【解説・採点基準付き】2018年九州大学理系数学の解答・解説
2018年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2018年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は空間ベクトル・軌跡・式と曲線の問題です。
テーマは「双曲線上の点と定点を結ぶ直線と、平面との交点の軌跡」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間において、 $xy$ 平面上にある双曲線 $x^2-y^2=1$ のうち $x\geqq1$ を満たす部分を $C$ とする。また、 $z$ 軸上の点 $\mathrm{A}(0,0,1)$ を考える。点Pが $C$ 上を動くとき、直線APと平面 $x=d$ との交点の軌跡を求めよ。ただし、 $d$ は正の定数とする。
解答の方針
求めたいのは交点の軌跡なので、交点を $\mathrm{Q}(d,Y,Z)$ とおいて主役にする。 $\mathrm{P}(a,b,0)$ のまま $\mathrm{Q}$ を表すと $a$、 $b$ が残り、どう消すかの見通しが立たない。逆に、 $\mathrm{P}$ の座標 $a$、 $b$ を $\mathrm{Q}$ の $Y$、 $Z$ で表せば、「 $\mathrm{P}$ が $C$ 上にある」という条件 $a^2-b^2=1$ に代入するだけで $Y$、 $Z$ の関係式になる(逆手流)。 $\mathrm{Q}$ は直線 $\mathrm{AP}$ 上にあるので、 $\mathrm{Q}$ と $\mathrm{P}$ は1つの実数 $s$ で結びつき、この言いかえはすぐにできる。
もう1つ大事なのは範囲。 $\mathrm{P}$ は双曲線全体ではなく $x\geqq1$ の部分だけを動く。この条件が $\mathrm{Q}$ のどの範囲に対応するかまで追わないと、軌跡の一部を余分に答えることになる。下の図のように、 $\mathrm{A}$ から $C$ に向かう直線はいつも下向き( $z$ が減る向き)に進むので、交点は $Z<1$ の側にしか来ないと見当がつく。


- $\mathrm{P}(a,b,0)$( $a^2-b^2=1$、 $a\geqq1$)とし、直線 $\mathrm{AP}$ 上の点を $\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(sa,\ sb,\ 1-s)$( $s$ は実数)と表す。
- $x$ 座標が $d$ になる $s=\dfrac{d}{a}$ から、交点 $\mathrm{Q}\left(d,\ \dfrac{db}{a},\ 1-\dfrac{d}{a}\right)$ を求める。
- $\mathrm{Q}(d,Y,Z)$ とおき、 $a=\dfrac{d}{1-Z}$、 $b=\dfrac{Y}{1-Z}$ と $\mathrm{P}$ の座標を $Y$、 $Z$ で表す。
- $a^2-b^2=1$ に代入して、 $Y^2+(Z-1)^2=d^2$ を導く。
- $a>0$ から $Z<1$ を導く。逆に、円 $Y^2+(Z-1)^2=d^2$ 上の $Z<1$ の点はすべて交点になることを確かめる( $a\geqq1$ は $a^2=1+b^2$ から自動的になりたつ)。
- 平面 $x=d$ 上の図形として答える(両端 $(d,\pm d,1)$ は除く)。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
$\mathrm{P}(a,b,0)$( $a^2-b^2=1$、 $a\geqq1$)とする。直線 $\mathrm{AP}$ 上の点は、実数 $s$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(0,0,1)+s(a,\ b,\ -1)=(sa,\ sb,\ 1-s)$$
と表せる。 $x$ 座標が $d$ になるのは $sa=d$、すなわち $s=\dfrac{d}{a}$ のときなので、直線 $\mathrm{AP}$ と平面 $x=d$ の交点 $\mathrm{Q}$ は
$$\mathrm{Q}\left(d,\ \frac{db}{a},\ 1-\frac{d}{a}\right)$$
$\mathrm{Q}(d,Y,Z)$ とおくと
$$Y=\frac{db}{a},\qquad Z=1-\frac{d}{a}$$
$a\geqq1$、 $d>0$ より $1-Z=\dfrac{d}{a}>0$ なので、
$$a=\frac{d}{1-Z},\qquad b=\frac{a}{d}\,Y=\frac{Y}{1-Z}$$
これを $a^2-b^2=1$ に代入して
$$\frac{d^2}{(1-Z)^2}-\frac{Y^2}{(1-Z)^2}=1\iff d^2-Y^2=(1-Z)^2\iff Y^2+(Z-1)^2=d^2$$
次に範囲を調べる。 $1-Z=\dfrac{d}{a}>0$ なので $Z<1$。
(上の図は、直線 $\mathrm{AP}$ を $y$ 軸の方向から見たもの。図は $d<1$ の場合。 $\mathrm{P}$ が $C$ の頂点 $(1,0,0)$ のとき $\mathrm{Q}$ は最も低い $z=1-d$ にあり、 $\mathrm{P}$ が遠ざかって $a$ が大きくなるほど、 $\mathrm{Q}$ は $z=1$ に近づくが、 $z=1$ にはならない)
逆に、円 $Y^2+(Z-1)^2=d^2$ 上の $Z<1$ の点 $(d,Y,Z)$ に対して、 $a=\dfrac{d}{1-Z}$、 $b=\dfrac{Y}{1-Z}$ とおくと、 $a>0$ で
$$a^2-b^2=\frac{d^2-Y^2}{(1-Z)^2}=\frac{(Z-1)^2}{(1-Z)^2}=1$$
さらに $a^2=1+b^2\geqq1$、 $a>0$ より $a\geqq1$。よって $\mathrm{P}(a,b,0)$ は $C$ 上の点で、この $\mathrm{P}$ に対して $s=\dfrac{d}{a}=1-Z$ とすれば、直線 $\mathrm{AP}$ と平面 $x=d$ の交点がちょうど $(d,Y,Z)$ になる。
円の上半分( $Z>1$)と両端( $Z=1$)は除かれる。
答 平面 $x=d$ 上の、中心 $(d,0,1)$、半径 $d$ の円 $y^2+(z-1)^2=d^2$ のうち $z<1$ の部分(両端の2点 $(d,\pm d,1)$ は含まない)
別解(双曲線を媒介変数で表す) $\mathrm{P}\left(\dfrac{1}{\cos\theta},\ \tan\theta,\ 0\right)$( $-\dfrac{\pi}{2}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$)とおく。 $\left(\dfrac{1}{\cos\theta}\right)^2-\tan^2\theta=1$ で、 $\cos\theta>0$ より $\dfrac{1}{\cos\theta}\geqq1$。 $\tan\theta$ はすべての実数値をとるので、この $\mathrm{P}$ で $C$ 全体を1回ずつ表せる。
直線 $\mathrm{AP}$ 上の点 $(sa,\ sb,\ 1-s)$ で $s=\dfrac{d}{a}=d\cos\theta$ とすると
$$\mathrm{Q}=(d,\ d\sin\theta,\ 1-d\cos\theta)=(d,0,1)+d(0,\ \sin\theta,\ -\cos\theta)$$
これは、平面 $x=d$ 上で中心 $(d,0,1)$ から真下の向きと角 $\theta$ をなす向きに、長さ $d$ だけ進んだ点。 $\theta$ が $-\dfrac{\pi}{2}<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ を動くので、円の下半分(両端を除く)をすべて動く。
(どちらを選ぶか:媒介変数で表すと、円であることと範囲が同時に見えるので計算が短い。ただし双曲線の媒介変数表示を思い出せないと使えない。逆手流は覚えることがなく、どんな曲線にも使える。本番では、自分が確実に使える方を選べばよい)
