2) 配点 20点
$a\geqq b$ のとき $b!\leqq a!<2\cdot a!$ となり、$2\cdot a!=b!$ をみたさない。
$a<b$ のとき $\dfrac{b!}{a!}=2$ なので、(1) より $2\geqq b$。$a<b$ で $a\geqq1$ だから $b=2$、$a=1$。実際 $2\cdot1!=2=2!$ をみたす。
答 $(a,b)=(1,2)$
(3) 配点 20点
式は $a,b$ について対称なので、$a\leqq b$ の場合を考え、最後に入れかえを加える。
$a=b$ のとき $2\cdot a!=2\cdot c!$ より $a!=c!$。$a,c$ は自然数なので $c=a$。
$a<b$ のとき $a!<b!$ なので
$$2\cdot a!<a!+b!=2\cdot c!<2\cdot b!$$
よって $a!<c!<b!$ となり、$a<c<b$
両辺を $c!$ で割ると
$$\frac{a!}{c!}+\frac{b!}{c!}=2$$
$c<b$ と (1) より $\dfrac{b!}{c!}\geqq b$、また $\dfrac{a!}{c!}>0$ なので
$$b<\frac{a!}{c!}+\frac{b!}{c!}=2$$
よって $b=1$ となるが、$a<c<b=1$ をみたす自然数 $a,c$ は存在しない。したがって $a<b$ のときは解なし。$b<a$ のときも同様に解なし。
以上より、解は $a=b=c$ のときだけ。
答 $(a,b,c)=(k,k,k)$($k$ は自然数)
出題意図
(1) 階乗の定義を正しく式で扱えるか
(2) 前問の結果を使って論証する力。答えの予想は簡単でも、それ以外に答えがないことを (1) を使って示せるか。
(3) 文字の多い整数問題で、不等式を使って範囲を絞る力
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 30点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 | 30分 |
前問の結果を使うのは当然のことだが、自然にできない受験生がとても多い。
次の問題に進んだ瞬間に前の結果を忘れない。
普段の勉強から意識して取り組むこと。
(2) までは確実に取る。
(3) は、ほかの取れる問題を検算し終えてから時間をかけてもよい。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で (1) を使えるか:答えの予想は簡単だからこそ、ほかに答えがないことを (1) を使って示せるかで差がついた
- (3) で文字を減らせるか:不等式から $a<c<b$ を導き、(1) の形を作るように変形できるか
2024年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は場合の数の問題です。
テーマは「格子点を3点以上通る直線の数」。
問題


問題文をテキストで読む
$n$ を3以上の整数とする。座標平面上の点のうち、$x$ 座標と $y$ 座標がともに1以上 $n$ 以下の整数であるものを考える。これら $n^2$ 個の点のうち3点以上を通る直線の個数を $L(n)$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) $L(3)$ を求めよ。
(2) $L(4)$ を求めよ。
(3) $L(5)$ を求めよ。
解答の方針
直線を傾きで分類する。$x$ 軸に平行な直線と $y$ 軸に平行な直線、傾きが正の直線と負の直線は、対称性からそれぞれ同じ本数 → $L(n)=2\times\{(x$ 軸に平行な直線$)+($傾きが正の直線$)\}$。


- $x$ 軸に平行な直線は $n$ 本(どれも $n$ 個の点を通る)。
- 傾きが正の直線で3点以上を通るものを、傾き1、2、$\dfrac12$、…と分けて数える。3点を通るには、となりの点との差 $(p,q)$ について $2p\leqq n-1$、$2q\leqq n-1$ が必要。
- 2倍して $L(n)$ を出す。
解答


解答をテキストで読む
直線は、$x$ 軸に平行なもの、$y$ 軸に平行なもの、傾きが正のもの、傾きが負のものに分けられる。直線 $y=x$ に関する対称移動で「$x$ 軸に平行」と「$y$ 軸に平行」が、直線 $x=\dfrac{n+1}{2}$ に関する対称移動で「傾きが正」と「傾きが負」が1対1に対応するので
$$L(n)=2\times\{(x\text{ 軸に平行な直線の数})+(\text{傾きが正の直線の数})\}$$
$x$ 軸に平行な直線 $y=k$($k=1,\dots,n$)は、どれも $n\geqq3$ 個の点を通るので $n$ 本。
傾きが正の直線が3点以上を通るとき、となり合う2点の差を $(p,q)$($p,q$ は互いに素な自然数)とすると、両端の点の差は $(2p,2q)$ 以上なので $2p\leqq n-1$、$2q\leqq n-1$ が必要。
(1) 配点 10点
$n=3$ のとき、$2p\leqq2$、$2q\leqq2$ より $(p,q)=(1,1)$ だけ。傾き1で3点以上を通る直線は $y=x$ の1本。
$$L(3)=2(3+1)=8$$
答 $L(3)=8$
(2) 配点 15点
