【解説・採点基準付き】2019年九州大学理系数学の解答・解説

2019年の九州大学・理系数学の、
解答・解説【完全版】です。

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中原 遼太郎

九大受験に特化した学習塾
『竜文会』代表

『竜文会』開校後、初年度には国立大学医学部や九州大学に合格者を輩出。

2年目には旧帝大医学部にも合格!

九州大学の過去問を20年分以上分析して指導カリキュラムを作成。

九州大学医学部に現役合格した経験を生かして、『学習計画の作成』や『LINEでのいつでも相談』による1人1人のサポート・九州大学に特化したハイレベルな演習で「九大受験生」をサポート。

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目次

2019年九州大学理系数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は九州大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は積分(数学Ⅲ)・極限の問題です。
テーマは「sin を1次関数で近似する定積分の最小値と極限」。

問題

2019年九州大学理系数学 第1問 問題
2019年九州大学理系数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

$n$ を自然数とする。 $x,y$ がすべての実数を動くとき、定積分

$$\int_0^1\left(\sin(2n\pi t)-xt-y\right)^2dt$$

の最小値を $I_n$ とおく。極限 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}I_n$ を求めよ。

解答の方針

着眼点

まず何で積分するかを確認する。 $x,y$ は積分の外の定数で、積分するのは $t$。$t$ で積分してしまえば $x,y$ の2次式になる。積分の前に2乗を展開すると、必要な積分は $\sin^2(2n\pi t)$(半角の公式)、 $\sin(2n\pi t)$、 $t\sin(2n\pi t)$(部分積分)、 $(xt+y)^2$ の4種類だけ。 $n$ が自然数なので $\cos2n\pi=1$ となり、定積分の端の値が簡単になる( $\displaystyle\int_0^1\sin(2n\pi t)\,dt$ は0になる)。

2変数の2次式の最小は、一方を固定して1文字ずつ平方完成する。 $y$ から始めるのは、 $y^2$ の係数が1で分数が現れず、 $y$ を含む項が $y^2$ と $xy$ だけだから( $\displaystyle\int_0^1\sin(2n\pi t)\,dt=0$ のため $y$ の1次の項が消える)。

図形で見ると、この定積分は $\sin(2n\pi t)$ のグラフと直線 $xt+y$ のずれ(下の図の色の部分)の2乗の合計で、最小値 $I_n$ は「sin に最も近い直線」とのずれを表す。

2019年九州大学理系数学 第1問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第1問 解答の方針の図
  1. 被積分関数の2乗をはずして $\sin^2(2n\pi t)-2(xt+y)\sin(2n\pi t)+(xt+y)^2$ と表す。
  2. $\displaystyle\int_0^1\sin^2(2n\pi t)\,dt$ を半角の公式で、 $\displaystyle\int_0^1\sin(2n\pi t)\,dt$ をそのまま、 $\displaystyle\int_0^1t\sin(2n\pi t)\,dt$ を部分積分で求める( $\cos2n\pi=1$ を使う)。
  3. $\displaystyle\int_0^1(xt+y)^2dt$ も同様に計算し、定積分を $x,y$ の2次式 $F(x,y)$ で表す。
  4. $F(x,y)$ を $y$ について平方完成し、残った $x$ の2次式をさらに $x$ について平方完成して、最小値 $I_n$ とそのときの $x,y$ を求める。
  5. $n\to\infty$ の極限を求める。

解答

2019年九州大学理系数学 第1問 解答・解説
2019年九州大学理系数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

配点 50点

求める定積分を $F(x,y)$ とおく。被積分関数を展開すると

$$\left(\sin(2n\pi t)-xt-y\right)^2=\sin^2(2n\pi t)-2(xt+y)\sin(2n\pi t)+(xt+y)^2$$

$n$ は自然数なので $\cos2n\pi=\cos4n\pi=1$ である。半角の公式より

$$\int_0^1\sin^2(2n\pi t)\,dt=\int_0^1\frac{1-\cos(4n\pi t)}{2}\,dt=\left[\frac t2-\frac{\sin(4n\pi t)}{8n\pi}\right]_0^1=\frac12$$

$$\int_0^1\sin(2n\pi t)\,dt=\left[-\frac{\cos(2n\pi t)}{2n\pi}\right]_0^1=-\frac{1-1}{2n\pi}=0$$

部分積分より

$$\int_0^1t\sin(2n\pi t)\,dt=\left[-\frac{t\cos(2n\pi t)}{2n\pi}\right]_0^1+\frac{1}{2n\pi}\int_0^1\cos(2n\pi t)\,dt=-\frac{1}{2n\pi}+\frac{1}{2n\pi}\left[\frac{\sin(2n\pi t)}{2n\pi}\right]_0^1=-\frac{1}{2n\pi}$$

また

$$\int_0^1(xt+y)^2dt=\int_0^1(x^2t^2+2xyt+y^2)\,dt=\frac{x^2}{3}+xy+y^2$$

以上より

$$F(x,y)=\frac12-2x\cdot\left(-\frac{1}{2n\pi}\right)-2y\cdot0+\frac{x^2}{3}+xy+y^2=y^2+xy+\frac{x^2}{3}+\frac{x}{n\pi}+\frac12$$

$x$ を固定して $y$ について平方完成すると

$$F(x,y)=\left(y+\frac x2\right)^2+\frac{x^2}{12}+\frac{x}{n\pi}+\frac12$$

さらに $x$ について平方完成すると

$$F(x,y)=\left(y+\frac x2\right)^2+\frac{1}{12}\left(x+\frac{6}{n\pi}\right)^2+\frac12-\frac{3}{n^2\pi^2}$$

右辺の2つの2乗の項はどちらも0以上で、 $x=-\dfrac{6}{n\pi}$、 $y=-\dfrac x2=\dfrac{3}{n\pi}$ のとき同時に0になる。よって

$$I_n=\frac12-\frac{3}{n^2\pi^2}$$

したがって

$$\lim_{n\to\infty}I_n=\lim_{n\to\infty}\left(\frac12-\frac{3}{n^2\pi^2}\right)=\frac12$$

答 $\dfrac12$

補足(答えの意味) 最小にする直線は $-\dfrac{6}{n\pi}t+\dfrac{3}{n\pi}=-\dfrac{6}{n\pi}\left(t-\dfrac12\right)$ で、点 $\left(\dfrac12,\ 0\right)$ を通る。 $\sin(2n\pi t)$ のグラフが点 $\left(\dfrac12,\ 0\right)$ について点対称なので、最も近い直線もこの点を通る。 $n$ が大きくなると傾き $-\dfrac{6}{n\pi}$ は0に近づき、直線はほぼ $t$ 軸に重なる(下の図は $n=4$)。直線では細かく振動する sin に近づけないので、ずれの2乗の合計は $\displaystyle\int_0^1\sin^2(2n\pi t)\,dt=\dfrac12$ だけが残る。答えの $\dfrac12$ はこの値である

出題意図

定積分の計算(半角の公式・部分積分)を最後までやり切れるか

積分したあとに残る $x,y$ の2次式の最小値を、1文字固定法で1文字ずつ平方完成して求められるか。定積分で表された関数の最小値を求める典型問題。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点50点50点
目標時間15分20分