補足(なぜ答えが円になるのか) 直線 $\mathrm{AP}$ 上の点 $(X,Y,Z)=(sa,\ sb,\ 1-s)$ は
$$X^2-Y^2=s^2(a^2-b^2)=s^2=(1-Z)^2$$
をみたす。すなわち $X^2=Y^2+(Z-1)^2$ で、これは $\mathrm{A}$ を頂点とし、 $\mathrm{A}$ を通って $x$ 軸に平行な直線を軸とする円錐面。双曲線 $C$ はこの円錐面を $xy$ 平面(軸に平行な平面)で切った切り口で、平面 $x=d$ は軸に垂直なので、切り口は半径 $d$ の円になる。円の上半分を通る直線は、 $\mathrm{A}$ から上向きに進んで $xy$ 平面と交わらない(双曲線の $x\leqq-1$ の部分の点と $\mathrm{A}$ を結んだ直線を、 $\mathrm{A}$ の先に伸ばした部分にあたる)。
出題意図
空間の直線をベクトルで表し、平面との交点の座標を求めるという空間座標の基本操作ができるか
交点の座標から$\mathrm{P}$ の座標を消去して軌跡の方程式を求め、さらに$\mathrm{P}$ の動く範囲( $x\geqq1$ の部分)が、軌跡のどの部分に対応するかを捉えることができるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 15分 | 20分 |
空間の軌跡だからといって身構える必要はない。
直線をベクトルで表し、平面との交点を求めて、 $\mathrm{P}$ の座標を消去する。
やっていることは平面の軌跡とまったく同じ。
この問題で合否を分けるのは、軌跡の解法をしっかり体系化できているか。
軌跡は苦手な受験生が多いが、解法はワンパターンなので、何回も反復練習を積んで、スラスラ導けるようにしておきたい。
最初に解く。
直線 $\mathrm{AP}$ をベクトルで表し、平面 $x=d$ との交点を求め、 $\mathrm{P}$ の座標を交点で表して代入すれば円の方程式が求まる。
そのあと、 $\mathrm{P}$ の範囲 $x\geqq1$ が軌跡のどこに対応するかを確かめて、 $z<1$ の部分に絞って答える。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
ここで時間を節約して、後半の問題に回す。
差がつく所・失点しやすい所
- $\mathrm{P}$ の動く範囲が、軌跡のどの部分に対応するかを追うという発想に行き着けるか:ここで大きく差がつく。 $y^2+(z-1)^2=d^2$ を求めて終わると円全体を答えてしまう。 $1-z=\dfrac{d}{a}>0$ から $z<1$(下半分)に絞り込めるか。上半分は、 $C$ ではない $x\leqq-1$ の部分から来る点。
- 端点の扱い: $z=1$ は、 $a$ を限りなく大きくしたとき(直線 $\mathrm{AP}$ が $xy$ 平面と平行に近づくとき)の極限で、実際にはとらない。両端を白丸で除くことまで書けるか。
- $\mathrm{P}$ の置き方: $\mathrm{P}(a,b,0)$ のまま $\mathrm{Q}$ を表して、そこから $a$、 $b$ を消そうとすると方針が立たない。 $\mathrm{Q}$ から $\mathrm{P}$ を逆に表す(逆手流)か、媒介変数で1文字にするか、どちらかを選べれば計算はすぐに終わる。
- 双曲線の扱い:慣れているかどうかで、かかる時間が変わるだけの問題。方針は軌跡の典型どおり。
2018年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は図形と方程式・式と曲線・積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「半円上の線分の通過領域と、 $y$ 軸のまわりの回転体の体積」。
問題


問題文をテキストで読む
原点を中心とする半径3の半円 $C:\ x^2+y^2=9\ (y\geqq0)$ 上の2点PとQに対し、線分PQを $2:1$ に内分する点をRとする。以下の問いに答えよ。
(1) 点Pの $y$ 座標とQの $y$ 座標が等しく、かつPの $x$ 座標はQの $x$ 座標より小さくなるようにPとQが動くものとする。このとき、線分PRが通過してできる図形 $S$ の面積を求めよ。
(2) 点Pを $(-3,0)$ に固定する。Qが半円 $C$ 上を動くとき線分PRが通過してできる図形 $T$ の面積を求めよ。
(3) (1) の図形 $S$ から (2) の図形 $T$ を除いた図形と第1象限の共通部分を $U$ とする。 $U$ を $y$ 軸のまわりに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$ の $y$ 座標が等しいので、高さ $y=h$ を決めれば $\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{R}$ が1つずつ決まり、線分 $\mathrm{PR}$ は高さ $h$ の横線になる。2点が連動して動く問題は、動きを1つの文字(ここでは $h$)で表すのが基本。左端 $\mathrm{P}$ は円 $C$ の上にあり、右端 $\mathrm{R}$ は $x$ 座標が $\mathrm{Q}$ の $\dfrac13$ なので、円 $C$ を横に $\dfrac13$ 倍に縮めた楕円 $x^2+\dfrac{y^2}{9}=1$ の上にある。よって $S$ は「左の四分円」と「右の四分楕円」を合わせた図形で、面積は公式で求まり積分は要らない。境界を式で持っておくと、(3) でそのまま使える。


- 高さ $h$ を固定し、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{R}$ の座標を $h$ で表す。
- $\mathrm{R}$ の座標が $x^2+\dfrac{y^2}{9}=1$ をみたすことを確かめ、高さ $h$ での線分 $\mathrm{PR}$ が $-\sqrt{9-h^2}\leqq x\leqq\dfrac13\sqrt{9-h^2}$ であると表す。
- $h$ を動かして、 $S$ が「 $x\leqq0$ の四分円」と「 $x\geqq0$ の四分楕円」を合わせた図形であることを示す。
- 円と楕円の面積の公式で $S$ の面積を求める。
【(2)の方針】
線分 $\mathrm{PR}$ の一方の端 $\mathrm{P}$ は固定されているので、もう一方の端 $\mathrm{R}$ の軌跡を求めれば、線分の通過範囲が見える。 $\mathrm{R}$ は $\mathrm{P}$ を中心にして $\mathrm{Q}$ を $\dfrac23$ 倍に縮めた点なので、 $\mathrm{Q}$ が半径3の半円を動けば、 $\mathrm{R}$ は半径2の半円を動く。しかも $\mathrm{P}$ 自身がその円周上にあるので、線分 $\mathrm{PR}$ はその円の弦になり、半円板を埋めつくす。


- $\mathrm{Q}(3\cos\theta,\ 3\sin\theta)$( $0\leqq\theta\leqq\pi$)とおき、 $\mathrm{R}$ の座標を $\theta$ で表す。
- $\mathrm{R}$ の軌跡が、中心 $(-1,0)$、半径2の円の $y\geqq0$ の部分であることを示す。
- $\mathrm{P}$ もこの円周上にあることから、線分 $\mathrm{PR}$ の通過範囲がこの半円板全体であることを示し、面積を求める。
【(3)の方針】
第1象限では、 $S$ は楕円の内側 $9x^2+y^2\leqq9$、 $T$ は円の内側 $(x+1)^2+y^2\leqq4$。 $U$ の体積を「楕円側の回転体 − 円側の回転体」の引き算で求めるには、第1象限で $T$ が $S$ の中に入っていることが前提になる。2つの境界は点 $(1,0)$ で一致するが、端で一致するだけでは、途中で円の一部が楕円の外にないとは言えない。そこで $T$ の点が $9x^2+y^2\leqq9$ をみたすことを式で確かめる。 $y$ 軸のまわりに回すので高さ $y$ で切り、 $x$ を $y$ で表す。切り口は円環で、外側の半径は楕円から、内側の半径は円から決まる。円は中心が回転軸から1ずれているので、内側の半径は $\sqrt{4-y^2}-1$。




