【解説・採点基準付き】2020年九州大学理系数学の解答・解説
2020年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2020年九州大学理系数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は微分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「点 $(a,0)$ を通る接線が存在する $a$ の範囲」。
問題


問題文をテキストで読む
点 $(a,0)$ を通り、曲線 $y=e^{-x}-e^{-2x}$ に接する直線が存在するような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。
解答の方針
接線は接点が決まれば1本に決まるので、接点の $x$ 座標を $t$ とおいて考える。「点 $(a,0)$ を通る接線が存在する」は「 $(a,0)$ を通るような接点 $t$ が存在する」ということ。その条件式は $t$ についての方程式なので、定数 $a$ を分離して $a=g(t)$ の形に直せば、 $a$ の範囲は $g(t)$ がとる値の範囲になる。 $g(t)$ は分数関数なので、分母が0になる所の前後と $t\to\pm\infty$ の極限まで調べる。
- $f(x)=e^{-x}-e^{-2x}$ とおき、点 $(t,f(t))$ における接線 $y=f'(t)(x-t)+f(t)$ が点 $(a,0)$ を通る条件 $f'(t)(a-t)+f(t)=0$ を立てる。
- $f'(t)=0$ となる $t=\log2$ では $f(t)\neq0$ なので条件をみたさないことを確かめ、 $t\neq\log2$ として $a=t+\dfrac{e^t-1}{e^t-2}=g(t)$ と表す。
- $g'(t)=\dfrac{(e^t-1)(e^t-4)}{(e^t-2)^2}$ から増減を調べ、極値 $g(0)$、 $g(\log4)$ を求める。
- $t\to-\infty$、 $t\to\log2$(左右)、 $t\to\infty$ の極限を調べ、 $t<\log2$、 $t>\log2$ それぞれで $g(t)$ がとる値の範囲を求める。
- 2つの範囲を合わせて $a$ の範囲を答える。
解答


解答をテキストで読む
配点 50点
$f(x)=e^{-x}-e^{-2x}$ とおくと $f'(x)=-e^{-x}+2e^{-2x}$。曲線上の点 $(t,f(t))$ における接線は
$$y=f'(t)(x-t)+f(t)$$
これが点 $(a,0)$ を通る条件は
$$f'(t)(a-t)+f(t)=0\quad\cdots\cdots①$$
よって、求める条件は「①をみたす実数 $t$ が存在する」ことである。
$f'(t)=0\iff e^{-t}=\dfrac12\iff t=\log2$ であり、このとき $f(\log2)=\dfrac12-\dfrac14=\dfrac14\neq0$ なので①をみたさない。
$t\neq\log2$ のとき、 $\dfrac{f(t)}{f'(t)}=\dfrac{e^{-t}-e^{-2t}}{-e^{-t}+2e^{-2t}}=\dfrac{e^t-1}{2-e^t}$(分母・分子に $e^{2t}$ をかけた)なので、①は
$$a=t+\frac{e^t-1}{e^t-2}$$
と同値。右辺を $g(t)$ とおく( $t\neq\log2$)。求める $a$ の範囲は $g(t)$ がとる値の範囲である。
$$g'(t)=1+\frac{e^t(e^t-2)-(e^t-1)e^t}{(e^t-2)^2}=1-\frac{e^t}{(e^t-2)^2}=\frac{e^{2t}-5e^t+4}{(e^t-2)^2}=\frac{(e^t-1)(e^t-4)}{(e^t-2)^2}$$
$g(0)=0$、 $g(\log4)=2\log2+\dfrac32$ より、増減は次のようになる。
| $t$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $\log2$ | $\cdots$ | $\log4$ | $\cdots$ |
|—|—|—|—|—|—|—|—|
| $g'(t)$ | $+$ | $0$ | $-$ | | $-$ | $0$ | $+$ |
| $g(t)$ | $\nearrow$ | $0$ | $\searrow$ | | $\searrow$ | $2\log2+\dfrac32$ | $\nearrow$ |
極限は
– $t\to-\infty$ のとき $\dfrac{e^t-1}{e^t-2}\to\dfrac12$ なので $g(t)\to-\infty$
– $t\to\log2-0$ のとき $e^t-1\to1$、 $e^t-2\to-0$ なので $g(t)\to-\infty$
– $t\to\log2+0$ のとき $e^t-2\to+0$ なので $g(t)\to\infty$
– $t\to\infty$ のとき $\dfrac{e^t-1}{e^t-2}\to1$ なので $g(t)\to\infty$
よって $g(t)$ がとる値の範囲は、 $t<\log2$ では $g(t)\leqq0$ のすべての値、 $t>\log2$ では $g(t)\geqq2\log2+\dfrac32$ のすべての値。
答 $a\leqq0,\quad a\geqq\dfrac32+2\log2$
出題意図
接線の問題は接点を文字でおくという基本が身についているか
「接線が存在する」を接点 $t$ についての方程式が実数解をもつと言いかえ、さらに定数 $a$ を分離して $a=g(t)$ の値域として処理できるか。数Ⅲの微分(増減と極限)を正確に使えるかの確認。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや簡単 | |
