九州大学2023化学を徹底分析!各大問の難易度や合格ラインを大暴露
この記事でわかること
- 九州大学化学2023の難易度
- 九州大学化学2023の合格ライン
- 各大問ごとの難易度や理想得点
「大問4は周りのみんなも白紙だった・・・」
2023年の九州大学の化学は有機化学が難しいセットでした。
残りの大問は2022年と同じくらいでしたが、
たった1題の難化により、全体的に難しく感じた、そんな年です。
この記事では、2023年の九州大学の化学の問題を徹底的に分析します。
大問毎の難易度から、どれくらいの点数を取れば合格できるのかといったことまで、隠さずに全てをお話しします。
あなたが九州大学に合格したいなら絶対に読んでほしい受験生に必見の記事です。
九大受験の専門家で、化学で高得点をとって医学部に合格した私自らが分析してお話しします!
九州大学・化学2023 全体講評
難易度としては去年と同じくらいか、少し難しくなったなぁといった感じでしょうか。
ただ、高得点を取るという観点から見ると、去年よりはるかに難しくなりました。
理由としては、第4問の有機化学がかなり難しかったこと。
構造決定ができない受験生はこの大問は0点だったことでしょう。
(受験生の報告をTwitterで見ても、周りはみんな白紙だった、というのをたくさん見かけました!)
あとは、理論化学の計算問題が少し難易度が上がったことが大きいです。
それぞれの大問でほとんど出来たけど、最後の計算はできなかった、、、なんて受験生も多かったと思います。
これらの理由から高得点は取りにくい、そんな内容の試験でした。
では最初に、各大問と全体で、難易度と目標点をお話しします。
大問 | 難易度 | 目標得点 |
---|---|---|
第1問 | 標準 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
第2問 | 標準 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
第3問 | 易 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
第4問 | やや難 | 20点(医学科) 20点(他学部) 最悪0点でもOK! |
第5問 | 標準 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
全体 | 標準 昨年とほぼ変化なし | 110点(医学科) 90点(他学部) |
※難易度は5段階で判断していますが、各段階の詳しいことは後で説明しています。
※簡易的に各大問25点で計算しています。
正直、2023年の化学は目標点が設定しにくかったです。
というのも第4問が0点か満点かという『0か100』かの大問でした。
なので第4問で何点取れるか次第で点数がかなり変わってきます。
過去問演習をするときなどは、第4問をのぞいて考えるといいと思います。
医学科を目指す人は、落としても1〜2問だけ!
できれば落とさずに、第4問以外で100点を確保したい!!
他の学部を目指す人は、第1〜3問で2〜3問程度だけ計算問題は落としても大丈夫。
2023年は数学(特に理系)と物理がかなり難しい年でした。
英語で大差をつけるのは難しいですから、化学は得点したい!
だからこそ、第4問で何点取れるかが合否を分けたと思います。
九州大学・化学2023 合格ライン
では、実際には何点とれば合格できるのでしょうか?
2023年の試験で九州大学に合格するためには、化学で取らなければならない最低限の点数についてお話しします。
上で書いた目標点は最低ラインではありません。
「このくらいの点数を取れば余裕で合格できるよ」という理想的な目安です。
化学が苦手もしくは本番失敗した時に、最低限とっておいて欲しい点数を今からお話しします。
合格最低ライン
- 医学科・・・90点
- 薬学部 臨床薬学科・・・75点
- 理系の他学部・・・70点
数学が難しかったことを考えると、最低でもこのくらいはとって踏ん張りたいところ。
第4問を0点と仮定して、あとは数問落とす程度の点数です。
化学は計算問題が1問5点と考えてください。
なので、医学科の場合は第4問と計算問題を2問だけ落として、90点は取ってほしいということです。
この点数は、共通テストや2次試験の他の科目が合格者平均点くらい取れるときの目安の点数と考えてください。
ただ、こちらの点数はあくまで目安であり、
これよりも低くて合格している人や、高くても不合格の人はたくさんいます。
九州大学・化学2023
各大問の講評
それでは各大問ごとに「難易度」や「何点取ればいいのか」といったことを話していきます。
各大問ごとに書いてある表の説明をすると、
難易度
難易度は簡単・やや簡単・標準・やや難・難の5段階で評価しています。例年の九大受験生のレベルを参考に判定。標準の問題が合格するには解けないといけないレベル。やや難は解けたら合格者の中でも差がつくレベルと思ってください。
理想解答時間
試験本番でその大問にかける時間です。この時間内で完答できたら合格できる、という時間です。
目標得点
理想時間をかけて解答した時に、合格するために試験本番でとって欲しい点数。受験生はこの点数が取れるかどうかを目安に過去問演習をしましょう。
九大化学2023第1問 講評
単元 | 気体 粒子の結合 |
難易度 | 標準 |
理想解答時間 | 8分(医学科) 12分(他学部) |
目標得点 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
※九大化学は各大問 25点満点で分析しています。
第1問は演習量を確保していれば満点が狙えます。
似たような問題を見たことがあれば、あまり時間をかけずに解ける問題。
つまり、演習量がものをいう、良問です。
設問分析
実在気体に関する問題。
- 実在気体には分子間力の影響がある。
- 実在気体では分子自身の体積の影響がある。
この2つを覚えた上で、分子間力と分子自身の体積がどのように影響するのかをしっかり説明できるようになっていれば簡単な問題。
あとは、「分子間力が大きいのはどのような分子か」や「1分子あたりの水素結合の数」といった頻出の知識が問われました。
まあ、暗記していれば解けるラッキー問題ということ。
唯一落としてもいいのは問5の計算問題ですが、冷静に考えたら簡単なのでできれば満点を狙いたい。
この問題は満点を取りたい!