第1問は積分の単純な計算で、この問題を落としてしまうと、正直この年の合格は厳しくなる。
半角の公式と部分積分を見た瞬間に反射的に計算できるよう練習を積み重ね、確実に正解にたどり着く実力を鍛えておこう。
最初に解く。
2乗を展開して4種類の積分を求め、 $y$ → $x$ の順に平方完成すれば終わる( $x$ → $y$ の順でもよい)。
計算自体は単純なので、確実に計算し、正しい答えを求められているかを検算してから次の問題へ進む。
ここで時間を節約して、第3問・第5問に回す。

差がつく所・失点しやすい所

  • 積分の前に2乗を展開し、積分を種類ごとに分けるという発想に行き着けるか:展開せずに置換などを試すと方針が立たない。展開すれば教科書レベルの積分4種類に分かれる。
  • $\displaystyle\int_0^1t\sin(2n\pi t)\,dt$ の部分積分:符号を誤ると $F(x,y)$ の $x$ の1次の項がずれ、最小値と極限まで連鎖して失点する。また $\cos2n\pi=1$ は $n$ が自然数だから使える、と根拠を書く。
  • $x,y$ を1文字ずつ平方完成するという発想に行き着けるか: $x,y$ が同時に動くことに戸惑い、平方完成を $y$ だけで止めたり、 $x,y$ の値を確かめずに定数項を最小値としたりすると、論証が不十分になる。2つの2乗の項が同時に0になる $x,y$ があることまで書いて、はじめて最小値と言える。

2019年九州大学理系数学
第2問 解答・解説

第2問は式と証明の問題です。
テーマは「2つの恒等式をみたす整式の決定(次数の決定と係数比較)」。

問題

2019年九州大学理系数学 第2問 問題
2019年九州大学理系数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

0でない2つの整式 $f(x)$、 $g(x)$ が以下の恒等式を満たすとする。

$$f(x^2)=(x^2+2)g(x)+7$$

$$g(x^3)=x^4f(x)-3x^2g(x)-6x^2-2$$

以下の問いに答えよ。

(1) $f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに2以下であることを示せ。

(2) $f(x)$ と $g(x)$ を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

恒等式なので、両辺の次数と最高次の係数は一致する。 $f$、 $g$ の次数を文字でおけば、次数についての等式が2本立つ。注意すべきは第2式の右辺で、ここは $x^4f(x)$ から $3x^2g(x)$ を引いている。2つの次数が等しくなると最高次の項が消えて、右辺の次数が下がるかもしれない。そこで第1式で最高次の係数どうしの関係も求めておくと、最高次が消えないことを確かめられる。左辺の次数と右辺の次数を $f$ の次数 $m$ の式として並べると、一致するのは $m=2$ のときだけ。

2019年九州大学理系数学 第2問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第2問 解答の方針の図
  1. $f(x)$、 $g(x)$ の次数を $m$、 $n$、最高次の係数を $p$、 $q$ とおく。
  2. 第1式の両辺の最高次の項を比べて、 $2m=n+2$、 $p=q$ を導く。
  3. 第2式の右辺で、 $x^4f(x)$ の最高次の項 $px^{m+4}$ と $-3x^2g(x)$ の最高次の項 $-3px^{2m}$ を比べる。 $m=4$ のときも係数が $p-3p=-2p\neq0$ で消えないので、右辺の次数は $m+4$ と $2m$ の大きい方であることを示す。
  4. 左辺の次数 $3n=6m-6$ と右辺の次数が等しいことから、 $m\leqq4$ と $m>4$ で場合分けして $m=2$、 $n=2$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

(1) から $f$、 $g$ はともに2次以下。両方の係数を文字でおくと6文字になるが、第1式は $f(x^2)$ を $g(x)$ で表す式なので、 $g$ の係数3つを決めれば $f$ も決まる。 $g$ だけを文字でおけば文字は3つで済み、第2式の係数比較も短くなる。さらに、 $f(x^2)$ は $x^2$ の整式なので $x$ の奇数乗の項がないことも使える。

  1. (1) より $g(x)=ax^2+bx+c$ とおき、第1式から $f(x^2)$ を $a$、 $b$、 $c$ で表す。
  2. $f(x^2)$ に $x$ の奇数乗の項がないことから $b=0$ を導き、 $f(x)$ を $a$、 $c$ で表す。
  3. 第2式の両辺を次数ごとに整理して係数を比べ、 $a$、 $c$ を求める。
  4. $f(x)$、 $g(x)$ を求める。

解答

2019年九州大学理系数学 第2問 解答・解説
2019年九州大学理系数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 20点

$f(x)$、 $g(x)$ の次数をそれぞれ $m$、 $n$、最高次の係数をそれぞれ $p$、 $q$( $p\neq0$、 $q\neq0$)とする。

第1式の左辺 $f(x^2)$ の最高次の項は $px^{2m}$。右辺 $(x^2+2)g(x)+7$ の最高次の項は $qx^{n+2}$( $n+2\geqq2$ なので定数7に消されない)。両辺の最高次の項が一致するので

$$2m=n+2,\qquad p=q\qquad\cdots①$$

第2式の左辺 $g(x^3)$ の次数は $3n=3(2m-2)=6m-6$。

右辺の $x^4f(x)$ の最高次の項は $px^{m+4}$、①より $-3x^2g(x)$ の最高次の項は $-3qx^{n+2}=-3px^{2m}$ である。

・$m\neq4$ のとき $m+4\neq2m$ なので、次数の大きい方の項はほかの項と打ち消し合わない

・$m=4$ のとき どちらも $x^8$ の項で、係数の和は $p-3p=-2p\neq0$。打ち消し合わない

また、 $m+4\geqq5$ なので $-6x^2-2$ は最高次に関係しない。よって、右辺の次数は $m+4$ と $2m$ の大きい方である。

左辺と右辺の次数が等しいので

・$m\leqq4$ のとき $6m-6=m+4$ より $m=2$( $m\leqq4$ をみたす)

・$m>4$ のとき $6m-6=2m$ より $m=\dfrac32$ となり、 $m>4$ に反する

よって $m=2$、①より $n=2$。

したがって、 $f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに2であり、2以下である。

別解(次数を「以下」で押さえる) 示すのは「2以下」なので、第2式の右辺の次数は $m+4$ と $2m$ の大きい方以下と押さえるだけでもよい(これなら打ち消し合いを調べなくて済む)。①の $2m=n+2$ から左辺の次数は $6m-6$ なので、 $m\geqq4$ なら $6m-6\leqq2m$ より $m\leqq\dfrac32$ で矛盾。よって $m<4$ で、 $6m-6\leqq m+4$ より $m\leqq2$、 $n=2m-2\leqq2$。

(2) 配点 30点

(1) より $g(x)$ は2次以下なので、 $g(x)=ax^2+bx+c$ とおく((1) の結論「2以下」だけを使うので、 $a=0$ の場合も含めておく)。第1式より

$$f(x^2)=(x^2+2)(ax^2+bx+c)+7=ax^4+bx^3+(2a+c)x^2+2bx+2c+7$$

左辺 $f(x^2)$ は $x^2$ の整式なので、 $x$ の奇数乗の項はない。 $x^3$、 $x$ の係数を比べて $b=0$。よって

$$f(x^2)=a(x^2)^2+(2a+c)x^2+2c+7$$

で、 $x^2=X$ とおくと $X\geqq0$ のすべての値で $f(X)=aX^2+(2a+c)X+2c+7$ が成り立つ。無数の $X$ で一致する整式は等しいので

$$f(x)=ax^2+(2a+c)x+2c+7,\qquad g(x)=ax^2+c$$

第2式の左辺は $g(x^3)=ax^6+c$。右辺は

$$x^4\{ax^2+(2a+c)x+2c+7\}-3x^2(ax^2+c)-6x^2-2=ax^6+(2a+c)x^5+(2c+7-3a)x^4-(3c+6)x^2-2$$