| 目標得点 | 50点 | 50点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
微分法の典型問題なので、計算ミスをせずに確実に満点を取りたい。
接点を $t$ とおいて $a$ を分離すれば、あとは増減と極限だけ。
$t=\log2$ の左右の極限を落とさずに完答する。
差がつく所・失点しやすい所
- $a$ を分離するという発想に行き着けるか:①を $t$ の方程式のまま「実数解をもつ条件」として扱うと、計算が面倒。 $a$ について1次であることに注目して $a=g(t)$ と直せば、グラフの問題になる。
- 分母が0になる所の扱い: $f'(t)=0$( $t=\log2$)を確かめずに割るのは減点。また $t=\log2$ の左右で極限の符号が変わることを見落とすと、範囲を取り違える。
- 端の値:極大値 $g(0)=0$ と極小値 $g(\log4)$ は実際にとる値なので、答えは等号つき
2020年九州大学理系数学
第2問 解答・解説
第2問は複素数と方程式・整数の問題です。
テーマは「虚数解 $\dfrac{1+\sqrt3i}{2}$ をもつ整数係数の4次式と余りの条件」。
問題


問題文をテキストで読む
$a,b,c,d$ を整数とし、 $i$ を虚数単位とする。整式 $f(x)=x^4+ax^3+bx^2+cx+d$ が $f\left(\dfrac{1+\sqrt3 i}{2}\right)=0$ をみたすとき、以下の問いに答えよ。
(1) $c,d$ を $a,b$ を用いて表せ。
(2) $f(1)$ を7で割ると1余り、11で割ると10余るとする。また、 $f(-1)$ を7で割ると3余り、11で割ると10余るとする。 $a$ の絶対値と $b$ の絶対値がともに40以下であるとき、方程式 $f(x)=0$ の解をすべて求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\alpha=\dfrac{1+\sqrt3i}{2}$ は $\alpha^2-\alpha+1=0$ の解。両辺に $\alpha+1$ をかけると $\alpha^3+1=0$ なので、 $\alpha^2=\alpha-1$、 $\alpha^3=-1$、 $\alpha^4=-\alpha$ で $f(\alpha)$ を1次式に下げられる。係数が整数(実数)で $\alpha$ は虚数なので、「 $\alpha$ の係数」と「定数項」がどちらも0になる。
- $\alpha^2=\alpha-1$、 $\alpha^3=-1$、 $\alpha^4=-\alpha$ を $f(\alpha)$ に代入し、 $f(\alpha)=(b+c-1)\alpha+(d-a-b)$ と整理する。
- $b+c-1$、 $d-a-b$ は実数で $\alpha$ は虚数なので、ともに0。 $c=1-b$、 $d=a+b$ を求める。
【(2)の方針】
(1) から $f(x)=(x^2-x+1)\{x^2+(a+1)x+a+b\}$ と因数分解できるので、 $f(1)$、 $f(-1)$ は $a,b$ の簡単な式になる。 $f(-1)=3b$ は $b$ だけの式なので、まず $b$ を決め、次に $f(1)$ の条件で $a$ を決める。「7で割った余り」「11で割った余り」の2つの条件は合同式で処理し、7と11が互いに素なので、 77で割った余りが1つに決まる。そこに $|a|\leqq40$、 $|b|\leqq40$ を使えば1つに絞れる。 $f(1)$、 $f(-1)$ は (1) の $c,d$ をそのまま代入しても求められるが、因数分解しておくと最後に $f(x)=0$ を解くときにも使えるので楽。
- (1) の結果を使って $f(x)=(x^2-x+1)\{x^2+(a+1)x+a+b\}$ と因数分解し、 $f(1)=2a+b+2$、 $f(-1)=3b$ を求める。
- $3b\equiv3\pmod7$、 $3b\equiv10\pmod{11}$ から $b\equiv1\pmod7$、 $b\equiv7\pmod{11}$ を導き、77で割った余りを求めて $|b|\leqq40$ から $b=29$ を求める。
- $2a+31\equiv1\pmod7$、 $2a+31\equiv10\pmod{11}$ から $a\equiv6\pmod7$、 $a\equiv6\pmod{11}$ を導き、 $a-6$ が77の倍数であることと $|a|\leqq40$ から $a=6$ を求める。
- $f(x)=(x^2-x+1)(x^2+7x+35)$ として、2つの2次方程式を解く。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$\alpha=\dfrac{1+\sqrt3i}{2}$ とおくと $\alpha^2-\alpha+1=0$。両辺に $\alpha+1$ をかけて $\alpha^3+1=0$。よって
$$\alpha^2=\alpha-1,\qquad\alpha^3=-1,\qquad\alpha^4=-\alpha$$
$$f(\alpha)=-\alpha-a+b(\alpha-1)+c\alpha+d=(b+c-1)\alpha+(d-a-b)$$
$f(\alpha)=0$ で、 $b+c-1$、 $d-a-b$ は実数、 $\alpha$ は虚数なので
$$b+c-1=0,\qquad d-a-b=0$$
答 $c=1-b,\quad d=a+b$
別解(割り算を使う) 係数が実数なので $\overline{\alpha}=\dfrac{1-\sqrt3i}{2}$ も $f(x)=0$ の解。 $\alpha$、 $\overline{\alpha}$ を解とする2次式は $x^2-x+1$ なので、 $f(x)$ は $x^2-x+1$ で割り切れる。実際に割ると