- 第1象限で、 $S$ を $9x^2+y^2\leqq9$、 $T$ を $(x+1)^2+y^2\leqq4$ と表す。
- $T$ の第1象限の点が $9x^2+y^2\leqq9$ をみたすこと( $T$ が $S$ に含まれること)を示し、 $U$ が楕円の内側で円の外側の部分であることを確かめる。
- 高さ $y$ で切った $U$ の線分を $y$ 軸のまわりに回してできる円環の、外側の半径 $\dfrac13\sqrt{9-y^2}$ と内側の半径 $\sqrt{4-y^2}-1$( $0\leqq y\leqq\sqrt3$ だけ)を求める。
- 体積を $\pi\displaystyle\int_0^3\left(\dfrac13\sqrt{9-y^2}\right)^2dy-\pi\int_0^{\sqrt3}\left(\sqrt{4-y^2}-1\right)^2dy$ と表す。
- $\displaystyle\int_0^{\sqrt3}\sqrt{4-y^2}\,dy$ を円の一部の面積(三角形と扇形)として求め、体積を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$ の $y$ 座標を $h$ とする。 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標が $\mathrm{Q}$ の $x$ 座標より小さいので $0\leqq h<3$ で
$$\mathrm{P}\left(-\sqrt{9-h^2},\ h\right),\qquad\mathrm{Q}\left(\sqrt{9-h^2},\ h\right),\qquad\mathrm{R}=\frac{\mathrm{P}+2\mathrm{Q}}{3}=\left(\frac13\sqrt{9-h^2},\ h\right)$$
$\mathrm{R}(X,Y)$ とおくと
$$X^2+\frac{Y^2}{9}=\frac{9-h^2}{9}+\frac{h^2}{9}=1,\qquad X\geqq0$$
なので、 $\mathrm{R}$ は楕円 $x^2+\dfrac{y^2}{9}=1$ の $x\geqq0$ の部分にある。線分 $\mathrm{PR}$ は、高さ $h$ で $-\sqrt{9-h^2}\leqq x\leqq\dfrac13\sqrt{9-h^2}$ の部分である。
$h$ を $0\leqq h<3$ で動かすと、 $S$ は $x\leqq0$ では円 $x^2+y^2\leqq9$ の第2象限の部分(四分円)、 $x\geqq0$ では楕円 $x^2+\dfrac{y^2}{9}\leqq1$ の第1象限の部分(四分楕円)を合わせた図形になる(点 $(0,3)$ は含まないが、面積には影響しない)。
よって $S$ の面積は
$$\frac14\cdot\pi\cdot3^2+\frac14\cdot\pi\cdot1\cdot3=\frac{9}{4}\pi+\frac34\pi=3\pi$$
答 $3\pi$
(検算)高さ $h$ での線分 $\mathrm{PR}$ の長さはいつも $\mathrm{PQ}$ の $\dfrac23$ なので、 $S$ の面積は半円板の面積 $\dfrac{9}{2}\pi$ の $\dfrac23$ 倍で $3\pi$ になり、一致する。
(2) 配点 15点
$\mathrm{Q}(3\cos\theta,\ 3\sin\theta)$( $0\leqq\theta\leqq\pi$)とおくと、 $\mathrm{P}(-3,0)$ より
$$\mathrm{R}=\frac{\mathrm{P}+2\mathrm{Q}}{3}=\left(-1+2\cos\theta,\ 2\sin\theta\right)$$
$\theta$ が $0\leqq\theta\leqq\pi$ を動くので、 $\mathrm{R}$ は点 $(-1,0)$ を中心とする半径2の円の $y\geqq0$ の部分(これを $K$ とする)全体を動く。 $\theta=\pi$ のとき $\mathrm{R}=(-3,0)=\mathrm{P}$ なので、 $\mathrm{P}$ も $K$ 上にある。
$K$ と $x$ 軸( $-3\leqq x\leqq1$ の部分)で囲まれた半円板(周を含む)を $D$ とする。
・$D$ はどの2点を結ぶ線分も $D$ に含まれる図形なので、線分 $\mathrm{PR}$ はつねに $D$ に含まれる
・逆に、 $D$ の点 $\mathrm{X}$( $\mathrm{X}\neq\mathrm{P}$)をとる。 $\mathrm{X}$ が $x$ 軸上にあれば、 $\theta=0$ のときの線分 $\mathrm{PR}$( $\mathrm{R}=(1,0)$)上にある。 $\mathrm{X}$ の $y$ 座標が正なら、半直線 $\mathrm{PX}$ は上向きに進むので、 $\mathrm{X}$ の先で $K$ と交わる。その交点を $\mathrm{R}$ とすれば、 $\mathrm{X}$ は線分 $\mathrm{PR}$ 上にある
よって $T=D$ で、面積は $\dfrac12\cdot\pi\cdot2^2=2\pi$。
答 $2\pi$
(3) 配点 20点
第1象限( $x\geqq0$、 $y\geqq0$)では、(1) より $S$ は $9x^2+y^2\leqq9$、(2) より $T$ は $(x+1)^2+y^2\leqq4$ で表される。
$T$ の第1象限の点 $(x,y)$ をとる。 $(x+1)^2\leqq4$ より $0\leqq x\leqq1$、また $y^2\leqq4-(x+1)^2$ なので
$$9x^2+y^2\leqq9x^2+4-(x+1)^2=8x^2-2x+3=9+2(4x+3)(x-1)\leqq9$$
( $0\leqq x\leqq1$ より $(4x+3)(x-1)\leqq0$)。よって第1象限では $T$ は $S$ に含まれ、 $U$ は「楕円 $9x^2+y^2\leqq9$ の内側で、円 $(x+1)^2+y^2\leqq4$ の外側」の第1象限の部分である(2つの境界が第1象限で共有するのは点 $(1,0)$ だけ)。
$U$ を高さ $y$( $0\leqq y\leqq3$)の直線で切った線分は
・$0\leqq y\leqq\sqrt3$ のとき $\sqrt{4-y^2}-1\leqq x\leqq\dfrac13\sqrt{9-y^2}$
・$\sqrt3\leqq y\leqq3$ のとき $0\leqq x\leqq\dfrac13\sqrt{9-y^2}$
これを $y$ 軸のまわりに回すと、切り口は外側の半径 $\dfrac13\sqrt{9-y^2}$、内側の半径 $\sqrt{4-y^2}-1$ の円環( $\sqrt3\leqq y\leqq3$ では円板)になる。
よって求める体積を $V$ とすると
$$V=\pi\int_0^3\frac{9-y^2}{9}\,dy-\pi\int_0^{\sqrt3}\left(\sqrt{4-y^2}-1\right)^2dy$$
1つ目の積分は
$$\int_0^3\frac{9-y^2}{9}\,dy=\left[y-\frac{y^3}{27}\right]_0^3=2$$
2つ目の積分では $\left(\sqrt{4-y^2}-1\right)^2=5-y^2-2\sqrt{4-y^2}$。 $\displaystyle\int_0^{\sqrt3}\sqrt{4-y^2}\,dy$ は、円 $x^2+y^2=4$ の $0\leqq y\leqq\sqrt3$、 $x\geqq0$ の部分の面積で、原点と点 $(1,\sqrt3)$ を結ぶ線分で分けると、三角形(面積 $\dfrac{\sqrt3}{2}$)と中心角 $\dfrac{\pi}{3}$ の扇形(面積 $\dfrac{2}{3}\pi$)になるので
$$\int_0^{\sqrt3}\sqrt{4-y^2}\,dy=\frac{\sqrt3}{2}+\frac{2}{3}\pi$$
よって