しかも、時間をかけずに取れるのが理想です。
物理(あるいは生物)と化学で合わせて150分。
2023年は物理が難しかったので、なるべく時間を残しておきたい。
このレベルの問題は10分程度でサクッとクリアしておきたいところです!
九州大学の化学は75分で5題。つまり単純に考えると1題は15分!
ただ、有機化学や計算量が多い理論化学の大問には時間がどうしてもかかります。
なので、このような知識がメインの問題はサクッと10分弱でクリアできるように練習を積んでいきましょう。
九大化学2023第2問 講評
単元 | 熱化学方程式 |
難易度 | 標準 |
理想解答時間 | 10分(医学科) 15分(他学部) |
目標得点 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
かなり標準的な熱化学方程式の問題。
典型的な問題なので、10分もかけずに満点を取りたい問題です。
この第2問も受験までに演習量をしっかりこなしている受験生であれば簡単に高得点が取れる大問です。
この大問も正直、満点近く取らないと非常に厳しいです。
何度も言いますが、2023年は第4問以外は落としてはいけない試験になっちゃいました。
このくらいの難易度の問題が1番いいと思う。勉強していれば取れるし、苦手なら取れない。ただ、医学科を受ける受験生には物足りないでしょう。
設問分析
大問を通じて、ひたすら熱化学方程式の計算をしていくだけ。
熱化学方程式の解き方は、
- 式を立てて、不要な項を消す方法
- エネルギー図で解く方法
この2つがあります。
今回は問1では『エネルギー図での解法』が指定されたので、2つともしっかり理解してできるようになっておく必要があるでしょう。
あとは計算に慣れていれば満点が取れます。
熱化学方程式の問題は数値をある程度覚えておくといいです。
例えば水(液)の生成熱は286kJ/molですがこの値を知っていると検算にも利用できます。
もちろん、覚えるくらいに演習量を積むべき、というのが正しい言い方です。
ただ数値を覚えるだけでは意味は全くありません。
九大化学2023第3問 講評
単元 | 無機化学 |
難易度 | 易 |
理想解答時間 | 7分(医学科) 10分(他学部) |
目標得点 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
2023年の九州大学の化学で1番簡単な問題。
暗記をしているだけで満点が取れる非常に簡単な問題です。
ここだけの話、第3問で点数を落とすようでは話になりません。
確実に満点!
1問でも間違うようなら、無機化学の暗記を1からやり直しましょう。
九大では無機化学の知識問題が毎年出題されます。
この単元は絶対に満点です!暗記で解けるラッキー問題を落とすなんてありえない
設問分析
問1はただの暗記ですが、錯イオンの形を覚えていないと解けません。
問2は電子配列の問題です。
おそらくほとんどの受験生が20のカルシウムまでは暗記していると思います。(M殻ではなくなぜかN殻に入るってやつです。)
その後もやや不規則的に入る原子があるので、36番(クリプトン)までは覚えておきましょう。
原子と電子の配列の一覧上
問3は錯イオンを作る原子を覚えているかどうかの暗記問題。
全体を通じて暗記問題です。
ただ、ベルリンブルーなど細かい内容まで聞かれていますので、暗記を徹底することが大事です。
この大問は何もいうことがありません。満点じゃないと話になりませんよ!
九大化学2023第4問 講評
単元 | 有機化学 |
難易度 | やや難 |
理想解答時間 | 20分(医学科) 20分(他学部) |
目標得点 | 20点(医学科) 20点(他学部) 最悪0点でもOK! |
あまり見ないタイプの構造決定問題
2023年の九州大学の化学で1番ポイントになる大問です。
この大問のせいで化学でかなり差がつくことになったことでしょう。
しかもこの大問、満点か0点かというタイプの問題。
解けた人とそうでない人で25点も差がついてしまいます。
設問分析
構造決定問題ですが、部分点を取るのが難しい。
というのも、すべての構造が決まらないと問題が解けないようになっています。
化合物AとBが特定できるかが肝。
ヒント自体はいくつか出されているが、どのヒントも簡単ではありません。
第4問をどのように扱うかで理科の点数がかなり変わってきます。
この大問は時間をかけたからといって解けるわけではありません。
どうせ0点になるくらいなら、時間をかけずに他の大問や物理に回した方がいい。
この判断を試験本番でできるかが運命の分かれ目!
難しい模試や他の大学の過去問を解いてどれだけ経験を積むことができたが合否を決めました!