両辺の係数を次数ごとに並べると、次の表のようになる。

$x^5$、 $x^4$、 $x^2$ の係数と定数項を比べて

$$2a+c=0,\qquad 2c+7-3a=0,\qquad 3c+6=0,\qquad c=-2$$

$c=-2$ と $2a+c=0$ より $a=1$。このとき $2c+7-3a=-4+7-3=0$ もみたす。よって

$$f(x)=x^2+(2-2)x+(-4+7)=x^2+3,\qquad g(x)=x^2-2$$

答 $f(x)=x^2+3$、 $g(x)=x^2-2$

(係数比較は「恒等式である」ことと同じ条件なので、求めた $f$、 $g$ が2つの恒等式をみたすことの確かめは要らない。)

補足( $b=0$ のもう1つの見方) 第1式の $x$ を $-x$ に置きかえると $f(x^2)=(x^2+2)g(-x)+7$。もとの第1式と比べて $g(-x)=g(x)$ なので、 $g$ は偶関数で $b=0$ とすぐに分かる。また、第2式に $x=0$ を代入すると $g(0)=-2$、つまり $c=-2$ がすぐに求められる。

出題意図

(1) 恒等式の両辺の次数と最高次の係数を比べるという整式の基本が理解できているか。とくに、引き算を含む式で最高次の項が打ち消し合わないかまで目を配って論証できるか。

(2) 次数が決まった整式を、できるだけ少ない文字でおいて係数比較で決めるという恒等式の基本問題を、計算ミスなく処理できるか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度標準
目標得点50点40点
目標時間25分30分

恒等式の問題の解法が理解できているか。
次数と最高次の係数を調べ、係数比較をする、この3つがお決まりのパターン。
本問は式が複雑で場合分けも必要になるが、問題自体はこの3つのパターンで解ける。
このように典型的な解法パターンをどれだけ応用できるかが、九大数学攻略のポイント。
(1) が証明できなくても、(1) の結論( $f(x)$、 $g(x)$ は2次以下)を用いて (2) だけは解けるようにする。
九大数学では、(1) が解けなくても (2) が解ける問題がよく出題されるので、(1) が解けないからといって諦めないこと。
(1) は第1式で次数と最高次の係数を比べてから、第2式の右辺で最高次が消えないことを確かめる。

差がつく所・失点しやすい所

  • (1) で「引き算で最高次の項が消えるかもしれない」という発想に行き着けるか:第2式の右辺は $x^4f(x)$ から $3x^2g(x)$ を引いているので、次数が等しくなる $m=4$ では最高次が消える可能性がある。ここを素通りして「右辺の次数は $m+4$ と $2m$ の大きい方」と書くと論証に穴があき、部分点を削られる。第1式で最高次の係数 $p=q$ を求めておけば、係数 $-2p\neq0$ ですぐに片づく。
  • (2) で $g$ の3文字だけでおくという発想に行き着けるか: $f$ と $g$ を両方とも文字でおくと6文字になり、比べる式が増えて計算ミスが起きやすい。第1式で $f$ が $g$ から決まると見抜ければ、文字は3つ、 $b=0$ まで使えば実質2つで済む。
  • 値の代入で決めたときの十分性: $x=0,\ 1,\ -1$ などを代入して $a$、 $b$、 $c$ を決めると、求めたのは必要条件にすぎない。最後に2つの式が恒等式になることを確かめないと減点される。係数比較で決めればこの確かめは要らない。
  • 第2式の写し間違い: $-3x^2g(x)$ を $x^3g(x)$ などと読み違えると、(1) の次数の比較がすべて狂う。式の次数を数える問題ほど、問題文の指数を1つずつ確かめる。

2019年九州大学理系数学
第3問 解答・解説

第3問は場合の数・確率・複素数平面の問題です。
テーマは「さいころの目を係数とする2次方程式の解の、複素数平面上の位置」。

問題

2019年九州大学理系数学 第3問 問題
2019年九州大学理系数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

1個のサイコロを3回投げて出た目を順に $a,b,c$ とする。2次方程式

$$ax^2+bx+c=0$$

の2つの解 $z_1,z_2$ を表す複素数平面上の点をそれぞれ $\mathrm{P}_1(z_1)$、 $\mathrm{P}_2(z_2)$ とする。また、複素数平面上の原点をOとする。以下の問いに答えよ。

(1) $\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ が一致する確率を求めよ。

(2) $\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ がともに単位円の周上にある確率を求めよ。

(3) $\mathrm{P}_1$ とOを通る直線を $\ell_1$ とし、 $\mathrm{P}_2$ とOを通る直線を $\ell_2$ とする。 $\ell_1$ と $\ell_2$ のなす鋭角が $60^\circ$ である確率を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ が一致するのは2つの解が等しいとき、つまり重解のとき。条件は判別式 $b^2-4ac=0$ だけで、 $b$ を決めると $ac=\dfrac{b^2}{4}$ が決まる。$(a,c)$ の組は $ac$ の掛け算表から探すと漏れがない(色をつけたマスが条件をみたす組)。

2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
  1. $\mathrm{P}_1=\mathrm{P}_2$ を重解の条件 $b^2=4ac$ に言いかえる。
  2. $b^2$ が4の倍数なので $b$ は偶数。 $b=2,4,6$ のそれぞれで $ac=1,4,9$ となる $(a,c)$ を掛け算表で数える。
  3. 216で割って確率を求める。

【(2)の方針】

着眼点

複素数平面上の点として解を扱う2次方程式では、まず実数解か虚数解かで場合分けするのが基本。

  • 実数解のとき 単位円上の実数は $\pm1$ だけなので、2つの解は「 $-1$ と $-1$」「 $1$ と $1$」「 $-1$ と $1$」の3通りが考えられる。ところが $a,b,c$ はすべて正なので、解と係数の関係から実数解は2つとも負(和 $-\dfrac ba<0$、積 $\dfrac ca>0$)。よって $-1$ の重解しかない。
  • 虚数解のとき 係数が実数なので $z_2=\overline{z_1}$ で、 $\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ は実軸に関して対称(下の図)。共役な複素数が出てくる2次方程式は解と係数の関係と相性がよい。 $|z_1|^2=z_1\overline{z_1}=z_1z_2=\dfrac ca$ と、解を求めなくても絶対値が求まる。
2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
  1. 解と係数の関係から、実数解は2つとも負であることを示す。
  2. 実数解の場合は $-1$ の重解だけ。 $ax^2+bx+c=a(x+1)^2$ から $b=2a$、 $c=a$ となる組を数える。
  3. 虚数解の場合は $|z_1|^2=|z_2|^2=z_1z_2=\dfrac ca$ から、単位円上 $\iff c=a$。虚数解の条件 $b^2-4a^2<0$、すなわち $b<2a$ と合わせて、 $a$ ごとに $b$ を数える。
  4. 2つの場合を合わせ、216で割って確率を求める。