$$f(x)=(x^2-x+1)\{x^2+(a+1)x+a+b\}+(b+c-1)x+(d-a-b)$$
余りが0なので $c=1-b$、 $d=a+b$。
(2) 配点 35点
(1) より
$$f(x)=x^4+ax^3+bx^2+(1-b)x+a+b=(x^2-x+1)\{x^2+(a+1)x+a+b\}$$
よって
$$f(1)=1\cdot(2a+b+2)=2a+b+2,\qquad f(-1)=3\cdot(1-a-1+a+b)=3b$$
$f(-1)=3b$ の条件から
$$3b\equiv3\pmod7,\qquad3b\equiv10\pmod{11}$$
3と7は互いに素なので $b\equiv1\pmod7$。 $3b\equiv10\equiv21\pmod{11}$ で、3と11は互いに素なので $b\equiv7\pmod{11}$。
$b=11k+7$( $k$ は整数)とおくと、 $11k+7\equiv4k\equiv1\pmod7$ より $k\equiv2\pmod7$。よって $b\equiv29\pmod{77}$。 $|b|\leqq40$ をみたすのは $b=29$ だけ。
$f(1)=2a+31$ の条件から
$$2a+31\equiv1\pmod7,\qquad2a+31\equiv10\pmod{11}$$
1つ目は $2a\equiv-30\equiv12\pmod7$ で、2と7は互いに素なので $a\equiv6\pmod7$。2つ目は $2a\equiv-21\equiv12\pmod{11}$ で、 $a\equiv6\pmod{11}$。
よって $a-6$ は7の倍数かつ11の倍数、すなわち77の倍数。 $|a|\leqq40$ より $-46\leqq a-6\leqq34$ なので $a-6=0$、 $a=6$。
このとき $c=-28$、 $d=35$ で
$$f(x)=(x^2-x+1)(x^2+7x+35)$$
$x^2-x+1=0$ より $x=\dfrac{1\pm\sqrt3i}{2}$、 $x^2+7x+35=0$ より $x=\dfrac{-7\pm\sqrt{91}i}{2}$。
答 $x=\dfrac{1\pm\sqrt3i}{2},\quad\dfrac{-7\pm\sqrt{91}i}{2}$
(確認: $f(1)=43=7\cdot6+1=11\cdot3+10$、 $f(-1)=87=7\cdot12+3=11\cdot7+10$)
出題意図
(1) 虚数を代入するとき、その数がみたす2次方程式で次数を下げるという基本が理解できているか
(2) 余りの条件を合同式(7と11で割った余り)に直し、 $a,b$ を1つに絞る整数の処理を、最後までミスなく進められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
問われている知識は、次数下げ、方程式が虚数解をもつ条件、合同式(余りの処理)など基本的なものばかり。
こういう総合問題を見たときに、複数の知識を組み合わせて使えるかが問われる。
演習量が問われる良問。
(1) は確実に完答する。
(2) は $f(-1)=3b$ から $b$ を先に決め、次に $a$ を決める順番を守れば、時間をかければ解ける。
最後に $f(1)$、 $f(-1)$ の余りを確かめる。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) は確実に完答し、(2) で何点取れるかで差がつく:(2) は合同式の処理が長く、答えもきれいな数ではない。 $b$ を先に決める順番に気づけるかと、最後まで正確に計算できるかで点数が分かれる。
- (1) の次数下げ: $\alpha^4$ をそのまま展開すると計算が重くなる。 $\alpha^3=-1$ に気づけばすぐに終わる。
- (2) で $b$ だけの式を先に処理するという発想に行き着けるか: $f(1)$ と $f(-1)$ の条件を連立して $a,b$ を同時に扱おうとすると、条件が4つ混ざって整理できなくなる
- 合同式の割り算: $3b\equiv3\pmod7$ から $b\equiv1$ と割れるのは、3と7が互いに素だから。根拠を書かずに割ると減点される。答えの数がきれいでないので、最後に $f(1)$、 $f(-1)$ の余りを確かめる習慣があるかで差がつく。
- 解の書き忘れ:問われているのは $f(x)=0$ のすべての解。最初から分かっている $\dfrac{1\pm\sqrt3i}{2}$ も書く。
2020年九州大学理系数学
第3問 解答・解説
第3問は空間ベクトル・空間図形の問題です。
テーマは「対辺の中点を結ぶ3直線が直交する四面体と外接球」。
問題


問題文をテキストで読む
四面体OABCにおいて、辺OAの中点と辺BCの中点を通る直線を $\ell$、辺OBの中点と辺CAの中点を通る直線を $m$、辺OCの中点と辺ABの中点を通る直線を $n$ とする。 $\ell\perp m$、 $m\perp n$、 $n\perp\ell$ であり、 $\mathrm{AB}=\sqrt5$、 $\mathrm{BC}=\sqrt3$、 $\mathrm{CA}=2$ のとき、以下の問いに答えよ。
(1) 直線OBと直線CAのなす角 $\theta\ \left(0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}\right)$ を求めよ。