$$\int_0^{\sqrt3}\left(5-y^2-2\sqrt{4-y^2}\right)dy=5\sqrt3-\sqrt3-\left(\sqrt3+\frac43\pi\right)=3\sqrt3-\frac43\pi$$
$$V=2\pi-\pi\left(3\sqrt3-\frac43\pi\right)=2\pi-3\sqrt3\pi+\frac43\pi^2$$
答 $2\pi-3\sqrt3\pi+\dfrac{4}{3}\pi^2$
(検算)1つ目の $2\pi$ は、高さ $y$ の切り口の円の半径 $\dfrac13\sqrt{9-y^2}$ が、半径3の半球の切り口の半径 $\sqrt{9-y^2}$ の $\dfrac13$ なので、切り口の面積がつねに $\dfrac19$ 倍になり、半球の体積 $18\pi$ の $\dfrac19$ として確かめられる。また $V\fallingdotseq3.12>0$ で、数値積分の結果とも一致する。
出題意図
(1)(2) 線分が通過してできる図形を、端点Rの軌跡から捉えられるか。(1) は高さを固定し、(2) はQを角度で表して、Rがどんな曲線を動くかを求める。
(3) (1)(2) の図形を式で表し、2つの図形の位置関係(一方が他方に含まれるか)を確かめたうえで、 $y$ 軸のまわりの回転体の体積を断面の円環から求められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 35点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
通過領域の問題で、動く線分そのものを追いかけても図形は見えない。
端点がどんな曲線を動くかを求めれば、図形はすぐに決まる。
本問は (1)(2) とも端点 $\mathrm{R}$ の軌跡が楕円と円になるだけで、九大受験生なら確実に取りたい問題。
通過領域は「まず端点の軌跡を求めて図を書く」、この手順を典型問題で何度も練習し、迷わず解けるようにしておこう。
(1)(2) は端点 $\mathrm{R}$ の軌跡を求めれば、面積は円と楕円の公式で求まり、積分は要らない。
ここは必ず完答する。
(3) は (1)(2) の楕円と円をそのまま使うので、(1)(2) を確実に求めてから進む。
$T$ が $S$ に含まれることを式で確かめ、高さ $y$ で切って円環の面積を積分する。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で高さを固定し、Rが楕円の上を動くという発想に行き着けるか:楕円と分かれば面積は公式で求まる。境界を式で持たないまま長さの積分だけで面積を求めると、(3) で $S$ の式を求め直すことになり、時間を失う。
- (2) で線分の通過範囲を、端点Rの軌跡から決めるという発想に行き着けるか:線分 $\mathrm{PR}$ そのものの動きを追おうとすると、方針が立たない。 $\mathrm{R}$ の軌跡が円とわかれば、通過範囲は半円板とすぐに分かる。
- (3) で $T$ が $S$ に含まれるかを式で確かめるという発想に行き着けるか:引き算で体積を求める前提になる部分で、ここを書かない答案は論証が不十分。「 $y=0$ で境界がともに $x=1$」は端で一致することしか言っておらず、含まれる理由にならない。
- (3) の内側の範囲:円 $(x+1)^2+y^2=4$ が第1象限にあるのは $0\leqq y\leqq\sqrt3$ だけ。 $0\leqq y\leqq3$ で引いてしまうと答えが合わない。
- (3) の積分の計算: $\displaystyle\int_0^{\sqrt3}\sqrt{4-y^2}\,dy$ を三角形と扇形の面積で処理できるか。置換積分で計算すると時間がかかり、計算ミスも増える。
2018年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は確率・整数の問題です。
テーマは「カードの数字の積を4で割った余りの確率」。
問題


問題文をテキストで読む
1から4までの数字を1つずつ書いた4枚のカードが箱に入っている。箱の中から1枚カードを取り出してもとに戻す試行を $n$ 回続けて行う。 $k$ 回目に取り出したカードの数字を $X_k$ とし、積 $X_1X_2\cdots X_n$ を4で割った余りが0、1、2、3である確率をそれぞれ $p_n,q_n,r_n,s_n$ とする。 $p_n,q_n,r_n,s_n$ を求めよ。
解答の方針
4を割る素因数は2だけなので、積を4で割った余りは、まず積に含まれる2の個数の合計で決まる。カードごとの2の個数は、1と3が0個、2が1個、4が2個。合計が2個以上なら積は4の倍数で余り0、ちょうど1個なら $2\times$(奇数)の形で余り2、0個なら積は奇数で余り1か3。このように2の個数の合計(0個・1個・2個以上)で3つに分けると、0個と1個は出方のパターンが限られるので直接数えられる。2個以上は場合が多すぎるので、余事象で求める。


0個のとき(1と3だけが出るとき)は、余り1と余り3を分ける。下の法4のかけ算表で3の行を見ると $3\times3$ の余りは1。つまり $3\equiv-1\pmod4$ で、3が偶数回なら余り1、奇数回なら余り3。1と3の出方を「3の回数の偶奇」で半分ずつに分ければよい。


4つの確率の漸化式を立てても解けるが、4本の式を連立させることになり、計算量が多い。この問題は $n$ 回の出方を直接数える方が速くて確実。
- カードを2の個数で分類する(1、3は0個、2は1個、4は2個)。
- 余り2 $\iff$ 2の個数の合計がちょうど1個 $\iff$ 「2がちょうど1回出て、4は出ず、残りの $n-1$ 回は1か3」と言いかえ、2の位置 $n$ 通りをかけて $r_n$ を求める。
- 余り1・3 $\iff$ 積が奇数 $\iff$ 「 $n$ 回とも1か3」と言いかえ、 $q_n+s_n=\left(\dfrac12\right)^n$ を求める。
- 余り0は余事象で $p_n=1-(q_n+s_n)-r_n$ を求める。
- $3\equiv-1\pmod4$ から、1と3だけが出るとき3の回数が偶数なら余り1、奇数なら余り3。1回目のカードの1と3を入れかえると3の回数の偶奇が入れかわるので、偶数の場合と奇数の場合は同数。よって $q_n=s_n=\dfrac12\left(\dfrac12\right)^n$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
4を割る素因数は2だけである。カードに含まれる素因数2の個数は、1と3が0個、2が1個、4が2個。積 $X_1X_2\cdots X_n$ に含まれる2の個数の合計を $m$ とすると、
・$m\geqq2$ のとき 積は4の倍数で、余りは0
・$m=1$ のとき 積は $2\times$(奇数)の形で、余りは2
・$m=0$ のとき 積は奇数で、余りは1か3
余り2 $m=1$ $\iff$ 2がちょうど1回出て、4は1回も出ず、残りの $n-1$ 回は1か3。2の出る回の選び方は $n$ 通りで、2が出る確率は $\dfrac14$、1か3が出る確率は $\dfrac24=\dfrac12$ なので
$$r_n=n\cdot\frac14\cdot\left(\frac12\right)^{n-1}=\frac{n}{2^{n+1}}$$
余り1と余り3を合わせた確率 $m=0$ $\iff$ $n$ 回とも1か3が出る。よって
$$q_n+s_n=\left(\frac12\right)^n=\frac{1}{2^n}$$
余り0 余事象を考えて
$$p_n=1-(q_n+s_n)-r_n=1-\frac{2}{2^{n+1}}-\frac{n}{2^{n+1}}=1-\frac{n+2}{2^{n+1}}$$
余り1と余り3の分け方 $3\equiv-1\pmod4$ なので、1と3だけが出たとき、3の回数を $j$ とすると積は $(-1)^j$ を4で割った余りと等しい。よって $j$ が偶数なら余り1、 $j$ が奇数なら余り3。
1と3だけが出る出方 $2^n$ 通り(どれも確率 $\left(\dfrac14\right)^n$)について、1回目のカードの1と3を入れかえると、 $j$ の偶奇が入れかわる。この入れかえで「 $j$ が偶数の出方」と「 $j$ が奇数の出方」はちょうど1対1に対応するので、それぞれ $2^{n-1}$ 通りずつある。よって