【(3)の方針】

着眼点

(2) と同じく、まず実数解か虚数解かで場合分けする。実数解のときは $\mathrm{P}_1,\mathrm{P}_2$ がどちらも実軸上(解は0でない)にあるので、 $\ell_1,\ell_2$ はどちらも実軸で、なす角は $0^\circ$。よって虚数解の場合だけを考えればよい。このとき $z_2=\overline{z_1}$ なので、 $\ell_1$ と $\ell_2$ は実軸に関して対称。 $\ell_1$ と実軸のなす鋭角を $\varphi$ とすると、2直線の間には $2\varphi$ と $180^\circ-2\varphi$ の2つの角がある。共役な複素数(実軸に関して対称な2点)であることを利用すると、$60^\circ$ の角が実軸をはさむ場合( $\varphi=30^\circ$)と、虚軸をはさむ場合( $\varphi=60^\circ$)の2通りがある。図を書けば2通りあることはすぐに分かる。

2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第3問 解答の方針の図

$\varphi$ は $z_1$ の実部と絶対値で決まる。絶対値は (2) で求めた $|z_1|^2=\dfrac ca$ がそのまま使える。

  1. 実数解の場合は、なす角が $0^\circ$ で不適であることを示す。
  2. 虚数解の場合、 $\ell_1,\ell_2$ が実軸に関して対称であることから、なす鋭角が $60^\circ$ $\iff$ $\varphi=30^\circ$ または $\varphi=60^\circ$ と言いかえる。
  3. $z_1$ の実部 $-\dfrac{b}{2a}$ と $|z_1|=\sqrt{\dfrac ca}$ から $\cos\varphi=\dfrac{b}{2\sqrt{ac}}$ を求め、 $\varphi=30^\circ$ を $b^2=3ac$ に、 $\varphi=60^\circ$ を $b^2=ac$ に言いかえる。
  4. どちらも $b^2<4ac$(虚数解の条件)をみたすことを確かめ、 $ac$ の掛け算表でそれぞれの組を数える。
  5. 合わせて216で割り、確率を求める。

解答

2019年九州大学理系数学 第3問 解答・解説
2019年九州大学理系数学 第3問 解答・解説
解答をテキストで読む

目の出方は全部で $6^3=216$ 通りで、どれも同様に確からしい。また $c\geqq1$ なので、解はどちらも0でない。

(1) 配点 10点

$\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ が一致するのは $z_1=z_2$、つまり重解のときで、条件は $b^2-4ac=0$ である。

$b^2=4ac$ より $b^2$ は4の倍数なので、 $b$ は偶数。 $b=2,4,6$ のとき $ac=1,4,9$ で、 $(a,c)$ の組は次のとおり。

| $b$ | $2$ | $4$ | $6$ |

|—|—|—|—|

| $ac$ | $1$ | $4$ | $9$ |

| $(a,c)$ | $(1,1)$ | $(1,4),\ (2,2),\ (4,1)$ | $(3,3)$ |

| 通り数 | $1$ | $3$ | $1$ |

計5通り。

答 $\dfrac{5}{216}$

(2) 配点 15点

解と係数の関係より $z_1+z_2=-\dfrac ba<0$、 $z_1z_2=\dfrac ca>0$。

実数解のとき 和が負で積が正なので、2つの解はどちらも負。単位円上の負の実数は $-1$ だけなので、 $z_1=z_2=-1$。このとき $ax^2+bx+c=a(x+1)^2$ なので $b=2a$、 $c=a$。 $(a,b,c)=(1,2,1),\ (2,4,2),\ (3,6,3)$ の3通り。

虚数解のとき 係数が実数なので $z_2=\overline{z_1}$ で、 $|z_2|=|z_1|$。

$$|z_1|^2=z_1\overline{z_1}=z_1z_2=\frac ca$$

よって $\mathrm{P}_1,\mathrm{P}_2$ がともに単位円上 $\iff|z_1|=1\iff c=a$。虚数解の条件は $b^2-4ac=b^2-4a^2<0$、すなわち $b<2a$。

$a=c$ のときを $b$ ごとに表にまとめる(「○」は虚数解、「 $-1$」は重解 $-1$、「×」は異なる2つの負の実数解で、積が1なので一方は単位円の内側、他方は外側)。

虚数解は $a=1,2,3$ でそれぞれ $1,3,5$ 通り、 $a=4,5,6$ でそれぞれ6通りで、計27通り。実数解の3通りと合わせて30通り。

答 $\dfrac{30}{216}=\dfrac{5}{36}$

(3) 配点 25点

実数解のとき (2) と同様に解はどちらも負の実数なので、 $\mathrm{P}_1,\mathrm{P}_2$ は実軸上の原点以外の点。 $\ell_1,\ell_2$ はどちらも実軸で、なす角は $0^\circ$ なので不適。

虚数解のとき $b^2<4ac$ で、

$$z_1=\frac{-b+\sqrt{4ac-b^2}\,i}{2a},\qquad z_2=\overline{z_1}$$

としてよい。 $\mathrm{P}_1$ と $\mathrm{P}_2$ は実軸に関して対称なので、 $\ell_1$ と $\ell_2$ も実軸に関して対称。 $\ell_1$ と実軸のなす鋭角を $\varphi$( $0^\circ<\varphi<90^\circ$)とすると、 $\ell_1,\ell_2$ の間の角は $2\varphi$ と $180^\circ-2\varphi$ なので

なす鋭角が $60^\circ$ になるのは、 $2\varphi=60^\circ$ または $180^\circ-2\varphi=60^\circ$、すなわち $\varphi=30^\circ$ または $\varphi=60^\circ$ のときである。

$\varphi=30^\circ$ は $60^\circ$ の角が実軸をはさむ場合、 $\varphi=60^\circ$ は虚軸をはさむ場合である。

$z_1$ の実部の絶対値は $\dfrac{b}{2a}$、(2) より $|z_1|=\sqrt{\dfrac ca}$ なので

$$\cos\varphi=\frac{\ \dfrac{b}{2a}\ }{\sqrt{\dfrac ca}}=\frac{b}{2\sqrt{ac}}$$

・$\varphi=30^\circ$ のとき $\dfrac{b}{2\sqrt{ac}}=\dfrac{\sqrt3}{2}$、すなわち $b^2=3ac$

・$\varphi=60^\circ$ のとき $\dfrac{b}{2\sqrt{ac}}=\dfrac12$、すなわち $b^2=ac$

どちらも $b^2<4ac$ をみたすので、虚数解の条件は自動的になりたつ。

$ac$ の掛け算表で数える(濃い色が $b^2=ac$、太い枠が $b^2=3ac$)。

・$b^2=3ac$ のとき $b^2$ が3の倍数なので $b=3,6$。 $b=3$ で $ac=3$ が2通り、 $b=6$ で $ac=12$ が4通り。計6通り

・$b^2=ac$ のとき $b=1,2,\cdots,6$ で $ac=1,4,9,16,25,36$。 $ac=4$ だけ3通り、ほかは1通りずつで、計8通り