(2) 四面体OABCの4つの頂点をすべて通る球の半径を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec b=\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ とおくと、 $\ell$ の方向は $\vec b+\vec c-\vec a$。 $\ell\perp m$ の内積を $\{\vec c+(\vec b-\vec a)\}\cdot\{\vec c-(\vec b-\vec a)\}$ と和と差の積の形に組み直すと $|\vec c|^2-|\vec b-\vec a|^2=0$、つまり $\mathrm{OC}=\mathrm{AB}$ になる。同じように3つの直交から 対辺の長さが3組とも等しいことが分かり、OA、OB、OCの長さが決まる。長さがそろえば内積 $\vec a\cdot\vec b$ などもすべて求まる。
- $\ell$、 $m$、 $n$ の方向ベクトル $\vec b+\vec c-\vec a$、 $\vec c+\vec a-\vec b$、 $\vec a+\vec b-\vec c$ を求める。
- 3つの直交の条件を和と差の積の形にして、 $\mathrm{OC}=\mathrm{AB}=\sqrt5$、 $\mathrm{OA}=\mathrm{BC}=\sqrt3$、 $\mathrm{OB}=\mathrm{CA}=2$ を導く。
- $|\vec b-\vec a|^2=5$ などから $\vec a\cdot\vec b=1$、 $\vec b\cdot\vec c=3$、 $\vec c\cdot\vec a=2$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CA}}=\vec b\cdot(\vec a-\vec c)$ と $|\overrightarrow{\mathrm{OB}}||\overrightarrow{\mathrm{CA}}|$ から $\cos\theta$ を求め、 $\theta$ を求める。
【(2)の方針】
対辺の長さが3組とも等しい四面体は、直方体の6つの面の対角線を辺とする四面体として直方体の中に埋め込める。直方体の8つの頂点は1つの球の上にあるので、四面体の外接球=直方体の外接球で、半径は直方体の対角線の長さの半分になる。


- 3辺の長さが $p,q,r$ の直方体で、面の対角線の長さが $\sqrt{p^2+q^2}=\sqrt3$、 $\sqrt{p^2+r^2}=2$、 $\sqrt{q^2+r^2}=\sqrt5$ となるように $p^2=1$、 $q^2=2$、 $r^2=3$ を求める。
- 4点 $(0,0,0)$、 $(p,q,0)$、 $(p,0,r)$、 $(0,q,r)$ を頂点とする四面体の6辺の長さが問題の四面体と一致することを確かめ、O $(0,0,0)$、A $(p,q,0)$、B $(p,0,r)$、C $(0,q,r)$ としてよいことを示す。
- 直方体の8つの頂点を通る球(中心は直方体の中心)が四面体の外接球であることから、半径 $\dfrac{\sqrt{p^2+q^2+r^2}}{2}$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 25点
$\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\vec b=\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、 $\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ とおく。辺OAの中点は $\dfrac12\vec a$、辺BCの中点は $\dfrac12(\vec b+\vec c)$ なので、 $\ell$ の方向ベクトルは $\vec b+\vec c-\vec a$。同じように $m$、 $n$ の方向ベクトルは $\vec c+\vec a-\vec b$、 $\vec a+\vec b-\vec c$。
$\ell\perp m$ より
$$(\vec b+\vec c-\vec a)\cdot(\vec c+\vec a-\vec b)=\{\vec c+(\vec b-\vec a)\}\cdot\{\vec c-(\vec b-\vec a)\}=|\vec c|^2-|\vec b-\vec a|^2=0$$
よって $\mathrm{OC}=\mathrm{AB}$。同じように $m\perp n$ から $|\vec a|^2-|\vec c-\vec b|^2=0$ で $\mathrm{OA}=\mathrm{BC}$、 $n\perp\ell$ から $|\vec b|^2-|\vec a-\vec c|^2=0$ で $\mathrm{OB}=\mathrm{CA}$。
したがって
$$\mathrm{OA}=\mathrm{BC}=\sqrt3,\qquad\mathrm{OB}=\mathrm{CA}=2,\qquad\mathrm{OC}=\mathrm{AB}=\sqrt5$$
$|\vec b-\vec a|^2=5$ より $4-2\vec a\cdot\vec b+3=5$、 $\vec a\cdot\vec b=1$。
$|\vec c-\vec b|^2=3$ より $5-2\vec b\cdot\vec c+4=3$、 $\vec b\cdot\vec c=3$。
$|\vec a-\vec c|^2=4$ より $3-2\vec c\cdot\vec a+5=4$、 $\vec c\cdot\vec a=2$。
$\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CA}}=\vec b\cdot(\vec a-\vec c)=1-3=-2$、 $|\overrightarrow{\mathrm{OB}}||\overrightarrow{\mathrm{CA}}|=2\cdot2=4$。直線のなす角は $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ なので