$n=4$ のとき、$2p\leqq3$、$2q\leqq3$ より $(p,q)=(1,1)$ だけ。傾き1の直線 $y=x+k$ が3点以上を通るのは $k=-1,0,1$ の3本(通る点の数は3、4、3)。
$$L(4)=2(4+3)=14$$
答 $L(4)=14$
(3) 配点 25点
$n=5$ のとき、$2p\leqq4$、$2q\leqq4$ より $(p,q)=(1,1),(1,2),(2,1)$。
– 傾き1:$y=x+k$ が3点以上を通るのは $k=-2,-1,0,1,2$ の5本
– 傾き2:3点 $(x,y),(x+1,y+2),(x+2,y+4)$ が範囲に入るのは $y=1$、$x=1,2,3$ のときで、直線は3本(どれも3点だけを通る)
– 傾き $\dfrac12$:傾き2と直線 $y=x$ について対称なので3本
傾きが正の直線は $5+3+3=11$ 本なので
$$L(5)=2(5+11)=32$$
答 $L(5)=32$
(1)〜(3)の別解(すべて書き出して数える)
傾きで場合分けし、対称性も使って、3点以上を通る直線をすべて書き出す。
– $n=3$ $x=k$($k=1,2,3$)、$y=l$($l=1,2,3$)、$y=x$、$y=-x+4$ の8本
– $n=4$ $x=k$($k=1,\dots,4$)、$y=l$($l=1,\dots,4$)、$y=x+k$($k=-1,0,1$)、$y=-x+l$($l=4,5,6$)の14本
– $n=5$ $x=k$(5本)、$y=l$(5本)、$y=x+k$($k=-2,\dots,2$ の5本)、$y=-x+l$($l=4,\dots,8$ の5本)で20本。さらに傾きが $\pm2$、$\pm\dfrac12$ の直線を、3点の真ん中の点で数えると、真ん中が $(2,3)$、$(3,2)$、$(3,4)$、$(4,3)$ のときそれぞれ2本、$(3,3)$ のとき4本で、$4\times2+4=12$ 本。どれも同じ直線にはならないので $20+12=32$ 本
出題意図
条件を整理して、漏れなく・重複なく数え上げる力。考え方は単純で、正確さだけが問われている。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
考え方は易しいので、ただ数え上げるだけ。
丁寧に数えた人は時間をかけずに満点が取れる問題。
どれだけ時間をかけてもいいので、何度も見直しをして正確に数え上げる。
差がつく所・失点しやすい所
- 傾き2、$\dfrac12$ の直線の見落とし:(3) で初めて出てくるので、傾き1だけで終わらせると数え漏れる
- 単純な数え間違い:考え方は易しいので、正確さだけで差がつく
2024年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は積分・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$I(m,n)$ の漸化式と極限」。
問題


問題文をテキストで読む
自然数 $m,n$ に対して
$$I(m,n)=\int_1^e x^me^x(\log x)^n\,dx$$
とする。以下の問いに答えよ。
(1) $I(m+1,n+1)$ を $I(m,n+1)$、$I(m,n)$、$m$、$n$ を用いて表せ。
(2) すべての自然数 $m$ に対して、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}I(m,n)=0$ が成り立つことを示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
$e^x$ は何度積分しても $e^x$ → $e^x$ を積分する側にして部分積分。$x^{m+1}(\log x)^{n+1}$ を微分すると $I(m,n+1)$ と $I(m,n)$ の形が出てくる。
- $I(m+1,n+1)$ を、$e^x$ を積分する部分積分で変形する。
【(2)の方針】
極限を直接求められない → はさみうちの原理。(1) の式を使うと $I(m,n)$ を上から評価できる。$I$ はすべて正。
- 被積分関数が $1\leqq x\leqq e$ で0以上なので、$I(m,n)\geqq0$。
- (1) の式を $(n+1)I(m,n)=\cdots$ と変形し、$I\geqq0$ を使って $(n+1)I(m,n)\leqq e^{m+e+1}$ を導く。
- はさみうちの原理で極限を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 20点
$e^x$ を積分する側にして部分積分すると
$$\begin{aligned}I(m+1,n+1)&=\int_1^e x^{m+1}(\log x)^{n+1}e^x\,dx\\&=\Big[\,x^{m+1}(\log x)^{n+1}e^x\,\Big]_1^e-\int_1^e\left\{(m+1)x^m(\log x)^{n+1}+(n+1)x^m(\log x)^n\right\}e^x\,dx\end{aligned}$$
$x=e$ のとき $\log e=1$、$x=1$ のとき $\log1=0$ なので、一番左の項は $e^{m+1}\cdot e^e=e^{m+e+1}$
答 $I(m+1,n+1)=e^{m+e+1}-(m+1)I(m,n+1)-(n+1)I(m,n)$
