九州大学医学部と東京大学理科Ⅰ類はどっちが難しいのか?
「九州大学医学部と東京大学ってどっちが難しいんですか?」
この前、私の生徒から突然聞かれました。
この問題はなかなか難しい。
私の母校であるラ・サール高校だと、「九州大学医学部の方が難しい」と言われています。
しかし、人によっては事情が変わってきます。

この記事では、「九州大学医学部と東京大学のどちらが難しいのか」について、いろいろな観点から考えていこうと思います。
「どちらが難しいか」とずっと気になっている人にとって、答えが見つかる記事にしていきます。


九州大学医学部と東京大学はどちらが難しいのか?


それでは話していきましょう。
九州大学医学部 VS 東京大学
ネットで検索しても色々な人が検索している「永遠の課題」。



ちなみに、比較するのは東京大学理科Ⅰ類。
理科Ⅲ類は比べるまでもなく結果はわかっていますし(もちろん理科Ⅲ類の完全勝利)
理科Ⅱ類よりも理科Ⅰ類の方が難しいので、理科Ⅰ類と比較していきます。
(これからは、「理Ⅰ」としてお話ししていきます)
さて、結論を言いましょう。
九州大学医学部の方が難しい!
これが答えです。
母校への愛とかではありませんよ?笑
(まあ、東京大学にいっていたら答えは逆になっていたかもしれませんが・・・笑)
いろいろな観点から比較したり、あとは受験の経験から導き出した答えです。
それでは、何を比較したのか見ていきましょう。
九州大学医学部と東京大学を比較


ただ、「九州大学医学部の方が難しい」というのでは説得力は0!
「何をどのように比較したのか」をしっかりお話ししていきます。
比較した項目は4つ!
比較した項目
- 偏差値
- 入試の配点
- 入試科目
- 問題の難易度
それぞれの項目で比較したときに、
「九州大学医学部と東京大学のどちらが難しいのか」を丁寧にお話ししていきます。
偏差値で比較


まずは「偏差値」を比較してみました。
「偏差値」を比較といっても、模試や予備校によって全然変わってきます。
そこで、「高3駿台全国模試」の偏差値を比較することにしました。
駿台全国模試は大学別模試を除くと、最も難しい模試。
特に高校3年の駿台全国模試は「灘」や「開成」、「久留米附設」や「ラ・サール」といった全国のトップ校の生徒がみんな受けます。
さらに浪人生も受験するので、判定がかなり頼りになる模試です。
東大志望や九州大学医学部志望の生徒がほとんど受験するこの模試で比較します!
「高3駿台全国模試」で偏差値を見ると
- 九州大学医学部 偏差値70
- 東京大学理科Ⅰ類 偏差値68
※いずれもA判定の偏差値
九州大学医学部の方が偏差値としては2だけ高い!
「偏差値」という観点では、九州大学医学部の方が難しいということになります。
他の模試の偏差値を見ると逆になっていることがあります。
しかし、合格者のほとんどが受験している模試で比較するのがやはり正解でしょう。
進研模試など簡単な模試では、九州大学医学部や東京大学に合格する人で受けたことがない人が結構います。



配点から比較


次は入試科目の配点を見ていきます。
特に注目したいのは、共通テストと2次試験の比率です。
共通テストと2次試験の比率
大学 | 共通テスト | 2次試験 |
---|---|---|
九州大学医学部 | 450点 (39.1%) | 700点 (60.1%) |
東京大学理Ⅰ | 110点 (20%) | 440点 (80%) |
2つの大学では、共通テストの比率が倍ちかく変わってきます。
九州大学が約40%に対して、東京大学は20%。



「900点」をとった場合と「810点」(9割)をとった場合を考えてみます。
共通テストで合格最低点がそれぞれ、九州大学医学部(880点)・東京大学(320点)くらいなので
2次試験で何点取れば合格できるか計算すると、
九州大学医学部
共通テスト | 共テ換算 | 2次得点 |
---|---|---|
900点の場合 | 450点 | (61.4%) | 430点
800点の場合 | 405点 | (67.9%) | 475点
東京大学理Ⅰ
共通テスト | 共テ換算 | 2次得点 |
---|---|---|
900点の場合 | 110点 | (47.7%) | 210点
800点の場合 | 99点 | (50.2%) | 221点
2次試験で必要な得点率にはかなりの差が出てきます。
つまり、「共通テストは高得点を取れるけど2次試験では点数が取れない人」にとって、大きな違いを生むわけです。
共通テストで高得点をとって逃げ切りたい人にとっては、九州大学医学部の方が合格可能性が高くなるかもしれません。