$$\cos\theta=\frac{|\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CA}}|}{|\overrightarrow{\mathrm{OB}}||\overrightarrow{\mathrm{CA}}|}=\frac24=\frac12$$
答 $\theta=\dfrac{\pi}{3}$
(2) 配点 25点
$p^2+q^2=3$、 $p^2+r^2=4$、 $q^2+r^2=5$ をみたす正の数 $p,q,r$ を考える。3式を足して $p^2+q^2+r^2=6$ なので $p^2=1$、 $q^2=2$、 $r^2=3$、すなわち $p=1$、 $q=\sqrt2$、 $r=\sqrt3$。
座標空間の4点 $(0,0,0)$、 $(p,q,0)$、 $(p,0,r)$、 $(0,q,r)$ を頂点とする四面体を考えると、6辺は長さ $\sqrt{p^2+q^2}=\sqrt3$、 $\sqrt{p^2+r^2}=2$、 $\sqrt{q^2+r^2}=\sqrt5$ の辺が2本ずつで、向かい合う辺どうしが等しい。6辺の長さが対応してすべて等しい四面体は合同なので、O $(0,0,0)$、A $(p,q,0)$、B $(p,0,r)$、C $(0,q,r)$ としてよい( $\mathrm{OA}=\mathrm{BC}=\sqrt3$、 $\mathrm{OB}=\mathrm{CA}=2$、 $\mathrm{OC}=\mathrm{AB}=\sqrt5$ を確かめられる)。
O、A、B、Cは3辺が $p,q,r$ の直方体( $0\leqq x\leqq p$、 $0\leqq y\leqq q$、 $0\leqq z\leqq r$)の頂点である。直方体の8つの頂点は、中心 $\left(\dfrac p2,\dfrac q2,\dfrac r2\right)$、半径 $\dfrac{\sqrt{p^2+q^2+r^2}}{2}$ の球の上にあるので、これが四面体の4つの頂点をすべて通る球である。
$$\frac{\sqrt{p^2+q^2+r^2}}{2}=\frac{\sqrt6}{2}$$
答 $\dfrac{\sqrt6}{2}$
別解(ベクトルで中心を求める) 球の中心をPとし、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\vec p=x\vec a+y\vec b+z\vec c$ とおく。 $|\vec p|=|\vec p-\vec a|$ は $2\vec p\cdot\vec a=|\vec a|^2$ と同じなので、(1) の内積を使うと
$$2(3x+y+2z)=3,\qquad2(x+4y+3z)=4,\qquad2(2x+3y+5z)=5$$
これを解いて $x=y=z=\dfrac14$。中心は $\dfrac{\vec a+\vec b+\vec c}{4}$(四面体の重心)で
$$|\vec p|^2=\frac{|\vec a+\vec b+\vec c|^2}{16}=\frac{3+4+5+2(1+3+2)}{16}=\frac32,\qquad|\vec p|=\frac{\sqrt6}{2}$$
出題意図
(1) 垂直の条件を内積=0 で書き、それを辺の長さの条件に直せるか。直交の条件から「対辺の長さが等しい」という図形の性質を導き、OA、OB、OCの長さと内積をすべて求められるか。
(2) 対辺の長さが3組とも等しい四面体は直方体に埋め込めるという空間図形の見方ができるか。外接球を「直方体の外接球」と見られるかで計算量が大きく変わる。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | やや難 | |
| 目標得点 | 25点 | 25点 |
| 目標時間 | 20分 | 25分 |
(1) は確実に解きたい。
(2) は発想がある程度大事になるので、解けなくてもよい。
ただし、ベクトルの問題はベクトルで泥臭く計算すれば、ほぼ確実に解けるようになっている。
ベクトルで泥臭く処理できる力をつけておきたい。
(1) は直交の条件を内積で書いて計算するだけなので、確実に完答する。
(2) は「直方体に埋め込む」という発想が大事な問題で、ここで差がつく。
最悪取れなくても問題ない。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で直交の条件を和と差の積に組み直すという発想に行き着けるか:内積を全部展開すると、長さの条件に見えない式が3本並ぶだけになる。 $\vec c+(\vec b-\vec a)$ と $\vec c-(\vec b-\vec a)$ の積と見れば、すぐに $\mathrm{OC}=\mathrm{AB}$ になる。
- (2) で直方体に埋め込むという発想に行き着けるか:外接球の中心をベクトルで表しても解けるが、連立方程式と計算で時間がかかる。対辺の長さが等しい四面体=直方体の面の対角線でできる四面体、という見方を知っているかで大きく差がつく。
- 直線のなす角:内積が負なので、ベクトルのなす角は $\dfrac{2\pi}{3}$。問われているのは $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ の直線のなす角なので $\dfrac{\pi}{3}$。
- 外接球と内接球の取り違え:「4つの頂点をすべて通る球」は外接球
2020年九州大学理系数学
第4問 解答・解説
第4問は確率の問題です。
テーマは「4個のサイコロの目の積が25・4・100の倍数になる確率」。
問題


問題文をテキストで読む