$$q_n=s_n=2^{n-1}\cdot\left(\frac14\right)^n=\frac{1}{2^{n+1}}$$
答 $p_n=1-\dfrac{n+2}{2^{n+1}}$、 $q_n=\dfrac{1}{2^{n+1}}$、 $r_n=\dfrac{n}{2^{n+1}}$、 $s_n=\dfrac{1}{2^{n+1}}$
別解(漸化式) かけ算表(法4)から、それまでの積の余りが $n+1$ 回目のカードでどう変わるかを読み取ると
$$q_{n+1}=s_{n+1}=\frac14(q_n+s_n),\quad r_{n+1}=\frac12r_n+\frac14(q_n+s_n)$$
( $p_{n+1}$ は $1-q_{n+1}-r_{n+1}-s_{n+1}$ で求める)。初項は $p_1=q_1=r_1=s_1=\dfrac14$。
$q_n+s_n$ は公比 $\dfrac12$ の等比数列で $q_n+s_n=\dfrac{1}{2^n}$。これから $q_{n+1}=s_{n+1}=\dfrac{1}{2^{n+2}}$ となり、 $n=1$ も合わせて $q_n=s_n=\dfrac{1}{2^{n+1}}$。 $r_{n+1}=\dfrac12r_n+\dfrac{1}{2^{n+2}}$ の両辺に $2^{n+1}$ をかけると $2^{n+1}r_{n+1}=2^nr_n+\dfrac12$ で、 $2^nr_n$ は初項 $\dfrac12$、公差 $\dfrac12$ の等差数列。よって $2^nr_n=\dfrac n2$、 $r_n=\dfrac{n}{2^{n+1}}$。最後に $p_n=1-q_n-r_n-s_n$ として同じ答えになる。
4本の推移の式を正しく立て、計算を最後まで合わせ切る必要がある。直接数える方法なら、余り2と余り0は3の回数の偶奇を考えなくても求まる。
出題意図
積を4で割った余りという条件を、取り出したカードの種類と回数の条件に言いかえられるか。積の余りは「積に含まれる2の個数の合計」と「奇数の部分」で決まることを捉えることができるか。
4つの確率のうち、どれを直接数え、どれを余事象で求めるかを判断できるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
確率で $n$ が出てきたらすぐに漸化式、という考え方は捨てる。
本問は「積に含まれる2の個数の合計」で分ければ、数え上げだけで終わる。
九大の場合の数・確率は難易度がかなり低め。
確率漸化式で解くことはもちろんできるが、確率漸化式は直接確率を求めることができないときの1つの解法。
確率漸化式という選択肢を頭の中で持ちつつ、あくまで難しいときに用いる解法という立ち位置にしておこう。
最初にカードを2の個数で分類し、2の個数の合計で3つに分ける。
余り2と余り0は3の回数の偶奇に関係なく求まるので、ここまでは必ず書く。
余り1と余り3は $3\equiv-1$ と見れば同数に分かれる。
漸化式で入った場合でも、初項 $\dfrac14$ と推移の式を書けば部分点になるので、何も書かずに次へ進むことだけは避ける。
計算自体は単純なので、確実に計算し、 $n=1$ で4つの確率がすべて $\dfrac14$ になることを検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- 積に含まれる2の個数の合計で分けるという発想に行き着けるか:ここに気づけば、余り2は「2がちょうど1回で4は出ない」、余り0は余事象、とすぐに方針が立つ。気づかないと4本の漸化式を立てることになり、計算量が増えて時間を失う。
- 余り2の条件で4を見落とさないか:「2がちょうど1回」だけでは足りない。4が1回でも出ると2の個数が2個以上になって余り0になる。2と4をまとめて「偶数が1回」と数えると $r_n$ がずれる。
- 余り1と余り3を $3\equiv-1$ で分けられるか:1と3の並びを1つずつ調べようとすると方針が立たない。3を $-1$ と見れば3の回数の偶奇だけで決まると分かる。ここで止まっても、 $q_n+s_n=\dfrac{1}{2^n}$ と $r_n$、 $p_n$ までは書ける。
- 方針が立つかどうか:方針さえ立てば計算は軽いが、方針が立たないと何も書けずに終わりやすい問題で、ここで大きく差がつく。
2018年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は整数・高次方程式の問題です。
テーマは「3次方程式の整数解・有理数解」。
問題


問題文をテキストで読む
整数 $a,b$ は3の倍数ではないとし、
$$f(x)=2x^3+a^2x^2+2b^2x+1$$
とおく。以下の問いに答えよ。
(1) $f(1)$ と $f(2)$ を3で割った余りをそれぞれ求めよ。
(2) $f(x)=0$ を満たす整数 $x$ は存在しないことを示せ。
(3) $f(x)=0$ を満たす有理数 $x$ が存在するような組 $(a,b)$ をすべて求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$a,b$ そのものは分からないが、式には $a^2$、 $b^2$ しか現れない。3の倍数でない整数は3で割った余りが1か2で、2乗すると余りはどちらも1になる。つまり $a^2$、 $b^2$ はどちらも「3で割ると1余る数」として扱える。
- $a\equiv\pm1\pmod3$ から $a^2\equiv1$、同様に $b^2\equiv1\pmod3$ を示す。
- $f(1)=3+a^2+2b^2$、 $f(2)=17+4a^2+4b^2$ と表し、 $a^2$、 $b^2$ を余り1に置きかえて3で割った余りを求める。
【(2)の方針】
整数解の候補をしぼるには、定数項1だけを右辺に移項して $x$ でくくる。 $x$ と整数の積が $-1$ になるので、 $x$ は1の約数 $\pm1$ に限られる。 $x=1$ は係数がすべて正なので $f(1)>0$ で解でない。残る $x=-1$ を調べるのに (1) が効く。 $-1$ と $2$ は3で割った余りが等しいので、 $f(-1)$ と $f(2)$ も3で割った余りが等しい(下の図の余りは $1,\ 0,\ 1$ のくり返し)。(1) で $f(2)$ の余りを求めさせたのは、このためである。


- $f(x)=0$ を $x(2x^2+a^2x+2b^2)=-1$ と変形し、整数解は $x=\pm1$ に限られることを示す。
- $f(1)=3+a^2+2b^2>0$ から $x=1$ は解でないことを示す。
- $f(2)-f(-1)$ が3の倍数であることを示し、(1) から $f(-1)$ を3で割った余りが1であることを導く。よって $f(-1)\neq0$ で、整数解は存在しない。
【(3)の方針】
有理数解を求めさせる問題では、既約分数 $x=\dfrac qp$ とおいて分母を払うのが正攻法。分母を払った式 $2q^3+a^2q^2p+2b^2qp^2+p^3=0$ で、$p^3$ 以外の項は $q$ の倍数、 $2q^3$ 以外の項は $p$ の倍数なので、 $p,q$ が互いに素であることから $q$ は定数項1の約数、 $p$ は最高次の係数2の約数になる。候補は $\pm1$、 $\pm\dfrac12$ の4つだけで、そのうち $\pm1$ は (2) で、正の数は係数がすべて正であることから消える。残る $x=-\dfrac12$ を代入すると、条件は $a,b$ の不定方程式になる。


- 有理数解を $x=\dfrac qp$ ( $p\geqq1$、 $p$ と $q$ は互いに素な整数)とおき、両辺に $p^3$ をかけて分母を払う。
- $p^3=-q(2q^2+a^2qp+2b^2p^2)$ から $q$ は $p^3$ の約数で、 $p$ と $q$ は互いに素なので $q=\pm1$ を示す。
- $2q^3=-p(a^2q^2+2b^2qp+p^2)$ から $p$ は $2q^3$ の約数で、同様に $p=1,\ 2$ を示す。
- 候補 $x=\pm1,\ \pm\dfrac12$ のうち、 $\pm1$ を (2) で除き、 $x=\dfrac12$ を $f(x)>0$ ( $x>0$)で除いて、解になりうるのは $x=-\dfrac12$ だけとする。