合わせて14通り。

答 $\dfrac{14}{216}=\dfrac{7}{108}$

出題意図

複素数平面上の位置の条件(一致・単位円上・なす角)を、係数 $a,b,c$ の式に言いかえられるか。言いかえたあとは、 $b^2$ と $ac$ の関係をみたす目の組を漏れなく数えられるか。

実数解と虚数解を分けて考えられるか。係数が実数の2次方程式では、解が実数か共役な虚数かで、複素数平面上の点の位置がまったく違うことを捉えることができるか。

講評

医学部医学科その他の学部
難易度標準
目標得点50点35点
目標時間25分30分

一見確率の問題に見えるが、中身は複素数平面の条件を係数の式に言いかえる複素数の問題。
複素数で培った知識をフル活用し、条件式を立てられるかどうかがポイント。
(1) は重解の条件を数えるだけなので絶対に取る。
(2) は実数解と虚数解に場合分けすることに気づけば、そこまで難しくない。
ここまでで完答する。
(3) は「実数解は不適」「虚数解なら2直線は実軸に関して対称」までは (1)(2) と同じ見方で書けるので、図を書いて $\varphi=30^\circ,\ 60^\circ$ の2通りに言いかえるところまでは必ず進める。
医学科は (3) まで完答する。
数え上げは $ac$ の掛け算表を書き、目で確かめながら数える。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で、 $60^\circ$ の角が虚軸をはさむ場合もあるという発想に行き着けるか:実軸と $30^\circ$ をなす6通りだけを数えると $\dfrac{6}{216}=\dfrac{1}{36}$ になる。「2直線は実軸に関して対称なので、角は実軸をはさむ側にしかできない」という思いこみが原因。交わる2直線の間には $2\varphi$ と $180^\circ-2\varphi$ の2つの角があり、図を書けば $\varphi=60^\circ$ のとき $60^\circ$ の角が虚軸をはさむ側にできることがすぐに分かる。ここで大きく差がつく。
  • (2) で、実数解の場合も考えるという発想に行き着けるか:「単位円上なら共役で $|z_1|^2=\dfrac ca$」と虚数解だけを考えると、重解 $-1$ の3通りを落として $\dfrac{27}{216}=\dfrac18$ になる。逆に、答えが合っていても実数解と虚数解を分けて書いていない答案は減点される。
  • (3) で、(2) の $|z_1|^2=\dfrac ca$ を使って $\cos\varphi$ を表すという発想に行き着けるか:解の公式で $z_1$ の実部と虚部を求めて $\tan\varphi$ を計算しても同じ条件になるが、(2) の結果を使う方が計算が短い。
  • 数え上げの漏れ:(1)(3) の $(a,c)$ の組は $ac$ の掛け算表に色をつけて数える。 $ac=4$ の $(1,4),\ (2,2),\ (4,1)$ のように、同じ積になる組が複数あるところで数え落としやすい。

2019年九州大学理系数学
第4問 解答・解説

第4問は数列・極限の問題です。
テーマは「正三角形の辺に垂線を下ろし続けてできる点列の極限」。

問題

2019年九州大学理系数学 第4問 問題
2019年九州大学理系数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面上の3点 $\mathrm{O}(0,0)$、 $\mathrm{A}(2,0)$、 $\mathrm{B}(1,\sqrt3)$ を考える。点 $\mathrm{P}_1$ は線分AB上にあり、A、Bとは異なる点とする。

線分AB上の点 $\mathrm{P}_2,\mathrm{P}_3,\cdots\cdots$ を以下のように順に定める。点 $\mathrm{P}_n$ が定まったとき、点 $\mathrm{P}_n$ から線分OBに下ろした垂線とOBとの交点を $\mathrm{Q}_n$ とし、点 $\mathrm{Q}_n$ から線分OAに下ろした垂線とOAとの交点を $\mathrm{R}_n$ とし、点 $\mathrm{R}_n$ から線分ABに下ろした垂線とABとの交点を $\mathrm{P}_{n+1}$ とする。

$n\to\infty$ のとき、 $\mathrm{P}_n$ が限りなく近づく点の座標を求めよ。

解答の方針

着眼点

$\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=\mathrm{AB}=2$ なので、三角形OABは1辺2の正三角形。垂線を下ろすたびにできる三角形 $\mathrm{BQ}_n\mathrm{P}_n$、 $\mathrm{OR}_n\mathrm{Q}_n$、 $\mathrm{AP}_{n+1}\mathrm{R}_n$ は、どれも60°の角をもつ直角三角形で、60°の角をはさむ辺は斜辺の $\dfrac12$ になる。座標で追うより、長さを順にたどる方が式が短い。

2019年九州大学理系数学 第4問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第4問 解答の方針の図

また、 $\mathrm{P}_n$ はいつも線分AB上にあるので、Aからの長さ $\mathrm{AP}_n$ が分かれば位置が決まる( $x$ 座標も $y$ 座標も分かる)。 $\mathrm{P}_n$ の座標を $(x_n,y_n)$ と2文字でおくのではなく、$\mathrm{AP}_n$ の長さ、または $\mathrm{P}_n$ の $x$ 座標だけを1文字でおいて漸化式を立てる。 $\mathrm{P}_1$ は勝手な点なので、 $\mathrm{P}_1\to\mathrm{P}_2$ を具体的に計算しても答えには近づかない。 $n$ 番目から $n+1$ 番目への1回分の操作を式にすれば、あとは1次の漸化式の問題になる。極限の点は「操作をしても動かない点」なので、漸化式の $p_n$、 $p_{n+1}$ を同じ値 $\alpha$ においた式から求まる。

  1. $\mathrm{AP}_n=p_n$( $0<p_n<2$)とおく。
  2. 直角三角形 $\mathrm{BQ}_n\mathrm{P}_n$( $\angle\mathrm{B}=60^\circ$)で $\mathrm{BQ}_n=\dfrac12\mathrm{BP}_n=\dfrac12(2-p_n)$ となることから、 $\mathrm{OQ}_n$ を $p_n$ で表す。
  3. 直角三角形 $\mathrm{OR}_n\mathrm{Q}_n$( $\angle\mathrm{O}=60^\circ$)で $\mathrm{OR}_n=\dfrac12\mathrm{OQ}_n$ となることから、 $\mathrm{OR}_n$、 $\mathrm{AR}_n=2-\mathrm{OR}_n$ を $p_n$ で表す。
  4. 直角三角形 $\mathrm{AP}_{n+1}\mathrm{R}_n$( $\angle\mathrm{A}=60^\circ$)で $\mathrm{AP}_{n+1}=\dfrac12\mathrm{AR}_n$ となることから、漸化式 $p_{n+1}=\dfrac34-\dfrac18p_n$ を求める。
  5. $\alpha=\dfrac34-\dfrac18\alpha$ の解 $\alpha=\dfrac23$ を両辺から引いて $p_n-\dfrac23=\left(-\dfrac18\right)^{n-1}\left(p_1-\dfrac23\right)$ とし、 $p_n\to\dfrac23$ を示す。
  6. 線分AB上で $\mathrm{AP}=\dfrac23$ となる点の座標を、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ を使って求める。