4個のサイコロを同時に投げるとき、出る目すべての積を $X$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) $X$ が25の倍数になる確率を求めよ。
(2) $X$ が4の倍数になる確率を求めよ。
(3) $X$ が100の倍数になる確率を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$25=5^2$ で、サイコロの目で5を素因数にもつのは5だけ。「25の倍数」は 「5の目が2個以上」。2個以上は場合が多いので、余事象「5の目が0個または1個」を数える。
- 5の目が0個の確率 $\left(\dfrac56\right)^4$ と、ちょうど1個の確率 ${}_4\mathrm{C}_1\cdot\dfrac16\left(\dfrac56\right)^3$ を求める。
- 1から引いて確率を求める。
【(2)の方針】
$4=2^2$。目に含まれる2の個数は、奇数(1、3、5)が0個、2と6が1個、4が2個。「4の倍数でない」は 「2の個数の合計が1個以下」 で、「全部奇数」か「2または6がちょうど1個で残りは奇数」の2通りしかない(つまり4の目は出ない)。こちらを数えて1から引く。
- 4個とも奇数の確率 $\left(\dfrac12\right)^4$ を求める。
- 2か6がちょうど1個で、残り3個が奇数の確率 ${}_4\mathrm{C}_1\cdot\dfrac26\left(\dfrac12\right)^3$ を求める。
- 2つを足して1から引く。
【(3)の方針】
$100=4\cdot25$ なので、「5の目が2個以上」かつ「2の個数の合計が2個以上」。5の目が2個以上あると、5以外の目は2個以下しか残らない。そこで 5の目の個数(2個・3個・4個)で場合分けし、残りの目で2の個数の条件を考える。
- 5の目がちょうど2個のとき:残り2個の目(1、2、3、4、6から選ぶ $5^2=25$ 通り)のうち、積が4の倍数になるものを余事象で数え、5の目の位置 ${}_4\mathrm{C}_2$ 通りをかける。
- 5の目がちょうど3個のとき:残り1個の目が4である場合を数える。
- 5の目が4個のとき:2の因数がないので0通り。
- 合計を $6^4$ で割る。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 15点
$25=5^2$ で、5を素因数にもつ目は5だけなので、 $X$ が25の倍数 ⟺ 5の目が2個以上。
余事象は「5の目が0個または1個」で、その確率は
$$\left(\frac56\right)^4+{}_4\mathrm{C}_1\cdot\frac16\left(\frac56\right)^3=\frac{625+500}{1296}=\frac{1125}{1296}$$
よって求める確率は $1-\dfrac{1125}{1296}=\dfrac{171}{1296}$
答 $\dfrac{19}{144}$
(2) 配点 15点
目に含まれる素因数2の個数は、1、3、5が0個、2、6が1個、4が2個。 $X$ が4の倍数でない ⟺ 2の個数の合計が1個以下 ⟺ 「4個とも奇数」または「2か6がちょうど1個で、残り3個は奇数」。
その確率は
$$\left(\frac12\right)^4+{}_4\mathrm{C}_1\cdot\frac26\left(\frac12\right)^3=\frac{81+216}{1296}=\frac{297}{1296}$$
よって求める確率は $1-\dfrac{297}{1296}=\dfrac{999}{1296}$
答 $\dfrac{37}{48}$
(3) 配点 20点
$100=2^2\cdot5^2$ なので、 $X$ が100の倍数 ⟺ 「5の目が2個以上」かつ「2の個数の合計が2個以上」。5の目の個数で場合分けする。目の出方は全部で $6^4=1296$ 通り。
5の目がちょうど2個のとき 5の目の位置が ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通り。残り2個の目は1、2、3、4、6から選ぶ $5^2=25$ 通りで、このうち積が4の倍数でないのは「2個とも奇数(1、3)」の $2^2=4$ 通りと「一方が2か6で、他方が1か3」の $2\cdot2\cdot2=8$ 通り。よって積が4の倍数になるのは $25-12=13$ 通りで、この場合は $6\cdot13=78$ 通り。
5の目がちょうど3個のとき 残り1個の目で2の個数が2個以上になるのは4だけ。5でない目の位置が4通りで、 $4$ 通り。
5の目が4個のとき 2の因数がないので0通り。
合計 $78+4=82$ 通りなので、求める確率は $\dfrac{82}{1296}$
答 $\dfrac{41}{648}$
出題意図
(1)(2):サイコロの目の積の問題は余事象で処理するという基本を押さえられているか。たとえば「サイコロを $n$ 回振って、出た目の積が3の倍数になる確率」が $1-\left(\dfrac{4}{6}\right)^n=1-\left(\dfrac{2}{3}\right)^n$ とすぐに求められるか。
(3) 具体的な状況を想像したうえで、何で場合分けするかを決められるか
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準 | |
| 目標得点 | 50点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 | 30分 |
九大の場合の数・確率は、 $n$ を一般に扱う難問はあまり出ず、解きやすい問題が多い。
確実に完答できるレベルまで実力を鍛えておきたい。
サイコロを $n$ 回振る問題なら難しいが、4回と回数が指定されているので、具体的に数え分ければ解ける。