- $f\left(-\dfrac12\right)=0$ を $(2b-a)(2b+a)=3$ と整理し、整数の組を調べて $(a,b)$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$a$ は3の倍数でないので、 $a\equiv1$ または $a\equiv2\equiv-1\pmod3$。どちらの場合も $a^2\equiv1\pmod3$。同様に $b^2\equiv1\pmod3$。
$$f(1)=2+a^2+2b^2+1=3+a^2+2b^2\equiv0+1+2=3\equiv0\pmod3$$
$$f(2)=16+4a^2+4b^2+1=17+4a^2+4b^2\equiv2+1+1=4\equiv1\pmod3$$
答 $f(1)$ を3で割った余りは0、 $f(2)$ を3で割った余りは1
(2) 配点 15点
整数 $x$ が $f(x)=0$ をみたすとする。 $f(x)=0$ を変形すると
$$x(2x^2+a^2x+2b^2)=-1$$
$x$ と $2x^2+a^2x+2b^2$ はどちらも整数なので、 $x$ は $-1$ の約数であり、 $x=1$ または $x=-1$。
$x=1$ のとき、 $f(1)=3+a^2+2b^2>0$ なので $f(1)\neq0$。
$x=-1$ のとき、
$$f(2)-f(-1)=2\{8-(-1)\}+a^2(4-1)+2b^2\{2-(-1)\}=18+3a^2+6b^2$$
は3の倍数なので、 $f(-1)$ と $f(2)$ は3で割った余りが等しい。(1) より $f(2)$ を3で割った余りは1なので、 $f(-1)$ を3で割った余りも1で、 $f(-1)\neq0$。
よって、 $f(x)=0$ をみたす整数 $x$ は存在しない。
別解( $f(-1)$ を直接計算する) $f(-1)=-2+a^2-2b^2+1=a^2-2b^2-1\equiv1-2-1=-2\equiv1\pmod3$ なので $f(-1)\neq0$。(1) が解けなくても、この計算で (2) は示せる。
(3) 配点 25点
$f(x)=0$ をみたす有理数 $x$ を $x=\dfrac qp$ ( $p\geqq1$、 $p$ と $q$ は互いに素な整数)とおく。 $f\left(\dfrac qp\right)=0$ の両辺に $p^3$ をかけると
$$2q^3+a^2q^2p+2b^2qp^2+p^3=0$$
$p^3=-q(2q^2+a^2qp+2b^2p^2)$ より、 $p^3$ は $q$ の倍数である。 $p$ と $q$ は互いに素なので $q=\pm1$。
また、 $2q^3=-p(a^2q^2+2b^2qp+p^2)$ より、 $2q^3$ は $p$ の倍数である。 $p$ と $q$ は互いに素なので $p$ は2の約数で、 $p\geqq1$ より $p=1,\ 2$。
よって $x=\pm1,\ \pm\dfrac12$。(2) より $x=\pm1$ は解でない。また $x>0$ のとき、 $f(x)$ の係数はすべて正なので $f(x)>0$ となり、 $x=\dfrac12$ も解でない。したがって、解になりうるのは $x=-\dfrac12$ だけである。
$$f\left(-\dfrac12\right)=-\dfrac14+\dfrac{a^2}{4}-b^2+1=\dfrac{a^2-4b^2+3}{4}$$
なので、 $f\left(-\dfrac12\right)=0$ は $4b^2-a^2=3$、すなわち
$$(2b-a)(2b+a)=3$$
と同値である。
$2b-a$、 $2b+a$ は整数で、積が3なので
$$(2b-a,2b+a)=(1,3),\ (3,1),\ (-1,-3),\ (-3,-1)$$
それぞれ解くと $(a,b)=(1,1),\ (-1,1),\ (-1,-1),\ (1,-1)$。いずれも $a,b$ は3の倍数でなく、条件をみたす。
答 $(a,b)=(1,1),\ (1,-1),\ (-1,1),\ (-1,-1)$
(確認:このとき $a^2=b^2=1$ で、 $f(x)=2x^3+x^2+2x+1=(2x+1)(x^2+1)$。実数解は $x=-\dfrac12$ だけで、確かに有理数である)
別解(逆数をとって最高次の係数を1にする) $f(0)=1\neq0$ なので $x\neq0$。 $f(x)=0$ の両辺を $x^3$ で割り、 $y=\dfrac1x$ とおくと
$$y^3+2b^2y^2+a^2y+2=0$$
最高次の係数が1になったので、有理数解 $y=\dfrac sr$ ( $r\geqq1$、 $r$ と $s$ は互いに素)とおいて $r^3$ をかけると $s^3=-r(2b^2s^2+a^2sr+2r^2)$ となり、 $s^3$ は $r$ の倍数で $r=1$。つまり有理数解 $y$ は整数で、さらに $y(y^2+2b^2y+a^2)=-2$ より $y$ は2の約数。 $y=\pm1$ は $x=\pm1$ なので (2) で除かれ、 $y>0$ では左辺が正なので、 $y=-2$ ( $x=-\dfrac12$)だけが残る。代入すると $-8+8b^2-2a^2+2=0$ より $4b^2-a^2=3$ で、本解と同じ式になる。約数の条件を2回使う本解に対し、こちらは「分母が1になる」1回の論証で済む。
出題意図
(1) 3の倍数でない整数の2乗は3で割ると1余るという基本が理解できているか
(2) 整数解は「定数項を移項してくくる」と約数の条件に帰着できることを知っているか。さらに、(1) の結果を $f(-1)$ を調べるのに使えるか。
(3) 有理数解を既約分数 $\dfrac qp$ とおいて分母を払い、分子・分母を約数の条件でしぼる論証を答案に書き切れるか。最後に残る不定方程式を因数分解の形に整理して解けるか。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
条件をみたす整数(有理数)が存在しないことを示す問題は、背理法の有名な型。
背理法で矛盾を導くことはパッと思いつきたい。
(3) は、方程式をみたす有理数解が存在しないことを背理法で証明する流れと同じ。
発想力は必要なく、どれだけ演習を積んだかで勝負が決まる。
確実に高得点を取っておきたい。
(1)(2) は余りの計算と約数の条件だけなので、10分以内に確実に取る。
(2) は (1) が解けなくても $f(-1)$ を直接計算すれば示せるので、(1) で止まっても諦めない。
(3) は (2) が示せなくても、(2) の結論(整数解は存在しない)を使って進められる。
既約分数 $\dfrac qp$ とおいて分母を払い、候補を $x=-\dfrac12$ に絞るところまでは必ず書く。
計算自体は単純なので、確実に計算し、求めた4組を $f\left(-\dfrac12\right)=0$ に代入して検算してから次の問題へ進む。
2018年は第5問の方針が立ちにくいので、この大問を第5問より先に解き切る。
差がつく所・失点しやすい所
- (3) が計算で押し切れない論証問題であること:第1〜3問は方針が立てば計算で答えにたどり着けるが、(3) は「 $q$ は $p^3$ の約数」「 $p$ と $q$ は互いに素」「よって $q=\pm1$」という論理を2回書き、さらに候補を3つ除き、不定方程式を解くまで書く必要があり、答案が長い。また、「有理数解の候補は定数項の約数を最高次の係数の約数で割ったもの」は教科書に定理として載っていない。候補を知っているだけの受験生は答案の根拠が書けず、知らない受験生は方針が立たない。
- (1) が何のための小問か見抜けるか: $f(-1)$ と $f(2)$ を結びつけられないと (1) は (2) と無関係な計算に見え、(2) の方針を別に考えることになる。
- (2) で定数項を移項して $x$ でくくるという発想に行き着けるか:ここで整数解が $\pm1$ に限られることが分からないと、(2) は「3で割った余り」だけで示そうとして方針が立たない。整数 $x$ を余りで分類しても $f(x)\equiv0$ になる $x$ は残る( $x\equiv1$ のとき)ので、余りだけでは示せない。