解答

2019年九州大学理系数学 第4問 解答・解説
2019年九州大学理系数学 第4問 解答・解説
解答をテキストで読む

配点 50点

$\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=\mathrm{AB}=2$ なので、三角形OABは1辺2の正三角形で、 $\angle\mathrm{O}=\angle\mathrm{A}=\angle\mathrm{B}=60^\circ$。 $\mathrm{P}_n$ は線分AB上のA、Bと異なる点なので、 $\mathrm{AP}_n=p_n$( $0<p_n<2$)とおく。

$\mathrm{BP}_n=2-p_n$。直角三角形 $\mathrm{BQ}_n\mathrm{P}_n$ は $\angle\mathrm{B}=60^\circ$ なので

$$\mathrm{BQ}_n=\frac12\mathrm{BP}_n=\frac{2-p_n}{2},\qquad \mathrm{OQ}_n=2-\frac{2-p_n}{2}=1+\frac{p_n}{2}$$

( $0<\mathrm{BQ}_n<1$ なので $\mathrm{Q}_n$ は線分OB上にある)

直角三角形 $\mathrm{OR}_n\mathrm{Q}_n$ は $\angle\mathrm{O}=60^\circ$ なので

$$\mathrm{OR}_n=\frac12\mathrm{OQ}_n=\frac12+\frac{p_n}{4},\qquad \mathrm{AR}_n=2-\mathrm{OR}_n=\frac32-\frac{p_n}{4}$$

( $\dfrac12<\mathrm{OR}_n<1$ なので $\mathrm{R}_n$ は線分OA上にある)

直角三角形 $\mathrm{AP}_{n+1}\mathrm{R}_n$ は $\angle\mathrm{A}=60^\circ$ なので

$$p_{n+1}=\mathrm{AP}_{n+1}=\frac12\mathrm{AR}_n=\frac34-\frac18p_n$$

( $0<p_n<2$ なら $\dfrac12<p_{n+1}<\dfrac34$ で、 $\mathrm{P}_{n+1}$ も線分AB上のA、Bと異なる点。よってすべての $n$ で $0<p_n<2$)

$\alpha=\dfrac34-\dfrac18\alpha$ をみたす $\alpha=\dfrac23$ を使うと、 $\dfrac23=\dfrac34-\dfrac18\cdot\dfrac23$ なので、漸化式との差をとって

$$p_{n+1}-\frac23=-\frac18\left(p_n-\frac23\right)$$

よって数列 $\left\{p_n-\dfrac23\right\}$ は公比 $-\dfrac18$ の等比数列で

$$p_n-\frac23=\left(-\frac18\right)^{n-1}\left(p_1-\frac23\right)$$

$\left|-\dfrac18\right|<1$ なので $\left(-\dfrac18\right)^{n-1}\to0$。よって $\displaystyle\lim_{n\to\infty}p_n=\dfrac23$( $p_1$ によらない)

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(-1,\sqrt3)$ で $|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|=2$ なので、線分AB上で $\mathrm{AP}=\dfrac23$ となる点Pは

$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\frac13\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2,0)+\frac13(-1,\sqrt3)=\left(\frac53,\ \frac{\sqrt3}{3}\right)$$

$\mathrm{AP}_n\to\dfrac23$ なので、 $\mathrm{P}_n$ はこの点Pに限りなく近づく。

答 $\left(\dfrac53,\ \dfrac{\sqrt3}{3}\right)$

(確かめ)この点Pから同じ操作をすると、 $\mathrm{OQ}=1+\dfrac12\cdot\dfrac23=\dfrac43$、 $\mathrm{OR}=\dfrac23$、 $\mathrm{AR}=\dfrac43$、 $\mathrm{AP}=\dfrac23$ となり、Pに戻る。 $\mathrm{AP}=\mathrm{BQ}=\mathrm{OR}=\dfrac23$ なので、三角形PQRは正三角形になっている。

別解(座標で追う) 長さと60°を読み取るのが不安なら、座標で追っても同じ漸化式になる。

$\mathrm{P}_n$ の $x$ 座標だけを $x_n$ とおく。直線ABは $y=-\sqrt3(x-2)$ なので、 $\mathrm{P}_n$ の $y$ 座標は $-\sqrt3(x_n-2)$ と $x_n$ だけで表せる( $1<x_n<2$)。

OBの向きの単位ベクトルは $\vec{u}=\left(\dfrac12,\dfrac{\sqrt3}{2}\right)$ なので

$$\mathrm{OQ}_n=\overrightarrow{\mathrm{OP}_n}\cdot\vec{u}=\frac{x_n+\sqrt3\cdot\{-\sqrt3(x_n-2)\}}{2}=\frac{x_n-3(x_n-2)}{2}=3-x_n$$

$\mathrm{Q}_n\left(\dfrac{3-x_n}{2},\ \dfrac{\sqrt3(3-x_n)}{2}\right)$ で、 $\mathrm{R}_n$ は $\mathrm{Q}_n$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足なので $\mathrm{R}_n\left(\dfrac{3-x_n}{2},\ 0\right)$。

$\mathrm{R}_n(r,0)$ から直線ABに下ろした垂線の足を $\left(2-\dfrac s2,\ \dfrac{\sqrt3}{2}s\right)$( $s=\mathrm{AP}_{n+1}$)とおくと、ABの向き $(-1,\sqrt3)$ と垂直なので

$$-\left(2-\frac s2-r\right)+\sqrt3\cdot\frac{\sqrt3}{2}s=0$$

より

$$s=1-\frac r2$$

$r=\dfrac{3-x_n}{2}$ を代入して $s=\dfrac{1+x_n}{4}$。よって

$$x_{n+1}=2-\frac s2=\frac{15}{8}-\frac18x_n$$

$\beta=\dfrac{15}{8}-\dfrac18\beta$ の解 $\beta=\dfrac53$ を使って $x_n-\dfrac53=\left(-\dfrac18\right)^{n-1}\left(x_1-\dfrac53\right)\to0$。 $\mathrm{P}_n$ の $y$ 座標 $-\sqrt3(x_n-2)$ は $\dfrac{\sqrt3}{3}$ に近づき、同じ答えになる。

(どちらを選ぶか:正三角形や30°・60°の直角三角形が見えたら、長さで追う方が計算が短い。角が特別でない三角形なら座標で追う。座標の方法は図の読み違いが起きにくいが、内積と垂直の条件の計算が増える)

出題意図

図形の操作のくり返しを漸化式に落とし込み、そこから極限を求めることができるか。図形×漸化式×極限の王道の問題。

1次の漸化式 $p_{n+1}=ap_n+b$ を解いて極限を求めるという数列の基本が理解できているか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや簡単
目標得点50点50点
目標時間20分25分

漸化式を立てるときに、1つの文字に注目できるか。
$x$ 座標も $y$ 座標も追おうとすると複雑になるが、 $\mathrm{AP}_n$ の長さ、もしくは $\mathrm{P}_n$ の $x$ 座標だけの漸化式を立てられるかがポイント。
問題自体は典型問題なので、図形×漸化式×極限の演習をたくさん積み、確実に50点を確保する。
第1問と並んで、落とすと合格が厳しくなる大問。
正三角形に気づけば、60°の直角三角形を3回使うだけで漸化式が立つ。
60°の読み取りに自信がなければ座標で追ってもよく、それでも25分あれば完答できる。
2019年のセットでは第1問と並んで最初に解き、確実に50点を取る問題。