(1)(2) は余事象ですぐに解き、(3) は5の目の個数で場合分けして、時間内に完答を目指す。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で4の目を見落とす:4は1個で2の因数を2個もつので、「4の倍数でない」場合に入れてはいけない。2と4と6をまとめて「偶数」と扱うと答えがずれる。
- (3) で5の目の個数で場合分けするという発想に行き着けるか:「5の目が2個以上」の中で2の因数を数えると、5の目が3個のときに残りが1個しかなく、4が出るしかないことに気づける。条件の重なりを整理できるかで大きく差がつく。
- (3) で余事象を使おうとして迷う:「25の倍数でない または 4の倍数でない」は2つの場合が重なるので、数えるのが難しくなる。直接数える方が速い。
2020年九州大学理系数学
第5問 解答・解説
第5問は積分(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「斜めの平面で切った円柱の体積と、 $x$ 軸のまわりの回転体の体積」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間において、中心 $(0,2,0)$、半径1で $xy$ 平面内にある円を $D$ とする。 $D$ を底面とし、 $z\geqq0$ の部分にある高さ3の直円柱(内部を含む)を $E$ とする。点 $(0,2,2)$ と $x$ 軸を含む平面で $E$ を2つの立体に分け、 $D$ を含む方を $T$ とする。以下の問いに答えよ。
(1) $-1\leqq t\leqq1$ とする。平面 $x=t$ で $T$ を切ったときの断面積 $S(t)$ を求めよ。また、 $T$ の体積を求めよ。
(2) $T$ を $x$ 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
点 $(0,2,2)$ と $x$ 軸を含む平面は $z=y$。 $D$ の点は $z=0<y$ なので、 $T$ は $z\leqq y$ の側で、 $T$ は $x^2+(y-2)^2\leqq1$、 $0\leqq z\leqq y$ と不等式で表せる( $y\leqq3$ なので $z\leqq3$ は自動的にみたす)。 $x=t$ で切ると $y$ の範囲が決まり、各 $y$ で $0\leqq z\leqq y$ なので、断面は台形になる。


- 平面の方程式 $z=y$ を求め、 $T$ を $x^2+(y-2)^2\leqq1$、 $0\leqq z\leqq y$ と表す。
- $w=\sqrt{1-t^2}$ とおき、平面 $x=t$ での断面が、 $2-w\leqq y\leqq2+w$、 $0\leqq z\leqq y$ の台形であることを確かめて面積 $S(t)$ を求める。
- $\displaystyle\int_{-1}^1S(t)\,dt$ を、半径1の半円の面積を使って求める。
【(2)の方針】
回転体を平面 $x=t$ で切った断面は、(1) の台形を点 $(t,0,0)$ のまわりに1回転させた図形。台形は回転の中心を含まないので、断面は円環(ドーナツ形)になり、外側の半径=中心から最も遠い点までの距離、内側の半径=最も近い点までの距離。台形の点 $(y,z)$ は $0\leqq z\leqq y$ なので、中心からの距離 $\sqrt{y^2+z^2}$ は $y$ 以上 $\sqrt2y$ 以下。


- 平面 $x=t$ と $x$ 軸の交点をH、台形の4つの頂点をP $(t,2-w,0)$、Q $(t,2+w,0)$、R $(t,2+w,2+w)$、S $(t,2-w,2-w)$ とおく。
- 台形の点とHの距離が $\mathrm{HP}=2-w$ 以上 $\mathrm{HR}=\sqrt2(2+w)$ 以下であり、その間の値をすべてとることを示す。
- 断面の円環の面積 $\pi(\mathrm{HR}^2-\mathrm{HP}^2)$ を $t$ の式で表す。
- $-1\leqq t\leqq1$ で積分して体積を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 25点
点 $(0,2,2)$ と $x$ 軸を含む平面は $z=y$。 $E$ は $x^2+(y-2)^2\leqq1$、 $0\leqq z\leqq3$ で、 $D$ の点は $z=0<y$ をみたすので、 $T$ は $E$ のうち $z\leqq y$ の部分。 $E$ の中では $y\leqq3$ なので
$$T:\ x^2+(y-2)^2\leqq1,\quad0\leqq z\leqq y$$
$w=\sqrt{1-t^2}$ とおく。平面 $x=t$ と $x$ 軸の交点をHとする。平面 $x=t$ での断面は
$$2-w\leqq y\leqq2+w,\qquad0\leqq z\leqq y$$
で、平行な2辺の長さが $2-w$、 $2+w$、その間の距離が $2w$ の台形(下の図のPQRS)。よって
$$S(t)=\frac{(2-w)+(2+w)}{2}\cdot2w=4w$$
答 $S(t)=4\sqrt{1-t^2}$
$$\int_{-1}^1S(t)\,dt=4\int_{-1}^1\sqrt{1-t^2}\,dt=4\cdot\frac{\pi}{2}=2\pi$$
( $\displaystyle\int_{-1}^1\sqrt{1-t^2}\,dt$ は半径1の半円の面積)
答 $T$ の体積 $2\pi$
(2) 配点 25点
回転体を平面 $x=t$ で切った断面は、(1) の断面の台形を、平面 $x=t$ と $x$ 軸の交点H $(t,0,0)$ のまわりに1回転させた図形である。台形の頂点をP $(t,2-w,0)$、Q $(t,2+w,0)$、R $(t,2+w,2+w)$、S $(t,2-w,2-w)$ とおく。