共通テストで高得点が取れるなら、理Ⅰよりも九大医学部の方が有利
たま〜にですけど、2次力(2次試験を解く力)はあまりないのに、共通テスト模試では850点とか取る人がいます。
共通テストの数学、理科、英語なんてある程度の力があれば高得点を取れるので、
国語や社会といった理系の生徒からしたら天敵の科目が得意だと「共通テストだけ高得点」が実現するのです。



そもそも私たちの時代のセンター試験は、数学と理科に関しては学力をほとんど反映していませんでした。
ラ・サールの中で50人くらいは数学ⅡBで満点を取れるのですが、その50人の中でも1位と50位では数学の力は天と地ほど違います。
東大理系数学で勝負すると3倍くらい突き放されるでしょう。
2022年の共通テストは数学が難化して少しは差がつきましたが、
それでも「数学がめちゃくちゃ得意な人」と「数学が得意な人」に差をつけるわけではありません。


共通テストの数学では、上位層には差がつかない
た〜だ、理系の受験生からしたら、国語と社会はすごい点数に差がつくんですよね。
国語なんて特に!
ある程度の理系の力があれば、共通テストの点数を決めるのは「国語」と「社会」。
2次試験で関係のない科目で差がつくからこそ、共通テスト比率はかなり大事です。
ポイント
まとめると、配点で見た時に共通テストの比率が高い九州大学医学部の方が共通テストで圧倒的に得点できる人が受かりやすい。
ただ、そこまで違いはないです。



センター試験で880点近く取ったのに、東大文Ⅰに落ちた人がいました。
(理系ならまだしも、点数が安定しやすい文系で落ちたのは不思議なのですが・・・)
センター試験の比率が低い東大だからこそですね。
地方の医学部とかでこんな現象はありません。
地方の医学部だと共通テストの比率の方が大きいので、共通テストの点数で結果が決まったりします。
2次試験も簡単なので、点数を一気に落とすこともありません。
共通テストが取れてどうしても浪人したくない人は選択肢としてあり。



科目から比較


次は「科目」を比較していきます。
九州大学医学部の2次試験は「数学」と「英語」と「理科」。
一方、東京大学理Ⅰは「数学」と「英語」と「理科」に加えて、「国語」が追加されます。
ここで注目したいのは、「特定の科目で高得点を取ることがどれだけ有利に働くか」ということ。
例えば、東大理Ⅰに合格しようと思ったら2次試験で220点(440点満点)を取ればなんとかなります。
英語がめちゃくちゃ得意で、100点(120点満点)取れたとしましょう。
残りの3教科で120点(320点中)だけ取ればいいことになります。
つまり1科目でも高得点を取ると東大理Ⅰの場合は一気に合格に近づくことになるということ。


理Ⅰは1科目でも超得意な分野があれば一気に有利に!
一方、九州大学医学部の場合はここまで1科目の影響が大きくはありません。
英語がめちゃくちゃ得意な場合を考えます。
英語で170点(200点満点)で取れたとしましょう。
九大英語は高得点が取りづらく、170点代がほんの数人いる程度。
180点を超える人はほとんどいません。
私は、自由英作文に内容点が加味されているんではないと思っています。
文法的には間違ってなくても、内容が物足りなかったら点数を引く・・・みたいな。
2次試験の目安は470点。(最近は難しくなったので、もう少し低いですが)
つまり残りの数学と理科で300点(500点中)は取らないといけません。
難しくはありませんが、理数科目が苦手な人だと取るのは難しいでしょう。


九大医学部は全科目満遍なく得点できないと合格できない
1つの科目が合格に影響する力は東京大学理科Ⅰ類の方が大きい。
ポイント
「英語だけは圧倒的にできる」
「数学は誰にも負けない、英語はからきしだめだけど・・・」
という人にとっては東大理Ⅰの方が受かりやすいかもしれません。
問題の難易度


続いては、「問題の難易度」を比較していきます。
九州大学医学部と東京大学理科Ⅰ類のどちらが難しいかについて
意見が別れている理由はこの「問題の難易度」による影響が大きいと思います。
要するに、「問題が難しいから東大理Ⅰの方が難しい」と単純に考えてしまう人が多いということ。
確かに「問題の難易度」というのは大事な要素。
無視して難易度を語るわけにはいきません。
しかし、「問題の難易度」=「合格する難しさ」ではないわけです。