差がつく所・失点しやすい所

  • 点の位置を長さ1つで表すという発想に行き着けるか:座標 $(x_n,y_n)$ で追っても解けるが、直線の式・垂線の足の計算が3回続き、計算ミスが起きやすい。正三角形に気づいて $\mathrm{AP}_n$ の1文字で追えば、60°の直角三角形の辺の比だけで漸化式が立つ。
  • $\mathrm{P}_1$ から具体的に追いかけてしまう: $\mathrm{P}_1$ は勝手な点なので、 $\mathrm{P}_2$、 $\mathrm{P}_3$ を求めても規則は見えにくい。最初から $n$ と $n+1$ の関係を立てる。
  • 極限の示し方: $\alpha=\dfrac23$ を求めただけでは、数列がそこに近づくことは示せていない。差 $p_n-\dfrac23$ が $-\dfrac18$ 倍ずつ縮むことまで書いて、はじめて極限になる。
  • 最後の座標: $\mathrm{AP}=\dfrac23$ を「 $x$ 座標が $\dfrac23$ ずれる」と読み違える。辺ABの長さは2なので、Aから $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の $\dfrac13$ だけ進んだ点になる。

2019年九州大学理系数学
第5問 解答・解説

第5問は複素数平面の問題です。
テーマは「1次分数変換の係数の決定と、虚軸が移る図形(単位円)」。

問題

2019年九州大学理系数学 第5問 問題
2019年九州大学理系数学 第5問 問題
問題文をテキストで読む

$a,b$ を複素数、 $c$ を純虚数でない複素数とし、 $i$ を虚数単位とする。複素数平面において、点 $z$ が虚軸全体を動くとき

$$w=\frac{az+b}{cz+1}$$

で定まる点 $w$ の軌跡を $C$ とする。次の3条件が満たされているとする。

(ア) $z=i$ のときに $w=i$ となり、 $z=-i$ のときに $w=-i$ となる。

(イ) $C$ は単位円の周に含まれる。

(ウ) 点 $-1$ は $C$ に属さない。

このとき $a,b,c$ の値を求めよ。さらに $C$ を求め、複素数平面上に図示せよ。

解答の方針

着眼点

3つの条件はそれぞれ別の文字を決めるように並んでいる。(ア) は2点の代入なので $a$、 $b$ が $c$ で表せる。(イ) は「虚軸上のどの $z$ でも $|w|=1$」ということなので、虚軸上で一番計算が軽い $z=0$ を入れるだけで $c$ の絶対値が決まる。(ウ) は「 $w=-1$ となる $z$ が虚軸上にない」と読む。なお「 $c$ が純虚数でない」( $c=0$ も含む)は、虚軸上で分母 $cz+1$ が0にならない、つまり $w$ がいつも定まるための条件。

2019年九州大学理系数学 第5問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第5問 解答の方針の図

(ウ) で $w=-1$ を $z$ について解くと $z=\dfrac{c-1}{c+1}$ になる。 $|c|=1$ なので $c$ は単位円上の点で、 $c+1$ は点 $-1$ から $c$ へ、 $c-1$ は点 $1$ から $c$ へ向かうベクトル。直径に対する円周角は直角なので2つのベクトルは直交し、比 $\dfrac{c-1}{c+1}$ は純虚数( $c=1$ なら0)。つまりこの $z$ は虚軸上にあって $w=-1$ となってしまう。これを避けられるのは、 $(1+c)z=c-1$ の $z$ の係数が0になる $c=-1$ だけ。式で示すときは $\overline{c}=\dfrac1c$ を使って共役複素数をとる。

2019年九州大学理系数学 第5問 解答の方針の図
2019年九州大学理系数学 第5問 解答の方針の図

$C$ は、(イ) が「単位円に含まれる」としか言っていないので、単位円のどこまでをとるかを別に調べる。 $c=-1$ のとき $w=\dfrac{1+z}{1-z}$ で、分子と分母が実軸について対称な点になるので、 $z=i\tan\theta$ とおくと $w$ の偏角が $2\theta$ になり、点 $-1$ だけが除かれる理由が角の範囲で見える。

  1. $c$ が純虚数でない( $c=0$ も含む)ことから、虚軸上の $z$ で $cz+1\neq0$ であることを確かめる。
  2. (ア) に $z=i$、 $z=-i$ を代入して $a=1$、 $b=-c$ を求める。
  3. (イ) で $z=0$ とすると $w=-c$ なので $|c|=1$。
  4. (ウ):$w=-1$ を $(1+c)z=c-1$ と表す。 $c\neq-1$ なら $z=\dfrac{c-1}{c+1}$ の共役複素数を $\overline{c}=\dfrac1c$ で計算して純虚数または0(虚軸上の点)であることを示し、(ウ) に反することから $c=-1$ を導く。
  5. $a=1$、 $b=1$、 $c=-1$ が (ア)(イ)(ウ) をすべてみたすことを確かめる。
  6. $w=\dfrac{1+z}{1-z}$ で $z=i\tan\theta$ $\left(-\dfrac{\pi}{2}<\theta<\dfrac{\pi}{2}\right)$ とおき、 $w=\cos2\theta+i\sin2\theta$ から $C$ を求めて図示する。

解答

2019年九州大学理系数学 第5問 解答・解説
2019年九州大学理系数学 第5問 解答・解説
解答をテキストで読む

配点 50点

$w$ が定まること 虚軸上の点を $z=ti$( $t$ は実数)とする。 $cz+1=0$ とすると $t\neq0$ で $c=-\dfrac{1}{ti}=\dfrac{i}{t}$ となり、 $c$ が純虚数になってしまう。 $c$ は純虚数でない( $c=0$ の場合も含む)ので、虚軸上のすべての $z$ で $cz+1\neq0$ であり、 $w$ はいつも定まる。

(ア)より $z=i$ のとき $\dfrac{ai+b}{ci+1}=i$ より $ai+b=i(ci+1)=-c+i$。

$z=-i$ のとき $\dfrac{-ai+b}{-ci+1}=-i$ より $-ai+b=-i(-ci+1)=-c-i$。

2式を引いて $2ai=2i$ より $a=1$。2式を足して $2b=-2c$ より $b=-c$。よって

$$w=\frac{z-c}{cz+1}$$

(イ)より $C$ が単位円の周に含まれるので、虚軸上のすべての $z$ で $|w|=1$。とくに $z=0$(虚軸上の点)のとき $w=-c$ なので

$$|c|=1$$

よって $c\neq0$ で、 $c\overline{c}=1$ より $\overline{c}=\dfrac1c$。( $|c|=1$ は (イ) が成り立つための必要条件。十分であることは $c$ を決めたあとで確かめる)

(ウ)より 虚軸上の $z$ では $cz+1\neq0$ なので

$$w=-1\iff z-c=-(cz+1)\iff(1+c)z=c-1\quad\cdots\cdots①$$

$c\neq-1$ のとき ①は $z_0=\dfrac{c-1}{c+1}$ を解にもつ。 $\overline{c}=\dfrac1c$ より

$$\overline{z_0}=\frac{\overline{c}-1}{\overline{c}+1}=\frac{\dfrac1c-1}{\dfrac1c+1}=\frac{1-c}{1+c}=-z_0$$