- (3) で既約分数 $\dfrac qp$ とおいて分母を払うという発想に行き着けるか:有理数解の候補を天下りで $\pm1$、 $\pm\dfrac12$ と書き並べる答案は、最も点の大きい部分の論証が抜けている。「 $q$ は $p^3$ の約数で、互いに素だから $q=\pm1$」を自分の言葉で書けるかで大きく差がつく。
- (3) で候補を消す順番: $x=\dfrac12$ を代入して計算しても解にならないが、係数がすべて正なので $x>0$ では $f(x)>0$ と書けばすぐに除ける。代入して $a,b$ の式を作ると、その式が成り立たないことをもう一度示す手間が増える。
- (3) の最後の不定方程式: $(2b-a)(2b+a)=3$ の負の組 $(-1,\ -3)$、 $(-3,\ -1)$ を落とすと2組しか求まらない。また、求めた $(a,b)$ が「3の倍数でない」という条件をみたすことの確認を書き忘れない。
2018年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は複素数平面の問題です。
テーマは「絶対値と共役複素数を含む方程式(係数にも複素数 $\alpha$ を含む)」。
問題


問題文をテキストで読む
$\alpha$ を複素数とする。等式
$$\alpha(|z|^2+2)+i(2|\alpha|^2+1)\overline{z}=0$$
を満たす複素数 $z$ をすべて求めよ。ただし、 $i$ は虚数単位である。
解答の方針
$z=x+yi$、 $\alpha=a+bi$ と成分でおくと、実数の文字が4つ並んで計算が重くなる。成分ではおかない。注目するのは、 $|z|^2+2$ と $2|\alpha|^2+1$ がどちらも正の実数であること。与式を $\overline{z}$ について解くと $\overline{z}=\dfrac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}\cdot i\alpha$ …① となる。右辺で分からないのは $|z|$ だけ( $\alpha$ は与えられた数)。つまり $|z|$ さえ分かれば、①に代入するだけで $\overline{z}$ が決まり、 $z$ も決まる。そこで、まず①の両辺の絶対値をとって $|z|$ だけの式( $|z|$ の2次方程式)を作って $|z|$ を求め、次に求めた $|z|$ を①に戻して $z$ を求める、という2段階で解く。図で見ると、①は「 $\overline{z}$ は $i\alpha$ を正の実数倍したもの」、つまり向きは $i\alpha$ と同じで、長さ $|z|$ だけが分からない、ということ(下の図)。絶対値をとるのは、この分からない長さを求めるため。


絶対値をとった式は必要条件なので、求めた $z$ が元の式をみたすかを最後に確かめる。また $\alpha=0$ のときは①の右辺が0になるので、先に別に処理する。
- $\alpha=0$ のとき、与式は $i\overline{z}=0$ となるので $z=0$。
- $\alpha\neq0$ のとき、与式を $\overline{z}=\dfrac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}\cdot i\alpha$ …① と表す(右辺で分からないのは $|z|$ だけ)。
- ①の両辺の絶対値をとり、 $|\overline{z}|=|z|$、 $|i\alpha|=|\alpha|$ を使って $|\alpha||z|^2-(2|\alpha|^2+1)|z|+2|\alpha|=0$ と表す。
- 左辺を $(|z|-2|\alpha|)(|\alpha||z|-1)$ と因数分解し、 $|z|=2|\alpha|$、 $\dfrac{1}{|\alpha|}$ を求める。
- それぞれの $|z|$ を①に代入して $\overline{z}$ を求め、共役をとって $z$ を求める。
- 求めた $z$ の絶対値が代入した $|z|$ の値と一致することを確かめ、①(すなわち与式)をみたすことを示す。
- 2つの解が一致する条件 $2|\alpha|=\dfrac{1}{|\alpha|}$、すなわち $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ のときは解が1つになることを確かめて答える。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
$\alpha=0$ のとき 与式は $i\overline{z}=0$ となるので $\overline{z}=0$、すなわち $z=0$。
$\alpha\neq0$ のとき $2|\alpha|^2+1>0$ なので、与式より
$$\overline{z}=\frac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}\cdot i\alpha\qquad\cdots\cdots①$$
$\dfrac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}$ は正の実数なので、 $\overline{z}$ は $i\alpha$ の正の実数倍であり、複素数平面上で原点から $i\alpha$ の向きにのびる半直線上にある(下の図)。
①の両辺の絶対値をとると、 $|\overline{z}|=|z|$、 $|i\alpha|=|\alpha|$ より
$$|z|=\frac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}\cdot|\alpha|$$
分母を払って整理すると
$$|\alpha||z|^2-(2|\alpha|^2+1)|z|+2|\alpha|=0$$
左辺を因数分解して
$$(|z|-2|\alpha|)(|\alpha||z|-1)=0$$
よって $|z|=2|\alpha|$ または $|z|=\dfrac{1}{|\alpha|}$。
・$|z|=2|\alpha|$ のとき $|z|^2+2=4|\alpha|^2+2=2(2|\alpha|^2+1)$ なので、①より $\overline{z}=2i\alpha$。共役をとって $z=-2i\overline{\alpha}$
・$|z|=\dfrac{1}{|\alpha|}$ のとき $|z|^2+2=\dfrac{1}{|\alpha|^2}+2=\dfrac{2|\alpha|^2+1}{|\alpha|^2}$ なので、①より $\overline{z}=\dfrac{i\alpha}{|\alpha|^2}=\dfrac{i\alpha}{\alpha\overline{\alpha}}=\dfrac{i}{\overline{\alpha}}$。共役をとって $z=-\dfrac{i}{\alpha}$
十分性の確認 $z=-2i\overline{\alpha}$ の絶対値は $2|\alpha|$、 $z=-\dfrac{i}{\alpha}$ の絶対値は $\dfrac{1}{|\alpha|}$ で、どちらも代入した $|z|$ の値と一致する。よって①の右辺はそれぞれ $2i\alpha$、 $\dfrac{i}{\overline{\alpha}}$ となり、左辺の $\overline{z}$ と等しい。①は与式を変形した式なので、2つとも与式の解である。
2つの解が一致する場合 $-\dfrac{i}{\alpha}=-\dfrac{i\overline{\alpha}}{\alpha\overline{\alpha}}=\dfrac{1}{|\alpha|^2}\cdot(-i\overline{\alpha})$ なので、2つの解はどちらも原点から $-i\overline{\alpha}$ の向きにのびる半直線上にあり、原点からの距離が $2|\alpha|$ と $\dfrac{1}{|\alpha|}$ の点である(下の図)。
よって2つの解が一致するのは $2|\alpha|=\dfrac{1}{|\alpha|}$、すなわち $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ のときだけである。このとき $|\alpha|^2=\dfrac12$ なので、 $-\dfrac{i}{\alpha}=-\dfrac{i\overline{\alpha}}{|\alpha|^2}=-2i\overline{\alpha}$ となり、解は1つになる。