(2) 配点 30点
$1\leqq x\leqq e$ では $x^me^x>0$、$\log x\geqq0$ なので、すべての自然数 $m,n$ について $I(m,n)\geqq0$
(1) より
$$(n+1)I(m,n)=e^{m+e+1}-(m+1)I(m,n+1)-I(m+1,n+1)$$
右辺の $I(m,n+1)$、$I(m+1,n+1)$ は0以上なので
$$(n+1)I(m,n)\leqq e^{m+e+1}$$
よって
$$0\leqq I(m,n)\leqq\frac{e^{m+e+1}}{n+1}$$
$m$ を固定して $n\to\infty$ とすると右辺は0に近づくので、はさみうちの原理より
$$\lim_{n\to\infty}I(m,n)=0$$
出題意図
(1) 部分積分で積分漸化式を作れるか。数Ⅲの積分の基本操作。
(2) 定積分で表された数列の極限を、はさみうちの原理で求める力が問われている。九大の過去問でも、積分漸化式からはさみうちで極限を求める問題は何度も出ている。数Ⅲの積分の演習量が純粋に問われる良問。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
2024年の理系数学で1番の良問。
医学科以外の受験生にとっては合否の分かれ目になった大問。
(1) は確実に取る。
(2) は極限の求め方(不定形の解消・導関数の定義・はさみうち)のどれを使うかを最初に判断する。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) ではさみうちの原理を思い出せるか:極限を直接求められないと判断して、はさみうちに切りかえられるかがこの大問の最大のポイント。センスではなく演習量で決まる。
- $I\geqq0$ に触れずに不等式を作る:(1) の式から上の評価を作るとき、$I(m,n+1)$、$I(m+1,n+1)$ が0以上であることを書かないと大きく減点される
2024年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | やや難 | 30点 | 20点 |
| 第3問 | 標準 | 30点 | 30点 |
| 第4問 | 簡単 | 50点 | 50点 |
| 第5問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 合計 | 210点 | 180点 |
2024年は、全体的に標準的な問題のセットでした。
難しかったのは第2問(2)と第5問(2)、そして人によっては第3問(3)です。
これ以外の170〜180点分は確実に確保したいところです。
そのうえで、難しい問題でどれだけ部分点を稼ぐことができるか。
難しい3問に食らいつくことができれば、200点も十分に狙えるセットでした。
解く流れ
- 第1問 → 第2問(1) → 第3問(1)(2) → 第4問 → 第5問(1) を先に解き、ここで一度検算する。第3問(3) は難しければいったん飛ばす。
- 確実に解けていることを確認してから、第2問(2)・第5問(2) に時間をかける。
- 最後に第3問(3)。解けない受験生もいる問題なので、ほかを取り切ってから取り組む。
2024年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2024年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2024年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
標準的なレベルでした。
難しかったのは第2問(2)と第5問(2)、そして人によっては第3問(3)で、それ以外は典型問題です。
2023年からかなり易しくなり、数学が苦手な人・普通の人・得意な人できっちり差がつく試験になりました。 - 2024年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
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目標点は、医学部医学科で210点、その他の学部で180点です(250点満点)。
数学が苦手な人でも、医学部医学科で190点、薬学部臨床薬学科で140点、その他の学部で130点は確保しましょう。 - 2024年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
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特に差がついたのは、次の2つです。
- 第2問(2):問題文で身構えず、解を単位円上に図示して「どう回転させたら重なるか」を考えられたか。医学科の合否を決めた問題です。
- 第5問(2):極限の求め方(はさみうちの原理など)を最初に判断できたか。医学科以外の受験生にとって合否の分かれ目になりました。
- 2024年の九州大学・理系数学は何が出題された?
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大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:空間ベクトル・微分(数学Ⅱ)
- 第2問:複素数平面
- 第3問:整数
- 第4問:場合の数
- 第5問:積分・極限(数学Ⅲ)