台形上の点 $(t,y,z)$ とHの距離は $\sqrt{y^2+z^2}$ で、 $0\leqq z\leqq y$、 $2-w\leqq y\leqq2+w$ より
$$2-w\leqq y\leqq\sqrt{y^2+z^2}\leqq\sqrt{2y^2}\leqq\sqrt2(2+w)$$
左の等号はP、右の等号はRでなりたつ。台形はつながった図形なので、Hからの距離は $\mathrm{HP}=2-w$ から $\mathrm{HR}=\sqrt2(2+w)$ までのすべての値をとる。よって断面は、外側の半径 $\mathrm{HR}$、内側の半径 $\mathrm{HP}$ の円環。
断面積は
$$\pi\left\{2(2+w)^2-(2-w)^2\right\}=\pi(4+12w+w^2)=\pi\left(5-t^2+12\sqrt{1-t^2}\right)$$
求める体積は
$$\pi\int_{-1}^1\left(5-t^2+12\sqrt{1-t^2}\right)dt=\pi\left(10-\frac23+12\cdot\frac{\pi}{2}\right)=\frac{28}{3}\pi+6\pi^2$$
答 $\dfrac{28}{3}\pi+6\pi^2$
出題意図
(1) 立体を不等式で表し、断面積を積分して体積を求めるという数Ⅲの体積の基本ができるか
(2) 回転体の断面は断面の図形を回転軸のまわりに回したもので、回転軸から最も近い点と最も遠い点で決まる円環になる、と見抜けるか。難関大学における典型問題。
講評
| 医学部医学科 | その他の学部 | |
|---|---|---|
| 難易度 | 標準〜やや難 | |
| 目標得点 | 35点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 | 35分 |
空間図形が苦手な人ほど、常に断面で切って、平面の問題として解くようにしよう。
(1) は不等式で表して、平面 $x=t$ で切った断面の台形を見れば解ける。
確実に完答する。
(2) は回転軸から最も近い点・最も遠い点を確かめて円環の面積を積分する。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で回転軸から最も近い点・最も遠い点を見るという発想に行き着けるか:台形を回すと円環になることに気づけば、あとは2つの距離を求めるだけ。立体そのものを想像しようとすると止まる。
- 最も近い点の取り違え:台形の頂点のうちHに近そうに見えるSは $\mathrm{HS}=\sqrt2(2-w)$ で、最も近いのは $x$ 軸に近い辺上のP。距離を式で比べて決める( $\sqrt{y^2+z^2}\geqq y$)
- 積分の計算: $\displaystyle\int_{-1}^1\sqrt{1-t^2}\,dt=\dfrac{\pi}{2}$ を半円の面積で処理できるか。置換積分で計算すると時間がかかる。
2020年九州大学・理系数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 医学部医学科 | その他の学部 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 50点 | 50点 |
| 第2問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 第3問 | やや難 | 25点 | 25点 |
| 第4問 | 標準 | 50点 | 30点 |
| 第5問 | 標準〜やや難 | 35点 | 25点 |
大問ごとの目標得点を足した値とはずれがありますが、総合の目標点(医学部医学科で200点、その他の学部で140点)は、制限時間の制約や得意・不得意を考慮して算出したものです。総合の目標としては、こちらを参考にしてください。
本当にオーソドックスな年。
近年、九大理系数学が難しくなっているといえど、まずはこの2020年で合格点を取れる学力を目指して勉強してほしい。
このレベルで合格点を取ることは、勉強法を間違えなければ誰にでも可能性がある。
解く流れ
第1問 → 第2問(1) → 第3問(1) → 第4問(1) → 第5問 → 残り(第2問(2)・第4問(2)(3))。
2020年九州大学・理系数学に
関するよくある質問
2020年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2020年の九州大学・理系数学は難しかった?
-
標準的な年でした。
易しい問題から難しい問題まで並んだ、オーソドックスなセットです。
第1問・第2問(1)・第3問(1)・第4問(1)(2)・第5問(1)は典型問題なので、ここで確実に点数を取れるかが合格の前提になります。 - 2020年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は、医学部医学科で200点、その他の学部で140点です(250点満点)。
- 2020年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?
-
特に差がついたのは、次の3つです。ここをどれだけ取れるかで、上位に食い込めるかが決まります。
- 第2問(2):合同式の処理が長く、答えもきれいな数ではない。最後まで正確に計算を進められたか。
- 第4問(3):5の目の個数で場合分けするという発想に行き着けたか。
- 第5問(2):回転軸から最も近い点・最も遠い点を見て、断面が円環になると見抜けたか。
- 2020年の九州大学・理系数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:微分法(数学Ⅲ)
- 第2問:複素数と方程式・整数
- 第3問:空間ベクトル・空間図形
- 第4問:確率
- 第5問:積分(数学Ⅲ)