答 $\alpha=0$ のとき $z=0$、 $\alpha\neq0$ のとき $z=-2i\overline{\alpha},\ -\dfrac{i}{\alpha}$( $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ のときは2つが一致し、 $z=-2i\overline{\alpha}$ のみ)
別解( $\overline{z}$ を $i\alpha$ の実数倍とおく) $\alpha\neq0$ のとき、 $k=\dfrac{|z|^2+2}{2|\alpha|^2+1}$ とおくと $k>0$ で、①は $\overline{z}=ki\alpha$ となる。このとき $|z|^2=k^2|\alpha|^2$ なので、これを $k(2|\alpha|^2+1)=|z|^2+2$ に入れると
$$|\alpha|^2k^2-(2|\alpha|^2+1)k+2=0\iff(k-2)(|\alpha|^2k-1)=0$$
$k=2$ から $z=-2i\overline{\alpha}$、 $k=\dfrac{1}{|\alpha|^2}$ から $z=-\dfrac{i}{\alpha}$。逆に、 $k$ がこの2次方程式をみたす正の数なら、 $\overline{z}=ki\alpha$ とおくと $|z|^2+2=k^2|\alpha|^2+2=k(2|\alpha|^2+1)$ が成り立つので、与式をみたす。長さ $|z|$ の代わりに倍率 $k$ を未知数にしただけで、本解と同じ式になる。
出題意図
文字が $z$ と $\alpha$ の2つ入り、絶対値と共役複素数が混ざった方程式を前にして、 $|z|^2+2$ と $2|\alpha|^2+1$ が正の実数であることに気づき、複素数を「向き」と「長さ」に分けて考えることができるか
必要条件として求めた $|z|$ から $z$ を求めたあと、 元の式をみたすかの確認(十分性)と、 $\alpha=0$ の場合・2つの解が一致する場合まで、論理の抜けなく書き切れるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 30点 | 10点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
複素数の方程式を見てすぐに $z=x+yi$ とおく人は、九大の第5問で時間を使い切る。
複素数は「向き」と「長さ」でできている。
式の中から実数のかたまりを見つければ向きが決まり、残るのは長さだけになる。
絶対値をとる・共役をとるといった複素数ならではの処理を、典型問題で反射的に使えるまで練習しておこう。
小問がなく、方針が立たなければ0点に近くなる、この年の最難問。
第1問から第4問を先に解き、第5問は最後に回す。
手をつけたら、まず $\alpha=0$ の場合( $z=0$)を書いて5点を取る。
次に、 $z=x+yi$ とおく前に係数の $|z|^2+2$ と $2|\alpha|^2+1$ が正の実数であることに目を向け、 $\overline{z}$ について解いて両辺の絶対値をとる。
ここまで来れば因数分解して $z$ を求めるだけなので、医学科は十分性の確認と $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ の場合まで書き切って完答する。
10分考えて方針が立たなければ、①の形と $\alpha=0$ の場合だけを書き、残りの時間は第1問から第4問の検算に回す。
差がつく所・失点しやすい所
- $|z|^2+2$ と $2|\alpha|^2+1$ を実数のかたまりと見て、「 $\overline{z}$ の向きは決まっていて、長さだけが未知」という発想に行き着けるか:この問題の勝負はこの一点。2018年のセットで一番難しい問題で、小問の誘導がなく、係数にまで文字 $\alpha$ が入っていて抽象的なため、方針が立ちにくいことが理由。気づけば残りは2次方程式の因数分解だけで完答できるが、気づかなければほぼ0点で終わる。ここで大きく差がつく。
- $z=x+yi$ とおく前に、式の形を見るという発想に行き着けるか:$\alpha=a+bi$ も成分にすると、実部 $a(x^2+y^2+2)+(2|\alpha|^2+1)y=0$ と虚部 $b(x^2+y^2+2)+(2|\alpha|^2+1)x=0$ の連立になり、文字が4つ並ぶ。2式から $x^2+y^2$ を消すと $ax=by$ が得られ、これは本解の「 $\overline{z}$ の向きが決まる」ことを成分で見たものにあたる。解けなくはないが、計算が重く、試験時間内に答えまで書き切るのは難しい。
- 十分性の確認の抜け:絶対値をとった式は必要条件にすぎない。求めた $z$ の絶対値が代入した値と一致することを書かないと減点される。
- $\alpha=0$ と $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ の扱い:$\alpha=0$ では $|z|=\dfrac{1}{|\alpha|}$ が意味をもたないので、別に処理する。 $|\alpha|=\dfrac{1}{\sqrt2}$ のときは2つの解が同じ点になり、解は1つ。「解は2個」と数える書き方をすると、この場合に誤りになる。
2018年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 50点 | 35点 |
| 第3問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 第4問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 第5問 | やや難 | 30点 | 10点 |
大問ごとの目標得点は、得意・不得意や制限時間を考えずに「このくらいは解いてほしい」という目安です。5問を合わせて入試問題として見たときに、それぞれの大問で目標得点を取れるかは別の話なので、総合の目標点(医学部医学科で210点、その他の学部で150点)とは一致しません。
九大理系数学としては標準的な難易度です。
第5問は抽象的な問題で難しいですが、第1問から第4問はスラスラ完答できるまで演習を積みたいところです。
そういう意味では、九大合格のいい指標になってくれるセットでした。
解く流れ
第1問 → 第2問 → 第3問 → 第4問 → 第5問。
2018年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2018年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2018年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
標準的な年でした。
第1問・第3問はやや簡単、第2問・第4問は標準で、やや難しいのは第5問だけです。
小問のない1問完結型が3問(第1問・第3問・第5問)あり、どれも典型の一手が出せれば短く終わります。
第1問から第4問はスラスラ完答できるまで演習を積みたいセットです。 - 2018年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で210点、その他の学部で150点です(250点満点)。
- 2018年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
合格するために最低限取っておきたいのは、第1問と第3問の完答です。そのうえで、特に差がついたのは次の2つです。
- 第4問(3):有理数解を既約分数 $\dfrac{q}{p}$ とおいて分母を払い、候補を $x=-\dfrac12$ に絞る論証を書き切れたか。
- 第5問:難易度が高いので、解けた人は一気に差をつけることができました。
- 2018年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:空間ベクトル・軌跡・式と曲線
- 第2問:図形と方程式・式と曲線・積分(数学Ⅲ)
- 第3問:確率・整数
- 第4問:整数・高次方程式
- 第5問:複素数平面