問題の難易度を単純に評価すると、
東京大学の方が「数学」「英語」「理科」のどの科目をとっても難しいです。
その中でも「数学」と「化学」はまったく難易度が違います。
九州大学も2022年とかは数学が超難化したんですけどね〜。
それでも東大の理系数学にはまだ届きません。
これからの九大の難化が続けば可能性がありますが・・・
理系科目というのは、難しい問題が解けるようになるのに時間がかかります。
その理系科目が難しいので、「東大理Ⅰの方が難しい」と単純に考える人が多いのではないかと思います。
ちなみに、九州大学医学部に合格した人の中でも東大レベルの問題を解けない人は普通にいます。



ラ・サールや久留米附設といった東大に多くの合格者を出す高校では、高校2年生から少しずつ東大レベルの問題演習を始めていきます。
校内のテストもそのレベルから出題されることも多々あります。
なので、学校で勉強をしているうちに東大レベルの問題を解く癖がつくわけです。
【進学校】


対して、公立高校ではそんなことはありません。
高校3年生までは教科書レベルの授業が進み、それまでは難しい問題をときません。
授業が終わった高校3年生の途中から少しずつ入試問題を解いていく。
このペースでは東大の問題は難しいと思っても仕方がないことでしょう。
【公立高校】


ちなみにラ・サールでは、「九州大学医学部の方が難しい」と言われていますが
このカリキュラムが原因だと思います。



合格最低点の割合が同じなら問題が難しい方が合格は難しい。
(それっぽいことを言ってますが、当たり前のことですよ!笑)
ただ、九州大学医学部と東京大学では合格最低点が全然違います。
共通テストで810点(9割)をとったと仮定して2次試験の得点率を計算しました。
共通テストと2次試験の比率
大学 | 2次得点 | 得点率 |
---|---|---|
九州大学医学部 | 475点 | 67.9% |
東京大学理Ⅰ | 221点 | 50.2% |
問題の難易度が違うから当たり前ですが、2次試験で必要な得点率が全然変わってきます。
つまり、問題の難易度が難しいからといって、レベルが高いというわけではありません。


東大は問題は難しいけど合格最低点が低い!
標準的な問題で高得点をとる(九州大学医学部の場合)のも、結構難しいもんですよ。



トップクラスは話が違う


ちなみにトップクラスの人はというと、話は変わってきます。
これまでは、九州大学医学部と東京大学理科Ⅰ類はどちらが難しいのかという話をしてきました。
これは合格最低点を超えるのはどちらが難しいのか、ということ。
合格最高点をとるレベルの話ではありません。
トップクラスの人たちで比較すると、絶対に理科Ⅰ類の方が上。
これは間違いありません。



ちなみに私のラ・サールの同期で1番優秀な人は理Ⅰに進学しました。
「駿台全国模試でも1位」を取るような圧倒的な天才。
ラ・サールの中でも別格のような人でした。
高校3年生の時なんて、1位は固定されているから2位〜5位を競い合う、みたいな感じでしたね笑
そんな人たちが理Ⅰにはいます。
でも、九州大学医学部にはいません。





トップで比べると理Ⅰが圧倒的に上!
なので、この記事ではお話ししたことは、
「九州大学医学部と東京大学理科Ⅰ類のどちらが合格するのが難しいか」です!
どちらの生徒が優秀かどうかではありません。
理Ⅰの中でも、点差は170点位ついているんですよ。ピンキリすぎて比較しようがありません。



つまり、理Ⅰと言っても人によってレベルは全然違うわけです。
東大模試について考えてみましょう。
理Ⅰは大体60くらいの偏差値でA判定。
まあ、A判定でなくても合格しますから52とか53でもできるわけです。
一方、トップはというと偏差値が100近い人もいるわけです。
偏差値で50くらいの幅の人がいる大学ってほとんどありません。
九州大学医学部だと駿台全国模試で大体幅が20〜25くらいでしょう。
全国で1番分布の幅が広いのが理Ⅰだと思っています。
九州大学医学部と東京大学はどちらが難しいのか?
さて、ここまで「九州大学医学部と東京大学はどちらが難しいのか?」について色々な観点から考えてきました。
比較した項目
- 偏差値
- 入試の配点
- 入試科目
- 問題の難易度
この4つで比較しました。
正直、ここまでの比較に意味はありません。
ただ気になる人がいるみたいなので比較しただけ笑
一応、結論を出しておくと、
偏差値として出ている以上、九州大学医学部の方が難しい!
これが答えです。
でも、別に差はそこまでありません。
しかも、九州大学医学部に受かっている人が東大理Ⅰに全員受かるわけではありません。
逆もまた同じです。
どちらを目指そうか悩んでいる受験生にとっては大きなことかもしれませんが、お互いにマウントを取ろうとしているなら考えるだけ時間のムダ。