すなわち $z_0+\overline{z_0}=0$ で、 $z_0$ の実部は0。 $z_0$ は虚軸上の点であり、このとき $w=-1$ となるので、点 $-1$ が $C$ に属してしまい (ウ) に反する。

$c=-1$ のとき ①は $0\cdot z=-2$ となり、これをみたす $z$ はない。

よって $c=-1$(実数なので純虚数でない)、 $b=-c=1$。

このとき $w=\dfrac{z+1}{-z+1}=\dfrac{1+z}{1-z}$ で、条件をみたすことを確かめる。

・(ア) $\dfrac{1+i}{1-i}=\dfrac{(1+i)^2}{2}=i$、 $\dfrac{1-i}{1+i}=\dfrac{(1-i)^2}{2}=-i$

・(イ) $z=ti$ に対して $|1+ti|=|1-ti|=\sqrt{1+t^2}$ なので $|w|=1$

・(ウ) $w=-1\iff1+z=-(1-z)\iff1=-1$ となり、 $w=-1$ となる $z$ はない

答 $a=1$、 $b=1$、 $c=-1$

$C$ を求める $z=i\tan\theta$ $\left(-\dfrac{\pi}{2}<\theta<\dfrac{\pi}{2}\right)$ とおく。 $\theta$ がこの範囲を動くと $\tan\theta$ はすべての実数をちょうど1回ずつとるので、 $z$ は虚軸全体を動く。 $\cos\theta>0$ なので分母・分子に $\cos\theta$ をかけて

$$w=\frac{1+i\tan\theta}{1-i\tan\theta}=\frac{\cos\theta+i\sin\theta}{\cos\theta-i\sin\theta}=(\cos\theta+i\sin\theta)^2=\cos2\theta+i\sin2\theta$$

( $(\cos\theta+i\sin\theta)(\cos\theta-i\sin\theta)=1$ を使った)

$2\theta$ は $-\pi<2\theta<\pi$ のすべての値をとるので、 $w$ は単位円上の、偏角が $\pi$ の点(点 $-1$)以外のすべての点をとる。

答 $C$ は単位円 $|w|=1$ から点 $-1$ を除いたもの(下の図。白丸の点 $-1$ は含まない)

別解( $C$ を逆向きに求める) $w$ を単位円上の $-1$ 以外の点とし、 $w=\dfrac{1+z}{1-z}$ を $z$ について解くと $z=\dfrac{w-1}{w+1}$。 $\overline{w}=\dfrac1w$ より、(ウ) の $z_0$ と同じ計算で $\overline{z}=-z$ となり、 $z$ は虚軸上の点。よって単位円上の $-1$ 以外の点はすべて $C$ に属する。(イ)(ウ) と合わせて同じ答えになる。

出題意図

3つの条件を、1つずつ文字の条件に言いかえられるか。とくに (イ) は虚軸上で一番計算が簡単な $z=0$ を代入するだけで $|c|$ が決まる、(ウ) は「 $w=-1$ となる $z$ が虚軸上にない」と言いかえることができるか。

直線(虚軸)を1次分数変換で移すと円になる、という難関大学における典型問題を、必要条件で文字を絞り、最後に十分性を確かめる形で論証しきれるか

講評

医学部医学科その他の学部
難易度やや難
目標得点30点20点
目標時間30分35分

解説はしてきたが、この問題が解けなくても合否にはほとんど影響しない。
分かる範囲で条件から数式を立てて、できる限り部分点を稼ぐ。
そのうえで第1問から第4問を確実に完答する。
これが2019年の九大理系数学で合格点を確実に取るポイントだった。
(ア)(イ) は代入だけで $a=1$、 $b=-c$、 $|c|=1$ まで求まるので、第5問に手をつけたら必ずここまで書く。
(ウ) の論証が書けなくても、 $c=-1$ のとき3条件をすべてみたすことを確かめ、 $C$ を求めて図示すれば部分点が取れる。
医学科は $z_0=\dfrac{c-1}{c+1}$ が虚軸上にあることまで書き切る。

差がつく所・失点しやすい所

  • (イ) で虚軸上の一番簡単な点 $z=0$ を入れるという発想に行き着けるか:$c=p+qi$、 $z=ti$ とおいて恒等式を作っても解けるが、成分の計算が長く、第5問で時間を使い切る原因になる。必要条件で先に $|c|=1$ を求め、十分性は最後に確かめればよい。
  • (ウ) で $z_0=\dfrac{c-1}{c+1}$ が虚軸上にあることを示すという発想に行き着けるか:ここがこの問題の山場。 $|c|=1$ を $\overline{c}=\dfrac1c$ と書きかえて共役複素数をとる処理を知っているかで大きく差がつく。示せないと $c$ が1つに決まらず、答えまで到達できない。
  • $c=0$ の扱い:「純虚数でない」には $c=0$ も含まれる。 $c=p+qi$ とおいて「 $p\neq0$ 」と書くと $c=0$ を落とす( $|c|=1$ で結局除かれるが、論証としては不十分)。
  • $C$ を「単位円」と答える:(イ) は「含まれる」だけなので、単位円のどこまでをとるかは別に調べる。点 $-1$ を除き忘れる、単位円のほかの点をすべてとることを確かめない、の2つが失点の原因。

2019年九州大学・理系数学の
講評とまとめ

5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度医学部医学科その他の学部
第1問やや簡単50点50点
第2問標準50点40点
第3問標準50点35点
第4問やや簡単50点50点
第5問やや難30点20点

大問ごとの目標得点は、得意・不得意や制限時間を考えずに「このくらいは解いてほしい」という目安です。5問を合わせて入試問題として見たときに、それぞれの大問で目標得点を取れるかは別の話なので、総合の目標点(医学部医学科で210点、その他の学部で160点)とは一致しません。

セット自体は標準です。
確実に合格をつかむなら、第1問から第4問までは完答したいセットでした。

解く流れ

第1問・第4問(やや簡単)→ 第2問 → 第3問 → 第5問。

2019年九州大学・理系数学に
関するよくある質問

2019年の九州大学・理系数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2019年の九州大学・理系数学は難しかった?

標準的な年でした。
第1問・第4問はやや簡単、第2問・第3問は標準で、やや難しいのは第5問だけです。
複素数平面が2問(第3問・第5問)出題され、小問のない1問完結型が3問ありました。
確実に合格をつかむなら、第1問から第4問までは完答したいセットです。

2019年の九州大学・理系数学は何点取れば合格できる?

目標点は、医学部医学科で210点、その他の学部で160点です(250点満点)。

2019年の九州大学・理系数学はどこで差がつく?

合格するために最低限取っておきたいのは、第1問と第4問の完答です。そのうえで、特に差がついたのは次の2つです。

  • 第3問(3):60°の角が虚軸をはさむ場合もある、という発想に行き着けたか。実軸をはさむ場合だけを数えると答えがずれます。
  • 第5問:(ウ)の条件を「$w=-1$ となる $z$ が虚軸上にない」と読みかえ、$c=-1$ まで論証できたか。
2019年の九州大学・理系数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:積分(数学Ⅲ)・極限
  • 第2問:式と証明
  • 第3問:場合の数・確率・複素数平面
  • 第4問:数列・極限
  • 第5問:複素数平面

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