九大化学2023第5問 講評
単元 | 高分子化合物 |
難易度 | 標準 |
理想解答時間 | 12分(医学科) 15分(他学部) |
目標得点 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
例年と同じで解きやすい高分子化合物の問題
九州大学の高分子化合物は得点源にしやすい問題です。
2023年もこの傾向は変わらず、点数がかなり取りやすかったです。
設問分析
第5問は全体を通じて暗記問題です。
ただ、例年よりも細かい暗記の精度が求められました。
グルコースやフルクトースなど糖類の構造を書けるはもちろん
マルトースやセロビオースなど二糖の構成分子と結合の種類までの暗記が必要でした。
ただ、丁寧な暗記をしていたら確実に点数が取れるのでいい問題です。
計算問題も出ましたがいたってフツ〜ウの問題。慣れていたらスラスラ解けるでしょう。
毎年のことですが、九州大学の高分子化合物は得点源にしなくてはなりません。
確実に満点を取れるようにしておきましょう。
九州大学・化学2023
九州大学受験生によるレポート
では実際に九州大学の2023年の入試を受験した生徒にレポートを書いてもらいました!
この生徒は、九州大学医学部医学科に合格しました!
医学部医学科に合格した生徒が、本番でどのように考えて、取り組んでいるのかを実感してください。
第1問
比較的解きやすそうだったので、計算ミスをしないように気をつけながら取り組みました。1問目ということで、残り時間に余裕もあり、落ち着いて解くことができたと思います。
第2問
エネルギーの問題なので、計算ミスがないように慎重に解こうと思っていました。しかし、問題を見ると『解離エネルギー』と書いていて、「あれ、結合エネルギーじゃないの?」と思い、少し焦りました。この単元は考え方を身につけていたので、知識をフル動員しながらなんとか取り組みました。
第3問
かなり解きやすかったです。(最後まで解いて分かりましたが、この第3問が1番解きやすい大問でした。)
計算ミスをしないようにと注意して取り組んでいきました。
第4問
最初に見た時は、有機化学は得意なのでいつも通りに解こう!と思いましたが、いつもの解き方では解けずに慌てました。「思ったような結果が出ない!ヤバい!」(1)から全く分からずに一旦スキップすることにしました。
第5問
高分子のところはとても好きな分野だったので、ゆっくりと解いていきました。少し曖昧なところがあったが、なんとか解くことができて安心しました。ただ第4問を飛ばしていたので、残り時間が気になり少しドキドキ!
第4問に戻って
他の問題を一通り解いたので、スキップした第4問に!
最後の最後になんとか答えがひらめき、完答することができました!
(今思えば、化学の第4問が完答できたのが合否の分かれ目だったかもしれません。)
有機化学の第4問をスキップしたのは本当に英断でした!いつも得点源にしている大問を飛ばすのは勇気が必要だったと思うけど、素晴らしい判断!
九州大学化学の今後の傾向
化学の難易度は毎年あまり変化はありません。
これからもこの傾向は変わる可能性は低いでしょう。
ただ、今年の第4問がそうですが、
部分的に難しい問題が出されることはよくあります。
今年は有機化学でしたが、理論化学で難しい問題が出されることが多いです。
今年も第4問が0点の場合は、そもそも100点満点(本来は125点満点)スタートなり、かなり不利になります。
なので、標準的な問題が出るからと油断するのではなく、常に高みを目指して取り組んでいきましょう。
九大の化学はスラスラ解けるレベルにならないとダメです。
そのくらいでないと、難しい問題が出された時に手が出なくなります。
いざというときに対応できる力をつけておきましょう!
九州大学化学の対策法
すべての科目で当てはまりますが、
早めのうちに過去問を解いて難易度を知ることが大事です!
九州の高校では化学が習い終わるのが高3の12月になるところが多いです。(そもそも化学自体が高2から始まるため!)
なので2年間で完成させないといけません。
簡単な問題しか解かないならノンビリ勉強していていいですが、
高2の最初から気合をいれて本格的に勉強を始めないと間に合いません!
九州大学・化学2023 講評 まとめ
今回は、九州大学の2023年の化学についてお話ししてきました。
簡単な問題が出るからといって油断していては痛い目に遭います。
それこそ第4問が全く分からずに試験本番は焦りまくったことでしょう。
(特に有機化学は満点を取るつもりで挑む受験生は多いと思うので!)
最後にもう一度、まとめておきましょう。
大問 | 難易度 | 目標得点 |
---|---|---|
第1問 | 標準 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
第2問 | 標準 | 25点(医学科) 20点(他学部) |
第3問 | 易 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
第4問 | やや難 | 20点(医学科) 20点(他学部) 最悪0点でもOK! |
第5問 | 標準 | 25点(医学科) 25点(他学部) |
全体 | 標準 昨年とほぼ変化なし | 110点(医学科) 90点(他学部) |
九州大学の化学は頑張った分だけ点数が取れるようになる良問です。
ここだけの話数学を頑張るよりも化学をやったほうがよっぽどコスパがいいです笑
勉強時間と点数が比例するからこそ、サボったら他の受験生とは差がつきます!
点数が取りやすいからこそ絶対に点数を確保しなければならない科目!
それが九大の化学です。